JP2010253579A - ウェーハの研磨方法および研磨装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ウェーハ周縁部でのダレを防止し、直径300mm以上のウェーハであっても高平坦度ウェーハが実現可能なウェーハ片面研磨技術の提供。
【解決手段】ウェーハの一方の面を片面研磨する方法であって、研磨布を具えた回転定盤面に対して該ウェーハの他方の面を押圧する圧力のうち、ウェーハ端縁よりも幾分ウェーハ中心側にある、ウェーハの他方の面の所定の環状領域の一部または全面に対して加える第1圧力と、ウェーハの他方の面の残りの領域に加える第2圧力とを、個別に制御することにより、該ウェーハの所定の端縁部の研磨量を制御することを特徴とする、ウェーハの片面研磨方法。
【選択図】図4

Description

本発明は、ウェーハ、例えばシリコンウェーハの研磨方法および研磨装置に関し、特にウェーハ周縁部での研磨によるダレを有効に抑制し、ウェーハ全体としての平坦度を改善する研磨方法および研磨装置に関する。
ウェーハ、例えば半導体基板として使用されるシリコンウェーハ等の片面を研磨する片面研磨装置は、通常、ウェーハの他方の面(非研磨面)を保持するヘッド機構と、研磨布を有する回転定盤と、ウェーハの外周側に配備するリテーナリングとを具える。係る片面研磨装置においては、ヘッド機構はウェーハを保持しつつ回転定盤上の研磨布に対してウェーハの一方の面(研磨面)を押圧し、ヘッド機構と回転定盤を共に回転することによりヘッド機構と回転定盤とを相対運動させ、研磨液を供給しながらウェーハ表面を研磨する。なお、上記リテーナリングは、上記相対運動に伴うウェーハの飛び出しを防止するために配備される。
また、研磨後のウェーハ研磨面、特に仕上げ研磨後のウェーハ研磨面には高平坦度が要求される。係る要求を満足するために、上記片面研磨装置においては、前記ヘッド機構のウェーハ保持面を流体室またはエアバッグで構成して該流体室またはエアバッグに流体圧を加えたり、前記ヘッド機構のウェーハ保持面を弾性体で構成することにより、前記ヘッド機構によってウェーハの他方の面(非研磨面)全体に対して均一な圧力を負荷し、研磨布に対するウェーハの押圧力をウェーハ全面に亘り均一とする技術が知られている。
しかしながら、上記の如き片面研磨装置を用いてウェーハを研磨する場合には、ウェーハ中央部の研磨量に対してウェーハ周縁部の研磨量が多くなり、いわゆる「ダレ」が生じることが問題視されていた。
ウェーハ周縁部のダレを防止する技術としては、例えば特許文献1〜6に記載の技術が提案されている。特許文献1および2では、ウェーハ外周側に配備するリテーナリングを研磨布に対して押圧する機構を設け、該押圧力を調整することによりウェーハ周縁部と研磨布との当接圧力を制御し、ウェーハ周縁部のダレを防止する技術が提案されている。しかしながら、係る技術では、リテーナリングが磨耗したり、研磨布の磨耗に伴い研磨布の圧縮弾性率および硬度が変化するにつれて、上記当接圧力の制御が困難になる。そのため、係る技術では、優れた平坦度を有するウェーハを安定的に製造することができない。
特許文献3では、ウェーハを保持するヘッド機構のウェーハ当接面において、ウェーハ周縁部に対応する部分に凹部を設け、ウェーハ周縁部と研磨布との当接圧力を低減することにより、ウェーハ周縁部のダレを防止する技術が提案されている。しかしながら、係る技術においても特許文献1および2で提案された技術と同様、研磨布の磨耗に伴い研磨布の圧縮弾性率および硬度が変化するにつれて上記当接応力の制御が困難になる。更に、ウェーハ中央部と研磨布との当接応力が適切でない場合、平坦度が悪化する可能性もある。
特許文献4では、ウェーハを保持するヘッド機構とウェーハの非研磨面との間に圧力流体槽を形成し、該圧力流体槽に供給する流体量を制御してウェーハと研磨布との当接圧力を均一にすることにより、ウェーハの平坦度を確保する技術が提案されている。しかしながら、係る技術では、ヘッド機構の回転、回転定盤の回転、或いは、ウェーハとリテーナリングとの接触等により、ウェーハが上記圧力流体槽側に位置ずれし、傾きをもったウェーハ研磨面が形成される可能性がある。また、ウェーハとリテーナリングとの接触によりウェーハが変形し、研磨量がウェーハ全面で不均一となる傾向が見られ、高平坦度を確保することが難しい。
