JP2010246647A - 枕 - Google Patents

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Abstract

【課題】頭部の沈み込みがほとんどなく適度な高弾発性によって頭部の転がり運動が容易に行え、通気性がよく冷却性能が高く、脊椎と頭部を真っ直ぐにして脳脊髄液や血液のスムーズな循環流通を確保できる安価な枕を提供する。
【解決手段】枕10は、ネット部材11と、首当て部材17と、敷き板21とを備えている。ネット部材11は、ポリエステル繊維製で高さ20mmの長方形の厚板状であり、福井ファイバーテック株式会社製の商品名Wラッセルネットが好適に用いられる。Wラッセルネットは、頭部側の上ラッセル編み面12が、対向する一対の辺の長さが他の辺の長さより長い六角形を蜂の巣状に連続して組み合わせたもので、長手方向の長さが20mmであり、下側の下ラッセル編み面13も、片面側と同様の構造で長手方向の長さが40mmであり、対向する両ラッセル編み面12,13の間を、モノファイバーにより編んでパイル部14として連結させている。
【選択図】図3

Description

本発明は、通気性と弾発性を有する枕に関する。
快適な睡眠は、疲れを取り除く非常に有効な手段であることは周知のとおりであるが、不眠に苦しむ人も多く、その一つの原因として寝具、特に枕が重要であることが知られている。安眠を実現するために必要な枕の条件としては以下のことが考えられる。
(1)頭部に加わる重力圧を分散をさせるために、沈み込みがなく適度な高弾発性を有すること。
頭部はほぼ球体で4〜5kgの重さになっており、頭部が枕上に固定されたままであると頭部の一点に重力圧がかかり局部的なうっ血状態が生じるため、重力圧を逃がそうとして転がろうとするのである。このように重い頭部にかかる重力圧を逃しながら枕で支えるために、頭部が枕上を容易に転がれるようにする必要がある。そのためには、枕は、頭部の転がりを妨げるような沈み込みがないような硬さと弾発性を備えることが必要となる。一方、頭部は、睡眠時においても呼吸しているだけでわずかではあるが常に屈曲、伸展を繰り返しており、これにより脳脊髄液や血液を循環流通させているのであるが、枕が硬いのみ又は柔らかいのみでは、頭部のこのような動きが妨げられることになる。そのため、枕は、このような頭部自体の動きをスムーズに吸収できるような全体として適度な弾発性も備えることが必要になる。
(2)冷却能力を有すること。
上述したように、頭部は、睡眠時でも常に屈曲、伸展を繰り返して常時熱を産生しているものであるから、頭部の火照りが生じて安眠を妨げる原因になっている。このような頭部の火照りを抑えるためには、枕を冷却させればよく、例えば枕の材質が通気性を有していれば、枕内を空気が流通することにより自然に冷却が行われる。
(3)枕の高さが20〜40mm位であること。
上述したように、頭部は、脊椎との間で脳脊髄液や血液を縦貫して循環流通させているから、仰臥時にこれを円滑に行わせるためには、脊椎と頭部は真っ直ぐであるのが自然であり、これが損なわれることにより、脳脊髄液や血液の流れが滞り、種々の疾患の原因になるのである。成人が仰臥したとき、脊椎と頭部が真っ直ぐな状態で床面と頭の間が20〜40mm位開くことになる。この間隔を埋めるために、枕の高さも20〜40mm位、好ましくは20〜30mm位が適当になるのであり、これより高くしても低くしても、脊椎と頭部の真っ直ぐな状態が失われることになる。頭部の屈曲が強いと、つまり枕が高すぎると呼吸が苦しくなり、また頭部の伸展が強いと、つまり枕が低すぎると顎が上がって口が開き、いびきや無呼吸症候群の原因ともなり、安眠が妨げられる。なお、頭部と首の間には高さの差があり、この差は睡眠中にほとんど是正されるのであるが、仰臥したときにこの差が気になり、安心感が得られないことがある。この場合には枕の首側部分に柔軟性のある材質を介装させることが好ましい。
