JP2010255197A - 道路反射鏡の結露防止方法、結露防止装置、道路反射鏡 - Google Patents
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Abstract
【課題】 低コストで実施することが可能であって、安定な結露防止効果を発揮する道路反射鏡の結露防止方法および結露防止装置を提供する。
【解決手段】 鏡面10の裏面側に外気を遮断した気密空間Rを形成し、昼間に暖められた気密空間Rの内部の空気を夜間においてファン25によって継続して撹拌し、鏡面10の温度を気密空間Rの内部の気温に同一化する。気密空間Rの内部の気温低下は、常に、外気の気温低下より遅れて生じるので、鏡面10の温度が露点以下に低下するのを防止することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 鏡面10の裏面側に外気を遮断した気密空間Rを形成し、昼間に暖められた気密空間Rの内部の空気を夜間においてファン25によって継続して撹拌し、鏡面10の温度を気密空間Rの内部の気温に同一化する。気密空間Rの内部の気温低下は、常に、外気の気温低下より遅れて生じるので、鏡面10の温度が露点以下に低下するのを防止することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、直接視できない箇所を鏡面による反射影像を介して安全確認するための道路反射鏡の結露防止方法、および道路反射鏡の結露防止装置、並びに、結露防止装置を組み込んだ道路反射鏡に関する。
道路の急カーブ箇所やT字交差箇所には、鏡面による反射影像によって安全確認をすることができるように道路反射鏡が設置されている。この道路反射鏡に関しては、気象条件によって結露や、結露が氷結して形成される着霜によって反射影像が不鮮明または結像不能となり、安全確認機能が一時的に損なわれる現象が発生することが旧来より問題視され、多様な結露防止策が提案されている(下記先行技術文献欄参照)。しかし、多様な提案にもかかわらず、結露防止対策を施した道路反射鏡は十分に普及しているとは言えないのが現状である
結露の発生には、結露発生対象物の物理的または化学的表面性状や熱伝導率の大小、風の有無、周辺建築物の状況等の周辺環境等も関連する複雑な問題があるが、基本的には、鏡面が周辺の自然空気の露点以下に低下することによって発生すると考えれば足りる。換言すれば、道路反射鏡の鏡面の表面に接触した空気が急速に露点以下に冷やされた鏡面によって、飽和状態となった水蒸気が微細な水滴となって鏡面に露出することによって結露が発生すると言うことができる。
道路反射鏡における結露発生が、上記のような原因に基づくものであることから、結露の発生を防止する方策としては、結露が発生しやすい時間帯における鏡面の温度を露点以上の温度に維持する対策を想定することができる。また、道路反射鏡の設置目的である安全確認機能を確保する観点からは、結露発生の有無にかかわらず、明瞭な反射影像が形成されればよいのであるから、その他の対策としては、結露が発生した場合に、発生した結露を早急に除去する対策や、結露が鏡面における反射影像の形成を阻害する水滴状とならないような対策を想定することができる。
道路反射鏡における結露発生問題に対する従来の提案は、上記いずれかの考え方を基礎とするものであるが、問題は、道路反射鏡に結露防止対策を採用することによる効果の達成度合いと、製造コストや設置コスト、維持管理コストの増加を含めた負担増加とのバランスが必要とされることである。結露防止に要する負担増加が過大であれば、その提案は、効果が認められても結局は、採用されないこととなるからである。すなわち、道路反射鏡の鏡面を露点以上の温度に維持することを単なる技術問題とするならば、その解決は極めて容易であるからである。また、別に、結露防止対策を採用することによって、道路反射鏡が都市景観を害するものとならないことも必要な要望事項である。
