以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明をする。
図1は、この発明の一実施形態に係る洗濯機の斜視図であり、前方右斜め上方から見た図である。
この洗濯機1は、やや縦長のハウジング2によって外殻が構成されている。ハウジング2の上面には給水口9が設けられており、この給水口9に水道等の給水設備が接続される。ハウジング2の前面上方には、操作部71が配置されている。操作部71を操作することにより、ユーザは、洗濯機1に所望の運転を行なわせることができる。
操作部71の左横には、洗剤および柔軟剤を収容するための収容部7が引き出し可能に配置されている。
ハウジング2の前面は、下から上に見ると、下方部が垂直に立ち上がり、途中から斜め後方に向かって緩く傾斜した面となっている。そして前面の中央部上寄りには、扉6が設けられている。扉6は、正面側から見ると角が丸められた正方形状であるが、その内部には、後述する外層5を塞ぐための円形のシールパッキン(図示せず)が備えられている。
ハウジング2の前面下方には、独立して取り外し可能な前パネル2aが設けられていて、前パネル2aを取り外すことにより、洗濯機1の下方前部が露出し、その下方前部に備えられたポンプ、切替バルブおよびフィルタ等(これらについては後述する)のメンテナンスを容易に行なうことができる。
さらに、前パネル2aの右側には、窓53が形成され、窓53は蓋54によって覆われている。蓋54を取り外すと、フィルタ(後述する)が露出し、フィルタで捕獲された糸くず等の除去を容易に行なえる構成である。
ハウジング2の上面後方は、一段低くされた低段面2bとなっている。この洗濯機1は、ハウジング2の背丈が比較的高いので、設置しようとした場合に、ハウジング2の上部が水道栓と干渉する場合がある。そこで、水道栓が低い場合でも、洗濯機1を支障なく配置できるよう、上面後部に背の低い段差面2bが形成されている。
図2は、この発明の一実施形態に係る洗濯機を前後方向に沿った鉛直面で切断したときの断面を側方から見た概略側断面図である。以下では、この実施形態に係る洗濯機1およびその構成要素(構成部品)の説明に関し、便宜上、図2における左側を正面(前)側、右側を背面(後)側、上側を上面(上)側、下側を底面(下)側、手前を右側、奥を左側として説明する。
ハウジング2内の中央部には、ドラム3が配置されている。
ドラム3は、円筒状をしており、同じく円筒状の外槽5内に同軸状に収容されている。この実施形態では、ドラム3および外槽5が洗濯槽(処理槽)を構成しており、ドラム3の前方が斜め上方を向くいわゆる斜めドラム配置構造になっている。ドラム3および外槽5の前端面は開放しており、それを塞ぐために、ハウジング2の前面には扉6が備えられている。外槽5の後端面後方にはモータ(図2には表れていないが、このモータは図3におけるモータ62である。)が備えられ、ドラム3はモータによりドラム3の中心軸を中心に回転される。
ハウジング2上面の給水口9には、4方弁である第1切替バルブ44を介してハウジング2内に配置された給水管8が接続されている。給水管8の、給水口9に接続された一端とは反対側の他端は、外槽5の周壁面の最上部に接続され、給水管8を介して給水口9と外槽5内は連通している。給水管8の途中部には、洗剤および柔軟剤を収容するための収容部7が配置されている。
収容部7は、ハウジング2の前方へ引き出し可能なボックス(図示せず)を有し、ボックス内は洗剤収容室および柔軟剤収容室に区画されている。ボックスが引き出され、洗剤および柔軟剤がそれぞれの収容室に収容され、ボックスが押し込まれることにより、洗剤および柔軟剤のセットが完了する。そして、収容部7に給水管8を介して水が供給されると、洗剤収容室と柔軟剤収容室とにそれぞれ収容された洗剤および/または柔軟剤は、給水管8を介して供給された水に溶解して外槽5内に供給される。なお、洗剤および/または柔軟剤が溶解されていない水を外槽5内に供給することも選択的に可能である。
