JP2010255260A - 地震動低減システムの構築方法 - Google Patents

地震動低減システムの構築方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2010255260A
JP2010255260A JP2009105699A JP2009105699A JP2010255260A JP 2010255260 A JP2010255260 A JP 2010255260A JP 2009105699 A JP2009105699 A JP 2009105699A JP 2009105699 A JP2009105699 A JP 2009105699A JP 2010255260 A JP2010255260 A JP 2010255260A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seismic isolation
layer
container
reduction system
excavation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009105699A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5261273B2 (ja
Inventor
Ichiro Nagashima
一郎 長島
Masaru Yamamoto
山本  優
Taiji Morita
泰司 森田
Katsuhiko Takakura
克彦 高倉
Hideaki Adachi
英明 足立
Tateo Shintaku
建夫 新宅
Toshimasa Nagao
俊昌 長尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taisei Corp
Original Assignee
Taisei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taisei Corp filed Critical Taisei Corp
Priority to JP2009105699A priority Critical patent/JP5261273B2/ja
Publication of JP2010255260A publication Critical patent/JP2010255260A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5261273B2 publication Critical patent/JP5261273B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Consolidation Of Soil By Introduction Of Solidifying Substances Into Soil (AREA)
  • Foundations (AREA)

Abstract

【課題】地下水の有無に関わらず免震性能を発揮することが可能な地震動低減システムを構築する方法を提供すること。
【解決手段】
低透水層4の中に形成された免震層1を含む地震動低減システムを構築する方法であって、低透水層4の中に複数の掘削孔を形成するとともに、液体の存在下で振動を受けると剛性が低下する免震材料を各掘削孔内に充填することで免震層1を形成する工程と、掘削孔に至る液体供給管13を配管する工程と、を含むことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、低透水層の中に地震動低減システムを構築する方法に関する。
地表への地震動の伝達を低減あるいは遮断する地震動低減システム(免震構造)が特許文献1に開示されている。特許文献1の地震動低減システムは、振動により液状化する免震材料を地中に封入するというものである。
特開2008−261139号公報
特許文献1の地震動低減システムでは、免震材料を地下水で飽和させておく必要があるので、地下水面よりも深い位置に免震材料を封入する必要がある。すなわち、特許文献1の発明では、地震動低減システムの構築位置が限定されることになる。また、共用後に地下水位が低下した場合には、所期の免震性能を発揮し得なくなる虞がある。
