JP2010255402A - 縦スリットつき空洞ブロックの使用方法と製造方法 - Google Patents

縦スリットつき空洞ブロックの使用方法と製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】通常の空洞ブロックの空洞側壁に鉄筋や配管、ケーブル類を挿通可能な縦スリットを開けておくことで、建物のコンクリート壁を壊さなくても内部の配管や電気ケーブル類を改修したり交換可能とすると共に、縦スリット入りの空洞ブロックを安価に製造可能な装置と製造方法を実現する。
【解決手段】縦スリット入りの空洞ブロックの縦スリットから、水道・ガスの配管や電気ケーブル類を挿入して、空洞中に収納してあるから、配管や電気ケーブル類を空洞ブロックの中に容易に収納し保護できる。縦スリットは空洞より狭いので、空洞内の配管やケーブル類が外部から見えづらい上に、容易に離脱する恐れもない。しかも、縦スリットから内部の配管や電気ケーブル類を点検修理したり容易に交換でき、コンクリート壁を壊す必要も無い。
【選択図】図6

Description

通常の空洞つきのコンクリートブロックにおいて、空洞部側壁に縦方向のスリットを開けてあるとメリットが多い。本発明は、この縦スリットつき空洞ブロックの使用方法と製造方法と成型装置に関する。
図1は空洞ブロック1によるいも積み工法を示す平面図と正面図で、隣接する空洞ブロック1・1間の凹状端面5・5同士の間の空間2中に鉄筋3が立った状態で、生コンクリートやモルタルを充填する。このとき、ブロック端面に予めモルタルを塗布しておいて、鎖線1aのように、隣接鉄筋3・3間で空洞ブロックを斜めにして下降させる。ところが、凹状の端面5側に塗布してあるモルタルが隣接するブロックや鉄筋に接触して剥がれ落ちてしまうことが度々ある。
図2のような千鳥積み工法の場合は、空洞ブロック1の中央の空洞4と凹状端面空間2に1段ごとに交互に鉄筋3が入っているので、凹状端面空間2中に鉄筋3が位置している場合は、前記のように隣接ブロックでモルタルが剥がれ落ちるという問題があり、図における最上段の空洞ブロックのように中央の空洞4中に鉄筋が有る場合は、鎖線1bのように、鉄筋3の上端から空洞ブロックを下降させる手法が採られている。
そのため、各鉄筋3…が高過ぎると、空洞ブロックの上げ下ろしの負担が大きいので、数段積んでは、短い鉄筋を結束して継ぎ足すという作業を繰り返している。したがって、空洞ブロックで間仕切り壁を施工したくても、縦鉄筋の上端が梁に固定された状態では空洞ブロックを積むことは不可能である。
空洞ブロックにおけるこのような問題を解消すべく、本発明は空洞ブロックにおける空洞側壁に縦方向のスリットを設けて、このスリットから縦鉄筋を挿入する発想について先行技術を調査したところ、特許文献1のような構築パネル用レンガと特許文献2のように横移動式の建築用ブロックしか見当たらなかった。
意匠登録第561360号 特開2001-11980
ところが、特許文献1のように、中央の空洞や凹状端面の直径と同じ寸法のU溝にしたのでは、接着効果は向上しても、生コンクリートやモルタルを充填するには、U溝が大き過ぎて、開口からの漏れ防止が困難で、実用に耐えられない。また、U溝中に水道・ガスの配管や電気ケーブルを収納した場合、そのまま外から丸見えで見苦しいし、安定性も悪い。収納後に元の空洞ブロック形状に復元させることも不可能に近いし、壁紙を貼って覆い隠すにしても開口が大き過ぎて、仕上がりが悪い。
これに対し、特許文献2のように、U溝の開口寄りを徐々に狭くした形状が提案されているが、通常の建築用の空洞ブロックと空洞形状も全体形状も全く異なるので、成型装置も製造方法も全面的に変更する必要が生じる。その結果、製品コストも高くなり、不経済である。また、本発明のように鉄筋より太い水道・ガスの配管や電気ケーブルなどを空洞内に収納して隠すことは困難である。
