JP2010256864A - プロジェクター - Google Patents

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Abstract

【課題】液晶パネルの面内温度差を低減し、液晶パネルを効率的に冷却できるプロジェクターを提供する。
【解決手段】プロジェクターは、一対の基板間に液晶が密閉封入された液晶パネル341と、冷却液体により液晶パネル341を冷却する液冷装置とを備える。一対の基板の一方の基板外面には、光学軸OAxに平行な方向の熱伝導率が光学軸に直交する方向の熱伝導率に対して大きい光学結晶材料で構成された第1透光性基板Cr1が設けられている。液冷装置は、冷却液体が流通する管形状を有し、第1透光性基板Cr1における側端部CrL1,CrR1,CrD1に沿って配設される液体流通管51を備える。液体流通管51は、冷却液体の流通方向R1,R2が光学軸OAxに直交するように第1透光性基板Cr1に対して熱伝達可能に接続されている。
【選択図】図7

Description

本発明は、プロジェクターに関する。
従来、プロジェクターにおいて、液晶パネルを効率的に冷却するために、液晶パネルを保持する保持体に冷却液体を流入出し、該冷却液体により液晶パネルを冷却する構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
具体的に、この保持体は、液晶パネルの光透過領域を囲む環形状を有し内部に冷却液体を流通させる液体流通管と、液体流通管が内部に配設され、液晶パネルの周縁部を熱伝達可能に支持する支持枠とを備える。
また、特許文献1に記載のプロジェクターでは、外面に塵埃が付着した場合であっても、投影画像中に塵埃が映り込むことを防止するために、液晶パネルの外面にそれぞれ防塵ガラスを貼り付けている。
そして、上述した液体流通管は、支持枠を介して、防塵ガラスの表面に熱伝達可能な状態で接続する。
特開2007−41412号公報
ところで、特許文献1に記載のプロジェクターでは、防塵ガラスとしては、光学軸に平行な方向と直交する方向とで熱伝導率の異なる光学結晶である水晶を採用している。
そして、このような防塵ガラスを採用した場合には、上述した防塵ガラスの熱伝導異方性により、液晶パネルの中央部の熱を、防塵ガラスを介して液晶パネルの周縁に配設された液体流通管に良好に伝達させることが難しく、液晶パネルの中央部と周辺部とで面内温度差が大きくなってしまう、という問題がある。
本発明の目的は、液晶パネルの面内温度差を低減し、液晶パネルを効率的に冷却できるプロジェクターを提供することにある。
本発明のプロジェクターは、一対の基板間に液晶が封入された液晶パネルと、冷却液体により前記液晶パネルを冷却する液冷装置とを備えたプロジェクターであって、前記一対の基板の一方の基板外面には、光学軸に平行な方向の熱伝導率が前記光学軸に直交する方向の熱伝導率に対して大きい光学結晶材料で構成された第1透光性基板が設けられ、前記液冷装置は、前記冷却液体が流通する管形状を有し、前記第1透光性基板における側端部の少なくとも一部に沿って配設される液体流通管を備え、前記液体流通管は、前記冷却液体の少なくとも一部の流通方向が前記光学軸に直交するように前記第1透光性基板に対して熱伝達可能に接続されていることを特徴とする。
ここで、液体流通管としては、第1透光性基板における側端部の少なくとも一部に沿って配設される構成であればよい。すなわち、液体流通管としては、例えば、第1透光性基板が平面視矩形形状を有する場合には、4つの側端部のうち1つのみの側端部に沿って配設される構成、4つの側端部のうち2つの側端部に沿って平面視L字形状を有するように配設される構成、あるいは、4つの側端部のうち3つの側端部に沿って平面視U字形状を有するように配設される構成等が例示できる。
本発明では、第1透光性基板は、上述した水晶等の光学結晶材料で構成されている。また、液体流通管は、冷却液体の少なくとも一部の流通方向が光学軸に直交するように第1透光性基板に対して熱伝達可能に接続されている。このことにより、液晶パネルの中央部に生じた熱を、第1透光性基板における比較的大きい熱伝導率を有する光学軸に平行な方向に沿って液体流通管(内部を流通する冷却液体)へ伝達させ、効率的に放熱させることができる。
したがって、液晶パネルの中央部と周辺部との面内温度差を低減し、液晶パネルを効率的に冷却できる。
本発明のプロジェクターでは、前記第1透光性基板は、平面視矩形状に形成され、前記液体流通管は、前記第1透光性基板における4つの前記側端部のうち3つの前記側端部に沿うように屈曲形成されていることが好ましい。
なお、以下では、説明の便宜上、第1透光性基板の3つの側端部のうち、互いに対向する各側端部を対向側端部と記載し、各対向側端部に隣接する側端部のうちいずれか一方を隣接側端部と記載する。
また、上述したように屈曲形成された液体流通管において、第1透光性基板の各対向側端部に沿う部分を対向部と記載し、隣接側端部に沿う部分を隣接部として記載する。
本発明では、液体流通管は、平面視矩形状の第1透光性基板における各対向側端部及び隣接側端部に沿うように屈曲形成されている。このことにより、液体流通管の各対向部及び隣接部を第1透光性基板における各対向側端部側及び隣接側端部側に対してそれぞれ熱伝達可能に接続すれば、液晶パネルの中央部に生じた熱を、第1透光性基板を介して、液体流通管の各対向部及び隣接部にそれぞれ伝達させることができ、液晶パネルの中央部と周辺部との面内温度差をより低減できる。
本発明のプロジェクターでは、前記第1透光性基板は、前記3つの側端部のうち、互いに対向する各対向側端部の各長さ寸法を加えた寸法をA、前記各対向側端部に隣接する隣接側端部の長さ寸法をBとすると、A>Bの関係を有する場合には、前記各対向側端部に前記光学軸が直交するように形成され、A<Bの関係を有する場合には、前記隣接側端部に前記光学軸が直交するように形成されていることが好ましい。
ところで、A>Bの関係を有する場合には、液体流通管において、各対向部内部の冷却液体の各液量を加えた液量(以下、対向側液量)は、隣接部内部の冷却液体の液量(以下、隣接側液量)よりも多くなる。
本発明では、第1透光性基板は、A>Bの関係を有する場合には、各対向側端部に光学軸が直交するように、すなわち、各対向側端部に光学軸が向くように形成されている。
このことにより、液晶パネルの中央部に生じた熱を、第1透光性基板における光学軸に沿って液量の多い各対向部に主に伝達させ、効率的に放熱させることができる。したがって、液晶パネルの中央部を効果的に冷却し、液晶パネルの中央部と周辺部との面内温度差をより一層低減できる。
一方、A<Bの関係を有する場合には、上記とは逆に、対向側液量よりも隣接側液量の方が多くなる。
本発明では、第1透光性基板は、A<Bの関係を有する場合には、隣接側端部に光学軸が直交するように、すなわち、隣接側端部に光学軸が向くように形成されている。
このことにより、液晶パネルの中央部に生じた熱を、第1透光性基板における光学軸に沿って液量の多い隣接部に主に伝達させ、効率的に放熱させることができる。したがって、上記同様に、液晶パネルの中央部を効果的に冷却し、液晶パネルの面内温度差をより一層低減できる。
本発明のプロジェクターでは、前記第1透光性基板は、長辺方向に前記光学軸が向くように形成されていることが好ましい。
ところで、第1透光性基板の中央部から側端部までの長さが長いほど、その長さに応じて、第1透光性基板の中央部と液体流通管との間の熱抵抗が大きくなる。すなわち、第1透光性基板の短辺方向については、中央部から側端部までの長さが短いため、液体流通管に良好に熱を伝達させることができるが、第1透光性基板の長辺方向については、中央部から側端部までの長さが長いため、液体流通管に良好に熱を伝達させることが難しい。
本発明では、第1透光性基板は、比較的に大きい熱伝導率を有する光学軸が長辺方向に向くように形成されているので、第1透光性基板における長辺方向の熱抵抗を低減させることができる。したがって、液晶パネルの中央部に生じた熱を、第1透光性基板における短辺方向及び長辺方向に沿って液体流通管に良好に伝達させ、効率的に放熱させることができる。したがって、液晶パネルの中央部を効果的に冷却し、液晶パネルの中央部と周辺部との面内温度差をより一層低減できる。
