JP2010254254A - 樹脂カバー、及び燃料給油部のカバー構造 - Google Patents

樹脂カバー、及び燃料給油部のカバー構造 Download PDF

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Hiroyuki Koyama
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Abstract

【課題】内径寸法を調整する薄肉ヒンジなどの寸法調整部を備えた構造でありながら、燃料給油部の外周部側への水の浸入を防止することができて、燃料給油部に錆びが生じることをより確実に防止することができる樹脂カバー、及び燃料給油部のカバー構造を提供する。
【解決手段】金属製の燃料給油部6の外周部を覆う環状の樹脂カバー27であって、少なくとも1箇所が周方向に分断し、燃料給油部6を囲んだ状態で分断部28同士が連結されて燃料給油部6に装着され、内径寸法を調整する寸法調整部19を備え、周辺部品の位置決め部18Tに対する被位置決め部38を備えて、寸法調整部19が燃料給油部6の軸芯Oよりも上方に位置するように位置決めされる。
【選択図】図9

Description

本発明は、金属製の燃料給油部の外周部を覆う環状の樹脂カバー、及び燃料給油部のカバー構造に関する。
燃料給油部には給油ノズルが繰り返し挿脱されるために、燃料給油部は耐磨耗性に優れた金属で形成されている。燃料給油部が金属製であれば給油口を覆うキャップとの連結用のねじの加工が容易になる利点もある。
しかしながら、金属製の燃料給油部には錆びが生じやすい。そこでその対策として燃料給油部の外周部を環状の樹脂カバーで覆っている。
従来、樹脂カバーとしては、特許文献1の第5図に開示されているように、周方向の1箇所を分断し、樹脂カバーの軸芯に対して分断面と点対称の位置に薄肉ヒンジを形成し、燃料給油部を囲んだ状態で分断部同士を連結して燃料給油部に装着する構造があった。
薄肉ヒンジは樹脂カバーの内径寸法を調整する寸法調整部としての機能を有し、燃料給油部に装着される際に樹脂カバーの周方向に少し伸縮して、樹脂カバーの内径寸法を樹脂カバーの外径寸法に合わせる。
実公平7−8279号公報
上記従来の構造によれば、薄肉ヒンジの周りで互いに突き合わされた樹脂カバーの一対の周壁部分同士が薄肉ヒンジの伸張に伴って離間した場合、両周壁部分の間に隙間が形成され、この隙間から水が燃料給油部の外周部側に浸入して燃料給油部に錆びが生じる虞があった。
本発明の目的は、内径寸法を調整する薄肉ヒンジなどの寸法調整部を備えた構造でありながら、燃料給油部の外周部側への水の浸入を防止することができて、燃料給油部に錆びが生じることをより確実に防止することができる樹脂カバー、及び燃料給油部のカバー構造を提供する点にある。
本第1発明の特徴は、
金属製の燃料給油部の外周部を覆う環状の樹脂カバーであって、
少なくとも1箇所が周方向に分断し、
前記燃料給油部を囲んだ状態で分断部同士が連結されて前記燃料給油部に装着され、
内径寸法を調整する寸法調整部を備え、
前記燃料給油部の周辺に配置された周辺部品の位置決め部に対する被位置決め部を備えて、前記寸法調整部が前記燃料給油部の軸芯よりも上方に位置するように位置決めされる点にある。(請求項1)
上記の構成により、燃料給油部を囲んだ状態で分断部同士が連結されて燃料給油部に装着され、その装着の際に、寸法調整部で内径寸法が燃料給油部の外径に合った寸法に調整される。また、前記周辺部品の位置決め部によって被位置決め部が位置決めされて寸法調整部が燃料給油部の軸芯よりも上方に位置する。つまり、水が溜まりにくい箇所に寸法調整部が位置する。これにより、寸法調整部の周囲から燃料給油部の外周部に水が浸入するのを防止することができて、燃料給油部に錆びが生じにくくすることができる。(請求項1)
本第1発明において、
前記位置決め部は前記燃料給油部の軸芯に対して非点対称な位置に複数配置され、
