JP2010260940A - スチレン−ブタジエン系添加剤 - Google Patents

スチレン−ブタジエン系添加剤 Download PDF

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Abstract

【課題】特に安定性と強度の双方をともに向上させることが可能なアスファルト組成物を製造する上で必要となるスチレン−ブタジエン系添加剤を提供する。
【解決手段】スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS):8〜32重量%、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペン:0.3〜12重量%、アスファルト:56〜91.7重量%を含有し、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS):2〜8重量%未満、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペン:0.3〜3重量%を含有し、残部がアスファルトからなるアスファルト組成物を製造する上で、残りのアスファルトに対して添加されることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、道路舗装、防水材、粘着剤等に適用されるアスファルト組成物を製造する上で添加されるスチレン−ブタジエン系添加剤及びアスファルト組成物の製造方法に関する。
従来より、アスファルトは、道路舗装及び防水等の幅広い分野で使用されている。このアスファルトの補強材としてスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)が一般に利用されている。しかしながら、このSBSは、アスファルト中に分散させた際に安定性が低下してしまい、特に商業利用時の貯蔵温度(150〜180℃程度)においてアスファルトとSBSとがすぐに分離し、SBSが浮上してしまうという問題点があった。
その理由としては、アスファルト中に添加したSBSにおけるスチレンブロック同士が凝集してしまうことが考えられる。このスチレンブロック同士の凝集が生じてしまうと、図5に示すようにSBSのポリマー同士が凝集してしまうことから、アスファルトとの間で均一に混合させることができず、得られるアスファルト組成物自体の安定性を確保することができなくなる。
このため、このアスファルト中にSBSを混合することによりこれを補強する際には、このアスファルト中にSBSを安定化させるための安定剤としては、従来において、例えば硫黄、ポリオキシエチレンノニルフェノール、過酸化物、カーボンブラックや、アロマ系オイル等が提案されていた。
しかしながら、安定剤として添加する硫黄は、硫化水素発生の危険を伴うものであり、ポリオキシエチレンノニルフェノールは環境ホルモンの観点からはその適用を回避すべきであり(例えば、特許文献1参照。)、更に有機過酸化物は、高温で取り扱う際において、分解や爆発の危険性があった。またカーボンブラックは、アスファルトに比べ高価であることから現実にアスファルト製品として市場へ供給する上での妨げとなっていた(例えば、特許文献2参照。)。またアロマ系オイルの添加は、SBSにおけるスチレンブロックを溶解することで安定性を向上させることができる一方、スチレンブロックの存在によって初めて発現させることが可能な弾性率の向上が期待できなくなり、アスファルト製品において期待する強度を得ることが困難になるという問題点があった。
このようにアスファルト組成物の安定性と強度の双方を向上させるための技術に対する要望が従来から特に高まっていた。
また、このアスファルト組成物を製造する上では、あくまでアスファルトを基材とする。そして、この基材としてのアスファルトに対して添加剤を添加することにより、最終的なアスファルト組成物を製造する。このとき、この最終的なアスファルト組成物を製造する上で必要な添加剤についても、特に産業界からそのニーズが高まっていた。この添加剤のみについてユーザに提供できれば、ユーザは、単にこの添加剤に対して所定比率となるようにアスファルトを混合すればよいことから、安定性と強度の双方を向上させることが可能なアスファルト組成物を極めて容易に製造することが可能となる。
特開2000−53865号公報 特開平10−237309号公報
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、特に安定性と強度の双方をともに向上させることが可能なアスファルト組成物を製造する上で必要となるスチレン−ブタジエン系添加剤を提供することにある。
本発明に係るスチレン−ブタジエン系添加剤は、上述した課題を解決するために、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体と、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペンとからなり、 上記スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体に対する上記カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペンの重量比は、0.0094以上、1.5以下であり、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS):2〜8重量%未満、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペン:0.3〜3重量%を含有し、残部がアスファルトからなるアスファルト組成物を製造する上で、上記アスファルトに対して添加されることを特徴とする。
本発明に係るスチレン−ブタジエン系添加剤は、上述した課題を解決するために、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS):8〜32重量%、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペン:0.3〜12重量%、アスファルト:56〜91.7重量%を含有し、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS):2〜8重量%未満、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペン:0.3〜3重量%を含有し、残部がアスファルトからなるアスファルト組成物を製造する上で、残りのアスファルトに対して添加されることを特徴とする。
本発明に係るアスファルト組成物の製造方法は、上述した課題を解決するために、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体と、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペンとからなるスチレン−ブタジエン系添加剤を160〜210℃でアスファルトに添加することにより、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS):2〜8重量%未満、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペン:0.3〜3重量%を含有し、残部がアスファルトからなるアスファルト組成物を製造することを特徴とする。
本発明に係るアスファルト組成物の製造方法は、上述した課題を解決するために、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS):8〜32重量%、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペン:0.3〜12重量%、アスファルト:56〜91.7重量%を含有する、スチレン−ブタジエン系添加剤を190〜210℃で残りのアスファルトに添加することにより、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS):2〜8重量%未満、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペン:0.3〜3重量%を含有し、残部がアスファルトからなるアスファルト組成物を製造することを特徴とする。
