JP2010255205A - 既設管の更生方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】既設管を更生する更生管をマンホール内に設定長さ突出させて形成する際に、マンホール内においても設定された外径の更生管を確実に形成する。
【解決手段】マンホール1のインバート1aをはつった後、ライニングパイプを既設管2内に挿入するとともに、マンホール1内に突出させる更生管3の設定長さ以上マンホール1内に突出させ、次いで、既設管2の内径と等しい内径とマンホール1内に突出させる更生管3の長さに相当する長さを有するコア10をライニングパイプに挿通するとともに、その先端を既設管2の管端面に突き当てて配置した後、ライニングパイプを加熱加圧して拡径させ、既設管2の内周面およびコア10の内周面に密着させて更生管3を形成し、次いで、コア10の基端に沿って更生管3を切断した後、更生管3からコア10を離脱させる。
【選択図】図1

Description

この発明は、既設管の更生方法に関するものである。
従来より、経年によって老朽化した下水道管などの既設管を更生するため、マンホールにわたって地中に埋設された既設管内に、既設管の内径よりも小径であって、形状記憶温度において円管形状に形状回復する塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂製のライニングパイプを挿入し、ライニングパイプを加熱して拡径させ、円管形状に復元させた後、ライニングパイプを既設管の内周面に密着させ、更生管を形成する更生方法が提案され、実施されている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、地震などによって地盤変動が生じた場合、マンホールに対して既設管が変位するおそれがあり、その際には、マンホールと既設管との接続部の止水性能を確保することが困難となる。
このため、径方向に伸長できる伸長可能部が形成されたフランジを有する止水部材をマンホールの内壁面と更生管の内周面との間に設け、地震などによる既設管および更生管の変位に対して止水性能を確保するようにした発明が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、伸長可能部が一部に形成された止水部材では、その一端を更生管の内周面に拡径リングを介して固定していることから、更生管の断面積が減少し、流下能力を低下させるものとなる。
また、管内の水流は水勾配による自然流下であり、地震などの地盤変動によってマンホールに対して既設管が脱落し、あるいは、それらの接続部が破損すると、圧力がほとんどない管内の内水圧よりも地下水位により水圧の高い外水圧が破損した接続部を通して止水部材に作用し、止水部材を押し潰して断面積を大幅に減少させることから、流下能力を確保することができないものとなる。
さらに、通常、マンホールの底部には流水を確保するためにインバートが形成されて既設管に連通されているが、このような場合に止水部材を取り付けようとすると、蛇腹状の伸長可能部がインバートと干渉し、伸長可能部を機能させることができない。このため、インバートを有する既存のマンホールに止水部材を採用することはできないものである。
このような従来技術に対し、出願人は、インバートを有する既存のマンホールであっても、地震などによる既設管および既設管を更生する更生管の変位に対して更生管とマンホールとを、止水性能を維持して接続することのできるマンホールと更生管との接続構造を提案している。
以下、先に出願人が提案したマンホールと更生管との接続構造について説明する。
この接続構造は、図10乃至図12に示すように、マンホール1に接続されたヒューム管などの既設管2を更生する更生管3と、マンホール1内に設定長さ突出された更生管3の外周面に嵌挿され、更生管3の外周面先端部近傍およびマンホール1の内壁面にそれぞれ各端部が固定された可撓止水材4と、更生管3の外周面下半部および可撓止水材4の外周面下半部を覆って配設されたクッション材7とから構成され、復旧されたマンホール1のインバート1aにクッション材7が埋設されるとともに、更生管3の内周面下半部が連通されている。
更生管3は、前述したように、塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂によって形成され、既設管2との間にモルタルなど裏込め材が充填されておらず、既設管2に対して独立して変位可能である。
