JP2010260243A - 射出成形装置用ihユニット装置および射出成形装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形品のひび割れが生ずることがなく、且つ効率的な型加熱および型冷却を実現する射出成形装置用IHユニット装置および射出成形装置を提供する。
【解決手段】射出成形装置の上型あるいは下型の少なくとも一方に、温度制御可能なIH素子を配置し、高周波電源からの高周波電流を制御することでキャビティ内の溶融樹脂に局所的選択的な急速加熱・急速冷却を可能とした。これにより例えばプラスチック射出成形モールド金型、軽金属ダイキャスト金型あるいはガラスモールド成形金型において、選択した部位を局所的に平均型温度より急速加熱し、モールド型内のプラスチック・ゴム、軽金属、ガラスの流動性を局所的に制御することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリマー・金属・ガラスおよびそれらの複合物を溶融あるいは半溶融させ、型内に圧入、凍結成形させる射出成形技術において、欠陥・不具合などが生じやすい部位を局所的に効率的に急速加熱又は急速冷却する射出成形装置用IHユニット装置およびこれを備えた射出成形装置に関する。
プラスチック・モールド金型、アルミ・ダイキャスト金型、ガラス・モールド金型等を用いた成形技術では、ポリマー、金属、ガラスおよびそれらの複合物などの成形用材料を溶融あるいは半溶融させ、これを型内に圧入した後に凍結して目的となる製品へと成形させる。そして圧入から製品取出しまでのサイクル時間を如何にして短縮するかは、製品の原価を下げるために非常に重要である。
ここで成形に際しては型への加熱及び冷却機構が必要となるが、この成形に用いられる一般的なモールド金型では加熱ヒーターと水冷パイプを単純に組み合わせて型温度の制御を行っているに過ぎない。小型のセラミックヒーターやヒートパイプによる金型部分加熱を用いることも提案されてはいるが、いずれも急速加熱(例えば加熱応答時間を10秒以内にすること)は難しく、また目標部位の加熱に要する時間はさらに長くなる。このような従来方法では、成形用材料の型内への圧入から製品取出しまでのサイクル時間に一定の制限が生じてしまう。そのため、最近ではいくつかの急速加熱法が提案されてきている。
急速加熱法あるいは急速冷却法に関しては、下記のような技術が開示されている。例えば蒸気などを利用した急速加熱法として特許文献1に記載の手法が、また、誘導加熱による加熱法(以下、「IH法」とも称する)に関しては特許文献2乃至4に記載の急速加熱法が提案されている。
特開2008−105271号公報 特開2006−315259号公報 特開2001−300999号公報 特開2005−179084号公報
しかしながら上述の従来における急速加熱法では以下のような課題があった。
すなわち特許文献1の急速加熱法では、加熱を必要としている部位に対して離れた部分を加熱しており、成形中に必要な加熱時間・加熱温度を保持することは困難であり、さらに加熱を行う範囲が広くなり型全体を加熱するほどのエネルギー投入が必要となってしまう。それゆえ、ガラス繊維あるいは炭素繊維強化プラスチックおよび高ガラス転移点を有するプラスチックの高サイクルでの高品位成形型の実現には程遠いのが現状である。
また、特許文献2乃至4に記載の急速加熱法は、従来のヒーターに代わって型全体の加熱をIH法で行うことを提案するに留まるものである。
そして上記各特許文献のとおり単純に型全体を急速加熱しただけでは以下のような課題がある。すなわち、特に製品の厚さや高さなど外形が一様でない製品を成形する場合、型冷却時に例えば厚みが少ない部位にひび割れが生じてしまうことがある。この原因としては、厚みの差によって型内の各部位における熱放出に差異が生じ、これにより成形用材料の流動が起きてしまうからであると考えられる。
このように品質的及び価格的に競争力のある成形製品を製造するための重要な技術因子は、必要となる部位への効率的な型加熱および型冷却にあることは上記のとおり明らかであり、特に外形が一様でない製品を成形する場合には顕著である。