特許文献5では、ウェーハを保持するヘッド機構のウェーハ保持面のうち、ウェーハ周縁部に対応する部分にシール部材を形成することによりヘッド機構とウェーハの非研磨面との間に空間を設け、シール部材をウェーハの非研磨面に押圧し、且つ、ヘッド機構とウェーハの非研磨面との間の空間に加圧流体を供給してウェーハを研磨布に押圧してウェーハを研磨することにより、ウェーハの平坦度を確保する技術が提案されている。しかしながら、係る技術では、ウェーハ周縁部のみがシール部材によって直接加圧されるため、研磨形状の制御が非常に困難である。
特許文献6では、ウェーハに補強部材を設け、研磨時にウェーハとリテーナリングとが接触してウェーハが変形するのを防止することにより、該変形に起因するウェーハ周縁部の過研磨を抑制する技術が提案されている。しかしながら、係る技術では、ウェーハの半径に対して83%以上の領域が変形し、十分な平坦度を確保することができない。
特開2002−113653号公報 特開平8−229804号公報 特開平8−257893号公報 特開平11−42550号公報 特開平8−339979号公報 特開2009−10227号公報
上記のとおり、従来の片面研磨技術では、ウェーハ周縁部でのダレを抑制して高平坦度のウェーハを製造することが困難であった。その一方で、半導体基板に形成されるラインパターンの微細化に伴い、ウェーハの平坦度に対する要求は益々高まっている。更には、ウェーハのサイズがφ300mm以上と大型化するにつれ、ウェーハの平坦化が困難性を増しており、係る状況下、ウェーハの片面研磨技術の改善は不可欠である。
本発明は、上記現状に鑑みて開発されたもので、特にウェーハ周縁部での研磨によるダレを防止し、直径300mm以上のウェーハであっても高平坦度ウェーハが実現可能な、ウェーハの片面研磨方法および片面研磨装置の提供を目的とする。
本発明者は、従来技術に見られる上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、ウェーハの他方の面(非研磨面)を保持するヘッド機構と、研磨布を有する回転定盤と、ウェーハの外周側に配備するリテーナリングとを具えた片面研磨装置を用い、ヘッド機構でウェーハを保持しつつ回転定盤上の研磨布に対してウェーハの一方の面(研磨面)を押圧し、ヘッド機構と回転定盤を共に回転することによりヘッド機構と回転定盤とを相対運動させ、研磨液を供給しながらウェーハ表面を研磨する場合において、以下(a)および(b)の知見を得た。
(a) ヘッド機構によってウェーハの他方の面(非研磨面)全体に対して均一な圧力を負荷することにより、研磨布に対するウェーハの押圧力をウェーハ全面に亘り均一とすると、ウェーハ端縁よりも幾分ウェーハ中心側にある所定の環状領域に歪みが生じ易く、係る歪みがウェーハ周縁部のダレ発生に大きな影響を及ぼすこと。
(b) ウェーハの他方の面(非研磨面)に負荷する圧力に関し、上記環状領域の一部または全体に負荷する圧力を、他の部分に負荷する圧力とは個別に制御し、上記環状領域における歪みを抑制することによりウェーハ周縁部のダレを効果的に抑制できること。
本発明は、上記知見に基づき為されたもので、その要旨は以下のとおりである。
(1)ウェーハの一方の面を片面研磨する方法であって、
研磨布を具えた回転定盤面に対して該ウェーハの他方の面を押圧する圧力のうち、ウェーハ端縁よりも幾分ウェーハ中心側にある、ウェーハの他方の面の所定の環状領域の一部または全体に対して加える第1圧力と、ウェーハの他方の面の残りの領域に加える第2圧力とを、個別に制御することにより、該ウェーハの所定の端縁部の研磨量を制御することを特徴とする、ウェーハの片面研磨方法。
(2) 前記所定の環状領域は、ウェーハ半径を100%とするとき、83〜97%の範囲内にあることを特徴とする、前記(1)に記載のウェーハの片面研磨方法。
(3) 前記所定の端縁部は、ウェーハ半径を100%とするとき、97〜100%の領域であることを特徴とする、前記(1)または(2)に記載のウェーハの片面研磨方法。
