JP2010260885A - パンクシーリング剤の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも、ゴムラテックスと、水と、不凍液と、を混合する混合工程を有し、該混合工程中に超音波照射を行うパンクシーリング剤の製造方法である。前記混合工程後に濾過を行う濾過工程を有し、該濾過工程中に超音波照射を行うことが好ましい。また、前記混合工程は、ゴムラテックスと水とを混合する第1の混合工程と、不凍液と粘着剤とを混合する第2の混合工程と、前記第1の混合工程を経た混合液と前記第2の混合工程を経た混合液とを混合する第3の混合工程とを含むことが好ましい。
【選択図】なし
Description
このようなパンクシーリング剤の固形化を防止することを目的とするパンクシーリング剤の製造方法としては、例えば、特許文献1に記載されているものが知られている。
<1> 少なくとも、ゴムラテックスと、水と、不凍液と、を混合する混合工程を有し、該混合工程中に超音波照射を行うパンクシーリング剤の製造方法である。
本発明は、少なくとも、ゴムラテックスと、水と、不凍液と、を混合する混合工程を有し、該混合工程中に超音波照射を行うパンクシーリング剤の製造方法である。「混合工程中に超音波照射を行う」とは、ゴムラテックス、水、不凍液等のパンクシーリング剤の構成成分(以下、単に「パンクシーリング剤成分」ともいう)の混合中又は混合後に、少なくとも1回の超音波照射を行うことをいう。
パンクシーリング剤成分やパンクシーリング剤成分の混合液に、超音波照射を行うことで、混合物中の空気を除去し、酸素濃度を低下することで、製造されるパンクシーリング剤の劣化を抑制することができる。
パンクシーリング剤の製造工程中、特に、パンクシーリング剤成分を混合する混合工程においては、パンクシーリング剤成分の混合中にパンクシーリング剤成分のゲル化や凝集化が生じ易いことから、混合工程中に超音波照射を行うことが必要となる。超音波照射は、パンクシーリング剤成分の混合後よりも、混合中に行なうことが好ましい。
超音波の周波数は、15kHz〜50kHzとすることが好ましく、20kHz〜40kHzとすることがより好ましい。
また、パンクシーリング剤成分、パンクシーリング剤成分混合液、及びパンクシーリング剤に対して、容器を介さず、直接超音波照射することも好ましい態様の1つである。例えば、容器内のパンクシーリング剤成分、パンクシーリング剤成分混合液、又はパンクシーリング剤中に金属上の棒を挿入し、超音波照射する。このような超音波照射機としては、メーカー、製品等特に制限されないが、例えば、東京理化器社製、超音波ホモジナイザーVC−505を用いることができる。
本発明の実施の形態に係るパンクシーリング剤の製造方法における混合工程は、少なくとも、ゴムラテックスと、水と、不凍液と、を混合することが必要であるが、パンクシーリング剤成分のゲル化や凝集化、特に、ゴムラテックスのゲル化や凝集化を抑制するために、ゴムラテックスと、水と、不凍液との混合を、複数の工程に分けて行なうことが好ましい。
以下、本発明の実施の形態に係るパンクシーリング剤成分の混合工程について、第1〜第3の態様に分けて説明する。
本発明の第1の態様に係るパンクシーリング剤成分の混合工程は、ゴムラテックスと水とを混合する第1の混合工程と、不凍液と粘着剤とを混合する第2の混合工程と、前記第1の混合工程を経た混合液と前記第2の混合工程を経た混合液とを混合する第3の混合工程と、を含む。
第1の混合工程は、ゴムラテックスと水とを混合する工程である。ゴムラテックスと水と混合質量比(ゴムラテックス/水)は、2.5〜10.0とすることが好ましい。混合する際は攪拌を行うことが好ましく、攪拌速度は、50rpm〜500rpmとすることが好ましい。
第2の混合工程は、不凍液と粘着剤とを混合する工程である。不凍液と粘着剤と混合質量比(不凍液/粘着剤)は、3.5〜8.0とすることが好ましい。混合する際は攪拌を行うことが好ましく、攪拌速度は、50rpm〜500rpmとすることが好ましい。
第3の混合工程は、第1の混合工程を経た混合液(混合液(1−1))と第2の混合工程を経た混合液(混合液(1−2))とを混合する工程である。
本発明の第2の態様に係るパンクシーリング剤成分の混合工程は、ゴムラテックスと粘着剤と水とを混合した後、不凍液を混合する混合工程を含む。
ゴムラテックス100質量部に対し、粘着剤は15質量部〜45質量部とすることが好ましい。水は20質量部〜40質量部とすることが好ましい。不凍液は100質量部〜150質量部とすることが好ましい。混合する際は攪拌を行うことが好ましく、攪拌速度は、50rpm〜500rpmとすることが好ましい。