前記被位置決め部は前記燃料給油部の軸芯に対して非点対称な位置に複数配置されていると、次の作用を奏することができる。(請求項2)
例えば、前記位置決め部が前記燃料給油部の軸芯に対して点対称な位置に複数配置され、前記被位置決め部が燃料給油部の軸芯に対して点対称な位置に複数配置されていると、前記寸法調整部が前記燃料給油部の軸芯よりも下方に位置するように位置決めされる誤組み付けが生じる虞がある。
これに対して、本発明の上記構成によれば、前記位置決め部は前記燃料給油部の軸芯に対して非点対称な位置に複数配置され、前記被位置決め部は前記燃料給油部の軸芯に対して非点対称な位置に複数配置されているから、上記の誤組み付けを回避することができ、前記寸法調整部が前記燃料給油部の軸芯よりも上方に位置するように位置決めすることができる。(請求項2)
本第1発明において、
前記寸法調整部は、径方向の開閉を許容する薄肉ヒンジから成ると、次の作用を奏することができる。(請求項3)
寸法調整部が薄肉ヒンジから成るから、寸法調整部の構造を簡素化することができ、寸法調整部を簡単に形成することができて、製作コストを低廉化することができる。
また、燃料給油部への装着の際に薄肉ヒンジが内径寸法の調整のために周方向に伸張して、薄肉ヒンジの両側の樹脂カバー部分同士が離間した場合であっても、薄肉ヒンジが水が溜まりにくい燃料給油部の軸芯よりも上方に位置決めされるから、薄肉ヒンジの周囲から燃料給油部の外周部に水が浸入するのを防止することができて、燃料給油部に錆びが生じにくくすることができる。(請求項3)
本第1発明において、
前記周辺部品に形成された挿通孔に挿通されて前記周辺部品に固定された燃料給油部の外周部を覆うと、被位置決め部を周辺部品の位置決め部の近くに配置することができて、位置決め部と被位置決め部とから成る位置決め構造を簡素化することができる。(請求項4)
本第1発明において、
軸芯方向の一端部の端面にシール部材が重ね合わされて、前記シール部材が前記周辺部品に圧接するとともに、軸芯方向の他端部の端面が、前記燃料給油部の先端部に形成された折り返し部に圧接すると、次の作用を奏することができる。(請求項5)
軸芯方向の一端部の端面にシール部材が重ね合わされて、シール部材が周辺部品に圧接しているから、樹脂カバーが装着される前記周辺部品と折り返し部の間の寸法のばらつきをシール部材で吸収することができる。これにより、水が樹脂カバーの軸芯方向の一端部の端面と周辺部品の間から燃料給油部の外周部側に浸入することを防止することができるとともに、水が樹脂カバーの軸芯方向の他端部の端面と折り返し部の間から燃料給油部の外周部側に浸入することを防止することができて、燃料給油部に錆びが生じにくくすることができる。(請求項5)
本第1発明において、
前記燃料給油部を囲む周壁と、
前記周壁の軸芯方向の一端部から径方向外方側に張り出すフランジとを備え、
前記フランジのフランジ面に前記シール部材が重ね合わされて、前記シール部材が前記周辺部品に圧接すると、シール部材の幅を長く設定することができて、よりシール性を良くすることができる。(請求項6)
本第1発明において、
前記折り返し部の内周面と、前記内周面に連なる前記折り返し部の端縁とに係合する複数の係合爪が、前記周壁の軸芯方向の他端部に周方向に分散配設されていると、軸芯方向及び径方向外方側への樹脂カバーの移動を係合爪で防止することができ、燃料給油部に対する樹脂カバーの位置ずれを防止することができる。(請求項7)
本第1発明において、
前記位置決め部は前記燃料給油部を前記周辺部品に固定する締結部材の頭部であり、
前記被位置決め部は、前記フランジに形成され前記締結部材の頭部に係止する係止部であると、次の作用を奏することができる。(請求項8)