本発明によれば、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体と、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペンとからなり、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS):2〜8重量%未満、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペン:0.3〜3重量%を含有し、残部がアスファルトからなるアスファルト組成物を製造する上で、上記アスファルトに対して添加されることを特徴としている。このため、得られたアスファルト組成物を介して、貯蔵試験における容器上部と下部の軟化点差を3.0℃以下とすることによる貯蔵安定性の向上と、道路舗装における耐わだち掘れ性能の指標であるDS値を6000(回/mm)以上とすることによる強度の向上の双方を同時に実現することが可能となる。
アスファルト組成物における角周波数ωに対する複素弾性率G並びに損失正接(tanδ)の関係を示す図である。 動的粘弾性試験機の測定部を模式的に示す斜視図である。 アビエチン酸のみのIRスペクトルを示す図である。 スチレン−ブタジエン系組成物のIRスペクトルを示す図である。 アスファルト中に添加したSBSにおけるスチレンブロック同士が凝集した例を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態として、アスファルト組成物を製造する上で添加されるスチレン−ブタジエン系添加剤について、詳細に説明する。
本発明者は、上述した問題点を解決し、所望の安定性と強度を発現できるように、アスファルト組成物を製造するために鋭意実験研究を行った。その結果、本発明者は、アスファルト中に、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)と、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペン(樹脂酸)とを所定重量%の範囲で添加することにより、アスファルトとSBSとが分離することなく安定性を発揮することができ、またアスファルト組成物自体の強度をより向上することができることを見出した。具体的には、SBSと樹脂酸とを混合することにより、ブタジエンブロックを構成する二重結合にカルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペンを結合させることができ、その結果、スチレンブロック同士が凝集してしまうのを解くことができ、最終的に得られるアスファルト組成物自体の安定性をより向上させることができることを見出した。
即ち、本発明を適用したスチレン−ブタジエン系添加剤は、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体と、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペンとからなる。この本発明を適用したスチレン−ブタジエン系添加剤は、アスファルトに対して添加される。即ち、このスチレン−ブタジエン系添加剤は、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS):2〜8重量%未満、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペン:0.3〜3重量%を含有し、残部がアスファルトからなるアスファルト組成物を製造する上で、上記アスファルトに対して添加されるものである。
また本発明を適用したスチレン−ブタジエン系添加剤は、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS):8〜32重量%、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペン:0.3〜12重量%、アスファルト:56〜91.7重量%を含有するものであってもよい。この本発明を適用したスチレン−ブタジエン系添加剤は、残りのアスファルトに対して添加される。即ち、このスチレン−ブタジエン系添加剤は、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS):2〜8重量%未満、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペン:0.3〜3重量%を含有し、残部がアスファルトからなるアスファルト組成物を製造する上で、残りのアスファルトに対して添加されるものである。
なお、ここでいうアスファルトは、あくまで最終生成物であるアスファルト組成物を構成する一要素であり、これにSBS、樹脂酸を添加することによって初めてアスファルト組成物が生成されるものである。
スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)は、いわゆる熱可塑性エラストマーである。このSBSは、アスファルト組成物の製造温度及び使用温度、加工温度(150〜210℃程度)において分解による弾性率、および動粘度をはじめとした物理的強度の低下が少なく、後述する水添熱可塑性エラストマーに比べて安価なエラストマーであり、アスファルト添加剤として頻繁に用いられる。SBSは、スチレンブロックの間にブタジエンブロックが挟まれた化学構造からなり、このブタジエンブロックを構成する二重結合にカルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペン(樹脂酸)を付加させることにより、アスファルト組成物中でのSBSの安定性、すなわち分離し浮上しない傾向、性能を向上させることが可能となる。
なお一般に、同じ温度において、アスファルトの密度はSBSよりも高く、アスファルトとSBSを混合、分散した後に分離を生じた場合は、SBSがアスファルトの上面に浮上する事になる。
本発明においては、アスファルトに対して混合すべきSBSの混合比を調節することにより、アスファルト組成物の物性や性状が最適になるように調製している。
アスファルトは、温度変化による物理性状の変化が極めて大きい材料である。すなわち、このアスファルトは、感温性の大きい材料である。このため常温で使用する材料を形成する場合、約100〜200℃程度まで加熱し溶融させ、液体状にすることで、任意の形状に形成する事が可能になる。しかし、このアスファルトを常温で使用する場合においても、使用する場所や季節等に応じて使用温度が変わり、アスファルトの物性が変化し、所定の性能を発現しない場合がある。
このため、アスファルト組成物では、アスファルトに比べて温度変化による物理性状の変化が小さい、すなわち感温性の小さいSBSを、アスファルトに添加、混合し、アスファルトの感温性を小さくする事が行われている。さらにこのSBSは、アスファルトに比べて常温での弾性率が大きいため、本発明では、物理強度の向上の観点からも、このSBSを添加、混合する。
しかしながら、アスファルト組成物全重量あたりのSBS含有量が2重量%未満の場合、SBS添加による感温性の改善や物理強度向上の程度が実用上十分でなく、アスファルトの物性及び性状の温度依存性を改善する事ができず、広い温度範囲で適切な物性及び性状を得ることが困難になるという問題点が生じる。これに対して、SBS含有量が8重量%以上の場合、最終的に得られるアスファルト組成物の粘度が大きくなり過ぎてしまい、実際にこれを道路に敷設する際の施工性を著しく悪化させることにもなる。また、このSBS含有量が8重量%以上では、最終的に得られるアスファルト組成物の熱安定性及び貯蔵安定性が悪化し、均一な組成物を得られなくなる。このため、SBSの含有量は2〜8重量%未満とする。
また本発明を適用したスチレン−ブタジエン系添加剤において、SBSの重量%の下限は8重量%としている。このSBS量の下限は、最終的に得られるアスファルト組成物における、SBS配合量の上限(8重量%未満)よりも多くなるように設定している。本発明を適用したスチレン−ブタジエン系添加剤において、SBSの重量%の下限を8重量%とすることにより、残りのアスファルトを混合する際においてほんの僅かのアスファルトを添加することにより、最終的に得られるアスファルト組成物におけるSBS配合量8重量%未満を達成できるためである。
