本発明を具体的に説明する前に、概要を述べる。本発明の実施例は、車両に搭載された端末装置間においてデータ通信を実行する通信システムに関する。端末装置は、車両の速度や位置等の情報(以下、これらを「データ」という)を格納したパケット信号をブロードキャスト送信する。一方、端末装置は、他の端末装置によってブロードキャスト送信されたパケット信号を受信するとともに、データをもとに、当該他の端末装置が搭載された他の車両の接近を認識する。衝突事故を防止するためには、車両の速度や位置等の情報に加えて、さらに詳細な走行状況も報知される方が好ましい。また、運転者の利便性および走行状況の正確性を向上させるためには、走行状況は自動的に取得される方が好ましい。これらに対応するために、本実施例では、次の処理を実行する。
実施例に係る端末装置は、カーナビゲーション機能によって、出発地点から目的地点への経路を探索する。また、端末装置は、GPSによって現在の存在位置を取得し、存在位置と経路とをもとに、次の交差点において右折、直進、左折等のいずれかを選択する。選択した進行方向が走行状況とされ、パケット信号に格納される。さらに、端末装置は、交差点に進入する車線に関する情報(以下、「車線情報」という)として、各車線に対する位置情報、進行方向を記憶する。端末装置は、存在位置と車線情報とをもとに、現在走行している車線を特定するとともに、進行方向も特定する。端末装置は、経路をもとに特定した進行方向の代わりに、車線情報をもとに特定した進行方向を走行状況として、パケット信号に格納する。
図1は、本発明の実施例に係る端末装置14の構成を示す。端末装置14は、アンテナ50、RF部52、変復調部54、処理部56、制御部58、操作部302を含む。処理部56は、タイミング特定部60、取得部62、生成部64、受付部300、通知部70、設定部304、記憶部86、特定部306を含み、特定部306は、第1推定部308、第2推定部310、選択部312を含む。ここで、端末装置14は、図示しない車両に搭載される。また、他の車両にも同様の端末装置が搭載されている。
RF部52は、受信処理として、図示しない他の端末装置から報知されたパケット信号をアンテナ50にて受信する。RF部52は、アンテナ50を介して受信した無線周波数のパケット信号に対して周波数変換を実行し、ベースバンドのパケット信号を生成する。さらに、RF部52は、ベースバンドのパケット信号を変復調部54へ出力する。一般的に、ベースバンドのパケット信号は、同相成分と直交成分によって形成されるので、ふたつの信号線が示されるべきであるが、ここでは、図を明瞭にするためにひとつの信号線だけを示すものとする。
また、RF部52には、LNA(Low Noise Amplifier)、ミキサ、AGC、A/D変換部も含まれる。RF部52は、送信処理として、変復調部54から入力したベースバンドのパケット信号に対して周波数変換を実行し、無線周波数のパケット信号を生成する。さらに、RF部52は、無線周波数のパケット信号をアンテナ50から報知する。また、RF部52には、PA(Power Amplifier)、ミキサ、D/A変換部も含まれる。ここで、パケット信号の送信は、IEEE802.11等の規格に準拠した無線LAN(Local Area Network)と同様に、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)と呼ばれるアクセス制御機能にしたがってなされる。
変復調部54は、受信処理として、RF部52からのベースバンドのパケット信号を復調する。さらに、変復調部54は、復調した結果を処理部56へ出力する。一方、変復調部54は、送信処理として、処理部56からのデータを変調する。さらに、変復調部54は、変調した結果をベースバンドのパケット信号としてRF部52へ出力する。なお、OFDM変調方式を実行すべき場合、変復調部54は、受信処理としてFFT(Fast Fourier Transform)も実行し、送信処理としてIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)も実行する。
取得部62は、図示しないGPS受信機、ジャイロスコープ、車速センサ等を含んでおり、それらから供給されるデータによって、端末装置14が搭載された車両の存在位置、進行方向、移動速度等を取得する。なお、存在位置は、緯度・経度によって示される。これらの情報の取得には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。取得部62は、取得した情報を生成部64、設定部304、特定部306へ出力する。
操作部302は、ボタン等によって構成されており、ユーザからの指示を受けつける。ユーザからの指示とは、例えば、目的地点の設定である。操作部302は、受けつけた指示を処理部56へ出力する。設定部304は、カーナビゲーション機能を実行する。つまり、設定部304は、取得部62から位置情報を受けつけると、記憶部86に記憶された地図情報に位置情報を対応づける。また、設定部304は、操作部302からの目的地点の設定を受けつけると、現在の位置情報を出発地点として、出発地点から目的地点への経路を設定する。記憶部86に記憶された地図情報、設定部304での経路の設定には、公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略するが、地図情報は、位置情報に対応づけられるように規定される。設定部304は、設定した経路を通知部70、第1推定部308へ出力する。
第1推定部308は、設定部304から経路の情報を受けつける。また、第1推定部308は、取得部62から位置情報を逐次受けつける。第1推定部308は、経路の情報に位置情報を対応づけて、経路上における現在の位置を特定する。第1推定部308は、特定した位置から目的地点へ向かって、経路をたどることによって、次に進入すべき交差点を特定するとともに、当該交差点において、どの方向に進行するかも特定する。どの方向に進行するかは、例えば、右折、左折、直進のように特定される。また、交差点には、十字路のようにふたつの道路が交差する場合だけではなく、T字路や五叉路のような場合も含まれる。以上の処理によって、第1推定部308は、設定部304が設定した経路において、交差点へ将来的に進入する場合に、進行すべき道路を特定する。第1推定部308は、次に進入すべき交差点の情報、進行方向の情報とを選択部312へ出力する。次に進入すべき交差点の情報は、緯度・経度によって示される。