また、収容部7には、その後側面の上下方向途中に、呼び水管48の一端が接続されている。呼び水管48は、その他端がハウジング2内に備えられた供給ポンプ33に接続されており、ハウジング2内で水を汲み出すために供給ポンプ33を駆動させるときに、収容部7から供給ポンプ33に呼び水を供給するものである。
給水管8は、第1切替バルブ44にて洗剤用給水管42と柔軟剤用給水管43とに分岐し、洗剤用給水管42および柔軟剤用給水管43は収容部7で合流する。
そして、第1切替バルブ44は、給水口9からの水が流入する入口と、洗剤用給水管42につながる洗剤用水出口45と、柔軟剤用給水管43につながる柔軟剤用水出口46とを備えている。
そのため、第1切替バルブ44を切り替えることにより、第1切替バルブ44の入口から流入する水を、洗剤用水出口45から洗剤用給水管42を介して収容部7の上述した洗剤収容室へ流すこと、または柔軟剤用水出口46から柔軟剤用給水管43を介して収容部7の上述した柔軟剤収容室へ流すことが選択的に可能である。
洗濯および脱水について具体的に説明すると、洗濯機1においては、洗い工程では、洗濯をする衣類は、扉6が開けられて、ハウジング2の前面からドラム3内に収容される。扉6が閉められた後、外槽5に水が溜められる。外槽5は空密的、液密的に構成されているが、ドラム3はその周面に多数の小孔が形成されている。従って、外槽5に水が溜められると、溜められた水はドラム3内にも入り、洗浄用の水がドラム3内にも溜まる。
ドラム3の内周面には、適宜の箇所にバッフル(図示せず)が突設されている。ドラム3がモータにより回転されると、ドラム3内の水を含んだ衣類はバッフルにより持ち上げられ自然落下されるいわゆる叩き洗いが行われる。洗い工程が終了すると、外槽5内の水が排水される。
外槽5の最下端部、すなわち後端面下方には、後方に向けて開いた排水口10が形成され、その後方側に排水バルブ12が取り付けられている。そして排水バルブ12には下方に延びる排水管11が接続され、その途中にはフィルタ14および第2切替バルブ13が、この順で介挿されている。フィルタ14には、排水管11とは別に分岐管15が接続されており、第2切替バルブ13を切り替えることで、フィルタ14を通過する水を、引き続き排水管11に沿ってハウジング2外へ排出するか、分岐管15へ流出させるかを選択することができる。
排水口10を外槽5の後方に向けて開口し、その後方に排水バルブ12を配置することにより、排水口10および排水バルブ12の位置を、外槽5の最下端部の高さとほぼ等しい位置にすることができる。これにより、外槽5の下方に配置される各種構成要素の配置空間に、排水口10および排水バルブ12が入り込まず、各種構成要素の配置空間を広く確保することができる。特に、洗濯機1が運転されると、外槽5は振動するため、外槽5に固定されている排水口10や排水バルブ12が、外槽5よりも下方に突出していると、外槽5の振動に伴い排水バルブ12も一緒に振動するので、その振動分を勘案して下方空間をあけておく必要がある。この実施形態では、外槽5の後方を利用して排水口10および排水バルブ12を配置したので、外槽5の下方空間を他の構成要素を配置するために良好に活用することができる。
排水バルブ12および第2切替バルブ13が「開」にされると、外槽5内の水がハウジング2外へ排出される。その一方で、排水バルブ12が「開」にされて第2切替バルブ13が「閉」にされると、外槽5内の水は、フィルタ14を介して分岐管15へ流出する。
外槽5内の水が排出された後、すすぎ工程が行なわれる。すすぎ工程では、再び排水バルブ12が閉じられ、上述した洗い工程と同様に外槽5内に水が溜められ、ドラム3がモータにより回転されることによってすすぎが行なわれる。