可撓止水材4は、図13に示すように、管状一端部41と、フランジ状他端部42と、これらの管状一端部41およびフランジ状他端部42に連続して全周にわたる略Z字状の変位吸収部43とからなり、下水道管などにおいて発生する硫化水素などの影響を受けないゴム、あるいは、合成樹脂によって一体に形成されている。そして、可撓止水材4の管状一端部41の先端外周面には、後述する固定バンド5の抜け出しを防止する抜け止め用フランジ411が形成されるとともに、その内周面には、軸線方向に間隔をおいて複数個の止水用突起412が全周にわたって形成されている。また、可撓止水材4のフランジ状他端部42には、周方向に間隔をおいて複数個のアンカーボルト用取付穴42aが形成されるとともに、その外面にアンカーボルト用取付穴42aの外周側および内周側に位置して複数個の止水用突起421が円周状に形成されている。さらに、可撓止水材4の管状一端部41およびフランジ状他端部42は、軸心に対して直交する端面に形成され、それぞれ固定バンド5および接着系アンカーボルトを介して更生管3の外周面およびマンホール1の内壁面に固定されている。
クッション材7は、インバート1aを復旧するために打設されたコンクリートが可撓止水材4に接触することを防止するとともに、その変位吸収部43の変形を許容するために設けられ、発泡ポリエチレンなどの発泡体によって形成されている。具体的には、クッション材7は、図14に示すように、可撓止水材4の変位吸収部43の下半部周囲を一定空間を確保して覆う内周面7aと、更生管3の外周面下半部に対応する内周面7bとの段差状の内周面を有する、下隅角部が切り落とされた略直方体形状に形成され、可撓止水材4のフランジ状他端部42の内面から更生管3の先端を越えて設定長さ突出された先端までの幅を有している。そして、クッション材7の先端部には、高さ方向に更生管3の厚みに略相当する高さの段差7cが形成されており、後述するように、その段差7cは、インバート1aを復旧するためにコンクリートが打設された際、コンクリートによって覆われるようになっている。
ここで、可撓止水材4の管状一端部41を更生管3の外周面に固定する固定バンド5は、詳細には図示しないが、略半円状のバンド本体51の両端部にナットおよびスリーブをそれぞれ設けて構成され、一対のバンド本体51を互いにナットおよびスリーブが対向するように可撓止水材4の管状一端部41の外周面に装着し、ボルトをスリーブを経てナットにねじ込むことにより、一対のバンド本体51を連結固定することができる。これにより、固定バンド5は、バンド本体51を介して可撓止水材4の管状一端部41の外周面にほぼ均等な締め付け力を作用させることができる。したがって、更生管3の外周面に可撓止水材4の管状一端部41の内周面に設けた止水用突起412を密着させて密封状態で固定することができる。
また、可撓止水材4のフランジ状他端部42をマンホール1の内壁面に固定する接着系アンカーボルトは、マンホール1の周壁に可撓止水材4のフランジ状他端部42に形成されたボルト用取付穴42aに対応してボルト穴を形成し、ボルト穴に対してアンカーボルト6を接着剤を介して固定するものである。これにより、地震などによりマンホール1の周壁にひび割れなどが発生してボルト穴に連続し、ひび割れを通してボルト穴に外水圧が作用したとしても、接着剤によってボルト穴を経てマンホール1の内部に漏出することがなく、確実に止水することができる。
次に、このように構成された接続構造を施工する手順について以下説明する。
まず、更生対象の既設管2が接続されるマンホール1において、インバート1aをはつり、既設管2の管底部側にクッション材7の配設空間を形成する。次いで、更生管3の外周面に可撓止水材4を嵌挿した際に、可撓止水材4のフランジ状他端部42に形成されたアンカーボルト用取付穴42aに対応してマンホール1の周壁にボルト穴を形成した後、該ボルト穴に接着剤を充填し、アンカーボルト6を打ち込んで固定する。その後、マンホール1にわたる既設管2内に、既設管2の内径よりも小径であって、形状記憶温度において円管形状に形状回復する塩化ビニルなどのライニングパイプを挿入し、ライニングパイプを加熱して拡径させ、円管形状に復元させた後、ライニングパイプを既設管2の内周面に密着させて更生管3を形成する。この際、更生管3をマンホール1内に設定された長さ分突出させる。
なお、マンホール1の周壁が硫化水素などによって浸食されている場合は、エポキシ樹脂などを用いて周壁の補修を行う。
接着剤が硬化してアンカーボルト6が固定されたならば、マンホール1の内壁面における可撓止水材4のフランジ状他端部42が接触する部位にブチルゴムなどのシール材62(図17参照)を貼着した後、マンホール1内に突出された更生管3の外周面に可撓止水材4を嵌挿するとともに、そのフランジ状他端部42のアンカーボルト用取付穴42aをアンカーボルト6に挿通する。次いで、予めフランジ状他端部42のアンカーボルト用取付穴42aに対応する複数個の取付穴を形成した鋼板製の押さえプレート45(図11、図17参照)をアンカーボルト6に挿通して可撓止水材4のフランジ状他端部42の内面にあてがった後、アンカーボルト6にナット61をねじ込み、可撓止水材4のフランジ状他端部42をマンホール1の内壁面に固定する。これにより、可撓止水材4のフランジ状他端部42の外面とマンホール1の内壁面とがシール部材62および止水用突起421を介して密封される。