(4) 前記第1圧力が、前記第2圧力に対して5〜70%高いことを特徴とする、前記(1)〜(3)の何れか1項に記載のウェーハの片面研磨方法。
(5) 前記第1圧力および前記第2圧力が、流体室、弾性体およびエアバッグの何れかにより構成される押圧面を有する加圧機構により付与されることを特徴とする、前記(1)〜(4)の何れか1項に記載のウェーハの片面研磨方法。
(6) 前記研磨布が、不織布にウレタンを含浸させて湿式発泡または乾式発泡させた発泡ウレタン研磨布であり、前記研磨布の厚みが1mm以上3mm以下、且つ、前記研磨布の硬度が75A以上であることを特徴とする前記(1)〜(5)の何れか1項に記載のウェーハの片面研磨方法。
(7) 前記研磨布上にアルカリ研磨液を供給しながら研磨することを特徴とする、前記(1)〜(6)の何れか1項に記載のウェーハの片面研磨方法。
(8) 前記ウェーハの片面研磨方法は、シリコン単結晶インゴットからウェーハをスライスする工程、該ウェーハの面取り工程、ラッピング工程(粗研磨工程)、エッチング工程および両面研磨工程を経た後のウェーハに適用する研磨方法であることを特徴とする、前記(1)〜(7)の何れか1項に記載のウェーハの片面研磨方法。
(9) 前記ウェーハの直径が300mm以上であることを特徴とする、前記(1)〜(8)の何れか1項に記載のウェーハの片面研磨方法。
(10) ウェーハの他方の面を保持するヘッド機構と、該ウェーハの直径と同等以上の内径を有するリテーナリングと、研磨布を有する回転定盤とを具えたウェーハの一方の面を片面研磨する装置であって、
上記ヘッド機構が、該ウェーハの他方の面のうち、ウェーハ端縁よりも幾分ウェーハ中心側にある、ウェーハの他方の面の所定の環状領域の一部または全体を押圧する第1加圧機構と、その他の部分を押圧する第2加圧機構とを具えることを特徴とする、ウェーハの片面研磨装置。
(11) 前記所定の環状領域は、ウェーハ半径を100%とするとき、83〜97%の範囲内にあることを特徴とする、前記(10)に記載のウェーハの片面研磨装置。
(12) 前記第1加圧機構の押圧面および前記第2加圧機構の押圧面が、流体室、弾性体およびエアバッグの何れかにより構成されることを特徴とする、前記(10)または(11)に記載のウェーハの片面研磨装置。
(13) 前記研磨布が、不織布にウレタンを含浸させて湿式発泡または乾式発泡させた発泡ウレタン研磨布であり、前記研磨布の厚みが1mm以上3mm以下、且つ、前記研磨布の硬度が75A以上であることを特徴とする、前記(10)〜(12)の何れか1項に記載のウェーハの片面研磨装置。
本発明によると、ウェーハの片面研磨時に問題視されていたウェーハ外周部のダレを効果的に抑制し、且つ、直径300mm以上のウェーハであっても所望の平坦度を有するウェーハを製造することが可能となる。
従来の片面研磨装置のヘッド機構における問題点を説明するための図である。 本発明におけるウェーハの他方の面の所定の環状領域において第1圧力を付与する部分を示す図であって、(a)は第1圧力を環状領域の全体に付与する場合、(b)は第1圧力を環状領域の周方向に断続的に付与する場合、 (c)は第1圧力を環状領域の一部の環状部分に付与する場合の例である。 本発明の片面研磨装置の概略図である。 本発明の片面研磨装置を構成する一のヘッド機構の例を示す図である。 本発明の他のヘッド機構の例を示す図である。 (a)は本発明の実施例1における研磨後のウェーハ表面状態を示す図でありで、(b)は本発明の実施例1における研磨量のバラツキ(直径方向)を示す図である。 (a)は比較例1における研磨後のウェーハ表面状態を示す図でありで、(b)は比較例1における研磨量のバラツキ(直径方向)を示す図である。 (a)は比較例2における研磨後のウェーハ表面状態を示す図でありで、(b)は比較例2における研磨量のバラツキ(直径方向)を示す図である。 (a)は比較例3における研磨後のウェーハ表面状態を示す図でありで、(b)は比較例3における研磨量のバラツキ(直径方向)を示す図である。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は、ウェーハの一方の面を片面研磨する方法であって、研磨布を具えた回転定盤面に対して該ウェーハの他方の面を押圧する圧力のうち、ウェーハ端縁よりも幾分ウェーハ中心側にある、ウェーハの他方の面の所定の環状領域の一部または全体に対して加える第1圧力と、ウェーハの他方の面の残りの領域に加える第2圧力とを、個別に制御することにより、該ウェーハの所定の端縁部の研磨量を制御することを特徴とする。