従来、枕としては、もみ殻等を詰めた硬いもので、高さも50mmから150mm程度の高いものが主であり、この高さによって頭部のうっ血状態を解消させる意図であると思われる。しかし、高い枕の使用によって、かえって頸椎が曲げられて後彎となりその生理的彎曲(緩やかな前彎)が妨げられ、その結果、頭部と脊椎との間での脳脊髄液や血液の円滑な循環流通が妨げられ、熟睡を妨げて疲れを残すと共に、疾病に対する免疫力を低下させる原因にもなる。従って、上述したように、枕の高さは、20〜40mm好ましくは20〜30mm位にすることが必要になる。
また、枕の柔軟性と冷却性を高めるために、例えば特許文献1に示すように、カバー内にもみ殻等の枕素材を封入すると共に内部に空気袋を入れた空気枕が知られている。しかし、この空気枕は、枕素材と空気袋を含むもので全体の高さが高くなりすぎるという問題がある。また、空気枕は、柔軟性がありすぎるためかえって頭部の安定状態が妨げられることになり、頭部が動きやすいためかえって落ち着かない点もある。さらに、空気枕は、空気の漏れにより頭部の沈み込みがあるために、枕上での頭部の転がりが妨げられてかえって寝つきが悪くなるという問題もある。また、特許文献2に示すように、硬度が大きな芯材層、厚みのある中間層、所定の厚さの上層を積層することによって内側部材とし、内側部材の外側に外側部材を巻き付けて枕とし、内側部材と外側部材をスラブウレタンフォームにより形成したものが知られている。しかし、この枕は、首支持部に設けられた中間層が約40mmと非常に厚いため、頸椎が曲げられて後彎となるおそれがある。また、スラブウレタンフォームは、通気性が悪く熱がこもるため、頭部を冷却する効果が劣るという問題もある。
実開平4−56068号公報 特開平11−56558号公報
また、近年よく用いられている低反発素材の枕がある。この枕は、頭部に対する反発力が非常に低く、頭部の重みによって自然に沈み込みが生じることが特徴になっている。しかし、頭部が一度一方へ沈みこんだら元の位置に戻したり他方へ動かすことは容易ではない。つまり、頭部の転がりが制限されると共に、頭部が左右から大きな圧迫を受ける。また、頭部の火照りが促進されることにより、安眠の条件が大きく損なわれるのである。また、この枕は、重量が重く洗濯もしにくく、さらに非常に高価である。
ところで、クッション用のネットとして開発された、ポリエステル糸をラッセル織により編んだ厚さ20mm程度の多孔性のネットである商品名ダブルラッセルネットFU−08250(福井ファイバーテック株式会社製)が知られている。このネットは、両面がラッセル織により形成された正六角形の対向する一対の辺が他の辺より長い六角形を蜂の巣状に配列した網目構造になっており、この両面間を多数のポリエステル糸で連結させ、さらに180℃で加熱しながら引っ張って樹脂加工例えば主にNBR(ニトリルゴム)を用いた加工を施した、ダブルラッセル構造になっている。片面の六角形の長手方向寸法が略20mmで、他面の六角形の長手方向寸法が略40mmとなっている。このネットは、ダブルラッセル構造により、定形性を維持しつつ適度な高弾発性が発揮でき、例えば人間の体重である50kg程度の重さを加えた場合は凹みが生じるが、頭部の重さである5kg程度を加えてもほとんど凹みを生じることはなく、かつ適度な高弾発性が発揮される。
本件発明者は、このようなダブルラッセルネットの優れた強度と通気性と弾発性に着目して、枕として使用したところ、重力圧を分散させるために頭部の沈み込みがほとんどない硬さを有すると共に、頭部の転がり運動を容易にする適度な高弾発性を有すること、通気性がよく冷却性能が高いこと、高さが20〜40mm程度に抑えられて脊椎と頭部を真っ直ぐにできること等、安眠できるための枕としての上記3つの条件を実現できることを確認し、本発明を想到した。