さらに、可撓止水材4の管状一端部41の先端部近傍の周囲に一対のバンド本体51を装着してボルトをスリーブを経てナットにねじ込み、一対のバンド本体51を介して可撓止水材4の管状一端部41を更生管3の外周面に固定する。これにより、更生管3の外周面と可撓止水材4の管状一端部41の内周面とが止水用突起412を介して密封される(図15乃至図17参照)。
この際、マンホール1は、現場組立のマンホール、すなわち、上方より見て内壁面が円弧状に形成されていることにより、可撓止水材4のフランジ状他端部42および変位吸収部43は、その管頂部および管底部に対して左右両側が内壁面の曲率半径に沿って湾曲することから、左右両側の変位吸収部43の屈曲状態が大きくなる。したがって、固定バンド5のボルトおよびナットによる連結部分を管頂部および管底部に配置することが、作業スペースを確保して作業する上で好ましい。
可撓止水材4の取付作業が終了したならば、インバート1aをはつることによって更生管3の外周面側下半部および可撓止水材4の外周面側下半部に形成された空間にクッション材7を配設する。すなわち、更生管3の外周面下半部にクッション材7の前方の内周面7bを接触させるとともに、基端面を可撓止水材4のフランジ状他端部42の内面に接触させてクッション材7をマンホール1の底部に配置する。この際、クッション材7の後方の内周面7aは、可撓止水材4の変位吸収部43との間に一定の空間を確保するように設定されている。次いで、先にはつった箇所にコンクリートを打設し、クッション材7を埋設しつつ更生管3の外周面下半部に連続するインバート1aを復旧させる。
このように構成されたマンホール1と更生管3との接続構造においては、次のような利点がある。
マンホール1内に設定長さ突出させた更生管3の外周面とマンホール1の内壁面とにわたって可撓止水材4を固定したことにより、更生管3の流水断面積を減少させることがなく、流下能力を確保することができる。
また、地震などの地盤変動によってマンホール1に対して既設管2が脱落し、あるいは、それらの接続部が破損して、抜け出し、突き出し、あるいは、屈曲が生じたとしても、更生管3の外周面およびマンホール1の内壁面にわたって固定された可撓止水材4の変位吸収部43が追従して変形し、容易に各種変位を吸収することができる。また、可撓止水材4は、マンホール1の内壁面と更生管3の外周面とに密封状態で固定されており、仮に、マンホール1と既設管2との接続部分が破損し、破損個所を通して可撓止水材4に外水圧が作用したとしても、止水性能を確保することができるとともに、更生管3の流下能力に影響を与えることがない。
さらに、更生管3の外周面下半部および可撓止水材4の外周面下半部を覆うクッション材7を配設してインバート1aを復旧することにより、インバート1aによる流下能力を安定して確保することができる。また、地震などによって更生管3の突き出しが生じ、更生管3に固定された可撓止水材4が更生管3の突き出しに追従した場合、クッション材7を圧縮変形させながら変位吸収部43が変形して吸収することから、可撓止水材4を保護して変位吸収部43の変形を確保することができる。
一方、地震などによって更生管3の抜け出しが生じ、更生管3に固定された可撓止水材4が更生管3の抜け出しに追従した場合、変位吸収部43が変形して吸収する。
さらにまた、地震などによりマンホール1の周壁にひび割れなどが生じてアンカーボルト6に伝わった場合において、アンカーボルト6は接着剤によって固定されており、外水圧がアンカーボルト6を経て漏水することはなく、止水性能を確保することができる。
特開平11−230412号公報 特開2008−248602号公報