本発明においては、ウェーハの他方の面(非研磨面)の所定の環状領域の一部または全面に対して第1圧力を加え、ウェーハの他方の面(非研磨面)の残りの領域に対して第2圧力を加えることより、研磨布を具えた回転定盤面に対して該ウェーハの他方の面を押圧し、ウェーハの一方の面(研磨面)を研磨する。
ここで、先述のとおり、ウェーハの片面研磨方法において、ヘッド機構によってウェーハの他方の面(非研磨面)全体に対して均一な圧力を負荷すると、ウェーハ端縁よりも幾分ウェーハ中心側にある所定の環状領域に歪みが生じ易くなる。回転定盤上の研磨布にウェーハ研磨面を押圧しながらウェーハを保持するヘッド機構と回転定盤を共に回転させると、研磨布−ウェーハ研磨面間に生じる摩擦抵抗に起因してウェーハが回転定盤の回転方向に位置ずれする。その結果、ウェーハがリテーナリングに接触し、図1に示すようにウェーハの端縁部近傍の環状領域には歪みが生じるものと推測される。
そこで、本発明では前記の知見に基づき、上記歪みを抑制することによりウェーハ端縁部の研磨量を制御することができ、これによってウェーハ外周部のダレを効果的に抑制できると考え検討を行った。
本発明において、ウェーハの他方の面の所定の環状領域は、ヘッド機構によってウェーハの他方の面(非研磨面)全体に対して均一な圧力を負荷した状態で研磨し、ウェーハに歪みが生じる領域を事前に調査したうえ決定すればよい。ウェーハに歪みが生じる領域を上記環状領域とすれば、該歪みは効果的に抑制される。また、第1圧力、第2圧力各々の値についても同様に、ウェーハに生じる歪み形態を事前に調査し、その歪み量や歪み方向に応じて適宜決定すればよい。
第1圧力を付与する領域は、上記環状領域全体である必要はない。ウェーハに生じる歪みが抑制可能である限り、例えば図2(a)〜(c)に示すように、第1圧力を付与する領域を上記環状領域全体とする場合(図2(a))、第1圧力を付与する部分を上記環状領域の一部とする場合(図2(b),(c))の何れであってもよい。なお、図2(b)では、第1圧力を環状領域の周方向に断続的に付与しており、係る場合には、第1圧力を付与する複数の部分を、環状領域の周方向に均等に配置することが好ましい。
上記環状領域は、ウェーハ半径を100%とするとき、83〜97%の範囲内にすることが好ましい。Φ150〜450mmのウェーハについて、ヘッド機構によってウェーハの他方の面(非研磨面)全体に対して均一な圧力を負荷した状態で、研磨条件(定盤回転数、ウェーハを保持するヘッド機構の回転数、研磨布の種類)を通常の範囲内で変更して種々の条件で研磨を行い、ウェーハの歪み発生領域について調査したところ、ウェーハ半径83〜97%の環状領域に歪みが発生する傾向が確認されたためである。
研磨量を制御すべきウェーハ端縁部の領域は、ウェーハ半径を100%とするとき、97〜100%の領域とすることが好ましい。上記と同様にして種々の条件で研磨を行い、ウェーハ外周部のダレ発生領域についても調査したところ、上記ダレはウェーハ半径97〜100%の領域に発生する傾向が確認されたためである。そこで、本発明では、第1圧力および第2圧力を制御し、ウェーハ半径97〜100%における領域の研磨量を制御することにより、ウェーハ外周部のダレを抑制する。
第1圧力は第2圧力に対して5〜70%高いことが好ましい。この値が5%未満である場合、ウェーハに生じる上記歪みを十分に抑制することができなくなるおそれがあり、ウェーハ外周部のダレが発生してしまうためである。一方、上記値が70%を超えると、ウェーハに上記歪みとは異なる歪みが新たに発生し、ウェーハの平坦度が悪化する傾向があるためである。