すすぎ工程が終了すると、ドラム3の回転が停止され、上述した排水動作と同様に、外槽5内の水がハウジング2外へ排出される。
また、脱水工程では、モータによってドラム3が脱水回転(高速回転)され、衣類に含まれる水分が脱水される。なお、この実施形態に係る洗濯機1では、脱水中に衣類がドラム3の内周壁に偏在することによって、ドラム3に異常振動が生じないように、ドラム3の回転を徐々に立ち上げるように脱水される。
この実施形態に係る洗濯機1は、洗い工程→脱水1工程→すすぎ1工程→脱水2工程→すすぎ2工程→最終脱水工程→乾燥工程、の順で洗濯、脱水および乾燥が行われる。
つまり、洗濯機1は、洗濯および脱水に加えて、乾燥を行うことができるように、外槽5の後端面下方には、乾燥手段としての乾燥風路16の出口17が連通されている。なお、出口17には、出口17の温度を測定する温度センサ(図2には表れていないが、この温度センサは図3における温度センサ63である。)が備えられている。乾燥風路16は、外槽5の後端面沿いに斜め上方に延び、外槽5の上部沿いに前方側へ回り込み、外槽5の上部周面に沿って前方へと延び、その先端は、外槽5の前方周面に入口18として連通している。この乾燥風路16は、外槽5の後端面沿いに斜め上方へ延びる領域が、除湿手段としての除湿パイプ19として機能している。
乾燥風路16内には、空気の流れ方向に見て、除湿パイプ19の下流側にフィルタ20が内挿され、さらにその下流側には送風手段としてのブロア21が設けられている。ブロア21が回転されることによって、ドラム3内の空気が出口17から出て乾燥風路16内を移動され、入口18から再びドラム3内へと供給される。乾燥風路16のブロア21よりも下流側には、加熱手段としてのヒータ22が内挿されている。乾燥風路16を通る空気は、除湿パイプ19において除湿され、その後、ヒータ22によって加熱されて、入口18からドラム3へと供給される。
そして、衣類にヒータ22によって加熱された空気が浴びせられることで、衣類に含まれる水分は気化して水蒸気となり、その水蒸気を含むドラム3内の高温多湿の空気は、出口17から出て除湿パイプ19内を上方へ移動する。その際、除湿パイプ19内では、熱交換用給水管49を介して供給される水が落下される。詳しくは、熱交換用給水管49は、その一端が第1切替バルブ44に接続され、その他端が除湿パイプ19の上部に接続されている。そのため、第1切替バルブ44を切り替えることにより、給水口9からの水が、熱交換用給水管49を介して除湿パイプ19内に落下される。なお、熱交換用給水管49とは別に、熱交換用タンク水給水管24を介しても除湿パイプ19内に水が供給され得る。熱交換用タンク水給水管24の構成については、後に説明する。
除湿パイプ19内に水が落下されると、高温多湿の空気が熱交換をして、高温多湿の空気の冷却および除湿が行われる。そして、熱交換用給水管49または熱交換用タンク水給水24からの水と除湿された際に液化した水分とが、除湿パイプ19内を落下した後、出口17を介して排水口10に達し、排水バルブ12および第2切替バルブ13が開かれると、ハウジング2外へ排出される。
ドラム3の下方には、タンク4が設けられている。このタンク4は、外槽5に溜められて使用された後の水を溜めるためのものであり、密閉構造をしたタンクである。外槽5の水をタンク4に導くために、分岐管15の、フィルタ14に接続されている一端とは反対側の他端がタンク4内で開口している。詳しくは、分岐管15の途中には貯水バルブ25が介挿されており、分岐管15は、フィルタ14から貯水バルブ25までの範囲においては、フィルタ14から貯水バルブ25に向かって斜め上方に延び、貯水バルブ25からは下方に延びてタンク4の上面を貫通し、分岐管15の他端がタンク4内の上下方向途中に配置されている。