締結部材は燃料給油部を周辺部品に固定する締結部材であるので、この締結部材を利用して樹脂カバーの寸法調整部を位置決めすることにより、位置決めの精度を上げることができる。そして、寸法調整部を位置決めする専用の位置決め部材を新たに設ける必要がなく、さらに、周辺部品と燃料給油部に位置決めのための専用の加工を施していないから製作コストを低廉化することができる。(請求項8)
本第2発明の特徴は、
周辺部品の挿通孔に挿通されて前記周辺部品に固定された燃料給油部の外周部を環状の樹脂カバーで覆ってある燃料給油部のカバー構造であって、
前記燃料給油部に外嵌されたホルダの筒部からフランジが前記周辺部品の裏側に位置する状態に張り出し、
前記燃料給油部に外挿されたパッキンの筒部から張り出すフランジが、前記周辺部品の裏面と前記ホルダのフランジとに挟圧されるとともに、前記パッキンの筒部に設けられたシール部が前記燃料給油部の外周部に外嵌密着し、
前記樹脂カバーは請求項5〜8のいずれか一つに記載の樹脂カバーであり、
この樹脂カバーのシール部材が、前記周辺部品の挿通孔の周りの表側の面と、前記挿通孔よりも径方向内方側に位置する前記パッキンのフランジ部分とにわたる段差部に圧接し、
前記樹脂カバーの軸芯方向の他端部の端面が、前記燃料給油部の先端部に形成された折り返し部に圧接している点にある。(請求項9)
この構成によれば、燃料給油部に外挿されたパッキンの筒部から張り出すフランジが、前記周辺部品の裏面と前記ホルダのフランジとに挟圧されるとともに、前記パッキンの筒部に設けられたシール部が前記燃料給油部の外周部に外嵌密着しているから、周辺部品の裏面とホルダのフランジとの間から燃料給油部の外周部側に水が浸入するのをパッキンで阻止することができる。
そして、請求項5〜8のいずれか一つに記載の樹脂カバーのシール部材が、前記周辺部品の挿通孔の周りの表側の面と、前記挿通孔よりも径方向内方側に位置する前記パッキンのフランジ部分とにわたる段差部に圧接しているから、段差部にシール部材を密着させることができ、さらに、燃料給油部の折り返し部と前記段差部との間の寸法のばらつきをシール部材で吸収することができて、段差部と樹脂カバーの一端部の端面との間から燃料給油部の外周部側に水が浸入するのをシール部材で阻止することができる。また、請求項5〜8のいずれか一つによる上記の作用と同様の作用を奏することができる。(請求項9)
本第2発明において、
前記周辺部品は車両の車体側部材であると、車両に設けられた燃料給油部に錆びが発生するのを樹脂カバーで防止することができる。(請求項10)
本発明によれば、
内径寸法を調整する薄肉ヒンジなどの寸法調整部を備えた構造でありながら、燃料給油部の外周部側への水の浸入を防止することができて、燃料給油部に錆びが生じることをより確実に防止することができる樹脂カバー、及び燃料給油部のカバー構造を提供することができた。
自動車のサイドボディアウタパネルとフューエルフィラードアパネルを示す側面図 燃料給油部とその周りの部品の分解斜視図 樹脂カバーの燃料給油部への組み付け方法を示す斜視図 開放した樹脂カバーを表側(車外側)から見た状態を示す斜視図 開放した樹脂カバーを裏側(車内側)から見た状態を示す斜視図 樹脂カバーを燃料給油部に組み付けた状態を示す斜視図 図6のA−A断面図 図7のZ部の拡大断面図 位置決め部に位置決めされた樹脂カバーと燃料給油部を示す斜視図 樹脂カバーを燃料給油部に組み付けた状態を示す別実施形態の斜視図
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1に、自動車の車体側面後部のサイドボディアウタパネル1と、このサイドボディアウタパネル1に設けられた燃料給油用の凹部2(図7参照)を覆う開閉式のフューエルフィラードアパネル3とを示してある。図1はフューエルフィラードアパネル3で凹部2を閉じた状態を示している。
図7に示すように、前記凹部2は、車外側W2に開口する横断面四角形の箱状のフューエルフィラーボックス11の開口11Aの周縁部を、サイドボディアウタパネル1に形成された四角形状の開口1Aの周縁部の裏面に重ね合わせて形成されている。