本発明のプロジェクターでは、前記一対の基板の他方の基板外面には、光学軸に平行な方向の熱伝導率が当該光学軸に直交する方向の熱伝導率に対して大きい光学結晶材料で構成された第2透光性基板が設けられ、前記第2透光性基板は、平面視矩形状に形成され、前記第2透光性基板の光学軸は、当該第2透光性基板の長辺方向に沿うように設定されていることが好ましい。
ここで、液晶パネル及び第2透光性基板に入射される光の強度は、周縁に比べて中央で高いため、当該第2透光性基板における温度は、周縁に比べて中央で高くなりやすい。これに対し、光学軸に沿う方向は熱伝導率が高い方向である。このため、光学軸が第2透光性基板の長辺方向に沿うことにより、当該光学軸が第2透光性基板の短辺方向に沿う場合に比べ、第2透光性基板において高温となりやすい中央部の熱が保持される領域を拡大することができるので、当該熱を面内に拡散させることができる。
従って、第2透光性基板の面内温度差(透過する光束の光軸に直交する面内の温度差)を小さくでき、ひいては、当該第2透光性基板が設けられる液晶パネルの面内温度差を小さくできる。そして、これにより、液晶パネルの長寿命化を図ることができるほか、面内温度差に応じてVT(印加電圧−透過率)特性が部分的に変化することによる画像の劣化(輝度むら及び色むら等)を抑制できる。
本発明のプロジェクターでは、前記液晶パネルに冷却空気を送風して、当該冷却空気により前記液晶パネルを冷却する冷却装置を備え、前記冷却装置により送風され、前記第2透光性基板に沿って流通する前記冷却空気の流通方向は、前記第2透光性基板の光学軸に直交する方向に設定されていることが好ましい。
ここで、光学軸が第2透光性基板の長辺に沿い、冷却空気の流通方向が当該光学軸に沿う場合には、第2透光性基板に沿って流通する冷却空気の流路が長くなるため、流通方向基端側(風上側)と先端側(風下側)とで温度差が大きくなる。
これに対し、光学軸が第2透光性基板の長辺に沿い、冷却空気の流通方向が当該光学軸に直交する場合には、第2透光性基板に沿って流通する冷却空気の流路が上記の場合に比べて短くなるため、短辺に沿う一対の側端部の温度がそれぞれ略同じとなるほか、長辺に沿う一対の側端部の温度差を小さくできる。
従って、第2透光性基板の面内温度差を一層小さくできる。
本発明のプロジェクターでは、前記第2透光性基板は、長辺に沿う一対の側端部及び短辺に沿う一対の側端部を有し、前記冷却装置は、前記第2透光性基板における前記長辺に沿う前記一対の側端部のうち、前記液体流通管が位置しない側の側端部から、前記液体流通管が位置する側の側端部に向かって前記冷却空気を流通させることが好ましい。
本発明によれば、第2透光性基板における冷却空気の流通方向基端側(風上側)の温度を、当該流通方向先端側(風下側)より低くできる。ここで、当該流通方向先端側には、第1透光性基板と熱伝導可能に接続される液体流通管が設けられるので、第1透光性基板においては、冷却空気の流通方向基端側より当該流通方向先端側の温度が低くなる。このため、液晶パネルの一方の基板外面に設けられる第1透光性基板では、最高温度を示す部位は冷却空気の流通方向基端側となり、また、他方の基板外面に設けられる第2透光性基板では、最高温度を示す部位は冷却空気の流通方向先端側となる。これにより、液晶パネルにおける当該流通方向先端側及び基端側を効率よく冷却できるので、当該液晶パネルの面内温度差をより一層小さくできる。
本発明のプロジェクターでは、前記冷却装置は、前記第2透光性基板における前記長辺に沿う前記側端部の中央から、前記短辺に沿う前記側端部に向かうに従って、前記冷却空気の流速値が低減するように前記冷却空気を流通させることが好ましい。
前述のように、第2透光性基板における温度は、周縁で低くなりやすい。このため、第2透光性基板の端部を流通する冷却空気の流速値を、中央部を流通する冷却空気の流速値より低くすることにより、当該第2透光性基板の面内温度差を一層小さくできる。また、当該中央部の冷却空気の流速値は高くなるので、一定流量の冷却空気を用いて、第2透光性基板の中央を効率よく冷却することができる。
本発明のプロジェクターでは、前記冷却装置は、前記冷却空気の流速値と、前記長辺に沿う前記側端部の中央から端部までの距離値とが線形の関係となるように、前記冷却空気を送風することが好ましい。
本発明では、冷却空気の流速値は、光学軸に沿う側端部(換言すると、熱伝導率が高い方向に沿う側端部)の中央から端部に向かう距離値に対して線形の関係(比例関係)となるように、当該端部に向かうに従って低減する。これによれば、第2透光性基板の面内温度差をより一層小さくできる。
本発明のプロジェクターでは、前記液冷装置は、前記液晶パネルを支持するとともに、前記第1透光性基板及び前記液体流通管を熱伝達可能に接続する光学素子支持枠を備え、前記光学素子支持枠は、前記液体流通管における前記冷却液体の流通方向に略平行する平面にて分割形成され、前記液体流通管を挟持する第1支持枠及び第2支持枠を備え、前記各支持枠及び前記液体流通管は、金属材料でそれぞれ構成されるとともに、半田付けにより接合され、前記半田付け材料は、融点が200℃以下の材料で構成されていることが好ましい。
ところで、金属材料で構成された各支持枠及び液体流通管を一体化する際には、例えば、接着剤等が考えられる。
しかしながら、接着剤を用いた場合には、接着剤の熱伝導率が低いため、支持枠及び液体流通管間の熱抵抗が大きくなり、液晶パネルにて生じた熱を、液体流通管(冷却液体)に良好に伝達させることが難しい。
そこで、半田付けにより各支持枠及び液体流通管を接合することが考えられる。ここで、一般的な半田付け材料(鉛フリー半田)としては、融点が200℃を超えるものである。
しかしながら、このような半田付け材料を用いた場合には、各支持枠及び液体流通管を接合する際に200℃を超える温度まで半田付け材料を加熱して溶融させる必要があるため、各支持枠及び液体流通管を接合した後、各支持枠及び液体流通管が常温まで冷却されると、各支持枠及び液体流通管に残留応力が生じてしまう。
すなわち、上述したように接合された各支持枠にて液晶パネルを支持させた場合には、残留応力の影響により、各支持枠が液晶パネルに力を加えることとなり、投影画像の画質が劣化してしまう恐れがある。
本発明では、半田付け材料は、融点が200℃以下の材料で構成されている。このことにより、各支持枠及び液体流通管の接合時の温度を200℃以下とすることができ、接合後に各支持枠及び液体流通管に生じる残留応力を低減させることができる。したがって、上述したように接合された各支持枠にて液晶パネルを支持させた場合であっても、残留応力が低減されているため、各支持枠による液晶パネルの変形を抑制でき、投影画像の画質を良好に維持できる。
本実施形態におけるプロジェクターの概略構成を示す図。 本実施形態における液冷装置の構成を模式的に示す図。 本実施形態における光学素子保持部の構成を示す図。 本実施形態における光学素子保持部の構成を示す図。 本実施形態におけるタンクの構成を示す斜視図。 本実施形態における熱交換部の内部構造を模式的に示す断面図。 本実施形態における入射側防塵ガラスと液体流通管との位置関係を示す図。 本実施形態における光学素子支持枠の構成を示す図。 本実施形態における光学素子支持枠の構成を示す図。 本実施形態における光学素子支持枠の構成を示す図。 本実施形態における射出側防塵ガラスを示す図。 本実施形態における射出側防塵ガラスの光学軸及び冷却空気の送風方向と、射出側防塵ガラスの冷却効果とを示す模式図。 本実施形態における射出側防塵ガラスの光学軸及び冷却空気の送風方向と、射出側防塵ガラスの冷却効果とを示す模式図。 本実施形態における射出側防塵ガラスの長辺方向の各部位での冷却空気の流速値と温度との関係を示す模式図。 本実施形態における入射側防塵ガラス、射出側防塵ガラス及び液晶パネル全体において最高温度となる位置を示す模式図。
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