このような観点から、本発明は、地下水の有無に関わらず免震性能を発揮することが可能な地震動低減システムを構築する方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決する本発明は、低透水層の中に形成された免震層を含む地震動低減システムを構築する方法であって、低透水層の中に複数の掘削孔を形成するとともに、液体の存在下で振動を受けると剛性が低下する免震材料を前記各掘削孔内に充填することで前記免震層を形成する工程と、前記免震層に至る液体供給管を配管する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明における免震材料とは、液体の存在下で振動を受けると剛性(せん断抵抗)が低下する材料の総称であり、間隙水圧の上昇によって液状化する粒状材料(例えば、砂や硬質プラスチック製球状粒など)や、チキソトロピーと言われる性質により流動化(ゾル化)する材料(例えば、ベントナイトなどの粘土鉱物、シルト等)などが含まれる。
本発明によれば、低透水層と、前記低透水層の中に形成された免震層と、前記免震層に液体を供給する液体供給管と、を具備する地震動低減システムを構築することができる。本発明によって構築された地震動低減システムによると、低透水層によって、免震材料の剛性低下に寄与する液体の逸散が防止されるとともに、液状化や流動化に必要な液体が液体供給管を介して免震材料に供給されるので、地下水が存在しないような地盤条件下においても、地震時に免震材料が液状化や流動化し、免震性能を発揮するようになる。なお、前記免震層は、液体の存在下で振動を受けると剛性が低下する免震材料を含んでいるので、前記免震層に入力された地震動によって前記免震材料の剛性が低下することで、前記免震層よりも上方への地震動の伝達を低減あるいは遮断する。
本発明においては、前記掘削孔を掘削する前に、前記免震層を構築すべき領域を包含する止水領域に対して地盤改良を行い、当該止水領域の透水性を低下させることで、前記低透水層を形成することが好ましい。
本発明においては、前記掘削孔内に可撓性の容器を配置し、当該容器の中に前記免震材料を充填してもよい。このようにすると、複数の免震要素(可撓性の容器と、前記容器内に充填された免震材料とを含むもの)を並設してなる免震層が形成される。
なお、本発明においては、低透水層の存在によって、免震材料の剛性低下に寄与する液体の逸散が防止されるので、免震材料が充填される容器を、織布、不織布、網などの透水性素材にて形成してもよいが、遮水性素材にて容器を形成すると、免震材料の剛性低下に寄与する液体の逸散を確実に防止することが可能となる。
容器の中に免震材料を充填する場合には、例えば、前記掘削孔を形成する際に、前記掘削孔内にケーシングを設置し、前記ケーシング内に前記容器を配置した状態で前記容器の中に前記免震材料を充填し、その後、前記ケーシングを撤去すればよい。
また、容器を利用しない場合には、例えば、前記掘削孔をオーガにて掘削し、前記オーガを利用して、前記掘削孔内に残置した土砂を前記免震材料に置換することで、前記掘削孔内に前記免震材料を充填すればよい。オーガで掘削した土砂を掘削孔に残置するとともに、掘削に利用したオーガを利用して、掘削孔に残置した土砂を免震材料に置換すれば、掘削時に生じる地盤の変形を抑制することが可能となる。
本発明によって構築された地震動低減システムによれば、地下水が存在しないような地盤条件下においても、地震時に免震材料の剛性が低下するようになるので、地下水の有無に関わらず免震性能を発揮することが可能となる。
本発明の実施形態に係る地震動低減システムを示す図であって、(a)は横断面図、(b)は(a)の1B−1B線断面図である。 長尺免震要素を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る地震動低減システムの構築手順を説明するための図であって、(a)は横断面図、(b)は(a)の3B−3B線断面図である。 図3に続く工程を説明するための図であって、(a)は横断面図、(b)は(a)の4B−4B線断面図である。 図4に続く工程を説明するための図であって、(a)は横断面図、(b)は(a)の5B−5B線断面図である。 図5に続く工程を説明するための拡大横断面図である。
本発明の実施形態に係る地震動低減システムは、図1の(a)に示すように、免震対策を施すべき領域(以下、「免震領域」という。)Rへの地震動の伝達を低減あるいは遮断するものであり、免震領域Rの下方に形成される免震層1と、免震層1の両側に形成されたトンネル2,2と、免震層1に通じる液体供給手段3と、免震層1を包含するように形成された低透水層4とを備えている。免震領域Rの内側には、図示は省略するが、建物の基礎等が構築される。