すなわち、本発明は、上記問題を解決しようとするもので、頭部の沈み込みがほとんどなく適度な高弾発性によって頭部の転がり運動が容易かつスムーズに行え、通気性がよく冷却性能が高く、脊椎と頭部を真っ直ぐにして脳脊髄液や血液のスムーズな循環流通を確保でき、しかも安価な安眠に適した枕を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の構成上の特徴は、長方形の厚板状であって、両面が樹脂線維を用いたラッセル編みにより線状の6角形を蜂の巣状に連続して組み合わせたラッセル編み面になっており、両ラッセル編み面間を樹脂線維で彎曲状に編んでつなぎ合わせ、加熱状態で引き伸ばされると共に樹脂加工が施された厚さ18mm〜24mmのネット部材を布製のカバーで包んでなることにある。なお、樹脂材料としては、ポリエステル系熱可塑性樹脂材料が好ましい。また、加熱温度は180℃程度であり、樹脂加工としては主としてNBR(ニトリルゴム)を用いた加工が好ましい。また、ネット部材は、厚さが18mmより小さくなると、顎が上がって口が開き、いびきや無呼吸症候群の原因ともなり、24mmより大きくなると首が過剰に前屈して呼吸が苦しくなり、さらにいずれも脊椎と頭部の真っ直ぐな状態が損なわれることにより、脳脊髄液や血液のスムーズな流れが妨げられる。
上記のように構成した本発明においては、長方形のネット部材が、樹脂線維を用いたラッセル編み面が6角形を蜂の巣状に連続して組み合わされることにより、頭部を載せる面としての硬さが確保され、またラッセル編み面間が多数の樹脂線維で彎曲状につなぎ合わされて厚さ18mm〜24mmにされていることにより縦方向の強度が確保されると共に両面間に適度な弾発力が付与される。そのため、頭部が枕上を自由に転がることができ、頭部の一点への重力圧が加わることを自然に避けることができ、また常に屈曲、伸展を繰り返す頭部の動きを適度な弾発力により吸収することができるので、頭部が不快な負荷を感じることがない。さらに、ネット部材は、全体が多くの空間を含むため、内部の空気の流通が円滑に行われて良好な冷却作用が発揮され、頭部の冷却がスムーズに行われる。また、ネット部材の厚さが18mm〜24mmの範囲内であることにより、成人が仰臥して頭部を枕に載せたとき、脊椎と頭部が自然に真っ直ぐにされるので、頭部と脊椎との間で脳脊髄液や血液がスムーズに循環流通させられる。その結果、本発明においては、枕に起因する不眠の原因が解消され、頭部の自由な動きと冷却効果により、寝返り回数を激減させ、安眠効果が高められる。
また、本発明において、ネット部材の片側のラッセル編み面の六角形の長さ20mm±10%とし、反対側の面の六角形の長さを40mm±10%とすることが好ましい。六角形の長さが20mm±10%より小さくなると、ネット部材のわずかな変形により異音が発生し易く、またネット部材の弾発性も高くなり過ぎるため好ましくない。また、六角形の長さが40mm±10%より大きくなると、ネット部材の弾発性が低くなり過ぎるため好ましくない。これにより、ネット部材として必要な硬さを維持しつつ全体としての弾発性が高められるため、頭部の転がり運動がスムーズに行われ、枕に対する違和感が抑えられる。また、片側面の六角形の長さ20mm±10%とし、反対側の面の六角形の長さを40mm±10%として両面における空間部分を適正に設けたことにより、樹脂製繊維の組み合わせによる歪が抑えられ、それによる異音の発生を抑えて、枕としての快適な使用が確保される。なお、頭部側の六角形の長さを20mm±10%とすることがより好ましく、これにより頭部が当たる側の面の平坦性が確保され、ネット部材に対する頭部の当りが良好になる。
また、本発明において、反対側のラッセル編み面にて、複数の六角形の一部について多孔質樹脂材料製の補強部材を内側空間に挿嵌固定させることが可能である。これにより、ネット部材の強度が高められるため、重い頭部を載せたりあるいは長期の使用によってもネット部材のヘタリが抑えられる。その結果、ネット部材の長期にわたっての継続使用が可能になる。また、この補強部材は簡単に着脱可能に挿嵌されるものであるから、ネット部材の使用状態に応じて、補強部材の取り付け位置や取付個数を任意に選択することができる。
また、本発明において、基部の一端側の、首が当たる部分に樹脂線維を編んだ伸縮性と通気性を有する首当て部材を取り付けることができる。なお、首当て部材の材質としては、ポリエステル系熱可塑性樹脂からなる網状構造体である、東洋紡績株式会社製の商品名「ブレスエアー」を用いることが好ましい。これにより、仰臥したときに、頭部と首の間の高さの差が解消されるため、安心感が得られスムーズな寝つきが促される。また、首当て部材が伸縮性があるため、就寝後には首の位置が自然に下降して、頭部と脊椎を真っ直ぐに繋げるための妨げにはならない。さらに、首当て部材が通気性を有するため、枕全体として頭部を冷却する効果が高められる。