〔プロジェクターの構成〕
図1は、本実施形態におけるプロジェクター1の概略構成を示す図である。
プロジェクター1は、画像情報に応じた画像を形成してスクリーン(図示略)上に投射し、投影画像を表示する。このプロジェクター1は、図1に示すように、外装筐体2内部に、光学ユニット3、液冷装置4(図2参照)及び冷却装置10が収納された構成を有する。
このうち、冷却装置10は、光学ユニット3を構成する光学装置34の上方に位置するファン及びダクトにより構成されている。この冷却装置10は、外装筐体2の外部から取り込まれた冷却空気を光学装置34に向かって送風し、当該光学装置34を冷却する。
〔光学ユニットの構成〕
光学ユニット3は、制御装置(図示略)による制御の下、画像情報に応じて画像を形成して投射する。
この光学ユニット3は、図1に示すように、一対の光源装置31A,31Bと、反射ミラー31Cと、レンズアレイ321,322、偏光変換素子323、及び重畳レンズ324を有する照明光学装置32と、ダイクロイックミラー331,332、及び反射ミラー333〜336を有する色分離光学装置33と、光変調素子としての3つの液晶パネル341(赤色光側の液晶パネルを341R、緑色光側の液晶パネルを341G、青色光側の液晶パネルを341Bとする)、3つの入射側偏光板342、3つの射出側偏光板343、及び色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム344を有する光学装置34と、投射光学装置としての投射レンズ35と、これら各部材31A,31B、32〜34を内部に収納する光学部品用筐体36とを備える。
ここで、一対の光源装置31A,31Bは、図1に示すように、同様の構成を有し、光源ランプ311及びリフレクター312を備える。そして、一対の光源装置31A,31Bは、反射ミラー31Cに向けて光束を射出するように反射ミラー31Cを挟んで対向配置されている。
そして、光学ユニット3では、上述した構成により、一対の光源装置31A,31Bから射出された光束は、反射ミラー31Cにより、光学部品用筐体36内部に設定された照明光軸Ax(図1)に沿って反射され、照明光学装置32に照射される。照明光学装置32に照射された光束は、照明光学装置32にて面内照度が均一化されるとともに、色分離光学装置33にてR,G,Bの3つの色光に分離される。分離された各色光は、各液晶パネル341にて画像情報に応じてそれぞれ変調され、色光毎の画像が形成される。色光毎の画像は、プリズム344にて合成され、投射レンズ35にてスクリーン(図示略)に投射される。
〔液冷装置の構成〕
図2は、液冷装置4の構成を模式的に示す図である。
液冷装置4は、環状の流路に沿って水やエチレングリコール等の冷却液体を循環させ、該冷却液体により液晶パネル341を冷却する。この液冷装置4は、図2に示すように、3つの光学素子保持部5と、液体圧送部6と、液体蓄積部としてのタンク7と、熱交換ユニット8と、複数の液体循環部材9とを備える。
複数の液体循環部材9は、内部に冷却液体を流通可能とする管状部材で構成され、各部材5〜8を接続し、環状の流路を形成する。
なお、液体循環部材9により各部材5〜8の接続構造については、後述する。
〔光学素子保持部の構成〕
先ず、光学素子保持部5の構成を説明する前に、液晶パネル341の構成について説明する。なお、各液晶パネル341は、同様の構成であり、以下では1つの液晶パネル341のみを説明する。
液晶パネル341は、ガラスなどからなる一対の基板341C,341D(図9、図10参照)に電気光学物質である液晶が密閉封入された構成を有している。
一対の基板341C,341Dのうち、一方の基板341Cは、液晶を駆動するための駆動基板であり、具体的な図示は省略したが、複数のデータ線と、複数の走査線と、走査線及びデータ線の交差に対応して形成された画素電極と、TFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング素子とを有している。
また、他方の基板341Dは、基板341Cに対して所定間隔を空けて対向配置される対向基板であり、所定の電圧Vcomが印加される共通電極を有している。
そして、上述した駆動基板341Cは、対向基板341Dの外形形状よりも大きい外形形状となるように形成されている(図9、図10参照)。
また、対向基板341Dの外面には、対向基板341Dの外形形状と略同一の外形形状を有する第1透光性基板としての入射側防塵ガラスCr1が貼り付けられている(図9、図10参照)。
さらに、駆動基板341Cの外面にも、駆動基板341Cの外形形状と略同一の外形形状を有する第2透光性基板としての射出側防塵ガラスCr2が貼り付けられている(図9、図10参照)。
なお、各防塵ガラスCr1,Cr2の詳細な構成については、後述する。
図3及び図4は、光学素子保持部5の構成を示す図である。具体的に、図3は光学素子保持部5を光束入射側から見た斜視図であり、図4は、保持部本体5Sから押え板5Tを分解した状態を光束射出側から見た分解斜視図である。
3つの光学素子保持部5は、3つの液晶パネル341(各防塵ガラスCr1,Cr2も含む)をそれぞれ保持するとともに、内部に冷却液体が流入出し、該冷却液体により3つの液晶パネル341をそれぞれ冷却する。なお、各光学素子保持部5は、同様の構成であり、以下では1つの光学素子保持部5のみを説明する。
この光学素子保持部5は、図3または図4に示すように、保持部本体5Sと、押え板5Tとを備える。
保持部本体5Sは、図3または図4に示すように、液体流通管51と、光学素子支持枠52とを備える。
液体流通管51は、銅等の金属材料から構成され、冷却液体が流入出する部材である。
この液体流通管51は、液晶パネル341の画像形成領域(光透過領域)を平面視で囲むように屈曲形成され、冷却液体を流入出させる各端部が上方側に平行して延出するように形成されている(図7参照)。
光学素子支持枠52は、アルミニウム合金等の金属材料から構成され、略矩形板体形状を有し、液晶パネル341を支持する。また、光学素子支持枠52内部には、液体流通管51が液晶パネル341の側端部に対向するように配設される(図7、図9、図10参照)。
この光学素子支持枠52において、光束射出側端面には、図4に示すように、液晶パネル341を収納するための収納凹部521が形成されている。
具体的に、収納凹部521は、光学素子支持枠52の光束射出側端面から光束入射側に向けて窪む第1凹部521Aと、第1凹部521Aの底部分からさらに光束入射側に向けて窪む第2凹部521Bとで構成され、側壁が液晶パネル341の外形形状(駆動基板341C及び対向基板341Dの外形形状の差による段付き形状)に対応して段付き状に形成されている(図9、図10参照)。
また、第2凹部521Bの底部分には、図3に示すように、光透過領域に対応した開口部521Cが形成されている。
押え板5Tは、図4に示すように、光透過領域に対応した開口部53を有する略矩形板体で構成され、保持部本体5Sの光束射出側に配設される。
この押え板5Tは、板バネ状に形成され、光学素子支持枠52の左右の側端部に係合することで、開口部53の周辺部分にて、収納凹部521に収納された液晶パネル341(射出側防塵ガラスCr2)を光束入射側に押圧する。
すなわち、押え板5Tにて液晶パネル341が光束入射側に押圧されることで、入射側防塵ガラスCr1の光束入射側端面が第2凹部521Bの底部分に面接触する(図9、図10参照)。
以上のように、光学素子保持部5は、液晶パネル341の熱を、液晶パネル341〜入射側防塵ガラスCr1〜光学素子支持枠52〜液体流通管51の熱伝達経路を辿って放熱させるように構成されている。
なお、光学素子支持枠52の具体的な構成については、後述する。
〔液体圧送部の構成〕
液体圧送部6は、冷却液体を吸入及び圧送するポンプであり、環状の流路に沿って冷却液体を循環させる。
この液体圧送部6は、例えば、中空部材内に羽根車が配置された構成を有し、前記羽根車が回転することで、冷却液体を吸入及び圧送する。
