JP2010248058A - 光学ガラス素材を含む組合体、この組合体の利用方法および製造方法、並びにこの組合体を用いる光学素子の光学設計の援助方法 - Google Patents

光学ガラス素材を含む組合体、この組合体の利用方法および製造方法、並びにこの組合体を用いる光学素子の光学設計の援助方法 Download PDF

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【課題】光学ガラスを用いた光学素子の生産者が、この光学ガラスの生産者と異なる場合であっても、所定の情報に基づいて所望の屈折率および/またはアッベ数を有する光学素子の生産が可能となる手段を提供する。
【解決手段】光学ガラス素材とこの光学ガラス素材の徐冷係数β値及び基準屈折率ns値を含む物性値を表示した表示物とを含む組合体。表示物に表示された物性値は、基準アッベ数νs値をさらに含む。組合体の製造方法。組合体を準備する工程(10)、前記組合体に含まれる光学ガラス素材を用いて、光学素子製造に用いられることが想定されるプレス成形方法および条件にて、光学素子の試作品を調製する工程(11)、光学素子の試作品の屈折率nを求める工程(12)、および求めた屈折率nを用いて光学素子の光学設計を行う工程(13)を含む、光学素子の光学設計の援助方法。
【選択図】なし

Description

光学ガラス素材とこの光学ガラス素材の物性値を表示した表示物とを含む組合体およびこの組合体の利用方法および製造方法、並びにこの組合体を用いる光学素子の光学設計の援助方法に関する。
所要の光学性能を有するガラス製光学素子を得るには、高い形状精度に加え、屈折率などの光学特性が高精度に定まった光学ガラスが必要となる。
ガラスの光学特性はその組成によって定まるが、組成が全く同じでも光学素子製造時の熱履歴の変化によって屈折率が僅かに変化し、その変化量が光学素子の性能に大きく影響する。こうした現象に注目し、熱履歴も考慮して所望の屈折率を得るための技術が特許文献1、2に開示されている。
特開2003−300738号公報 特開2007−176764号公報
特許文献1、2は、所定の徐冷速度に対して所望の屈折率が得られるようにガラス組成を調整することを開示している。しかし、光学ガラスの生産者とこの光学ガラスを用いた光学素子の生産者とは違う場合があり、その場合、光学ガラスの生産者はガラス組成を調整することはできるが、最終的な光学素子の屈折率およびアッベ数を決める徐冷速度を選択することはできない。一方、光学素子の生産者は徐冷速度など光学素子を生産する過程の熱履歴を設定することはできるが、ガラス組成を調整することはできない。こうした事情が、所望の光学特性を有する光学素子を効率よく生産する上での障害になっていた。
このようなガラス生産者と光学素子の生産者の間、あるいはガラスの生産者と光学素子の設計者の間での問題は、光学素子の高機能化、高性能化に伴って生じる問題である。なぜなら、本発明者らの知見によれば、光学素子を構成するガラスの組成を定めると、光学素子を生産する過程における徐冷速度をどのように調整しようとも、屈折率ndとアッベ数νdは、一方の軸に屈折率nd、他方の軸にアッベ数νdをとったνd−nd平面上で一義的に定まった直線上を移動するだけで、直線から外れた座標をとることはないからである。屈折率ndとアッベ数νdを同時に調整するには、ガラス組成を適宜調整することによって、ガラスが有する基準となる光学特性値(例えば、基準屈折率など)をシフトさせ、所要の徐冷速度で徐冷したときに所望の光学特性が得られるようにする必要がある。しかし、ガラスの生産者が有する組成に関する情報と光学素子の生産者が有する徐冷に関する情報が共有されない場合には、上記組成の調整は容易ではなく、問題の解決は困難であった。
そこで本発明は、このような課題を解決できる手段を提供することを目的とする。具体的には、光学ガラスを用いた光学素子の生産者が、この光学ガラスの生産者と異なる場合であっても、所定の情報に基づいて所望の屈折率を有する光学素子の生産が可能となる手段を提供することを目的とする。さらに、本発明は、屈折率に加えて、アッベ数についても、屈折率と同様に、光学ガラスを用いた光学素子の生産者が、この光学ガラスの生産者と異なる場合であっても、所定の情報に基づいて所望のアッベ数を有する光学素子の生産が可能となる手段を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明は以下のとおりである。
[1]
光学ガラス素材とこの光学ガラス素材の徐冷係数β値及び基準屈折率ns値を含む物性値を表示した表示物とを含む組合体。
[2]
前記組合体は、徐冷装置が有する実効冷却速度を求めるために用いるためのものであり、
前記徐冷装置は、プレス成形して得たガラス製光学素子を徐冷する工程を含むガラス製光学素子の製造方法における上記徐冷工程で用いられるものであり、
上記実効冷却速度は、上記徐冷装置で徐冷して得られる、前記組合体に含まれるガラス素材からなるガラス製光学素子の所定波長における屈折率n0、並びに前記基準屈折率nsおよび徐冷係数β値の所定波長におけるそれぞれの値から、以下の式に従って求められる(式中、R0は実効冷却速度であり、Rsは基準徐冷速度であり、Δn=(屈折率n0−基準屈折率ns)であり、βは徐冷係数β値である)[1]に記載の組合体。
0=Rs/10Δn/β
[3]
前記組合体は、
ガラス製光学素子の屈折率を予測する方法に用いるためのものであって、
前記ガラス製光学素子は、前記組合体に含まれるガラス素材(以下、ガラス素材Bと呼ぶ)をプレス成形して得たガラス製光学素子を徐冷装置において徐冷する工程を含むガラス製光学素子の製造方法において得られるものであり、
前記予測方法は、
上記徐冷装置が有する実効冷却速度並びに所定波長における前記基準屈折率nsおよび徐冷係数β値から、前記実効冷却速度を求めた徐冷条件と同一の条件で運転される上記徐冷装置で徐冷して得られたガラス製光学素子の前記波長における屈折率n0を以下の式に従って求める工程を含む(式中、R0は実効冷却速度であり、βは徐冷係数β値である)[1]に記載の組合体。
