JP2010251119A - バッテリーケーブル用コネクタ構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】バッテリーケーブル用コネクタ構造において、アルミ電線と銅合金端子のようなイオン化傾向の異なる金属同士が接続されていても、接触腐食の生じない防水性能に優れたコネクタ構造を提供する。
【解決手段】本発明のバッテリーケーブル用コネクタ構造は、筐体にジェルを注入、排出する注入口及び排出口が設けられており、バッテリーケーブル端末の導体部と金属端子が接続された接続部及びシールド線とシールド金具が接続処理されているシールド線処理部が収納されている筐体の空間部内に、注入口から注入され、オーバーフロー分が排出口から排出されたジェルが充填されている。導体部若しくはシールド線はアルミニウム若しくはアルミニウム合金、金属端子若しくはシールド金具が銅若しくは銅合金のようなイオン化傾向の異なる金属同士である場合に防水性能の効果がより発揮される。
【選択図】図1
【解決手段】本発明のバッテリーケーブル用コネクタ構造は、筐体にジェルを注入、排出する注入口及び排出口が設けられており、バッテリーケーブル端末の導体部と金属端子が接続された接続部及びシールド線とシールド金具が接続処理されているシールド線処理部が収納されている筐体の空間部内に、注入口から注入され、オーバーフロー分が排出口から排出されたジェルが充填されている。導体部若しくはシールド線はアルミニウム若しくはアルミニウム合金、金属端子若しくはシールド金具が銅若しくは銅合金のようなイオン化傾向の異なる金属同士である場合に防水性能の効果がより発揮される。
【選択図】図1
Description
本発明は、自動車のバッテリーケーブル用コネクタ構造に関し、特に防水性能に優れたコネクタ構造に関する。
近年、自動車に用いられる各部品については、軽量化の観点からアルミニウムの使用が進められている。このような流れは自動車用ケーブルについても同様であり、例えば、自動車の走行用バッテリーとインバータを結ぶケーブルであるバッテリーケーブルにおいて、アルミニウム若しくはアルミニウム合金の電線(以下、アルミ電線)が使用されることも多くなっている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
特許文献1あるいは特許文献2に記載されている技術は、アルミ電線をかしめ加工して端子に接続するものであるが、この端子部分は通常エンジンルーム内に配置されるコネクタ内に収納されている。
図4は、従来のバッテリーケーブル用コネクタ構造の断面図である。図4のコネクタ構造は所謂メス側を表したものであるが、バッテリーケーブル40の導体部41と金属端子42が例えば超音波溶接で接続され、破線で囲む接続部43が形成されている。この接続部43は筐体44の空間部内に配置、固定されている。
バッテリーケーブル40は前記した導体部41の周囲に絶縁層が被覆されたケーブルコア45を構成の一部とし、このケーブルコア45の周囲に被覆されているシールド線46は折り返されてかしめ金具47bによりシールド金具47aにかしめ加工されている。
また、シールド金具47aはハウジング48内に収納されており、ハウジング48には筐体44とオス側のコネクタとの嵌合い部をシールするためのブッシンング49が設けられている。ハウジング48の内部にはブッシング50が設けられており、バッテリーケーブル40側のハウジング48を覆うようにブッシング押さえ51が設けられている。
このようなコネクタ構造は耐水、耐油、耐熱、耐振動等の要求があるが、例えば、アルミ導体と銅合金端子が接続されている場合、この接続部分に水が浸入すると銅合金と比較してイオン化傾向の大きいアルミニウム側に腐食(以下、接触腐食という)が生じる虞がある。そのため通常コネクタの嵌合い部をシリコンゴムでシールするなどの防水手段が施されている。
上記したようにコネクタ部にはシリコンゴムでシールするなどの防水手段が施されているが、結露に対しては完全とは言えず、またシールが劣化した場合には水の浸入が避けられないという問題があり、その結果、コネクタ部に異種金属同士が接続されている場合、その接続部において接触腐食が生じコネクタ部の信頼性が低下するという不都合があった。