なお、液体圧送部6の構成としては、上述した羽根車を有する構成に限らず、ダイヤフラムを利用した他の構成を採用してもよい。
〔タンクの構成〕
図5は、タンクの構成を示す斜視図である。
タンク7は、略直方体状の中空部材で構成され、流入した冷却液体を一時的に蓄積した後に流出する。
このタンク7において、上方側の端面には、図5に示すように、内部に連通し、タンク7に冷却液体を注入するための注入部71が設けられている。
すなわち、液冷装置4を組み立てた後、注入部71を介して冷却液体を注入することで、液冷装置4に冷却液体が充填されることとなる。
なお、図5では、図示を省略したが、注入部71には、冷却液体を注入した後、注入部71を封止するためのキャップが取り付けられる。
また、タンク7において、2つの側面部には、図5に示すように、内部に連通し、冷却液体を流入出するための流入部72及び流出部73が設けられている。
そして、上述したタンク7は、アルミニウム等の金属材料から構成されている。
〔熱交換ユニットの構成〕
熱交換ユニット8は、環状の流路に沿って流通する冷却液体の温度を低減する。この熱交換ユニット8は、図2に示すように、熱交換部81と、区画板82と、熱電変換素子としてのペルチェ素子83と、放熱側伝熱部材84とを備える。
図6は、熱交換部81の内部構造を模式的に示す断面図である。具体的に、図6は、熱交換部81を流路に直交する平面で切断した断面を示している。
熱交換部81は、略直方体状の中空部材で構成され、内部を流通する冷却液体と熱交換する。
この熱交換部81内部には、図6に示すように、冷却液体の流通方向に沿って延出する複数の板体811が該流通方向に直交する方向に並設されている。具体的に、これら板体811は、例えば、数10μm〜数100μm程度の厚み寸法を有し、互いに数10μm〜数100μm程度の間隔を空けて配設される。
以上の構成により、熱交換部81内部には、各板体811間に冷却液体が流通する複数の微細流路Cm(図6)が形成される。すなわち、熱交換部81は、いわゆる、マイクロチャンネル等の熱交換器で構成されている。
区画板82は、平面視矩形状の板体で構成され、熱交換部81及び放熱側伝熱部材84を区画するとともに、熱交換部81、ペルチェ素子83、及び放熱側伝熱部材84を一体化する。この区画板82は、熱伝導率が低い(例えば、0.9W/(m・K)以下)材料で構成されている。
この区画板82には、図2に示すように、熱交換部81の平面形状よりも小さい矩形形状を有し、ペルチェ素子83を嵌合可能とする開口部821が形成されている。
そして、熱交換部81は、区画板82における一方の板面において、開口部821を閉塞するように開口部821周縁部分に固定される。
ペルチェ素子83は、具体的な図示は省略したが、p型半導体とn型半導体とを金属片で接合して構成した接合対を複数有しており、これら複数の接合対は電気的に直接に接続されている。
このような構成を有するペルチェ素子83において、電力が供給されると、図2に示すように、ペルチェ素子83の一方の端面が熱を吸収する吸熱面831となり、他方の端面が熱を放熱する放熱面832となる。
そして、ペルチェ素子83は、区画板82の開口部821に嵌合され、吸熱面831が熱交換部81に熱伝達可能に接続する。
放熱側伝熱部材84は、図2に示すように、矩形状の板体841と、板体841から突出する複数のフィン部材842とを有する、いわゆるヒートシンクで構成されている。そして、放熱側伝熱部材84は、区画板82の他方の板面において、開口部821を閉塞するように開口部821周縁部分に固定される。この状態では、放熱側伝熱部材84は、ペルチェ素子83の放熱面832に熱伝達可能に接続する。
すなわち、区画板82にて各部材81,83,84を一体化した状態では、熱交換部81〜ペルチェ素子83〜放熱側伝熱部材84の熱伝達経路が形成される。
このため、ペルチェ素子83の駆動により、熱交換部81は、吸熱面831から熱が吸収され、冷却される。また、ペルチェ素子83の放熱面832に生じる熱は、放熱側伝熱部材84を介して外部に放熱される。
〔液体循環部材による接続構造〕
次に、液体循環部材9による各部材5〜8の接続構造について説明する。
なお、以下では、説明の便宜上、図2に示すように、3つの光学素子保持部5のうち、赤色光側の液晶パネル341Rを保持する光学素子保持部を赤色光変調素子保持部5R、緑色光側の液晶パネル341Gを保持する光学素子保持部を緑色光変調素子保持部5G、青色光側の液晶パネル341Bを保持する光学素子保持部を青色光変調素子保持部5Bとする。
液体循環部材9は、図2に示すように、第1〜第6液体循環部材9A〜9Fの6本で構成されている。
具体的に、第1液体循環部材9Aは、流入側及び流出側が赤色光変調素子保持部5R及び緑色光変調素子保持部5Gにおける各液体流通管51の一方の端部にそれぞれ接続される。
第2液体循環部材9Bは、流入側が緑色光変調素子保持部5Gにおける液体流通管51の他方の端部に接続され、流出側が青色光変調素子保持部5Bにおける液体流通管51の一方の端部に接続される。
第3液体循環部材9Cは、流入側が青色光変調素子保持部5Bにおける液体流通管51の他方の端部に接続され、流出側が液体圧送部6に接続される。
第4液体循環部材9Dは、流入側及び流出側が液体圧送部6及びタンク7における流入部72(図5参照)にそれぞれ接続される。
第5液体循環部材9Eは、流入側及び流出側がタンク7における流出部73(図5参照)及び熱交換部81にそれぞれ接続される。
第6液体循環部材9Fは、流入側及び流出側が熱交換部81及び赤色光変調素子保持部5Rにおける液体流通管51の他方の端部に接続される。
以上のような液体循環部材9による接続構造により、赤色光変調素子保持部5R〜緑色光変調素子保持部5G〜青色光変調素子保持部5B〜液体圧送部6〜タンク7〜熱交換部81を辿り、再度、赤色光変調素子保持部5Rに戻る環状の流路Cが形成される。
そして、上述した液冷装置4により、以下に示すように液晶パネル341が冷却される。
すなわち、液晶パネル341にて生じた熱は、入射側防塵ガラスCr1及び光学素子保持部5を介して冷却液体に伝達される。
光学素子保持部5から流出した冷却液体は、流路Cを辿って熱交換部81に流入する。
ここで、熱交換部81は、ペルチェ素子83の駆動により、吸熱面831から熱が吸収されることで冷却されている。このため、熱交換部81に流入した冷却液体は、内部の微細流路Cmを流通する際、熱交換部81との間で熱交換が行われ、冷却される。
そして、熱交換部81にて冷却された冷却液体は、再度、光学素子保持部5に流入する。
〔入射側防塵ガラスの構成〕
図7は、入射側防塵ガラスCr1と液体流通管51との位置関係を示す図である。具体的に、図7は、光学素子保持部5を光束入射側から見た平面図である。
入射側防塵ガラスCr1は、光学軸OAx(図7)に平行な方向の熱伝導率が光学軸OAxに直交する方向の熱伝導率に対して大きい光学結晶材料で構成されている。
本実施形態では、入射側防塵ガラスCr1は、長辺方向が左右方向に設定された矩形板状の水晶で構成されている。
また、入射側防塵ガラスCr1は、互いに対向する左側端部(対向側端部)CrL1及び右側端部(対向側端部)CrR1の各長さ寸法L1を加えた寸法(以下寸法Aと記載)が、各側端部CrL1,CrR1に隣接する下側端部(隣接側端部)CrD1の長さ寸法L2(以下、寸法Bと記載)に対して大きくなるように設定されている。
そして、入射側防塵ガラスCr1は、図7に示すように、光学軸OAxが各側端部CrL1,CrR1に直交するように形成されている。すなわち、防塵ガラスCr1は、長辺方向に光学軸OAxが向くように形成されている。
〔光学素子支持枠の構成〕
図8ないし図10は、光学素子支持枠52の構成を示す図である。具体的に、図8は、光学素子支持枠52を光束射出側から見た分解斜視図である。図9は、光学素子支持枠52の縦断面図である。図10は、光学素子支持枠52の横断面図である。
光学素子支持枠52は、図8ないし図10に示すように、液体流通管51の流通方向に略平行する平面にて分割形成された入射側支持枠(第1支持枠)52A及び射出側支持枠(第2支持枠)52Bで構成されている。