そのため、外槽5の水は、第2切替バルブ13が閉じられ、排水バルブ12および貯水バルブ25が開かれることにより、タンク4内へ導かれる。
また、タンク4には、エア抜きホース50の一端が接続されている。エア抜きホース50は、タンク4から外槽5の後方を通って上方に延び、その他端が除湿パイプ19の上部に接続されている。これにより、タンク4内部と乾燥風路16とは連通している。
タンク4には、タンク4内に入口26が開口した圧力調整用排水管27が備えられている。圧力調整用排水管27の途中には、逆止弁28が介在されている。そして、圧力調整用排水管27の出口側は排水管11の第2切替バルブ13よりも下流側に合流されている。
圧力調整用排水管27には、また、オーバーフロー管23が接続されている。そのため、外槽5内に所定量以上の水が供給された場合、その所定量以上の水が、オーバーフロー管23により外槽5の外部にオーバーフローされ、排水管11を介して機外へ排出される。
タンク4には、タンク4内に溜められた水を循環させるために、その側方に形成された出口31および入口30の間を連通する循環管32が設けられている。循環管32には、出口31から入口30に向かって順番に、供給ポンプ33、第3切替バルブ34およびエゼクタ35が、水の循環方向に沿うように介挿されている。
第3切替バルブ34は5方弁であり、供給ポンプ33から吐出されて1方向から流入する水を4方向のいずれかへ流出させるように切り替えるため、第1出口36、第2出口37、第3出口38および第4出口39を有する。
第1出口36には、循環管32が接続されており、エゼクタ35を介して入口30につながっている。
第2出口37には、タンク水排水管40がつながっており、タンク水排水管40は圧力調整用排水管27の逆止弁28よりも下流側に合流されている。
第3出口38には、上述した熱交換用タンク水給水管24の一端が接続されている。熱交換用タンク水給水管24の他端は、除湿パイプ19の上部に接続されている。
第4出口39には、タンク水給水管41の一端がつながっており、タンク水給水管41の他端は、収容部7を介して給水管8に接続されている。
タンク4の近傍には、オゾン発生装置47が設けられている。オゾン発生装置47は、空気流路(図示せず)から取り込んだ空気に対し、無声放電を加えてオゾンを発生する装置である。オゾン発生装置47を通過した空気にはオゾンが含まれている。
この実施形態では、オゾン発生装置47で発生されるオゾンを含んだ空気は、第1供給路51によって乾燥風路16へ与えられる。与えられる位置は、乾燥風路16におけるフィルタ20の下流側で、ブロア21の上流側(ブロア21の吸い込み側)である。ブロア21が回転すると、その吸い込み側が負圧となり、オゾンを含む空気が第1供給路51を介してブロア21へと吸い込まれる。このため、発生させたオゾンを放出するためのエアポンプ等の特別な装置を設ける必要がなく、簡易な機構によりオゾン発生装置47を構成することができる。そして乾燥風路16を循環される空気にオゾンが混入されて、オゾンは入口18からドラム3へと供給される。
通常、乾燥風路16を空気が循環されるのは、ドラム3内の衣類が乾燥される乾燥工程時であるが、この発明においては、図3に示す制御部61が、ユーザが図3に示す操作部71に配置されているキーを押圧することにより設定した各コースの入力信号に応じて、各コースに対応した最適なタイミングでドラム3内にオゾンを供給するために、ドラム3を回転させるためのモータ62(図3参照)、オゾン発生装置47、ブロア21およびヒータ22を制御する。これにより、ユーザが、ドラム3内にオゾンを供給するか否かの設定を適宜する必要がなくなり、効果的にオゾンによる衣類の消臭および除菌処理が行なわれる。