本発明を適用したスチレン−ブタジエン系添加剤において、SBSの重量%の上限は32重量%としている。これはSBS下限値の4倍量(=8×4=32重量%)に相当する。SBSの上限が32重量%を超えてしまうと、粘度が上昇し、添加剤製造時の混合、添加剤の輸送が困難になり、作業性を著しく低下させてしまうためである。
カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペン(樹脂酸)は、例えば、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸、パラストリン酸等が含まれるが、これに限定されるものではなく、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペンという定義の下でのいかなる樹脂酸も含まれる。これらカルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペンは、一般にロジンに含まれている。
ここでロジンとしては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンなどが使用される。これらロジンは、原産地、原材料、採取方法の違いにより上述したガムロジン、ウッドロジン等の如き分類が可能となるが、少なくとも松脂の水蒸気蒸留時の残渣成分として得られるものである。このロジンでは、成分としてアビエチン酸、パラストリン酸、ネオアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ピマール酸、サンダラコピマール酸、イソピマール酸等を含む混合物である。このロジンは、通常約80℃で軟化し、90〜100℃で溶融する。なお、ロジン中にはアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸、パラストリン酸、ネオアビエチン酸、レボピマル酸などの各種樹脂酸が含まれているが、これら樹脂酸をそれぞれ精製して単独で使用するようにしてもよい。
本発明においては、以下、このカルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペン(樹脂酸)としてガムロジンを使用する場合を例にとり説明をする。このガムロジンは、採取した生松脂をろ過して不純物を除去し、その後、蒸留することにより、低沸点成分のテレピン油を分離して得られるロジンである。このガムロジンは、一般的に、アビエチン酸が20〜40重量%、ネオアビエチン酸が15〜25重量%、パラストリン酸が20〜30重量%、ピマール酸が3〜8重量%、イソピマール酸が10〜20重量%、デヒドロアビエチン酸が3〜8重量%含まれている。
また、ロジンをそのまま適用する代わりに、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸、パラストリン酸等のうち何れか1種以上を単独で添加するようにしてもよい。
このカルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペン(樹脂酸)は、アスファルト組成物の全重量に対して、0.3〜3重量%を含有する。仮にこの樹脂酸の含有量が0.3重量%未満では、SBSにおけるブタジエンブロックに対する、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペン(アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸、パラストリン酸等)の付加が十分ではなく、最終生成物としてのアスファルト組成物の安定性の向上を図ることができない。これに対して、この樹脂酸の含有量が3重量%を超えてしまうと、この安定性向上という効果が飽和してしまうばかりでなく、高価な樹脂酸の添加量が増加することによる原料コストの上昇が著しくなるという問題が生じる。即ち、樹脂酸の含有量を3重量%を超えて添加しても、安定性はこれ以上大幅に向上するものではなく、却って原料コストの面において不利となる。
また本発明を適用したスチレン−ブタジエン系添加剤において、樹脂酸の重量%の下限は0.3重量%としており、上限は12重量%としている。その理由として、上述したSBSにおける重量%の上限、下限との間で配合比率の整合を図る必要があるためである。
またこのカルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペン(樹脂酸)は、アスファルト組成物の全重量に対して、0.3〜1重量%の範囲で含有されていることが望ましい。この樹脂酸の含有量の上限を1重量%とすることにより、原料コストの上昇を極力低めに抑えつつ、アスファルト組成物の安定性向上を図ることが可能となり、費用対効果を向上させることができる。
アスファルトは、原油を減圧蒸留した残油として得られるストレートアスファルト、原油の減圧蒸留残油をプロパン等により脱れきして得られたプロパン脱れきアスファルト、或いは原油の減圧蒸留残油をプロパン等により脱れきして得られた溶剤脱れき油を溶剤抽出して得られたエキストラクト等で構成される。このエキストラクトの代わりに、アロマ系オイルで構成するようにしてもよい。このアロマ系オイルは、JISK6200に規定されているものであり、芳香族炭化水素を、少なくとも35質量%含む炭化水素系プロセスオイルである。
アスファルトは、上述した減圧蒸留法、ブローイング(空気吹き込み法)、調合法(ブレンド法)の何れかの方法により製造される。即ち、このアスファルトは、プロパン脱れきアスファルト、ストレートアスファルト、エキストラクトのうち何れか1種以上が含まれるものである。
プロパン脱れきアスファルトは、減圧蒸留残油に対して、プロパン、又はプロパンとブタンの混合物を溶剤として使用し、脱れき処理して得られた、いわゆる溶剤脱れきアスファルトである。またこのプロパン脱れきアスファルト以外には、例えばストレートアスファルトや、ブローンアスファルト等のいかなるアスファルトを使用するようにしてもよい。
このプロパン脱れきアスファルトは、例えばJISK2207の下で25℃における針入度が8(1/10mm)、軟化点が66.5℃、15℃における密度が1028kg/mであるようなものを使用するようにしてもよい。
また、ストレートアスファルトとしては、例えば、25℃における針入度が65(1/10mm)、軟化点が48.5℃、15℃における密度が1034kg/mであるようなものを使用するようにしてもよい。
エキストラクトは、原油の減圧蒸留残油をプロパン等により脱れきして得られた溶剤脱れき油を更に極性溶剤を用いて溶剤抽出することにより、重質潤滑油を精製油として得る際の抽出油である。エキストラクトは、100℃における動粘度が61.2mm/s、40℃における動粘度が3970mm/s、15℃における密度が976.4kg/mであるようなものを使用するようにしてもよい。ちなみに、このエキストラクトの含有量は、アスファルト組成物全体の重量に対して、5重量%以下含まれていることが望ましい。その理由として、このエキストラクトの含有量が5重量%を超えてしまうと、得られるアスファルト組成物の強度を、アスファルトとしての適用を考える上で十分な程度まで向上させることができないためである。
なお、上述した構成からなるアスファルト組成物を実際に製造する際には、先ず本発明を適用したスチレン−ブタジエン系添加剤を最初に準備する。 このスチレン−ブタジエン系添加剤について、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS):8〜32重量%、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペン:0.3〜12重量%、アスファルト:56〜91.7重量%を実際に調製する場合には、先ずこれらを容器内に注入し、ホモミキサーを用いて、温度を190〜210℃に保ち、2〜3時間程度、混合並びに撹拌する。ちなみに、この混合時間については、特に2〜3時間の範囲から逸脱してもよいが、混合温度は上述した190〜210℃の範囲で行う必要がある。