本発明の技術的課題は、通常の空洞ブロックにおける空洞側壁に鉄筋や配管、ケーブル類を挿通可能な縦スリットを予め開けておくことで、建物のコンクリート壁を壊さなくても内部の配管や電気ケーブル類を改修したり交換可能とすると共に、縦スリット入りの空洞ブロックを安価に製造可能な装置と製造方法を実現することにある。
本発明の技術的課題は次のような手段によって解決される。請求項1は、1以上の所望の空洞の側面に、鉄筋及び/又は水道・ガスの配管及び/又は電気ケーブル類を挿通可能なサイズのスリットを縦方向に開けてある空洞ブロックを用いて施工した構造において、鉄筋を挿入してない縦スリットから水道・ガスの配管及び/又は電気ケーブル類を挿入し、空洞中に収納して成ることを特徴とする縦スリット入り空洞ブロックを用いた建造物である。
このように、縦スリット入り空洞ブロックの縦スリットから、鉄筋や配管や電気ケーブル類を挿通可能とすると共に、鉄筋を挿入してない縦スリットから水道・ガスの配管や電気ケーブル類を挿入し空洞中に収納するので、水道・ガスの配管や電気ケーブル類を空洞ブロックの中に容易に収納し保護できる。縦スリットは空洞より狭いので、空洞内の配管やケーブル類が外部から見えづらい上に、容易に離脱する恐れもない。
従来は建物のコンクリート壁内の配管類や電気ケーブル類に障害が生じた場合は、コンクリート壁を壊して内部の配管類や電気ケーブル類を改修したり交換したが、本発明の場合は縦スリットから内部の配管や電気ケーブル類を点検修理したり容易に交換できるから便利であり、コンクリート壁を壊す必要も無い。なお、電気ケーブル類には、電気通信や光通信などの通信ケーブルも含まれるものとする。
請求項2は、水道・ガスの配管及び/又は電気ケーブル類を挿入した縦スリットの外面を閉鎖手段で塞いだ状態で、少なくとも縦スリット中に生コンクリート又はモルタルを充填するか、又はクロスなどの被覆手段を貼って縦スリットを隠して成ることを特徴とする請求項1に記載の縦スリット入り空洞ブロックを用いた建造物である。
このように、水道・ガスの配管や電気ケーブル類を挿通した縦スリットの少なくとも外面に粘着テープや板などの閉鎖手段を接着して塞いだ状態で、少なくとも縦スリット中に生コンクリートやモルタルを充填して少なくとも縦スリットを埋めることによって、通常のスリット無しの空洞ブロックと同じ状態に復元できるので、外観上も強度上も何ら問題が残るようなことは無い。
縦スリットの内外両面に粘着テープを貼れば、縦スリット中だけに生コンクリートやモルタルを充填して、通常の空洞ブロック形状に復元できるが、この場合、内部の配管やケーブル類を改修したり交換したければ、縦スリット部だけを破壊して内部を露出させることができる。
なお、U溝と違って縦スリット幅は狭いので、壁紙やクロスを貼って覆い隠すことも容易で、仕上がりへの影響も少ない。
特許文献2に記載のようなU溝の開口寄りを次第に狭くした形状と違って、水道・ガスの配管や電気ケーブルなどを収納するためのスペースが容易に確保できる。
請求項3は、立っている状態の鉄筋が前記縦スリットから空洞中に挿入されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の縦スリット入り空洞ブロックを用いた建造物である。
このように、1以上の所望の空洞の側面に、鉄筋及び/又は水道・ガスの配管及び/又は電気ケーブル類を挿通可能なサイズのスリットを縦方向に開けてある空洞ブロックを用いることによって、立っている状態の鉄筋が前記縦スリットから空洞中に挿入されているため、鉄筋の継ぎ足しの無い仕上がりとなり、しかも鉄筋の挿入作業が簡便でかつ危険も少ない。
したがって、鉄筋の上端が梁中に埋設されている場合でも、鉄筋入りのブロック間仕切りの施工が可能となる。