より具体的に、入射側支持枠52A及び射出側支持枠52Bの分割位置は、図9または図10に示すように、第1凹部521Aの底部分に設定されている。すなわち、入射側支持枠52A及び射出側支持枠52Bの分割位置は、収納凹部521に液晶パネル341が収納された状態で、駆動基板341C及び対向基板341Dの接続面と略同一位置に設定されている。
入射側支持枠52Aにおいて、光束射出側端面には、図8ないし図10に示すように、液体流通管51に対応させて、収納凹部521を囲む平面視U字状の第1管用凹部522Aが形成されている。
また、射出側支持枠52Bにも同様に、光束入射側端面には、図8ないし図10に示すように、液体流通管51に対応させて、収納凹部521を囲む平面視U字状の第2管用凹部522Bが形成されている。
すなわち、各支持枠52A,52Bを組み合わせ、各管用凹部522A,522Bを接続することで、図9または図10に示すように、液体流通管51が配設される貫通孔522が形成されることとなる。
以上説明した各支持枠52A,52B及び液体流通管51は、半田付けにより接合される。
なお、半田付け材料としては、以下の表1に示す各材料が例示できる。
Figure 2010256864
なお、各支持枠52A,52B及び液体流通管51としては、半田付けによる接合に限らず、以下に示すように、ロウ付けにより接合しても構わない。
例えば、各支持枠52A,52B及び液体流通管51(以下、接合対象)をそれぞれアルミニウムで構成する。そして、以下に示す3層構造の材料の他、接合対象をも溶融させながら、3層構造の材料にて接合する。
上記材料としては、Al+Siの層(14%)、Al+Mg+Tiの層(74%)、及びAl+Znの層(12%)の3層構造の材料が例示できる。
また、上記材料の融点は、560〜580℃である。
なお、本実施形態では、融点が200℃以下の半田付け材料(例えば、表1における材料(A)〜(C))を用いて半田付けにより接合している。
〔射出側防塵ガラスの構成〕
図11は、射出側防塵ガラスCr2を示す図である。換言すると、図11は、押え板5Tを取り外した状態の光学素子保持部5を光束射出側から見た平面図である。
射出側防塵ガラスCr2は、入射側防塵ガラスCr1と同様に、光学軸OAx(図11)に平行な方向(図11における左右方向)の熱伝導率が、光学軸OAxに直交する方向(図11における上下方向)の熱伝導率に対して大きい光学結晶材料で構成されている。すなわち、射出側防塵ガラスCr2は、当該射出側防塵ガラスCr2の熱が光学軸OAxに沿って伝導されやすい構成となっている。
このような射出側防塵ガラスCr2は、矩形板状の水晶で構成されており、図11に示すように、互いに対向する一対の対向側端部である左側端部CrL2及び右側端部CrR2と、これら側端部CrL2,CrR2に挟まれる隣接側端部である上側端部CrU2及び下側端部CrD2とを有する。このうち、上側端部CrU2及び下側端部CrD2の各寸法L4は、左側端部CrL2及び右側端部CrR2の各寸法L3より大きい。そして、射出側防塵ガラスCr2では、光学軸OAxは、上側端部CrU2及び下側端部CrD2に沿う方向である長辺方向に沿うように設定されている。
このような射出側防塵ガラスCr2は、長辺方向が左右方向となり、かつ、光学軸OAxが入射側防塵ガラスCr1の光学軸OAxと略平行となるように、駆動基板341Cに取り付けられる。
なお、射出側防塵ガラスCr2においては、図9〜図11に示すように、入射側防塵ガラスCr1とは異なり、射出側支持枠52Bとは接触していない。このため、射出側防塵ガラスCr2と第1凹部521Aとの間には、所定寸法の隙間が形成されている。
〔射出側防塵ガラスの冷却〕
図12及び図13は、射出側防塵ガラスCr2の光学軸OAx及び冷却空気の送風方向と、当該射出側防塵ガラスCr2の冷却効果とを示す模式図である。なお、図12及び図13は、それぞれ冷却空気が長辺方向及び短辺方向に沿って流通する場合の例を示している。また、図12及び図13における射出側防塵ガラスCr2の下側及び右側に図示した「速度境界層」、「流速分布」及び「温度分布」の各グラフは、当該射出側防塵ガラスCr2の短辺方向及び長辺方向における各位置での速度境界層の厚さ、冷却空気の流速分布及び射出側防塵ガラスCr2の温度分布をそれぞれ示し、また、図12及び図13における射出側防塵ガラスCr2の右側及び下側に図示した「温度分布」のグラフは、当該射出側防塵ガラスCr2の長辺方向及び短辺方向の温度分布をそれぞれ示している。
前述のように、プロジェクター1には、液晶パネル341及び各防塵ガラスCr1,Cr2に冷却空気を送風する冷却装置10(図1参照)が設けられている。この冷却装置10が、射出側防塵ガラスCr2の長辺方向に沿って冷却空気を送風する場合について、以下に説明する。
射出側防塵ガラスCr2の右側端部CrR2から左側端部CrL2に向かって、長辺方向に沿う矢印D1方向に冷却空気が流通する場合、図12における「速度境界層」及び「流速分布」の各グラフに示すように、当該冷却空気の流通方向基端側(風上側)である右側端部CrR2側の速度境界層は薄く、冷却空気の流速値は高い。一方、冷却空気の流通方向先端側(風下側)である左側端部CrL2側の速度境界層は厚く、冷却空気の流速値は低い。
ここで、射出側防塵ガラスCr2の光学軸OAxが短辺方向に沿うように設定されている場合(図12において一点鎖線で示す光学軸OAxを有する場合)には、当該射出側防塵ガラスCr2の熱は、冷却空気の流通方向に直交する短辺方向に伝導されやすい。この場合、冷却空気の流通方向基端側である右側端部CrR2側は冷却されやすいものの、流通方向先端側である左側端部CrL2側は冷却されにくい。このため、図12における射出側防塵ガラスCr2の下側の「温度分布」のグラフに一点鎖線で示すように、射出側防塵ガラスCr2の長辺方向における各部位での面内温度差が大きい。
一方、射出側防塵ガラスCr2の光学軸OAxが長辺方向に沿うように設定されている場合(図12において実線で示す光学軸OAxを有する場合)には、当該射出側防塵ガラスCr2の熱は、冷却空気の流通方向である長辺方向に沿って伝導されやすい。この場合、図12における射出側防塵ガラスCr2の下側の「温度分布」のグラフにて実線で示すように、光学軸OAxが短辺方向に沿うように設定された前述の場合に比べ、冷却空気の流通方向基端側である右側端部CrR2側と、先端側である左側端部CrL2側とで温度差が小さくなる。
なお、冷却空気が、左側端部CrL2側から右側端部CrR2側に向かって流通する場合も同様である。
このように、冷却空気が長辺方向に沿って流通する場合には、射出側防塵ガラスCr2の光学軸OAxは、長辺方向に設定されている方が、面内温度差を低減できる。
なお、射出側防塵ガラスCr2における短辺方向に沿う各部位の温度分布は、図12における右側の「温度分布」のグラフに示すように、光学軸OAxの向きによっては大きな差異は無い。
次に、冷却装置10が、射出側防塵ガラスCr2の短辺方向に沿って冷却空気を送風する場合について説明する。
射出側防塵ガラスCr2の上側端部CrU2から下側端部CrD2に向かって、短辺方向に沿う矢印D2方向に冷却空気が流通する場合、図13における「速度境界層」及び「流速分布」の各グラフに示すように、当該冷却空気の流通方向基端側(風上側)である上側端部CrU2側の速度境界層は薄く、冷却空気の流速値は高い。一方、冷却空気の流通方向先端側(風下側)である下側端部CrD2側の速度境界層は厚く、冷却空気の流速値は低い。
ここで、射出側防塵ガラスCr2の光学軸OAxが短辺方向に沿うように設定されている場合(図13において一点鎖線で示す光学軸OAxを有する場合)には、当該射出側防塵ガラスCr2の熱は、冷却空気の流通方向に沿う短辺方向に沿って伝導されやすい。この場合、図13における射出側防塵ガラスCr2の下側の「温度分布」のグラフにて一点鎖線で示すように、最も温度が高くなる長辺方向の中央部の冷却効果は高くない。このため、射出側防塵ガラスCr2の長辺方向における中央部と両端部とで、面内温度差が大きい。