フューエルフィラーボックス11の開口11Aの周縁部には径方向外方側に折曲した第1フランジ11Fが形成され、サイドボディアウタパネル1の開口1Aの周縁部には、車内側W1に突出する短い嵌合筒部13が形成されている。そして、フューエルフィラーボックス11の開口11Aがサイドボディアウタパネル1の嵌合筒部13に嵌合(外嵌)し、フューエルフィラーボックス11の第1フランジ11Fが嵌合筒部13の周囲のサイドボディアウタパネル1の裏面に重なっている。
フューエルフィラーボックス11の底壁36(凹部2の底壁)には後述の樹脂カバー27の周辺部品であるホイールハウスアウタパネル4(車体側部材に相当)が車幅方向で重なって溶接接合されている。そして、互いに重なり合った凹部2の底壁36とホイールハウスアウタパネル4とに形成された円形の燃料給油部挿通孔H(挿通孔に相当)に、フューエルフィラーネック5の金属製の燃料給油部6が車内側W1から挿通されて凹部2内に突出し、燃料給油部6の給油口6Kが凹部2内で車外側W2に向かって開口している。
図8に示すように、燃料給油部6の先端部に折り返し部7が形成されている。折り返し部7は、先広がりのテーパ筒部8と、テーパ筒部8の先端部から燃料給油部6の下流側に延びる短いストレート筒部9とから成る。燃料給油部6の内周部には雌ねじ部B1が外周部と一体にプレス加工されている。
そして、図2,図7に示すように、燃料給油口6Kを塞ぐフューエルフィラーキャップ10(以下、「キャップ10」と称する)の雄ねじ部B2が前記雌ねじ部B1に螺合されている。キャップ10の背部10Hには径方向に延びる一直線状のつまみ10Tが突設されている。また、キャップ10の背部10Hの裏面に、前記折り返し部7のテーパ筒部8の内周面8M(図8参照)に圧接する環状のシール部10S(図7参照)が突設されている。
図8に示すように、前記燃料給油部6の外周部6Gにフューエルフィラーホルダ14(以下、「ホルダ14」と称する)の円筒部14Tが外嵌固着され、前記円筒部14Tの軸芯方向の一端部(車外側W2の一端部)から第2フランジ14Fがホイールハウスアウタパネル4の裏側に位置する状態に張り出している。図2に示すように、第2フランジ14Fは、車両前後方向の長さが上下方向の長さよりも長い菱形(各コーナーが円弧状の菱形)に形成され、第2フランジ14Fの車両前後方向の両端部にボルト挿通孔hがそれぞれ形成されている。
また、図2,図7,図8に示すように、軸芯方向視における形状がホルダ14とほぼ同一の菱形のフューエルフィラーパッキン17(以下、「パッキン17」と称する)の筒部17Tが燃料給油部6に外挿され、パッキン17の筒部17Tから張り出す第3フランジ17Fが、ホイールハウスアウタパネル4の裏面4Uとホルダ14の第2フランジ14Fとに挟圧されて、パッキン17の筒部17Tに設けられたシール部17T1が燃料給油部6の外周部6Gに外嵌密着している。そして、パッキン17の第3フランジ17Fの長手方向(車両前後方向)両端部にボルト挿通孔hがそれぞれ形成されている。パッキン17はゴム状弾性体から成る。
フューエルフィラーボックス11の底壁36とホイールハウスアウタパネル4にも燃料給油部挿通孔Hを挟んで位置する一対のボルト挿通孔hが形成されている。そして、フューエルフィラーボックス11とホイールハウスアウタパネル4とパッキン17とホルダ14との四者の互いに重なり合った一方のボルト挿通孔hに頭部付きの取り付けボルト18が挿通され、前記四者の互いに重なり合った他方のボルト挿通孔hに別の頭部付きの取り付けボルト18が挿通されて、両取り付けボルト18(締結部材に相当)にナット(図示せず)がそれぞれ螺合されている。このようにして燃料給油部6がホイールハウスアウタパネル4に固定されている。取り付けボルト18の頭部18Tは断面六角形に形成されている。