本発明においては、第1圧力および第2圧力を、流体室、弾性体およびエアバッグの何れかにより構成される押圧面を有する加圧機構によって付与することが可能である。仕上げ研磨等、ウェーハの高平坦性を確保する上では、ウェーハを保持するヘッド機構のウェーハ保持面を、流体室またはエアバッグで構成してウェーハに流体圧を加えたり、前記ヘッド機構のウェーハ保持面を弾性体で構成することにより、ヘッド機構によってウェーハの他方の面(非研磨面)全体に対して均一な圧力を負荷し、研磨布に対するウェーハの押圧力をウェーハ全面に亘り均一とする技術が採用される。係る場合において、ヘッド機構のウェーハ保持面を1つの流体室等の部材で構成すると、ヘッド機構のウェーハ保持面が弾性変形を生じ易い部材であるがゆえ、ウェーハには図1に示すような歪みが発生する。
しかしながら、本発明のように、ヘッド機構のウェーハ保持面を2つの加圧機構で構成し、各々に付与する圧力(第1圧力および第2圧力)を個別に制御することにより、ウェーハの歪みを抑制することが可能となる。したがって、本発明によると、ヘッド機構のウェーハ保持面を流体室等によって構成する場合であっても、ウェーハの歪みを抑制することにより、ウェーハ端縁部の研磨量を制御し、ウェーハ外周面のダレを防止することができる。なお、ウェーハを保持するヘッド機構のウェーハ保持面を、セラミックス、SUS等の剛体によって構成する場合には、図1に示すような歪みは発生しない。
本発明において、更に優れた平坦度を有するウェーハを製造する上では、研磨布として、不織布にウレタンを含浸させて湿式発泡または乾式発泡させた発泡ウレタン研磨布であり、前記研磨布の厚みが1mm以上3mm以下、且つ、前記研磨布の硬度が75A以上である研磨布を用いることが好ましい。研磨布の厚み或いは硬度が上記条件を満足すれば、ウェーハが研磨布に沈み込む傾向が抑えられるためである。ウェーハが研磨布に沈み込むと、ウェーハ周縁部と研磨布との当接圧力が、ウェーハ中央部と研磨布との当接圧力よりも大きくなり、ウェーハ外周部のダレが生じ易くなる。なお、上記発泡ウレタン研磨布としては、公知のものを使用することができる。
なお、本発明において用いる研磨液の種類は問わないが、アルカリ研磨液等、通常のメカノケミカル研磨に用いる研磨剤を使用することができる。
また、上記のとおり本発明は、第1圧力および第2圧力を、流体室、弾性体およびエアバッグの何れかにより構成される押圧面を有する加圧機構によって付与することができる。そのため、仕上げ研磨等、ウェーハの高平坦性を要する研磨工程にも適用可能である。
例えば、本発明は、シリコン単結晶インゴットからウェーハをスライスする工程、該ウェーハの面取り工程、ラッピング工程(粗研磨工程)、エッチング工程(前工程の機械加工によるウェーハ表面ダメージ層を除去する工程)および両面研磨工程を経た後のウェーハに対して仕上げ研磨を施す際に、好適に使用される。
更に、本発明によると、直径300mm以上のウェーハ、例えばφ300mm、φ450mmのウェーハであっても所望の平坦度を確保することができるため、本発明はウェーハサイズの大型化に対応し得る点においても極めて有益である。
次に、本発明のウェーハの片面研磨装置について説明する。
本発明のウェーハの片面研磨装置は、ウェーハの他方の面を保持するヘッド機構と、該ウェーハの直径と同等以上の内径を有するリテーナリングと、研磨布を有する回転定盤とを具えたウェーハの一方の面を片面研磨する装置であって、上記ヘッド機構が、該ウェーハの他方の面のうち、ウェーハ端縁よりも幾分ウェーハ中心側にある、ウェーハの他方の面の所定の環状領域の一部または全面部を押圧する第1加圧機構と、その他の部分を押圧する第2加圧機構とを具えることを特徴とする。
図3は本発明におけるウェーハの片面研磨装置の概略図である。図3に示す片面研磨装置1は、ヘッド機構2と、研磨液3が供給される研磨布4を有する回転定盤5とを具え、ヘッド機構2でウェーハWを保持しつつ回転定盤5上の研磨布4に対してウェーハの一面(研磨面)を所定の圧力下で接触させ、ヘッド機構2と回転定盤5を共に回転することによりヘッド機構と回転定盤とを相対運動させ、研磨液供給手段6から研磨液3を供給しながらウェーハ表面を研磨する。