上記のような観点から従来の提案における問題点、すなわち、結露防止対策を施した道路反射鏡が普及しない原因を考察する。
道路反射鏡における結露防止対策として、鏡面の裏面側に発熱体を取り付けたものがある(特許文献2参照)。鏡面を露点以上の温度に保つための最も端的な対応策であるといえる。また、発熱体を備えるものは、通常、電源としてのバッテリと、バッテリを充電するための太陽電池パネルと、充放電制御用の制御回路等を含んでなる制御部材を備える。商用電源を利用することとすれば、過分の付帯工事を伴うこととなるからである。制御部材には、温度センサ等も含まれている。本引例におけるバッテリおよび制御部材は、道路反射鏡を支持するための支持ポールの内部に配設されている。
電力をジュール熱に変換する発熱体は、太陽電池パネルやバッテリから見て消費電力が大きい重い負荷であり、大きなバッテリ容量とパネル面積を必要とする。従って、コスト負担も大きい。
鏡面に時計の針のように旋回動作するワイパを取り付けたものがある(特許文献2参照)。ワイパと鏡面との密着性の確保が難しく、密着性を高めれば、消費電力が大きい大型の駆動モータが必要となる。また、鏡面の反射映像内に常時存在することとなるワイパは、安全確認に際して利用者に錯誤を生じさせるおそれがある
電動ファンを利用して鏡面に送風する案も見られる(特許文献2参照)。適度な風がある日には結露が発生しないことに基づく提案である。この対策においては、ファンによる送風の中心から一定範囲内においての結露防止効果が認められるものの、鏡面全体について結露を防止することは難しい。ファンからの送風を鏡面全体に拡散させることが難しいからである。
道路反射鏡の裏面側は、通常は裏蓋ないしカバー等を取り付けることによって保護されているのであるが、逆に、裏蓋ないしカバーを設けず、鏡面の裏面側も表面側と同様に直接外気に触れるようにした提案も見られる(特許文献1参照)。
上記提案は、鏡面の裏面側についても直接外気に触れるようにすることによって、鏡面の温度を周囲温度と早期に一致させ、結露を素早く除去することができるとするものである。結露の除去に関してこの主張は、正当と思われるが、結露の発生を阻止することには何ら寄与するものではないことは否めないであろう。
鏡面の表面に酸化チタン系の光触媒含有層を形成し、結露を鏡面の表面に水膜状に拡散させることによって、結露が発生した場合においても一応の反射影像を得ることができるようにする提案がある(特許文献4参照)。すなわち、結露が微水滴状である場合には、光線の乱反射により正常な反射影像を得ることは困難であるが、結露が水膜状である場合には、若干の影像品質の低下が伴うものの、反射影像を確保することができることに着目した提案である。
しかしながら、上記提案においては、結露が発生する夜間および黎明時間帯に光触媒が正常に機能するかどうかは疑問であり、仮に正常に機能するとしても、鏡面の温度が氷点下に低下し、水膜状の結露が氷結した場合においては、反射影像を形成する機能が完全に損なわれてしまうという大きな問題を伴っているといえる。
鏡面の裏面に蓄熱剤を添設し、昼間に熱を蓄熱し、夜間から明け方における鏡面の温度を露点以上に維持しようとする提案がある(特許文献3参照)。鏡面に対する蓄熱剤の取り付け方法や、液相である蓄熱剤の凍結防止に対する配慮もなされており、蓄熱剤の蓄熱量が十分である場合には、有効な技術であるように思われる。ただし、蓄熱剤の容器には、鏡面に対する密着性を高める必要から、例えば、塩化ビニルのような軟質の樹脂容器が用いられている。この点は、道路反射鏡の耐用期間との兼ね合いで樹脂廃棄物が増加することが懸念される。また、蓄熱剤を利用する技術においては、稀なことではあるが、気温の昼夜逆転現象が発生した場合において、蓄熱剤に冷熱が蓄熱されてしまい、結露の発生を増長してしまうことがある。
鏡面の設置位置より高い位置から空気を取り入れて、これを鏡面の裏面側に継続的に供給し、鏡面温度を露点以上の温度に維持する提案がある(特許文献特許文献5参照)。