また、本発明において、基部の下側に、厚さ調節用の敷き板を配設してもよい。これにより、人によって異なる枕の高さを微調節することができる。また、敷き板として樹脂製の多孔質材料とした場合には、この部分での通気性が得られることにより枕全体の頭部冷却作用に寄与することができる。
本発明によれば、長方形のネット部材が、樹脂線維を用いたラッセル編み面が6角形を蜂の巣状に連続して組み合わされ、またラッセル編み面間が多数の樹脂線維で彎曲状につなぎ合わされて厚さ18mm〜24mmの範囲にされたことにより、頭部を載せたときに沈み込みがなく容易に転がることができると共に適度な弾発力により当りが良く、そのため、頭部の一点への重力圧が加わることを自然に避けることができ、頭部の不快感を抑えることができる。また、本発明によれば、ネット部材は全体が多くの空間部分を含んでいるため、良好な冷却作用が発揮されて頭部の冷却がスムーズに行われ、また、成人が仰臥して頭部を枕に載せたとき、脊椎と頭部が自然に真っ直ぐにされるので、頭部と脊椎との間で脳脊髄液や血液がスムーズに循環流通させられる。その結果、本発明においては、枕に起因する不眠の原因が解消し、頭部の自由な動きと冷却効果により、寝返り回数を激減させ、安眠効果が高められる。また、本発明においては、反対側のラッセル編み面にて、複数の六角形の一部について多孔質樹脂材料製の補強部材を内側空間に挿嵌固定させることにより、重い頭部を載せたりあるいは長期の使用によってもネット部材のヘタリが抑えられる。
本発明の一実施例である枕を示す正面図である。 同枕を示す底面図である。 同枕を拡大して示す拡大側面図である。 同枕の要部であるネット部材の一部を拡大して示す拡大正面図である。 同ネット部材の側面の一部を拡大して示す拡大側面図である。 変形例であるネット部材の一部を拡大して示す拡大正面図である。 同ネット部材の側面の一部を拡大して示す拡大側面図である。
以下、本発明の一実施例について図面を用いて説明する。図1,図2は一実施例である枕を正面図及び底面図により示し、図3は枕の側面を拡大側面図により示したものである。枕10は、布製袋カバー15で包まれたネット部材11と、ネット部材11の一側縁側に置かれた首当て部材17と、ネット部材11の下側に配設された敷き板21と、これらを包む布製の外カバー23とを備えている。
ネット部材11は、熱可塑性のポリエステル樹脂繊維製で縦250mm×横500mm×高さ20mmの長方形の厚板状であり、福井ファイバーテック株式会社製の商品名ダブルラッセルネットFU−08250(以下、単にWラッセルネットと記す。)が好適に用いられる。Wラッセルネットは、頭部を載せる片側の上ラッセル編み面12が、対向する一対の辺の長さが他の辺の長さより長い六角形を蜂の巣状に連続して組み合わせたもので、六角形の長手方向長さが20mm±10%であり、ポリエステル製の250デニールのマルチファイバーによりラッセル織によって形成されている。また、Wラッセルネットの反対側の下ラッセル編み面13も、上ラッセル編み面12と同様の六角形を蜂の巣状に連続して組み合わせたもので、六角形の長手方向長さが40mm±10%であり、ポリエステル製の500デニールのマルチファイバーによりラッセル織によって形成されている。両ラッセル編み面12,13の間は、対向する上ラッセル編み面12の六角形と下ラッセル編み面13の六角形間を、ポリエステル製の1000デニールのモノファイバーにより織って彎曲状のパイル部14として連結させている。このように両ラッセル編み面12,13とパイル部14を織った後、織った繊維を180℃で加熱しながら引っ張ってNBR加工を施すことにより、Wラッセルネットとして形成される。このように、Wラッセルネットは多孔質で、重量が550g/m±10%の軽量な材質であり、ネット部材11の重量が62〜76g程度と非常に軽量となる。