本発明は、主としてこのような従来の課題を解決するためになされたもので、効率的な型加熱や型冷却を実現する射出成形装置用IHユニット装置および射出成形装置を提供することを目的とする。
(1)本発明の射出成形装置用IHユニット装置は、所定の外径を有して射出成形装置に内蔵されるとともに、一方の端部から所定の距離を隔てた部位にコイル収容部が形成された金属ピンと、前記金属ピンの前記コイル収容部に配置され、射出成形用材料へ熱量を付与するコイルと、前記コイルと電気的に接続され、当該コイルに高周波電流を印加する高周波電源と、前記コイルから発生する温度変化を検知するとともに、前記高周波電源の出力を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする。
(2)なお、本発明の射出成形装置用IHユニット装置は、上記(1)において、前記金属ピンと前記コイルの間には、絶縁体が配置されていることが好ましい。
(3)また、本発明の射出成形装置用IHユニット装置は、上記(1)または(2)において、前記金属ピンには熱電対が配置され、前記制御部は当該熱電対における温度変化を検知することが好ましい。
(4)また、本発明の射出成形装置は、上型と下型により形成されるキャビティに成形用材料を射出して成形品を製造する射出成形装置であって、前記キャビティの周囲であって前記上型及び下型の少なくとも一方に、上記(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の射出成形装置用IHユニット装置が配置されてなることを特徴とする。
(5)なお、本発明の射出成形装置は、上記(4)において、前記射出成形装置用IHユニット装置が配置される前記キャビティの周囲は、前記上型と前記下型との距離が小さい部位であることが好ましい。
本発明によれば、プラスチック射出成形モールド金型、軽金属ダイキャスト金型あるいはガラスモールド成形金型において、選択した部位を局所的に平均型温度より急速加熱し、モールド型内のプラスチック・ゴム、軽金属、ガラスの流動性を局所的に制御することができる。これにより例えば射出成形装置用IHユニット装置のパラメータを最適制御することで、競争力のある射出成形品を製造するための熱履歴を実現し、欠陥・不具合などを未然に防止することができる。
射出成形装置用IHユニット装置を搭載する射出成形装置を示す図である。 (a)は本実施例のIH素子2を示す図であり、(b)はIH素子2の先端部の断面図である。 本実施例のサーマルサイクル制御系を示す図である。 標準条件で実験を行い、計測開始後20秒あるいは電源投入開始後10秒で電源をオフとした際の、当該IH素子の冷却応答実験の結果を示す図である。 高周波電源の入力電圧のみを変化させた場合の雰囲気温度(25℃)からの急速加熱、急速冷却応答を示す図である。 コイルターン数のみを変化させた場合の雰囲気温度(25℃)からの急速加熱、急速冷却応答を示す図である。 コイル線径のみを変化させた場合の雰囲気温度(25℃)からの急速加熱、急速冷却応答を示す図である。 同一の部位に2つのIH素子を並列接続し、同一の電源、同一の入力パラメータで急速加熱又は急速冷却した場合の時間応答を示す図である。 アクリルシート面の変化を示す図である。 IH素子に装着した熱電対からの温度変化を示す図である。
本発明の好適な実施形態を以下に説明する。
本発明の効率的な型加熱および型冷却を実現する射出成形装置用IHユニット装置(以下、単に「IHユニット装置」とも称する)は、所定の外径を有して射出成形装置に内蔵されるとともに、一方の端部から所定の距離を隔てた部位にコイル収容部が形成された金属ピンと、金属ピンのコイル収容部に配置されて射出成形用材料へ熱量を付与するコイルと、コイルと電気的に接続されて高周波電流をコイルに印加する高周波電源と、コイルから発生する温度変化を検知するとともに高周波電源の出力を制御する制御部と、を備えている。
なお以下では説明の便宜上、金属ピンおよびコイルを「IH素子」と称して説明する場合がある。また後述のとおりIH素子には絶縁体や熱電対などが適宜組み合わされる。