n0=ns−β×log100
[4]
前記実効冷却速度は、前記ガラス素材Bからなるガラス製光学素子を徐冷した条件と同一の条件で運転される徐冷装置で徐冷して得られる、前記ガラス素材Bとは異なるガラス素材(以下、ガラス素材Aと呼ぶ)をプレス成形して得たガラス製光学素子の所定波長における屈折率n0(A)と、前記ガラス素材Aの前記波長における基準屈折率ns(A)および徐冷係数β(A)から、以下の式に従って求められる(式中、R0は実効冷却速度であり、Rsは基準徐冷速度であり、Δn(A)=(屈折率n0(A)−基準屈折率ns(A))である)[3]に記載の組合体。
0=Rs/10Δn(A)/β(A)
[5]
前記組合体は、
ガラス製光学素子のアッベ数を予測する方法に用いるためのものであって、
請求項3または4に記載の屈折率を予測する方法により、F線スペクトルにおけるガラスの屈折率nF、およびC線スペクトルにおけるガラスの屈折率nCをそれぞれ求め、d線スペクトルにおけるガラスの屈折率nd、またはg線スペクトルにおけるガラスの屈折率ngを求め、下記式のいずれかに従ってアッベ数νを求める[1]に記載の組合体。
νd=(nd−1)/(nF−nC)
νC=(nC−1)/(nF−nC)
νF=(nF−1)/(nF−nC)
νg=(ng−1)/(nF−nC)
[6]
前記徐冷係数β値は、d線スペクトル、C線スペクトル、F線スペクトル、およびg線スペクトルにおける徐冷係数であるβd、βC、βF、およびβgを含み、基準屈折率ns値は、d線スペクトル、C線スペクトル、F線スペクトル、およびg線スペクトルにおける基準屈折率であるnd、nC、nFおよびngを含む[1]〜[5]のいずれかに記載の組合体。
[7]
前記表示物は、前記光学ガラス素材の説明書である[1]〜[6]のいずれかに記載の組合体。
[8]
前記光学ガラス素材は、および表示物に表示された物性値は、ガラス製光学素子の製造に用いられる[1]〜[7]のいずれかに記載の組合体。
[9]
前記光学ガラス素材と前記表示物は、一緒にまたは別々にガラス製光学素子の製造者に提供される[8]に記載の組合体。
[10]
前記光学ガラス素材は、ガラス製光学素子の試作用または実機製造用である[8]に記載の組合体。
[11]
ガラス製光学素子の製造は、前記光学ガラス素材からなるプリフォームをプレス成形することで行われる[8]に記載の組合体。
[12]
ガラス製光学素子の試作用光学ガラス素材および表示物に表示された物性値は、ガラス製光学素子の光学設計のために用いられる[10]に記載の組合体。
[13]
徐冷係数β値、および基準屈折率ns値は、それぞれd線、C線、F線およびg線の少なくとも1つの波長における値である[1]に記載の組合体。
[14]
光学ガラス素材を調製する工程(1)、
上記光学ガラス素材の少なくとも徐冷係数β値及び基準屈折率ns値を求める工程(2)、
および
少なくとも前記徐冷係数β値及び基準屈折率ns値を表示した表示物を調製する工程(3)
を含む、
[1]〜[13]のいずれかに記載の組合体の製造方法。
[15]
工程(1)は同一組成の光学ガラス素材について個別に少なくとも1回行われ、前記工程(1)が複数回行われた場合には、工程(2)および(3)は、工程(1)のいずれか1回の工程で得られた光学ガラス素材について実施され、他の回の工程(1)で調製された同一組成の光学ガラス素材についても、上記工程(2)および(3)で得られた表示物を用いる、[14]に記載の製造方法。
[16]
[1]〜[13]のいずれかに記載の組合体を準備する工程(10)、
前記組合体に含まれる光学ガラス素材を用いて、光学素子製造に用いられることが想定されるプレス成形方法および条件にて、光学素子の試作品を調製する工程(11)、光学素子の試作品の屈折率nを求める工程(12)、および求めた屈折率nを用いて光学素子の光学設計を行う工程(13)を含む、光学素子の光学設計の援助方法。
[17]
工程(12)において、さらに光学素子の試作品のアッベ数νを求め、工程(13)において、求めたアッベ数νも用いて光学素子の光学設計を行う、[16]に記載の援助方法。
本発明によれば、所定の情報に基づいて所望の屈折率を有する光学素子の生産が可能となる手段を提供することができる。即ち、β値およびns(基準屈折率)とともにガラス素材を提供することで、光学ガラスを用いた光学素子の生産者が、この光学ガラスの生産者と異なる場合であっても、このガラス素材からユーザー所定の条件で光学素子をプレス成形し、得られた屈折率nから、このガラス素材とユーザー所定の条件で、どの範囲の屈折率を有する光学素子を成形できるか知ることができる。
これまで、光学素子生産者は基準屈折率や基準徐冷速度に関する情報をガラス素材生産者から提供されることはあっても、ガラス素材生産者は徐冷係数を開示しておらず、また、上記プロセスによって所望の屈折率とアッベ数を同時に満たす光学素子の生産方法も知られていなかった。本発明は、基準徐冷速度を定義し、特定種の光学ガラスの基準屈折率、徐冷係数を測定し、そのデータを特定種の光学ガラスの物性値として提供することで、これら所定の情報に基づいて所望の屈折率を有する光学素子の生産が可能となる。
さらに本発明によれば、屈折率に加えて、アッベ数についても、屈折率と同様に、所定の情報に基づいて所望のアッベ数を有する光学素子の生産が可能となる手段を提供する。これにより、光学ガラスを用いた光学素子の生産者が、この光学ガラスの生産者と異なる場合であっても、これら所定の情報に基づいて所望のアッベ数を有する光学素子の生産が可能となる。
図1は、横軸に冷却速度の常用対数をとり、縦軸にnd値をとり、表1に示す測定結果をプロットした結果である。 図2は、横軸に波長(nm)、縦軸に徐冷係数をとり、表2に示すデータをプロットした結果である。
[組合体]
本発明は、光学ガラス素材とこの光学ガラス素材の物性値を表示した表示物とを含む組合体に関する。物性値には、少なくとも徐冷係数β値及び基準屈折率ns値を含む。