請求項4は、箱状の型枠の内部に、空洞形成用の中子状体を配設して、間の空間に生コンクリートを充填し、離型する成型方法において、
空洞を形成する中子状体と型枠内面との間に、縦スリット形成用の仕切り手段を設けることによって、縦スリットを形成すべき部分に生コンクリートが入り込むのを阻止することを特徴とする縦スリット入り空洞ブロックの製造方法である。
このように、空洞形成用の中子状体と型枠内面との間に、縦スリット形成用の仕切り手段を設けた構造であるから、既存の成型装置において、仕切り手段を増設するだけで足り、装置の大がかりな改造を要しない。従って、縦スリット入り空洞ブロックを製造する装置のコストアップが防げ、既存の装置を利用することも可能で、安価に縦スリット入り空洞ブロックを製造できる。
請求項5は、箱状の型枠の内部に、空洞形成用の中子状体を配設して、間の空間にコンクリートを充填し、離型する成型方法において、
空洞を形成する中子状体と型枠内面との間に、縦スリット形成用の仕切り手段を設けることによって、縦スリットを形成すべき部分にコンクリートが入り込むのを阻止することを特徴とする縦スリット入り空洞ブロックの成型方法である。
このように、縦スリット入り空洞を形成する中子状体と型枠内面との間に、縦スリット形成用の仕切り手段を設けることによって、縦スリットを形成すべき部分にコンクリートが入り込むのを阻止する方法であるから、従来の空洞ブロックの製造方法を大幅変更する必要はなく、従来とほぼ同じ方法で成型し離型できる。
請求項6は、箱状の型枠の内部に、空洞形成用の中子状体を配設して、間の空間に生コンクリートを充填し、離型する成型装置において、
縦スリット入り空洞を形成する中子状体と型枠内面との間に、縦スリット形成用の仕切り手段を設けることによって、
縦スリットを形成すべき部分に生コンクリートが入り込むのを阻止し、縦スリットを形成してなることを特徴とする縦スリット入り空洞ブロックである。
このように、縦スリット入り空洞を形成する中子状体と型枠内面との間に、縦スリット形成用の仕切り手段を設けることによって、縦スリットを形成すべき部分に生コンクリートが入り込むのを阻止し、縦スリットを形成できる。しかも、この縦スリット入り空洞ブロックは、従来の成型装置を一部改造して、縦スリット形成用の仕切り手段を増設するだけで、従来の標準的な空洞ブロックの空洞に縦スリットを形成した構成を容易に安価に実現できる。
請求項1のように、縦スリット入り空洞ブロックの縦スリットから、鉄筋や配管や電気ケーブル類を挿通可能とすると共に、鉄筋を挿入しない縦スリットから水道・ガスの配管や電気ケーブル類を挿入し空洞中に収納するので、水道・ガスの配管や電気ケーブル類を空洞ブロックの中に容易に収納し保護できる。縦スリットは空洞より狭いので、空洞内の配管やケーブル類が外部から見えづらい上に、容易に離脱する恐れもない。縦スリットから内部の配管や電気ケーブル類を点検修理したり容易に交換できて便利であり、コンクリート壁を壊す必要も無い。
請求項2のように、水道・ガスの配管や電気ケーブル類を挿通した縦スリットの少なくとも外面に粘着テープや板などの閉鎖手段を接着して塞いだ状態で、少なくとも縦スリット中に生コンクリートやモルタルを充填して少なくとも縦スリットを埋めることによって、通常のスリット無しの空洞ブロックと同じ状態に復元できるので、外観上も強度上も何ら問題が残るようなことは無い。
縦スリットの内外両面に粘着テープを貼れば、縦スリット中だけに生コンクリートやモルタルを充填して、通常の空洞ブロック形状に復元できるが、この場合、内部の配管やケーブル類を改修したり交換したければ、縦スリット部だけを破壊して内部を露出させることができる。また、U溝と違って縦スリット幅は狭いので、壁紙やクロスを貼って覆い隠すことも容易で、仕上がりへの影響も少ない。U溝の開口寄りを次第に狭くした形状と違って、配管や電気ケーブルなどを収納するためのスペースを容易に確保できる。