混合温度が190℃未満であると、SBS中のブタジエンブロックを構成する二重結合にカルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペン(樹脂酸)が付加しにくくなり、後述の工程でアスファルトと混合してアスファルト組成物とした際における、アスファルト組成物中でのSBSの安定性、すなわち分離し浮上しない傾向、性能を向上させることができず、アスファルトとSBSが結果として分離してしまうことになる。
また、混合温度が210℃以上であると、SBSそのものが分解し変質してしまい、SBSをアスファルトに添加、混合することで発現しようとする強度の向上、および感温性の低下(感温性の改善)が達成できなくなる。
なお、このスチレン−ブタジエン系添加剤を製造する際において、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体に対するカルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペンの重量比は、0.0094以上、1.5以下であることが望ましい。この成分の限定範囲としては、上述したSBSと、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペンとの重量比率に基づくものであり、最小の重量比は、樹脂酸の最小重量%と、SBSの最大重量%の比(=(0.3/32=0.009375、有効数字を2桁として0.0094)から算出することができる。また、最大の重量比は、樹脂酸の最大重量%と、SBSの最小重量%の比(=(12/8=1.5)から算出することができる。次に、この得られたスチレン−ブタジエン系添加剤を、160〜210℃程度の温度で維持した状態にある残りのアスファルトに対して添加する。この残りのアスファルトは、スチレン−ブタジエン系添加剤を製造する上で使用したアスファルトと同様の成分で構成されていることが望ましいが、これに限定されるものではない。スチレン−ブタジエン系添加剤と、アスファルトとの混合比率は、スチレン−ブタジエン系添加剤を10重量%〜99重量%、アスファルトを90重量%〜1重量%の範囲で全100重量%となるように混合する。そしてミキサーにより、温度を160〜210℃、1〜3時間程度、混合並びに攪拌する。ちなみに、この混合時間については、特に1〜3時間の範囲から逸脱してもよいが、混合温度は上述した160〜210℃の範囲で行うことが望ましい。
スチレン−ブタジエン系添加剤とアスファルトの混合温度が160℃未満であると、スチレン−ブタジエン系添加剤の粘度が高く、アスファルトと均一に混合しない恐れがあり、また、混合温度が210℃以上であると、SBSそのものが分解し変質してしまい、SBSをアスファルトに添加、混合することで発現しようとする強度の向上、および感温性の低下(感温性の改善)が達成できなくなる。このため、スチレン−ブタジエン系添加剤とアスファルトの混合温度は、上述した範囲に限定することとした。
図1は、得られたアスファルト組成物における角周波数ωに対する複素弾性率G並びに損失正接(tanδ)の関係を示している。アスファルト組成物に正弦波振動を一定ひずみで加え、その角周波数ωを徐々に増加させてゆき、その角周波数ωに対して複素弾性率G並びに損失正接(tanδ)をそれぞれ測定した。
本発明において規定している複素弾性率Gは、動的粘弾性試験機により測定することができる。具体的には、図2に示すようにアスファルトバインダー1を2枚の平行円盤2a,2b間に挟み、一方の円盤2aに所定の周波数の正弦波歪みを加え、アスファルトバインダー1を介して他方の円盤2bに伝わる正弦的応力σを測定する。その際の測定条件は、円盤2a,2bの直径が25mm、アスファルトバインダー1の厚さが1mm、歪みが10%である。そして、その測定結果に基づき、下記数式(1)から複素弾性率Gを求める。ここで、下記数式(1)におけるγは円盤に加えた最大歪みである。
Figure 2010260940
損失正接(tanδ)は、正弦波歪みγをアスファルト組成物に加えた際に、アスファルト組成物中で失われるエネルギーの大きさを示す指標である。
損失正接(tanδ)が大きいということは、ひずみを加えた際にエネルギー損失が大きい、すなわち変形しやすく、与えたひずみを取り除くと、元の形状にもどらないことを意味する。また損失正接(tanδ)が小さいということは、ひずみを加えた際にエネルギー損失が小さい、すなわち変形しにくく、与えたひずみを取り除くと、元の形状に戻りたがる物性を意味する。
損失正接(tanδ)は、上述の複素弾性率Gを測定する際に、一方の円盤に加えた所定の角周波数の正弦波歪みγと、アスファルト組成物を介して他方の円盤に伝わった正弦的応力σとの、位相差δから算出する。
なお上述の複素弾性率Gおよび損失正接(tanδ)は、舗装調査・試験法便覧(社団法人 日本道路協会編)に示される方法「A062 ダイナミックシアレオメータ試験方法」に基づいて測定しても良い。
ちなみに、この図1の例では、スチレン−ブタジエン系添加剤を調製する際の温度を180℃、185℃、190℃と変化させ、完成したスチレン−ブタジエン系添加剤にアスファルトを混合して製造した、アスファルト組成物の物性を示している。
具体的には、スチレン−ブタジエン系添加剤として、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)を18重量%、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペンとしてガムロジンを3重量%、アスファルトを79重量%含有するものを、混合時の温度を180℃、185℃、190℃と3水準変化させ、2時間混合し、スチレン−ブタジエン系添加剤を調製した。
この3水準の温度で調製したスチレン−ブタジエン系添加剤を25重量%、アスファルトを75重量%となるように計量し、ミキサーを用いて、スチレン−ブタジエン系添加剤を調整したときと同じ温度で、1時間混合し、アスファルト組成物を得た。
完成したアスファルト組成物は、SBS4.5重量%、ガムロジン0.75重量%を含有し、残部がアスファルトからなる。
図1は、このアスファルト組成物に、60℃において10%の正弦波歪みを加えた際の、複素弾性率Gおよび損失正接(tanδ)を示している。
特に道路舗装の現場において、アスファルト組成物を骨材(砕石、砂など)と共に道路上に敷設する際には、舗装面を重機(ローラーなど)および人力によって、平坦にし、交通走行時の乗り心地の向上、歩行時のつまづきの防止、水溜まり生成の防止をはかる必要がある。舗装面を平坦にするには、大きな力ゆっくりと舗装面に与え、いわゆるアイロン掛けをするようにして作業を行う。
この際アスファルト組成物には低い角周波数ωで振動を受けるため、かかる低い角周波数ωの下でのtanδが高いほど、アスファルト組成物が変形しやすく、復元力が小さくなり、現場での施工性、即ち、平坦な道を形成しやすくする上で適したものとなる。
混合温度が190℃のサンプルは、それ以外と比較して、低角周波数ωにおけるtanδが高くなる傾向が示されていた。これに対して、混合温度が185℃以下では低角周波数ωにおけるtanδが低下してしまう傾向が表れていた。このため、施工性の点からも、スチレン−ブタジエン系添加剤を製造する際の混合温度を190℃以上とすることが望ましいことが分かる。
また、複素弾性率Gも、低い角周波数ω帯域において小さいほうが望ましい。特にアスファルト組成物を締め固め、平坦にする際には、低い角周波数ω帯域でアスファルト組成物へ負荷がかかることになるが、このときは極力軟らかいほど、換言すれば弾性率が低いほど施工性が向上することになる。かかる複素弾性率の観点でみた場合においても、混合温度が190℃のサンプルは、それ以外と比較して、低い角周波数ωにおける複素弾性率Gが低くなる傾向が示されていた。これに対して、混合温度が185℃以下では低角周波数ωにおける複素弾性率Gが高くなり、施工性が悪化してしまう傾向が表れていた。このため、施工性の点から、混合温度を190℃以上とすることが望ましいことが分かる。
上述の如きスチレン−ブタジエン系添加剤を用いた製造方法を経ることにより生成されたアスファルト組成物は、アスファルトとSBSとが分離することなく共に安定させた状態で仕上ることができる。その理由として、SBSを構成するスチレンブロックは互いに他のSBSのスチレンブロックと互いに凝集しようとする性質を持つが、本発明では、ブタジエンブロックを構成する二重結合にカルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペン(樹脂酸)を付加させることができる。特にスチレンブロック近傍に樹脂酸が付加することにより、嵩高い樹脂酸がスチレンブロックに作用し、ひいてはスチレンブロックの凝集を解くことが可能となるためである。このスチレンブロックの凝集を解くことにより、SBSがアスファルトとの間で分離することなく、十分な安定性を確保することが可能となる。