第2推定部310は、取得部62から位置情報を受けつける。第2推定部310は、位置情報をもとに、記憶部86にアクセスし、記憶部86に記憶された車線情報から、進行方向を特定する。図2は、第2推定部310における処理の概要を示す。図2は、上空から見た交差点を示す。図2の下側から上側へ交差点に進入する道路として、左側車線240、中央車線242、右側車線244の3つの車線が示されている。また、各車線に車両12が走行している。車線と進行方向との関係は、予め対応づけられている。例えば、左側車線240と左折、中央車線242と直進、右側車線244と右折が対応づけられている。さらに、このような対応は、各交差点に対してなされており、それらが車線情報として記憶部86に記憶されている。第2推定部310は、位置情報をもとに左側車線240を走行していることを特定し、車線情報から左折を特定する。図1に戻る。
記憶部86は、図2のごとく、交差点へ進入する前に道路が複数の車線に分割され、かつ進行すべき道路と各車線とが対応づけられている場合に、地図情報において、進行方向と各車線との対応関係を記憶する。図3は、記憶部86に記憶された車線情報のデータ構造を示す。図示のごとく、車線名欄260、位置情報欄262、進行方向欄264が含まれている。車線名欄260には、図2の左側車線240等の名称が含まれる。位置情報欄262には、各車線に対する位置情報、つまり各車線の区域の情報が含まれる。ここで、交差点の近傍のみで車線が規定されればよいので、道路のうち、各車線の区域の情報に含まれない部分も存在する。また、道路が狭い等の理由で、車線が規定されない交差点が存在してもよい。進行方向欄264には、進行方向の情報が含まれる。図1に戻る。第2推定部310は、位置情報をもとに位置情報欄262を参照することによって、車線を特定し、進行方向欄264をもとに、車線に対応した進行方向を特定する。第2推定部310は、次に進入すべき交差点の情報、進行方向の情報とを選択部312へ出力する。
選択部312は、第1推定部308から、次に進入すべき交差点の情報、進行方向の情報を受けつけるとともに、第2推定部310から、次に進入すべき交差点の情報、進行方向の情報を受けつける。選択部312は、受けつけた情報をもとに、次に進入すべき交差点と進行方向を選択する。前述のごとく、第1推定部308から各交差点に対する進行方向の情報を受けつけるが、第2推定部310から進行方向の情報を受けつけない交差点も存在する。そのため、選択部312は、第2推定部310から進行方向の情報を受けつけている交差点に対して、第2推定部310からの進行方向の情報を選択する。一方、選択部312は、第2推定部310から進行方向の情報を受けつけていない交差点に対して、第1推定部308からの進行方向の情報を選択する。つまり、選択部312は、選択部312からの情報を優先的に選択する。選択部312は、次に進入すべき交差点の情報、選択した進行方向の情報を生成部64へ出力する。
タイミング特定部60は、アンテナ50、RF部52、変復調部54を介して、キャリアセンスを実行することによって、パケット信号を報知可能なタイミングを特定する。キャリアセンスには公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。生成部64は、取得部62において取得した情報を格納するようにパケット信号を生成する。パケット信号には、報知元になる本端末装置14の識別情報等の制御信号も格納されてもよい。また、生成部64は、次に進入すべき交差点の情報、選択部312からの進行方向の情報もパケット信号に格納する。変復調部54、RF部52、アンテナ50は、タイミング特定部60において特定したタイミングにて、生成部64において生成したパケット信号をブロードキャスト送信する。
受付部300は、アンテナ50、RF部52、変復調部54を介して受信したパケット信号を受けつける。このパケット信号は、図示しない他の車両に搭載された端末装置からのパケット信号である。受付部300は、受けつけたパケット信号を通知部70へ出力する。通知部70は、受付部300からのパケット信号を入力し、パケット信号を処理することによって、図示しない他の車両の接近等を運転者へモニタやスピーカを介して通知する。また、通知部70は、パケット信号に含まれた進行方向の情報をもとに、他の車両が右折してくること等を通知する。運転者は、他の車両の接近や右左折を認識することによって、衝突事故が防止される。なお、他の車両の接近をモニタにて通知する場合、通知部70は、カーナビゲーション装置によって表示される地図画像上に他の車両の画像を合成してもよい。制御部58は、端末装置14全体のタイミングを制御する。
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
以上の構成による端末装置14の動作を説明する。図4は、端末装置14による進行方向の特定手順を示すフローチャートである。第2推定部310は、予め定めた車線に進入したことを検出すると(S150のY)、記憶部86に記憶したテーブルを参照して進行方向を特定し(S152)、選択部312はこれを選択する。一方、第2推定部310が、予め定めた車線に進入したことを検出しなければ(S150のN)、第1推定部308は、経路をもとに進行方向を特定し(S154)、選択部312はこれを選択する。生成部64は、進行方向の情報をパケット信号に格納する(S156)。
次に、本発明の変形例を説明する。本発明の変形例は、実施例と同様に、パケット信号を送受信するとともに、進行方向を予測して、これをパケット信号に格納する端末装置が含まれた通信システムに関する。変形例では、パケット信号の送受信を中心に説明し、進行方向の予測機能等の説明を省略する。端末装置がアクセス方式としてCSMAを使用する場合、交差点等において端末装置の数が増加すると、パケット信号の発生確率が増加する。これに対応するために、本実施例に係る通信システムは、次の処理を実行する。なお、端末装置は、通信速度の高速化を目的としてOFDM変調方式を採用する。
本変形例に係る通信システムは、複数の端末装置の他にアクセス制御装置を含み、アクセス制御装置は、例えば、交差点に設置される。アクセス制御装置は、複数のスロットが含まれたフレームを繰り返し規定する。なお、各フレームに含まれた複数のスロットのうち、一部が制御スロットとして確保されている。また、アクセス制御装置は、使用すべき制御スロットを特定し、当該制御スロットのタイミングに関する情報や、当該アクセス制御装置を識別するための情報(以下、「識別情報」という)を制御情報に含める。さらに、アクセス制御装置は、制御情報を格納したパケット信号(以下、これを「制御情報」ということもある)を当該制御スロットにてブロードキャスト送信する。ここで、制御スロットのタイミングに関する情報とは、例えば、当該制御スロットがフレームの先頭から何番目に配置されるかに関する情報(以下、「制御スロット情報」という)である。