パッキン17の筒状のシール部17T1は、車外側W2(燃料給油部6の先端側)に向かって窄まるテーパ筒状に形成されて前記挿通孔Hから突出している。パッキン17の第3フランジ17Fには車内側W1(燃料給油部6の軸芯方向で燃料給油部6の奥側、燃料給油部6の下流側)に突出するピン20が一体成形され、前記ピン20がホルダ14のピン孔21に挿通係合している。
ピン20は、先窄まりのテーパー部25と、テーパー部25の先端の小径部から延びる径が一定のストレート部26とから成る。テーパ部25の大径部分はピン孔21よりも大径に形成され、テーパ部25の小径部分はピン孔21よりも小径に形成されている。そして、ピン20のストレート部26がピン孔21に挿通され、テーパー部25がピン孔21に縮径しながら挿通されて、テーパー部25の大径部分に形成された嵌合溝にピン孔21が弾性係合している。これによりピン20がピン孔21から抜けにくくなっている。
そして、前記燃料給油部6の外周部6Gを環状の樹脂製のフューエルフィラーネックカバー27(以下、「樹脂カバー27」と称する)で全周にわたって覆ってある。次に樹脂カバー27について説明する。
[樹脂カバー27の構造]
図4,図5,図8に示すように、樹脂カバー27は、燃料給油部6を囲む周壁22と、周壁22の軸芯方向の一端部22Aから径方向外方側に張り出す第4フランジ27Fとを備え、1箇所が周方向に分断し、燃料給油部6を囲んだ状態で一対の分断部28同士が連結されて燃料給油部6に装着されている。
前記一対の分断部28には、周方向で互いに係合及び係合解除自在な係合突起29と係合凹部30とが振り分け配設されている。係合突起29については、分断した一方の周壁部分から第4フランジ27Fの外周縁側に向かって第1リブ31が延出し、第1リブ31から爪状の係合突起29が周方向に突出している。係合凹部30は、周壁22にL字状の第2リブ32を連設して形成され、他方の分断部28の分断面から周方向に凹むとともに、軸芯方向他端部の外方側に開口している。
また、樹脂カバー27の軸芯O(燃料給油部6と共通の軸芯である。図7参照)を挟んで前記分断面とは反対側に、樹脂カバー27の径方向の開閉を許容する可撓性を備えた薄肉ヒンジ19(寸法調整部に相当)が形成されている。すなわち、図4に示すように、樹脂カバー27の軸芯Oを挟んで分断面とは反対側の周壁部分を周方向に分断し、分断した一対の周壁部分から第4フランジ27Fの外周縁側まで第3リブ33をそれぞれ延出し、第3リブ33の延出端部同士を薄肉の連結片34で接続して前記薄肉ヒンジ19が形成されている。薄肉ヒンジ19は周方向に伸縮することで樹脂カバー27の内径寸法を燃料給油部6の外径に対応した寸法に調整する。
前記薄肉ヒンジ19を設けてあるから、樹脂カバー27を単一の部材で構成することができ、部品点数を削減することができて部品管理を容易にすることができるとともに、樹脂カバー27を燃料給油部6に容易に組み付けることができて組み付け性を向上させることができる。
図5,図8に示すように、樹脂カバー27の第4フランジ27Fのフランジ面27F1(樹脂カバー27の軸芯方向の一端部の端面に相当)に断面四角形で円弧状のシール部材35が重ね合わされて両面テープで貼着されている(接着剤で貼着されていてもよい)。
そして前記シール部材35が、互いに重なり合ったフューエルフィラーボックス11の底壁36とホイールハウスアウタパネル4に圧接するとともに、前記周壁22の軸芯方向の他端部22Bの端面22B1が、燃料給油部6の先端部に形成された折り返し部7の端縁9Tに圧接している。
前記シール部材35は、フューエルフィラーボックス11の底壁36のうち、燃料給油部挿通孔Hの周りの表側の底壁面36M(周辺部品の挿通孔の周りの表側の面に相当)と、燃料給油部挿通孔Hよりも径方向内方側に位置するパッキン17のフランジ部分17F1とにわたる段差部37に圧接している。