一方、射出側防塵ガラスCr2の光学軸OAxが長辺方向に沿うように設定されている場合(図13において実線で示す光学軸OAxを有する場合)には、当該射出側防塵ガラスCr2の熱は、冷却空気の流通方向に直交する長辺方向に沿って伝導されやすい。この場合、図13における射出側防塵ガラスCr2の下側の「温度分布」のグラフにて実線で示すように、長手方向両端の温度は、光学軸OAxが短辺方向に沿うように設定された前述の場合と略同じであるものの、最も温度が高くなる長辺方向中央部の温度が、前述の場合に比べて低くなる。このため、射出側防塵ガラスCr2の長辺方向中央部と端部とで、面内温度差が小さくなる。
なお、射出側防塵ガラスCr2における短辺方向に沿う各部位の温度分布は、図13における右側の「温度分布」のグラフに示すように、光学軸OAxの向きによっては大きな差異は無い。また、冷却空気が、下側端部CrD2側から上側端部CrU2側に向かって流通する場合も同様である。
このように、射出側防塵ガラスCr2の光学軸OAxは長辺方向に沿うように設定されている方が、短辺方向に沿うように設定されている場合に比べ、当該射出側防塵ガラスCr2の面内温度差を小さくできる。また、光学軸OAxが長辺方向に設定されている場合には、冷却空気が短辺方向に沿って流通する方が、長辺方向に沿って流通する場合に比べ、射出側防塵ガラスCr2の長辺方向の面内温度差を小さくできる。
このため、本実施形態では、冷却装置10は、射出側防塵ガラスCr2において長辺方向に沿って設定された光学軸OAxに直交する短辺方向に沿って流通するように、冷却空気を送風する。
図14は、射出側防塵ガラスCr2における長辺方向の各部位での冷却空気の流速値と、温度との関係を示す模式図である。
ここで、本実施形態の冷却装置10は、射出側防塵ガラスCr2の長辺方向の中央部分に供給する冷却空気の流速値が最も高くなり、当該中央部分から長辺方向両端に向かうに従って徐々に冷却空気の流速値が低くなるように、ファンの性能により決定される冷却空気の流速値を調整する。詳述すると、図14の「流速分布」のグラフに示すように、射出側防塵ガラスCr2に沿って流通する冷却空気の流速値と、当該射出側防塵ガラスCr2の長辺方向中央部から端部に向かう距離値とが、線形の関係(比例関係)となるように、冷却装置10は冷却空気を送風する。
具体的に、当該流速値と距離値とは、以下の式(1)及び式(2)で表される関係となるように設定される。なお、式(1)における「R」及び「D」は、それぞれ射出側防塵ガラスCr2の熱抵抗、表面積及び熱伝達率を示す。また、式(1)及び式(2)における「h」は熱伝導率を示し、式(2)における「V」及び「L」は流速値、及び、射出側防塵ガラスCr2の長辺方向中央部から端部までの距離値を示す。
Figure 2010256864
このように冷却空気の流速値を設定することにより、図14の「温度分布」のグラフに示すように、長辺方向両端部(右側端部CrR2及び左側端部CrL2)近傍の冷却効果は下がるものの、中央部の冷却効果が高まり、当該中央部が効果的に冷却される。これにより、射出側防塵ガラスCr2の長辺方向の面内温度差を一層小さくできる。
なお、冷却装置10から送風された冷却空気の一部は、射出側防塵ガラスCr2と同様に、入射側防塵ガラスCr1にも送風される。
〔液晶パネルにおいて最高温度を示す位置〕
図15は、入射側防塵ガラスCr1、射出側防塵ガラスCr2及び液晶パネル341全体において最高温度となる位置を示す模式図である。
入射側防塵ガラスCr1では、前述のように、光学軸OAxに平行な方向の熱伝導率が当該光学軸OAxに直交する方向の熱伝導率より大きく、当該光学軸OAxは、入射側防塵ガラスCr1の長辺方向に設定されている。このため、入射側防塵ガラスCr1においては、当該光学軸OAxに直交する右側端部CrR1及び左側端部CrL1から、光学素子支持枠52(特に入射側支持枠52A)を介して、液体流通管51に伝導されやすい。また、下側端部CrD1も、光学素子支持枠52を介して液体流通管51に熱伝導可能に接続されているので、当該下側端部CrD2からも液体流通管51に熱が伝導される。このため、入射側防塵ガラスCr1においては、上側端部CrU1側は冷却されにくい。
従って、入射側防塵ガラスCr1において最高温度を示す位置は、液晶パネル341において画像形成時に最も温度が高くなる光透過領域の中央部(図15(A)において点線で示す位置)に応じた位置ではなく、当該中央部から上側端部CrU1側に移動した位置となる。
射出側防塵ガラスCr2の熱は、冷却装置10から送風される冷却空気により冷却される。この際、射出側防塵ガラスCr2では、前述のように、光学軸OAxに平行な方向の熱伝導率が当該光学軸OAxに直交する方向の熱伝導率に対して大きく、また、当該光学軸OAxは、射出側防塵ガラスCr2の長辺方向に沿うように設定されている。このため、射出側防塵ガラスCr2の熱は、長辺方向に沿って伝導されやすい。
そして、本実施形態では、冷却装置10からの冷却空気は、光学軸OAxに直交する方向に沿って、液体流通管51が位置しない上側端部CrU2から、液体流通管51が位置する下側端部CrD2に向かって流通する。このため、前述のように、射出側防塵ガラスCr2においては、下側端部CrD2側は冷却されにくい。
従って、射出側防塵ガラスCr2において最高温度を示す位置は、液晶パネル341の光透過領域の中央部(図15(B)において点線で示す位置)に応じた位置ではなく、当該中央部から上側端部CrU2側に移動した位置となる。
これら各防塵ガラスCr1,Cr2を有する液晶パネル341においては、入射側防塵ガラスCr1及び射出側防塵ガラスCr2における最高温度を示す位置の移動方向がそれぞれ逆方向である。このため、液晶パネル341における最高温度を示す位置は、図15(C)に示すように、液晶パネル341における光束透過領域の中央部となるが、当該中央部の熱は、各防塵ガラスCr1,Cr2に伝導されて、前述のように効率よく冷却される。これにより、光束透過領域(画像形成領域)における最高温度を示す位置の偏りを抑制でき、ひいては、当該光束透過領域の温度むら(面内温度差)の発生を抑制することができる。
上述した本実施形態においては、以下の効果がある。
なお、以下では、説明の便宜上、液体流通管51において、入射側防塵ガラスCr1の各側端部CrL1,CrR1に沿う部分を対向部51L,51Rとし、下側端部CrD1に沿う部分を隣接部51Dとする(図7参照)。
本実施形態では、入射側防塵ガラスCr1は、水晶で構成されている。また、液体流通管51は、各対向部51L,51Rを流通する冷却液体の流通方向R1,R2(図7)が光学軸OAxに直交するように入射側防塵ガラスCr1に対して熱伝達可能に接続されている。このことにより、液晶パネル341の中央部に生じた熱を、入射側防塵ガラスCr1における比較的に大きい熱伝導率を有する光学軸OAxに沿って液体流通管51の各対向部51L,51R(内部を流通する冷却液体)に伝達させ、効率的に放熱させることができる。
したがって、液晶パネル341の中央部と周辺部との面内温度差を低減し、液晶パネル341を効率的に冷却できる。
また、入射側防塵ガラスCr1は、光束入射側端面が光学素子支持枠52の第2凹部521Bの底部分に面接触している。このことにより、入射側防塵ガラスCr1と光学素子支持枠52との接触面積を大きく確保できる。このため、液晶パネル341に生じた熱を、入射側防塵ガラスCr1から光学素子支持枠52(液体流通管51)に良好に伝達させ、液晶パネル341をより効率的に冷却できる。
さらに、液体流通管51は、各対向部51L,51R及び隣接部51Dを有するように屈曲形成されている。このことにより、液体流通管51の各対向部51L,51R及び隣接部51Dを、入射側防塵ガラスCr1における各側端部CrL1,CrR1,CrD1側にそれぞれ熱伝達可能に接続させることができる。このため、液晶パネル341の中央部に生じた熱を、入射側防塵ガラスCr1を介して、液体流通管51の各対向部51L,51R及び隣接部51Dにそれぞれ伝達させることができ、液晶パネル341の中央部と周辺部との面内温度差をより低減できる。
