JP2010255146A - クラフト紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】ECF漂白により漂白されたパルプを主に用いて抄造されたときに、耐水性(吸水性)を有しかつ退色性の少ないクラフト紙を提供することを課題とする。
【解決手段】パルプスラリーのpH調整に硫酸アルミニウムと鉱酸を使用し、ロジン系サイズ剤を内添することにより、JISP8140で規定されるコッブ吸水度(接触時間120秒)が30g/m以下とされ、温度105℃で24時間加熱したときの白色度低下が3.5%以下であることを特徴とするクラフト紙。さらに好ましくは、硫酸アルミニウムの添加量が、絶乾パルプあたり0.5〜3.0重量%の範囲に限定する。
【選択図】なし

Description

本願発明は、クラフト蒸解後元素状の塩素を使用しない漂白(ECF漂白)方法により漂白されたパルプを主に用い抄造した、耐水性(吸水性)を有しかつ退色性の少ないクラフト紙に関する。
クラフト紙には耐水性が要求される。耐水性発現のためには硫酸バンド(硫酸アルミニウム)を定着剤として使用する必要があるため酸性領域での抄造となるが、酸性領域で抄造される紙は、長期保存時に退色しやすいという問題点があった。特に近年原料となるクラフトパルプ(KP)の漂白方法の変更により、この問題が顕著化してきている。パルプ漂白排水の環境への負荷を低減することを目的として、元素状塩素を使用しないでパルプを漂白すると、漂白パルプ中にヘキセンウロン酸(Hexen Uronic Acid、HexA)が残留しやすくなり、ヘキセンウロン酸の酸加水分解に起因する退色が起こりやすい。特に加熱を受けることでこの退色が増進する。
クラフトパルプの漂白方法には主に3通りある。従来からの塩素を漂白に用いた方法(塩素漂白)、元素状の塩素を使用しない漂白方法(Elementary Chlorine Free、ECF漂白)及び塩素系薬品を一切使用しない漂白方法(Total Chlorine Free、TCF漂白)である。
このうち塩素漂白は元素状塩素をメインに用いる方法で、コストパフォーマンスが良好なため長らく使用されてきたが、AOx(Absorbable Organic Halogens、吸着性有機ハロゲン物質)の環境問題が発生する可能性があるため米国環境保護庁をはじめとする規制で、使用が見られなくなっている。
またTCF漂白は主にオゾン、過酸化水素、過酢酸、キレート剤等を用いた漂白シークエンスであるが、漂白に必要なエネルギー、収率の点から劣るといわれている点がある。このため現状のところ主にオゾン、二酸化塩素、過酸化水素、アルカリ等を用いたECF漂白が主流になっている。
一方ECF漂白ではパルプの退色性が問題となっている。退色性はヘキセンウロン酸が存在し、酸加水分解されることが原因であることが知られている。ヘキセンウロン酸は主に、広葉樹材に多く含まれるキシラン(Xylan)側鎖の4−O−メチルグルクロン酸の一部が蒸解工程で変換することによるものであるが、従来の塩素漂白に用いられる分子状塩素によって簡単に分解されるためパルプ中の残留ヘキセンウロン酸量は少なく、退色性の問題は起こりにくかったものと思われる。しかしながら、このヘキセンウロン酸はECFで主に使用される二酸化塩素では完全に分解・除去することは難しく、また酸素やアルカリ性過酸化水素とは反応しないために漂白パルプ中に残留しやすくなり、退色性の問題が顕在化してきている。耐水性を得るために必然的に紙面pHが酸性となり、かつ広葉樹クラフトパルプが高配合されることでヘセンウロン酸が多く含まれるクラフト紙の場合、これら退色性の防止が課題となってきた。
上記クラフト紙の退色を防止する方法として、高温酸処理法が知られている(非特許文献1)が旧設備を改造するためのイニシャルコストまたパルプを高温にするためのエネルギーコストがかさむという問題があった。
上記のごとき退色の原因となるヘキセンウロン酸の対策について、パルプ製造工程で操作に関するものに次の文献がある。
