JP2010261513A - 樹脂製複合歯車 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】両側面と、この両側面間の中間部外周に形成された歯部11とを有した歯車部10と、前記両側面に各々密接固定され歯車部10を挟持する板体7とを備え、前記歯部11が、樹脂成形品である。
【選択図】 図5
Description
本発明は、騒音抑制効果を保ちながら、材料の強度、剛性を向上させた樹脂製複合歯車を提供することを目的とする。
(1)両側面と、この両側面間の中間部外周に形成された歯部とを有した歯車部と、前記両側面に各々密接固定され歯車部を挟持する板体とを備え、前記歯部が、樹脂成形品である樹脂製複合歯車。
(2)項(1)において、板体が、金属製である樹脂製複合歯車。
(3)項(1)又は(2)において、板体が、金属と、この金属とは異種金属又は異種材質との複合積層材である樹脂製複合歯車。
(4)項(1)乃至(3)の何れかにおいて、歯部が、はす歯である樹脂製複合歯車。
(5)項(1)乃至(4)の何れかにおいて、板体が、その歯車部と密接固定される面の面積を、歯車部の歯部片側側面面積以上とする樹脂製複合歯車。
(6)項(1)乃至(5)の何れかにおいて、板体が、リブを有する樹脂製複合歯車。
板体が金属製である場合は、剛性が高いため歯部変形の抑制効果も高い。また、板体が異種金属又は異種材質との複合積層材を用いた場合には、使用する材質により、防音性、防振性向上の効果もある。
歯部がはす歯である場合は、平歯の場合と比較し、回転軸と平行方向への荷重、変形があるため、歯部変形の抑制効果による樹脂製複合歯車の強度、剛性向上の効果が大きい。
板体が、その歯車部と密接固定される面の面積を、歯車部の歯部片側側面面積以上とする場合は、歯部の両側面の全てを板体に密接固定できるので、歯部の先端から末端に到るまで、その全ての変形を阻止することができる。
板体がリブを有する場合は、板体の変形強度を上げることができ、より一層の歯部変形の抑制効果を得ることができる。
本発明にて用いる歯車部は、両側面と、この両側面間の中間部とを有しており、略高さの低い円柱形状をしている。
歯車部は、少なくとも、中間部外周に設けられる歯部が樹脂成形品であれば、他の部分は特に限定されるものではなく、歯部と同一材料を用いた一体成形品としても、異種材料を用いて歯部を形成する樹脂成形品と、一体成形、接着、嵌合、ネジ止め、固着又は溶着することもできる。
歯部以外の部分に、前述した樹脂とは異なる、異種材料を使用する場合には、例えば外周部に周り止めを有した焼結金属製ブッシュを用いることができ、前記周り止めにより、樹脂成形品と焼結金属製ブッシュとの接合強度を高めることができる。
また、焼結金属以外には、切削金属、鍛造金属等を用いることもできる。
尚、歯車部は、回転軸に固定されて使用されることから、回転軸に接する部分を、強度の高い金属材料とすることが好ましい。
また、歯部の形成は、高い精度が要求されることから、型成形ではなく、一旦型成形したものを切削することで、形成することが好ましい。
本発明にて用いる板体は、歯車部の両側面に配置されるもので、歯部の変形を抑制できるものであれば、特に限定されるものではない。
板体の材質としては、炭素鋼、アルミニウム、ステンレス等の金属、セラミック等を用いることができ、中でも剛性が高く、歯部の変形を抑制する効果が大きいことから、金属製のものを好適に用いることができ、特に炭素鋼を用いることが好ましい。
また、板体は、先に述べたような材質を、1種類のみ使用するのではなく、複数の異種材質のものを、積層させる等して組み合わせた、複合材料を用いることもできる。複合させる場合には、歯車部と密接固定する部分に、歯部の変形を抑制する効果が大きい金属を用い、この金属の外側に、防音性、防振性の良好な、ゴム、鉛等を積層させることが好ましい。
また、接着剤を用いて接着を行う場合には、アンカー効果を持たせる為に、接着剤塗布面を粗化することが好ましく、更に、接着剤の厚みは、可能な限り薄くすることが好ましい。これは、接着剤層が、板体に比較して剛性が低く、変形抑止効果を薄れさせることの防止策である。
<実施例1>