また、入射側防塵ガラスCr1は、寸法Aが寸法Bよりも大きく形成されているとともに、各側端部CrL1,CrR1に光学軸OAxが直交するように、すなわち、各側端部CrL1,CrR1に光学軸OAxが向くように形成されている。
このことにより、液晶パネル341の中央部に生じた熱を、入射側防塵ガラスCr1における光学軸OAxに沿って、隣接部51Dに対して冷却液体の全体の液量が多い各対向部51L,51Rに主に伝達させ、効率的に放熱させることができる。
さらに、入射側防塵ガラスCr1は、比較的に大きい熱伝導率を有する光学軸OAxが長辺方向に向くように形成されている。このことにより、入射側防塵ガラスCr1における長辺方向の熱抵抗を低減させることができる。したがって、液晶パネル341の中央部に生じた熱を、入射側防塵ガラスCr1における短辺方向及び長辺方向に沿って液体流通管51に良好に伝達させ、効率的に放熱させることができる。
以上のことから、液晶パネル341の中央部を効果的に冷却し、液晶パネル341の中央部と周辺部との面内温度差をより一層低減できる。
射出側防塵ガラスCr2では、光学軸OAxに沿う方向の熱伝導率が、当該光学軸OAxに直交する方向の熱伝導率より高い。この光学軸OAxが長辺方向に沿うことにより、当該光学軸OAxが短辺方向に沿う場合に比べ、射出側防塵ガラスCr2において高温となりやすい中央部の熱が保持される領域を拡大することができるので、当該熱を面内に拡散させることができる。従って、射出側防塵ガラスCr2の面内温度差を小さくでき、ひいては、液晶パネル341の面内温度差を小さくできる。そして、これにより、液晶パネル341の長寿命化を図ることができるほか、面内温度差に応じてVT(印加電圧−透過率)特性が部分的に変化することによる画像の劣化(輝度むら及び色むら等)を抑制できる。
射出側防塵ガラスCr2の光学軸OAxは、当該射出側防塵ガラスCr2の長辺方向に沿うように設定され、冷却空気の流通方向は当該光学軸OAxに直交するように設定される。これによれば、射出側防塵ガラスCr2に沿って流通する冷却空気の流路が、当該冷却空気の流通方向が短辺に沿うように設定されている場合に比べて短くなるため、右側端部CrR2及び左側端部CrL2近傍の温度がそれぞれ略同じとなるほか、上側端部CrU2及び下側端部CrD2近傍の温度差を小さくできる。従って、射出側防塵ガラスCr2の面内温度差を一層小さくできる。
同様に、入射側防塵ガラスCr1の光学軸OAxは、前述のように、当該入射側防塵ガラスCr1の長辺方向に沿うように設定され、入射側防塵ガラスCr1に沿って流通する冷却空気の流通方向は、光学軸OAxに直交する短辺方向に設定されている。これにより、射出側防塵ガラスCr2と同様に、入射側防塵ガラスCr1の面内温度差を小さくできる。更に、入射側防塵ガラスCr1において冷却空気による冷却効果が低い流通方向先端側(下側端部CrD2側)は、光学素子支持枠52を介して液体流通管51に熱伝導可能に接続されるので、当該入射側防塵ガラスCr1の面内温度差を一層小さくできる。
冷却空気の流通方向先端側には、入射側防塵ガラスCr1と光学素子支持枠52を介して熱伝導可能に接続される液体流通管51が設けられるので、当該入射側防塵ガラスCr1においては、冷却空気の流通方向基端側より当該流通方向先端側の温度が低くなる。このため、液晶パネル341の対向基板341D外面に設けられる入射側防塵ガラスCr1では、最高温度を示す部位は冷却空気の流通方向基端側となり、また、駆動基板341C外面に設けられる射出側防塵ガラスCr2では、最高温度を示す部位は冷却空気の流通方向先端側となる。これにより、液晶パネル341における当該流通方向先端側及び基端側を効率よく冷却できるので、液晶パネル341の面内温度差をより一層小さくできる。
射出側防塵ガラスCr2における温度は、光束が入射されている場合には、周縁で低くなりやすい。このため、当該射出側防塵ガラスCr2における長辺方向端部を流通する冷却空気の流速値を、長辺方向中央部を流通する冷却空気の流速値より低くすることにより、当該射出側防塵ガラスCr2の面内温度差をより一層小さくできる。また、一定流量の冷却空気を用いて、射出側防塵ガラスCr2の中央を効率よく冷却できる。なお、入射側防塵ガラスCr1においても同様である。
射出側防塵ガラスCr2に沿って流通する冷却空気の流速値は、光学軸OAxに沿う上側端部CrU2における中央から端部に向かう距離値に対して線形の関係(比例関係)となるように、当該端部に向かうに従って低減される。これによれば、流速値が高い冷却空気により、最も熱が高い中央部を確実に冷却できる。従って、射出側防塵ガラスCr2の面内温度差をより一層小さくできる。なお、入射側防塵ガラスCr1においても同様である。
また、光学素子保持部5は、液体流通管51と、各支持枠52A,52Bの2体で構成された光学素子支持枠52とを備える。そして、これら各部材51,52A,52Bは、融点が200℃以下の材料(例えば、表1の材料(A)〜(C))を用いて半田付けにより接合されている。
このことにより、各支持枠52A,52B及び液体流通管51の接合時の温度を200℃以下とすることができ、接合後に各支持枠52A,52B及び液体流通管51に生じる残留応力を低減させることができる。したがって、上述したように接合された各支持枠52A,52Bにて液晶パネル341を支持させた場合であっても、残留応力が低減されているため、各支持枠52A,52Bによる液晶パネル341の変形を抑制でき、投影画像の画質を良好に維持できる。
また、各支持枠52A,52Bの分割位置は、対向基板341D及び入射側防塵ガラスCr1の厚み分、第2凹部521Bの底部分から離間した位置に設定されている。
このことにより、上述したように各支持枠52A,52Bを接合した場合であっても、接合部分(各凹部522A,522B等)から半田付け材料がはみ出し、第2凹部521Bの底部分に付着することがない。すなわち、入射側防塵ガラスCr1の光束入射側端面を第2凹部521Bの底部分に確実に面接触させることができる。このため、液晶パネル341に生じた熱を、入射側防塵ガラスCr1から光学素子支持枠52(液体流通管51)に良好に伝達させ、液晶パネル341をより効率的に冷却できるという効果を好適に図れる。
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態において、入射側防塵ガラスCr1及び射出側防塵ガラスCr2は、水晶で構成されていたが、これに限らず、光学軸に平行な方向の熱伝導率が光学軸に直交する方向の熱伝導率よりも大きい他の光学結晶材料を採用しても構わない。また、入射側防塵ガラスCr1及び射出側防塵ガラスCr2は、それぞれ矩形状に形成されるとしたが、これに限らず、円形状及び他の多角形状であってもよい。また、これら各防塵ガラスは、長辺方向及び短辺方向を規定できる楕円形状であってもよい。
前記実施形態において、液体流通管51としては、当該液体流通管51に熱伝導可能に接続される入射側防塵ガラスCr1における側端部の少なくとも一部に沿って配設される構成であればよく、例えば、各側端部CrL1,CrR1,CrD1のうちいずれかの側端部のみに沿って配設される構成や、各側端部CrL1,CrD1、あるいは各側端部CrR1,CrD1の2つの側端部に沿って配設される構成等を採用しても構わない。更には、液体流通管51が防塵ガラスの上側端部に沿って配設される構成を採用してもよい。
前記実施形態において、光学素子支持枠52や押え板5Tを省略し、液体流通管51で液晶パネル341を保持する構成を採用しても構わない。
前記実施形態において、入射側防塵ガラスCr1及び射出側防塵ガラスCr2における光学軸OAxの向く方向は、前記実施形態で説明した方向に限らない。例えば、前記実施形態とは逆に、寸法Bが寸法Aよりも大きくなるように入射側防塵ガラスCr1及び射出側防塵ガラスCr2を形成する場合には、光学軸OAxが入射側防塵ガラスCr1の短辺方向に向くように形成することが好ましい。
前記実施形態では、入射側防塵ガラスCr1から光学素子支持枠52に熱を放熱させていたが、これに限らず、射出側防塵ガラスCr2から光学素子支持枠52に熱を放熱させる構成としても構わない。また、入射側防塵ガラスCr1及び射出側防塵ガラスCr2のそれぞれから光学素子支持枠52に熱を放熱させる構成としてもよい。