また、コネクタ内部へ水の浸入があった場合には、そこから更にケーブル内部に水が浸透し、腐食等によるケーブル特性の信頼性の低下を引き起こすという問題もあった。
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、コネクタ外部が水を被ったり、水に浸るような環境、若しくはコネクタ内部に結露が生じやすい環境に置かれたりする場合において、例えばアルミ導体と銅合金端子のようなイオン化傾向の異なる金属同士が接続されていても、コネクタ内部での接触腐食やコネクタ部を進入口とするケーブル内部への水の浸入が生じない防水性能に優れたコネクタ構造を提供するものである。
この目的を達成するために本発明のバッテリーケーブル用コネクタ構造の第1の態様は、バッテリーケーブル端末の導体部と金属端子が接続された接続部及びシールド線とシールド金具が接続処理されているシールド線処理部が筐体の空間部内に収納されているバッテリーケーブル用コネクタ構造において、筐体にはジェルを注入、排出する注入口及び排出口が設けられており、接続部及びシールド線処理部が収納されている筐体の空間部内に注入口から注入され、オーバーフロー分が排出口から排出されたジェルが充填されていることを特徴とする。
また本発明のバッテリーケーブル用コネクタ構造の第2の態様は、第1の態様において、導体部と金属端子若しくはシールド線とシールド金具とはイオン化傾向の異なる金属同士であることを特徴とする。
さらに本発明のバッテリーケーブル用コネクタ構造の第3の態様は、第2の態様において、導体部若しくはシールド線はアルミニウム若しくはアルミニウム合金、金属端子若しくはシールド金具は銅若しくは銅合金であることを特徴とする。
さらに、本発明のバッテリーケーブル用コネクタ構造の第4の態様は、第1から第3の態様において、ジェルは注入、充填後硬化してゴム状の固体となることを特徴とする。
本発明によれば、充填されたジェルが例えばアルミ導体と銅合金端子の接続部及びアルミシールド線と銅若しくは銅合金製シールド金具のシールド線処理部を覆うので、接続部に水が浸入するのを防ぐことができ、接触腐食を防止することができる。また、充填したジェルがケーブル端末部を含めてシールするので、コネクタ部を進入口とするケーブル内部への水の浸入を防ぐこともできる。
使用するジェルは、充填後硬化してゴム状の固体となるため、シール効果がより発揮される。さらにジェルの耐熱温度は120℃程度であるため、エンジンルームの温度が上昇してもジェルが流れ出すという不都合が生じない。
以下、本発明のバッテリーケーブル用コネクタ構造の好ましい実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する各図において同一箇所には同一の符号を付与することとする。
図1は本発明のバッテリーケーブル用コネクタ構造の断面図である。まず図1(a)における本発明のコネクタ構造は所謂メス側を表したものであるが、バッテリーケーブル1の導体部2と金属端子3が、例えば超音波溶接により接続され、破線で囲む接続部4が形成されている。導体部2と金属端子3はイオン化傾向の異なる金属同士であり、例えば導体部2がイオン化傾向の大きい金属からなるアルミ電線、金属端子3が銅若しくは銅合金の例が挙げられる。この接続部4は筐体5の空間部内に配置、固定されている。
バッテリーケーブル1は導体部2の周囲に絶縁層が設けられたケーブルコア6を構成の一部とし、ケーブルコア6の周囲にはシールド線7が被覆されている。筐体5の内部でケーブル端末の処理をする際にはシールド線7を折り返し、シールド金具8a及びかしめ金具8bによりかしめ加工し、固定され、破線で囲むシールド線処理部8cが形成されている。ここで、シールド線7は、例えば錫メッキ銅線が用いられ、シールド金具8a及びかしめ金具8bは銅合金が用いられている。