端末装置は、制御情報を受信することによって、制御情報に対応したフレームを生成する。生成したフレームにも、複数のスロットが含まれる。また、端末装置は、フレームに含まれた複数のスロットのうち、制御スロット以外のスロットを認識する。なお、以下の端末装置の説明において、スロットとは、制御スロットを除外したスロットのことを示す場合がある。端末装置は、複数のスロットのそれぞれに対してキャリアセンスを実行することによって、他の端末装置によって使用されていないスロット(以下、「空きスロット」という)を推定する。ここで、空きスロットが複数存在することもある。端末装置は、空きスロットの中から、データを送信するために使用すべきひとつのスロットをランダムに選択する。端末装置は、選択したスロットにおいて、データを格納したパケット信号(以下、これを「データ」ということもある)をブロードキャスト送信する。また、端末装置は、複数のフレームにわたって、相対的に同一のタイミングのスロットを使用する。
ここで、アクセス制御装置は、端末装置間のデータ通信に直接関与せず、データ通信に使用すべきスロットを直接指定しない。あくまでも、アクセス制御装置は、複数の端末装置が使用すべきスロットが含まれたフレームの構成を通知しているだけである。端末装置は、通知されたフレームに含まれたスロットのタイミングにてデータ通信を実行する。つまり、アクセス制御装置は、複数の端末装置間の通信を制御する。
なお、制御情報もひとつのスロットにて送信されているので、制御情報を受信できない端末装置から送信されたデータと、制御情報とが衝突する可能性がある。その結果、他の端末装置が制御情報を受信できないと、上記の処理の実行が困難になる。これに対応するために、データを送信するために使用されるOFDM信号では、一部のサブキャリアにデータが格納されず、ヌルキャリアとされている(以下、このようなサブキャリアを「識別キャリア」という)。一方、制御情報を送信するために使用されるOFDM信号では、識別キャリアにも信号が配置されている。そのため、仮に、データと制御情報とが衝突した場合であっても、端末装置は、識別キャリアの信号成分を観測することによって、制御情報の存在を検知することができる。
さらに、近接した交差点のそれぞれにアクセス制御装置が設置される場合、それらのアクセス制御装置間の干渉を考慮する必要がある。仮に、各アクセス制御装置からブロードキャスト送信される制御情報が干渉すると、端末装置は、それらの制御情報を受信できなくなるおそれがあり、前述の動作が実現されなくなる。このような干渉は、各アクセス制御装置に対して異なった周波数チャネルを割り当てることによって回避できるが、別の周波数チャネルが設けられない場合、干渉を低減するための別の構成が必要とされる。これに対応するために、前述のごとく、制御スロットが複数確保される。各アクセス制御装置は、複数の制御スロットのそれぞれに対してキャリアセンスを実行することによって、ひとつの制御スロットを選択し、選択した制御スロットにて制御情報をブロードキャスト送信する。
図5は、本発明の変形例に係る通信システム100の構成を示す。これは、ひとつの交差点を上方から見た場合に相当する。通信システム100は、アクセス制御装置10、車両12と総称される第1車両12a、第2車両12b、第3車両12c、第4車両12d、第5車両12e、第6車両12f、第7車両12g、第8車両12hを含む。なお、各車両12には、図示しない端末装置が搭載されている。また、アクセス制御装置10によってエリア200が形成されている。
図示のごとく、図面の水平方向、つまり左右の方向に向かう道路と、図面の垂直方向、つまり上下の方向に向かう道路とが中心部分で交差している。ここで、図面の上側が方角の「北」に相当し、左側が方角の「西」に相当し、下側が方角の「南」に相当し、右側が方角の「東」に相当する。また、ふたつの道路の交差部分が「交差点」である。第1車両12a、第2車両12bが、左から右へ向かって進んでおり、第3車両12c、第4車両12dが、右から左へ向かって進んでいる。また、第5車両12e、第6車両12fが、上から下へ向かって進んでおり、第7車両12g、第8車両12hが、下から上へ向かって進んでいる。
各車両12に搭載された端末装置は、データを取得し、データが格納されたパケット信号をブロードキャスト送信する。ここで、本発明の変形例を説明する前に、端末装置が公知の無線LANに対応する場合、つまりCSMA/CAに対応する場合の動作を説明する。各端末装置は、キャリアセンスを実行して送信可能であると判定した場合に、データをブロードキャスト送信する。そのため、複数の端末装置からのデータが衝突する場合がある。また、端末装置の数が増加するにつれて、衝突の発生確率が増加する。特に、交差点のような場所では、車両12の衝突が発生しやすいにもかかわらず、データの衝突も発生しやすくなり、データを必要とするような場所においてデータの利用がなされなくなる。
そこで、通信システム100は、交差点にアクセス制御装置10を配置する。アクセス制御装置10は、図示しないGPS衛星から受信した信号をもとに、複数のスロットを含んだフレームが繰り返されるように生成する。ここで、複数のスロットのうちの一部が制御スロットに相当する。アクセス制御装置10は、制御スロット情報と識別情報とを制御情報に含める。さらに、アクセス制御装置10は、制御スロットにて制御情報を報知する。なお、制御スロットの選択については、後述する。
複数の端末装置は、アクセス制御装置10によって報知された制御情報を受信し、制御情報をもとに、フレームを生成する。その結果、複数の端末装置のそれぞれにおいて生成されるフレームは、アクセス制御装置10において生成されるフレームに同期する。また、複数の端末装置のそれぞれにおいて生成されるスロットは、互いに同期される。端末装置は、複数のスロットのそれぞれにおいてキャリアセンスを実行し、空きスロットを推定する。また、端末装置は、空きスロットの中から、ひとつのスロットをランダムに選択する。さらに、端末装置は、選択したスロットにて、データを報知する。端末装置は、複数のフレームにわたって、フレーム内の相対的なタイミングが同一のスロットを選択し続ける。なお、端末装置は、制御情報を受信できていない場合であっても、データを報知してもよい。これは、当該端末装置が、アクセス制御装置10によって形成されたエリア200の中に存在しない場合に相当する。その際、端末装置は、CSMA/CAを実行する。他の端末装置からのデータを受信した端末装置は、データをもとに、他の端末装置が搭載された車両12の存在を認識する。
ここで、アクセス制御装置10から報知される制御情報と、端末装置から報知されるデータとは、ともにOFDM信号を使用する。しかしながら、両者の配置されているサブキャリアは、同一ではない。データは、前述の識別キャリアに配置されていない。一方、識別情報は、データが配置されたサブキャリアに加えて、識別キャリアにも配置される。その結果、仮に、データと制御情報とが衝突した場合であっても、端末装置は、識別キャリアの信号成分を観測することによって、制御情報の存在を検知できる。なお、端末装置によるエリア200への進入検出は、識別キャリアに対してなされてもよい。