免震層1は、液状化現象を利用して振動を吸収するものであって、低透水層4の中に形成されている。本実施形態の免震層1は、地表面と平行に形成されている。免震層1は、図1の(b)に示すように、複数本の長尺免震要素10,10,…をトンネル軸方向に並設して構成したものであり、二次元的な広がりを有する面状を呈している。免震層1の平面形状は、免震領域Rの下面全体を覆い隠すことができるような形状を呈しており、免震層1の面積は、免震領域Rのものよりも大きくなっている。
複数の長尺免震要素10,10,…は、トンネル2,2間に形成されていて、それぞれトンネル軸方向と交差する方向に延在している。図2に示すように、長尺免震要素10,10,…は、間隔をあけて並設されており、一の長尺免震要素10の周囲には、間詰めグラウト6が充填されている。
長尺免震要素10は、筒状を呈する可撓性の容器11と、容器11内に充填された免震材料12と、容器11内に配管された液体供給管13とを備えている。
容器11は、長期間に亘って腐食せず、かつ、容器11の内部の液体が地盤に漏出しないような素材からなる。具体的に、容器11は、ゴム素材または合成樹脂素材(例えば、ポリ塩化ビニルなど)といった遮水性素材からなり、可撓性(柔軟性)に富むような形態に成形されている。なお、単一の素材にて容器11を形成してもよいし、複合素材(例えば、ガラス繊維、合成繊維、ワイヤーメッシュなどで補強されたゴム素材や合成樹脂素材)にて容器11を形成しても勿論差し支えない。
免震材料12は、粒径2mm以下の砂の集合体からなる。免震材料12の間隙は、液体で飽和している。免震材料12の材質や形態に制限はなく、砂の集合体に代えて、硬質プラスチック製球状粒の集合体や各種スラグの集合体などを使用してもよいが、液状化し易いように、平均粒径や均等係数を調整することが望ましい。免震材料12として、山砂、川砂、海砂などを使用する場合には、篩い分けや洗浄等を行い、礫や粘土・シルト分等を除去することが望ましい。
液体供給管13は、容器11の内部(すなわち、免震層1)に水等の液体を供給する際に使用するものである。本実施形態の液体供給管13は、容器11の中心に沿って配置されていて、かつ、長尺免震要素10の全長に亘って延在している。図示は省略するが、液体供給管13には、その内外を連通する多数のスリット13aが形成されている。液体供給管13の材質に制限はないが、可撓性素材または柔軟性素材にて形成することが望ましい。本実施形態では、一の長尺免震要素10につき、一本の液体供給管13を配管した場合を例示しているが、一の長尺免震要素10につき、複数本の液体供給管13を配管しても勿論差し支えない。なお、スリット13aに代えて、透孔を形成してもよい。
図1に示すトンネル2は、免震層1の構築時は作業ヤードとして、共用後は維持管理用の点検通路として使用される。本実施形態では、矩形の横断面を有するトンネル2を例示しているが、円形その他の形状の横断面を有するトンネルであっても勿論差し支えない。
液体供給手段3は、液体供給管13に液体を供給するものである。液体供給手段3は、液体を貯溜するタンク31と、タンク31から液体供給管13,13,…に至る連結管32と、連結管32に介設されたポンプ33と、容器11内の液圧を測定する図示せぬ圧力センサと、容器11内の液体量(免震材料の飽和度)を検知するセンサと、地震動を検知する図示せぬ地震計(加速度センサ)と、緊急地震速報を受信する図示せぬ受信装置と、ポンプ33を制御する図示せぬ制御装置とを備えている。制御装置は、通常時には、免震材料12の間隙が液体で飽和した状態を維持する制御を実行する。なお、タンク31、ポンプ33、地震計、受信装置および制御装置は、地上に設置してもよいし、トンネル2の構内に設置してもよい。
低透水層4は、原地盤に対して地盤改良を施し、原地盤の透水性を低下させる(すなわち、透水係数を小さくする)ことで形成したものであり、免震層1の周囲に設けられている。すなわち、低透水層4の層厚は、免震層1の層厚よりも大きい。地盤改良を行うには、例えば、薬液やセメント系注入材を注入すればよい。なお、免震層1の周囲の原地盤が粘性土層やシルト層である場合には、地盤改良を施す必要はなく、粘性土層等をそのまま低透水層4として利用すればよい。原地盤に対する地盤改良を行うべきか否かは、免震材料12の種類等に応じて適宜設定すればよいが、透水係数が10-5(cm/s)を超えるような場合には、地盤改良を行うことが望ましい。ちなみに、低透水層4の透水係数は、10-7(cm/s)以下である。
次に、地震動低減システムの構築方法を説明する。
本実施形態に係る地震動低減システムの構築方法は、作業トンネル構築工程と、止水工程と、掘削工程と、容器配置工程と、配管工程と、充填工程と、ケーシング撤去工程と、を備えている。