前記実施形態において、光学装置34に冷却空気を送風する冷却装置10は、当該光学装置34の上方に設けられているとしたが、これに限らない。すなわち、入射側防塵ガラスCr1及び射出側防塵ガラスCr2の少なくともいずれかの光学軸OAxに直交する方向に沿って、当該各防塵ガラスCr1,Cr2に冷却空気を送風可能であれば、冷却装置の位置及び構成は問わない。また、冷却装置10は、必ずしも光学軸OAxに直交する方向に沿って冷却空気を送風せずともよく、入射側防塵ガラスCr1及び射出側防塵ガラスCr2のうち、温度が高い方の防塵ガラス(例えば、液体流通管51に熱伝導可能に接続されない射出側防塵ガラスCr2)にのみ冷却空気を送風する構成としてもよい。更には、各防塵ガラスCr1,Cr2の冷却が液冷装置4のみで十分である場合には、冷却装置10は無くてもよい。
前記実施形態において、冷却装置10は、各防塵ガラスCr1,Cr2における光学軸OAxに沿う方向の中央が最も流速値が高く、当該方向の端部が最も流速値が低くなるように、冷却空気を送風するとしたが、これに限らない。すなわち、冷却装置は、冷却空気の流路上流側の防塵ガラスの側端部における全域で略同じ流速値となるように、冷却空気を送風する構成としてもよい。
前記実施形態は、液冷装置4を構成する各部材5〜8の配設順序は、前記実施形態で説明した順序に限らず、その他の順序で配設しても構わない。
前記実施形態では、液晶パネル341は、3つ設けられていたが、その数は3つに限らず、1つ、2つ、あるいは、4つ以上であっても構わない。
前記実施形態では、プロジェクター1は、一対の光源装置31A,31Bを備えるとしたが、これに限らず、1つ、あるいは、3つ以上でもよい。更に、光源装置は、光源ランプ311を備える構成に限らず、LED(Light Emitting Diode)等の固体光源を備える構成としてもよい。
前記実施形態において、液晶パネル341としては、透過型の液晶パネルの他、反射型の液晶パネルを採用しても構わない。
前記実施形態では、スクリーンを観察する方向から投射を行うフロントタイプのプロジェクターの例のみを挙げたが、本発明は、スクリーンを観察する方向とは反対側から投射を行うリアタイプのプロジェクターにも適用可能である。
本発明のプロジェクターは、液晶パネルの面内温度差を低減し、液晶パネルを効率的に冷却できるため、プレゼンテーションやホームシアターに用いられるプロジェクターとして利用できる。
1・・・プロジェクター、4・・・液冷装置、10・・・冷却装置、51・・・液体流通管、52・・・光学素子支持枠、52A・・・入射側支持枠(第1支持枠)、52B・・・射出側支持枠(第2支持枠)、341・・・液晶パネル、341C,341D・・・基板、Cr1・・・入射側防塵ガラス(第1透光性基板)、Cr2・・・射出側防塵ガラス(第2透光性基板)、CrL1・・・左側端部(対向側端部)、CrR1・・・右側端部(対向側端部)、CrD1・・・下側端部(隣接側端部)、CrL2・・・左側端部(側端部)、CrR2・・・右側端部(側端部)、CrD2・・・下側端部(側端部)、CrU2・・・上側端部(側端部)、L1,L2・・・長さ寸法、OAx・・・光学軸、R1,R2・・・流通方向。

Claims (10)

  1. 一対の基板間に液晶が封入された液晶パネルと、冷却液体により前記液晶パネルを冷却する液冷装置とを備えたプロジェクターであって、
    前記一対の基板の一方の基板外面には、
    光学軸に平行な方向の熱伝導率が前記光学軸に直交する方向の熱伝導率に対して大きい光学結晶材料で構成された第1透光性基板が設けられ、
    前記液冷装置は、
    前記冷却液体が流通する管形状を有し、前記第1透光性基板における側端部の少なくとも一部に沿って配設される液体流通管を備え、
    前記液体流通管は、
    前記冷却液体の少なくとも一部の流通方向が前記光学軸に直交するように前記第1透光性基板に対して熱伝達可能に接続されている
    ことを特徴とするプロジェクター。
  2. 請求項1に記載のプロジェクターにおいて、
    前記第1透光性基板は、平面視矩形状に形成され、
    前記液体流通管は、
    前記第1透光性基板における4つの前記側端部のうち3つの前記側端部に沿うように屈曲形成されている
    ことを特徴とするプロジェクター。
  3. 請求項2に記載のプロジェクターにおいて、
    前記第1透光性基板は、
    前記3つの側端部のうち、互いに対向する各対向側端部の各長さ寸法を加えた寸法をA、前記各対向側端部に隣接する隣接側端部の長さ寸法をBとすると、
    A>Bの関係を有する場合には、
    前記各対向側端部に前記光学軸が直交するように形成され、
    A<Bの関係を有する場合には、
    前記隣接側端部に前記光学軸が直交するように形成されている
    ことを特徴とするプロジェクター。
  4. 請求項2または請求項3に記載のプロジェクターにおいて、
    前記第1透光性基板は、
    長辺方向に前記光学軸が向くように形成されている
    ことを特徴とするプロジェクター。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載のプロジェクターにおいて、
    前記一対の基板の他方の基板外面には、光学軸に平行な方向の熱伝導率が当該光学軸に直交する方向の熱伝導率に対して大きい光学結晶材料で構成された第2透光性基板が設けられ、
    前記第2透光性基板は、平面視矩形状に形成され、
    前記第2透光性基板の光学軸は、当該第2透光性基板の長辺方向に沿うように設定されている
    ことを特徴とするプロジェクター。
  6. 請求項5に記載のプロジェクターにおいて、
    前記液晶パネルに冷却空気を送風して、当該冷却空気により前記液晶パネルを冷却する冷却装置を備え、
    前記冷却装置により送風され、前記第2透光性基板に沿って流通する前記冷却空気の流通方向は、前記第2透光性基板の光学軸に直交する方向に設定されている
    ことを特徴とするプロジェクター。
  7. 請求項6に記載のプロジェクターにおいて、
    前記第2透光性基板は、長辺に沿う一対の側端部及び短辺に沿う一対の側端部を有し、
    前記冷却装置は、前記第2透光性基板における前記長辺に沿う前記一対の側端部のうち、前記液体流通管が位置しない側の側端部から、前記液体流通管が位置する側の側端部に向かって前記冷却空気を流通させる
    ことを特徴とするプロジェクター。
  8. 請求項7に記載のプロジェクターにおいて、
    前記冷却装置は、前記第2透光性基板における前記長辺に沿う前記側端部の中央から、前記短辺に沿う前記側端部に向かうに従って、前記冷却空気の流速値が低減するように前記冷却空気を流通させる
    ことを特徴とするプロジェクター。
  9. 請求項8に記載のプロジェクターにおいて、
    前記冷却装置は、前記冷却空気の流速値と、前記長辺に沿う前記側端部の中央から端部までの距離値とが線形の関係となるように、前記冷却空気を送風する
    ことを特徴とするプロジェクター。
  10. 請求項1から請求項9のいずれかに記載のプロジェクターにおいて、
    前記液冷装置は、
    前記液晶パネルを支持するとともに、前記第1透光性基板及び前記液体流通管を熱伝達可能に接続する光学素子支持枠を備え、
    前記光学素子支持枠は、
    前記液体流通管における前記冷却液体の流通方向に略平行する平面にて分割形成され、前記液体流通管を挟持する第1支持枠及び第2支持枠を備え、
    前記各支持枠及び前記液体流通管は、
    金属材料でそれぞれ構成されるとともに、半田付けにより接合され、
    前記半田付け材料は、
    融点が200℃以下の材料で構成されている
    ことを特徴とするプロジェクター。
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