図6は、アクセス制御装置10の構成を示す。アクセス制御装置10は、アンテナ150、RF部152、変復調部154、処理部156、GPS測位部158、フレーム生成部160、制御部162を含む。GPS測位部158は、図示しないGPS衛星からの信号を受信し、受信した信号をもとに時刻の情報を取得する。なお、時刻の情報の取得には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。GPS測位部158は、時刻の情報をフレーム生成部160へ出力する。
フレーム生成部160は、GPS測位部158から時刻の情報を取得する。フレーム生成部160は、時刻の情報をもとに、複数のフレームを生成する。例えば、フレーム生成部160は、「0msec」となるタイミングを基準にして、「1sec」の期間を10分割することによって、「100msec」のフレームを10個生成する。このような処理を繰り返すことによって、フレームが繰り返されるように規定される。また、フレーム生成部160は、各フレームを複数に分割することによって、複数のスロットを生成する。例えば、各フレームが200分割されることによって、「500μsec」のスロットが200個生成される。
ここで、フレームに含まれた複数のスロットのうちの一部が、「制御スロット」として確保されている。例えば、ひとつのフレームに含まれた200個のスロットのうち、先頭から5個のスロットが制御スロットとされる。また、制御スロットは、アクセス制御装置10が制御情報をブロードキャスト送信するために使用されるスロットである。さらに、フレームに含まれた複数のスロットのうちの残りが、図示しない端末装置間の通信のために確保される。前述のごとく、通信システム100は、OFDM変調方式を採用しているので、各スロットは、複数のOFDMシンボルから構成されるように規定される。また、OFDMシンボルは、ガードインターバル(GI)と有効シンボルとによって構成される。なお、各スロットの前方の部分や後方の部分にガードタイムが設けられてもよい。ここで、スロットに含まれた複数のOFDMシンボルのまとまりが、前述のパケット信号に相当する。
図7(a)−(d)は、フレーム生成部160において生成されるフレームのフォーマットを示す。図7(a)は、フレームの構成を示す。図示のごとく、第iフレームから第i+2フレームのように、複数のフレームが繰り返されるように規定されている。また、各フレームの期間は、例えば、「100msec」である。図7(b)は、ひとつのフレームの構成を示す。図示のごとく、ひとつのフレームは、M個のスロットによって構成されている。例えば、Mは「200」であり、各スロットの期間は「500μsec」である。また、フレームの先頭部分に配置されたスロットが制御スロットに相当し、制御スロットを配置した区間が制御領域220として示されている。
ここでは、第1スロットから第5スロットまでの5つのスロットが、制御スロットとして制御領域220に含まれている。図7(c)は、ひとつのスロットの構成を示す。図示のごとく、スロットの前方の部分と後方の部分とにガードタイムが設けられている。また、スロットの残りの期間は、N個のOFDMシンボルによって構成されている。図7(d)は、ひとつのOFDMシンボルの構成を示す。図示のごとく、ひとつのOFDMシンボルは、GIと有効シンボルによって構成されている。図6に戻る。
RF部152は、受信処理として、各スロットにおいて、図示しない他の端末装置間の通信において送信されるパケット信号をアンテナ150にて受信する。ここで、図7(a)のような複数のスロットを含んだフレームが繰り返されるような規定がなされている場合に、複数のスロットの中から選択されたスロットにて、データがフレームの周期で報知されている。また、データには、報知元になる端末装置の識別番号が含まれている。そのため、RF部152は、端末装置から、フレームの周期にてデータを受信する。RF部152は、アンテナ150を介して受信した無線周波数のパケット信号に対して周波数変換を実行し、ベースバンドのパケット信号を生成する。さらに、RF部152は、ベースバンドのパケット信号を変復調部154に出力する。RF部152は、送信処理として、各スロットにおいて、変復調部154から入力したベースバンドのパケット信号に対して周波数変換を実行し、無線周波数のパケット信号を生成する。さらに、RF部152は、無線周波数のパケット信号をアンテナ150から送信する。
変復調部154は、図1に示された変復調部54と同様の処理を実行するので、ここでは説明を省略する。処理部156は、フレーム生成部160から、フレームのタイミングと、フレームに含まれたスロットのタイミングとに関する情報を受けつける。処理部156は、フレームに含まれた複数のスロットのうち、制御スロットのタイミングを特定する。図7(a)の場合、制御領域220に含まれた5つの制御スロットが特定される。処理部156は、アンテナ150、RF部152、変復調部154を介して、各制御スロットに対するキャリアセンスを実行する。キャリアセンスとして公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。なお、処理部156は、変復調部154を経由せずに、RF部152から受信信号を受けつけてもよい。処理部156は、キャリアセンスの結果をもとに、5つの制御スロットのうちのひとつを選択する。例えば、干渉電力の最も小さい制御スロットが選択される。
処理部156は、選択した制御スロットに関する制御スロット情報を生成する。また、処理部156は、制御スロット情報と識別情報を含めながら、制御情報を生成する。処理部156は、選択した制御スロットへ制御情報を割り当てる。処理部156は、割り当てた制御スロットにて、変復調部154へ制御情報を出力する。なお、通信システム100において定められた制御スロットにて制御情報をブロードキャスト送信することは、フレーム中の制御スロットのタイミングを通知することに相当する。また、フレーム中の制御スロットの相対的な位置は制御スロット情報に含まれているので、前述のことは、フレームのタイミングを通知することにも相当する。ここでのフレームのタイミングは、端末装置間の通信において、各端末装置がデータを報知する際に同期すべきタイミングに相当する。
前述のごとく、通信システム100は、OFDM変調方式に対応しているので、処理部156は、制御情報をOFDM信号として生成する。なお、図示しない複数の端末装置間のデータ通信にもOFDM信号が使用されている。ここでは、制御情報を配置させるOFDM信号(以下、これも「制御情報」ということがある)と、データを配置させるOFDM信号(以下、これも「データ」ということがある)とを比較しながら説明する。図8(a)−(b)は、通信システム100において使用されるOFDMシンボルのフォーマットを示す。図8(a)は、制御情報に相当し、図8(b)は、データに相当する。