作業トンネル構築工程は、図3の(a)に示すように、免震層1を構築すべき層状領域1’の両側にトンネル2,2を構築する工程である。トンネル2の構築方法に制限はないが、例えば、シールド工法や推進工法にて構築することができる。なお、既設のトンネルを利用してもよい。
止水工程は、図3の(b)にも示すように、層状領域1’を包含する止水領域に低透水層4を形成する工程である。低透水層4を形成するには、例えば、トンネル2の構内から層状領域1’に沿って止水注入用ボーリング孔を形成し、当該ボーリング孔に挿入した注入ロッド41から、その周辺地盤の所定範囲に薬液やセメント系注入材などを注入することで、層状領域1’を包含する止水領域に対して地盤改良を施せばよい。なお、透水性の低い粘性土層やシルト層の中に免震層1を構築する場合には、止水工程(地盤改良)を省略し、粘性土層等をそのまま低透水層4として利用してもよい。
掘削工程は、図4の(a)および(b)に示すように、低透水層4中の層状領域1’に複数の掘削孔を形成するとともに、掘削孔内に円管状のケーシング5を設置する工程である。本実施形態の掘削工程では、複数のケーシング5,5,…をトンネル2の軸方向に並設する。ケーシング5を設置するには、例えば、一方のトンネル2の構内から他方のトンネル2に向けてケーシング削孔を行い、他方のトンネル2に到達したならば、ケーシング5の先端に設けた掘削装置(図示略)を撤去し、ケーシング5を残置すればよい。掘削装置を撤去するには、発進側のトンネル2に引き戻すか、あるいは、到達側のトンネル2から引き出せばよい。低透水層4は、自立可能な地盤強度(孔壁が崩壊しない程度の地盤強度)を有しているので、掘削に伴う沈下等を抑制することができる。なお、低透水層4を形成しているので、刃口推進など、切羽を開放させる形式の削孔方法を利用してケーシング5を設置してもよい。
容器配置工程は、図5に示すように、ケーシング5の内部に、筒状の容器11を設置する工程である。容器11の設置方法に制限はないが、例えば、ケーシング5の内部に配索したロープを、一方のトンネル2の構内に仮置きした容器11の一端に結び付け、他方のトンネル2側からロープを引寄せればよい。
配管工程は、容器11内に液体供給管13を配管する工程である。液体供給管13を配管するには、例えば、一方のトンネル2側から容器11内に挿入した液体供給管13を、その先端部が他方のトンネル2に達するまで送り出せばよい。液体供給管13を配管したならば、容器11の一端を閉塞する。
充填工程は、容器11の中に免震材料12を充填する工程である。本実施形態では、液体供給管13の周囲に免震材料12(図2参照)を充填する。免震材料12の充填方法に制限はないが、例えば、容器11内に図示せぬ圧送配管を挿入し、圧送配管利用して免震材料12を容器11内へ圧送すればよい。免震材料12を充填したならば、容器11の他端を閉塞する。なお、本実施形態では、ケーシング5の内部に容器11を設置した後に免震材料12を導入しているが、容器11に免震材料12を充填した後にケーシング5へ挿入してもよい。
ケーシング撤去工程は、ケーシング5を撤去する工程である。ケーシング5を撤去するには、例えば、図6に示すように、ケーシング5の撤去に伴って容器11の周囲に形成されるクリアランスに間詰めグラウト6を行いながら、ケーシング5をトンネル4の構内へ引き抜けばよい。ちなみに、トンネル4の覆工に設けた開口部(ケーシング削孔により形成された孔)には、鋼製リング7を嵌め込み、覆工の変形を抑制する。なお、ケーシング5の撤去に伴う沈下が問題にならないような場合には、間詰めグラウト6を省略してもよい。また、液体供給管13から容器11内に液体を供給しておき、容器11内の液圧を高めた状態で、ケーシング5を撤去してもよい。このようにすると、ケーシング5の撤去に伴って容器11の周囲にクリアランスが形成されると同時に、容器11内に付与した液圧によって容器11が膨張し、容器11の外周面が掘削孔の孔壁(地盤)に圧接するようになるので、孔壁の崩壊を抑制することができ、ひいては、周辺地盤の沈下等を防止することができる。なお、ケーシング5の内周面と容器11の外周面との間に発生する摩擦力を低減させる場合には、両者の間に減摩剤を介在させるとよい。
このような手順により、複数の長尺免震要素10,10,…を並設し、さらに、液体供給手段3を設置等すると、地震動低減システムとなる。
地震動低減システムが完成したならば、液体供給管13を利用して容器11内に液体を供給し、容器11内の免震材料12を液体で飽和させておく。
次に、地震動低減システムの作用を説明する。