退色性の悪化しないパルプを提供するために、パルプ中のヘキセンウロン酸の量をパルプ絶乾1kg当たり15mmol以下に限定することを提案するもの(特許文献1)、アルカリ酸素漂白と漂白工程の間で無機ペルオキシ酸及び/無機ペルオキシ酸および/またはその塩で処理するもの(特許文献2)があるが、いずれもパルプ強度が低下するおそれがある。
モノ過硫酸処理に関する出願で、退色の原因の一つが抄紙工程で使用される硫酸バンドにあると考えられるとの記載があるもの(特許文献3)もあるが、硫酸バンドの操作については具体的な記載はされてはいない。
パルプの熱退色の数値に関し、パルプ漂白後のカッパー値と加熱前後の熱退色の差異を限定しているもの(特許文献4)があるが、パルプの漂白工程に関するものであり、抄紙工程での対策を記載したものではない。
抄紙工程への流送を考慮したパルプ工程の管理に関し、測定装置を用いヘキセンウロン酸のオンライン測定を連続的にすることで漂白パルプの管理を行なうこと、漂白パルプを酸性条件化で抄紙することを提案したもの(特許文献5)があるが、抄紙工程での対策については具体的に記載されていない。
退色対策として抄紙側で対応するものとして、剥離紙製造においてアルカリ金属塩を塗工するもの(特許文献6)があるが、剥離紙という特殊紙の剥離性を向上させるのが目的であり、アルカリ金属塩を塗工する設備のない場合には新規な設備を導入する必要があった。
またヘキセンウロン酸を多量に含む漂白パルプを使用して製造される酸性紙で、退色を改善するため、カルボン酸化合物の重合体、それらの塩類を添加する方法が提案(特許文献7)されている。これはポリカルボン酸等の存在下では、ヘキセンウロン酸が加水分解されにくいという性質を利用したものであるが、特殊な酸が必要である。
特開2003-105684号公報 特開2007-308824号公報 特開2007-169831号公報 特開2005-97798号公報 特開2008-266798号公報 特開2005-82898号公報 特開2006-37327号公報
「パルプの洗浄・精選・漂白」、紙パルプ技術協会、2000.1.26付初版発行
本件は上記事情に鑑み、ECF漂白により漂白されたパルプを主に用いて抄造されたときに、耐水性(吸水性)を有しかつ退色性の少ないクラフト紙を提供することを課題とする。
本発明者等は、ヘキセンウロン酸がたとえ抄紙工程にある程度残留した場合でもクラフト紙の退色性を改善する方法について鋭意研究した結果、パルプスラリーのpH調整に硫酸バンドと鉱酸を使用することにより、耐水性に優れかつ退色を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、以下の各発明を包含する。
(1)元素状の塩素を使用しないECF漂白のクラフトパルプ
を含むパルプスラリーを抄紙して得られるクラフト紙であって、パルプスラリーのpH調整に 硫酸バンド(硫酸アルミニウム)と鉱酸を使用し、ロジン系サイズ剤を内添することにより、JISP8140で規定されるコッブ吸水度
(接触時間120秒)が30g/m以下とされ、温度105℃で24時間加熱したときの白色度低下が3.5%以下であることを特徴とするクラフト紙。
(2)硫酸バンドの添加量が、絶乾パルプあたり0.5〜3.0重量%であることを特徴とする(1)記載のクラフト紙。
(3)紙面pHが4.7〜6.0であることを特徴とする(1)または(2)記載のクラフト紙。
本発明のクラフト紙は耐水性及び退色性に優れている。ヘキセウロン酸がある程度残留している漂白パルプを原料として抄造されているクラフト紙であっても、クラフト紙に要求される耐水性に優れ、かつ温度105℃、滞留時間24時間の条件下で退色性を加速した前後の白色度の差異が3.5%以下となるため物流等のストック段階での退色が起きにくいという効果を奏する。
本発明のクラフト紙に使用される原料パルプとしては、主として広葉樹クラフトパルプや針葉樹クラフトパルプが使用されるほか、脱墨パルプを配合することもできる。