シール部材35は独立発泡した多数の孔を備えたゴム系の発泡体から成る。これにより、前記段差部37に対する密着度を高めることができる。その結果、フューエルフィラードアパネル3とサイドボディアウタパネル1の見切り部から浸入した水が、燃料給油部挿通孔Hの内周縁に溜まるのを防止することができ、燃料給油部挿通孔Hの内周縁や燃料給油部6に錆が発生することを防止することができる。
そして、図8に示すように、折り返し部7の端縁9T(後述のストレート筒部9の端縁9T)とフューエルフィラーボックス11の底壁36の車外側W2を向く表側の面との間の長さLの寸法のばらつきをシール部材35で吸収することができて、シール性を良くすることができるとともに、樹脂カバー27の燃料給油部6への組み付け状態を安定化することができる。
図4,図8に示すように、燃料給油部6の折り返し部7の内周面9Mと、前記内周面9Mに連なる折り返し部7の端縁9Tとに係合する複数の係合爪39が、前記周壁22の軸芯方向の他端部22Bに周方向に均等な間隔を空けて分散配設されている。すなわち、前記テーパ筒部8の先端部から燃料給油部6の後端部側に向かって延びる短いストレート筒部9の内周面9Mと、この内周面9Mに対して直角を成すストレート筒部9の端縁9Tとに複数の係合爪39が係合する。
周方向で隣接する係合爪39の間では、前述のように、前記周壁22の軸芯方向の他端部22Bの端面22B1が、燃料給油部6の先端部に形成された折り返し部7の端縁9Tに圧接している。
前記シール部材35は独立発泡した多数の孔を備えたゴム系の発泡体から成ることから、樹脂カバー27の軸芯方向の圧縮に対する反発力を高めることができ、燃料給油部6の折り返し部7の内周面9Mと、前記内周面9Mに連なる折り返し部7の端縁9Tとに安定して係合爪39を係合させることができる。
[樹脂カバー27の位置決め構造]
次に樹脂カバー27の位置決め構造について説明する。
図6,図9に示すように、樹脂カバー27は、前記一対の取り付けボルト18の断面六角形の頭部18T(位置決め部に相当)に各別に係止する一対の係止部38(被位置決め部に相当)を備えて、薄肉ヒンジ19が燃料給油部6の軸芯Oよりも上方に位置するように位置決めされる。
一方の係止部38は燃料給油部6の軸芯Oよりも車両前方側Frの第1の取り付けボルト18の断面六角形の頭部18Tに位置決めされ、他方の係止部38は燃料給油部6の軸芯Oよりも車両後方側の第2の取り付けボルト18の断面六角形の頭部18Tに位置決めされる。
例えば、一対の係止部38が燃料給油部6の軸芯O(樹脂カバー27の軸芯O)に対して点対称に位置していると、前記一方の係止部38が前記第2の取り付けボルト18の頭部18Tに位置決めされ、前記他方の係止部38が前記第1の取り付けボルト18の頭部18Tに位置決めされて、薄肉ヒンジ19が燃料給油部6の軸芯Oよりも下方に位置する不具合が生じる可能性がある。
そこで、本発明では前記一対の取り付けボルト18(及びその頭部18T)を燃料給油部6の軸芯O(樹脂カバー27の軸芯O)に対して非点対称に配置し、前記一対の係止部38を燃料給油部6の軸芯O(樹脂カバー27の軸芯O)に対して非点対称に配置して、前記一方の係止部38が前記第1の取り付けボルト18の頭部18Tに位置決めされ、かつ、他方の係止部38が前記第2の取り付けボルト18の頭部18Tに位置決めされた状態でしか樹脂カバー27を組み付けできないようにしてある。
これにより、必ず、薄肉ヒンジ19が燃料給油部6の軸芯Oよりも上方に位置するように位置決めされて、上記の不具合を回避することができる。
前記一対の取り付けボルト18は、前述のように、燃料給油部6をフューエルフィラーボックス11及びホイールハウスアウタパネル4に固定する。
前記被位置決め部38は上記の湾曲形状の係止部に限られるものではなく、例えば、樹脂カバー27の第4フランジ27F、あるいはその他の樹脂カバー部分から径方向外方側に突出する凸部状の係止部に形成されていてもよい。