請求項3のように、縦スリット入りの空洞ブロックを用いて、立っている状態の鉄筋が前記縦スリットから空洞中に挿入されるので、鉄筋の継ぎ足しの無い仕上がりとなり、しかも鉄筋の挿入作業が簡便でかつ危険も少ない。従って、鉄筋の上端が梁中に埋設されている場合でも、鉄筋入りのブロック間仕切りの施工が可能となる。
請求項4のように、空洞形成用の中子状体と型枠内面との間に、縦スリット形成用の仕切り手段を設けた構造の成型装置であるから、既存の成型装置において、仕切り手段を増設するだけで足り、装置の大がかりな改造を要しない。
請求項5のように、空洞を形成する中子状体と型枠内面との間に、縦スリット形成用の仕切り手段を設けることによって、縦スリットを形成すべき部分にコンクリートが入り込むのを阻止する方法であるから、従来の空洞ブロックの製造方法を大幅変更する必要はなく、従来とほぼ同じ方法で成型し離型できる。
請求項6のように、空洞を形成する中子状体と型枠内面との間に、縦スリット形成用の仕切り手段を設けることによって、縦スリットを形成すべき部分に生コンクリートが入り込むのを阻止し、縦スリットを形成できる。しかも、この縦スリット入り空洞ブロックは、従来の成型装置を一部改造して、縦スリット形成用の仕切り手段を増設するだけで、従来の標準的な空洞ブロックの空洞に縦スリットを形成した構成を容易に安価に実現できる。
従来の空洞ブロックによるいも積み工法を示す平面図と正面図である。 従来の空洞ブロックによる千鳥積み工法を示す平面図と正面図である。 本発明による縦スリット入り空洞ブロックの基本的構成を示す図で、(1)は斜視図、(2)は平面図、(3)正面図である。 縦スリット入り空洞ブロックの使用方法を例示する図で、(1)は斜視図、(2)は平面図、(3)正面図である。 すべての空洞側壁に縦スリットを開けた実施形態を示す図で、(1)は斜視図、(2)は平面図、(3)正面図である。 図3の縦スリット入り空洞ブロックの成型装置を示す図で、(a)は水平断面図(A−A断面図)、(b)は縦断面図(B−B断面図)、(c)はプレス盤の平面図である。 図6の装置における生コンクリートブロックの押し出し状態を示す縦断面図である。
次に本発明による縦スリット入り空洞ブロックとその使用方法が実際上どのように具体化されるか実施形態を説明する。図3は、本発明による縦スリット入り空洞ブロックの基本的構成を示す図で、(1)は斜視図、(2)は平面図、(3)は正面図である。
本発明の空洞ブロックBも、通常の空洞ブロックと同様に例えば三つの空洞4を有し、両端には凹状端面5を有しているが、例えば中央の空洞4のみ、空洞側壁に上下方向のスリット6を有していて、外部空間と連通している。
図4は、この縦スリット入り空洞ブロックの使用方法を例示する図で、(1)は斜視図、(2)は平面図、(3)は正面図であり、鉄筋3は図1、図2のように予め立ててあるものとする。
このように鉄筋3を予め立ててある場合に、鉄筋3を縦スリット6中から中央の空洞43中に挿入するには、空洞ブロックBを矢印のように横に水平移動してから、下段の空洞ブロックの上に積み重ねるだけで足りる。
図1のようないも積み工法の場合は、隣接ブロックの隣接する凹状端面5・5間の空間2ではなく、縦スリット6入りの中央空洞43中に鉄筋3を通す構造にすれば、総ての縦スリット入り空洞ブロックBを相対的に横移動するだけで、空洞43中に鉄筋3を挿入することができる。