ところで、出願人が先に提案したマンホールと更生管との接続構造においては、マンホール内に設定長さ突出された更生管の外周面に可撓止水材を嵌挿し、可撓止水材の一端部を固定バンドを介して更生管に固定するとともに、可撓止水材の他端部を接着系アンカーボルト、フランジ材およびナットを介してマンホールの内壁面に固定することにより水密性を確保するようにしている。しかしながら、更生管を形成する熱可塑性樹脂からなるライニングパイプは、マンホール内においては規制がないことから、真円状に拡径するとは限らず、外径もどんどん大きくなる傾向がある。また、可撓止水材もゴムなどで形成されていることにより、正確な真円状に成形することは困難である。さらに、これらの更生管および可撓止水材を固定バンドによって固定した場合、固定バンドによって可撓止水材の全周にわたって均等に締め付け力を作用させることは難しい。したがって、必ずしも真円状に形成されることのない更生管と可撓止水材とを全周にわたって均等に締め付けることができない固定バンドで固定した場合、更生管の外周面と可撓止水材の内周面との止水性能を確保できないおそれがある。また、更生管と可撓止水材とを確実に固定することができないおそれもある。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、既設管を更生する更生管をマンホール内に設定長さ突出させて形成する際に、マンホール内においても設定された外径の更生管を確実に形成することのできる既設管の更生方法を提供するものである。
本発明は、インバートを有するマンホールにわたって地中に埋設された既設管の内周面を更生するとともに、マンホール内に設定長さ突出された更生管とマンホールとを接続するのに先立って、既設管の内周面をマンホール内に設定長さ突出させた更生管によって更生する既設管の更生方法であって、既設管に連通されるマンホールのインバートをはつった後、ライニングパイプを既設管内に挿入するとともに、マンホール内に突出させる更生管の設定長さ以上マンホール内に突出させ、次いで、マンホール内に突出させる更生管の長さに相当する長さを有するコアをライニングパイプに挿通した後、ライニングパイプを拡径させ、既設管の内周面およびコアの内周面に密着させて更生管を形成し、次いで、コアの基端に沿って更生管を切断した後、更生管からコアを離脱させることを特徴とするものである。
本発明によれば、マンホールのインバートをはつった後、ライニングパイプを既設管内に挿入するとともに、マンホール内に突出させる更生管の設定長さ以上マンホール内に突出させる。次いで、マンホール内に突出させる更生管の長さに相当する長さを有するコアをライニングパイプに挿通した後、ライニングパイプを拡径させ、既設管の内周面およびコアの内周面に密着させて更生管を形成する。次いで、コアの基端に沿って更生管を切断した後、更生管からコアを離脱させる。
この結果、マンホール内に引き出された設定長さの更生管を、コアの内径に対応する外径の真円状に形成することができる。したがって、固定バンドを介して更生管の外周面に可撓止水材を固定するときには、全周にわたってほぼ均等な締め付け力を作用させることができ、それらの止水性能を確保することができるとともに、確実に固定することができる。
本発明において、前記コアがコア本体およびコア本体の外周面に一体に設けられたフランジ部から形成されることが好ましい。これにより、マンホールの内壁面とコアのフランジ部間にジャッキなどを設置して、更生管からコアを容易に抜き出すことができる。
本発明において、前記コアが複数個の分割コアからなる割型コアであることが好ましい。これにより、狭小なマンホール内においても、ライニングパイプに対するコアの取付および更生管からのコアの抜き出しを容易に行うことができる。
本発明において、前記分割コアの一端部に1個または複数個の拡径部が形成されることが好ましい。これにより、ライニングパイプをコアに密着させて更生管を形成するとき、更生管の端部に拡径部を形成することができる。そして、更生管の拡径部に可撓止水材の一端部を配置して固定バンドを介して固定すれば、拡径部によって更生管からの抜け出しを防止して更生管に確実に固定できる。
本発明において、前記コアの管端面がマンホールの内壁面に沿う既設管の管端面に対応する形状に形成されていることが好ましい。これにより、コアを既設管の管端面に突き合わせる際に、既設管とコアとの接合部に隙間などが発生しにくく、更生管を良好な仕上がり精度で形成することができる。
本発明は、インバートを有するマンホールにわたって地中に埋設された既設管の内周面を更生するとともに、マンホール内に設定長さ突出された更生管とマンホールとを接続するのに先立って、既設管の内周面をマンホール内に設定長さ突出させた更生管によって更生する既設管の更生方法であって、既設管に連通されるマンホールのインバートをはつった後、マンホール内に突出させる更生管の長さに相当する長さを有するコア本体および該コア本体に設けられて可撓止水材のアンカーボルト用取付穴に対応する位置決め穴が形成された位置決めフランジからなるコアを既設管の軸心に軸心を一致させて支持するとともに、マンホールの内壁面に位置決めフランジを接触させ、その位置決め穴に合わせてボルト用位置決め穴を罫描いた後、コアを一旦撤去し、マンホールの内壁面に罫描かれたボルト用位置決め穴に合わせてボルト穴を形成し、次いで、ライニングパイプを既設管内に挿入するとともに、マンホール内に突出させる更生管の設定長さ以上マンホール内に突出させた後、コアをライニングパイプに挿通するとともに、位置決めフランジの位置決め穴をマンホールの周壁に形成されたボルト穴に合致させてコアを支持した後、ライニングパイプを拡径させ、既設管の内周面およびコアの内周面に密着させて更生管を形成し、次いで、コアの基端に沿って更生管を切断した後、更生管からコアを離脱させることを特徴とするものである。