また、シールド線処理部8cを含む筐体5がハウジング9内に収納されており、ハウジング9にはオス側のコネクタとの嵌合い部をシールするための第1のブッシンング10が設けられている。筐体5の内部及びハウジング9の内部にはそれぞれ第2のブッシング11が設けられている。特に金属端子3側のブッシング11はジェル充填時に端子の嵌合い部分にジェルが進入しないようにするために有効である。また、バッテリーケーブル1側のブッシング11にはハウジング9を覆うようにブッシング押さえ12が設けられている。なお、符号8dはやはりシールド金具を表している。
ところで、シールド線7がアルミニウムの場合の処理については、図1(b)に示すように、シールド線7を折り返し、シールド金具8aに沿わせてシールド金具8aと超音波溶接してシールド線処理部が形成される。このシールド線処理部において、シールド金具8aに銅または銅合金が用いられる場合、シールド線7とシールド金具8aとはイオン化傾向の異なる金属同士が用いられることになるので、水の浸入などにより接触腐食の虞が出てくるため防水対策が必要となる。
ここで、本発明のコネクタ構造においては、筐体5にジェルを注入、排出するための注入口13及び排出口14が設けられており、筐体5の空間内部には注入口13及び排出口14から通路15を介してジェルが注入、排出できるようになっている。そしてジェルはこの注入口13から注入され、筐体5の内部に充填されて接続部4及びシールド線処理部8cを含むケーブル端末部が覆われる。オーバーフローしたジェルは排出口14から排出される。このようなコネクタ構造においては、筐体5の内部は気泡が残らない状態で密にジェルが充填されている。なお、図1aにおいては、ジェルが充填されている状況は説明の便宜上省略されている。
ところで、図1aにおいては、一方を注入口13、他方を排出口14として説明しているが、注入口、排出口の場所を特に限定する必要はなく、図における排出口を注入口とし、注入口を排出口としても差し支えない、即ち、作業状況や作業効率等に応じてどちらを注入口とするか排出口とするかを適宜選択すればよい。
次ぎに、本発明のバッテリーケーブル用コネクタ構造にジェルを注入する工程について説明する。図2は本発明のバッテリーケーブル用コネクタ構造にジェルを注入する際に一例としてコネクタを水平にして注入する場合について説明したものである。なお、図2においては説明の便宜上主として筐体部分についてのみ図示している。
図2(a)は注入口13からジェル16を筐体内部に途中まで充填した状況を表した図である。ジェル16は筐体5の空間部内の導体部2、金属端子3の一部、接続部4、ケーブルコア6、シールド線処理部8cを覆うように矢印の如く充填される。その後図2(b)に示すように、筐体5の空間部内のすべてがジェル16で満たされるように充填をし、さらにジェル16が排出口14からオーバーフローするまで充填を続ける。
用いるジェルとしては、特に限定はないが、常温で注入可能な程度の流動性があり、充填が終了した後には常温あるいは熱などの適宜な手段で硬化するものが好ましい。このようなジェルを完全に充填させた後に硬化させる。ジェルを硬化させると、ジェルはゴム状の固体となり、自動車のエンジンルームの温度が上昇したとしても筐体外に流れ出すことがない。また、このようなジェルは耐熱温度が120℃程度なので、エンジンルームの温度上昇によっても劣化することがなく、従って筐体内のシール効果を十分に発揮させることができる。
また、図3は本発明のバッテリーケーブル用コネクタ構造にジェルを注入する際の他の例としてコネクタを垂直にして注入する場合について説明したものである。なお、図3においても説明の便宜上主として筐体部分についてのみ図示している。
図3(a)はコネクタを垂直に設置して注入口14からジェル16を充填するものである。ここで、注入口14は、図1及び図2において排出口14としたものであるが、図3に示す本実施の形態の場合は図1及び図2における排出口14を注入口14とし、注入口13を排出口13としたものである。このように本発明のバッテリーケーブル用コネクタ構造においては注入口、排出口を適宜変更することができる。
図3(a)は注入口14からジェル16を筐体内部に途中まで充填した状況を表した図である。図2(a)と同様にジェル16は筐体5の空間部内の導体部2、金属端子3の一部、接続部4、ケーブルコア6、シールド線処理部8cを覆うように矢印の如く充填される。その後図3(b)に示すように、筐体5の空間部内のすべてがジェル16で満たされるように充填をし、さらにジェル16が排出口13からオーバーフローするまで充填を続ける。