例えば、広葉樹あるいは針葉樹をクラフト蒸解する場合、クラフト蒸解液の硫化度は20〜30%、好ましくは25〜30%、有効アルカリ添加率は絶乾木材質量当たり10〜25質量%、好ましくは10〜25質量%、蒸解温度は130〜170℃で、蒸解方式は、連続蒸解法あるいはバッチ蒸解法のどちらでもよく、連続蒸解釜を用いる場合は、蒸解液を複数点で抽出・添加する修正蒸解法でもよく、その方式は特に問わない。
収率の増加あるいは白液添加率の減添などのために、蒸解液に蒸解助剤として公知の環状ケト化合物、例えばベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、アントロン、フェナントロキノン及び前記キノン系化合物のアルキル、アミノ等の核置換体、あるいは前記キノン系化合物の還元型であるアントラヒドロキノンのようなヒドロキノン系化合物、さらにはディールスアルダー法によるアントラキノン合成法の中間体として得られる安定な化合物である9,10−ジケトヒドロアントラセン(DDA)化合物等から選ばれた1種あるいは2種以上が添加されてもよく、その添加率は木材チップの絶乾質量当たり0.005〜0.1質量%である。
本発明では、公知の蒸解法により得られた未晒クラフトパルプは、洗浄、粗選及び精選工程を経て、公知のアルカリ酸素漂白法により脱リグニンされる。本発明に使用されるアルカリ酸素漂白法は、公知の中濃度法(パルプ濃度10〜15質量%)あるいは高濃度法(パルプ濃度25〜30質量%)がそのまま適用できるが、現在、一般的に用いられている中濃度法が好ましい。
前記中濃度法によるアルカリ酸素漂白法において、アルカリとしては苛性ソーダあるいは酸化されたクラフト白液を使用することができ、酸素ガスとしては、液体酸素気化設備やPSA(Pressure Swing Adsorption)からの酸素ガス等が使用できる。前記酸素ガスとアルカリは中濃度ハイシェアーミキサーにおいて中濃度のパルプスラリーに添加され、混合が十分に行われた後、加圧下でパルプ、酸素及びアルカリの混合物を一定時間保持できる反応塔へ送られ、脱リグニンされる。
酸素ガスの添加率は、絶乾パルプ質量当たり2〜3質量%、アルカリ添加率は2〜3質量%、反応温度は80〜120℃、反応時間は50〜100分、パルプ濃度は10〜15質量%である。本発明では、アルカリ酸素漂白工程において、上記アルカリ酸素漂白を連続して複数回行い、パルプ粘度の低下を起こさないでできる限り脱リグニンを進めるのが好ましい。アルカリ酸素漂白が施されたクラフトパルプは次いで洗浄工程へ送られる。パルプは洗浄後、多段漂白工程へ送られる。
本発明の多段漂白工程で用いられる漂白薬品としては、二酸化塩素(D)、アルカリ(E)、酸素(O)、過酸化水素(P)、オゾン(Z)、過酢酸等の漂白剤と金属イオン封鎖剤としてのキレート剤、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(Diethylene Triamine Pentaacetic Acid、DTPA)やジエチレントリアミンペンタメチレンリン酸(Diethylenetriamine
Penta Methylene Phosphonic Acid、DTPMP)等を含む漂白助剤を挙げることができる。また、本発明の多段漂白処理工程で使用される漂白段は、初段は二酸化塩素漂白段(D)、あるいはオゾン漂白段(Z)、あるいはオゾン漂白と二酸化塩素漂白を連続して組み合わせた漂白段(Z/D)等が好適に用いられ、二段目にはアルカリ抽出段(E)、あるいは酸素添加アルカリ抽出段(E/O)、あるいは過酸化水素添加アルカリ抽出段(E/P)、あるいは酸素、過酸化水素添加アルカリ抽出段(E/OP)が用いられ、三段目以降には、二酸化塩素、過酸化水素等の塩素を使用しない組み合わせが好適に用いられる。本発明の多段漂白処理工程で使用される各漂白段の漂白薬品添加率、処理時間、温度、パルプ濃度、pH等の漂白条件は特に限定されるものではなく、公知の条件を使用することができる。