地震動低減システムは、地震時に免震層1の内部が液状化することで、免震装置として機能する。
具体的に説明する。通常時は、容器11内の液体量(免震材料の飽和度)を計測し、容器11内の液体量を監視する。容器11内の液体量が不足している場合には、液体供給手段3(図1の(a)参照)のポンプ33を作動させる。ポンプ33が作動すると、図2に示す容器11内に液体が供給される。免震材料12の間隙が液体で飽和した状態で、地震動のS波が免震層1に到達すると、容器11内の間隙水圧が昇圧して免震材料12の剛性(せん断抵抗)が低下し、免震材料12が液状化するようになる。免震材料12が液状化すると、免震層1が軟弱になる結果、免震層1の上方へのS波の伝達が遮断あるいは低減されるようになる。
以上、説明した地震動低減システムによれば、液状化に必要な液体が液体供給管13から免震材料12に供給されるので、地下水が存在しないような地盤条件下においても、免震材料12の間隙が液体で飽和するようになる。つまり、地震動低減システムによれば、地下水の有無に関わらず、液状化し易い状態を維持することができ、地震が発生した際には、速やかに免震性能が発揮され、免震層1よりも上方への地震動の伝達が低減あるいは遮断される。
なお、地震動の軽減効果は、地盤条件、地震動、免震層1の大きさ等によって異なるが、例えば、基盤(せん断弾性速度Vs=400m/s)上に、層厚20mの表層地盤(せん断弾性速度Vs=200m/s)が堆積しているという地盤条件において、幅200m・層厚1mの免震層1を基盤上に形成すると、免震層1の幅方向中央の直上の地表における応答加速度を、免震層1が無い場合の60%程度に低減することも可能である。
本実施形態に係る地震動低減システムによれば、長尺免震要素10の全長に亘って液体供給管13を配管しているので(図5参照)、長尺免震要素10の延長が大きいような場合であっても、その内部の免震材料12を確実に飽和させることが可能になる。
また、本実施形態では、トンネル2を利用して免震層1を形成しているが、このようにすると、地上からの作業が行えないような場合であっても、免震層1を形成することが可能になる。
(免震材料の変形例)
本実施形態では、間隙水圧の上昇によって液状化する粒状材料を免震材料12とした場合を例示したが、チキソトロピーと言われる性質(すなわち、静置時はゲル状に固まっており、振動が加わったときだけ流動化(ゾル化)する性質)を発現する粉状材料((例えば、ベントナイトなどの粘土鉱物)を免震材料12としてもよい。なお、ベントナイトのチキソトロピー性は、例えば、水等の液体にベントナイトを分散させて得た懸濁液に、HCl,KOH,CuSO,ZuSO,FeSO,Fe(SO,Al(SOといった塩(えん)を加えたときに好適に発現する。なお、ベントナイトに加える塩は、陽イオンの価数の大きなものほど、ゲル化に有効である。
ベントナイト等の粉状材料も、液体の存在下で振動を受けると剛性が低下するので、ベントナイト等を免震材料12として使用した場合であっても、地震動を受けた際に免震材料12の剛性(せん断抵抗)が低下し、免震層1が軟弱になる結果、免震層1の上方へのS波の伝達が低減あるいは遮断されるようになる。なお、免震層1内に液体供給管13を配置しておけば、チキソトロピー性を発現するのに必要な液体量を維持しておくことができるので、地震発生後速やかに免震性能が発揮されるようになる。また、ベントナイト等からなる免震材料12を遮水性素材からなる容器11に充填しておけば、液体の逸散量(蒸散量)が少なくなるので、液体供給管13を介して容器11内に供給する液体量や供給頻度を少なくすることが可能になる。
なお、本実施形態のように、免震層1を包含する低透水層4が存在している場合には、低透水層4によって液体の逸散が防止されるので、遮水性の容器11である必要はない。透水性の容器11を使用してもよいし、容器11を省略してもよい。なお、透水性の容器11は、例えば、可撓性のある織布、不織布、網などを利用して形成すればよい。
(構築手順の変形例)
本実施形態では、左右一対のトンネル2,2を利用して免震層1を構築した場合を例示したが、一方のトンネル2のみから免震層1を構築してもよい。この場合、他方のトンネル2を省略することができる。また、トンネル2から、その両側へ免震層1を構築してもよい。また、本実施形態では、トンネル2を利用して免震層1を構築した場合を例示したが、トンネル2に代えて立坑を利用してもよいし、ケーシング削孔を地上から行えるような場合には、トンネル2を省略してもよい。