ジェル16を硬化させると、ジェルはゴム状の固体となり、自動車のエンジンルームの温度が上昇したとしても筐体外に流れ出すことがなく、また、エンジンルームの温度上昇によっても劣化することがないので筐体内のシール効果を十分に発揮させることができることは図2における例と同様である。
本発明のバッテリーケーブル用コネクタ構造を図2のように水平に設置し、注入口からコーキングガンを用いてドイツのWacker Chemie AG社のWACKER SILGEL(登録商標)を排出口からオーバーフローするまで注入した。この後常温で12時間かけて硬化させた。ジェルを完全に硬化させた後にコネクタを切断して断面を調査したところ、ジェルが筐体の空間部内の全領域に渡って密に充填されていることが確認された。
また、本発明のバッテリーケーブル用コネクタ構造を作製し、塩水噴霧試験を行った。この試験は結露を想定して、35℃の塩水噴霧試験槽内から5℃の冷蔵庫内へのヒートサイクルを10回繰り返し、その後解体調査を行った。同様の試験を従来のコネクタ構造についても行った。その結果、従来のコネクタ構造には接続部やシールド線処理部の一部の箇所に腐食が発生したが、本発明のバッテリーケーブル用コネクタ構造では腐食やケーブル端末からの水分の浸入がまったく認められなかった。
上記したように本発明によれば、イオン化傾向の異なる金属同士を接続したとしても接続部及びシールド線処理部の周囲を固体状のジェルで覆っているので水分が浸入することがなく、従って接触腐食が発生しないバッテリーケーブル用コネクタ構造を提供することができる。
1 バッテリーケーブル
2 導体部
3 金属端子
4 接続部
5 筐体
6 ケーブルコア
7 シールド線
8a シールド金具
8b かしめ金具
8c シールド線処理部
8d シールド金具
9 ハウジング
10 第1のブッシング
11 第2のブッシング
12 ブッシング押さえ
13(14) 注入口
14(13) 排出口
15 通路
16 ジェル
2 導体部
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6 ケーブルコア
7 シールド線
8a シールド金具
8b かしめ金具
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9 ハウジング
10 第1のブッシング
11 第2のブッシング
12 ブッシング押さえ
13(14) 注入口
14(13) 排出口
15 通路
16 ジェル
Claims (4)
- バッテリーケーブル端末の導体部と金属端子が接続された接続部及びシールド線とシールド金具が接続処理されているシールド線処理部が筐体の空間部内に収納されているバッテリーケーブル用コネクタ構造において、前記筐体にはジェルを注入、排出する注入口及び排出口が設けられており、前記接続部及びシールド線処理部が収納されている筐体の空間部内に前記注入口から注入され、オーバーフロー分が前記排出口から排出されたジェルが充填されていることを特徴とするバッテリーケーブル用コネクタ構造。
- 前記導体部と前記金属端子若しくは前記シールド線と前記シールド金具とはイオン化傾向の異なる金属同士であることを特徴とする請求項1記載のバッテリーケーブル用コネクタ構造。
- 前記導体部若しくは前記シールド線はアルミニウム若しくはアルミニウム合金、前記金属端子若しくはシールド金具は銅若しくは銅合金であることを特徴とする請求項2記載のバッテリーケーブル用コネクタ構造。
- 前記ジェルは注入、充填後硬化してゴム状の固体となることを特徴とする請求項1から請求項3までの何れかの請求項に記載のバッテリーケーブル用コネクタ構造。
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JP2009099204A JP2010251119A (ja) | 2009-04-15 | 2009-04-15 | バッテリーケーブル用コネクタ構造 |
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