すなわち、縦スリットつき空洞ブロックBを鉄筋3の横から矢印方向に水平移動して、鉄筋3を縦スリット6から空洞43中に挿入してから、下段のブロック上に載せる。次いで、隣接するブロックとの間の間隔を拡げるように幾分後退させて、凹端面5にモルタルを塗ってから、正規の位置に位置決めして、隣接ブロックと接着し、次いで鉄筋3入りの空洞43中にモルタルや生コンクリートを充填し、鉄筋3を埋め込んで補強するので、この際に縦スリット6も塞がれる。
このとき、空洞43中にモルタルや生コンクリートが確実に充填されているかどうか、縦スリット6から確認しながら、突き固めるようにして充填作業を進めるのがよい。
(2)図のように、縦スリット6の開口を塞ぐように外面上に粘着テープ7や板材などの閉鎖手段を接着しておくと、生コンクリートやモルタルが漏れ出すのを防止できる。なお、水分の少ない硬めの生コンクリートやモルタルを使用すれば、必ずしも閉鎖手段を接着する必要もない。
図2のような千鳥積み工法の場合は、1段おきに図1の在来法で通常の空洞ブロックを積むことになる。すなわち、中央の空洞43中に鉄筋3が位置する段においては、いも積み工法と同様に縦スリット6中から鉄筋3を空洞4中に挿入する方法で積んでいく。
いも積み工法のように凹状端面5・5の空間2中に鉄筋3が位置する段では、図1に鎖線1aで示すように通常のスリット無しの空洞ブロック1を斜めにして鉄筋3・3間に下ろしてから、隣接ブロックの半円筒状部5・5同士の間の鉄筋3入り空間2中にモルタルや生コンクリートを充填すると共に、隙間をモルタルで塞ぐだけで足りる。上下の段における縦スリット入り空洞43中にモルタルを充填して鉄筋3で充分に強度を確保しているから、特に問題はない。
なお、隣接ブロック間の間隔が拡がるように後退させた状態で、凹状端面5側にモルタルを塗布してから、正規の位置に位置決めして隣接ブロックと接着し、次いで、凹状端面5・5間の鉄筋3入り空間2中にモルタルや生コンクリートを充填してもよい。
図5は、すべての空洞4…の側壁に縦スリット6を開けてあるが、必ずしもすべての空洞4…に開ける必要はなく、所望の位置の1か所以上で足りる。また、(2)図に鎖線8で示すように、凹状端面5においても、縦スリット6側の側壁を短く形成することによって、縦スリット6と同様に鉄筋3や配管やケーブル類が通過可能とすることもできる。
このように、任意の所望の空洞4に縦スリット6を設けたり、凹状端面5のスリット側側壁を短くすると、所望の空洞4や凹状端面5中に鉄筋3や水道・ガスの配管、電気ケーブルを挿通することができ、配置の自由度が増す。したがって、鉄筋3も、どの空洞4や凹状端面5中に入れてもよい。
このとき、鉄筋3を挿通した空洞4や凹状端面5中には、生コンクリートやモルタルを充填して強度を確保する必要があるが、水道、ガスの配管や電気ケーブル類を挿通する空洞4や凹状端面5中には、必ずしも生コンクリートやモルタルを充填する必要はない。後々の保守点検や交換を考慮すると、充填しない方がよい。従って、鉄筋と配管やケーブル類を同じ空洞内に一緒に収納するのは好ましくない。
縦スリット6や鎖線8位置で短くした部分が見苦しい場合は、その内外両面に図4(2)のように粘着テープ7などを貼って、間の空間に生コンクリートやモルタルを流し込んで縦スリット6を埋めれば、通常の空洞ブロック形状に復元することも可能である。
縦スリット6のまま残して、壁紙やクロスを貼って覆い隠すことも可能であり、後で配管や電気ケーブル類を改修・交換したり、保守点検する場合に好都合である。
水道・ガスの配管や電気ケーブル類を敷設した後にブロック積みする場合は、配管や電気ケーブルの位置に縦スリット6の開いた空洞ブロックを使用することは言うまでもないが、配管やケーブル類の敷設位置に縦スリット入り空洞ブロックを先に積んである場合は、施工状態の縦スリットから配管やケーブル類を挿入することになる。この場合、適用される建造物は、鉄筋コンクリート造であっも、コンクリートブロック造でもよく、これら以外でも適用できる。従って、配管やケーブル類の敷設位置だけに、縦スリット入り空洞ブロックを採用することもできる。