ちなみに、このアスファルト組成物が安定しているか否かは、貯蔵安定性を介して識別することが可能となる。この貯蔵安定性は、内径が5.2cm、高さが13cmのアルミニウム製円筒缶に、深さ12cmの位置までアスファルト組成物(約250g)を注入して密封し、170℃で48時間加熱する。その後、アルミニウム製円筒缶に注入されているアスファルト組成物の上部4cm、下部4cmにおける軟化点を測定することにより確認することができる。軟化点の測定は、JISK2207に示す方法に基づくものとしてもよい。そして、上部の軟化点と下部の軟化点の差の差分絶対値を介して安定性の判断を行う。この軟化点差としての差分絶対値が3.0℃以下のときに貯蔵安定性が良好であるものとした場合に、アスファルト組成物は、いずれも軟化点差が3.0℃以下まで抑えることが可能となる。
また、上述の如き製造方法を経ることにより生成されたアスファルト組成物は、強度も向上させることが可能となる。このアスファルト組成物の強度は、舗装評価・試験法便覧(社団法人 日本道路協会編)に記載されているホイールトラッキング試験に基づいて、DS値から判断する。このDS値は、下記の式(2)から求めることができ、45分〜60分までの間におけるアスファルト組成物の変形量(mm)に対する、45分〜60分までの間におけるタイヤ走行回数で求めることが可能となる。このDS値が高いほど、アスファルト組成物自体の変形量が少なく、轍掘れに強い材料となり、強度が高いことを意味している。
Figure 2010260940
・・・・・・・・・(2)
アスファルト組成物では、特にエキストラクトを5重量%以下に抑えていることから、一般の道路舗装に使用される密粒混合物(骨材最大粒径13mm)において、上述したDS値をほぼ6000(回/mm)以上に調整することが可能となる。ちなみにDS値が6000(回/mm)以上であれば、アスファルト組成物としての強度面において殆ど問題が生じなくなる点については、舗装評価・試験法便覧(社団法人 日本道路協会編)において言及されている。
このため、本発明によれば、軟化点差を3.0℃以下とすることによる貯蔵安定性の向上と、DS値を6000(回/mm)以上とすることによる強度の向上の双方を同時に実現することが可能となる。
なお、アスファルト組成物は、道路舗装に適用される場合を前提としているが、これに限定されるものではなく、防水材、粘着剤等に適用することも可能であることは勿論である。
また、本発明を適用したスチレン−ブタジエン系添加剤は、例えば下記の一般式で表される。
Figure 2010260940
本発明を適用したスチレン−ブタジエン系添加剤は、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)におけるブタジエンブロックにRが付加されている。このRは、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペン(以下、樹脂酸ともいう。)が付加されている。
通常のSBSは、例えば下記の化学式2に示すようにスチレンブロックの間にブタジエンブロックが挟まれた化学構造からなる。このブタジエンブロックを構成する二重結合に樹脂酸を付加させることにより、アスファルト組成物中でのSBSの安定性、すなわち分離し浮上しない傾向、性能を向上させることが可能となる。
なお一般に、同じ温度において、アスファルトの密度はSBSよりも高く、アスファルトとSBSを混合、分散した後に分離を生じた場合は、SBSがアスファルトの上面に浮上する事になる。
Figure 2010260940
これら樹脂酸は、化学式2に示すブタジエンブロックの何れの二重結合に対しても付加反応することにより、付加することが可能となる。しかしながら、本発明を適用したスチレン−ブタジエン系添加剤では、化学式1に示すように、ブタジエンブロックにおいて、スチレンブロックに最も近接するブロックA、ブロックAにおける二重結合において、樹脂酸が付加される場合を一例として説明をする。
ここでブタジエンブロックにおけるブロックA、Aにおいて、スチレンブロックに近接する炭素からC、C、C、Cとしたとき、樹脂酸Rは、この炭素C、に付加されることになる。但し、この樹脂酸Rは、この炭素Cのみならず、炭素Cに付加されるものであってもよい。
また、下記の化学式3は、樹脂酸RがブタジエンブロックにおけるブロックA、A以外の炭素において付加された例を示している。
Figure 2010260940
即ち、この樹脂酸Rは、ブタジエンブロックにおけるブロックA、A以外のいかなる炭素において付加されていてもよい。
また、下記の化学式4は、樹脂酸RがブタジエンブロックにおけるブロックAにおいて付加されることなく、それ以外のブロックにおいて付加された例を示している。
Figure 2010260940
このように、樹脂酸Rが、ブタジエンブロックにおけるブロックA、Aを構成する炭素に付加されることは必須とならず、ブロックA、A以外のいかなる炭素において付加されていてもよい。
また、下記の化学式5は、樹脂酸Rとしてイソピマール酸がブタジエンブロックにおけるブロックAの炭素Cにおいて付加反応する例を示している。
Figure 2010260940
実際にイソピマール酸を構成するカルボン酸中の酸素原子が負を帯びている関係上、当該カルボン酸中の水素原子は、正を帯びている。また、スチレンブロックは、電子供与性があるため、スチレンブロック近傍の二重結合は、電子密度が高くなっており、スチレンブロック自体が全体的に負に帯電している。その結果、イソピマール酸が実際にブタジエンブロックを攻撃する際には、正に帯電したカルボン酸中の水素原子が、スチレンブロックに引き寄せられる結果、スチレンブロックに最も近接するブロックAの二重結合を攻撃しようとする。そして、負に帯びた水素原子と当該二重結合との間で求電子付加反応が生じることになる。
この求電子付加反応の結果、下記の化学式6に示すように、イソピマール酸は、ブロックAの炭素Cに付加されることになる。
Figure 2010260940
なおイソピマール酸は、ブロックAの炭素Cではなく、炭素Cに付加される場合もある。またブロックAについても同様のメカニズムでイソピマール酸が付加する。
また、イソピマール酸は、ブロックA、Aのみならず、ブタジエンブロックの他の二重結合に付加される場合があることは勿論である。また、このブタジエンブロックに対して付加されるイソピマール酸の数は、いかなる数であってもよい。またイソピマール酸のみならず、上記樹脂酸は、何れもカルボキシル基を有し、炭素数20の多環式ジテルペンで構成されていることから、上述したようにブタジエンブロックの二重結合に対して同様の付加反応が生じ、その結果、炭素原子に樹脂酸を付加させることが可能となる。
特にこの樹脂酸のうち、アビエチン酸とイソピマール酸は、分子内の原子の結合並びに電子状態から、特にカルボキシル基中の酸素原子の電子密度が高くなり、結果としてブタジエンブロック中の二重結合と反応しやすくなる。このため、上述した樹脂酸としては、特にアビエチン酸又はイソピマール酸を使用することが望ましい。
その結果、最終的には化学式1に示すようなスチレン−ブタジエン系添加剤を得ることが可能となる。
このように、本発明を適用したスチレン−ブタジエン系添加剤は、上述したように、少なくともスチレンブロックに最も近接するブタジエンブロックA、Aの二重結合において樹脂酸Rが付加する。その樹脂酸Rは、スチレンブロックを構成するスチレンのサイズと比較して、2〜3倍のサイズを有する。その結果、この樹脂酸RがSBSの自由な動き(分離)を阻害する機能を担うことになる。この嵩高い樹脂酸Rがスチレンブロック近傍にあることにより、アスファルト中に添加したSBSにおけるスチレンブロック同士が凝集してしまうのを防止することが可能となる。スチレンブロック同士の凝集することなく分散することにより、アスファルトとの間でSBSを均一に混合させることができ、得られるアスファルト組成物自体の安定性を向上させることが可能となる。