また、図10に示すように、前記被位置決め部38が段部状に切り欠き形成されていてもよい。図10に示す例では被位置決め部38をW字状の段部に形成してある。この構成によれば、被位置決め部38は、取り付けボルトの頭部18Tの大きさに影響されず様々な取り付けボルトに対応することができる利点がある。
前記位置決め部18Tも上記の取り付けボルト18の頭部に限られるものではなく、取り付けボルト18とは別部品で構成されていてもよい。また、前記別部品が位置決め専用の部品であってもよい。
前記薄肉ヒンジ19は樹脂カバー27の周方向に伸縮自在であり、薄肉ヒンジ19の周りで互いに突き合わされた一対の周壁部分22S同士(図4参照)が離間して隙間が形成された場合、この隙間から水が浸入することが考えられるが、薄肉ヒンジ19は燃料給油部6の軸芯Oよりも上方に位置するように位置決めされて水が溜まりにくい箇所に位置しているから、薄肉ヒンジ19の周囲から浸入した水が燃料給油部挿通孔Hの内周縁に溜まるのを防止することができる。
前記取り付けボルト18は燃料給油部6をフューエルフィラーボックス11とホイールハウスアウタパネル4に固定する締結部材であるので、この取り付けボルト18を利用して樹脂カバー27の薄肉ヒンジ19を位置決めすることにより位置決めの精度を上げることができる。
そして、薄肉ヒンジ19を位置決めする専用の位置決め部材を新たに設ける必要がなく、さらに、フューエルフィラーボックス11とホイールハウスアウタパネル4と燃料給油部6に位置決めのための加工を施していないから製作コストを低廉化することができる。
上記の各部を組み付ける場合、
(1) 図2,図7に示すように、フューエルフィラーネック5・パッキン17・ホルダ14を部組みした状態で、これらをホイールハウスアウタパネル4とフューエルフィラーボックス11の底壁36との燃料給油部挿通孔Hに車内側から挿通させる。
(2) そして、取り付けボルト18を前記ボルト挿通孔hに挿通させ前記ナットに螺合して、燃料給油部6をホイールハウスアウタパネル4とフューエルフィラーボックス11に組み付ける。
(3) 次に、凹部2内に突出した燃料給油部6の外周部6Gを囲むように開放状態の樹脂カバー27を配置し、樹脂カバー27の分断部28の係合突起29と係合凹部30を係合連結する。これにより、燃料給油部6の外周部6Gを全周にわたって樹脂カバー27で覆う。
[別実施形態]
(1) 本発明は、フューエルフィラーネック5の燃料給油部6とキャップ10とパッキン17とホルダ14と取り付けボルト18のレイアウトが同じであれば、別の車種の車両の燃料給油部6のカバー構造や、車両用以外の燃料給油部6のカバー構造にも適用することができて高い汎用性を有している。
(2) 前記樹脂カバー27は複数箇所で周方向に分断していてもよい。
(3) 前記寸法調整部は薄肉ヒンジに限られるものではない。例えば、樹脂カバーが、軸芯Oを挟んで位置する二箇所で周方向に分断され、分断部同士の隙間が生じないように両分断部同士を連結する連結部で軸芯Oよりも下側の一対の分断部同士が連結され、燃料給油部6の寸法精度のばらつきを吸収する調整代を有する連結部(寸法調整部に相当する)で軸芯Oよりも上側の一対の分断部同士が連結されていてもよい。前記連結部としては係合連結部などがある。
4 周辺部品(車体側部材、ホイールハウスアウタパネル)
4U 周辺部品の裏面
6 燃料給油部
6G 燃料給油部の外周部
7 折り返し部
9M 折り返し部の内周面
9T 折り返し部の端縁
14 ホルダ
14T ホルダの筒部
14F フランジ(ホルダのフランジ、第2フランジ)
17 パッキン
17F フランジ(パッキンのフランジ、第3フランジ)
17F1 パッキンのフランジ部分
17T パッキンの筒部
17T1 パッキンのシール部
18 締結部材(取り付けボルト)
18T 位置決め部(取り付けボルトの頭部)
19 寸法調整部(薄肉ヒンジ)
22 周壁
22A 周壁の軸芯方向の一端部
22B 周壁の軸芯方向の他端部
22B1 周壁の軸芯方向の他端部の端面
27 樹脂カバー