前記多段漂白工程では、漂白後のヘキセンウロン酸残留量を大きな問題としないことから、ヘキセンウロン酸除去に一定の効果のある二酸化塩素の使用量を削減できる。二酸化塩素は高価であるためコスト削減のメリットがある。
本発明のクラフト紙は、パルプスラリーのpH調整に硫酸バンドと鉱酸を使用し、ロジン系サイズ剤を内添することにより耐水性を付与している。ロジン系サイズ剤は耐水性の発現性効果や操業性の面から望ましい。
鉱酸としては塩酸、硝酸、硫酸等が挙げられるが、硫酸が操業性、コストの面から望ましい。硫酸バンドについては特に限定されるものではないが、できるだけ不純物を含まないものが好ましい。また硫酸バンド添加量は、絶乾パルプあたり0.5〜3.0質量%が好ましい。0.5質量%未満では硫酸バンドのサイズ定着効果が低く発現効果が不十分となり、3.0質量%を超えて添加すると、硫酸バンドの凝集効果が高くなり紙の地合が悪くなるうえ、紙面pHが低くなり退色性が劣るため好ましくない。
紙面pHは4.7〜6.0であることが望ましい。pH4.7未満では退色性が劣り、pH6.0を越えると耐水性発現に必要なアルミイオンが僅少となり耐水性が劣るため好ましくない。
本発明のクラフト紙においては、乾燥紙力増強剤や湿潤紙力増強剤、サイズ剤、填料、歩留向上剤、CMC(カルボキシメチルセルロース)、澱粉、PVA(ポリビニルアルコール)、PAM(ポリアクリルアミド)、染料、消泡剤、防腐剤、粘度低下剤等の公知抄紙薬品を必要に応じて内添あるいは外添することができる。
本発明のクラフト紙の抄造は、公知の湿式抄紙機、例えば長網式抄紙機、ギャップフォーマ型抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機等の抄紙機を目的に応じて適宜選択して行われる。
本発明では、ブレードコータ、ゲートロールコータ、メータリングサイズプレス等のコータ類を用いて外添処理することはできるほか、カーテンコータでのカーテン塗工やスプレーコータでのスプレー塗工のような、いわゆる非接触型の塗工方式で外添処理することもできる。
本発明のクラフト紙はそのまま製品として使用することもでき、塗工層を設けて使用することもできる。
本発明のクラフト紙において、pH調整に
硫酸バンドと鉱酸を併用することによりクラフト紙の退色性が改善される理由は、紙中に残留しやすい硫酸バンドの絶対量が減少することで、パルプ中のヘキセンウロン酸が酸加水分解されにくく、酸加水分解に由来する退色反応が抑えられる結果、退色性が改善されているものと考えられる。このようにして得られるクラフト紙は、JISP8140で規定されるコッブ吸水度(接触時間120秒)が30g/m以下、温度105℃で24時間加熱したときの白色度低下が3.5%以下となり、耐水性と退色性に優れている。
まずユーカリ材グロビュラスを用いた広葉樹クラフトパルプの製造方法を記載する。なお、特に断りのない限り、%、部は固形分または有効成分で表したものである。
以下の(3)〜(6)記載の漂白のシークエンスはO−Z/E−D1−D2である。(横棒の−は洗浄段を表す。)
(1) 使用チップ
ユーカリ材グロビュラス絶乾質量500gを使用した。
(2) 蒸解方法
絶乾チップ質量当たり有効アルカリ16%、液比3.9、蒸解温度165℃、蒸解時間90分の条件下で実験用間接加熱用オートクレーブを用いてクラフト蒸解し、その後廃液とパルプを分離し、パルプを10カットのスクリーンプレートを備えたフラットスクリーンで精選してハンター白色度32.6%、カッパー価12.5の広葉樹未晒クラフトパルプを絶乾質量で270gを得た。
(3) アルカリ酸素脱リグニン処理(O段)