本発明によれば、マンホールのインバートをはつった後、マンホール内に突出させる更生管の長さに相当する長さを有するコア本体および該コア本体に設けられて位置決め穴が形成された位置決めフランジからなるコアを既設管の軸心に軸心を一致させて支持するとともに、マンホールの内壁面に位置決めフランジを接触させ、位置決め穴に合わせてボルト用位置決め穴を罫描く。次いで、コアを一旦撤去し、マンホールの内壁面に罫描かれたボルト用位置決め穴に合わせてボルト穴を形成する。その後、ライニングパイプを既設管内に挿入するとともに、マンホール内に突出させる更生管の設定長さ以上マンホール内に突出させる。次いで、コアをライニングパイプに挿通するとともに、位置決めフランジの位置決め穴をマンホールの周壁に形成されたボルト穴に合致させてコアを支持した後、ライニングパイプを拡径させ、既設管の内周面およびコアの内周面に密着させて更生管を形成する。次いで、コアの基端に沿って更生管を切断した後、更生管からコアを離脱させる。
この結果、マンホール内に引き出された設定長さの更生管を、コアの内径に対応する外径の真円状に形成することができる。したがって、固定バンドを介して更生管の外周面に可撓止水材を固定するときには、全周にわたってほぼ均等な締め付け力を作用させることができ、それらの止水性能を確保することができるとともに、確実に固定することができる。
また、既設管の軸心とコアの軸心とを一致させた状態でコアを支持して更生管を形成することから、既設管の内周面に形成された更生管とマンホール内に突出された更生管とに段差が発生したり、屈曲したりすることを防止することができる。
さらに、位置決めフランジに接着系アンカーボルトを固定するためのボルト穴に対応する位置決め穴を形成することにより、位置決め穴を利用してアンカーボルト用ボルト穴をマンホールの内壁面に罫描くことができる。このため、可撓止水材を固定する後工程において、改めてボルト穴を罫描く作業が不要となり、施工を効率化することができる。
本発明によれば、既設管を更生する更生管をマンホール内に設定長さ突出させて形成する際に、マンホール内においても設定された外径の更生管を確実に形成することができる。
本発明の既設管の更生方法の一実施形態を説明する工程図である。 更生方法に使用するコアの変形例を示す斜視図である。 更生方法に使用するコアの他の変形例を示す斜視図である。 図3のコアの変形例を示す断面図である。 図4のコアを用いた既設管の更生方法を説明する工程図である。 図4のコアを用いて形成された更生管とマンホールとの接続構造を説明する縦断面図である。 本発明の既設管の更生方法の他の実施形態を説明する工程図である。 図7の正面図である。 本発明の既設管の更生方法の他の実施形態を説明する工程図である。 マンホールと更生管との接続構造を示す平面図である。 図10のA−A線断面図である。 図10のB−B線断面図である。 可撓止水材を示す半断面図である。 クッション材を示す斜視図である。 図10の接続構造の施工要領を説明する工程図である。 図15のC−C線断面図である。 図15のX部拡大図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の既設管の更生方法の一実施形態が示されている。
この既設管の更生方法は、既設管2の内径と等しい内径およびマンホール1内に突出させる更生管3の設定長さに相当する長さを有する、円筒状のコア本体11からなる鋼板製のコア10を用いるものである。
具体的には、既設管2に連通されるマンホール1のインバート1aをはつった後、接着系アンカーボルトを固定する。次いで、ライニングパイプ(図示せず)を既設管2内に挿入し、マンホール1内に突出させる更生管3の設定長さ以上マンホール1内に突出させた後、前述したコア10をライニングパイプに挿通して、その先端を既設管2の管端面に突き当てて支持する。
ここで、既設管2に対するコア10の支持要領としては、詳細には図示しないが、ジャッキや角材などを利用してコア10を直接支持したり、ライニングパイプの拡径時に作業者が既設管2の管端面にコア10を押し付けるように支持すればよい。また、ジャッキや角材などを対向するマンホール1の内壁面およびコア10の端面間に配置して押し当てるようにしてもよい。