上記提案は、当社の先行技術である。結露が発生する日の気象状態は、殆ど例外なく晴天の無風状態であり、このような気象条件下においては、道路反射鏡の周囲の空気の温度は、一様ではなく、冷たくて重い空気が地表付近に沈降するとともに、その上に次順位に温かく軽い空気が次々と層をなして重なるように存在するという観測データに基づいた提案である。
すなわち、鏡面の設置位置より高い位置の空気は、鏡面付近の空気の温度に対して相対的に高温であり、相対的に高温の空気を鏡面の裏面側の空気室に継続的に供給することによって、鏡面全体の温度を周囲の空気の露点以上に加温し、結露を有効に防止することができるのである。本提案は、結露防止には顕著な効果を奏したものの、鏡面上空の空気を鏡面の裏面に導入するための筒体の存在が、視覚的違和感および運搬や取扱い上の不都合の原因となり、普及するには至らなかった。
上記のように、道路反射鏡の結露防止に対する各種の対応策は、固有の効果と固有の問題点と併せ持っている。前述したようにこれらの対応策を施した道路反射鏡が普及しないのは、上述したように固有の効果とその効果を得るための負担とのバランスに問題があるという結論になる。
当社では、上記当社の先行技術文献(特許文献5)に記載した道路反射鏡について、上空の空気を鏡面の裏面側に導くための筒体をどの程度まで短くすることができるかについて試作検討した。この点が問題点として業界から指摘されたからである。
検討結果は、意外なものであった。すなわち、筒体を徐々に短くして結果を観察すると、結露防止効果は、徐々に低下するものの、筒体の長さが一定限度を下回ったところで結露防止効果の低下は下げ止まりとなり、また、筒体を除去しても、送風を継続している限り、十分とは言えないながらも鏡面全体にわたって一定の結露防止効果が得られたのである。なお、鏡面の裏面側の空気室に送風された空気は、空気室全体に複雑に拡散して鏡面外周部の多点から排出されるようになっている。
一般に、鏡面の表面に周囲の空気を送風した場合においては、局所的な結露防止効果しか得られないところ、鏡面の裏面側の空気室に送風した場合に上記のような効果が得られるのは、空気室内の空気が送風された空気によって複雑に拡散され、鏡面全体の温度が、外気温と同一化されるためであろうと推定されるとともに、冷たい外気を送風することに代えて、空気室を気密空間とし、気密空間内の空気自体を拡散循環させるならば、結露防止効果を一層に高めることができるであろうことが示唆された。すなわち、外気温が一定である場合には、気密空間内部の気温もいずれ外気温に同化することとなるのであるが、外気温が刻々と低下するような状況においては、気密空間内の気温低下は、常に外気温の低下に遅れて生じるからである。
本発明は、外気から遮断された気密空間内の気温低下は、常に外気温の低下に遅れて生じることに着目し、鏡面の裏面側に気密空間を設け、昼間に暖められた気密空間の内部の空気を夜間において継続して撹拌するという、極めて単純化された構成によって、したがって、低コストで安定な結露防止効果を奏することができる道路反射鏡の結露防止方法および道路反射鏡の結露防止装置、並びに、結露防止装置を組み込んだ道路反射鏡を提供することを目的とする。ただし、太陽光発電パネルやファンの電源とするバッテリまでをも不要とするものではない。
上記目的を達成するための本発明は、次のような構成を採用する。
本発明の請求項1に記載の道路反射鏡の結露防止方法は、鏡面の裏面側に外気を遮断して独立する気密空間を形成し、この気密空間の外部に太陽光発電パネルを設置するとともに、気密空間の内部に太陽光発電パネルによって充電するバッテリを電源として駆動するファンを設置し、ファンを日照状態を検出してON−OFF制御することによって、気密空間の内部の空気を夜間において継続して撹拌することを特徴とする。