本実施形態では、コイルに高周波電流を印加し、コイル中に生じた磁場力と誘導電流により、絶縁体層を介して金属ピンを加熱する。このとき、加熱時間は十分短く、そのため金属ピンの加熱部位のみが発熱することで、金属ピンと接触する箇所のキャビティが急速加熱される。
本実施形態のIHユニット装置は、IH素子(金属ピンおよびコイル)と、高周波電源と、制御部と、から構成される。このうちIH素子は、金属材料、プラスチック材料、ガラス材料、およびそれらの複合物からなる成形用材料を溶融・圧入・成形するための金型に内蔵できるものである。なお成形用材料としては特に上記の材料やその複合物に限定されるものではない。
本発明で用いられる金属ピンのうち、ピン材質に関しては、金属あるいは導電性セラミックス、耐熱導電性プラスチックであれば利用できる。また、鋼材以外の非磁性金属ピンでは急速加熱・冷却応答時間が長くなるので、好ましくは磁性あるいは非磁性鋼材ピンの利用がよい。より好ましくは、型材・工具材として利用される非磁性鋼材ピンが、安価で入手できる点などにおいて有利である。
また金属ピンの外径についても特に制限はなく、射出成形装置や成形品の大きさなどにより適宜求められる所定の外径に設定される。本実施の形態においては、ピン径に関しては、25mm以下0.01mm以上、好ましくは10mm以下、0.1mm以上、より好ましくは5mm以下、1mm以上を選択することが望ましい。
金属ピンには、熱電対を配置し、後述する制御部が、熱電対における温度変化を検知することができるようにすることが好ましい。
コイル収容部は、金属ピンの一端の近傍であって射出成形装置のキャビティに近い側に設けられる。このコイル収容部の径は金属ピンの外径よりも小さく、後述するコイルが収容可能な凹部が金属ピンの側面に形成される。また、コイル収容部には絶縁体が配置され、この絶縁体上にコイルが収容されるとよい。
コイルは、金属ピンのコイル収容部に配置される。このコイルの材質としては特に限定はなく種々の金属などが用いられるが、本実施の形態では銅が好適である。銅製コイルの場合の線径(複合線の場合は、その単一線径)に関しては、5mm以下0.01mm以上、好ましくは1mm以下0.1mm以上、より好ましくは0.5mm以下0.15mm以上が望ましい。
また、コイルのターン数もとくに制限はなく、仕様に応じて適宜設定が可能である。
高周波電源は、コイルと電気的に接続されて高周波電流をコイルに印加する。この高周波電源は、例えば100Vの電源供給で作動する。
制御部は、コイルから発生する温度変化を検知するとともに、高周波電源の出力を制御する。例えばこの高周波電源のオン−オフ制御により、高周波電流が印加されるコイルを介して成形用材料に局所的な急速加熱・冷却を付与することが可能となる。例えば、オンモードでは、平均型温度から対象とする成形用材料のガラス転移点あるいは融点まで10秒以内で到達が可能である。またオフモードでは、最高到達温度から急速に冷却し、ガラス転移点直下あるいは融点直下までは数秒で冷却することも可能である。
さらに制御部は、電圧・電流を直接制御することにより、加熱速度を制御する。
一般に、高周波加熱においては、急速加熱・冷却の対象の熱的負荷に応じて、同一入力条件では、入力側と負荷側とのマッチング(整合性)をとる必要がある。当該IHユニット素子では、マッチングを自己制御し、最適な周波数でサーマルサイクル制御を行うことできる。
制御部は、以下のように加熱温度、冷却温度、及び熱流束を制御する。
加熱温度について説明すると、制御部は、キャビティ側の金属ピン端面における加熱速度を、0.0〜100K/sまで制御することが好ましい。
また制御部は、高周波電源をオンとした後、加熱から一定温度又は一定時間保持し、その後オフする制御を行う。この際、任意の保持温度、任意の保持時間を設定可能とすることが好ましい。
任意の保持温度、任意の保持時間の設定としては、対象となる成形用材料(金属、プラスチック、ゴム、ガラス等)の融点直上、あるいはガラス転移点直上、等の温度を適宜選択できる。