特定の組成を有するガラス素材について、基準屈折率をns、基準徐冷速度を1とし、徐冷速度Rでガラスを徐冷したときの屈折率をnとすると、以下の式(A)が成り立つ。
n=ns−β×log10R (A)
上記式におけるβが徐冷係数と呼ばれ、特定の組成を有するガラス素材に特有(固有)の物性値である。
基準屈折率nsは所定の徐冷条件で求めた屈折率と定義でき、所定の徐冷条件とは、例えば、−0.5〜−50℃/時の範囲の徐冷速度で、そのガラス素材からなるサンプル片を(Tg−30℃)以上かつ(Tg+10℃)以下の範囲のいずれかの温度から少なくとも100℃低い温度まで冷却した後に、室温まで戻す(その後の室温までの冷却速度はサンプル片の屈折率に影響を実質的に与えないので任意である)ことを意味し、この条件で得られた上記サンプル片が有する屈折率を基準屈折率nsと定義する。基準屈折率を求める際に用いた冷却速度を基準冷却速度と呼ぶ。所定の徐冷条件における徐冷速度は、−0.5℃/時より遅くすることも理論上は可能であるが、徐冷速度が遅くなると基準屈折率を測定するのに過剰に長い時間を要することになるので、徐冷速度の絶対値の下限は、0.5℃/時とすることが好ましく、1℃/時とすることがより好ましい。また、徐冷速度を−50℃/時を超える速度にすると、ガラス内部の歪が大きくなるなどの問題がある。そのため、徐冷速度の絶対値の上限は、50℃/時とすることが好ましく、40℃/時とすることがより好ましく、35℃/時とすることがさらに好ましい。所定の徐冷条件における徐冷速度は、便宜上は、−1℃/時とすることが好ましく、徐冷速度が−1℃/時の場合に基準徐冷速度は1となり、上記式(A)が成り立つ。徐冷速度が−1℃/時以外の場合には、基準徐冷速度は1より大きいかまたは小さく、所定の係数をかけて調整する必要がある。
上記基準徐冷速度は、個々のガラスについて個別にまたは独立に定義してもよいし、すべての、あるいは一定のグループ内のガラスについて共通する基準徐冷速度を定めてもよい。
徐冷係数βは、冷却速度に対する屈折率の変化量に関するそのガラス素材に特有の物性値である。徐冷係数βは、同一のガラス素材からなるサンプル片について、上記所定冷却条件で徐冷した後の屈折率を少なくとも3つの異なる徐冷速度について測定し、その値から求めることができる。具体的には実施例1に求め方の詳細な例を示した。
本発明の組合体は、徐冷装置が有する実効冷却速度を求めるために用いるためのものであることができる。ここで、前記徐冷装置は、プレス成形して得たガラス製光学素子を徐冷する工程を含むガラス製光学素子の製造方法における上記徐冷工程で用いられるものである。さらに、上記実効冷却速度は、上記徐冷装置で徐冷して得られる、前記組合体に含まれるガラス素材からなるガラス製光学素子の所定波長における屈折率n0、並びに前記基準屈折率nsおよび徐冷係数β値の所定波長におけるそれぞれの値から、以下の式に従って求められる。式中、R0は実効冷却速度であり、Rsは基準徐冷速度であり、Δn=(屈折率n0−基準屈折率ns)であり、βは徐冷係数β値である。
0=Rs/10Δn/β
さらに本発明の組合体は、ガラス製光学素子の屈折率を予測する方法に用いるためのものであることもできる。ここで、前記ガラス製光学素子は、前記組合体に含まれるガラス素材(以下、ガラス素材Bと呼ぶ)をプレス成形して得たガラス製光学素子を徐冷装置において徐冷する工程を含むガラス製光学素子の製造方法において得られるものである。さらに、前記予測方法は、上記徐冷装置が有する実効冷却速度並びに所定波長における前記基準屈折率nsおよび徐冷係数β値から、前記実効冷却速度を求めた徐冷条件と同一の条件で運転される上記徐冷装置で徐冷して得られたガラス製光学素子の前記波長における屈折率n0を以下の式に従って求めることができる。但し、式中、R0は実効冷却速度であり、βは徐冷係数β値である。
n0=ns−β×log100
尚、上記実効冷却速度は、前記ガラス素材Bからなるガラス製光学素子を徐冷した条件と同一の条件で運転される徐冷装置で徐冷して得られる、前記ガラス素材Bとは異なるガラス素材(以下、ガラス素材Aと呼ぶ)をプレス成形して得たガラス製光学素子の所定波長における屈折率n0(A)と、前記ガラス素材Aの前記波長における基準屈折率ns(A)および徐冷係数β(A)から、以下の式に従って求められる。式中、R0は実効冷却速度であり、Rsは基準徐冷速度であり、Δn(A)=(屈折率n0(A)−基準屈折率ns(A))である。
0=Rs/10Δn(A)/β(A)
本発明の組合体は、ガラス製光学素子のアッベ数を予測する方法に用いるためのものであることもできる。上記ガラス素材AおよびBを用いる屈折率を予測する方法により、F線スペクトルにおけるガラスの屈折率nF、およびC線スペクトルにおけるガラスの屈折率nCをそれぞれ求め、d線スペクトルにおけるガラスの屈折率nd、またはg線スペクトルにおけるガラスの屈折率ngを求め、下記式のいずれかに従ってアッベ数νを求めることができる。
νd=(nd−1)/(nF−nC)
νC=(nC−1)/(nF−nC)
νF=(nF−1)/(nF−nC)
νg=(ng−1)/(nF−nC)
前記徐冷係数β値は、d線スペクトル、C線スペクトル、F線スペクトル、およびg線スペクトルにおける徐冷係数であるβd、βC、βF、およびβgを含み、基準屈折率ns値は、d線スペクトル、C線スペクトル、F線スペクトル、およびg線スペクトルにおける基準屈折率であるnd、nC、nFおよびngを含む。
本発明の組合体に含まれるガラス素材は光学ガラスのガラス素材であればよく、特にガラス組成に制限はない。ガラス組成としては、例えば、硼珪酸塩ガラス、リン酸塩ガラス、フツリン酸塩ガラス等を挙げることができる。
また、光学ガラス素材は、表示物に表示された物性値を参照して、ガラス製光学素子の製造に用いられる。ガラス製光学素子の製造は、例えば、光学ガラス素材からなるプリフォームをプレス成形することで行われることができる。光学ガラス素材からなるプリフォームをプレス成形してガラス製光学素子を製造する方法は、精密プレス成形法として従来から広く知られており、従来から知られている方法をそのまま使用できる。