上記構成において、鏡面の裏面側に形成される気密空間は、外気から独立しており、昼間の日照等による熱を蓄熱することができる。また、気密空間内部の温度は、外気温の低下に伴って低下するが、その温度低下は、常に外気温度の低下に対して遅れて生じる。また、気密空間内の空気は、夜間においては、ファンによって継続的に撹拌され、したがって、鏡面の温度は気密空間内の温度に同一化される。したがって、鏡面の温度は、常に周囲の空気温度より相対的に高く維持され、この結果、結露の発生が効果的に防止される。
本発明の請求項2に記載の道路反射鏡の結露防止方法は、請求項1に記載の結露防止方法を基本として、鏡面の裏面側に形成する気密空間の内部に、ヒータまたは蓄熱部材を備えるヒータを設置するとともに、バッテリをバッテリの充電状態を検出しながら太陽光発電パネルによって浮動充電し、バッテリの充電に使用されない期間の太陽光発電パネルの電力をヒータに使用することを特徴とする。
上記構成におけるヒータは、従来技術のように夜間において鏡面を加温するものではなく、気密空間内の空気を加温するために、昼間においてバッテリの充電に使用されない期間の太陽光発電パネルによって通電される。バッテリは、必要以上に充電すると耐用期間が短縮する。したがって、バッテリ電圧が一定値に達した後は、連続充電ではなく、間欠的に浮動充電される。ヒータは、この際のバッテリに充電されない期間を利用して通電されるのである。昼間の日照等による他、ヒータによっても気密空間内部の温度を上げておくことができるので、夜間における結露防止効果をより高めることができる。なお、ヒータが蓄熱部材を伴うものである場合においては、気密空間内部の蓄熱容量をさらに増大することができる。また、バッテリは、専らファン専用とすることができるので、小容量のもので足り、太陽光発電パネルの利用効率も改善される。
なお、上記構成におけるヒータには、電気素子としての用途がヒータとされているものの他、用途が抵抗器とされているものを含むものとする。
本発明の請求項3に記載の道路反射鏡の結露防止装置は、既設の道路反射鏡に取付け可能な太陽光発電パネルと、既設の道路反射鏡に取付け可能な鏡面裏蓋と、いずれも鏡面裏蓋の内側面に取り付けるファンと、太陽光発電パネルによって充電され、ファンの電源とするバッテリと、充電回路および放電回路を含んでなる電装部材とを備えてなり、鏡面裏蓋は、既設の道路反射鏡の鏡面裏蓋と交換したときに、鏡面との間に鏡面裏蓋の内側面に取り付けた電装部材を収納可能な気密空間を形成するとともに、ファンを日照状態を検出してON−OFF制御することによって、気密空間の内部の空気に電装部材からの発熱を加えながら夜間において継続して撹拌することを特徴とする。
上記構成による道路反射鏡の結露防止装置は、既設の道路反射鏡の鏡面裏蓋と交換した際に、鏡面との間に気密空間を形成することができる可能な鏡面裏蓋を備えることが特徴である。本結露防止装置は、請求項1に記載の結露防止方法を装置として具体化するものであるが、そのためには、鏡面の裏面側に気密空間が形成される必要がある。しかし、既設の道路反射鏡の裏蓋のデザインは様々であり、鏡面との間に請求項1に記載の結露防止方法を実施するために必要とされる容量の気密空間を備えないものも少なくない。そこで、気密空間を形成するための鏡面裏蓋を装置に含ませているのである。また、気密空間内の空気を撹拌するためのファンやバッテリ、充電回路、放電回路等を含む電装部材は、鏡面裏蓋の内側面に取り付けられており、個別の取付け作業を要することなく鏡面裏蓋の交換と同時に既設の道路反射鏡に組み込むことができる。気密空間内に組み込まれた電装部材からの発熱によって、結露防止効果を増強することができる。
本発明の請求項4に記載の道路反射鏡の結露防止装置は、既設の道路反射鏡に取付け可能な太陽光発電パネルと、既設の道路反射鏡の鏡面裏蓋に後加工した開口部を気密に塞いで鏡面との間に気密空間を形成するカバーと、いずれもカバーの内側面に取り付けるファンと、太陽光発電パネルによって充電されファンの電源とするバッテリと、充電回路および放電回路を含んでなる電装部材とを備えてなり、ファンを日照状態を検出してON−OFF制御することによって、気密空間の内部の空気に電装部材からの発熱を加えながら夜間において継続して撹拌することを特徴とする。