前記広葉樹未晒クラフトパルプの絶乾質量100gを採取し、絶乾パルプ質量当たり苛性ソーダを2.0%添加し、次いで水道水で希釈してパルプ濃度を10%に調整し、間接加熱式オートクレーブに入れ、ゲージ圧力が0.8MPaとなるように純度が99%の市販の圧縮酸素ガスで加圧し、温度95℃で60分間加熱し、中濃度アルカリ酸素脱リグニンを行った。このときの酸素添加量は絶乾パルプ質量当たり1.5%であった。水道水を用い得られたパルプを洗浄、脱水してパルプを得た。
(4) 中濃度オゾン処理、アルカリ抽出処理(Z/E段)
続いて硫酸を用いパルプのpHを約2.8に調整した。このパルプをフラスコに入れ、ここに濃度約12重量%のオゾンガスを注入しパルプと反応させた。(オゾン添加率0.5%)。処理は60℃の恒温槽を用いて行ない、処理時間は3分で処理後のパルプは洗浄しなかった。Z段後の濃度10%のパルプに苛性ソーダを1.2%添加し、75℃で60分保持した。抽出したパルプは、水道水(1リットル)で洗浄し、パルプ濃度10%に脱水濃縮した。
(5) 二酸化塩素漂白処理(D1段)
E段後のパルプに硫酸を添加しpHを約4に調整した。このパルプに二酸化塩素を0.17%添加し、80℃で80分間二酸化塩素処理を行った。得られたパルプは、水道水(2リットル)で洗浄し、パルプ濃度10%に脱水した。
(6) 二酸化塩素漂白処理(D2段)
D1段後のパルプに硫酸を添加しpHを約4に調整した。このパルプに二酸化塩素を0.1%添加し、80℃で80分間二酸化塩素処理を行った。得られたパルプは、水道水(1リットル)で洗浄し、パルプ濃度10%に脱水した。
以上の処理により94.1g、ヘキセンウロン酸含有量が絶乾質量1kgあたり16.2mmolの完成パルプを得た後、PFIミルで叩解し400mlCSFに調整し、水道水で濃度3%に希釈した。
次にダグラスファーとラジアータパインを用いた針葉樹クラフトパルプの製造方法を記載する。漂白のシークエンスは前記の広葉樹クラフトパルプの製造方法と同様である。
(1) 使用チップ
ダグラスファーとラジアータパインを重量比1:1で混合し、絶乾質量500gを使用した。
(2) 蒸解方法
絶乾チップ質量当たり有効アルカリ17.5%、液比4.8、蒸解温度175℃、蒸解時間120分の条件下で実験用間接加熱用オートクレーブを用いてクラフト蒸解し、その後廃液とパルプを分離し、パルプを10カットのスクリーンプレートを備えたフラットスクリーンで精選してハンター白色度22.4%、カッパー価29.7の針葉樹未晒クラフトパルプを絶乾質量で223gを得た。
(3) アルカリ酸素脱リグニン処理(O段)
前記針葉樹未晒クラフトパルプの絶乾質量100gを採取し、絶乾パルプ質量当たり苛性ソーダを2.5%添加し、次いで水道水で希釈してパルプ濃度を10%に調整し、間接加熱式オートクレーブに入れ、ゲージ圧力が0.8MPaとなるように純度が99%の市販の圧縮酸素ガスで加圧し、温度95℃で60分間加熱し、中濃度アルカリ酸素脱リグニンを行った。このときの酸素添加量は絶乾パルプ質量当たり2.5%であった。
水道水を用い得られたパルプを洗浄、脱水しパルプを得た。
(4) 中濃度オゾン処理、アルカリ抽出処理(Z/E段)
続いて硫酸を用いパルプのpHを約2.8に調整した。このパルプをフラスコに入れ、ここに濃度約12重量%のオゾンガスを注入しパルプと反応させた。(オゾン添加率0.5%)。処理は60℃の恒温槽を用いて行ない、処理時間は3分で処理後のパルプは洗浄しなかった。Z段後の濃度10.3%のパルプに苛性ソーダを1.5%添加し、75℃で80分保持した。抽出したパルプは、水道水(1リットル/100g絶乾パルプ)で洗浄し、パルプ濃度10%に脱水濃縮した。
(5) 二酸化塩素漂白処理(D1段)
E段後のパルプに硫酸を添加しpHを約4に調整した。このパルプに二酸化塩素を0.22%添加し、80℃で100分間二酸化塩素処理を行った。得られたパルプは、水道水(1リットル/100g絶乾パルプ)で洗浄し、パルプ濃度10%に脱水した。
(6) 二酸化塩素漂白処理(D2段)
D1段後のパルプに硫酸を添加しpHを約4に調整した。このパルプに二酸化塩素を0.15%添加し、80℃で100分間二酸化塩素処理を行った。得られたパルプは、水道水(1リットル/100g絶乾パルプ)で洗浄し、パルプ濃度10%に脱水した。