以上のように、空洞ブロックを水平移動して、立っている鉄筋を縦スリットから挿入できるので、床スラブと天井の梁の間に予め壁鉄筋を立てた状態で、縦スリット6や鎖線8の削除部から空洞4や凹状端面5中に鉄筋を挿入することができる。したがって、従来のように縦鉄筋を継ぎ足すなどの不便も一掃され、施工が容易になる。
次に本発明の縦スリット入り空洞ブロックの製造方法を説明する。図6は、図3の縦スリット入り空洞ブロックの成型装置を示す図で、(A)は水平断面図(A−A断面図)、(B)は縦断面図(B−B断面図)、(C)はプレス盤の平面図である。通常の成型装置と違って、本発明による装置は、仕切り手段として仕切り壁9を有している。
10はほぼ箱状をした金属製の型枠であり、その内面の形状は、通常の空洞ブロックの外形と同じ形状をしている。
中子状体11は、前記空洞4を形成するためのもので、型枠10の内部に配置されていて、上端が支持フレーム12を介して型枠10などの装置本体側に連結支持されている。
13は底板であって、型枠10および各中子状体11の下面に当接しており、図示されていないシリンダーなどの駆動手段で矢印a1で示すように上下駆動される。
従って、型枠10と数個の中子状体11間に形成される空間が、ちょうど空洞ブロックと同じ形状となる。この空間に生コンクリート14を充填して成型するが、充填された生コンクリート14を押し固めるための水平のプレス盤15がロッド16および連結盤17を介して駆動軸18に連結されている。
駆動軸18は、図示されていない油圧シリンダーなどの駆動手段で上下方向に駆動される。また、プレス盤15は、(C)図のように、型枠10と中子状体11間に形成される空間に入る形状・寸法をしている。
本発明の場合、(A)図のように、縦スリット6入りの空洞43を形成する中子状体11aの側面と型枠10内面との間に寸法ωの仕切り壁9を設けてある。従って(C)図のように、前記プレス盤15は、前記仕切り壁9を避けるためのスリットSを水平に入れてある。
次に、この装置による縦スリット入り空洞ブロックの製造方法を説明する。まず、底板13が図示のように型枠10および各中子状体11の下面に当接するまで上昇した状態において、型枠10と各中子状体11で形成される空間に図示のように生コンクリート14を所定量、すなわち空洞ブロックBの高さ寸法より多めに充填する。
次いで、プレス用の油圧シリンダーが作動してプレス盤15が下降し、型枠10と中子状体11で形成される空間中に入り込み、空間中の生コンクリート14を加圧する。
プレス盤15が、鎖線15’で示す所定位置、すなわち空洞ブロックBの高さ寸法まで下降して、加圧工程が終わると、底板13もその駆動シリンダーによって下降開始し、プレス盤15と同じ速度で下降する。そして、図7のように、成型された生コンクリートブロック14’の上面が型枠10の下面を通過して、生コンクリートブロック14’が完全に型枠10および中子状体11から抜けると、底板13およびプレス盤15の下降動作が完了する。
その後、プレス盤15は上昇し、図6のように型枠10より上側まで戻って次の成型に備え、一方底板13上の生コンクリートブロック14’は、コンベアで次の養生工程に移送されて養生・乾燥することで、図3の縦スリット6入り空洞ブロックBが完成する。
なお、図7の成型工程で成型された生コンクリートブロック14’が養生工程に移送された後は、底板13が型枠10および中子状体11の底面まで上昇して、図6(B)のように成型空間の底部を閉じた状態となり、次の成型に備える。
図示成型装置は、プレス盤15で加圧後の生コンクリート14を、引き続いて押し下げて型枠10の下側に排出する構造であるのに対し、底板13もプレス盤15と同じ形状に形成すれば、プレス盤15で加圧後の生コンクリート14を底板13で押し上げて、型枠10中から上方に排出することも可能である。