光学ガラス素材は、ガラス製光学素子の試作用または実機製造用であることかできる。光学ガラス素材がガラス製光学素子の試作用として用いられるのは、例えば、カメラ等撮像装置に組み込まれる撮像光学系を構成するレンズやプリズム、あるいは一眼レフカメラの交換レンズに組み込まれる単レンズなどの試作・設計検討などの場合である。また、実機製造用は、ガラスレンズやプリズムの量産を含む。
前記表示物に表示された物性値には、基準アッベ数νs値をさらに含むことができ、かつ基準アッベ数νs値をさらに含むことが好ましい。基準アッベ数νs値は、上記基準屈折率と同様の方法で、屈折率に代えてアッベ数を測定することで得られる。
物性値を表示した表示物は、光学ガラス素材の説明書であることができ、説明書は、パンフレットや仕様書等の書面であることもできるが、電子データであることもでき、電子データはインターネット等の手段によりアクセス可能な状態とすることもできる。表示物に表示された物性値は、光学ガラス素材からガラス製光学素子を製造する際に用いられるものであり、製造前に行われるガラス製光学素子の設計にも用いることができる。例えば、ガラス製光学素子の試作用光学ガラス素材および表示物に表示された物性値は、ガラス製光学素子の光学設計のために用いられることができる。
光学ガラス素材と表示物は、一緒にガラス製光学素子の製造者に提供されるが、光学ガラス素材と表示物は別々にガラス製光学素子の製造者に提供されることもできる。例えば、物性値を表示した表示物が、インターネット等の手段により電子データとして提供されている場合には、光学ガラス素材は、このインターネット上の物性値を表示した表示物が掲載されているサイトのアドレスを含む情報とともに提供されることもできる。
光学ガラス素材の名称(呼び名、品番などガラスを特定するもの)は、上記物性値とともに、上記表示物に表示されることが、ユーザーに対する便宜上、好ましい。
徐冷係数β値、基準屈折率ns値および基準アッベ数νs値は、それぞれd線、C線、F線およびg線の少なくとも1つの波長における値であることができ、好ましくは、d線についての徐冷係数β値、基準屈折率ns値および基準アッベ数νs値に加えて、C線、F線およびg線のうち、少なくとも2つの波長における徐冷係数β値、基準屈折率ns値および基準アッベ数νs値を含むものであることが適当である。
波長587.56nm(d線)におけるガラスの屈折率をnd、波長486.13nm(F線)におけるガラスの屈折率をnF、波長656.27nm(C線)におけるガラスの屈折率をnCと表示すると、アッベ数νdは(1)式で定義される。
νd=(nd−1)/(nF−nC) ・・・(1)
光学ガラスを一定温度に保持した後に定速冷却を施す(以下、徐冷という。)と屈折率はある一定値に収束する。ここで保持温度はガラスによって異なる固有の温度である。また、以下、徐冷の際の冷却速度を徐冷速度と呼ぶことにする。
まず、基準徐冷速度Rsを定め、Rsを徐冷速度の1単位(Rs=1)とする。任意の徐冷速度はRsとの比によって表すものとする。ガラスを基準徐冷速度で徐冷したときの屈折率ndを基準屈折率ndsと定義する。任意の徐冷速度Rで徐冷したときの屈折率ndは(2)式で記述される。
nd=nds−βd×log10R ・・・(2)
ここで、βdはガラスと波長に固有な定数であって、波長587.56nmにおける徐冷係数と呼ぶ。
目的とする光学素子の屈折率ndをnd0とすると、nd0を得るための徐冷速度R0とnd0の関係は、
nd0=nds−βd×log100 ・・・(3)
となる。(2)、(3)式から偏差量Δndは、
Δnd=nd0−nds
=−βd×(log100−log10Rs)
=−βd×log100 ・・・(4)
となる。基準屈折率ndsより屈折率ndをΔndだけシフトさせたい場合、徐冷速度を
0=10(-Δnd/βd) ・・・(5)
とすればよい。
本発明においては、ガラス素材とともに、基準屈折率ndsと徐冷係数βが提供される。そのため、これらの物性値から、上記ガラス素材を用いて所望の屈折率を有するガラス光学素子を得るために適切な徐冷速度を算出することができる。この適切な徐冷速度を算出するには、ガラス素材とともに、基準屈折率ndsと徐冷係数βが提供された、光学素子の生産者において実施可能である。
例えば、−30℃/時を基準徐冷速度Rsとすると、屈折率ndをΔndだけシフトしたい場合は、−30℃/時に上記R0を乗じた徐冷速度で徐冷すればよい。
徐冷係数は屈折率と同じように波長によって異なる値をとる。そこで、d線スペクトルにおける屈折率をnd、C線スペクトルにおける屈折率をnC、F線スペクトルにおける屈折率をnF、g線スペクトルにおける屈折率をngと書くように、徐冷係数もβd、βC、βF、βgと書くと、以下の関係が成り立つ。なお、g線の波長は、435.83nmである。
nd=nds−βd×log10
nC=nCs−βC×log10
nF=nFs−βF×log10
ng=ngs−βg×log10
光学素子の生産者である光学素子メーカーは、βd、βC、βF、βgの少なくとも1つ、基準屈折率nds、nCs、nFs、ngsの少なくとも1つ(ただし、徐冷係数と基準屈折率とは同一波長におけるものとする。)、および基準徐冷速度から、光学素子メーカー内のプロセスにおける徐冷速度を用いて所望の屈折率(実際には、所望の屈折率に加えて、所望のアッベ数も考慮されるのが一般的である)の光学素子を得るためのガラス素材が備えるべき基準屈折率nds、nCs、nFs、ngsの少なくとも1つを算出し、その結果に基づき基準屈折率の調整を、ガラス素材の生産者であるガラス素材メーカーにフィードバックすることもできる。一方、ガラス素材メーカーは、光学素子の生産者からフィードバックされた情報に基づいてガラス組成をガラス素材が備えるべき基準屈折率を有するガラスに調整(微調整)し、このガラス組成を微調整したガラス素材を光学素子メーカーに提供し、光学素子メーカーはこの素材を使って目的の光学素子を生産することができる。