以下、本発明の実施例について詳細に説明をする。表1に示すように、ストレートアスファルト、プロパン脱れきアスファルト(PDA)、エキストラクトのうち何れか1種以上が含まれるアスファルトに対して、本発明を適用したスチレン−ブタジエン系添加剤を添加した。ちなみに、この表1中の数値は、何れも重量%を示す。
具体的には、SBSを18重量%と、後述するロジンB、ロジンC、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸の何れかを195℃で維持した状態でホモミキサーを用いて2時間混合し、スチレン−ブタジエン系添加剤を作製した。表1では、このスチレン−ブタジエン系添加剤の調製工程Pとしている。
次に、この調製したスチレン−ブタジエン系添加剤25重量%に対して、残りのアスファルト75重量%を添加し、195℃で1時間ミキサーで混合した。この混合工程Qにおいて、表1中では、残りのアスファルト全75重量%中、ストレートアスファルトとPDAの割合も示している。
そして、この混合工程Qを通じて、スチレン−ブタジエン系添加剤と残りのアスファルトとを混合することにより、最終的にアスファルト組成物を得た。
SBSとしては、臭素価が220(g/100g:JIS K0070)、分子量が約150000、スチレン含有量が32質量%であり、エラストマー分子の両端部に存在するスチレンのブロック共重合体の量が16質量%であるスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体を使用した。
比較例1〜6としては、調製工程Pにおいて、SBSを18重量%に対して酸A(直鎖)を混合した添加剤を調製し、添加剤25重量%に対してアスファルト75重量%を添加したものを使用した。
なお比較例5には酸A(直鎖)を含有していないが、後述の物性の考察のためにここに記載する。
実施例1〜5としては、ロジンBを混合したスチレン−ブタジエン系添加剤を添加した例を、実施例6としては、ロジンCを混合したスチレン−ブタジエン系添加剤を添加した例を、実施例7としては、アビエチン酸を混合したスチレン−ブタジエン系添加剤を添加した例を、実施例8としては、デヒドロアビエチン酸を混合したスチレン−ブタジエン系添加剤を添加した例を示している。
なお、これら実施例及び比較例の各アスファルト組成物においては、針入度が40〜50になるように、ストレートアスファルト、プロパン脱れきアスファルト(PDA)、エキストラクトの配合割合を調製している。
Figure 2010260940
ここでいう酸Aは、酸価190(mgKOH/g:JIS K0070)、ヨウ素価110(g/100g:JIS K0070)で、直鎖の炭素数18のモノマー酸7重量%、炭素数36のダイマー酸76重量%、炭素数54のトリマー酸7重量%よりなる混合物で、平均分子量は約590である。またロジンBは、酸価156(mgKOH/g:JIS K0070)、軟化点77.0℃(JIS K2207)の不均化ガムロジンである。またロジンCは、酸価170(mgKOH/g:JIS K0070)、ケン化価178(mgKOH/g:JIS K0070)で、軟化点77.0℃(JIS K2207)のトール油ロジンである。
この表1における配合成分の段において、表中の数値は何れも重量%を示す。
比較例1を通じて得られるアスファルト組成物は、アスファルト組成物中のエキストラクトを12重量%としたものであり、比較例2は、アスファルト組成物中のエキストラクトを8重量%としたものであり、比較例3は、アスファルト組成物中のエキストラクトを6重量%としたものであり、比較例4〜6は、アスファルト組成物中のエキストラクトを4重量%としたものである。なお比較例1〜4は何れも酸A(直鎖)を0.3重量%とし、比較例5は、酸A(直鎖)を0重量%、比較例6は、酸A(直鎖)を0.5重量%混合させたものである。また、実施例1〜5は、比較例1〜6において混合すべき酸A(直鎖)の代わりに、ロジンBを添加したものである。この実施例1〜5においてロジンBの含有率は互いに異ならせている。実施例6は、ロジンCを0.75重量%、実施例7は、アビエチン酸を0.75重量%、実施例8は、デヒドロアビエチン酸を0.75重量%混合したものである。
製造条件として、何れの組成においても、調製工程Pのスチレン−ブタジエン系添加剤を調製する際の混合温度は195℃とし、ホモミキサーにより回転数を3500回転/分として2時間程度、混合並びに攪拌した。スチレン−ブタジエン系添加剤とアスファルトは、それぞを25重量%、75重量%計量し、195℃で1時間ミキサーで混合し(混合工程Q)、アスファルト組成物を製造した。また、アスファルト組成物の製造量は何れも1.8kgとした。
また製造した各比較例並びに各実施例について、物性を測定した結果も表1に示す。この物性は、針入度(1/10mm)、軟化点(℃)、180℃における粘度(mPa.s)、貯蔵安定性、DS値について測定したものである。針入度については、JISK2207の下で測定した25℃のデータとしている。また、軟化点についても、JISK2207の条件の下で測定を行った。粘度はJPI−5S−54−99「アスファルト−回転粘度計による粘度試験方法」の条件の下、測定温度180℃、使用スピンドルSC4−21、スピンドル回転数20回転/分で測定を行った。
また貯蔵安定性は、内径が5.2cm、高さが13cmのアルミニウム製円筒缶に、深さ12cmの位置までアスファルト組成物(約250g)を注入して密封し、170℃で48時間加熱した。その後、アルミニウム製円筒缶に注入されているアスファルト組成物の上部4cm、下部4cmにおける軟化点をJISK2207に基づいて測定した。表1では、この上部の軟化点と、上部の軟化点と下部の軟化点との差分値の絶対値をとった、即ち軟化点の差分絶対値を示している。
DS値は、ホイールトラッキング試験に基づいて測定をした。このDS値は、各アスファルト組成物と密粒度アスファルト混合物(13)の配合となる骨材とを使用し、アスファルト組成物を5.6重量%として作製した縦30cm、横30cm、厚さ5cmのシート状の供試体を使用し、舗装評価・試験法便覧(社団法人 日本道路協会編)に定義されている方法に基づいて行った。日本の道路は、夏場には60℃程度の温度になることが実験的に確認されている。この状態で、その上を車が通過すると、流動変形して轍掘れ等が発生する。ホイールトラッキング試験は、この轍掘れの発生の程度を実験的に確認するために考案された試験であり、舗装材における耐流動性の指標である動的安定度を評価するために実施される試験である。具体的には、60℃に保持された恒温槽の中で、試験体(供試体)上に所定の荷重をかけたタイヤを1時間往復走行させ、その変形量を測定した。そして、上述した数式(2)に基づき、試験開始から45分の時点から60分の時点までの間の変形量から、DS値を算出した。
上述した表1において、先ず比較例1〜4の傾向からは、アスファルト組成物中のエキストラクトを減らすにつれて、DS値が向上することが示されている。しかしながら、エキストラクトを減少させるにつれて、上部の軟化点と下部の軟化点との差分絶対値が大きくなる傾向が示されていた。特に比較例4では、エキストラクトを4重量%まで低減させているが、その結果、DS値を7875(回/mm)まで向上させることができる一方で、軟化点の差分絶対値が19.9℃まで悪化してしまうのが示されている。
また、比較例5、6に示すように、アスファルト組成物中のエキストラクトを4重量%まで低減させた場合には、酸A、即ちカルボン酸の含有率を増減させても、貯蔵安定性を向上させることができないことを意味している。
また、実施例1では、アスファルト組成物中のエキストラクトの含有率を4重量%とした上で、ロジンBを0.3重量%含有させているが、DS値を7000(回/mm)以上まで向上させることができるとともに、軟化点の差分絶対値を極力小さくすることができ、強度と貯蔵安定性の双方を向上させることができることが分かる。同様に、実施例2〜5においても、ロジンBをそれぞれ0.6重量%、0.75重量%、1重量%、1.5重量%とすることにより、DS値を7000(回/mm)以上に維持しつつ、軟化点の差分絶対値を1.3℃以下に抑えることが可能となり、強度と貯蔵安定性の双方を向上させることができることが分かる。但し、この貯蔵安定性については、ロジンBの添加量を増加させても、軟化点の差分絶対値についてあまり変化が出ないことが分かった。仮に、このロジンAを3重量%超に亘って添加した場合においても、この軟化点の差分絶対値は殆ど変化が無いものと考えられる。