液状樹脂(熱硬化性樹脂)として、次のものを準備した。2,2’−(1,3フェニレン)ビス−2−オキサゾリン(A成分)と、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(B成分)を、モル比:2/1(質量比:69/31)の配合割合で、加熱混合溶解して液状物とする。この液状物に、硬化促進剤としてn−オクチルブロマイドを配合する。硬化促進剤の配合量は、A、B成分の総量を100質量部として、1.0質量部である。
金属製ブッシュ3は、中央に回転軸を挿入する開口5があり、周囲外側にリング状補強繊維基材2が空転することを阻止する、周り止め6が設けられている。
成形金型4は、リング状補強繊維基材2の厚さ方向に開閉動作するもので、成形金型4を閉じる動作により、リング状補強繊維基材2を圧縮して、面方向に広がったリング状補強繊維基材2を金属製ブッシュ3の周囲に圧接してその形状になじませる。そして、成形金型4内を減圧状態とし、閉じた成形金型4に上記液状樹脂を注入し、リング状補強繊維基材2に浸透させた液状樹脂を、加熱硬化して金属製ブッシュ3をインサートとする繊維強化樹脂成形体を成形する。
尚、繊維強化樹脂成形体は、金属製ブッシュ3と、その外周に設けた樹脂成形部分との段差がなく、面一となるようにしている。
はす歯は、モジュール2.5、圧力角20°、ねじれ角15°とした。
はす歯の先端は、図5に示すように、歯車部10の中心からはす歯の先端までの距離と、金属製板体7の中心から外周縁迄の距離(半径)を、等しくしているので、金属製板体7の外周縁と丁度重なり、はす歯の側面が金属製板体7から突出する部分がない。
はす歯の形成迄は、前述した実施例1と同様にして歯車部を作製したが、はす歯形成後の金属製板体による挟持を行わずに、歯車部のみとした。なお、この構成は、従来の樹脂製歯車と同じ構成である。
前述した実施例1の板体を外径:120mm、内径:60mm、厚さ:1.5mmのゴムと外径:120mm、内径:60mm、1.5mmの金属板体(炭素鋼:S45C)の複合積層材とした。なお、この複合積層材は、歯車部と密接固定する部分に金属板体を用い、この金属板体の外側にゴムを積層させたものである。
切削加工により、実施例1と同形状の、全てが炭素鋼製(材質:S45C)の歯車部を得た。なお、この構成は、従来の金属製歯車と同じ構成である。
噛み合い音評価は、歯車の噛み合い部に集音マイクを設置し、表1に示す条件により歯車を駆動させたときの騒音を測定し、音圧を比較した。結果を表2に示す。
尚、表2の値は、比較例2を100とした時の指数で表したものである。
歯部破壊荷重測定試験は、金属製歯車と噛合わせた状態で荷重を加え、歯部が破壊する荷重を測定した。結果を表2に示す。
表2から明らかなように、実施例1に示される歯部を両側から板体で挟持した樹脂製複合歯車は、歯部を板体で挟持していない樹脂製歯車(比較例1)、金属製歯車(比較例2)と比較して音圧レベル指数が小さく、噛み合い時の騒音低減効果がある。また、板体を複合積層材にした実施例2は、更に音圧レベル指数が小さい。
また、歯部破壊荷重についても、歯部を板体で挟持していない樹脂製歯車(比較例1)と比較して向上しており、大幅な耐久性向上を付与できることが理解できる。
Claims (6)
- 両側面と、この両側面間の中間部外周に形成された歯部とを有した歯車部と、前記両側面に各々密接固定され歯車部を挟持する板体とを備え、前記歯部が、樹脂成形品である樹脂製複合歯車。
- 請求項1において、板体が、金属製である樹脂製複合歯車。
- 請求項1又は2において、板体が、金属と、この金属とは異種金属又は異種材質との複合積層材である樹脂製複合歯車。
- 請求項1乃至3の何れかにおいて、歯部が、はす歯である樹脂製複合歯車。
- 請求項1乃至4の何れかにおいて、板体が、その歯車部と密接固定される面の面積を、歯車部の歯部片側側面面積以上とする樹脂製複合歯車。
- 請求項1乃至5の何れかにおいて、板体が、リブを有する樹脂製複合歯車。
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JP2009113161A JP2010261513A (ja) | 2009-05-08 | 2009-05-08 | 樹脂製複合歯車 |
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