また、本発明のIHユニット装置は、本発明の射出成形装置の任意に選択した場所に配置することができ、キャビティ中の局所部位を加熱・冷却することが可能である。従って、成形用材料の選択的な部分溶融を行い、射出中における成形用材料の流動性を促進したり、保圧中における成形用材料の局所的な流動性形成を確保したりすることが可能なる。
続いて冷却温度・冷却速度について説明する。
制御部は、本発明のIHユニット装置におけるキャビティ側の金属ピン端面における冷却速度を、0.0〜50K/sまで制御することが好ましい。
例えば、高周波電源のオンオフ制御により、加熱から直ぐに冷却へ、あるいは一定温度・一定保持から冷却までを、任意の保持温度、任意の保持時間で行う。
この場合、対象となる成形用材料(金属、プラスチック、ゴム、ガラス)の融点直下あるいはガラス転移点直下まで、任意に選択したキャビティ中の局所部位を冷却する。これにより成形用材料の選択的な部分冷却(凍結)を行うことができ、成形中における成形用材料の局所的な形状冷却(凍結)を促進し、成形用材料の保圧あるいは冷却中の局所的な形状凍結性を確保することができる。そしてプラスチック射出成形モールド金型、軽金属ダイキャスト金型において、選択した加熱した部位を局所的に、到達温度からモールド型平均型温度まで急速冷却することが可能となる。
なお単一のIHユニット装置を用いた急速冷却においては、周波数、入力電圧などの電源パラメータ、並びにコイルの径やターン数などの構造パラメータを制御することで、冷却速度を0.0〜50K/sまで変化させることができる。
次に、熱流束について説明する。
制御部は、本発明におけるキャビティ側の金属ピン端面におけるにおける熱流束を、0.0Wm-2 〜1000000Wm-2 まで制御可能である。
熱流速は、金属ピンの径ならびに加熱部位面積を変化させることで制御できる。発熱量はコイルの径やターン数を最適化したり、高周波電源の入力電流及び入力電圧によって可変することができる。また、本実施の形態における自己マッチング電源機能により、高周波過熱ロスを最小にした加熱あるいは冷却を行うことができる。
さらに複数の金属ピンを用いれば、同一の熱流束で選択的な加熱容量の増加、あるいは所定の熱流束分布での選択的加熱容量の増加を行うこともできる。
なお単一のIHユニット装置を用いた急速加熱において、選択できるモールド型部位の最大熱流速は、106Wm-2 であり、金属ピンの数を増加することで、設置できる加熱部位を拡大することも可能である。
また、高周波電源の周波数、入力電圧などの電源パラメータ、並びにコイルの径やターン数などの構造パラメータを制御することで、加熱速度を0〜100K/sまで変化させることができる。
以上のとおり、本実施形態におけるIHユニット装置では、入力条件、コイルの径、金属ピンの径・材質・形状、並びに金属ピンの数などを設計することで、目標とする加熱・冷却速度を達成することが可能となる。
次に、本発明の射出成形装置について説明する。
本発明の射出成形装置は、上型と下型により形成されるキャビティに成形用材料を射出して成形品を製造する射出成形装置であって、キャビティの周囲であって上型及び下型の少なくとも一方に、上記の射出成形装置用IHユニット装置が配置されてなることを特徴とする。
また、射出成形装置用IHユニット装置は、射出成形装置の上型と下型との距離が短い場所の近傍に配置される。すなわち、キャビティ内に凹凸部が形成されている場合、IHユニット装置はキャビティ内で隆起しており、上型と下型との距離が短い場所の近傍に配置されることが好ましい。当該箇所は、その他の箇所と比較して、射出成形時にキャビティ内へ注入された溶融樹脂等の成形用材料が冷却する過程で、材料温度が部分的に不均一になる。特に、キャビティの隆起部付近の領域とその他の領域とでは、成形用材料の温度変化に差が生じてしまう。そしてこの温度変化の差が、成形品のひび割れの原因ともなってしまう。
本発明によれば、IH素子はキャビティ内の成形用材料に対して局所的に平均型温度より急速に加熱をすることができる。したがって、キャビティ内の溶融樹脂の流れを局所的に制御でき、成形品のひび割れなどを防止することが可能となる。