コア10を固定したならば、ライニングパイプの端部に管端栓Sを装着した後、管端栓Sを通して高温の水蒸気などの加熱媒体を図示しない加熱媒体供給管を通してライニングパイプに供給し、ライニングパイプを加熱する。ライニングパイプが形状記憶温度まで加熱されると、元の円筒状に形状回復する。ライニングパイプが円筒状に形状回復すれば、加熱媒体の供給を中止して加熱を終了し、加熱媒体供給管を通して高圧空気をライニングパイプに供給し、軟化されたライニングパイプを加圧して拡径させ、ライニングパイプを既設管2の内周面およびコア10の内周面に密着させる。一方、高圧空気の供給に伴ってライニングパイプは冷却されるため、既設管2の内周面およびコア10の内周面にわたって密着した状態で硬化し、その形状が保持される。これにより、既設管2の内周面およびコア10の内周面にわたって更生管3が形成される。
更生管3が形成されたならば、コア10の基端に沿って更生管3を切断した後、コア10を更生管3から引き抜けばよい。この際、コア10の内周面に予め離型剤を塗布して摩擦力を軽減させることが好ましい。
この結果、更生管3は、既設管2の内周面に密着して既設管2の内周面を更生するとともに、マンホール1内に設定長さだけ引き出されている。そして、マンホール1内に引き出された設定長さの更生管3は、コア10の内径に対応する外径の真円状に形成されている。したがって、真円状に形成された更生管3の外周面に嵌挿される可撓止水材4も更生管3の外周面形状に対応して真円状に追従し、固定バンド5を介して更生管3の外周面に可撓止水材4を固定するときには、全周にわたってほぼ均等な締め付け力を作用させることができ、それらの止水性能を確保することができるとともに、確実に固定することができる。
なお、前述した実施形態においては、円筒状のコア本体11からなるコア10を用いた場合を例示したが、更生管3からのコア10の抜き出しを考慮して、コア10をコア本体11およびコア本体11の外周面の任意の位置、例えば、一端部に一体に設けたフランジ部12によって形成することもできる(図2参照)。このようなコア10においては、マンホール1の内壁面とコア10のフランジ部12間にジャッキなどを設置して、更生管3からコア10を容易に抜き出すことができる。
また、ライニングパイプへの取付および更生管3からの抜き出しを考慮して、複数個に分割した分割コア111からなる割型コア10A(図3参照)を用いることが好ましい。この割型コア10Aは、分割コア111を固定用バックルなどの締結具112を用いて連結することにより円筒状に形成することができる。
さらに、軟化したライニングパイプが高圧空気の供給によって拡径することを利用して、更生管3の端縁部に拡径部3aを形成するように,図4に示すように、拡径部13を有するコア10を用いることもできる。すなわち、コア10は、コア本体11の一端部にコア本体11の内径よりも若干大径の拡径部13を形成したものである。これにより、コア10に密着して形成される更生管3は、その先端部にコア10の拡径部13に対応する拡径部3aを有するものとなる(図5参照)。そして、更生管3をコア10の拡径部13側端縁で切断した後、可撓止水材4を更生管3の外周面に嵌挿した場合、可撓止水材4は、更生管3の拡径部3aによって抜け出し方向の移動が防止され、固定バンド5によって更生管3に確実に固定できる利点がある(図6参照)。
なお、更生管3に対して可撓止水材4を取り付ける場合には、可撓止水材4の可撓性を利用して拡径させ、拡径部3aを乗り越えて嵌挿すればよい。
この場合、拡径部3aが形成された更生管3からのコア10の抜き出しを考慮すれば、割型構造のコアが採用される。
また、複数個の拡径部13を形成したコア10を利用して更生管3に複数個の拡径部3aを形成することもできる。これにより、隣接する拡径部3a,3a間に可撓止水材4の管状一端部41を配置して固定バンド5で固定することで、可撓止水材4の抜け出し方向の移動および突き出し方向の移動が規制されて、更生管3に対してより確実に固定することができる。
ここで、コア10の管端面は、既設管2の管端面、すなわち、マンホール1の内壁面形状に合わせて形成する。例えば、マンホール1が現場組立のマンホールの場合には、上方より見て内壁面が円弧状に形成されていることから、コア10,10Aの管端面をマンホール1の内壁面の曲率半径に沿うように切断すればよい。また、マンホール1が現場打ちのマンホールの場合には、上方より見て内壁面がフラットに形成されていることから、コア10,10Aの管端面を軸心に対して直交する鉛直面に切断すればよい。これにより、既設管2とコア10,10Aとの突き合わせ部に段差や屈曲などの不具合が発生することを防止できる。