ネット部材11全体には筒状の布製カバー15が巻き付けて被せられている。ネット部材11の首が当たる部分である一側端側(図示右側)に沿って、首当て部材17が載置される。首当て部材17は、樹脂線維からなる伸縮性と通気性を有する材質で形成され、縦70mm×横500mm×高さ15〜30mmの長方形の厚板状であり、縦方向の両端側が曲面状に丸められている。首当て部材17の材質としては、適度な伸縮性と通気性を有するポリエステル系熱可塑性樹脂からなる網状構造体である東洋紡績株式会社製の商品名ブレスエアーが好適に用いられる。首当て部材17全体にも布製カバー18が巻き付けられて被せられている。なお、首当て部材17については場合によってはこれを省くことも可能である。
ネット部材11の下側には、厚さ調節用の敷き板21が配設される。敷き板21は、伸縮性と通気性を有する厚さ4mm程度のウレタン等の樹脂製のスポンジ板であればよく、これを1〜3枚程度敷くことにより、頭部の高さの違いに応じて枕10全体の高さを20〜40mmに調節すればよい。ただし、敷き板21については特に材質は問われず、木製の板等を用いることも可能である。頭部の高さに合わせた敷き板21上に、布製カバー15が巻き付けられたネット部材11を載せ、その一端側に布製カバー18が巻き付けられた首当て部材17を載置した状態で、全体を布製の外カバー23で巻き付けてその両端を両面テープ24で固定させ、さらに外カバー23の両側の各2箇所に設けた紐25を縛り付けることにより、ネット部材11、首当て部材17、敷き板21が動かないように固定されて枕10として形成される。
上記構成の実施例においては、長方形のネット部材11が、ポリエステル樹脂線維を用いたラッセル編み面12,13が6角形を蜂の巣状に連続して組み合わされ、ラッセル編み面12,13間が多数のポリエステル樹脂で彎曲状につなぎ合わされて厚さ18mm〜24mmにされていることにより、縦方向の強度が確保されると共に両面間に適度な弾発力が付与される。そのため、頭部が枕10上を自由に転がることができ、頭部の一点への重力圧が加わることを自然に避けることができ、また常に屈曲、伸展を繰り返す頭部の動きを適度な弾発力により吸収することができるので、頭部が不快な負荷を感じることがない。さらに、ネット部材11は、全体が多くの空間部分を含んでいるため、内部の空気の流通が円滑に行われるため良好な冷却作用が発揮され、頭部の冷却がスムーズに行われる。また、ネット部材11の厚さが18mm〜24mmの範囲内であることにより、成人が仰臥して頭部を枕10に載せたとき、脊椎と頭部が自然に真っ直ぐにされるので、頭部と脊椎との間で脳脊髄液や血液がスムーズに縦貫して循環流通させられる。その結果、本実施例においては、枕に起因する不眠の原因が解消し、頭部の自由な動きと冷却効果により、寝返り回数を激減させ、安眠効果が高められる。
また、ネット部材11の頭部を載置する上ラッセル編み面12の六角形の長さを20mm±10%、底部側の下ラッセル編み面13の六角形の長さを40mm±10%としたことにより、ネット部材11として必要な硬さを維持しつつ全体としての弾発性が高められるため、頭部の転がり運動がスムーズに行われ、枕に対する違和感が抑えられる。また、上ラッセル編み面12の六角形の長さ20mm±10%とし、下ラッセル編み面13の六角形の長さを40mm±10%として両面における空間部分を適正に設けたことにより、ポリエステル繊維の組み合わせによる歪が抑えられ、それによる異音の発生を抑えて、枕としての快適な使用が確保される。さらに、ネット部材11の一端側の、首が当たる部分に商品名ブレスエアーによる伸縮性と通気性を有する首当て部材17を配設したことにより、仰臥したときに、頭部と首の間の高さの差が解消されるため、安心感が得られスムーズな寝つきが促される。また、首当て部材17が伸縮性があるため、就寝後には首の位置が自然に下降して、脊椎と頭部を真っ直ぐにつなげるための妨げにはならない。さらに、首当て部材17が通気性を有するため、枕10全体として頭部を冷却する効果が高められる。