図4は、本発明の片面研磨装置1の要部構成、特にヘッド機構2の細部を示したものである。ヘッド機構2Aは、ヘッド定盤21A、樹脂メンブレン22A、エアバッグ23A、ウェーハ加圧用エアバッグ24A、加圧流体源(マスフロコントローラ)25Aを具え、更に、ウェーハWの外周に配設するリテーナリング26Aを具える。また、ヘッド定盤21A、樹脂メンブレン22A、およびリテーナリング26Aで仕切られる空間により流体室27Aが形成される。なお、図4においては樹脂メンブレン22Aの下面にウェーハを固定するためのバッキングパッド28Aを具えるが、バッキングパッド28Aによらず他の方法によりウェーハを固定する手段を採用しても構わない。
第1加圧機構は、エアバッグ23A、ヘッド定盤21Aに設けられたエア通路211A、ヘッド定盤21Aの上部に配設されたウェーハ加圧用エアバッグ24Aおよびウェーハ加圧用エアバッグ24Aに付設した電空変換レギュレータ(図省略)によって構成される。第1加圧機構では、電空変換レギュレータからウェーハ加圧用エアバッグ24A、更にはエア通路211Aを通じてウェーハ加圧用エアバッグ24Aに空気を供給し、その供給量を電空変換レギュレータで調整することによってウェーハの他方の面の所定の環状領域に負荷する圧力を調整する。
第2加圧機構は、流体室27A、ヘッド定盤21Aに設けられた流体通路212Aおよび加圧流体源(マスフロコントローラ)25Aによって構成される。第2加圧機構では、加圧流体源(マスフロコントローラ)25Aから流体通路212Aを通じて流体室27Aに空気等を供給し、その供給量を加圧流体源(マスフロコントローラ)25Aで調整することにより、ウェーハの他方の面のその他の領域に負荷する圧力を調整する。
上記図4は、第1加圧機構をエアバッグ、第2加圧機構を流体室とした例であるが、本発明においては、例えば図5に示すように、第2加圧機構を弾性体によって形成することもできる。
図5に示すヘッド機構2Bは、ヘッド定盤21B、エアバッグ22B、弾性体23B、第1加圧空気源(電空変換レギュレータ)24B、第2加圧流体源(電空変換レギュレータ)25Bを具え、更に、ウェーハWの外周に配設するリテーナリング26Bを具える。また、ヘッド定盤21Bおよび弾性体23Bで仕切られる空間27Bを有する。
第1加圧機構は、エアバッグ22B、ヘッド定盤21Bに設けられたエア通路211Bおよび第1加圧空気源(電空変換レギュレータ)24Bによって構成される。第1加圧機構では、第1加圧空気源(電空変換レギュレータ)24Bからエア通路211Bを通じてエアバッグ22Bに空気を供給し、その供給量を加圧流体源(電空変換レギュレータ)24Bで調整することにより、ウェーハの他方の面の所定の環状領域に負荷する圧力を調整する。
第2加圧機構は、弾性体23B、第2加圧流体源(電空変換レギュレータ)25B、ヘッド定盤21Bに設けられた流体通路212Bおよび空間27Bによって構成される。第2加圧機構では、加圧流体源(電空変換レギュレータ)25Bから流体通路212Bを通じて空間27Bに空気等を供給し、その供給量を加圧流体源(電空変換レギュレータ)25Bで調整することにより、ウェーハの他方の面のその他の領域に負荷する圧力を調整する。
以上の構成を有する本発明の片面研磨装置では、第1加圧機構および第2加圧機構を設けることにより、ウェーハのうち歪みが生じ易い環状領域に負荷する圧力、およびそれ以外の領域に負荷する圧力を、別個独立に制御することができる。その結果、本発明の片面研磨装置では、研磨時におけるウェーハの歪みを抑制し、ウェーハ端縁部の研磨量を制御することにより、ウェーハ外周面のダレを効果的に抑制することができる。
また、上記片面研磨装置において、第1加圧機構によってウェーハの他方の面の所定の環状領域の一部または全体を押圧するに際し、該環状領域をウェーハ半径83〜97%の範囲内とすれば、ウェーハの歪み抑制効果がより顕著になる。その結果、ウェーハ外周面のダレはより効果的に抑制される。