また、本実施形態では、複数のケーシング5,5,…を並設した後に、各ケーシング5に容器11、免震材料12および液体供給管13を設置するという手順により、複数の長尺免震要素10,10,…を並設する方法を例示したが、一の長尺免震要素10を形成した後に、その隣に他の長尺免震要素を形成するという手順により、複数の長尺免震要素10,10,…を並設しても勿論差し支えない。
また、本実施形態では、ケーシング5を利用して免震層1を形成する方法を例示したが、ケーシング5を使用しない方法により、二次元的な広がりを有する免震層を形成してもよい。
この場合、地震動低減システムは、止水工程と、掘削工程と、充填工程と、配管工程とによって構築することができる。
止水工程は、免震層1を構築すべき層状領域を包含する止水領域に低透水層を形成する工程である。止水工程の具体的な内容は、前記したものと同様である。なお、透水性の低い粘性土層やシルト層中に免震層を構築する場合には、止水工程(地盤改良)を省略し、粘性土層等をそのまま低透水層として利用してもよい。
掘削工程は、低透水層を掘削して、低透水層を横方向に貫通する複数の掘削孔を形成する工程である。掘削工程では、回転軸の全長に亘って螺旋状のスクリューが形成されたオーガ(アースオーガ)を用いて、一方のトンネルから他方のトンネルに至る掘削孔を複数並設する。排土量を必要以上に大きくすると、沈下の原因になる虞があるので、掘削孔から排土する量は、アースオーガの体積分程度とすることが望ましい。つまり、掘削孔内に掘削時に発生した土砂の一部を残置することが望ましい。
アースオーガの先端が他方のトンネルの覆工を貫いたならば、充填工程を行う。変形例に係る充填工程では、アースオーガを利用して、掘削孔内に残置した土砂を免震材料に置換することで、掘削孔内に免震材料を充填する。
充填工程の具体的な手順は次のとおりである。
まず、他方(アースオーガの到達側)のトンネルの構内において、アースオーガの先端部を取り囲むように第一のホッパーを形成し、第一のホッパー内に免震材料を投入する。アースオーガが低透水層を貫いた状態を保ちつつ、アースオーガを正転させる(すなわち、掘削工程時の回転方向と同方向に回転させる)と、アースオーガの基端部側(一方のトンネル側)から掘削孔内の土砂が排土されるとともに、アースオーガのスクリューの働きにより、第一のホッパー内の充填材料が掘削孔内に導入され、掘削孔内に残置された土砂(掘削残土)が他方のトンネル側から免震材料に置換される。掘削孔の全域に免震材料が導入されたならば、他方のトンネルの覆工に形成された開口部に蓋を設置し、当該開口部を閉塞する。続いて、一方(アースオーガの発進側)のトンネル構内において、アースオーガの基端部を取り囲むように第二のホッパーを形成し、第二のホッパー内に免震材料を投入する。かかる状態で、アースオーガを逆転(すなわち、掘削工程時の回転方向と反対方向に回転)させつつ基端側に引き抜くと、アースオーガのスクリューの働きにより、第二のホッパー内の免震材料が掘削孔内に押し込まれるようになり、その結果、掘削孔内における免震材料の充填密度が高められることになる。アースオーガを引き抜いたならば、一方のトンネルの覆工に形成された開口部に蓋を設置し、当該開口部を閉塞する。
そして、掘削工程および充填工程を複数回繰り返し、免震材料が充填された掘削孔を複数並設すると、面的な広がりをもった免震層が低透水層の中に形成されるようになる。なお、隣り合う掘削孔同士をラップさせると、連続した免震層を形成することができる。
配管工程は、免震層(すなわち、掘削孔内の免震材料)に至る液体供給管を配管する工程である。掘削孔の全長に亘って液体供給管を配置してもよいし、掘削孔の端部のみに液体供給管を配管してもよい。
このように、アースオーガを利用して掘削孔内の土砂を免震材料に置換すると、容器12を省略した形態の地震動低減システムを得ることができる。
(液体供給手段の変形例)
液体供給手段3の構成を変更してもよい。例えば、緊急地震速報を受信したとき又は初期微動を検知したときに、容器11内の液圧を昇圧させる制御を実行する機能を液体供給手段3の制御装置に具備させてもよい。このようにすると、地震波(S波)が到達する前に容器11内の液圧を昇圧させることが可能になるので、地震動の揺れが小さい段階から液状化に必要な過剰間隙液圧が発生するようになる。つまり、地震発生後速やかに免震性能が発揮されるようになる。
また、本実施形態では、ポンプ33や受信装置を具備した液体供給手段3を例示したが、地上に設けたタンク31と液体供給管13との水頭差を利用して、容器11内に液体を供給するように構成してもよい。
1 免震層
10 長尺免震要素
11 容器
12 免震材料
13 液体供給管
2 トンネル
3 液体供給手段
4 低透水層
5 ケーシング