この場合、中子状体11を型枠10に取付け連結するための支持フレーム12は、型枠10の下側に設けて、中子状体11の下端を支持する構造も可能である。
そのほか、充填された生コンクリートの加圧・押し出し排出は、縦スリット形成用の仕切り手段9さえ有しておれば、図示のような油圧駆動装置に代えて、足踏み式なども適用可能である。
以上のように、本発明によると、箱状の型枠10と中子状体11を備えた通常の空洞ブロック成型装置において、空洞43を形成する中子状体11aと型枠10内面との間に、生コンクリートが入らないように阻止する仕切り手段9を設けるだけで、縦スリット6を形成することができる。また、完成した縦スリット入り空洞ブロックを用いると、鉄筋や配管、ケーブル類を縦スリットから空洞中に容易に挿入でき、施工作業が格段と簡便かつ安全となり、縦スリットを生コンクリートやモルタルで埋めれば、強度上も外観上も遜色の無いブロック壁を実現できる。
1 従来の空洞ブロック
2 凹状端面同士の間の空間
3 鉄筋
4 空洞
4a スリット入りの空洞
B 本発明の空洞ブロック
5 凹状端面
6 縦スリット
7 粘着テープ
9 仕切り手段(仕切り壁)
10 箱状の型枠
11 中子状体
11a スリット入り空洞用の中子状体
12 支持フレーム
13 底板
14 生コンクリート
15 プレス盤
S スリット
16 ロッド
17 連結盤
18 駆動軸

Claims (6)

  1. 1以上の所望の空洞の側面に、鉄筋及び/又は水道・ガスの配管及び/又は電気ケーブルを挿通可能なサイズのスリットを縦方向に開けてある空洞ブロックを用いて施工した構造において、
    鉄筋を挿入しない縦スリットから水道・ガスの配管及び/又は電気ケーブル類を挿入し、空洞中に収納して成ることを特徴とする縦スリット入り空洞ブロックを用いた建造物。
  2. 水道・ガスの配管及び/又は電気ケーブル類を挿入した縦スリットの外面を閉鎖手段で塞いだ状態で、少なくとも縦スリット中に生コンクリート又はモルタルを充填するか、又はクロスなどの被覆手段を貼って縦スリットを隠して成ることを特徴とする請求項1に記載の縦スリット入り空洞ブロックを用いた建造物。
  3. 立っている状態の鉄筋が前記縦スリットから空洞中に挿入されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の縦スリット入り空洞ブロックを用いた建造物。
  4. 箱状の型枠の内部に、空洞形成用の中子状体を配設して、間の空間に生コンクリートを充填し、離型する成型装置において、
    空洞形成用の中子状体と型枠内面との間に、縦スリット形成用の仕切り手段を設けてなることを特徴とする縦スリット入り空洞ブロックの成型装置。
  5. 箱状の型枠の内部に、空洞形成用の中子状体を配設して、間の空間に生コンクリートを充填し、離型する成型方法において、
    空洞を形成する中子状体と型枠内面との間に、縦スリット形成用の仕切り手段を設けることによって、縦スリットを形成すべき部分に生コンクリートが入り込むのを阻止することを特徴とする縦スリット入り空洞ブロックの製造方法。
  6. 箱状の型枠の内部に、空洞形成用の中子状体を配設して、間の空間に生コンクリートを充填し、離型する成型装置において、
    空洞を形成する中子状体と型枠内面との間に、縦スリット形成用の仕切り手段を設けることによって、
    縦スリットを形成すべき部分に生コンクリートが入り込むのを阻止し、縦スリットを形成してなることを特徴とする縦スリット入り空洞ブロック。
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