なお、IHユニット装置は上型または下型のいずれか或いは両方に設けられた挿入孔に配置する。挿入穴の数や対応するIHユニット装置の数も、成形品の形状により適宜増加させてもよい。
以下、本発明のIHユニット装置及び射出成形装置について、図を参照しながら詳細に説明する。
なお、図1はIHユニット装置を搭載する射出成形装置を示す図面であり、図2(a)はIHユニット装置を示す図面であり、図2(b)はIHユニット装置の先端部断面図であり、図3はIHユニット装置に高周波電流を印加するサーマル制御系を示す図面である。
図1において、本実施例における射出成形装置1は、上型11と下型12からなる2つの割型を有し、この上型11と下型12とで成形品の最終形状を形成するキャビティ13が形成されている。
上型11には、当該上型11におけるキャビティ面14近傍から裏面16まで貫通する挿入穴15が形成されている。そしてこの挿入穴15には、IHユニット装置を構成するIH素子2が挿入されている。
また、IH素子2は高周波電源3と電気的に接続されており、この高周波電源3から供給される高周波電流のON/OFFにより、IH素子2は射出成形時に成形品を急速加熱あるいは急速冷却する。
下型12は上型11と対になっており、上型11のキャビティ面14と対応するキャビティ面17を有している。そして下型12のキャビティ面17には隆起部18が形成されており、この隆起部18は上型11の挿入穴15と対向する位置に形成されている。
図2(a)に、本実施例のIH素子2を示す。IH素子2は、直径がφDmm、高さがHmmの円柱形状の非磁性鋼材からなる金属ピン20を有する。金属ピン20の一方の端部付近には、直径がφdmmの凹み21が形成されている。凹み21には、コイル22が所定のターン数だけ巻かれて配置され、加熱部分を構成している。またコイル22は後述する高周波電源3と電気的に接続されている。
加熱部分よりも金型内部側の出力部分は、加熱部分からの熱伝導を受け、直接素材と接触する部分であり,素材あるいは目的のサーマルサイクル設計によって設計する。
加熱部分よりも金型外部側の支持部分は、型内に埋め込む条件によって形状寸法を決め、内部に高周波回路、熱電対を貫通させる。
図2(b)は、IH素子2の先端部の断面図である。IH素子2は金属ピン20とコイル22からなる。また、絶縁体23が金属ピン20の凹み21内に挿入され、この絶縁体23上にコイル22が配置されている。熱電対24は金属ピン20の内部に挿入されており、凹み21付近の温度変化を検出する。
表1および表2に、このIHユニット素子2の特性に関係する設計因子(制御因子)を示す。この表1に示すような各種ピン材質、および表2の特性要素が一例としてあり、用途に適したIHユニット素子を用いることで、最適なサーマルサイクル制御範囲を獲得できる。
図3は、本実施例のサーマルサイクル制御系を示す図である。
IH素子2は射出成形装置1内に挿入されており、このIH素子2のコイル22を通じて型外の高周波電源3が接続されている。また高周波電源3は、制御装置4と接続され、この制御装置4の制御信号によりIH素子2へ高周波電流を適宜供給する。制御装置4はIH素子2の温度変化を管理しており、例えばIH素子2に熱電対24が搭載されている場合には、当該熱電対24からの電気信号を受信することによりIH素子2の温度変化を検出する。
このようにIH素子2に近接して小型の高周波電源3を設置することで、型内の目標とする部位へのIH素子2の挿入が容易となる。また、型外からは例えば100Vの電圧を供給するのみでよく、必要とするサーマルサイクル制御に応じて入力パラメータ(電圧や電流など)を調整することで、到達温度、加熱応答時間などを直接設定できる。さらに仕様として要請される選択的局所加熱・冷却条件に応じた電源容量設計により、型の大小、形状に応じた最適なシステム構成を提供することができる。
以下に、IH素子2の材料を適宜選択して行った急速加熱実験の結果を示す。
<実施例1:磁性IH素子による急速加熱実験>
表1に示した磁性鋼材ピンを用いたIH素子を用いて急速加熱実験を行った。コイル線径は0.32mm、コイルターン数は10、入力パラメータは、電圧75V、電流0.40Aである(以下、本条件を標準条件とする)。