上記構成による道路反射鏡の結露防止装置は、請求項3に記載の結露防止装置と同様に既設の道路反射鏡に取り付けて利用するものであるが、既設の道路反射鏡が、鏡面と鏡面裏蓋との間に利用可能な気密空間を有する場合の構成である。すなわち、この場合には鏡面裏蓋を交換する必要はなく、鏡面裏蓋に開口部を後加工し、予め電装部材を取り付けたカバーによって開口部を気密に塞ぐことによって簡単に本発明を実施することができる。
本発明の請求項5に記載の道路反射鏡の結露防止装置は、請求項3または請求項4に記載の結露防止装置を基本として、電装部材中にヒータまたは蓄熱部材を備えるヒータを含んでなり、バッテリをその充電状態を検出しながら太陽光発電パネルによって浮動充電し、バッテリの充電に使用されない期間の太陽光発電パネルの電力をヒータに使用することを特徴とする。
上記構成による道路反射鏡の結露防止装置は、請求項2に記載の結露防止方法を装置として具体化するものであり、昼間において使用されていない期間の太陽光発電パネルの電力をヒータによって熱に変換して気密空間内に蓄えておくことができる。なお、ヒータという場合には、電気抵抗器含む趣旨である点は請求項2に記載の構成と同様である。
本発明の請求項6に記載の道路反射鏡は、太陽光発電パネルと、鏡面と鏡面裏蓋との間に形成する気密空間に請求項4または請求項5に記載の電装部材を組み込んでなる反射鏡本体とからなる。
上記構成は、道路反射鏡全体の新旧交換または新規設置に対応するための構成である。新設の場合には、予め結露防止のための太陽光発電パネルや電装部材を組み付けた道路反射鏡として完成させておくことによって、作業条件を理想的な条件とすることが困難である現場作業を回避することができる。
本発明の道路反射鏡の結露防止方法は、鏡面の裏面側に気密空間を設けた場合、夜間における気密空間内の気温の低下が、外気の気温の低下に対して常に遅れて生じることに着目し、日暮れ時期から明け方に向かって刻々と気温が低下する夜間において、気密空間の内部の空気を継続して撹拌し、気密空間内部の気温と鏡面の温度とを同一化させることによって、鏡面の温度を常に外気温より相対的に高く維持することができるので、極めて単純化された構成によって実用上十分な結露防止効果を奏することができる。
本発明の道路反射鏡の結露防止装置は、既設の道路反射鏡に取付け可能な太陽光発電パネルと、既設の道路反射鏡の鏡面の裏面側に取り付けて気密空間を形成するための鏡面裏蓋と、気密空間内部の空気を夜間において継続的に撹拌するためのファンと、太陽光発電パネルによって充電され、ファンの電源とするバッテリとを備えることによって、上記道路反射鏡の結露防止方法を自動的に実行することができるので、既設の道路反射鏡に簡単に結露防止機能を付加することができる。
本発明の道路反射鏡は、本発明の道路反射鏡の結露防止方法を自動的に実行する本発明の道路反射鏡の結露防止装置を組み込んであるので、低コストで安定な結露防止効果を発揮する。
以下、図面を引用しながら本発明の道路反射鏡の結露防止装置方法および結露防止装置、並びに結露防止機能を有する道路反射鏡の実施の形態を併せて説明する。
道路反射鏡は、太陽光発電パネルSPと反射鏡本体MUとからなる(図1)。ただし、必要に応じて支持ポール1および取付けブラケット1A,1Bを含む機材セットとすることもできる。
太陽光発電パネルSPは、裏面側に支持ポール1の上端部にはめ込むキャップ1C付きのステーを備え、支持ポール1の上端部に簡単に、かつ方向調節自在に取り付けることができる。なお、太陽光発電パネルSPの傾斜角については、通常は角度固定として差し支えないが、例えば、北海道と沖縄とのように極端に緯度が異なる地域に共通に使用することを予定する場合には、角度調節可能の構成を採用することができる。