以上の処理により92.5g、ヘキセンウロン酸含有量が絶乾質量1kgあたり3.5mmolの完成パルプを得た後、PFIミルで叩解し550mlCSFに調整し、水道水で濃度3%に希釈した。
次に実施例と比較例により、本発明の効果を説明する。なお、特に断りのない限り、%、部は固形分または有効成分で表したものである。
(実施例1)
グロビュラスを用いた広葉樹クラフトパルプ60%、ダグラスファーとラジアータパインを用いた針葉樹クラフトパルプを40%の割合で配合したパルプ原料に対し、乾燥紙力増強剤(製品名 DS4348/星光PMC株式会社製)を0.15%添加した。次に水道水で0.4%に希釈したときのスラリーのpHが4.0になるように硫酸バンド有姿0.8%(丸住エンジニアリング株式会社製、酸化アルミニウム換算で8%)と硫酸0.24%を加え、希釈を行なった。これにロジン系エマルション内添サイズ剤(製品名 AL1203/星光PMC株式会社製)0.2%添加し、坪量64g/mでシートを手抄した。
シートを4.4kgf/cm の圧力で2分間プレスし、表面温度85℃に加熱した回転ドライヤーで90秒間乾燥を行い、手抄シートを作製した。
(実施例2)
水道水で0.4%に希釈したときのスラリーのpHが4.5になるように硫酸の添加率を0.18%にした以外は、実施例1と同じ操作を行ない手抄シートを作製した。
(実施例3)
水道水で0.4%に希釈したときのスラリーのpHが5.0になるように硫酸の添加率を0.12%にした以外は、実施例1と同じ操作を行ない手抄シートを作製した。
(実施例4)
水道水で0.4%に希釈したときのスラリーのpHが4.5になるように硫酸バンドの添加率を有姿0.6%、硫酸の添加率を0.19%にした以外は、実施例1と同じ操作を行ない手抄シートを作製した。
(実施例5)
水道水で0.4%に希釈したときのスラリーのpHが4.5になるように硫酸バンドの添加率を有姿1.0%、硫酸の添加率を0.17%にした以外は、実施例1と同じ操作を行ない手抄シートを作製した。
(実施例6)
水道水で0.4%に希釈したときのスラリーのpHが4.5になるように硫酸バンドの添加率を有姿2.7%、硫酸の添加率を0.12%にした以外は、実施例1と同じ操作を行ない手抄シートを作製した。
(実施例7)
グロビュラスを用いた広葉樹クラフトパルプを100%配合したパルプ原料を用いた以外は、実施例1と同じ操作を行ない手抄シートを作製した。
(比較例1)
水道水で0.4%に希釈したときのスラリーのpHが4.0になるように硫酸バンドの添加率を有姿0.4%、硫酸の添加率を0.26%にした以外は、実施例1と同じ操作を行ない手抄シートを作製した。
(比較例2)
水道水で0.4%に希釈したときのスラリーのpHが4.5になるように硫酸バンドの添加率を有姿0.4%、硫酸の添加率を0.20%にした以外は、実施例1と同じ操作を行ない手抄シートを作製した。
(比較例3)
水道水で0.4%に希釈したときのスラリーのpHが5.0になるように硫酸バンドの添加率を有姿0.4%、硫酸の添加率を0.13%にした以外は、実施例1と同じ操作を行ない手抄シートを作製した。
(比較例4)
水道水で0.4%に希釈したときのスラリーのpHが6.0になるように硫酸バンドの添加率を有姿0.8%、硫酸の添加率を0%にした以外は、実施例1と同じ操作を行ない手抄シートを作製した。
(比較例5)
水道水で0.4%に希釈したときのスラリーのpHが4.5になるように硫酸バンドの添加率を有姿3.1%、硫酸の添加率を0.10%にした以外は、実施例1と同じ操作を行ない手抄シートを作製した。
(比較例6)
水道水で0.4%に希釈したときのスラリーのpHが4.5になるように硫酸バンドの添加率を有姿6.0%、硫酸の添加率を0.06%にした以外は、実施例1と同じ操作を行ない手抄シートを作製した。
(比較例7)