また、オゾン発生装置47で発生されるオゾンを含んだ空気は、第2供給路52によって、エゼクタ35へ与えられる。第2供給路52を通って供給されるオゾンは、エゼクタ35において、循環されているタンク4内の水に混合される。より具体的には、エゼクタ35において、エゼクタ35を水が通過する際に生じている負圧により、第2供給路52から供給されるオゾンを含む空気が水内に細かな泡として混入する。そして、水内に、色素、臭い成分および雑菌が含まれていた場合、これらはオゾンにより酸化され、タンク4内の水は、脱色、脱臭および除菌される。
また、ドラム3を収容した外槽5は、液密的かつ空密的な構造であり、オゾン発生装置47で発生されるオゾンは、タンク4および外槽5がオーバーフロー管23およびエア抜きホース50でつながれている構造上、タンク4と外槽5との間を流通はするが、ハウジング2から外部に漏れることはない。よって、この洗濯機1は、オゾン臭等が外部に漂ったりしない、安全でかつ使用上の不都合のない装置とすることができる。
図3は、図1および図2に示す洗濯機1における制御回路構成ブロック図であり、この発明にかかるオゾン供給制御に関する構成要素だけが示されている。
洗濯機1には、たとえばマイクロコンピュータ等で構成されたオゾン供給制御手段としての制御部61が備えられており、制御部61には、オゾン発生装置47、ブロア21、ヒータ22およびモータ62が接続されている。また、制御部61には、たとえば、ハウジング2の上面に設けられた選択手段としての操作部71が接続されている。操作部71には各種の表示器が配置されていて、これら表示器の表示は制御部61によって制御され、また、ユーザが、操作部71のスチーム乾燥キー74、洗濯乾燥キー75、または洗濯キー76を操作することにより、信号が制御部61に入力される。
さらに、制御部61には、乾燥風路の出口17(図2参照)の温度を測定するための温度センサ63が接続されている。
図4は、上述した操作部71の具体的な平面図である。
操作部71には、電源切/入キー72およびスタート/一時停止キー73が設けられている。電源切/入キー72は、洗濯機1への電力の供給/停止を行なうキーである。スタート/一時停止キー73は、洗濯機1の動作開始と、途中で動作を一時停止させることを指示するキーである。
また、操作部71には、スチーム乾燥キー74、洗濯乾燥キー75、および洗濯キー76が設けられている。スチーム乾燥キー74は、衣類の乾燥のみを行なうとき、つまり、乾燥コースを選択するときに押すキーである。洗濯乾燥キー75は、洗濯から乾燥までの一連の処理を行なうとき、つまり、洗濯乾燥コースを選択するときに押すキーである。洗濯キー76は、洗濯および脱水を行ない、乾燥は行なわないとき、つまり、洗濯コースを選択するときに押すキーである。
たとえば洗濯キー76が押されると、その上方に3行4列で表示された複数の処理内容のうち、洗濯に関係する処理内容が、押圧に応じて順次表示される。具体的には、洗濯キー76が1回押されると、「標準」が点灯し、洗濯キー76がもう1回押されると「標準」は消灯して「自分流」が点灯し、さらに洗濯キー76が押されると「自分流」は消灯して代わりに「洗剤ゼロ」が点灯するというように、洗濯内容が順次選ばれる。
洗濯乾燥キー75およびスチーム乾燥キー74を押した場合も、それぞれ、洗濯乾燥に関係ある処理内容および乾燥に関係ある処理内容が順次選択できる。
さらに、エアウォッシュ(除菌・消臭)キー77およびスチーム洗浄キー78が設けられている。