取付けブラケット1A,1Bは、支持ポール1の上下任意位置を把持して締め付け固定する取付けブラケット1Aと、反射鏡本体MUの裏蓋21Aに固定する取付けブラケット1Bとの組合せからなる。いわば、業界標準といえる構成の取付け金具であって、この取付けブラケット1A,1Bを利用することによって、反射鏡本体MUの上下位置と上下角を設置場所の条件に応じて簡単に設定することができる。
道路反射鏡は、実質的に、樹脂製または金属製の一般的な鏡面10に、太陽光発電パネルSPと電装部材Eとからなる本発明の鏡面裏蓋21Aを備える態様の結露防止装置20を組み合わせた構成である。なお、鏡面10の上部には、直射光防止用のフード11が付属する。
本発明の結露防止装置20における鏡面裏蓋21Aは、板金加工品であり、全体として、周縁部に通常より深く設定したフランジ2Fを有する浅いコーン形に成形されている(図1ないし図3)。鏡面裏蓋21Aの外側面の中央位置には、補強板1Eを介して取付けブラケット1Bが固定されている。また、鏡面裏蓋21Aの内側面には、電装部材Eが取り付けられている。
電装部材Eは、プリント配線基板22と、ヒータ23、ファン25、パック化されたバッテリ26とからなる(図1,図3)。ヒータ23には、面状のものが用いられ、蓄熱部材24の裏面に貼着されている。蓄熱部材24は金属塊であり、プリント配線基板22と、ヒータ23、蓄熱部材24およびファン25は、良好な通風性を確保できる間隔を維持するようにして、スペーサナット2N…を介して上下にスタックされている。すなわち、これらの電装部材Eは、鏡面裏蓋21Aに対して1個のユニットとして取り付けることができる。同様に、バッテリ26は、1パックとして取り付けることができる。
なお、前述したように本発明におけるヒータ23には、素子の用途が抵抗器とされているものを含む。抵抗器を用いる場合には、セメント抵抗やホーロー抵抗のように、素子自体が十分な熱容量と堅牢さを有するものが好ましい。また、本発明におけるバッテリ26としては、充電して繰返し使用することができる2次電池としての機能を有するものであればよく、電池の種類には特別な限定要求はない。例えば、コスト、耐久性、容量と外形サイズ等の観点から好ましいものとして、鉛シール電池を例示することができる。また、本発明におけるバッテリ26には、持続放電型のキャパシタを含むものとし、キャパシタを用いる場合には、プリント配線基板22に実装することもできる。
結露防止装置20における電装部材Eの構成は、太陽光発電パネルSPからの電力を充電回路CGを介してバッテリ26に供給する回路C1に並列に、太陽光発電パネルSPからの電力を充電回路CGを介してヒータ23に供給する回路C2を備え、回路C1と回路C2とに交互に通電することが特徴である(図4)。このためバッテリ26は、ヒータ23には結線されてはおらず、放電回路DGを介して専らファン25の駆動用にのみ使用される。
すなわち、充電回路CGの機能内容は、一般的な定電圧レギュレータおよび過充電防止用の浮動充電機能を有する充電回路に、浮動充電タイミングに同期して回路C1と回路C2とに供給電力を振り分ける手段としての電子的な切換えスイッチSWを追加した内容である(図5)。この際の切換えスイッチSWは、バッテリ電圧Vが所定の設定値に到達するまで回路C1を閉路するとともに回路C2を開路し、バッテリ電圧Vが、所定の設定値に降下するまで開路C1を開路するとともに開路C2を閉路するように作動する。
一方、放電回路DGの機能内容は、日照状態を条件とする条件付のモータ駆動回路、すなわち、ファン25の駆動回路であり、太陽光発電パネルSPの出力電圧が所定の設定値以下に降下、または消失したことを介して夜間であることを検出し、バッテリ電圧Vをファン25に供給することを内容とする。したがって、放電回路DGには、太陽光発電パネルSPの電圧を検出する電圧検出手段が含まれる。なお、専用の日照センサを利用して夜間であることを検出するようにすることもできるが、上記のように太陽光発電パネルSPそのものを日照センサとして利用することが合理的である。