水道水で0.4%に希釈したときのスラリーのpHが4.5になるように硫酸バンドの添加率を有姿8.0%、硫酸の添加率を0%にした以外は、実施例1と同じ操作を行ない手抄シートを作製した。
(比較例8)
グロビュラスを用いた広葉樹クラフトパルプ100%配合したパルプ原料を用いた以外は、比較例7と同じ操作を行ない手抄シートを作製した。
なお、各試験の測定方法及び評価方法は以下の通りとした。
(ヘキセンウロン酸の測定方法)
手抄シートのサンプル1BDgをミキサーで粉砕後、フラスコに入れ、これに緩衝液として蟻酸と蟻酸ナトリウム溶液を重量比50対50に混合したものを100ml加え、湯浴(90℃)で5時間抽出する。その後No.2ろ紙で繊維分を除去し、温水200mlで洗浄し、純水で液量を500mlにした溶液の吸光度を245nmで測定・定量した。
(抄造時pHの測定方法)
手抄シート作成前のパルプスラリー濃度0.4%の状態でガラス電極式pH計を用い測定した。
(紙面pHの測定方法)
JAPAN TAPPI No.49−1:2000に準じて手抄シートを純水で濡らせて、余剰な水を拭き取った後、ガラス電極式pH計で測定した。
(退色の条件)
手抄シートを市販の熱風乾燥機の中に入れ、105℃で24時間の条件で退色試験を行なった。
(白色度の測定方法)
退色前:JISP8148に準じて手抄シートの白色度を測定した。
退色後:退色試験後の紙をJISP8148に準じて手抄シートの白色度を測定した。
(退色性の評価)
退色後の手抄シートを5人で官能評価し、○良い、×悪い、 の2段階で退色性を評価した。
(紙のb値の測定方法)
白色度測定と同じタイミングでの測定に用いた手抄シートをJISP8150に準じて手抄シートのb値を測定した。
(吸水度の測定方法)
JISP8140:1998に準じ手抄シートのコッブ法による吸水度を測定した。吸取りを開始するまでの時間は120秒とした。
(PC値の算出)
退色前後の手抄シートの白色度から下記の式に従いPC(ポストカラー)値を算出した。
Figure 2010255146
(測定結果)
実施例1〜7、比較例1〜8で作製した手抄シートを風乾後、シートのヘキセンウロン酸測定、紙面pH測定、退色試験前後の白色度測定・色度測定、コッブ吸水度測定を行なった。その結果を表1および表2に示す。
Figure 2010255146
Figure 2010255146
実施例1から7に示す手抄シートでは、白色度の低下が3.5%以下で白色度低下の評価も良好であり、吸水度もコッブ吸水度で30g/m以下と優れたものになっている。
一方、比較例1〜3は、抄造pHがそれぞれ実施例1〜3と同じで白色度低下の評価は良好であるが硫酸バンドの添加率が0.4%と少ないため吸水度が劣るものとなっている。比較例4は、抄造pHが高いため白色度低下の評価は良好であるが吸水度が劣るものとなっている。比較例5〜8は、硫酸バンド添加が多く、紙面pHが低いため白色度低下が大きく退色性の評価が悪いものとなっている。
ECF漂白により漂白されたパルプを主に用いて抄造されたときに、耐水性を有し、退色性に優れたクラフト紙を提供することができる。

Claims (3)

  1. 元素状の塩素を使用しないECF漂白のクラフトパルプを含むパルプスラリーを抄紙して得られるクラフト紙であって、パルプスラリーのpH調整に硫酸バンド(硫酸アルミニウム)と鉱酸を使用し、ロジン系サイズ剤を内添することにより、JISP8140で規定されるコッブ吸水度(接触時間120秒)が30g/m以下とされ、温度105℃で24時間加熱したときの白色度低下が3.5%以下であることを特徴とするクラフト紙。
  2. 硫酸バンドの添加量が、絶乾パルプあたり0.5〜3.0重量%であることを特徴とする請求項1記載のクラフト紙。
  3. 紙面pHが4.7〜6.0であることを特徴とする請求項1または2記載のクラフト紙。
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