また実施例6では、アスファルト組成物中のエキストラクトを4重量%まで低減させた上で、ロジンCを0.75重量%添加した例であるが、これについても同様にDS値並びに軟化点の差分絶対値がともに良好であった。また樹脂酸としてアビエチン酸を単独で添加した実施例7、並びに樹脂酸としてデヒドロアビエチン酸を単独で添加した実施例8についても同様にDS値並びに軟化点の差分絶対値がともに良好であった。この実施例6〜8の結果からは、樹脂酸の種類を変更した場合においても、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸単体の添加により、DS値を高い水準に確保しつつ、貯蔵安定性を向上させることが可能となる。
このように、表1の結果から、DS値並びに軟化点の差分絶対値の双方を共に向上させるためには、アスファルト組成物中のエキストラクトを5重量%以下にするとともに、アスファルト組成物中の樹脂酸を0.3〜3重量%の範囲で添加することにより、実現できることが示されている。
また表1の結果から、同じSBS配合量であれば、アスファルト組成物の調製終了後(製造後)の軟化点が低くなると、貯蔵安定性が高くなることが分かる。これは、同じ熱可塑性エラストマーを同量配合した系においては、アスファルト組成物の調製終了後の軟化点が低いほど、SBS中のブタジエンブロックを構成する二重結合にカルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペン(樹脂酸)が付加しており、安定性が向上していると考えられるためである。
また、表2は、SBSの代替として、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)について、本発明所期の作用効果を発揮するかについての検証実験結果を示している。この検証実験において、アスファルト組成物の製造条件は、上述した表1の例と同様である。また、アスファルト組成物中のSBS、SEBS、SISの添加量は約4.3重量%(より詳細には、4.27〜4.33重量%)とし、針入度、軟化点、150℃または180℃における粘度(mPa.s)を測定した。
Figure 2010260940
この表2においてサンプルR1、R2は、何れもSBSを用いた例を示している。サンプルR1は、スチレン−ブタジエン系添加剤にガムロジンを添加しない場合であり、本発明とは構成が異なる比較例である。これに対して、サンプルR2は、ガムロジンを最終的に製造されるアスファルト組成物として0.75重量%含有するように調製した例であり、本発明例に相当する。このサンプルR1、R2の物性を比較すると、サンプルR2における軟化点がサンプルR1よりも大きく低下しており、ガムロジン添加による安定性が向上することから、本発明の期待している効果を奏していることがわかる。
これに対して、サンプルS1、S2は何れもSBSの代替として、SEBSを適用した例である。
SEBSは、SBSのブタジエンブロックにある二重結合に水素を付加し、単結合にしたもので、臭素価が5(g/100g:JIS K0070)、分子量が約150000、スチレン含有量が30質量%であり、エラストマー分子の両端部に存在するスチレンのブロック共重合体の量が15質量%であるスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)を使用した。
サンプルS1は、ガムロジンを添加しない場合であり、サンプルS2は、ガムロジンを最終的に製造されるアスファルト組成物として1重量%含有するように調製した例である。このサンプルS1、S2のアスファルト組成物としての物性を比較すると、両者で軟化点が殆ど変化無く、ガムロジン添加による安定性向上の効果が発現していないことが示されている。
またサンプルP1〜P6は何れもSBSの代替として、SISを添加した例を示している。
SISとしては、臭素価が220(g/100g:JIS K0070)、分子量が約220000、スチレン含有量が15質量%であり、エラストマー分子の両端部に存在するスチレンのブロック共重合体の量が7.5質量%であるスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)を使用した。
P1〜P3は何れもガムロジンを添加した例であるが、最終的に製造されるアスファルト組成物としてのガムロジンの添加量、添加の有無に関わらず、アスファルト組成物の軟化点は殆ど変化しなかった。また、P4〜P6は何れもトールロジンを添加した例であるが、トールロジンの添加量、添加の有無に関わらず、アスファルト組成物の軟化点は殆ど変化しなかった。従って、このSISでは、ロジン添加による安定性向上の効果が発現していないことが示されている。
即ち、本発明は、SBSを添加することにより安定性向上の効果が発揮されるものであり、SBSの代替としてSEBSやSISを適用しても、所期の効果を発揮させることができないことが分かる。スチレンブロックの間にブタジエンブロックが挟まれSBSのみは、このブタジエンブロックを構成する二重結合に樹脂酸を付加させることにより自身の安定性を向上させることが可能となるが、SEBSやSISは、樹脂酸を付加させることができず、その結果、安定性の向上を図ることができないためである。
次に、SBSと樹脂酸との反応を確認するために、実際に赤外吸光分析(IR)を行った。サンプルとしては、樹脂酸としてのアビエチン酸と、SBSにアビエチン酸を添加したスチレン−ブタジエン系組成物の2種類を作製した。そして、それらについて、それぞれ赤外吸光分析を行った。
具体的には、アビエチン酸とSBSを、フィッシャー・トロプシュ法を用いて製造した油状物質に混合し、混合温度は195℃とし、ホモミキサーにより回転数を3500回転/分として3時間程度、混合並びに攪拌した。また製造量は300gとした。
また比較のために、SBSの代わりにSIS、SEBSとアビエチン酸を、同様に油状物質と共に混合しIRを測定した。
ちなみにSBSとしては、臭素価が220(g/100g:JIS K0070)、分子量が約150000、スチレン含有量が32重量%であり、エラストマー分子の両端部に存在するスチレンのブロック共重合体の量がそれぞれ16重量%であるスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体を使用した。
SISとしては、臭素価が220(g/100g:JIS K0070)、分子量が220000、スチレン含有量が15質量%であり、エラストマー分子の両端部に存在するスチレンのブロック共重合体の量がそれぞれ7.5質量%であるスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)を使用した。
SEBSとしては、臭素価が5(g/100g:JIS K0070)、分子量が150000、スチレン含有量が30質量%であり、エラストマー分子の両端部に存在するスチレンのブロック共重合体の量が15質量%であるスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)を使用した。
また油状物質としては、100℃における動粘度が5.2mm/sのものを使用した。
図3は、アビエチン酸のみのIRスペクトルを、また図4は、スチレン−ブタジエン系組成物のIRスペクトルを示している。
図3の結果から、1690cm−1付近において、ピークが現れているのが分かる。これは、アビエチン酸におけるカルボキシル基のC=O結合に応じたものである。
また図4の結果から、1740cm−1付近において、ピークが現れており、また1690cm−1付近においてもピークが現れているのが分かる。この1690cm−1付近のピークは、アビエチン酸におけるカルボキシル基のC=O結合に基づくものであり、1740cm−1付近のピークは、エステルに基づくものである。ちなみに、COOR(Rは、水素以外の任意の炭化水素分子)であるエステルが生成された場合には、同じC=O結合であっても、1740cm−1付近に特徴的なピークが生じる。