Claims (5)

  1. 低透水層の中に形成された免震層を含む地震動低減システムを構築する方法であって、
    低透水層の中に複数の掘削孔を形成するとともに、液体の存在下で振動を受けると剛性が低下する免震材料を前記各掘削孔内に充填することで前記免震層を形成する工程と、
    前記免震層に至る液体供給管を配管する工程と、を含むことを特徴とする地震動低減システムの構築方法。
  2. 前記掘削孔を掘削する前に、前記免震層を構築すべき領域を包含する止水領域に対して地盤改良を行い、当該止水領域の透水性を低下させることで、前記低透水層を形成する、ことを特徴とする請求項1に記載の地震動低減システムの構築方法。
  3. 前記掘削孔内に、遮水性素材からなる可撓性の容器を配置し、当該容器の中に前記免震材料を充填する、ことを特徴とする請求項2に記載の地震動低減システムの構築方法。
  4. 前記掘削孔を形成する際に、前記掘削孔内にケーシングを設置し、
    前記ケーシング内に前記容器を配置した状態で前記容器の中に前記免震材料を充填し、
    その後、前記ケーシングを撤去する、ことを特徴とする請求項3に記載の地震動低減システムの構築方法。
  5. 前記掘削孔をオーガにて掘削し、
    前記オーガを利用して、前記掘削孔内に残置した土砂を前記免震材料に置換することで、前記掘削孔内に前記免震材料を充填する、ことを特徴とする請求項2に記載の地震動低減システムの構築方法。
JP2009105699A 2009-04-23 2009-04-23 地震動低減システムの構築方法 Expired - Fee Related JP5261273B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009105699A JP5261273B2 (ja) 2009-04-23 2009-04-23 地震動低減システムの構築方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009105699A JP5261273B2 (ja) 2009-04-23 2009-04-23 地震動低減システムの構築方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010255260A true JP2010255260A (ja) 2010-11-11
JP5261273B2 JP5261273B2 (ja) 2013-08-14