撮像光学系、投射光学系など複数の光学素子を組合わせ、色収差などを補正する光学系を設計する場合、使用する光学ガラスの屈折率とともにアッベ数も勘案しなければならない。
アッベ数νdを例にとると、前述のようにνdは、
νd=(nd−1)/(nF−nC) ・・・(1)
と表される。
ガラスの熱履歴の変化によって、屈折率ndだけでなく屈折率nC、nFも僅かに変化するため、所望のndを得つつ、νdも所望の値にすることは困難である。その理由は、徐冷速度の制御だけではndを所望の値にしても、nCやnFが所望の値にはならず、結果としてνdも所望の値から外れてしまうためである。
前述の特許文献1、2は所望の徐冷速度に対して所望の屈折率が得られるようにガラス組成を調整することを開示しているものの、多波長における各屈折率を精密に制御したり、アッベ数を制御する手法については開示していない。
徐冷速度によって、アッベ数νdがどのように変化するかをより詳細に説明する。
基準徐冷速度で徐冷したときの屈折率nC、nFをそれぞれ基準屈折率nCs、nFsとすると、基準アッベ数νdsは、
νds=(nds−1)/(nFs−nCs) ・・・(6)
となる。
また、徐冷速度をR0として徐冷した場合の屈折率nC、nF、アッベ数νdをそれぞれnC0、nF0、νd0とすると、
νd0=(nd0−1)/(nF0−nC0) ・・・(7)
となる。
nC0、nF0について徐冷速度R0との関係を示すと、
nC0=nCs−βC×log100 ・・・(8)
nF0=nFs−βF×log100 ・・・(9)
となる。
βCは波長656.27nmにおける徐冷係数、βFは波長486.13nmにおける徐冷係数であり、βC、βFともβdと同様、ガラスに固有な定数であって、厳密には互いに異なる数値をとるが、数値の表示桁数によっては、同じ値になる場合もある。
基準屈折率nCs、nFsに対するnC0、nF0の各偏差量は、
ΔnC=−βC×log100 ・・・(10)
ΔnF=−βF×log100 ・・・(11)
となる。(4)式、(10)、(11)式から、
ΔnC=Δnd×βC/βd ・・・(12)
ΔnF=Δnd×βF/βd ・・・(13)
となる。
nd0=nds+Δnd ・・・(14)
nC0=nCs+ΔnC ・・・(15)
nF0=nFs+ΔnF ・・・(16)
と(7)式、(12)式、(13)式より、
νd0=(nd0−1)/(nF0−nC0)
=(nds+Δnd−1)/((nFs+ΔnF)−(nCs+ΔnC))
=(nds+Δnd−1)/((nFs−nCs)+(ΔnF−ΔnC))
=(nds+Δnd−1)/((nFs−nCs)+Δnd×(βF−βC)/βd)
・・・(17)
となる。
(βF−βC)/βd=K ・・・(18)
とおき、(17)式の右辺の分母、分子をそれぞれnFs−nCsで除すと、
νd0=[{(nds−1)+Δnd}/(nFs−nCs)}]/[1+{Δnd×K/(nFs−nCs)}]
=[νds+{Δnd/(nFs−nCs)}]/[1+{Δnd×K/(nFs−nCs)}]
・・・(19)
(19)式の右辺の分母、分子のそれぞれに1−{Δnd×K/(nFs−nCs)}を乗じると、
νd0=[νds+(1−K×νds)×a−K×a2]/[1−K2×a2
・・・(20)
となる。ただし、
a=Δnd/(nFs−nCs) ・・・(21)
と置いた。
ここで、a<<1であるから、(20)式は、
νd0≒νds+(1−K×νds)×a
=νds+(1−K×νds)×Δnd/(nFs−nCs)・・(22)
となる。
アッベ数νdの偏差量Δνdは、
Δνd=νd0−νds
≒(1−K×νds)×Δnd/(nFs−nCs) ・・・(23)
となる。
nFs、nCs、νds、Kは固有の値であるから、(23)式でνd0を調整可能にするパラメータはΔndのみである。したがって、Δndが定まるとΔνdも一義的に定まり、Δνdを調整するための自由度はない。
つまり、横軸をΔνd、縦軸をΔndとしたΔνd−Δnd平面において、特定のガラスに関する座標(Δνd,Δnd)は、徐冷速度を変化させることにより近似的に直線上を動き、直線から外れることはない。
nd、νdを同時に所望値に調整するには、例えば、次のようにすればよい。
Figure 2010248058
上記プロセスにおいて、(A)〜(C)、(F)は光学素子の生産者が行い、(D)、(E)はガラス素材の生産者が行うことができる。さらに、光学素子の生産者が(B)、(C)を行うためには、ガラス素材の生産者から基準屈折率(例えば、アッベ数の算出に使用する異なる3波長における基準屈折率)、基準徐冷速度に関するデータを与えられるだけでは不十分であり、加えて徐冷係数(例えば、上記3波長における各徐冷係数)に関するデータを知得することでΔnd、Δνdを算出することが可能となり、Δnd、Δνdを同時に調整することが可能となる。
本発明では、基準屈折率、徐冷係数は、複数の波長における値のセットとすることが、アッベ数などの光学特性を所望の値に合わせる上から望ましい。具体的には、d線についての徐冷係数β値、基準屈折率ns値および基準アッベ数νs値に加えて、C線、F線およびg線の少なくとも2つの波長における徐冷係数β値、基準屈折率ns値および基準アッベ数νs値を含むものであることが、Δnd、Δνdを同時に調整することが可能となるという観点から好ましい。
さらに、上記波長はd線、C線、F線、g線の各スペクトル線の波長に対応する物性値に加えて、この他の波長に関する基準屈折率、徐冷係数および基準アッベ数を提供してもよい。これにより光学素子の生産者が必要とする波長の屈折率の挙動を把握することができるため、所望の光学性能を得ることができる。
物性値としてg線についての徐冷係数β値、基準屈折率ns値および基準アッベ数νs値を提供することで以下の利点もある。
屈折率ngに高い精度が要求される背景について