図4に、金属ピン20の上部に埋め込んだ熱電対24で実測した、高周波電源3の出力開始時点からの温度履歴を示す。計測開始後10秒後に加熱開始をし、10秒間後に加熱を停止した。この10秒間での温度上昇は145℃に達した。
<IHユニット素子による急速加熱における加熱モデル>
このIH素子2の加熱特性は、断熱温度上昇モデルにより定量的に設計できる。
等価加熱・冷却体積を(V[cm])、ピン材質の物質密度を(ρ[g/cm])、ピン材質の定圧比熱(Cp[J/g/K])、ピン加熱部位の温度上昇(T[K])、出力熱量(Q[J])とすると、当該IH素子の単位時間の出力熱量は、次式で与えられる。
Q=ρ×Cp×T×V
表1に示す磁性鋼材ピンの場合、物理定数として ρ=8.0、Cp =0.5で与えられ、このQを用いて、IH素子のエネルギー効率(ε )は、入力条件としての等価入力電圧(E)、等価入力電流(I)、入力加熱時間(t)に対して、以下で与えられる。
ε= Q/(E×I×t)
<IHユニットのエネルギー効率>
上記の標準条件で実験を行い、10秒後の到達温度を測定し、過熱上昇温度145℃を得た。これより、上記の加熱モデルを用いると、ユニット素子による発熱量はQ=114Jとなり、エネルギー効率ε= 0.38 (38%)を得た。すなわち、当該IHユニットへの投入電力の38%急速加熱に利用されており、当該IH素子の省エネルギー下での急速加熱性能が実証された。
続いて、IH素子2の材料を適宜選択して行った急速冷却実験の結果を示す。
<実施例2:磁性IH素子2による急速冷却実験>
実施例1と同様の条件で実験を行い、計測開始後20秒あるいは電源投入開始後10秒で電源をオフとした際の、当該IH素子の冷却応答実験を行った。この冷却応答実験の結果を図4に示す。電源オフ後30秒での計測温度は62℃であり、その間の温度低下は108℃に達する。当該IH素子の加熱が選択的かつ局所的に行われるため、電源後の温度は急速に低下することがわかる。
急速加熱および急速冷却の時間応答について説明する。
<急速加熱・冷却の時間応答>
IH素子2の急速加熱応答に関しては、初期温度(T)、加熱時間(t)、加熱時定数(τheating)を用いて、以下で記述される。
T/T = exp[t/τheating
そしてIH素子の急速冷却応答に関しても同様に、冷却開始時間(T)、最終温度(TInfinite)、冷却時間(t)、冷却時定数(τcooling)を用いて以下で記述される。
T−TInfinite = (T−TInfinite)×exp[−t/τcooling
このように加熱時定数が大きくなれば加熱応答は緩慢になり、τheatingが小さくなればより短時間での加熱が可能となる。
一方、τcoolingが大きくなると最終温度への温度低下が緩慢になり、小さくなればより短時間で選択的局所的に加熱した温度履歴は解消されることになる。
なお、上記標準条件でのIH素子の時定数は、それぞれτheatingが5.2s、τcoolingが21.5sとなった。したがって高周波電源3のオンオフ動作により、当該IH素子の加熱部位の急速加熱または急速冷却を実行できることがわかる。
次に加熱応答時間の入力電圧依存性を説明する。
図5に、IH素子において、コイル線径:0.32mm、コイルターン数:10で一定とし、高周波電源の入力電圧のみを50Vと75Vに変化させた他は実施例1と同様の条件で、雰囲気温度(25℃)からの急速加熱、急速冷却応答を測定した結果を示す。
図5に示すとおり、入力電圧を増加させることで、同一の到達温度までの加熱速度を大きく増進できることがわかる。
図6に、IH素子において、コイル線径:0.32mm、入力パラメータを一定とし、コイルターン数のみを3,5,10と変化させた他は実施例1と同様の条件で、雰囲気温度(25℃)からの急速加熱、急速冷却応答の結果を示す。図6に示すとおり、コイルターン数を増加させることで、特に同一の到達温度までの加熱速度を大きく増進できることがわかる。