上記本発明の結露防止装置20は、既設の道路反射鏡の鏡面10または専用に準備する鏡面10と組み合わせることによって、結露防止機能を有する本発明の道路反射鏡を構成することができる(図1)。
すなわち、結露防止装置20の鏡面裏蓋21Aを鏡面10に取り付けることによって両者間に気密空間Rを有し、気密空間R内に電装部材Eが収納された状態の反射鏡本体MUが形成される。なお、気密空間Rは、厳密な意味の気密空間ではなく、例えば、小ねじ用のねじ穴程度の存在は許容される簡易な意味の気密空間Rである。
ここで、日の出とともに太陽光発電パネルSPに有効な日射が得られるものとし、バッテリ電圧Vは、夜間におけるファン25の駆動によって低下しているものとすると、日の出時刻T0からバッテリ電圧Vが設定値に至るまでの期間T1においては、太陽光発電パネルSPの電力は、充電回路CGを介してバッテリ26に供給される(図5)。次いで、バッテリ電圧Vが設定値にまで降下するまでの期間T2においては、太陽光発電パネルSPの電力は、ヒータ23に供給される。充電回路CGは、日没時刻TNに至るまで上記動作を反復し、バッテリ26を満充電状態に維持するとともに、蓄熱部材24にヒータ23で発生した熱を蓄熱する。この際、充電回路CG自体からの発熱も気密空間R内部に蓄熱される。
日没によって太陽光発電パネルSPの発電作用が停止すると、放電回路DGが太陽光発電パネルSPの電圧低下、または電圧消失を検出し、バッテリ電圧Vをファン25に供給する。ファン25は、翌日の日の出時刻T0に至るまで継続して運転され、気密空間R内部の空気を撹拌する。この結果、鏡面10の温度は、気密空間Rの内部の気温変化に略一致しながら変化することとなる。
日没以降、明け方に至るまでの期間は、外気温は、刻々と低下し、気密空間Rの内部の気温も外気温の低下に伴って低下する。この間のいずれの時刻においても、気密空間Rの内部の気温は、その時刻における外気温より相対的に高温に保たれる。気密空間Rの内部の気温低下は、外気温の低下を原因とする結果であるからである。この結果、鏡面10の温度が露点を下回ることはなく、鏡面10における結露発生が確実に防止される。
ここで、重要なことは、外気温の変化と気密空間R内部の気温の変化との因果関係は、ヒータ23や電装部材Eからの発熱とは無関係である自然法則として成立するということである。すなわち、本発明の結露防止方法や結露防止装置20における結露防止効果は、ファン25によって気密空間R内部の空気が撹拌され、鏡面10の温度が気密空間Rの内部の気温と同一化されている限り、ヒータ23等に依存することなく得られるのである。
以下、本発明の結露防止装置20および道路反射鏡の他の実施の形態を、上記実施の形態との相違点を中心に説明する。(図6,図7)。なお、内容が同一であるために説明を省略する部材についても対照用の符号を付しておく。
結露防止装置20は、1面を開放した箱形のカバー21Bを備え、電装部材Eは、カバー21Bの内側面に取り付けられている。カバー21Bは、金属製または樹脂製であり、カバー21Bの開放面とした部分の四周には、固定用のフランジ2E…が一体成形され、各フランジ2Eには、タッピングねじやブラインドリベット等を挿通するための透孔を設けてある。
上記結露防止装置20は、既設の道路反射鏡の鏡面裏蓋21Aを取り外すことなく、その鏡面裏蓋21Aに開口部2Hを後加工し、その開口部2Hをカバー21Bによって塞ぐようにして取り付ける。この際、カバー21Bのフランジ2E…部分と鏡面裏蓋21Aとの間に変形量の大きいシール部材を介装することによって、カバー21Bと鏡面10との間に気密空間Rを形成することができるとともに、同時に電装部材Eの組込みも完了させることができる。この場合、既設の取付けブラケット1Bがあることにより、電装部材Eを鏡面10の中央位置に配置することは困難であるが、気密空間R内部の空気を撹拌できる限り、何ら支障はない。