また、本実施例において、ネット部材11の下側に、厚さ調節用の敷き板21を配設されていることにより、人によって異なる枕の高さを微調節することができる。また、敷き板21として樹脂製の多孔質材料を用いているため、この部分での通気性が得られることにより枕の冷却作用に寄与することができる。さらに、枕10は、ネット部材11、首当て部材17、敷き板21がいずれも安価な材料であるため、安価に提供され手軽に利用可能である。また、枕10は、ネット部材11、首当て部材17、敷き板21共に樹脂製で柔軟性のある多孔質構造であり、枕の総重量が約200〜250g程度と非常に軽量であると共に厚さも薄いため、持ち運びに便利であり、旅行等にも携帯することも可能である。また、枕10は、ネット部材11、首当て部17、敷き板21を布製カバー15,18,23で包んで組み合わせたものであるため、簡単に分離して洗うことができるので、常に清潔に保つことが容易である。
つぎに、上記実施例の変形例について説明する。変形例では、図6、図7に示すように、ネット部材11の下ラッセル編み面13にて、複数の六角形の一部について弾発性を有するウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等の多孔質樹脂材料製の六角形の補強部材27がその内部空間に着脱可能に挿嵌固定されるようになっている。これにより、ネット部材11の強度が高められるため、重い頭部を載せたりあるいは長期の使用によってもネット部材11のヘタリが抑えられる。その結果、ネット部材11の長期にわたっての継続使用が可能になる。また、この補強部材27は着脱可能に挿嵌されるものであるから、ネット部材11の使用状態に応じて、補強部材27の取り付け位置や取付個数を任意に選択することができる。
なお、上記実施例において、首当て部材、敷き板については、必要に応じて省くことができる。また、上記実施例では、ネット部材、首当て部材を布製カバーで包んでいるが、必要に応じてカバーを省くこともできる。また、上記実施例において枕の横寸法を約半分程度に短くして携帯用の持ち運びに便利な簡易な枕とすることもできる。その他、上記実施例に示した枕については一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更して実施することができる。
本発明の枕は、頭部を載せたときに沈み込みがなく容易に転がることができ、頭部の一点への重力圧が加わることを自然に避けることができることにより頭部の不快感が抑えられ、全体が多くの空間部分を含んでいるため良好な冷却作用が発揮されて頭部の冷却がスムーズに行われ、脊椎と頭部が自然に真っ直ぐにされるので、頭部と脊椎との間で脳脊髄液や血液がスムーズに縦貫して流通させられるため、枕に起因する不眠の原因が解消したことにより、快適な睡眠をとりやすくなり、疲れを効果的に解消することができるので、有用である。
10…枕、11…ネット部材、17…首当て部材、21…敷き板、23…外カバー。

Claims (6)

  1. 長方形の厚板状であって、両面が樹脂線維を用いたラッセル編みにより線状の6角形を蜂の巣状に連続して組み合わせたラッセル編み面になっており、該両ラッセル編み面間を前記樹脂線維で彎曲状に編んでつなぎ合わせ、加熱状態で引き伸ばされると共に樹脂加工が施された厚さ18mm〜24mmのネット部材を布製のカバーで包んでなることを特徴とする枕。
  2. 前記ネット部材の片側のラッセル編み面の六角形の最長長さを20mm±10%とし、反対側のラッセル編み面の六角形の最長長さを40mm±10%としたことを特徴とする請求項1に記載の枕。
  3. 前記反対側のラッセル編み面にて、複数の六角形の一部について多孔質樹脂材料製の補強部材を内側空間に挿嵌固定させたことを特徴とする請求項2に記載の枕。
  4. 前記ネット部材の首が当たる部分である一側端側に沿って樹脂線維を編んだ伸縮性と通気性を有する首当て部材を配設したことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の枕。
  5. 前記ネット部材の下側に、厚さ調節用の敷き板を配設したことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の枕。
  6. 前記敷き板を、樹脂製の多孔質材料としたことを特徴とする請求項5に記載の枕。
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