エアウォッシュ(除菌・消臭)キー77は、衣類を洗う必要はないけれども、衣類に付着した臭いなどを脱臭、消臭したい場合に操作されるキーである。たとえば、たばこの臭いが気になる衣類があった場合、その衣類をドラム3に収容し、エアウォッシュ(除菌・消臭)キー77を押すと、その押す回数によりその上部にある「ドラム回転」が点灯→「ドラム停止」が点灯→両方が消灯→「ドラム回転」が点灯と、表示が切り替わる。そして、ドラム回転を点灯させた状態では、ドラム3が回転しながらオゾンを含む空気がドラム3内に供給され、ドラム停止が点灯された状態ではドラム3は回転することなく、オゾンを含む空気がドラム3内に供給されるという、衣類の脱臭・消臭処理が、洗濯や乾燥とは独立した処理として行われる。つまり、エアウォッシュ(除菌・消臭)キー77は、洗濯を行うまでもない衣類に対して、脱臭・消臭を行いたい場合に、その処理を独立して行わせるためのキーである。
スチーム洗浄キー78は、洗濯時にスチーム洗浄を付加したいときに押すキーである。
操作部71には、その他のキーや、運転状況を示す各種表示などが配列されているが、それらは、この発明と直接関係がないので、説明は省略する。
図5は、乾燥運転時における、オゾンを用いた衣類の除菌処理を説明するタイミング図である。これは、制御部61が、たとえば洗濯乾燥キー75またはスチーム乾燥キー74が選択されたという入力信号を検知した場合に、以下に説明するように行なわれる。
乾燥運転は、乾燥工程、乾燥工程延長時間およびクールダウン工程に区分される。そして、クールダウン工程はさらに、前半部である除菌工程と後半部である消オゾン工程に区分される。
乾燥工程が開始すると、制御部61は、モータ62を作動させ、ブロア21およびヒータ22をONにする。モータ62によりドラム3を所定の回転数、たとえば45rpmで正逆交互に回転させることによって、衣類が攪拌され、衣類に満遍なく熱風が浴びせられ、衣類に含まれている水分が蒸発する。
乾燥工程の進捗状況は、出口17の温度に基づいて判断される。そして、温度センサ63の温度が所定温度に達した場合、制御部61は、乾燥度合がたとえば92%まで終了したと判断し、その時点から一定時間乾燥工程を継続させる。このように温度センサ63が所定温度に達したことが検知された後、さらに継続される一定時間の乾燥工程を、延長時間と称している。延長時間が終了する際、衣類の乾燥度合は、たとえば98〜100%になっている。
乾燥工程延長時間が終了すると、制御部61は、ヒータ22をOFFにし、所定温度までドラム3内の衣類を冷却するクールダウン工程を開始する。そして、制御部61は、そのクールダウン工程開始時にオゾン発生装置47をONにする。
これにより、オゾン発生装置47で発生されるオゾンを含む空気は、ドラム3内へ供給される。
このように、衣類の乾燥が完了した後で、余分な水分を含まない衣類にオゾンを浴びせるので、オゾンが水分の妨げを受けず、衣類の内部にまで効率よく浸透し、衣類に残っている臭い成分がオゾンで酸化されて消える。また、乾燥工程における乾燥熱では除去できない菌などが残っていても、それらの菌の除菌をすることができる。また、ドラム3が回転していることにより衣類が攪拌されるので、オゾンを衣類に満遍なく浴びせることができる。
制御部61は、クールダウン工程の前半部である除菌工程が所定時間、たとえば15分間行なわれると、オゾン発生装置47をOFFにして、継続して行なわれているクールダウン運転により、温度センサ63の測定温度、つまり、ドラム3内の温度が所定温度、たとえば50℃以下になれば、クールダウン工程を終了する。なお、制御部61は、ドラム3内の温度が50℃以下になっていても、クールダウン工程の後半部である消オゾン工程が、たとえば10分間行なわれていなければ、クールダウン工程を延長する。これにより、ドラム3を含むハウジング2内のオゾンは酸化反応により消滅するので、ユーザが衣類をドラム3から取り出すときに扉6を開けても、オゾン臭が漂うことはない。
図6は、最終脱水運転時における、オゾンを用いた衣類の除菌処理を説明するタイミング図である。これは、制御部61が、たとえば洗濯キー76が選択されたという入力信号を検知した場合に、以下に説明するように行なわれる。