このような結露防止装置20は、既設の道路反射鏡の鏡面10と鏡面裏蓋21Aとの間に、直接に電装部材Eを組み込む空間が確保できない場合においても利用することができるので、本発明の結露防止装置20の適用範囲を大幅に拡張することができるという利点がある。
なお、結露防止装置20のカバー21Bのデザインについては、特定の種類または特定の規格の道路反射鏡の鏡面裏蓋21Aに適合する専用デザインとすることができる。外観を整える意味においても、確実に気密空間Rを形成する上でも好ましいことである。また、結露防止装置20を取り付けた状態の道路反射鏡は、本発明の道路反射鏡の他の実施の形態に相当するものである。
SP 太陽光発電パネル
MU 反射鏡本体
R 気密空間
E 電装部材
10 鏡面
2H 開口部
21A 鏡面裏蓋
21B カバー
23 ヒータ
24 蓄熱部材
25 ファン
26 バッテリ
MU 反射鏡本体
R 気密空間
E 電装部材
10 鏡面
2H 開口部
21A 鏡面裏蓋
21B カバー
23 ヒータ
24 蓄熱部材
25 ファン
26 バッテリ
Claims (6)
- 鏡面の裏面側に外気を遮断して独立する気密空間を形成し、気密空間の外部に太陽光発電パネルを設置するとともに、気密空間の内部に太陽光発電パネルによって充電するバッテリを電源として駆動するファンを設置し、ファンを日照状態を検出してON−OFF制御することによって、気密空間の内部の空気を夜間において継続して撹拌することを特徴とする道路反射鏡の結露防止方法。
- 前記気密空間の内部にヒータまたは蓄熱部材を備えるヒータを設置するとともに、前記バッテリをバッテリの充電状態を検出しながら前記太陽光発電パネルによって浮動充電し、バッテリの充電に使用されない期間の太陽光発電パネルの電力をヒータに使用することを特徴とする請求項1に記載の道路反射鏡の結露防止方法。
- 既設の道路反射鏡に取付け可能な太陽光発電パネルと、既設の道路反射鏡に取付け可能な鏡面裏蓋と、いずれも該鏡面裏蓋の内側面に取り付けるファンと、前記太陽光発電パネルによって充電され前記ファンの電源とするバッテリと、充電回路および放電回路を含んでなる電装部材とを備えてなり、
前記鏡面裏蓋は、既設の道路反射鏡と組み合わせたときに、鏡面との間に前記鏡面裏蓋の内側面に取り付けた前記電装部材を収納可能な気密空間を形成するとともに、前記ファンを日照状態を検出してON−OFF制御することによって、前記気密空間の内部の空気に前記電装部材からの発熱を加えながら夜間において継続して撹拌することを特徴とする道路反射鏡の結露防止装置。 - 既設の道路反射鏡に取付け可能な太陽光発電パネルと、既設の道路反射鏡の鏡面裏蓋に後加工した開口部を気密に塞いで鏡面との間に気密空間を形成するカバーと、いずれも該カバーの内側面に取り付けるファンと、前記太陽光発電パネルによって充電され前記ファンの電源とするバッテリと、充電回路および放電回路を含んでなる電装部材とを備えてなり、
前記ファンを日照状態を検出してON−OFF制御することによって、前記気密空間の内部の空気に前記電装部材からの発熱を加えながら夜間において継続して撹拌することを特徴とする道路反射鏡の結露防止装置。 - 前記電装部材中にヒータまたは蓄熱部材を備えるヒータを含んでなり、前記バッテリを前記バッテリの充電状態を検出しながら前記太陽光発電パネルによって浮動充電し、前記バッテリの充電に使用されない期間の前記太陽光発電パネルの電力を前記ヒータに使用することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の道路反射鏡の結露防止装置。
- 太陽光発電パネルと、鏡面と鏡面裏蓋との間に形成する気密空間に請求項4または請求項5に記載の電装部材を組み込んでなる反射鏡本体とからなる道路反射鏡。
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