更に、研磨布として、不織布にウレタンを含浸させて湿式発泡または乾式発泡させた発泡ウレタン研磨布であり、前記研磨布の厚みが1mm以上3mm以下、且つ、前記研磨布の硬度が75A以上である研磨布を使用することも、ウェーハ外周面のダレを抑制する上では有効である。ウェーハが研磨布に沈み込む現象は上記ダレの要因となり得るが、上記特性を有する研磨布を使用すれば、ウェーハが研磨布に沈み込む現象が抑制されるためである。
次に、実施例および比較例により本発明の効果を説明するが、本実施例はあくまで本発明を説明する例示に過ぎず、本発明を限定するものではない。
(実施例1)
φ300mmの(100)シリコンウェーハ(P型,1-20Ωcm)について、図4に示すヘッド機構を具えた片面研磨装置を用いて仕上げ研磨を施した。なお、研磨条件は以下のとおりである。
<研磨条件>
回転定盤およびヘッド機構の回転数:30rpm
(回転定盤とヘッド機構を同方向に回転)
研磨布 :発泡ウレタン素材,厚さ1.3mm,硬さ85A
第1圧力:27.5kPa
第2圧力:20.0kPa
研磨取代:4μm(目標値)
研磨時間:13min
第1圧力の負荷領域:ウェーハ半径83〜97%の環状領域
(比較例1)
ウェーハ全面に負荷する圧力を20.0kPa均一としたこと以外は、実施例1と同様の条件で研磨を施した。
(比較例2)
第1圧力の負荷領域を、ウェーハ半径0〜97%の円領域としたこと以外は、実施例1と同様の条件で研磨を施した。
(比較例3)
第1圧力の負荷領域を、ウェーハ半径97〜100%の周縁部としたこと以外は、実施例1と同様の条件で研磨を施した。
(評価)
実施例1および比較例1〜3によって得られた仕上げ研磨済みシリコンウェーハについて、研磨後のウェーハ表面状態および直径方向における研磨量のバラツキを計測した。なお、研磨量の測定には、ラップマスターSFT(株)製Wafercom 300を用いた。また、ウェーハ厚みを研磨前後でウェーハ周縁部2mm除外でウェーハ全面を測定し、研磨前後のウェーハ中心部厚みを研磨量とした。更に、上記厚み差分の最大値と最小値との差を研磨量のバラツキとした。
図6(a)は実施例1における研磨後のウェーハの表面状態を示し、図6(b)は実施例1における研磨量のバラツキ(直径方向)を示す。図6(a)および(b)から明らかであるように、実施例1では、研磨量のバラツキは0.18μmであり、ウェーハ周縁部のダレがほとんど認められない。すなわち、本発明例である実施例1によると、ウェーハ全面に亘り研磨量のバラツキが少ない上、ウェーハ周縁部ダレが抑制された、高平坦度のシリコンウェーハが得られる。
一方、図7(a)は比較例1における研磨後のウェーハの表面状態を示し、図7(b)は比較例1における研磨量のバラツキ(直径方向)を示す。図7(a)および図7(b)から明らかであるように、ウェーハに負荷する圧力を全面に亘り均一にした比較例1では、研磨量のバラツキが0.26μmであり、実施例1よりもバラツキがやや大きい。また、比較例1では、ウェーハ端縁部の研磨量が大きくなっており、ウェーハ周縁部にダレ発生が認められる。
図8(a)は比較例2における研磨後のウェーハの表面状態を示し、図8(b)は比較例2における研磨量のバラツキ(直径方向)を示す。図8(a)および図8(b)から明らかであるように、第1圧力の負荷領域をウェーハ半径0〜97%の円領域とした比較例2では、研磨量のバラツキが0.43μmであり、実施例1よりも遥かに大きなバラツキを示した。また、比較例2では比較例1と同様、ウェーハ端縁部の研磨量が大きくなっており、ウェーハ周縁部にダレ発生が顕著に認められる。
図9(a)は比較例3における研磨後のウェーハの表面状態を示し、図9(b)は比較例3における研磨量のバラツキ(直径方向)を示す。図9(a)および図9(b)から明らかであるように、第1圧力の負荷領域をウェーハ半径97〜100%の周縁部とした比較例3では、研磨量のバラツキが0.39μmであり、比較例2と同様、実施例1よりも遥かに大きなバラツキを示した。また、比較例3では比較例1および2と同様、ウェーハ端縁部の研磨量が大きくなっており、ウェーハ周縁部にダレ発生が顕著に認められる。
本発明によれば、ウェーハ周縁部でのダレを抑制し、直径300mm以上の大径ウェーハであっても高平坦度ウェーハが実現可能なウェーハ片面研磨技術を提供することが可能になる。