ここ数年来、カメラなどの光学機器の業界では高精度化、高精細化、コンパクト化が進んでいる。高精度化、高精細化、コンパクト化の要求に対応するため光学系において収差を無くすあるいは極力低減する必要がある。実際に製造された光学素子の屈折率が設計時の屈折率と乖離すると、所望の光学性能が得られないおそれが生じる。光学ガラスの屈折率、分散は、短波長域になればなるほど急激に変化する傾向を示す。そのため光学素子を製造する上で屈折率ndや、アッベ数νdを構成するnd、nC、nFのみならず、より短波長域にある屈折率ngもコントロールする必要がある。
さらに撮像装置において、画像の良好なカラーバランスを得る上で、可視域の短波長光についてもイメージセンサーの受光面に入射する光量を十分確保することが望まれ、そのために短波長光についても光学系の設計を最適化する必要が生じてきている。こうした点からも屈折率ngがコントロールされた光学素子あるいは光学素子の材料となる光学ガラス素材が必要とされている。
光学素子を製造する上でnC、nd、nF、ngの挙動を管理するために冷却速度に対するnC、nd、nF、ngの変化量を徐冷係数βC、βd、βF、βgを用いることにより算出することができる。
[組合体の製造方法]
本発明は、上記本発明の組合体の製造方法も包含する。この製造方法は、以下の工程(1)〜(3)を含む。
工程(1)
工程(1)は、光学ガラス素材を調製する工程である。光学ガラス素材は、既存の方法で、ガラス原料から調製できる。さらに、光学ガラス素材は、プリフォーム等の特定の形状を有するものであることもできる。また、光学ガラス素材には、物性値を表示する表示物に含められる、名称や品番等を適宜付与できる。
工程(2)
工程(2)は、上記光学ガラス素材の少なくとも徐冷係数β値及び基準屈折率ns値を求める工程であり、好ましくは基準アッベ数νs値も求める。徐冷係数β値、基準屈折率ns値および基準アッベ数νs値の求め方は、前述の組合体の説明で記載した通りである。
工程(3)
工程(3)は、少なくとも前記徐冷係数β値及び基準屈折率ns値を表示した表示物を調製する工程であり、好ましくは基準アッベ数νs値も前記表示物に含める。表示物の種類等については、前述の組合体の説明で記載した通りである。
工程(1)は同一組成の光学ガラス素材について個別に少なくとも1回行われる。工程(1)が複数回行われる場合には、工程(2)および(3)は、工程(1)のいずれか1回の工程で得られた光学ガラス素材について実施されればよく、他の回の工程(1)で調製された同一組成の光学ガラス素材については、上記1回実施された工程(2)および(3)で得られた表示物を用いることができる。
[光学素子の光学設計の援助方法]
本発明は、光学素子の光学設計の援助方法にも関する。
本発明の光学素子の光学設計の援助方法は、以下の工程(10)〜(13)を含む。
工程(10)
工程(10)は、本発明の組合体を準備する工程である。本発明の組合体の準備は、上記本発明の製造方法により行うことができる。
工程(11)
工程(11)は、前記組合体に含まれる光学ガラス素材を用いて、光学素子製造に用いられることが想定されるプレス成形方法および条件にて、光学素子の試作品を調製する工程である。光学素子の試作品の調製は、例えば、以下の方法で実施できる。但し、以下に示す方法は例示にすぎない。
光学ガラスを加工して精密プレス成形用プリフォームを作製する。このプリフォームを加熱し、プレス成形型を用いて精密プレス成形する。得られた光学素子を試作品とする。
工程(12)
工程(12)は、工程(11)で得られた光学素子の試作品の屈折率nを求める工程である。試作品の屈折率nは以下のように求めることができる。
例えば、日本光学硝子工業会規格JOGISの「光学ガラスの屈折率の測定方法」に従い、試作品を上記規格で定められたプリズム形状に加工し、上記規格に定められた方法により、d線、C線、F線、g線の各波長における屈折率を測定する。なお、試作品の大きさによっては、上記規格に定められる大きさのプリズムに加工できない場合もあるが、その場合は、所望の精度で屈折率測定が可能な範囲でプリズムの大きさを小さくしてもよい。あるいは、試作品と同じ光学ガラスを用いて作製したプリズムを試作品と同じ熱処理条件で処理し(例えば、試作品と同じ徐冷条件で徐冷し)、処理後のプリズムを用いて上記規格に基づき、各波長における屈折率を測定し、その結果を試作品の屈折率としてもよい。
工程(13)
工程(13)は、求めた屈折率nを用いて光学素子の光学設計を行う工程である。光学素子の光学設計は以下のように実施できる。但し、以下に示す方法は例示にすぎない。まず、上記各波長における基準屈折率とこれら基準屈折率から導かれるアッベ数に基づき、光学性能、例えば、各波長におけるレンズのパワーなどが所要の性能になるよう周知の方法を用いてレンズの形状を設計する。例えば、レンズの2つの光学機能面の形状などを設計する。こうして設計したレンズの屈折率を、工程(12)によって得た屈折率に置き換え、レンズの光学性能が所要の性能になるよう、上記周知の方法を用いてレンズの形状、各部の寸法を調整して最終的なレンズの形状、各部寸法などの仕様を定める。
本発明のレンズの光学設計の援助方法における工程(12)においては、さらに光学素子の試作品のアッベ数νを求め、工程(13)において、求めたアッベ数νも用いて光学素子の光学設計を行うことが好ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
実施例1 徐冷係数β値の算出方法について
ガラスAを長さ30mm×幅20mm×厚さ15mmの大きさに3個加工して試験片とする。
3個のガラスAの試験片を、ガラス転移温度以上に加熱した後、それぞれ-1℃/時、-3℃/時、-10℃/時の冷却速度で冷却し、室温まで降温した後、屈折率を測定した。表1に各冷却速度における波長587.56nmにおける屈折率ndの測定値を示す。
Figure 2010248058
横軸に冷却速度の常用対数をとり、縦軸にnd値をとり、表1に示す測定結果をプロットすると各点は、図1に示すように直線上にある。
基準徐冷速度をRs、基準屈折率nds、徐冷速度R0で徐冷したときの屈折率nd0は、
nd0=nds−βd×log10(R0/Rs) ・・・(A)
となるから、図1における直線が(A)式となるように最小二乗法によりフィッティングすると、
βdは、129.2×10-5と求まる。
同様な方法で測定した各波長の徐冷係数を表2に示す。
Figure 2010248058
各波長における徐冷係数は、表2に示す値で十分な精度を有するが、以下のようにして精度を向上することもできる。
図2は、横軸に波長(nm)、縦軸に徐冷係数をとり、表2に示すデータをプロットしたものである。
図2では、徐冷係数と波長の関係を直線で近似してある。各プロットのデータを用いて最小二乗法により上記直線をフィッティングすると、
徐冷係数 = (0.0107nm-1×波長[nm]+ 123.03)×10-5
となる。上式にC線、d線、F線、g線の各波長を代入し、各波長における徐冷係数βC、βd、βF、βgを算出した。算出結果を表3に示す。
Figure 2010248058
表3
このようにしてガラスAの徐冷係数を求めた。
尚、図1の結果から求めた表2に示す徐冷係数および図2の結果から求めた表3に示す徐冷係数のいずれの徐冷係数も本発明の目的において使用することができる。但し、測定誤差を極力排除する上から表3の徐冷係数β値の使用を推奨するが、表2の徐冷係数β値も使用することができる。
なお、冷却速度−1℃/時のnCは1.69141、nFは1.70444、ngは1.71158である。
基準徐冷速度を−1℃/時とし、上記のように求めた各波長における基準屈折率および徐冷係数、ならびに前記基準徐冷速度を表示した仕様書と、ガラスAからなる複数個の素材によって構成されるガラス素材ロットに添えて、光学素子生産部門に送った。
なお、上記ガラス素材ロットを、ガラスAからなる素材であることが分かるようにガラスの名称(例えばガラスA)を表示した箱に収容して光学素子生産部門に送り、箱とは別に各波長における基準屈折率および徐冷係数、ならびに基準徐冷速度をガラスの名称とともに表示した仕様書を光学素子生産部門に送ってもよいし、前記表示内容を電子メールなどの電気通信回路を用いた通信手段で光学素子生産部門に送ってもよい。また、各波長における基準屈折率および徐冷係数、ならびに基準徐冷速度をガラスの名称とともにインターネット上のwebサイトに掲示してもよい。上記各例において、仕様書、電子メール、webサイトが表示物に相当する。
実施例2
まず、屈折率nCが1.68751、ndが1.69150、nFが1.70063、ngが1.70778のガラスからなる所要の光学性能を有する非球面レンズを周知の光学設計法により設計する。非球面レンズの各波長におけるアッベ数は、
νd=(nd−1)/(nF−nC)
νC=(nC−1)/(nF−nC)
νF=(nF−1)/(nF−nC)
νg=(ng−1)/(nF−nC)
から、νdが52.7、νCが52.4、νFが53.4、νgが53.9となる。
次に、上記非球面レンズを生産するプロセスである、光学ガラスからなるプリフォームを精密プレス成形し、徐冷して非球面レンズを作製する光学素子生産プロセスにおいて使用する徐冷装置の実効冷却速度を、ガラスAを用いて調べたところ、実効冷却速度は−100℃/時(R0=100)であった。なお、実効冷却速度を調べるためのガラスは、これから生産しようとする光学素子の体積と同等の体積を有するものとすることが好ましく、形状面からも同等のものを使用することが望ましい。
実施例1において光学素子生産部門に送られた表示物に表示されたガラスAの基準冷却速度、各波長における基準屈折率および徐冷係数を用いて、実効冷却速度が−100℃/時(R0=100)のときの各波長における屈折率nd0、nC0、nF0、ng0を算出すると、nd0は1.69278、nC0は1.68881、nF0は1.70188、ng0は1.70903となる。
次に、上記実効冷却速度で徐冷した後の屈折率の値から、当初の光学素子の設計で使用した屈折率の値を引くと、
nd0−nd(設計値)=1.69278−1.69150=128×10-5
nC0−nC(設計値)=1.68881−1.68751=130×10-5
nF0−nF(設計値)=1.70188−1.70063=125×10-5
ng0−ng(設計値)=1.70903−1.70778=125×10-5
となる。
また、nd0、nC0、nF0、ng0から実効冷却速度−100℃/時(R0=100)におけるアッベ数νd0、νC0、νF0、νg0を算出すると、νd0が53.0、νC0が52.7、νF0が53.7、νg0が54.2となる。そして、屈折率と同様に、上記実効冷却速度で徐冷した後のアッベ数の値から、当初の光学設計で使用したアッベ数の値を引くと、
νd0−νd(設計値)=53.0−52.7=0.3
νC0−νC(設計値)=52.7−52.4=0.3
νF0−νF(設計値)=53.7−53.4=0.3
νg0−νg(設計値)=54.2−53.9=0.3
となる。
以上の計算結果から、上記光学素子生産プロセスで作製する非球面レンズの屈折率と当初の光学設計で使用した屈折率との差異、ならびに上記光学素子生産プロセスで作製する非球面レンズのアッベ数と当初の光学設計で使用したアッベ数との差異を考慮してレンズ形状を再度、周知の光学設計法を用いて、上記光学素子生産プロセスにより所望の光学性能を有する非球面レンズを設計した。
そして、ガラスAからなるガラス素材を用いて上記光学素子生産プロセスにより、再設計した非球面レンズを作製し、所望の光学性能を有する非球面レンズを得ることができた。なお、上記例は非球面レンズに関するものであるが、プリズム、マイクロレンズ、レンズアレイなどのその他光学素子の生産にも適用することができる。
本発明は、ガラス光学素子の製造分野において有用である。

Claims (17)

  1. 光学ガラス素材とこの光学ガラス素材の徐冷係数β値及び基準屈折率ns値を含む物性値を表示した表示物とを含む組合体。
  2. 前記組合体は、徐冷装置が有する実効冷却速度を求めるために用いるためのものであり、
    前記徐冷装置は、プレス成形して得たガラス製光学素子を徐冷する工程を含むガラス製光学素子の製造方法における上記徐冷工程で用いられるものであり、
    上記実効冷却速度は、上記徐冷装置で徐冷して得られる、前記組合体に含まれるガラス素材からなるガラス製光学素子の所定波長における屈折率n0、並びに前記基準屈折率nsおよび徐冷係数β値の所定波長におけるそれぞれの値から、以下の式に従って求められる(式中、R0は実効冷却速度であり、Rsは基準徐冷速度であり、Δn=(屈折率n0−基準屈折率ns)であり、βは徐冷係数β値である)請求項1に記載の組合体。
    0=Rs/10Δn/β
  3. 前記組合体は、
    ガラス製光学素子の屈折率を予測する方法に用いるためのものであって、
    前記ガラス製光学素子は、前記組合体に含まれるガラス素材(以下、ガラス素材Bと呼ぶ)をプレス成形して得たガラス製光学素子を徐冷装置において徐冷する工程を含むガラス製光学素子の製造方法において得られるものであり、
    前記予測方法は、
    上記徐冷装置が有する実効冷却速度並びに所定波長における前記基準屈折率nsおよび徐冷係数β値から、前記実効冷却速度を求めた徐冷条件と同一の条件で運転される上記徐冷装置で徐冷して得られたガラス製光学素子の前記波長における屈折率n0を以下の式に従って求める工程を含む(式中、R0は実効冷却速度であり、βは徐冷係数β値である)請求項1に記載の組合体。
    n0=ns−β×log100
  4. 前記実効冷却速度は、前記ガラス素材Bからなるガラス製光学素子を徐冷した条件と同一の条件で運転される徐冷装置で徐冷して得られる、前記ガラス素材Bとは異なるガラス素材(以下、ガラス素材Aと呼ぶ)をプレス成形して得たガラス製光学素子の所定波長における屈折率n0(A)と、前記ガラス素材Aの前記波長における基準屈折率ns(A)および徐冷係数β(A)から、以下の式に従って求められる(式中、R0は実効冷却速度であり、Rsは基準徐冷速度であり、Δn(A)=(屈折率n0(A)−基準屈折率ns(A))である)請求項3に記載の組合体。
    0=Rs/10Δn(A)/β(A)
  5. 前記組合体は、
    ガラス製光学素子のアッベ数を予測する方法に用いるためのものであって、
    請求項3または4に記載の屈折率を予測する方法により、F線スペクトルにおけるガラスの屈折率nF、およびC線スペクトルにおけるガラスの屈折率nCをそれぞれ求め、d線スペクトルにおけるガラスの屈折率nd、またはg線スペクトルにおけるガラスの屈折率ngを求め、下記式のいずれかに従ってアッベ数νを求める請求項1に記載の組合体。
    νd=(nd−1)/(nF−nC)
    νC=(nC−1)/(nF−nC)
    νF=(nF−1)/(nF−nC)
    νg=(ng−1)/(nF−nC)
  6. 前記徐冷係数β値は、d線スペクトル、C線スペクトル、F線スペクトル、およびg線スペクトルにおける徐冷係数であるβd、βC、βF、およびβgを含み、基準屈折率ns値は、d線スペクトル、C線スペクトル、F線スペクトル、およびg線スペクトルにおける基準屈折率であるnd、nC、nFおよびngを含む請求項1〜5のいずれかに記載の組合体。
  7. 前記表示物は、前記光学ガラス素材の説明書である請求項1〜6のいずれかに記載の組合体。
  8. 前記光学ガラス素材および表示物に表示された物性値は、ガラス製光学素子の製造に用いられる請求項1〜7のいずれかに記載の組合体。
  9. 前記光学ガラス素材と前記表示物は、一緒にまたは別々にガラス製光学素子の製造者に提供される請求項8に記載の組合体。
  10. 前記光学ガラス素材は、ガラス製光学素子の試作用または実機製造用である請求項8に記載の組合体。
  11. ガラス製光学素子の製造は、前記光学ガラス素材からなるプリフォームをプレス成形することで行われる請求項8に記載の組合体。
  12. ガラス製光学素子の試作用光学ガラス素材および表示物に表示された物性値は、ガラス製光学素子の光学設計のために用いられる請求項10に記載の組合体。
  13. 徐冷係数β値、および基準屈折率ns値は、それぞれd線、C線、F線およびg線の少なくとも1つの波長における値である請求項1に記載の組合体。
  14. 光学ガラス素材を調製する工程(1)、
    上記光学ガラス素材の少なくとも徐冷係数β値及び基準屈折率ns値を求める工程(2)、
    および
    少なくとも前記徐冷係数β値及び基準屈折率ns値を表示した表示物を調製する工程(3)
    を含む、
    請求項1〜13のいずれかに記載の組合体の製造方法。
  15. 工程(1)は同一組成の光学ガラス素材について個別に少なくとも1回行われ、前記工程(1)が複数回行われた場合には、工程(2)および(3)は、工程(1)のいずれか1回の工程で得られた光学ガラス素材について実施され、他の回の工程(1)で調製された同一組成の光学ガラス素材についても、上記工程(2)および(3)で得られた表示物を用いる、請求項14に記載の製造方法。
  16. 請求項1〜13のいずれかに記載の組合体を準備する工程(10)、
    前記組合体に含まれる光学ガラス素材を用いて、光学素子製造に用いられることが想定されるプレス成形方法および条件にて、光学素子の試作品を調製する工程(11)、
    光学素子の試作品の屈折率nを求める工程(12)、および
    求めた屈折率nを用いて光学素子の光学設計を行う工程(13)
    を含む、光学素子の光学設計の援助方法。
  17. 工程(12)において、さらに光学素子の試作品のアッベ数νを求め、工程(13)において、求めたアッベ数νも用いて光学素子の光学設計を行う、請求項16に記載の援助方法。
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