27F フランジ(樹脂カバーのフランジ、第4フランジ)
27F1 軸芯方向の一端部の端面(フランジ面)
28 分断部
35 シール部材
36M 周辺部品の挿通孔の周りの表側の面
37 段差部
38 被位置決め部(係止部)
39 係合爪
H 挿通孔
O 燃料給油部の軸芯

Claims (10)

  1. 金属製の燃料給油部の外周部を覆う環状の樹脂カバーであって、
    少なくとも1箇所が周方向に分断し、
    前記燃料給油部を囲んだ状態で分断部同士が連結されて前記燃料給油部に装着され、
    内径寸法を調整する寸法調整部を備え、
    前記燃料給油部の周辺に配置された周辺部品の位置決め部に対する被位置決め部を備えて、前記寸法調整部が前記燃料給油部の軸芯よりも上方に位置するように位置決めされる樹脂カバー。
  2. 前記位置決め部は前記燃料給油部の軸芯に対して非点対称な位置に複数配置され、
    前記被位置決め部は前記燃料給油部の軸芯に対して非点対称な位置に複数配置されている請求項1記載の樹脂カバー。
  3. 前記寸法調整部は、径方向の開閉を許容する薄肉ヒンジから成る請求項1又は2記載の樹脂カバー。
  4. 前記周辺部品に形成された挿通孔に挿通されて前記周辺部品に固定された燃料給油部の外周部を覆う請求項1〜3のいずれか一つに記載の樹脂カバー。
  5. 軸芯方向の一端部の端面にシール部材が重ね合わされて、前記シール部材が前記周辺部品に圧接するとともに、軸芯方向の他端部の端面が、前記燃料給油部の先端部に形成された折り返し部に圧接する請求項4記載の樹脂カバー。
  6. 前記燃料給油部を囲む周壁と、
    前記周壁の軸芯方向の一端部から径方向外方側に張り出すフランジとを備え、
    前記フランジのフランジ面に前記シール部材が重ね合わされて、前記シール部材が前記周辺部品に圧接する請求項5記載の樹脂カバー。
  7. 前記折り返し部の内周面と、前記内周面に連なる前記折り返し部の端縁とに係合する複数の係合爪が、前記周壁の軸芯方向の他端部に周方向に分散配設されている請求項5又は6記載の樹脂カバー。
  8. 前記位置決め部は前記燃料給油部を前記周辺部品に固定する締結部材の頭部であり、
    前記被位置決め部は、前記フランジに形成され前記締結部材の頭部に係止する係止部である請求項6又は7記載の樹脂カバー。
  9. 周辺部品の挿通孔に挿通されて前記周辺部品に固定された燃料給油部の外周部を環状の樹脂カバーで覆ってある燃料給油部のカバー構造であって、
    前記燃料給油部に外嵌されたホルダの筒部からフランジが前記周辺部品の裏側に位置する状態に張り出し、
    前記燃料給油部に外挿されたパッキンの筒部から張り出すフランジが、前記周辺部品の裏面と前記ホルダのフランジとに挟圧されるとともに、前記パッキンの筒部に設けられたシール部が前記燃料給油部の外周部に外嵌密着し、
    前記樹脂カバーは請求項5〜8のいずれか一つに記載の樹脂カバーであり、
    この樹脂カバーのシール部材が、前記周辺部品の挿通孔の周りの表側の面と、前記挿通孔よりも径方向内方側に位置する前記パッキンのフランジ部分とにわたる段差部に圧接し、
    前記樹脂カバーの軸芯方向の他端部の端面が、前記燃料給油部の先端部に形成された折り返し部に圧接している燃料給油部のカバー構造。
  10. 前記周辺部品は車両の車体側部材である請求項9記載の車両用の燃料給油部のカバー構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104369782A (zh) * 2014-11-20 2015-02-25 力帆实业(集团)股份有限公司 加油口盖体
JP2020056387A (ja) * 2018-10-04 2020-04-09 三菱自動車工業株式会社 排気還元剤注入口構造

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