ところで、前述した実施形態においては、既設管2の管端面にコア10,10Aを突き合わせて配設する場合を説明したが、作業者の熟練度などによって軸心方向の位置ズレが発生するおそれがある。コア10,10Aの位置ズレが発生すると、既設管2の管端面とコア10,10Aの管端面との間に段差や屈曲などが生じる可能性が大きくなる。このため、既設管2の軸心に対して軸心を一致させた状態でコア10,10Aを設置する必要がある。
このような観点から、図7に示すように、コア本体11の一端部に位置決めフランジ14を設けたコア10を利用して、コア10の軸心を既設管2の軸心に対して位置決めすることが好ましい。
ここで、位置決めフランジ14は、マンホール1の内壁面の曲率半径に対応して形成されているとともに、更生管3の外周面に可撓止水材4を嵌挿した際に、可撓止水材4のフランジ状他端部42に形成されたアンカーボルト用取付穴42aに対応する位置決め穴14aが形成されており、この位置決め穴14aを利用してマンホール1の内壁面にアンカーボルト6を固定するための位置決めボルト穴を罫描くことができる。
具体的には、図7および図8に示すように、既設管2に対するライニングパイプの挿入に先立って、位置決めフランジ14を設けたコア10をジャッキJを利用してマンホール1の底部に支持するとともに、既設管2の内周面およびコア10のコア本体11の内周面にわたって少なくとも2ヶ所に水準器Lを配置し、ジャッキJを調整して両者の軸心を一致させた状態で位置決めフランジ14をマンホール1の内壁面に接触させる。
この場合、水準器Lの配置位置としては、既設管2の内周面管底部とコア11の内周面管底部との間、および、既設管2の内周面左右端部とコア11の内周面左右端部との間、あるいは、既設管2の内周面管頂部とコア11の内周面管頂部との間が挙げられる。
既設管2の軸心およびコア11の軸心を一致させてジャッキJにてコア11を支持したならば、マンホール1の内壁面に位置決めフランジ14の位置決め穴14aに合わせて位置決めボルト穴を罫描いておく。
この後、ジャッキJおよび位置決めフランジ14を設けたコア10を水準器Lとともに一旦撤去し、マンホール1の内壁面に罫描いた位置決めボルト穴にドリルを利用してボルト穴1b(図9参照)を形成する。
次いで、ライニングパイプを既設管2内に挿入し、マンホール1内に突出させる更生管3の設定長さ以上マンホール1内に突出させた後、位置決めフランジ14を設けたコア10を位置決めフランジ14側からライニングパイプに挿通し、位置決めフランジ14をマンホール1の内壁面に接触させるとともに、コア10をジャッキJにて支持する。この際、マンホール1の内壁面に形成したボルト穴1bに位置決めフランジ14の位置決め穴14aを一致させた状態でジャッキJを調整してコア10を支持する。これにより、既設管2の軸心に軸心を一致させてコア10を支持することができる。
次いで、ライニングパイプの端部に管端栓Sを装着した後、管端栓Sを通して高温の水蒸気などの加熱媒体を図示しない加熱媒体供給管を通してライニングパイプに供給し、ライニングパイプを加熱する。ライニングパイプが形状記憶温度まで加熱されると、元の円筒状に形状回復する。ライニングパイプが円筒状に形状回復すれば、加熱媒体の供給を中止して加熱を終了し、加熱媒体供給管を通して高圧空気をライニングパイプに供給し、軟化されたライニングパイプを加圧して拡径させ、ライニングパイプを既設管2の内周面およびコア11の内周面に密着させる。一方、高圧空気の供給に伴ってライニングパイプは冷却されるため、既設管2の内周面およびコア10の内周面にわたって密着した状態で硬化し、その形状が保持される。これにより、既設管2の内周面およびコア10の内周面にわたって更生管3が形成される。更生管3が形成されたならば、コア11の基端に沿って更生管3を切断した後、コア11を更生管3から引き抜けばよい(図9参照)。
この実施形態においても、マンホール1内に引き出された設定長さの更生管3は、コア10の内径に対応する外径の真円状に形成されている。したがって、真円状に形成された更生管3の外周面に嵌挿された可撓止水材4も更生管3の外周面形状に対応して真円状に追従し、固定バンド5を介して更生管3の外周面に可撓止水材4を固定したときには、全周にわたってほぼ均等な締め付け力を作用させることができ、それらの止水性能を確保することができるとともに、確実に固定することができる。
また、既設管2の軸心とコア10の軸心とを一致させた状態でコア10を支持して更生管3を形成することから、既設管2の内周面に形成された更生管3とマンホール1内に突出された更生管3とに段差が発生したり、屈曲したりすることを防止することができる。