なお、ゴムラテックス、不凍液および粘着剤については、第1の態様と同様である。
本発明の第3の態様に係るパンクシーリング剤成分の混合工程は、不凍液と水とを混合して混合液を調製し、この混合液に、ゴムラテックスと粘着剤との混合液を混合する混合工程を含む。
本発明の実施の形態に係るパンクシーリング剤成分の混合工程においては、既述のように、混合液の調製中にpH調整のための酸又は塩基の添加や分散剤の添加を行なってもよいし、上記の各混合液調製後に、別途pH調整のための酸又は塩基を添加したり、分散剤を添加する工程を加えてもよい。
本発明の実施の形態に係るパンクシーリング剤の製造方法においては、前記混合工程の後に、得られた混合液を濾過する濾過工程を有し、該濾過工程中に超音波照射を行なうことが好ましい。ここで、「濾過工程中に超音波照射を行う」とは、前記混合工程により得られた混合液を濾過する最中又は濾過後に、少なくとも1回の超音波照射を行うことをいう。
本発明の実施の形態に係る濾過工程は、さらに凝集塊成長工程を含むことも好ましい態様である。
凝集塊成長工程は、濾過工程に先立って行なうことが好ましい。この凝集塊成長工程では、混合工程で調液されたパンクシーリング剤原液を少なくとも24時間以上、好ましくは48時間以上の静置時間に亘って撹拌することなく容器内に保持(静置)する。静置時間の下限値は、濾過工程で用いられるメッシュフィルターのメッシュ数等に応じて24時間〜48時間の範囲で適宜、変更することができる。
本発明の実施の形態に係るパンクシーリング剤の製造工程を経た後のパンクシーリング剤は、1回のパンク修理の際に必要となる量(例えば、200g〜800g)に対応する容量を有する容器内へ充填された後、容器の注入口を、内蓋及び外蓋により閉塞することにより、容器内に密閉状態で保管される。
本発明の実施の形態に係るパンクシーリング剤の製造工程中に超音波照射が行なわれているため、製造されたパンクシーリング剤中には空気の混入が既に抑制されているが、容器内に充填されたパンクシーリング剤にも超音波照射を行なうことが好ましい。容器への充填中に、パンクシーリング剤に空気の混入が生じることを防止し、さらに混入した空気を除去するためである。
東京理化器社製、超音波ホモジナイザーVC−505のプローブを、パンクシーリング剤成分の混合液、濾過液、及びパンクシーリング剤中に入れ、それぞれ超音波照射を行なった。超音波照射の時間は、パンクシーリング剤成分の混合液に対しては、成分の混合攪拌時間と同じ時間行った。例えば、後述の実施例2の混合液A21の調製においては、SBRラテックスとロジン系樹脂との混合開始から水を加えて10分間の攪拌が終わるまで超音波照射を継続して行なった。濾過液及びパンクシーリング剤に対してはそれぞれ5分間行なった。
(実施例1)
SBRラテックス40質量部と水5質量部とを、超音波照射しながら混合して混合液(1−1)を調製した。また、プロピレングリコール45質量部とロジン系樹脂10質量部とを、超音波照射しながら混合して混合液(1−2)を調製した。当該混合液(1−1)と混合液(1−2)とを、超音波照射しながら混合して混合液A11を調製した。その後、36時間静置し、次いで、200メッシュのフィルターを使用して濾過を行い、得られた濾過液B1に対して超音波照射した。超音波照射後の濾過液B1をパンクシーリング剤とした。得られたパンクシーリング剤500質量部をステンレス容器に充填し、パンクシーリング剤のステンレス容器への充填から10分後に超音波照射を行なった。
SBRラテックス40質量部に、ロジン系樹脂10質量部を、超音波照射しながら混合し、10分間攪拌後、水5質量部をさらに混合して10分間攪拌し、混合液A21を得た。その後、プロピレングリコール45質量部を、超音波照射しながら混合して、10分間攪拌し、混合液A22を得た。その後、36時間静置し、次いで、200メッシュのフィルターを使用して濾過を行い、得られた濾過液B2に対して超音波照射した。超音波照射後の濾過液B2をパンクシーリング剤とした。得られたパンクシーリング剤500質量部をステンレス容器に充填し、パンクシーリング剤のステンレス容器への充填から10分後に超音波照射を行なった。
プロピレングリコール45質量部と水5質量部とを、超音波照射しながら混合して混合液A31を調製した。混合液31に、SBRラテックス40質量部とロジン系樹脂10質量部との混合液を、超音波照射しながら混合して、混合液32とした。混合液32を10分間攪拌した後、36時間静置した。次いで、200メッシュのフィルターを使用して濾過を行い、得られた濾過液B3に対して超音波照射した。超音波照射後の濾過液B3をパンクシーリング剤とした。得られたパンクシーリング剤500質量部をステンレス容器に充填し、パンクシーリング剤のステンレス容器への充填から10分後に超音波照射を行なった。