このため、SBSとアビエチン酸を混合することにより、COOR(Rは、水素以外の任意の炭化水素分子)というエステルが生成されていることが分かる。ここでいうRが、SBSに相当するものであることが考えられる。このためアビエチン酸は、SBSに反応してエステルを生成することが、このIRの結果からも裏付けられている。そして、このアビエチン酸がSBSに反応する箇所としては、ブタジエンブロックにおける二重結合が、上述した電子密度の観点から最も可能性が高い。このため、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)におけるブタジエンブロックの二重結合に樹脂酸が付加されたことが裏付けられていることが分かる。
なお、アビエチン酸と油状物質のみを、同様に撹拌混合し、IRを測定したところ、エステルに起因する1740cm−1付近のピークは確認できなかった。
また比較のために、SBSの代わりにSIS、SEBSとアビエチン酸とを混合してIRを測定したところ、上述したエステルに相当する1740cm−1付近のピークは特段観察されなかった。
以上の結果よりSBSにしか存在しないブタジエンブロックの二重結合に樹脂酸が付加されていることが分かる。
以上の結果から、SIS,SEBSでは、樹脂酸(ここではアビエチン酸を例として実験した)との間で、エステルを生成する反応を確認することができなかったのに対し、SBSは、樹脂酸との間でエステルを生成することを確認することができた。
SEBSと樹脂酸とが反応しなかった理由としては、SEBSは、スチレンブロックを有するものの、ブタジエンが存在せず、二重結合が存在しないためであると考えられる。樹脂酸は、二重結合を持たないSEBSとの間で、求電子付加反応を起こさせることができない。これに対して、本発明を適用したスチレン−ブタジエン系組成物では、SBSに樹脂酸を付加させることを前提としており、このブタジエンブロックには二重結合が存在するため、当然このブタジエンブロックに樹脂酸が付加されることが考えられる。
またSISは、SBSと同様に、二重結合を有するものの、樹脂酸との反応を確認することができなかった。SISは、SBSと異なり、二重結合の周辺にメチル基が存在する。樹脂酸がイソプレンブロックにおける二重結合に対して攻撃しようとするとき、当該メチル基の存在が立体障害となり、樹脂酸の如き嵩高い分子がイソプレンブロックの二重結合に付加しにくくなるためであると考えられる。
上述した実験結果からも、樹脂酸に反応させるスチレン・ブタジエン共重合体としては、SISでなく、またSBSのブタジエン部分に水素付加させたSEBSでもなく、あえてSBSを選択する必要があることが分かる。また、樹脂酸は、SBSにおけるブタジエンブロックの二重結合に付加反応されて結合することが推定できる。

Claims (8)

  1. スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体と、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペンとからなり、上記スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体に対する上記カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペンの重量比は、0.0094以上、1.5以下であり、
    スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS):2〜8重量%未満、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペン:0.3〜3重量%を含有し、残部がアスファルトからなるアスファルト組成物を製造する上で、上記アスファルトに対して添加されること
    を特徴とするスチレン−ブタジエン系添加剤。
  2. スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS):8〜32重量%、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペン:0.3〜12重量%、アスファルト:56〜91.7重量%を含有し、
    スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS):2〜8重量%未満、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペン:0.3〜3重量%を含有し、残部がアスファルトからなるアスファルト組成物を製造する上で、残りのアスファルトに対して添加されること
    を特徴とするスチレン−ブタジエン系添加剤。
  3. 上記カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペンは、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸、パラストリン酸のうち何れか1種以上を含有するロジンであること
    を特徴とする請求項1又は2記載のスチレン−ブタジエン系添加剤。
  4. 上記カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペン:0.3〜12重量%を含有すること
    を特徴とする請求項1〜3のうち何れか1項記載のスチレン−ブタジエン系添加剤。
  5. 上記カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペンは、ガムロジンに含まれているものであること
    を特徴とする請求項1〜4のうち何れか1項記載のスチレン−ブタジエン系添加剤。
  6. スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体と、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペンとからなるスチレン−ブタジエン系添加剤を、上記スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体に対する上記カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペンの重量比が0.0094以上、1.5以下で、160〜210℃でアスファルトに添加することにより、
    スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS):2〜8重量%未満、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペン:0.3〜3重量%を含有し、残部がアスファルトからなるアスファルト組成物を製造すること
    を特徴とするアスファルト組成物の製造方法。
  7. スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS):8〜32重量%、
    カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペン:0.3〜12重量%、
    アスファルト:56〜91.7重量%を含有する、スチレン−ブタジエン系添加剤を残りのアスファルトに添加することにより、
    スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS):2〜8重量%未満、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペン:0.3〜3重量%を含有し、残部がアスファルトからなるアスファルト組成物を製造すること
    を特徴とするアスファルト組成物の製造方法。
  8. スチレン−ブタジエン系添加剤を製造する際には、上記スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、上記カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペン、並びにアスファルトを190〜210℃で混合し、
    製造した上記スチレン−ブタジエン系添加剤を上記残りのアスファルトに160〜210℃の温度下で添加すること
    を特徴とする請求項7記載のアスファルト組成物の製造方法。
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