なお、位置決めフランジ14に接着系アンカーボルトを固定するためのボルト穴に対応する位置決め穴14aを形成しておくことにより、位置決め穴14aを利用してボルト用位置決め穴をマンホール1の内壁面に罫描くことができる。これにより、可撓止水材4を固定する際に、改めてボルト用位置決め穴を罫描く作業が不要となり、作業を効率化することができる。
この場合も、コア10のコア本体11の管端面は、マンホール1の内壁面に沿う既設管2の管端面の形状に合わせて形成すればよい。合わせて、位置決め部材14についても、マンホール1の内壁面形状に沿うように、上方より見て湾曲状、あるいは、フラット状に形成すればよい。
前述した実施形態においては、熱可塑性樹脂からなるライニングパイプを利用して更生管を形成する場合を説明したが、熱硬化性樹脂からなるライニングパイプを利用して更生管を形成することもできる。このような熱硬化性樹脂からなるライニングパイプの既設管への引込み工法としては、反転工法や形成工法を挙げることができる。
1 マンホール
1a インバート
2 既設管
3 更生管
4 可撓止水材
41 管状一端部
42 フランジ状他端部
43 変位吸収部
5 固定バンド
6 アンカーボルト
7 クッション材
10,10A コア
11 コア本体
111 分割コア
12 フランジ部
13 拡径部
14 位置決めフランジ
14a 位置決め穴
J ジャッキ
L 水準器
S 管端栓

Claims (7)

  1. インバートを有するマンホールにわたって地中に埋設された既設管の内周面を更生するとともに、マンホール内に設定長さ突出された更生管とマンホールとを接続するのに先立って、既設管の内周面をマンホール内に設定長さ突出させた更生管によって更生する既設管の更生方法であって、既設管に連通されるマンホールのインバートをはつった後、ライニングパイプを既設管内に挿入するとともに、マンホール内に突出させる更生管の設定長さ以上マンホール内に突出させ、次いで、マンホール内に突出させる更生管の長さに相当する長さを有するコアをライニングパイプに挿通した後、ライニングパイプを拡径させ、既設管の内周面およびコアの内周面に密着させて更生管を形成し、次いで、コアの基端に沿って更生管を切断した後、更生管からコアを離脱させることを特徴とする既設管の更生方法。
  2. 請求項1記載の既設管の更生方法において、前記コアがコア本体およびコア本体の外周面に一体に設けられたフランジ部から形成されることを特徴とする既設管の更生方法。
  3. 請求項1または2記載の既設管の更生方法において、前記コアが複数個の分割コアからなる割型コアであることを特徴とする既設管の更生方法。
  4. 請求項3記載の既設管の更生方法において、前記分割コアの一端部に1個または複数個の拡径部が形成されることを特徴とする既設管の更生方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一つに記載の既設管の更生方法において、前記コアの管端面がマンホールの内壁面に沿う既設管の管端面に対応する形状に形成されていることを特徴とする既設管の更生方法。
  6. インバートを有するマンホールにわたって地中に埋設された既設管の内周面を更生するとともに、マンホール内に設定長さ突出された更生管とマンホールとを接続するのに先立って、既設管の内周面をマンホール内に設定長さ突出させた更生管によって更生する既設管の更生方法であって、既設管に連通されるマンホールのインバートをはつった後、マンホール内に突出させる更生管の長さに相当する長さを有するコア本体および該コア本体に設けられて可撓止水材のアンカーボルト用取付穴に対応する位置決め穴が形成された位置決めフランジからなるコアを既設管の軸心に軸心を一致させて支持するとともに、マンホールの内壁面に位置決めフランジを接触させ、その位置決め穴に合わせてボルト用位置決め穴を罫描いた後、コアを一旦撤去し、マンホールの内壁面に罫描かれたボルト用位置決め穴に合わせてボルト穴を形成し、次いで、ライニングパイプを既設管内に挿入するとともに、マンホール内に突出させる更生管の設定長さ以上マンホール内に突出させた後、コアをライニングパイプに挿通するとともに、位置決めフランジの位置決め穴をマンホールの周壁に形成されたボルト穴に合致させてコアを支持した後、ライニングパイプを拡径させ、既設管の内周面およびコアの内周面に密着させて更生管を形成し、次いで、コアの基端に沿って更生管を切断した後、更生管からコアを離脱させることを特徴とする既設管の更生方法。
  7. 請求項6記載の既設管の更生方法において、前記コア本体の管端面がマンホールの内壁面に沿う既設管の管端面に対応する形状に形成されていることを特徴とする既設管の更生方法。
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