図7に、IH素子において、コイルターン数:10、入力パラメータを一定とし、コイル線径のみを0.2mm及び0.32mmに変化させた他は実施例1と同様の条件で、雰囲気温度(25℃)からの急速加熱、急速冷却応答の結果を示す。図7に示すとおり、コイル線径の選択により同一の入力条件でも、急速加熱・急速冷却応答を効果的に制御できることがわかる。
図8を用いて、複数のIH素子を搭載した場合の急速加熱・冷却応答について以下に説明する。
本発明の射出成形装置において、目的とする成型品によっては複数のIH素子が必要となる必要となる場合がある。このような場合に対応するため、同一の部位に2つのIH素子を並列接続し、同一の電源、同一の入力パラメータで急速加熱又は急速冷却した場合の時間応答を求めた。その結果、図8に示すように、2つのIH素子で有意義な差異は観察されない。このことから、同一の電源および入力パラメータで、複数のIH素子の同時急速加熱あるいは急速冷却を実施できることが実証された。
最後に本実施例のIH素子を用いた局所メルト実験の結果を示す。
IH素子を1つ用いて、アクリルシート(ガラス転移点:100℃)の局所メルト実験を行った。加熱面にアクリルシートを、圧力をかけないように接触させ、加熱面温度をパラメータとした。図9にアクリルシート面の変化を示す。図9によれば、ガラス転移点を超えた時点で、IH素子の接触面が明瞭に白色痕として転写されていることがわかる。
また、図10にIH素子に装着した熱電対からの温度変化を示す。標準条件、無負荷での加熱応答データから予測された局所メルト時間は、約4秒であり、図10における局所メルト開始時間は5秒であった。このように両者は良好に一致することから、当該IH素子の実用性が実証された。
なお、本発明について上記のように述べてきたが、本発明に係るIHユニット装置及び射出成形装置は上記の実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限度で適宜変更が可能である。
本発明は、急速加熱あるいは急速冷却を要するIHユニット装置及び射出成形装置に適用することができ、より具体的には局所的に急速加熱や急速冷却を要する射出成形装置などに好適である。
1 射出成形装置
2 IH素子
3 高周波電源
4 制御装置
11 上型
12 下型
13 キャビティ
14 キャビティ面
15 挿入穴
16 裏面
17 キャビティ面
18 隆起部
20 金属ピン
21 凹み
22 コイル
23 絶縁体
24 熱電対

Claims (5)

  1. 所定の外径を有して射出成形装置に内蔵されるとともに、一方の端部から所定の距離を隔てた部位にコイル収容部が形成された金属ピンと、
    前記金属ピンの前記コイル収容部に配置され、射出成形用材料へ熱量を付与するコイルと、
    前記コイルと電気的に接続され、当該コイルに高周波電流を印加する高周波電源と、
    前記コイルから発生する温度変化を検知するとともに、前記高周波電源の出力を制御する制御部と、
    を備えたことを特徴とする射出成形装置用IHユニット装置。
  2. 前記金属ピンと前記コイルの間には、絶縁体が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の射出成形装置用IHユニット装置。
  3. 前記金属ピンには熱電対が配置され、前記制御部は当該熱電対における温度変化を検知することを特徴とする請求項1又は2に記載の射出成形装置用IHユニット装置。
  4. 上型と下型により形成されるキャビティに成形用材料を射出して成形品を製造する射出成形装置であって、
    前記キャビティの周囲であって前記上型及び下型の少なくとも一方に、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の射出成形装置用IHユニット装置が配置されてなることを特徴とする射出成形装置。
  5. 前記射出成形装置用IHユニット装置が配置される前記キャビティの周囲は、前記上型と前記下型との距離が小さい部位であることを特徴とする請求項4に記載の射出成形装置。
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