Family

ID=43316465

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009105699A Expired - Fee Related JP5261273B2 (ja) 2009-04-23 2009-04-23 地震動低減システムの構築方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5261273B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017020219A (ja) * 2015-07-09 2017-01-26 株式会社不動テトラ 軟弱地盤の免震構造

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04161677A (ja) * 1990-10-26 1992-06-05 Taisei Corp 砂の液状化特性を利用した免震装置
JPH06108477A (ja) * 1992-09-22 1994-04-19 Penta Ocean Constr Co Ltd 免震構造及び免震装置
JP2007077649A (ja) * 2005-09-14 2007-03-29 Ki Techno:Kk 地盤改良装置
JP2008261139A (ja) * 2007-04-12 2008-10-30 Kajima Corp 免震構造および免震構造施工方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04161677A (ja) * 1990-10-26 1992-06-05 Taisei Corp 砂の液状化特性を利用した免震装置
JPH06108477A (ja) * 1992-09-22 1994-04-19 Penta Ocean Constr Co Ltd 免震構造及び免震装置
JP2007077649A (ja) * 2005-09-14 2007-03-29 Ki Techno:Kk 地盤改良装置
JP2008261139A (ja) * 2007-04-12 2008-10-30 Kajima Corp 免震構造および免震構造施工方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017020219A (ja) * 2015-07-09 2017-01-26 株式会社不動テトラ 軟弱地盤の免震構造

Also Published As

Publication number Publication date
JP5261273B2 (ja) 2013-08-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5990214B2 (ja) 場所打ちコンクリート杭の施工方法における孔壁の補強方法
JP2010101062A (ja) 地下水の排水構造及びその排水構造を備えたトンネルの構築方法
JP4803472B1 (ja) 地盤安定化工法
JP2010095977A (ja) 地下水の排水構造及びそれを備えたトンネルの構築方法
JP4859064B2 (ja) 土木工事用シール工法
JP4898233B2 (ja) マンホールの浮上防止構造
CN203684204U (zh) 一种流塑状软土地基加固结构
JP5261273B2 (ja) 地震動低減システムの構築方法
JP2013104215A (ja) 液状化防止工法
CN103590390B (zh) 一种流塑状软土地基加固结构及加固方法
JP2008169546A (ja) 注入管及びグラウト注入方法
JP6225429B2 (ja) 液状化防止方法
JP5409302B2 (ja) 地下水の流動阻害を防止する通水構造、地下水の流動阻害を防止する方法
JP2012237186A (ja) 液状化防止工法
CN106285696B (zh) 砂卵石地层矩形盾构顶掘土压平衡建立施工方法
JP4868365B2 (ja) 地盤振動伝播抑制構造
JP4958612B2 (ja) 免震構造
JP4802813B2 (ja) 地下掘削孔の埋め戻し工法
JP2012047031A (ja) 地盤安定化工法
KR20160135038A (ko) 지하 공동의 필라 그라우팅 공법
KR100914414B1 (ko) 수평이동이 가능한 함체 및 이 함체를 이용한 지하연속벽체 형성 방법
KR20200079092A (ko) 저수지 제방 그라우트 방법
KR20060132227A (ko) 지오그리드 보강 쇄석기둥 및 쇄석기둥 공법
JP6892045B2 (ja) 既設管路の浮上防止構造及び工法
JP2008202344A (ja) 坑道支保構造体及び坑道の支保方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120313

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130121

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130129

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130322

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130423

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130426

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20190502

Year of fee payment: 6

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5261273

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees