JP2010247631A - 車両の制御装置 - Google Patents

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Atsushi Tamura
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Abstract

【課題】 操舵に対する逆ロールの応答性を確保でき、制動力を向上させることができる車両の制御装置を提供すること。
【解決手段】 旋回方向内側への横移動の反力、あるいは車体の逆ロールによって、車両が受ける反力ロールモーメントを算出する反力ロールモーメント算出部104と、反力ロールモーメントを抑制する平面運動アクチュエータ部108の平面運動制御量目標値を設定する平面運動制御量目標値算出部105と、算出した平面運動制御量目標値に基づいて、平面運動アクチュエータ部108を制御する平面運動制御部106を備えた。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両の制御装置に関するものである。
従来では、アクティブサスペンション装置によって車両の姿勢を逆ロール状態に制御し、操舵開始直後のヨー応答を優先して、逆ロールモードに移行するタイミングを遅延させる構成となっている。
特開平3−189221号公報
しかしながら、上記従来技術では、逆ロールに移行するタイミングを遅延させる構成となっているが、例えば、高い重心位置を持つ車両等が急旋回した場合には、内輪荷重を失うことによって十分な制動力を得られないおそれがある。
本発明は、上記問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、操舵に対する逆ロールの応答性を確保でき、制動力を向上させることができる車両の制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明では、車体姿勢を横方向に重心移動可能で、前輪アクティブ操舵又は後輪アクティブ操舵の車両において、車体姿勢を旋回内側に重心移動させる際に、横移動の反力による反力ロールモーメントを算出し、これを打ち消すような操舵量を算出することを特徴とする。
よって、本発明にあっては、旋回の際の重心移動に対して、横移動の反力による反力ロールモーメントを打ち消す操舵量を算出し、前輪アクティブ操舵又は後輪アクティブ操舵を行い、操舵に対する逆ロールの応答性を確保でき、制動力を向上させることができる。
実施例1の車両の制御装置のシステム構成を示す説明図である。 実施例1の車両の概略平面図である。 実施例1の車両の後方視の概略背面図である。 実施例1の車両の制御装置の処理の流れを制御構成ともに示した制御フロー図である。 車体ロール制御量目標値の定常ゲインの設定例を示すグラフ図である。 車体ロール制御量目標値のカットオフ周波数の設定例を示すグラフ図である。 実施例1における緊急回避相当の操舵入力に対する操舵角、ロール量、後輪転舵量、輪荷重移動率を、後輪操舵制御を行わないもの、逆ロールモードにするタイミングを遅延させるものと比較したグラフ図である。 実施例2の車両の概略平面図である。 実施例1の車両の後方視の概略背面図である。 実施例2のロール回転動作の説明図である。 実施例2の車両の制御装置の処理の流れを制御構成ともに示した制御フロー図である。 実施例3の車両の制御装置の処理の流れを制御構成ともに示した制御フロー図である。 (J)車体横加速度の閾値判定処理の流れを示すフローチャートである。
以下、本発明の車両の制御装置を実現する実施の形態を説明する。
まず、構成を説明する。
図1に示すのは、実施例1の車両の制御装置のシステム構成を示す説明図である。図2は実施例1の車両の概略平面図である。図3は実施例1の車両の後方視の概略背面図である。
実施例1の車両の制御装置は、車両状態検出部101、車体ロール制御量目標値算出部102、車体ロール制御部103、反力ロールモーメント算出部104、平面運動制御量目標値算出部105、平面運動制御部106、車体ロールアクチュエータ部107、平面運動アクチュエータ部108を備えている。
車両状態検出部101は、車両の走行状態、ドライバーの操作量を検出する。図2、図3に示す具体例では、車両状態検出部101をハンドル操舵角センサ1a、車輪速度センサ1b、ヨーレート・前後加速度・横加速度センサ1c、ショックアブソーバストロークセンサ1d、後輪転舵角センサ1eで構成している。
ハンドル操舵角センサ1aは、ハンドルから前輪への操舵系131(機械式前輪操舵機構に相当する)において、操舵角を検出する。前輪の操舵系131は、具体的には図2、図3に示すようにハンドルの操作による回転を機構で伝達、増幅させて前輪の左右のタイロッドを動作させるものである。
車輪速度センサ1bは、各車輪(FR,FL,RL,RR)の車輪速を検出する。なお、この車輪速は例えば4輪の平均化等により車速として用いられる。
ヨーレート・前後加速度・横加速度センサ1c(横加速度検出手段に相当する)は、それぞれ車両のヨーレート、前後方向の加速度、横方向の加速度を検出する。
ショックアブソーバストロークセンサ1dは、電磁モータ駆動ショックアブソーバ3aの電磁モータ内部に設けられ、電磁モータで可変させるショックアブソーバのストローク量を検出する。
後輪転舵角センサ1eは、後輪操舵制御用モータ4aにより駆動される量を後輪RL,RRの転舵角の変更量として検出する。
なお、これらの各センサの検出センサ信号は、コントローラ2へ送られる。
車体ロール制御量目標値算出部102(車体横移動制御手段及び車体ロール制御手段に相当する)は、車両状態に応じて車体のロール方向の姿勢の制御目標値を設定する。
反力ロールモーメント算出部104(反力ロールモーメント算出手段に相当する)は、車体のロールもしくは横移動によってばね下が受ける反力ロールモーメントを算出する。
平面運動制御量目標値算出部105(平面運動制御量目標値算出手段に相当する)は、平面運動制御部106の制御目標値を設定する。
車体ロール制御部103(車体横移動制御手段及び車体ロール制御手段に相当する)は、目標値に従って車体のロール方向の姿勢をアクチュエータ(電磁モータ駆動ショックアブソーバ3aの電磁モータ)で制御する指令値を演算し、モータ用サーボドライバ3bへ出力する制御部である。また、言い換えると、目標値に従って車体重心の左右並進方向の位置を車輪に対してアクチュエータで制御する指令値を演算し、モータ用サーボドライバ3bへ出力する制御部である。
平面運動制御部106(平面運動制御手段に相当する)は、目標値に従って後輪舵角をアクチュエータで制御する指令値を演算し、モータ用サーボドライバ4bする制御部である。
そして、車体ロール制御量目標値算出部102、反力ロールモーメント算出部104、平面運動制御量目標値算出部105、車体ロール制御部103、平面運動制御部106は、図2、図3で示す具体的構成においては、コントローラ2に構成される。コントローラ2は、各センサの検出センサ信号から、各アクチュエータへの制御量の目標値が決定される。コントローラ内部における制御の具体構成及び内容は後述する。
車体ロールアクチュエータ部107(車体横移動アクチュエータ及び車体ロールアクチュエータに相当する)は、車体のロール方向の姿勢をアクチュエータの作動で変更する。
車体ロールアクチュエータ部107は、図2、図3で示す具体的構成では、電磁モータ駆動ショックアブソーバ3a、モータ用サーボドライバ3b、モータ用バッテリ3cで構成される。
電磁モータ駆動ショックアブソーバ3aは、車体110にサスペンション装置120として設けられる。サスペンション装置120は、車体110の4輪FR,FL,RL,RRをそれぞれ車体110に対してバウンド・リバウンド可能に懸架する。
各サスペンション装置120は、アッパーアーム121、ロアアーム122、電磁モータ駆動ショックアブソーバ3aからなる。電磁モータ駆動ショックアブソーバ3aは、車輪側取り付け点となる下端をロアアーム122に連結し、上端を車体110に連結する。
電磁モータ駆動ショックアブソーバ3aは、電磁モータの駆動によりショックアブソーバのストロークを変更するものである。電磁モータ駆動ショックアブソーバ3aの電磁モータは、コントローラ2からの駆動指令値が入力されたモータ用サーボドライバ3bにより駆動制御される。電磁モータの駆動電源としてモータ用バッテリ3cが使用される。
例えば、図3の車両背面視した図の矢印に示すように、車両左側ではリニア電磁モータがショックアブソーバ長を延ばす方向にストロークさせ、車両右側では縮める方向にストロークさせると、車体を右側方向にロールさせることができる(図3の点線参照)
このようにして車体を左右いずれかに傾けることができるので、その結果車両の左右方向重心位置を移動することが可能となる。
平面運動アクチュエータ部108(平面運動アクチュエータに相当する)は、後輪舵角をアクチュエータで変更する。
平面運動アクチュエータ部108は、図2、図3で示す具体的構成では、後輪操舵制御用モータ4a、モータ用サーボドライバ4b、モータ用バッテリ4c、可動コネクティングロッド4dで構成される。(なお、4a,4d,123が後輪操舵制御機構に相当する)
左右の後輪RL,RRのタイロッド123は、可動コネクティングロッド4dで連結される。そして、後輪操舵制御用モータ4aにより、可動コネクティングロッド4dが左右にストロークし、後輪の転舵角が変更される構成である。後輪操舵制御用モータ4aは、コントローラ2からの駆動指令値が入力されたモータ用サーボドライバ4bにより駆動制御される。後輪操舵制御用モータ4aの駆動電源としてモータ用バッテリ4cが使用される。
なお、実施例1では、平面運動アクチュエータ部108として後輪舵角のみをアクチュエータで制御する装置を想定しているが、例えば前輪舵角と後輪舵角と左右輪制駆動力差のうち少なくとも1つ以上をアクチュエータで制御可能な構成となっていれば、同様に本発明の制御装置の方法を適用することが可能である。
次に、実施例1の車両の制御装置のコントローラ2における処理の内容について説明する。
図4は実施例1の車両の制御装置の処理の流れを制御構成ともに示した制御フロー図で、以下各処理について説明する。
実施例1では、車体ロール制御・平面運動制御が開始されると、まず車両状態検出部101が、車両状態の検出(101a)を行う。この検出結果は、コントローラ2へ送られることにより、車体ロール制御量目標値算出部102、車体ロール制御部103及び反力ロールモーメント算出部104へ入力される。
車体ロール制御量目標値算出部102では、(A)車体速度の算出処理と(B)車体ロール制御量目標値の算出処理を行う。
(A)車体速度の算出処理
この処理において車体ロール制御量目標値算出部102は、車輪速度センサ1bで検出した車輪速度検出値から、車体速度を算出する。例えば、4輪車輪速度の平均値を車体速度としても良いし、非駆動輪の車輪速度の平均値を車体速度としても良い。ここでは、車輪速度から車体速度を算出する方法を採用しているが、例えば車輪速度に加えて車体前後加速度による補正をもって、車体速度を求めても良い。
(B)車体ロール制御量目標値の算出処理
図5は車体ロール制御量目標値の定常ゲインの設定例を示すグラフ図である。図6は車体ロール制御量目標値のカットオフ周波数の設定例を示すグラフ図である。
この処理において車体ロール制御量目標値算出部102は、(A)の処理で算出された車体速度とハンドル操舵角センサ1aで検出した操舵角から、車体ロール制御量目標値を算出する。
本実施例1では、高い操舵周波数の場合における車両の左右輪荷重の偏りの抑制やロール回転アクチュエータへの負荷軽減の観点から、操舵角に対するロール角目標値φの特性を次式で表される1次のローパスフィルタの形で想定する。
(数1)
φ(s)/θ(s)=KφQδf0(V)/{1+(s/2πf(V))}
そして、例えば定常ゲインKφQδf0(V)を図5に示すように、カットオフ周波数f(V)を図6に示すように、それぞれ車速に応じて可変に設定することとする。
車体ロール制御量目標値算出部102により車体ロール制御量目標値を算出すると、次に車体ロール制御部103により(C)モータ駆動トルク指令値の算出処理が実行される。
(C)モータ駆動トルク指令値の算出処理
(B)で算出した車体ロール制御量目標値と、実際のロール量検出値の偏差に応じて、電磁モータ駆動ショックアブソーバ3aのモータ駆動トルク指令値を算出する。なお、実際のロール量は、後述する(D)から得るようにしても、(C)において、左右輪のショックアブソーバストロークセンサ1dの検出値とトレッド値から算出してもよい。
必要なモータ駆動トルクの値は、車両横加速度や車両ヨーレートなどの車両状態量に応じて変化する。よって、目標値と実際の検出値の偏差に応じた駆動トルクと、車両状態量を考慮した補正トルクとをあわせて、モータ駆動トルク指令値を決定する。
車体ロール制御部103において、(C)によりモータ駆動トルク指令値が決定されると、モータ用サーボドライバ3bへ出力し、処理を終了する。
車体ロール制御量目標値算出部102の(A),(B)の処理と並列して、反力ロールモーメント算出部104では、(D)ロール角加速度の算出処理、(E)反力ロールモーメントの算出処理を行う。
(D)ロール角加速度の算出処理
検出した左右輪のショックアブソーバストロークセンサの値とトレッド値から、車体のロール角を算出する。算出したロール角の値の2階微分値を求めることで、ロール角加速度の値が求まる。
(E)反力ロールモーメントの算出処理
まず変数を以下のように設定する。
Φ:車体ロール角(逆ロールは負値)
V:車速
β:車体スリップ角
γ:ヨーレート
τ:電磁ショックアブソーバのロールトルク
ΔW:所望の輪荷重移動量(前後合計)
Fyf:車両前輪に生じる横力
Fyr:車両後輪に生じる横力
そして、定数として以下を設定する。
I:重心まわりロール慣性モーメント
m:車体質量
h:ロールアーム長(重心〜ロールセンタ距離)
g:重力加速度
I:重心まわりヨー慣性モーメント
l;前軸〜重心距離
l:後軸〜重心距離
b:トレッド(前後平均とする)
h:前輪ロールセンタ高
h:後輪ロールセンタ高
ここで、微小項を無視した、車両の運動方程式は以下のように記述される。
ロールの運動方程式
(数2)
(I+mh''-mhgΦ-mV(β'+γ)h+τ=0
平面運動(横方向)の運動方程式
(数3)
mV(β'+γ)=Fyf+Fyr+mhΦ''
平面運動(ヨー方向)の運動方程式
(数4)
Iγ'=Fyfl-Fyrl →Fyf={(I/l)γ'+(l/l)Fyr}
バネ下の力のつりあい
(数5)
τ=ΔWb-(Fyfh+Fyrh)
ここで数式1のロールの運動方程式において、
第1項 (IX+mhP'':車体の逆ロールの反力による、反力ロールモーメント
第2項 -mhgφP:重心旋回内輪移動分による、荷重移動抑制方向のロールモーメント
第3項 -mV(β'+γ)h:旋回遠心力によるロールモーメント
第4項 τM:ショックアブソーバのロールトルク
となっており、第1項より、ロール角加速度の値を用いて反力ロールモーメントを算出できることがわかる。
反力ロールモーメント算出部104により反力ロールモーメントを算出したならば、平面運動制御量目標値算出部105により、(F)反力ロールモーメントを打ち消す後輪横力目標値の算出処理、(G)後輪舵角制御量目標値の算出処理を行う。
(F)反力ロールモーメントを打ち消す後輪横力目標値の算出処理
(E)の運動方程式において、所望の輪荷重移動を実現しようとした場合には、ショックアブソーバのロールトルクτMは数式5の方程式による制約を受けることがわかる。
そのため、(E)で算出した反力ロールモーメントを打ち消すためには、数式2の方程式より、旋回遠心力によるロールモーメントを変える必要があることがわかる。
ここで、旋回遠心力によるロールモーメント
(数6)
-mV(β'+γ)h
は、数式3、数式4の方程式より
(数7)
-mV(β'+γ)h
=-h(Fyf+Fyr+mhΦ'')
となり、次の数式8を得る。
(数8)
=h{(I/l)γ'+(l/l)Fyr+mhΦ''}
このようにして得た数式8から後輪横力によってコントロールできることがわかる。
以上説明したように、数式2の運動方程式に、数式8と数式5のロールトルクτMの式と、反力ロールモーメントを打ち消すとする次の数式9
(数9)
(IX+mhP''=0
をそれぞれ代入して、反力ロールモーメントを打ち消す後輪横力(2輪分)の目標値が
(数10)
Fyr={l/(lh+lh+lh)}[-mhφP''-mhgφP'+ΔWb-{I(h+h)/l}γ']
と求まる。
(G)後輪舵角制御量目標値の算出処理
(F)の処理により後輪横力の目標値が求まったため、所望の横力を出すための後輪舵角制御量の目標値を算出する。
後輪横力は、2輪分の等価コーナリングパワーKの値を用いて
(数11)
Fyr=K+(lγ)/V-β}
と記述できるので、数式10と数式11から、後輪舵角制御量δの目標値が求まる。
ここで、等価コーナリングパワーの値Kは、定数を用いてもよいし、車両状態検出部101にて検出された車両状態に応じて可変の値としてもよい。
このように、平面運動制御量目標値算出部105により、後輪舵角制御量目標値を算出したならば、次に平面運動制御部106により(H)モータ駆動トルク指令値の算出処理を行う。
(H)モータ駆動トルク指令値の算出処理
(G)で算出した後輪舵角制御量目標値と、後輪転舵角センサ1eで検出した実際の後輪舵角検出値の偏差に応じて、後輪操舵制御用モータ4aの駆動トルク指令値を算出する。
平面運動制御部106において、(H)によりモータ駆動トルク指令値が決定されると、モータ用サーボドライバ4bへ出力し、処理を終了する。
次に作用を説明する。
[逆ロールの応答性確保及び制動力の向上作用]
図7は実施例1における緊急回避相当の操舵入力に対する操舵角、ロール量、後輪転舵量、輪荷重移動率を、後輪操舵制御を行わないもの、逆ロールモードにするタイミングを遅延させるものと比較したグラフ図である。
実施例1では上記説明した制御構成により、車体の逆ロール応答性を確保しつつ、過渡的な左右輪荷重移動を抑制することが可能となり、車体姿勢変化の応答性と旋回性能が両立する。言い換えると、逆ロール応答性により旋回性能に有利な車体姿勢変化を応答よく行い、その際に左右輪荷重移動が過度に行われないように抑制することで、制動力を向上させる。
実施例1では、図2、図3で示したように、重心高に対して、トレッドが相対的に狭い車両であるため、その作用が最大限発揮される。
図7に、そのようなトレッドが相対的に狭い車両に本実施形態を適用した際に得る特性を示す。
図7は、緊急回避相当の操舵入力に対し、後輪操舵制御なしの場合(図7に線201で示す)と、後輪舵角が逆相に設定されたとき逆ロールに移行するタイミングを遅延させる技術の制御を適用した場合(図7に線202で示す)と、本実施例1の制御を適用した場合(図7に線203で示す)において、輪荷重移動率を比較したものである。輪荷重移動率の絶対値が1を超えると、左右いずれかの輪荷重が0になることを意味している。
この結果を見ると、後輪操舵制御なしの場合と、逆ロールに移行するタイミングを遅延させる技術の場合は、過渡的な左右輪荷重移動が過多となっている。特に逆ロールに移行するタイミングを遅延させる技術の場合は、内輪荷重を失う状況が発生していることがわかる。
これは、旋回時の左右輪荷重移動に対して、少し遅れてからアクティブサスペンションによって左右輪荷重移動を打ち消す方向に逆ロール制御を開始するが、車体の逆ロール開始時にはロール角加速度の値が大きくなるため、ばね下が大きな反力ロールモーメントを受けて、左右輪荷重移動をさらに助長させることになる。この結果、過渡的に左右輪荷重移動が過多となり、旋回性の低下、制動性の低下を生じさせるものである。
逆ロール制御を行った際の本来の作用としては、車体の逆ロール角が大きくなっていくと、その分車体の重心が旋回内側方向に移動することになるので、左右輪荷重移動を抑制する効果が得られるようになるはずである。しかし、遅延制御により逆ロール開始のタイミングが遅れるため、逆ロール角が十分大きくなる前に過渡的な輪荷重移動のピークが訪れることとなり、逆ロールの効果を十分に生かくなったと考える(図7の線202の特性参照)。
それらに対し、実施例1の制御を実施すると、上記(E),(F)に示すように、逆ロール時の重心横移動がロール方向のみならず、横運動・ヨー運動に与える影響が考慮される。つまり、過渡の逆ロール運動によりばね下が受ける反作用を算出することによって横運動への影響を直接打ち消すように操舵制御がされ、過渡的な輪荷重移動が抑制される(図7の線203の特性参照)。
また、実施例1では、平面運動アクチュエータ部108は後輪操舵制御を行う装置としているが、過渡の反力ロールモーメントを打ち消すような方向の後輪操舵制御は、結果として過渡のヨー回頭性を向上させる方向のヨーモーメントを発生するという特徴があるため、最小限の構成で車体姿勢変化の応答性と過渡のヨー応答性を両立できる、という作用も得られる。
効果を説明する。
実施例1では、車体ロールアクチュエータ部107による車体のロール方向の姿勢の制御は、言い換えると、車体を旋回中心方向へ傾けるようにして、車体重心の左右並進方向の位置を車輪に対して制御していることになる。そのため、車体ロールアクチュエータ部107は、車体横移動アクチュエータであり、且つ車体ロールアクチュエータである。そして車体横移動アクチュエータの実施の形態としては、車体重心の位置をより左右並進方向へ移動させる形態を許容する。例えば、車体に対してキャビンだけが左右併進方向に横移動可能な車両、車輪のいずれかまたはすべてが左右併進方向に横移動可能な形態である。
なお、実施例1の車体ロールアクチュエータ部107を車体横移動アクチュエータとする場合、及び車体に対してキャビンだけが左右併進方向に横移動可能なものを車体横移動アクチュエータとする場合には、反力ロールモーメント算出部104で、ロール角の値の2階微分値を求めていたものを、横移動量の値の2階微分値から求めるようにすればよい。
ここで説明した点を考慮すると、実施例1の車両の制御装置にあっては、下記に列挙する効果を有する。
(1)車体を車輪に対して旋回方向内側へ横移動させるか、あるいは、車体のロール方向の姿勢を逆ロールさせる車体ロールアクチュエータ部107と、車両の走行平面での運動方向を変更し、且つ車輪に生じる車体左右方向の横力Fyrを変更する平面運動アクチュエータ部108と、旋回方向内側への横移動の反力、あるいは車体の逆ロールによって、車両のばね下が受ける反力ロールモーメントを算出する反力ロールモーメント算出部104と、反力ロールモーメントを抑制する平面運動アクチュエータ部108の平面運動制御量目標値を設定する平面運動制御量目標値算出部105と、算出した平面運動制御量目標値に基づいて、平面運動アクチュエータ部108を制御する平面運動制御部106を備えたため、車体の逆ロールまたは横移動の適度な応答性を確保しつつ、過渡的な左右輪荷重移動を抑制することが可能となり、車体姿勢変化の応答性と旋回性能を両立でき、偏りの抑制された左右輪の荷重状態を実現して制動力を向上させることができる。
(2)反力ロールモーメント算出部104は、車体ロールアクチュエータ部107のロール回転移動量の2階微分値又は横移動量の2階微分値を用いて、反力ロールモーメントを算出するため、新規に計測手段等を増設することなく、アクチュエータを作動させるのに用いる計測手段を用いて、高精度に反力ロールモーメントを算出することが可能となり、コストを増加させることなく、制御性を向上させることができる。
(3)ハンドル回転に応答して前輪を操舵する機械式前輪操舵機構である操舵系131を備え、平面運動アクチュエータ部108は、後輪操舵制御用モータ4a、後輪操舵制御用モータ4aにより作動させる可動コネクティングロッド4d、可動コネクティングロッド4dに連結した左右のタイロッド123、により後輪を操舵する後輪操舵制御機構を備えるため、過渡の反力ロールモーメントを打ち消すような方向の後輪操舵制御は、結果として過渡のヨー回頭性を向上させる方向のヨーモーメントを発生するという特徴があるため、最小限の構成で車体姿勢変化の応答性と過渡のヨー応答性を両立できる。
実施例2は、パッシブサスペンションを備える車両で、車体のロール方向の姿勢をモータ制御する例である。
構成を説明する。
図8は実施例2の車両の概略平面図である。図9は実施例1の車両の後方視の概略背面図である。図10は実施例2のロール回転動作の説明図である。
実施例2の車両の制御装置は、車両状態検出部301、車体ロール制御量目標値算出部302、車体ロール制御部303、反力ロールモーメント算出部304、平面運動制御量目標値算出部305、平面運動制御部106を備えている(後述する図11に示す)。
車両状態検出部301は、図8、図9に示す具体例では、ハンドル操舵角センサ1a、車輪速度センサ1b、ヨーレート・前後加速度・横加速度センサ1c、ロール回転角センサ311、後輪転舵角センサ1eで構成している。
ロール回転角センサ311は、後述するロール回転方向可動部材334の回転角をロール回転角として検出する。
図8、図9に示す具体的構成において、コントローラ2に構成される車体ロール制御部303、反力ロールモーメント算出部304、平面運動制御量目標値算出部305の詳細については後述する。
車体ロール制御部303(車体横移動制御手段及び車体ロール制御手段に相当する)は、実施例2では、車体ロールアクチュエータ部306(車体横移動アクチュエータ及び車体ロールアクチュエータに相当する)を駆動制御する。
車体ロールアクチュエータ部306は、図8、図9に示す具体的構成において、ロール制御用モータ331、モータ用サーボドライバ332、モータ用バッテリ333、ロール回転方向可動部材334で構成される。
また図8、図9に示す具体的構成では、サスペンション装置335(パッシブサスペンションに相当する)を、アッパーアーム121、ロアアーム122、ショックアブソーバ336で構成する。
ショックアブソーバ336は、スプリングを用いたもので、サスペンション装置335はパッシブサスペンションを構成する。
ロール回転方向可動部材334は、左右に長いアーム形状を有する部材で、左右前輪用に1個設け、左右後輪用に1個設け、それぞれ車体110の車幅方向中央位置で前後方向に延在する軸線周りに揺動自在にして車体110に枢支する。
そして、車体110の前後のロール回転方向可動部材334の左右両端にそれぞれショックアブソーバ336の上端を連結する。ショックアブソーバ336の下端は、ロアアーム122にそれぞれ連結する。
ロール制御用モータ331は、車体110の前後に設け、モータ出力軸をロール回転方向可動部材334に結合して、揺動位置を制御可能にする。
モータ用サーボドライバ332は、コントローラ2からの駆動指令値に従って、ロール制御用モータ331を駆動させる。
モータ用バッテリ333は、ロール制御用モータ331の駆動電源である。
車体ロール制御部303においては、算出された制御量目標値を達成するよう、モータ用サーボドライバ332を介して、ロール制御用モータ331が駆動される。このモータが駆動されることで、ロール回転方向可動部材334が回転する構成となっている。
ロール回転方向可動部材334が回転すると、図10に示すように、片方のショックアブソーバ336の車体側取付点を下に押し下げ、もう片方を上に持ち上げるように作用する。このようにして車体110を左右いずれかに傾けることができるので、その結果、車体110をロール方向に傾けることが可能となる。言い換えると、左右方向重心位置を移動することが可能となる。
なお、上記構成説明において、実施例1と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
次に、実施例2の車両の制御装置のコントローラ2における処理の内容について説明する。
図11は実施例2の車両の制御装置の処理の流れを制御構成ともに示した制御フロー図で、以下各処理について説明する。
なお、(101a),(A),(B),(C),(G),(H)の処理については実施例1と同様であるので説明を省略する。
実施例2の反力ロールモーメント算出部304(反力ロールモーメント算出手段に相当する)では、(D´)ACTRロール角加速度及びSUSPロール角加速度の算出処理、(E´)反力ロールモーメントの算出処理を行う。
(D´)ACTRロール角加速度及びSUSPロール角加速度の算出処理
まず変数を以下のように設定する。
ΦP:SUSPロール角
ΦQ:ACTRロール角(逆ロールは負値)
V:車速
β:車体スリップ角
γ:ヨーレート
τM:ロール制御用モータのロールトルク
ΔW:所望の輪荷重移動量(前後合計)
Fyf:車両前輪に生じる横力
Fyr:車両後輪に生じる横力
そして、定数として以下を設定する。
ITX:車体の重心まわりロール慣性モーメント
ISX:可動部材の重心まわりロール慣性モーメント
mT:車体質量
mS:可動部材質量
hT:車体ロールアーム長(車体重心〜車体ロールセンタ距離)
hT:可動部材ロールアーム長(可動部材重心〜可動部材回転中心距離)
g:重力加速度
I:車両全体の重心まわりヨー慣性モーメント
l;前軸〜重心距離
l:後軸〜重心距離
b:トレッド(前後平均とする)
h:前輪ロールセンタ高
h:後輪ロールセンタ高
C:ロール減衰係数
G:ロール剛性
ここで、微小項を無視した場合の車両の運動方程式は以下のように記述される。
ロール(サスのロール運動)の運動方程式
(数12)
(ISX+mh P''+CΦP'+(G-mhg)ΦP-mhV(β'+γ)-τ=0
ロール(アクチュエータのロール運動)の運動方程式
(数13)
(ITX+mh )(ΦP''+Φ'')-mhg(ΦP)-mhV(β'+γ)+τ=0
平面運動(横方向)の運動方程式
(数14)
(m+m)V(β'+γ)=Fyf+Fyr+(mh+mhP''+mhΦ''
平面運動(ヨー方向)の運動方程式
(数15)
Iγ'=Fyfl-Fyrl →Fyf={(I/l)γ'+(l/l)Fyr}
バネ下の力のつりあい
(数16)
ΔWb=GΦP+CΦP'+(Fyfh+Fyrh)
車速および操舵角計測値を入力とし、適宜、1サンプリング前の状態量計測値を代入することで、この車両運動方程式から、サスペンションの逆相ストロークによるロール角Φの値(以下、SUSPロール角)を推定することができる。実施例2ではSUSPロール角の推定値を以下用いるが、例えばサスペンションストロークセンサの計測値から、SUSPロール角を算出してもよい。
以上求めたSUSPロール角の推定値もしくは算出値の2階微分値を求めることで、ロール角加速度(以下、SUSPロール角加速度とする)の値が求まる。
また、ロール制御用モータのロール回転角検出値の2階微分値を求めることで、ロール回転角加速度(以下、ACTRロール角加速度とする)の値が求まる。
(E´)反力ロールモーメントの算出処理
上記数式14のアクチュエータのロール運動方程式において、
第1項 (ITX+mh )(ΦP''+Φ''):車体の逆ロールの反力による、反力ロールモーメント
第2項 -mhg(Φ):重心旋回内輪移動分による、荷重移動抑制方向のロールモーメント
第3項 -mhV(β'+γ):旋回遠心力によるロールモーメント
第4項 τ:ロール制御用モータのロールトルク
となっており、第1項より、ACTRロール角加速度及びSUSPロール角加速度の値を用いて、反力ロールモーメントを算出できることがわかる。
実施例2の平面運動制御量目標値算出部305(平面運動制御量目標値算出手段に相当する)では、(F´)反力ロールモーメントを打ち消す後輪横力目標値の算出処理を行う。
(F´)反力ロールモーメントを打ち消す後輪横力目標値の算出処理
上記(F)と同じ考え方を適用し、(E´)で算出した反力ロールモーメントを打ち消すためには、数式14の方程式の第3項に相当する、旋回遠心力によるロールモーメントを変える必要がある。
旋回遠心力によるロールモーメントは後輪横力によってコントロールできるので、数式14の運動方程式に、反力ロールモーメントを打ち消す次の式を代入する。
(数17)
(ITX+mh )(ΦP''+Φ'')=0
すると、反力ロールモーメントを打ち消す後輪横力(2輪分)の目標値が以下の式のように求められる。
Figure 2010247631
その他の構成は実施例1と同様であるので説明を省略する。
次に作用を説明する。
[逆ロールの応答性確保及び制動力の向上作用]
実施例2では、車体のロール制御を、図8,図9に示すように、ロール制御用モータ331で駆動するロール回転方向可動部材334の揺動で行うようにし、反力ロールモーメント算出部304は、上記(D´)に示すように、SUSPロール角とACTRロール角を別に算出する。これにより、実施例2のロール制御構成と、パッシブサスペンションであることが考慮されて、より精度よくSUSPロール角とACTRロール角が算出される。
そして、この2階微分を行い求めたUSPロール角加速度とACTRロール角加速度を用いて(E´),(F´)に示すように、反力ロールモーメントを打ち消す後輪横力目標値を算出する。このことで、実施例2のロール制御構成と、パッシブサスペンションであることが考慮された目標値の設定がなされる。これにより得られる制御性に加えて、逆ロール時の重心横移動がロール方向のみならず、横運動・ヨー運動に与える影響が考慮される。そのため、実施例2のロール制御構成と、パッシブサスペンション構成においても、過渡の逆ロール運動によりばね下が受ける反作用を算出することによって横運動への影響を直接打ち消すように操舵制御がされ、過渡的な輪荷重移動が抑制され、制動力を向上させる。
その他の作用は実施例1と同様であるので説明を省略する。
効果を説明する。
実施例2では、ロール回転方向可動部材334を駆動することで、車体のロール方向の姿勢を制御するが、言い換えると、車体を旋回中心方向へ傾けるようにして、車体重心の左右並進方向の位置を車輪に対して制御していると言える。そのため、車体ロールアクチュエータ部306は、車体ロールアクチュエータで且つ車体横移動アクチュエータである。そして車体横移動アクチュエータの実施の形態としては、車体重心の位置をより左右並進方向へ移動させる形態を許容する。例えば、車体に対してキャビンだけが左右併進方向に横移動可能な車両、車輪のいずれかまたはすべてが左右併進方向に横移動可能な形態である。
なお、実施例2の車体ロールアクチュエータ部306を車体横移動アクチュエータとする場合、及び車体に対してキャビンだけが左右併進方向に横移動可能なものを車体横移動アクチュエータとする場合には、反力ロールモーメント算出部304で、ACTRロール角の値の2階微分値を求めていたものを、横移動量の値の2階微分値から求めるようにすればよい。
ここで説明した点を考慮すると、実施例2の車両の制御装置にあっては、実施例1の(1),(3)の効果に加えて、以下の効果を有する。
(4)左右逆相ストロークによって車体のロール運動を許容するショックアブソーバ336を有するサスペンション装置335をパッシブサスペンションとして備え、反力ロールモーメント算出部304は、車体ロールアクチュエータ部306により変化させるACTRロール角の2階微分値又は横移動量の2階微分値と、サスペンションの左右逆相ストロークに起因するSUSPロール角の2階微分値の推定値を用いて、反力ロールモーメントを算出するため、パッシブサスペンションによるロール運動の影響による制御性悪化を回避し、制御性を向上させることができる。
実施例3は、車体の横加速度の推定値と検出した実値の差により平面運動制御量目標値と車体のロール制御量目標値を補正する例である。
構成を説明する。
機械的な構成は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
実施例3の車両の制御装置のコントローラ2における処理の内容について説明する。
図12は実施例3の車両の制御装置の処理の流れを制御構成ともに示した制御フロー図で、以下各処理について説明する。
なお、(101a),(A)〜(H)の処理については実施例1と同様であるので説明を省略する。
実施例3では、コントローラ2の制御処理に(I)車体横加速度の推定処理と、(J)車体横加速度の閾値判定処理を加える。さらに、車体ロール制御量目標値算出部102の(A),(B)の処理に加えて、車体ロール制御量目標値の補正処理401を設ける。また、平面運動制御量目標値算出部105の(F),(G)の処理に加えて、後輪舵角制御量目標値の補正処理402を設ける。以上の構成を補正部501(平面運動制御量目標値補正手段に相当する)とする。
(I)車体横加速度の推定処理
上記数式3に示した車両の横運動の運動方程式より、車体の横加速度は以下のように求まる。
(数19)
mα=F
m{V(β'+γ)-hΦP''}=Fyf+Fyr
∴α=V(β'+γ)-hΦP''
ここでは、横加速度の推定値を知りたいので、上式の車体スリップ角β、ヨーレートγ、ロール角ΦPは、それぞれ実測値ではなく車両の運動方程式の計算結果を用いる。
(J)車体横加速度の閾値判定処理
この処理では、(I)で推定した車両横加速度の値と、検出した横加速度の値を比較して、それらの差の絶対値による閾値判定を実施する。
図13に示すのは、(J)の処理の流れを示すフローチャートで、以下各ステップについて説明する。
(J-1)では、コントローラ2が(J)において、実加速度と推定横加速度の差の絶対値を算出する。
(J-2)では、コントローラ2が(J)において、実加速度と推定横加速度の差の絶対値と予め設定した第1の閾値を比較し、差の絶対値が第1の閾値以下ならば処理を終了し、差の絶対値が第1の閾値を超えるならばステップS403に進む。
ステップS403では、コントローラ2が(J)において、平面運動制御量目標値の補正処理を後輪舵角制御量目標値の補正処理402へ指示し、(J-3)へ進む。
(J-3)では、コントローラ2が(J)において、実加速度と推定横加速度の差の絶対値と予め設定した第2の閾値を比較し、差の絶対値が第2の閾値以下ならば処理を終了し、差の絶対値が第2の閾値を超えるならばステップS404に進む。
ステップS404では、指示した後輪舵角制御量目標値(平面運動制御量目標値)の補正処理に加えて、車体のロール制御量の目標補正処理を車体ロール制御量目標値の補正処理401へ指示し、処理を終了する。
作用を説明する。
[後輪舵角制御量目標値と車体のロール制御量目標値の補正作用]
実施例3では、主にタイヤや路面の変化などによるモデル化誤差が原因で、目標どおりに反力ロールモーメントの影響を打ち消せない場合に、車体の横加速度の推定値と検出した実値の差が所定の第1の閾値より大きくなると、(J-2)でNOと判定される。(J-2)でNOと判定されるとステップS403の処理で後輪操舵角の目標値を補正する。
すると、横加速度の検出精度からくる誤差や、車両挙動にはほとんど影響しないような小さな誤差は無視して、車両挙動悪化を招くような大きな誤差(例えば路面摩擦係数の変化など)に対しては適度な制御量補正の対処を行うことが可能となり、結果として車両挙動を安定化させる。
また、実施例3では、例えばウエット路面から氷結路面への変化のような急激な状態変化が生じ、前記の目標値補正だけでは車両挙動の安定が確保できない場合に、車両挙動を安定化させる。具体的には、車体の横加速度の推定値と検出した実値の差がさらに開いた場合に、(J-3)でNOと判定される。(J-3)でNOと判定されるとステップS404の処理で車体のロール制御量の目標値を補正する。
すると、ロールあるいは横移動の動きを抑制することで、打ち消すべき反力ロールモーメント自体が抑制され、後輪操舵への負担が軽減されるので、急激な状態変化などが生じた場合でも、結果として車両挙動を安定化させることが可能となる。
上記説明した車両挙動の安定化は、良好な制動状態を得ることにつながり、車両の制動性を向上させる。
効果を説明する。
実施例3においても、車体のロール制御を車体の横移動と捉えてもよい点、そして、車体の横移動と捉えた場合に、積極的に車輪に対して車体を横移動させるものを形態として許容する点は、実施例1と同様である。
ここで説明した点を考慮すると、実施例3にあっては、実施例1の(1)〜(3)の効果に加えて、以下の効果を有する。
(5)車体の横加速度を検出するヨーレート・前後加速度・横加速度センサ1cと、車体の横加速度を推定する(I)車体横加速度の推定処理と、検出した実横加速度と推定した推定横加速度の差の絶対値が、第1の閾値より大きい場合には、後輪舵角制御量目標値(平面運動制御量目標値)を補正する(J-2),S403の処理を行う補正部501を備えたため、横加速度の検出精度からくる誤差や、車両挙動にはほとんど影響しないような小さな誤差は無視して、車両挙動悪化を招くような大きな誤差(例えば路面摩擦係数の変化など)に対しては適度な制御量補正の対処を行うことができ、結果として車両挙動を安定化させることができる。
(6)車体ロールアクチュエータ部107の車体横移動制御量目標値あるいは車体ロール制御量目標値を設定する車体ロール制御量目標値算出部102と、設定した車体横移動制御量目標値あるいは車体ロール制御量目標値に基づいて車体ロールアクチュエータ部107を制御する車体ロール制御部103を備え、補正部501は、検出した実横加速度と推定した推定横加速度の差の絶対値が、第1の閾値より大きく第2の閾値以下の場合には、後輪舵角制御量目標値(平面運動制御量目標値)を(J-2),S403の処理で補正し、加速度差の絶対値が、第2の閾値より大きい場合には、後輪舵角制御量目標値(平面運動制御量目標値)に加えて、(J-3),S404の処理で車体のロール制御量もしくは車体の横移動量の目標値を補正するため、ロールあるいは横移動の動きを抑制することで、打ち消すべき反力ロールモーメント自体が抑制され、操舵あるいは制駆動力差への負担が軽減されるので、急激な状態変化などが生じた場合でも、結果として車両挙動を安定化させることができる。
以上、本発明の半導体装置を実施例1〜実施例3に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
本発明は、他の運動体の制御利用することができる。
110 車体
102 車体ロール制御量目標値算出部(車体横移動制御手段及び車体ロール制御手段)
103 車体ロール制御部(車体横移動制御手段及び車体ロール制御手段)
104 反力ロールモーメント算出部(反力ロールモーメント算出手段)
105 平面運動制御量目標値算出部(平面運動制御量目標値算出手段)
106 平面運動制御部(平面運動制御手段)
107 車体ロールアクチュエータ部(車体横移動アクチュエータ及び車体ロールアクチュエータ)
108 平面運動アクチュエータ部(平面運動アクチュエータ)
131 操舵系(機械式前輪操舵機構)
302 車体ロール制御量目標値算出部(車体横移動制御手段及び車体ロール制御手段)
303 車体ロール制御部(車体横移動制御手段及び車体ロール制御手段)
304 反力ロールモーメント算出部(反力ロールモーメント算出手段)
305 平面運動制御量目標値算出部(平面運動制御量目標値算出手段)
306 車体ロールアクチュエータ部(車体横移動アクチュエータ及び車体ロールアクチュエータ)
335 サスペンション装置(パッシブサスペンション)
501 補正部(平面運動制御量目標値補正手段)
4a 後輪操舵制御用モータ(後輪操舵制御機構)
4d 可動コネクティングロッド(後輪操舵制御機構)
123 タイロッド(後輪操舵制御機構)
1c ヨーレート・前後加速度・横加速度センサ(横加速度検出手段)

Claims (11)

  1. 車体を車輪に対して旋回方向内側へ横移動させる車体横移動アクチュエータと、
    車両の走行平面での運動方向を変更し、且つ車輪に生じる車体左右方向の横力を変更する平面運動アクチュエータと、
    旋回方向内側への横移動の反力によって車両が受ける反力ロールモーメントを算出する反力ロールモーメント算出手段と、
    前記反力ロールモーメントを抑制する前記平面運動アクチュエータの平面運動制御目標値を設定する平面運動制御量目標値算出手段と、
    前記平面運動制御量目標値に基づいて、前記平面運動アクチュエータを制御する平面運動制御手段と、
    を備えた、ことを特徴とする車両の制御装置。
  2. 請求項1記載の車両の制御装置において、
    前記反力ロールモーメント算出手段は、車体横移動アクチュエータによる横移動量の2階微分値を用いて、反力ロールモーメントを算出する、ことを特徴とする車両の制御装置。
  3. 請求項1記載の車両の制御装置において、
    左右逆相ストロークによって車体のロール運動を許容するパッシブサスペンションを備え、
    前記反力ロールモーメント算出手段は、車体横移動アクチュエータによる横移動量の2階微分値と、サスペンションの左右逆相ストロークに起因するロール角の2階微分値もしくはロール角の2階微分値の推定値を用いて、反力ロールモーメントを算出することを特徴とする、車両の制御装置。
  4. 請求項1記載の車両の制御装置において、
    車体の横加速度を検出する横加速度検出手段と、
    車体の横加速度を推定する横加速度推定手段と、
    検出した実横加速度と推定した推定横加速度の差の絶対値が、第1の閾値より大きい場合には、平面運動制御量目標値を補正する平面運動制御量目標値補正手段を備えた、ことを特徴とする車両の制御装置。
  5. 請求項4記載の車両の制御装置において、
    前記車体横移動アクチュエータの車体横移動制御量目標値を設定し、設定した前記車体横移動制御量目標値に基づいて前記車体横移動アクチュエータを制御する車体横移動制御手段を備え、
    前記平面運動制御量目標値補正手段は、検出した実横加速度と推定した推定横加速度の差の絶対値が、第1の閾値より大きく第2の閾値以下の場合には、平面運動制御量目標値を補正し、前記加速度差の絶対値が、第2の閾値より大きい場合には、平面運動制御量目標値と、前記車体横移動制御量目標値を補正する、ことを特徴とする車両の制御装置。
  6. 車体のロール方向の姿勢を逆ロールさせる車体ロールアクチュエータと、
    車両の走行平面での運動方向を変更し、且つ車輪に生じる車体左右方向の横力を変更する平面運動アクチュエータと、
    車体の逆ロールによって車両が受ける反力ロールモーメントを算出する反力ロールモーメント算出手段と、
    前記反力ロールモーメントを抑制する前記平面運動アクチュエータの平面運動制御目標値を設定する平面運動制御量目標値算出手段と、
    前記平面運動制御量目標値に基づいて、前記平面運動アクチュエータを制御する平面運動制御手段と、
    を備えた、ことを特徴とする車両の制御装置。
  7. 請求項6記載の車両の制御装置において、
    前記反力ロールモーメント算出手段は、車体ロールアクチュエータによるロール回転移動量の2階微分値を用いて、反力ロールモーメントを算出する、ことを特徴とする車両の制御装置。
  8. 請求項6記載の車両の制御装置において、
    左右逆相ストロークによって車体のロール運動を許容するパッシブサスペンションを備え、
    前記反力ロールモーメント算出手段は、車体ロールアクチュエータによるロール回転移動量の2階微分値と、サスペンションの左右逆相ストロークに起因するロール角の2階微分値もしくはロール角の2階微分値の推定値を用いて、反力ロールモーメントを算出することを特徴とする、車両の制御装置。
  9. 請求項6記載の車両の制御装置において、
    車体の横加速度を検出する横加速度検出手段と、
    車体の横加速度を推定する横加速度推定手段と、
    検出した実横加速度と推定した推定横加速度の差の絶対値が、第1の閾値より大きい場合には、平面運動制御量目標値を補正する平面運動制御量目標値補正手段と、を備えたことを特徴とする車両の制御装置。
  10. 請求項9記載の車両の制御装置において、
    前記車体ロールアクチュエータの車体ロール制御量目標値を設定し、設定した前記車体ロール制御量目標値に基づいて前記車体ロールアクチュエータを制御する車体ロール制御手段を備え、
    前記平面運動制御量目標値補正手段は、検出した実横加速度と推定した推定横加速度の差の絶対値が、第1の閾値より大きく第2の閾値以下の場合には、平面運動制御量目標値を補正し、前記加速度差の絶対値が、第2の閾値より大きい場合には、平面運動制御量目標値と、前記車体ロール制御量目標値を補正する、ことを特徴とする車両の制御装置。
  11. 請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の車両の制御装置において、
    ハンドル回転に応答して前輪を操舵する機械式前輪操舵機構を備え、
    前記平面運動アクチュエータは、アクチュエータの作動により後輪を操舵する後輪操舵制御機構を備えている、ことを特徴とする車両の制御装置。
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