ここで、両方において、縦の方向が周波数を示し、横の方向が時間を示す。縦の方向において、上から順に「31」、「30」、・・・「−32」の番号が示されているが、これらはサブキャリアを識別するために付与された番号(以下、「サブキャリア番号」という)である。また、OFDM信号の中において、サブキャリア番号「31」のサブキャリアの周波数が最も高く、サブキャリア番号「−32」のサブキャリアの周波数が最も低い。また、図中の「D」は、データシンボルに相当し、「P」は、パイロットシンボルに相当し、「N」は、ヌルに相当する。
制御情報とデータとに共通して、サブキャリア番号「31」から「27」、「2」、「0」、「−2」、「−26」から「−32」のサブキャリアは、ヌルである。また、制御情報のうち、サブキャリア番号「26」から「3」、「−3」から「−25」のサブキャリアは、データでも使用されており、また、両者においてシンボルの用途も同一である。一方、制御情報のうち、サブキャリア番号「1」、「−1」は、データにて使用されていない。これらは、前述の識別キャリアに相当する。つまり、識別キャリアは、OFDM信号のうちの中央の周波数付近のサブキャリアに配置されている。さらに、制御情報のうち、データでも使用されるサブキャリアと、識別キャリアとの間、つまりサブキャリア番号「2」、「−2」には、ガードバンドが設けられてる。なお、サブキャリア番号「−2」から「2」のサブキャリアをまとめて「識別キャリア」と呼んでもよい。
ここで、処理部156は、フレームに関する情報やスロットの番号を識別キャリアに配置する。また、処理部156は、重要度の高い情報を識別キャリアに優先的に配置してもよい。また、パケット信号の前方のOFDMシンボルには、既知信号が配置される。このような既知信号は、端末装置におけるAGCや、伝送路特性の推定に使用される。処理部156は、所定のスロットのうちの一部の期間にわたって、識別キャリアに既知信号を配置してもよい。このような既知信号は、例えば、UW(Unique Word)のように使用される。図6に戻る。
変復調部154、RF部152は、制御スロットにて、処理部156において生成した制御情報をアンテナ150からブロードキャスト送信する。制御情報の宛先のひとつは、端末装置である。制御情報を受信した端末装置は、各スロットのタイミングを認識し、端末装置間の通信のために確保したスロットのうちの少なくともひとつを使用する。また、端末装置は、複数のフレームにわたってデータを報知する場合に、フレーム内での相対的なタイミングが同一のスロットを使用する。制御部162は、アクセス制御装置10全体の処理を制御する。
図9は、車両12に搭載された端末装置14のタイミング特定部60の構成を示す。端末装置14の構成は、図1と同様のタイプであるので、ここでは差異を中心に説明する。タイミング特定部60は、制御情報抽出部66、スロット決定部68を含む。制御情報抽出部66は、変復調部54からの復調結果を受けつける。また、制御情報抽出部66は、復調結果のうち、識別キャリアに対応したサブキャリアの部分を監視する。識別キャリアに対応したサブキャリアの部分に有効なデータが含まれている場合、制御情報抽出部66は、制御情報が含まれたスロット、つまり制御スロットを受信していることを認識する。また、制御情報抽出部66は、制御情報が含まれたスロットを受信しているタイミングを基準として、フレームおよびスロットの同期を確立する。
具体的に説明すると、制御情報抽出部66は、制御情報に含まれた制御スロット情報をもとに、受けつけた復調結果が配置された制御スロットを特定し、これを基準にフレームを生成する。制御スロット情報が、図7(b)の第3スロットに相当すれば、制御情報抽出部66は、第3スロットを基準にしてフレームを生成する。つまり、制御情報抽出部66は、制御スロット情報に対応したフレームに同期するように、複数のスロットが含まれたフレームを生成する。これは、制御情報抽出部66は、制御情報から、フレームのタイミングと、フレームに含まれたスロットのタイミングとに関する情報を抽出することに相当する。制御情報抽出部66は、生成したフレームに関する情報をスロット決定部68へ出力する。
スロット決定部68は、制御情報抽出部66において生成したフレームに含まれた複数のスロットのそれぞれに対する干渉電力をキャリアセンスにて測定する。また、スロット決定部68は、干渉電力をもとに、空きスロットを推定する。具体的に説明すると、スロット決定部68は、所定のしきい値を予め記憶しており、各スロットでの干渉電力としきい値とを比較する。また、スロット決定部68は、しきい値よりも小さい干渉電力のスロットを空きスロットと推定し、そのうちのひとつをランダムに特定する。なお、スロット決定部68は、干渉電力が最小のスロットを特定してもよい。
その結果、スロット決定部68は、制御スロット情報に同期したスロットであって、かつフレームの周期で到来するスロットを決定する。なお、制御情報抽出部66において制御情報が抽出されない場合、スロット決定部68は、CSMA/CAを実行することによって、送信タイミングを決定する。スロット決定部68は、特定したスロットや決定した送信タイミングを生成部64へ通知する。生成部64は、図1と同様に、パケット信号を生成するが、スロット決定部68において特定したスロットにて、変復調部54、RF部52、アンテナ50を介して当該パケット信号をブロードキャスト送信する。
以上の構成による通信システム100の動作を説明する。図10は、通信システム100の動作概要を示す。図の横方向が時間に相当しており、図の縦方向に第1アクセス制御装置10aから第3アクセス制御装置10cが示されている。また、図10では、図7(b)での制御領域220のみを示している。前述のごとく、ここでは、制御領域220に5つの制御スロットが配置されているとしている。図中の「制」は、制御情報に相当する。第1アクセス制御装置10aは、先頭の制御スロットを使用し、第2アクセス制御装置10bは、5番目の制御スロットを使用し、第3アクセス制御装置10cは、3番目の制御スロットを使用する。その結果、各アクセス制御装置10からブロードキャスト送信される制御情報間の干渉が低減される。
図11は、タイミング特定部60が含まれた端末装置によるデータの報知手順を示すフローチャートである。制御情報抽出部66は、制御情報を受信し(S120)、フレームを生成した(S122)後に、スロット決定部68は、スロットを特定する(S124)。処理部56、変復調部54、RF部52、アンテナ50は、特定したスロットからデータを報知する(S132)。
次に、本発明の別の変形例を説明する。別の変形例は、変形例と同様に、アクセス制御装置10と端末装置14とを含む通信システム100である。別の変形例は、変形例よりもパケット信号の衝突確率を低減することを目的とする。変形例において、アクセス制御装置10は、フレームのタイミングを制御情報にて報知している。一方、別の変形例において前述の目的を達成するために、アクセス制御装置10は、さらに別の情報を制御情報に含めて報知する。アクセス制御装置10は、各スロットでの受信電力を測定することによって、複数の端末装置間の通信に使用されてないスロット(以下、「空きスロット」という)を特定する。なお、空きスロットは、制御スロット以外のスロットを対象とする。
アクセス制御装置10は、各スロットにおいて、複数の端末装置から送信されたパケット信号が衝突しているかも測定することによって、衝突が発生しているスロット(以下、「衝突スロット」という)を特定する。なお、衝突スロットも、制御スロット以外のスロットを対象とする。また、アクセス制御装置10は、特定した空きスロットや衝突スロットに関する情報も制御情報に含める。端末装置14は、制御情報をもとに空きスロットを推定し、空きスロットの中からひとつのスロットをランダムに選択する。さらに、端末装置14は、選択したスロットにおいて、データをブロードキャスト送信する。別の変形例に係る通信システム100、端末装置14は、図6、図1、9とそれぞれ同様のタイプである。ここでは、差異を中心に説明する。
図12は、本発明の別の変形例に係るアクセス制御装置10の構成を示す。アクセス制御装置10は、アンテナ20、RF部22、変復調部24、処理部26、GPS測位部28、制御部30を含む。また、処理部26は、検出部32、フレーム規定部34、生成部36、選択部110を含み、検出部32は、電力測定部38、品質測定部40、空きスロット特定部42、衝突スロット特定部44を含む。アンテナ20、RF部22、変復調部24、GPS測位部28、制御部30、フレーム規定部34は、図6のアンテナ150、RF部152、変復調部154、GPS測位部158、制御部162、フレーム生成部160にそれぞれ対応するので、ここではこれらの説明を省略する。
選択部110は、制御領域220における複数の制御スロットのそれぞれに対して、キャリアセンスを実行し、キャリアセンスの結果をもとに、ひとつの制御スロットを選択する。選択部110の処理は、図6の処理部156においてなされる処理と同様であるので、ここでは説明を省略する。選択部110は、選択した制御スロットに関する情報を生成部36へ出力する。
電力測定部38は、RF部22あるいは変復調部24から、受信信号を受けつけ、受信電力を測定する。ここで、受信電力はスロット単位に測定される。また、スロットは、制御スロット以外のスロットに相当する。そのため、電力測定部38では、複数のスロットのそれぞれに対する受信電力が測定される。電力測定部38は、スロット単位の受信電力を空きスロット特定部42および衝突スロット特定部44へ出力する。品質測定部40は、変復調部24からの復調結果を受けつけ、複数のスロットのそれぞれに対する信号品質を測定する。ここでは、信号品質として誤り率が測定される。また、スロットは、制御スロット以外のスロットに相当する。なお、誤り率の測定には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。また、信号品質として、誤り率の代わりに、EVM(Error Vector Magnitude)等が測定されてもよい。品質測定部40は、誤り率を衝突スロット特定部44へ出力する。
空きスロット特定部42は、電力測定部38から、スロット単位の受信電力を受けつける。空きスロット特定部42は、各受信電力としきい値(以下、「空きスロット用しきい値」という)を比較し、受信電力が空きスロット用しきい値よりも小さくなっているスロットを特定する。つまり、空きスロット特定部42は、制御領域220以外における複数のスロットの中から、複数の端末装置間の通信に使用可能なスロットを空きスロットとして検出する。ここで、空きスロットが複数存在する場合、空きスロット特定部42は、それらを特定する。空きスロット特定部42は、特定した空きスロットに関する情報を生成部36へ出力する。
衝突スロット特定部44は、電力測定部38から、スロット単位の受信電力を受けつけ、品質測定部40から、スロット単位の誤り率を受けつける。また、衝突スロット特定部44は、スロット単位に、受信電力と誤り率とを関連づける。衝突スロット特定部44は、スロット単位に、受信電力と第1しきい値とを比較するとともに、誤り率と第2しきい値とを比較する。衝突スロット特定部44は、受信電力が第1しきい値よりも大きく、かつ誤り率が第2しきい値より悪化しているスロットを衝突スロットとして特定する。つまり、衝突スロット特定部44は、受信電力が大きいものの通信品質が悪化しているスロットを衝突スロットとして認定する。このように、衝突スロット特定部44は、複数の端末装置が信号を重複して送信したことによって衝突が発生したスロットを衝突スロットとして検出する。衝突スロット特定部44は、特定した衝突スロットに関する情報を生成部36へ出力する。
生成部36は、空きスロット特定部42から、空きスロットに関する情報を受けつけるとともに、衝突スロット特定部44から、衝突スロットに関する情報を受けつける。生成部36は、空きスロットに関する情報と衝突スロットに関する情報を含めながら、制御情報を生成する。ここで、フレームに含まれた複数のスロットのそれぞれには、前から順番に「1」、「2」となるような番号(以下、「スロット番号」という)が付与されている。生成部36は、空きスロットに関する情報として、以前のフレームに含まれた空きスロットのスロット番号を制御情報に含める。また、生成部36は、フレーム規定部34からフレームやスロットに関する情報を受けつける。生成部36は、いずれかの制御スロットへ定期的に制御情報を割り当てる。生成部36は、割り当てた制御スロットにて、変復調部24へ制御情報を出力する。
変形例において、端末装置14のスロット決定部68は、キャリアセンスの結果をもとに、空きスロットを推定している。一方、別の変形例において、スロット決定部68は、制御情報に含まれた空きスロットに関する情報や衝突スロットに関する情報をもとに、空きスロットを推定する。ここでは、変形例に係る端末装置14での処理を説明する。
制御情報抽出部66は、変復調部54からの制御情報を受けつける。制御情報抽出部66は、制御情報から、空きスロットに関する情報、衝突スロットに関する情報を取得する。制御情報抽出部66は、空きスロットに関する情報および衝突スロットに関する情報をスロット決定部68へ出力する。スロット決定部68は、制御情報抽出部66から、空きスロットに関する情報および衝突スロットに関する情報を受けつける。スロット決定部68は、空きスロットに関する情報をもとに、フレーム中の制御領域220以外のスロットから、空きスロットを選択する。
このような処理の継続中も、制御情報抽出部66は、フレームごとに制御情報から、空きスロットに関する情報および衝突スロットに関する情報を取得し続ける。スロット決定部68は、衝突スロットに関する情報をもとに、現在使用しているスロットに対応したスロット番号が衝突スロットとされていないかを確認する。衝突スロットとされていなければ、スロット決定部68は、これまでと同一のスロット番号を生成部64へ出力し続ける。一方、衝突スロットとされていれば、スロット決定部68は、空きスロットに関する情報をもとに、空きスロットを再び推定する。つまり、スロット決定部68は、これまでの処理を繰り返し実行する。
なお、制御情報抽出部66において受けつけた制御情報に、空きスロットに関する情報が含まれていなければ、スロット決定部68は、変形例の動作を実行すればよい。これは、図12のアクセス制御装置10からの制御情報ではなく、図6のアクセス制御装置10からの制御情報が報知されている場合に相当する。その際、スロット決定部68は、制御情報抽出部66において生成したフレームに含まれた複数のスロットのそれぞれにおいて、キャリアセンスを実行する。スロット決定部68は、制御情報抽出部66が空きスロットに関する情報を受けつけない場合に、キャリアセンスの実行結果をもとに、空きスロットを推定する。
図13は、本発明の別の変形例に係る通信システム100の動作概要を示す。図の横方向が時間に相当しており、最上段に記載しているように、第iフレームから第i+2フレームまでの3つのフレームが示されている。また、説明を明瞭にするために、ひとつのフレームに含まれる制御スロットをひとつにするとともに、ひとつのフレームに15個のスロットが含まれているとする。アクセス制御装置10は、図示のごとく、各フレームの先頭のスロットにて、制御情報を報知する。図中の「制」は、制御情報に相当する。また、その下段には、制御情報に含まれている空きスロットに関する情報と衝突スロットに関する情報が、スロットに対応づけられながら示されている。図中の「空」は、空きスロットに相当し、「衝」は、衝突スロットに相当する。
さらに下段には、第1端末装置14aから第4端末装置14dがデータを報知するタイミングが示されている。図中の「デ」は、データに相当する。第1端末装置14aから第4端末装置14dは、制御情報を参照し、空きスロットをそれぞれ選択する。第iフレームにおいて、第1端末装置14aから第4端末装置14dは、選択した空きスロットにてデータを報知する。その際、第3端末装置14cと第4端末装置14dにおいて選択された空きスロットが同一であるので、両者から報知されたデータが衝突している。アクセス制御装置10は、当該スロットでの衝突の発生を検出する。第i+1フレームにおいて、アクセス制御装置10から報知される制御情報には、衝突スロットに関する情報として、衝突が発生したスロットが示されている。
第1端末装置14aおよび第2端末装置14bは、既に使用したスロットにおいて衝突が発生していないので、同一のスロット番号のスロットを再び使用する。一方、第3端末装置14cおよび第4端末装置14dは、既に使用したスロットにおいて衝突が発生しているので、別の空きスロットを再び選択する。第3端末装置14cおよび第4端末装置14dは、選択した空きスロットにてデータを報知する。すべてのデータが衝突していないので、第i+2フレームにおいて、アクセス制御装置10から報知される制御情報には、衝突スロットが示されていない。そのため、第i+2フレームにおいて、第1端末装置14aから第4端末装置14dは、既に使用したスロットと同一のスロット番号のスロットを再び使用する。
図14は、アクセス制御装置10における空きスロットの通知手順を示すフローチャートである。検出部32は、スロット番号mをsに設定する(S10)。電力測定部38は、受信電力を測定する(S12)。空きスロット特定部42は、受信電力が空きスロット用しきい値よりも小さければ(S14のY)、スロット番号mのスロットを空きスロットと特定する(S16)。空きスロット特定部42は、受信電力が空きスロット用しきい値よりも小さくなければ(S14のN)、ステップ16の処理をスキップする。スロット番号mが最大数Mでなければ(S18のN)、検出部32は、スロット番号mに1を加算して(S20)、ステップ12に戻る。一方、スロット番号mが最大数Mであれば(S18のY)、生成部36は、空きスロットのスロット番号を制御情報に含める(S22)。変復調部24、RF部22は、制御情報を報知する(S24)。
図15は、アクセス制御装置10における衝突スロットの通知手順を示すフローチャートである。検出部32は、スロット番号mをsに設定する(S40)。電力測定部38は、受信電力を測定し、品質測定部40は、誤り率を測定する(S42)。衝突スロット特定部44は、受信電力が第1しきい値より大きく、かつ誤り率が第2しきい値よりも大きければ(S44のY)、スロット番号mのスロットを衝突スロットと特定する(S46)。衝突スロット特定部44は、受信電力が第1しきい値より大きくなく、あるいは誤り率が第2しきい値よりも大きくなければ(S44のN)、ステップ46の処理をスキップする。スロット番号mが最大数Mでなければ(S48のN)、検出部32は、スロット番号mに1を加算して(S50)、ステップ42に戻る。一方、スロット番号mが最大数Mであれば(S48のY)、生成部36は、衝突スロットのスロット番号を制御情報に含める(S52)。変復調部24、RF部22は、制御情報を報知する(S54)。
図16は、本発明の別の変形例に係る端末装置14におけるデータの送信手順を示すフローチャートである。制御情報抽出部66は、制御情報を取得する(S70)。使用すべきスロットが既に特定されていれば(S72のY)、スロット決定部68は、当該スロットに衝突が発生していないかを確認する。衝突が発生していれば(S74のY)、スロット決定部68は、スロットを変更する(S76)。衝突が発生していなければ(S74のN)、ステップ76はスキップされる。一方、使用すべきスロットが既に特定されていなければ(S72のN)、スロット決定部68は、空きスロットを推定した後に、空きスロットをランダムに特定する(S78)。生成部64は、特定したスロットにて、データを送信する(S80)。
本発明の実施例によれば、出発地点から目的地点への経路をもとに、次の交差点での進行方向を推定するので、運転者の操作がなくても進行方向を自動的に推定できる。また、進行方向が自動的に推定されるので、運転者の操作が正確でなくても、有効な走行状況を報知できる。また、進行方向が自動的に推定されるので、衝突事故を防止するために有効な走行状況を報知できる。また、車線に関する情報を使用するので、局所的な情報をもとに進行方向を推定できる。また、局所的な情報をもとに進行方向を推定するので、推定精度を向上できる。また、車線から進行方向が推定されなくても、経路をもとに進行方向が推定されるので、進行方向を報知できる。
アクセス制御装置からの制御情報にしたがって生成したスロットにてデータを報知するので、複数の端末装置間の同期を確立できる。また、複数の端末装置間の同期が確立されるので、データの衝突確率を低減できる。また、スロット内にてデータを報知するので、複数のデータの一部が重なって衝突するような状況の発生を低減できる。また、スロット内にてデータを報知するので、フレームの利用効率を向上できる。また、空きスロットを推定し、空きスロットのうちのいずれかを選択するので、通信量が増加した場合であってもパケット信号の衝突確率を低減できる。また、キャリアセンスの結果をもとに空きスロットを推定するので、端末装置の周囲の状況に応じた空きスロットを推定できる。
また、制御情報をもとに空きスロットを推定するので、アクセス制御装置の周囲の状況に応じた空きスロットを推定できる。また、空きスロットに関する情報が制御情報に含まれていなければ、キャリアセンスを実行するので、さまざまなアクセス制御装置に応じた処理を実行できる。また、制御情報のうち、識別キャリアは、データに使用させず、残りのサブキャリアは、データにも使用されるので、制御情報とデータとが衝突しても制御情報の信号成分を観測させることによって、制御情報の存在を検知させることができる。また、識別キャリアとそれ以外のサブキャリアとの間にガードバンドが設けられるので、両者の間の干渉を低減でき、識別キャリアで伝送している情報の到達確率を向上できる。また、識別キャリアに、重要な情報を配置するので、重要な情報の到達確率を向上できる。また、識別キャリアにUWを配置するので、識別キャリアの検出精度を向上できる。
また、フレームに含まれた複数のスロットのうち、制御領域が制御スロットのために確保されているので、制御情報とデータとの干渉を低減できる。また、制御領域に複数の制御スロットが配置されているので、複数のアクセス制御装置からの制御情報間の干渉を低減できる。また、干渉が低減されるので、制御情報の品質の悪化を抑制できる。また、制御情報の品質の悪化が抑制されるので、制御情報の内容を正確に伝送できる。また、複数の制御情報間の干渉が低減されるので、複数のアクセス制御装置を配置できる。また、複数のアクセス制御装置が配置されるので、各交差点でのパケット信号の衝突確率を低減できる。また、他のアクセス制御装置に使用されていない制御スロットを推定するので、複数の制御情報間の干渉を低減できる。
また、複数のスロットの中から、複数の端末装置間の通信に使用可能なスロットを報知するので、複数の端末装置間の通信における衝突の発生確率を低減できる。また、複数の端末装置間の通信における衝突の発生確率が低減されるので、通信量が増加した場合であってもパケット信号の衝突確率を低減できる。また、複数のスロットのそれぞれに対する受信電力をもとに、空きスロットを特定するので、特定を簡易に実行できる。また、以前のフレームに含まれた空きスロットの番号を報知するので、端末装置への指示を確実に実行できる。また、空きスロットを使用している端末装置は、複数のフレームにわたって、当該スロットに対応したスロットを使用するので、処理を簡易にできる。また、アクセス制御装置は、端末装置間のデータ通信に参加せず、空きスロットに関する指標を通知するだけなので、CSMA/CAを前提とした通信システムにも容易に適用できる。
また、複数のスロットの中から、複数の端末装置が信号を重複して送信したことによって衝突が発生したスロットを報知するので、複数の端末装置間の通信における衝突の発生確率を低減できる。また、複数のスロットのそれぞれに対する受信電力と、複数のスロットのそれぞれに対する信号品質とをもとに、衝突スロットを特定するので、特定を簡易に実行できる。また、以前のフレームに含まれた衝突スロットの番号を報知するので、端末装置への指示を確実に実行できる。また、アクセス制御装置は、端末装置間のデータ通信に参加せず、衝突スロットに関する指標を通知するだけなので、CSMA/CAを前提とした通信システムにも容易に適用できる。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
本発明の別の変形例において、フレーム生成部160は、複数のスロットにて形成されたフレームが規定される。しかしながらこれに限らず例えば、フレーム生成部160は、フレームに複数のスロット以外の期間を設けてもよい。具体的には、フレームの一部の期間に複数のスロットが配置され、残りの期間では、複数の端末装置14間においてCSMA/CAがなされてもよい。その際、アクセス制御装置は、CSMA/CAの期間では、空きスロットや衝突スロットの検出を実行しない。本変形例によれば、端末装置14は、スロットによる通信とCSMA/CAによる通信を選択できるので、通信の自由度を向上できる。つまり、フレームは、複数のスロットを少なくとも含んでいればよい。
本発明の変形例や別の変形例において、アクセス制御装置10から報知される制御情報や、ひとつの端末装置14から報知されるデータは、ひとつのスロットに割り当てられている。しかしながらこれに限らず例えば、制御情報やデータが、ふたつ以上のスロットに割り当てられていてもよい。本変形例によれば、制御情報やデータの通信速度を向上できる。
本発明の変形例や別の変形例において、識別キャリアは、ふたつのサブキャリアに相当する。また、識別キャリアは、OFDMシンボルの中央周波数付近のサブキャリアに配置されている。しかしながらこれに限らず例えば、識別キャリアは、ふたつ以上のサブキャリアに相当してもよく、識別キャリアは、OFDMシンボルの中央周波数付近以外のサブキャリアに配置されていてもよい。その際、識別キャリアに、空きスロットに関する情報や衝突スロットに関する情報を含めてもよい。本変形例によれば、通信システム100の設計の自由度を向上できる。
本発明の実施例において、第1推定部308が進行方向を推定するとともに、第2推定部310も進行方向を推定する。しかしながらこれに限らず例えば、第1推定部308だけが進行方向を推定してもよい。その場合、第2推定部310および選択部312は不要になる。本変形例によれば、処理を簡易化できる。一方、これとは逆に、第2推定部310だけが進行方向を推定してもよい。その場合、第1推定部308および選択部312は不要になる。本変形によれば、局所的な情報をもとに進行方向を推定するので、推定精度を向上できる。
本発明の実施例において、第1推定部308は、次の交差点における進行方向を推定する。しかしながらこれに限らず例えば、第1推定部308は、次の交差点よりも先に進入すると予想される交差点における進行方向を推定してもよい。また、第1推定部308は、複数の交差点のそれぞれにおける進行方向を推定してもよい。本変形例によれば、さまざまな交差点における進行方向を報知できる。