最終脱水運転は、外槽5内にある水の排水時間、最終脱水工程、除菌工程、消オゾン工程およびクールダウン工程に区分される。
制御部61は、たとえば2〜3分の排水時間が経過すると、モータ62を作動させ、ドラム3を回転させることによって衣類に含まれる水分を脱水する最終脱水工程を開始する。
この実施形態においては、最終脱水工程開始時に、オゾン発生装置47およびブロア21をONにし、最終脱水工程中においてもドラム3内にオゾンを供給することにより、脱水中もドラム3の内周壁に張り付いている衣類にオゾンを供給して、消臭および除菌効果の向上を図っている。さらに、ヒータ22もONにし、加熱により活性化されたオゾンを供給している。
最終脱水工程においては、ドラム3の回転立ち上がり時に衣類がドラム3の内周壁に偏在することによって、ドラム3に異常振動が生じないように、ドラム3の回転は徐々に立ち上げられる。具体的には、ドラム3の回転数を所定回転数まで上昇させ、その回転数を所定時間維持した後、減速して、必要があれば一旦停止させる。この減速、停止により衣類がドラム3の内周壁から落下し、再度ドラム3の回転を立ち上げたときに衣類の偏在を抑制することができる。このサイクルを、たとえば2、3回繰り返した後、ドラム3を最終脱水回転数、たとえば900rpmで回転させる。
そして、制御部61は、ドラム3を900rpmで15分間回転させた後、モータ62を一旦停止させ、最終脱水工程を終了する。
最終脱水工程が終了すると、除菌工程、消オゾン工程およびクールダウン工程が行なわれる。除菌工程では、制御部61は、ドラム3を、正逆交互に回転させ、最終脱水工程に引き続いて、さらにオゾンの供給を行なう。除菌工程では、衣類が攪拌されるので、オゾンを衣類に満遍なく浴びせることができる。また、オゾンが供給される衣類は脱水後のものであり、オゾン供給の妨げとなる余分な水分が減少しているため、オゾンによる消臭および除菌効果の向上を図ることができる。
そして、所定時間ドラム3内にオゾンを供給すると、オゾン発生装置47をOFFにして、除菌工程を終了し、消オゾン工程に移る。
消オゾン工程開始後、15分経過すると、ヒータ22をOFFにし、クールダウン工程を開始する。クールダウン工程では、ブロア21はONのままであり、ドラム3内の空気は、引き続き循環される。この冷風の循環によって衣類の温度は速やかに下がる。なお、最終脱水工程開始から消オゾン工程終了までは、概ね35〜45分必要であるが、この時間は負荷量(洗濯した衣類の量)によって異なる。
なお、この実施形態では消オゾン工程終了時にヒータ22をOFFにしているが、消オゾン工程開始時にヒータ22をOFFにして、クールダウン工程を省略することもできる。
図7は、最終脱水運転時における、オゾンを用いた衣類の除菌処理の他の例を説明するフローチャートであり、図6に示す、除菌処理の変形例である。図7の除菌処理は、ドラム3の回転数が900rpmに達し、洗濯物の水分が概ね除去されてからオゾン発生装置47をONにする点が、図6に示す実施形態とは異なっている。
洗い工程(ステップS1)、すすぎ1工程(ステップS2)、すすぎ2工程(ステップS3)が終わると、最終脱水工程が開始される(ステップS4)。
最終脱水工程では、図6で洗濯したときと同様に、ドラム3の回転が徐々に立ち上げられる。そして、ドラム3の回転数が最終脱水回転数である900rpmに達したことが判別されると(ステップS5のYes)、オゾン発生装置47、ブロア21およびヒータ22がONにされる(ステップS6)。ドラム3の回転数が900rpmに達した時には、洗濯物から水分は概ね除去されており、オゾンが水分の妨げを受けず、オゾンによる洗濯物の消臭および除菌効果の向上を図ることができる。
そして、ドラム3が900rpmで15分間回転されたことが判別されると(ステップS7のYes)、最終脱水工程が終了され、ドラム3が45rpmの回転数で正逆交互に回転される(ステップS8)。