実施例1と同様にして、パンクシーリング剤を製造し、得られたパンクシーリング剤500質量部をステンレス容器に充填した。パンクシーリング剤が充填されたステンレス容器には超音波照射を行なわなかった。
実施例1のパンクシーリング剤の製造工程において、超音波照射を行なわなかった以外は同様にして、パンクシーリング剤を製造した。得られたパンクシーリング剤500質量部をステンレス容器に充填した。超音波照射は、パンクシーリング剤に対しても行なわなかった。
SBRラテックス40質量部に、ロジン系樹脂10質量部を混合して10分間攪拌後、水5質量部をさらに混合して10分間攪拌し、混合液A61を得た。混合液A61に対して窒素置換を行なった後、窒素置換後の混合液A61にプロピレングリコール45質量部を混合して、10分間攪拌し、混合液A62を得、窒素置換を行なった。窒素置換後の混合液A62を36時間静置した後、200メッシュのフィルターを使用して濾過を行い、濾過液B6を得、窒素置換を行なった。窒素置換後の濾過液B6をパンクシーリング剤とした。得られたパンクシーリング剤500質量部をステンレス容器に充填し、パンクシーリング剤のステンレス容器への充填から10分後に、パンクシーリング剤に対して窒素置換を行なった。
なお、超音波照射は、混合液に対しても、パンクシーリング剤に対しても行なわなかった。
窒素置換は、混合液A61を入れた容器、混合液A62を入れた容器、濾過液B6を入れた容器、及びステンレス容器の各容器内底面にガラス管を接触させ、ガラス管を通じて、流速0.6mL/分の窒素ガスを液中に5分間流入させることにより行なった。
1.パンクシーリング剤中の酸素濃度
パンクシーリング剤をステンレス容器に充填してから60分後に、ステンレス容器内のパンクシーリング剤中の酸素濃度を、島津製作所社製、溶存酸素計DO142を用いて測定した。下記評価基準により評価した。なお、許容範囲は○と◎である。
−評価基準−
◎:パンクシーリング剤中の酸素濃度が2g/L未満
○:パンクシーリング剤中の酸素濃度が2g/L以上4g/L未満
△:パンクシーリング剤中の酸素濃度が4g/L以上5g/L未満
×:パンクシーリング剤中の酸素濃度が5g/L以上
パンクシーリング剤を充填したステンレス容器を、80℃のオーブン中に60日間保管し、パンクシーリング剤の寿命(パンクシーリング剤として機能する期間)を、パンクシーリング剤のシール性能の低下度から評価した。具体的には、パンクシーリング剤をステンレス容器に充填してから10日後、20日後、30日後、40日後、50日後、及び60日後に、ステンレス容器からパンクシーリング剤を取り出し、そのシール性を評価した。
−評価基準−
◎:ステンレス容器充填から60日後においても、シール性が良好
○:ステンレス容器充填から50日後まではシール性が良好であるが、ステンレス容器充填から60日後にはシール性が低下
△:ステンレス容器充填から40日後まではシール性が良好であるが、ステンレス容器充填から50日後にはシール性が低下
×:ステンレス容器充填から40日後にはシール性が低下
Claims (6)
- 少なくとも、ゴムラテックスと、水と、不凍液と、を混合する混合工程を有し、該混合工程中に超音波照射を行うパンクシーリング剤の製造方法。
- 前記混合工程後に、濾過を行う濾過工程を有し、該濾過工程中に超音波照射を行う請求項1に記載のパンクシーリング剤の製造方法。
- 前記混合工程が、
ゴムラテックスと水とを混合する第1の混合工程と、
不凍液と粘着剤とを混合する第2の混合工程と、
前記第1の混合工程を経た混合液と前記第2の混合工程を経た混合液とを混合する第3の混合工程とを含む請求項1又は請求項2に記載のパンクシーリング剤の製造方法。 - 前記混合工程が、ゴムラテックスと粘着剤と水とを混合した後、不凍液を混合する混合工程を含む請求項1又は請求項2に記載のパンクシーリング剤の製造方法。
- 前記混合工程が、不凍液と水とを混合して混合液を調製し、この混合液に、ゴムラテックスと粘着剤との混合液を混合する混合工程を含む請求項1又は請求項2に記載のパンクシーリング剤の製造方法。
- 前記ゴムラテックスが、SBRラテックス、NBRラテックス、MBRラテックス、BRラテックス、カルボキシル変性NBRラテックス、及びカルボキシル変性SBRラテックスからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のパンクシーリング剤の製造方法。
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