1 … 片面研磨装置
2 … ヘッド機構
3 … 研磨液
4 … 研磨布
5 … 回転定盤
6 … 研磨液供給手段
7 … ヘッド昇降軸
8 … ヘッド昇降軸受け
W … ウェーハ

Claims (13)

  1. ウェーハの一方の面を片面研磨する方法であって、
    研磨布を具えた回転定盤面に対して該ウェーハの他方の面を押圧する圧力のうち、ウェーハ端縁よりも幾分ウェーハ中心側にある、ウェーハの他方の面の所定の環状領域の一部または全体に対して加える第1圧力と、ウェーハの他方の面の残りの領域に加える第2圧力とを、個別に制御することにより、該ウェーハの所定の端縁部の研磨量を制御することを特徴とする、ウェーハの片面研磨方法。
  2. 前記所定の環状領域は、ウェーハ半径を100%とするとき、83〜97%の範囲内にあることを特徴とする、請求項1に記載のウェーハの片面研磨方法。
  3. 前記所定の端縁部は、ウェーハ半径を100%とするとき、97〜100%の領域であることを特徴とする、請求項1または2に記載のウェーハの片面研磨方法。
  4. 前記第1圧力が、前記第2圧力に対して5〜70%高いことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のウェーハの片面研磨方法。
  5. 前記第1圧力および前記第2圧力が、流体室、弾性体およびエアバッグの何れかにより構成される押圧面を有する加圧機構により付与されることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載のウェーハの片面研磨方法。
  6. 前記研磨布が、不織布にウレタンを含浸させて湿式発泡または乾式発泡させた発泡ウレタン研磨布であり、前記研磨布の厚みが1mm以上3mm以下、且つ、前記研磨布の硬度が75A以上であることを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載のウェーハの片面研磨方法。
  7. 前記研磨布上にアルカリ研磨液を供給しながら研磨することを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載のウェーハの片面研磨方法。
  8. 前記ウェーハの片面研磨方法は、シリコン単結晶インゴットからウェーハをスライスする工程、該ウェーハの面取り工程、ラッピング工程(粗研磨工程)、エッチング工程および両面研磨工程を経た後のウェーハに適用する研磨方法であることを特徴とする、請求項1〜7の何れか1項に記載のウェーハの片面研磨方法。
  9. 前記ウェーハの直径が300mm以上であることを特徴とする、請求項1〜8の何れか1項に記載のウェーハの片面研磨方法。
  10. ウェーハの他方の面を保持するヘッド機構と、該ウェーハの直径と同等以上の内径を有するリテーナリングと、研磨布を有する回転定盤とを具えたウェーハの一方の面を片面研磨する装置であって、
    上記ヘッド機構が、該ウェーハの他方の面のうち、ウェーハ端縁よりも幾分ウェーハ中心側にある、ウェーハの他方の面の所定の環状領域の一部または全体を押圧する第1加圧機構と、その他の部分を押圧する第2加圧機構とを具えることを特徴とする、ウェーハの片面研磨装置。
  11. 前記所定の環状領域は、ウェーハ半径を100%とするとき、83〜97%の範囲内にあることを特徴とする、請求項10に記載のウェーハの片面研磨装置。
  12. 前記第1加圧機構の押圧面および前記第2加圧機構の押圧面が、流体室、弾性体およびエアバッグの何れかにより構成されることを特徴とする、請求項10または11に記載のウェーハの片面研磨装置。
  13. 前記研磨布が、不織布にウレタンを含浸させて湿式発泡または乾式発泡させた発泡ウレタン研磨布であり、前記研磨布の厚みが1mm以上3mm以下、且つ、前記研磨布の硬度が75A以上であることを特徴とする、請求項10〜12の何れか1項に記載のウェーハの片面研磨装置。
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