一方、オゾン発生装置47がONにされてから30分経過したことが判別されると(ステップS10のYes)、オゾン発生装置47がOFFにされ、除菌工程が終了される(ステップS11)。このとき、ブロア21とヒータ22はOFFにされず、オゾンを含まない空気がドラム3内に循環される。これにより、ドラム3を含めたハウジング2内の全てのオゾンを酸化反応により消滅させる消オゾン工程が行なわれる。
そして、オゾン発生装置47がOFFにされてから5分経過したことが判別されると(ステップS12のYes)、ヒータ22がOFFにされ(ステップS13)、所定温度まで衣類を冷却する、クールダウン工程が開始される。そして、温度センサ63の測定温度、つまり、ドラム3内の温度が、たとえば50℃以下になったことが判別されると(ステップS9のYes)、クールダウン工程が終了される。
なお、この実施形態では、制御部61は、オゾン発生装置47をOFFにしてから5分経過後にヒータ22をOFFにしているが、オゾン発生装置47のOFFと同時にヒータ22をOFFにすることもできる。
図8は、オゾン洗浄工程のフローチャートである。オゾン洗浄工程とは、洗い工程前に衣類にオゾンを供給して、衣類の洗浄、除菌および消臭すること(オゾンによる予備洗い)を含み、洗剤を用いないで洗濯を行なう洗剤ゼロコースによる洗浄処理工程である。このようなオゾン洗浄は、毎日洗濯するタオル、肌着などの汚れの少ない衣類を洗うのに適している。また、洗剤を使用しないので、洗いに用いられた水がハウジング2外に排出されても、その水は環境に優しい。
洗濯機1の運転が開始されると、オゾン発生装置47がONにされ、また、ドラム3が45rpmの回転数で正逆交互に回転され、ブロア21がONにされることにより(ステップT1)、オゾンを含む空気がドラム3内に供給され、ドラム3内の衣類に浴びせられ、オゾンによる予備洗いが行なわれる。これにより、洗い工程前の乾燥した衣類に効果的にオゾンを浴びせることができ、衣類に付着している菌などは、オゾンにより酸化分解されて水溶性が高くなっているので、次工程である洗剤なしの洗い工程における水洗浄によって容易に衣類から除去されるように洗浄効果の向上を図ることができる。
この実施形態では、ヒータ22をONにしていないが、ヒータ22もONにしてオゾンを含む空気を加熱することにより、オゾンを活性化させて行なうこともできる。
そして、オゾンによる予備洗いが15分間行なわれたことが判別されると(ステップT2のYes)、次の洗い工程(ステップT3)に移る。
この実施形態では、洗い工程において洗剤なしによる水洗いを行なっているが、洗剤を使用して洗いを行なう洗剤洗いや、洗い工程前にドラム3内にスチームを噴射して、皮脂汚れなどを、スチームの作用によって衣類を高温にして浮き上がらせて落としやすくするスチーム洗浄を行なうこともでき、それにより洗浄効果の向上を図ることができる。
そして、洗い工程終了後、すすぎ1工程へ移り(ステップT4)、すすぎ1工程が終了されると、オゾン発生装置47がOFFにされる(ステップT5)。
そして、オゾン発生装置47がOFFにされた後、すすぎ2工程(ステップT6)および脱水工程(ステップT7)が行なわれ、終了される。
なお、この実施形態では、すすぎ1工程終了後にオゾン発生装置47をOFFにしているが、たとえば、洗い工程前や脱水工程前など、その他のタイミングでOFFにすることもできる。
この発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。また、この実施形態では、斜めドラム配置構造の衣類乾燥機能付きの洗濯機について説明したが、この発明は、ドラムが水平配置または垂直配置されたものについても適用可能であり、また、洗濯機または衣類乾燥機などに適用することもできる。