JP2010245435A - 発光素子用エピタキシャルウェハおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】蓄積された製造技術やノウハウを活かしつつ、p型不純物の拡散を抑えた発光素子用エピタキシャルウェハを提供する。
【解決手段】n型GaAs基板2上に、少なくともAlGaInP系材料からなるn型クラッド層3、活性層5、p型クラッド層7およびp型GaAsキャップ層8を順次積層したダブルヘテロ構造を有する発光素子用エピタキシャルウェハにおいて、p型クラッド層7中のp型不純物が炭素とマグネシウムであり、p型GaAsキャップ層8中のp型不純物が炭素と亜鉛であるものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、主にLD(Laser Diode)、LED(Light Emitted Diode)などの発光素子用エピタキシャルウェハおよびその製造方法に関するものである。
AlGaInP系の半導体を用いた赤色のレーザーダイオード(LD)は、デジタルバーサタイルディスク(DVD)の読み書き用の光源として広く用いられている。
このLDに用いられるAlGaInP系の発光素子用エピタキシャルウェハは、有機金属気相成長法(MOVPE法)を用いて、n型GaAs基板上に、AlGaInP系材料からなるn型クラッド層、アンドープガイド層、アンドープ活性層、アンドープガイド層、p型クラッド層およびp型GaAsキャップ層を順次積層して形成される。
上記p型クラッド層(p型AlGaInPクラッド層)の成長時には、n型GaAs基板に、ジエチル亜鉛(DEZ)、ジメチル亜鉛(DMZ)などをドーピング原料として流し、p型キャリアである亜鉛(Zn)を含有させて成長させていた(例えば、特許文献1参照)。
このように、従来の発光素子用エピタキシャルウェハにおいては、p型クラッド層にp型キャリアとしてZnを含有させていたが、Znは拡散性が高く、近傍層に拡散してしまう。
Znが拡散することにより、(1)p型クラッド層の深さ方向のキャリア濃度(Zn濃度)が不均一になる、(2)近傍層にあたる活性層にZnが入り込んでしまう、といった問題が生じ、(1)、(2)の状態のエピタキシャルウェハをデバイス加工すると、LDの特性が悪化し、例えば、重要なデバイス特性である動作電流値Iopが上昇してしまう。
動作電流値Iopが上昇するとLDの信頼性が低下し、すなわち寿命が低下するので大きな問題である。
この問題を低減させるために、p型クラッド層のp型不純物として、比較的拡散が小さいマグネシウム(Mg)を用いた発光素子用エピタキシャルウェハが提案されている(例えば、特許文献2参照)。あるいは、p型不純物として、さらに拡散が小さい炭素(C)を用いた発光素子用エピタキシャルウェハが提案されている(例えば、特許文献3〜5)。
特開2002−25920号公報 特開2007−96267号公報 特開平10−256647号公報 特開2004−207682号公報 特開平11−68252号公報
しかしながら、p型クラッド層にMgが存在すると、相互拡散によってその上層であるp型キャップ層のZnの拡散が促進されて、結局Znが活性層中まで拡散してしまい、対策として拡散防止層を挿入するなどによる構造の複雑化や製造コスト高を招いている。
そして、Cドーピングの場合は、Cは両性不純物であるため、製造条件によってはn型にもなってしまう。Cをp型高濃度ドーピングするには、成長温度を大きく下げたり、III族原料とV族原料とのV/III比を大きく下げたりする必要があるが、そのような製造条件は結晶性の低下を招く問題がある。結晶性が低下すると素子の信頼性の低下を招いてしまう。
また、p型クラッド層や活性層へのZn、Mgの拡散がほぼ全くなくなると、従来、Zn、Mgの拡散を想定して、安定した所望の発光特性を得るよう設計されたLD構造の変更が大幅に必要となる可能性がある。さらに、製造条件変更が必要となり、蓄積された製造技術やノウハウを活かすことができない可能性がある。
そこで、本発明の目的は、蓄積された製造技術やノウハウを活かしつつ、p型不純物の拡散を抑えた発光素子用エピタキシャルウェハおよびその製造方法を提供する。
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、請求項1の発明は、n型GaAs基板上に、少なくともAlGaInP系材料からなるn型クラッド層、活性層、p型クラッド層およびp型GaAsキャップ層を順次積層したダブルヘテロ構造を有する発光素子用エピタキシャルウェハにおいて、前記p型クラッド層中のp型不純物が炭素とマグネシウムを含み、前記p型GaAsキャップ層中のp型不純物が炭素と亜鉛を含む発光素子用エピタキシャルウェハである。
請求項2の発明は、前記活性層中の炭素原子濃度が、5.0×1015cm-3以下であり、前記p型クラッド層中の炭素原子濃度が、4.0×1017cm-3以上9.0×1017cm-3以下である請求項1に記載の発光素子用エピタキシャルウェハである。
請求項3の発明は、前記活性層中の亜鉛原子濃度が、1.1×1016cm-3以上1.8×1016cm-3以下である請求項1または2に記載の発光素子用エピタキシャルウェハである。
請求項4の発明は、前記活性層中のマグネシウム原子濃度が、1.0×1016cm-3以上1.6×1016cm-3以下である請求項1〜3のいずれかに記載の発光素子用エピタキシャルウェハである。
請求項5の発明は、加熱されたn型GaAs基板に、III族原料ガス、V族原料ガス、キャリアガスおよびドーパント原料ガスを供給して、前記n型GaAs基板上に、少なくともAlGaInP系材料からなるn型クラッド層、活性層、p型クラッド層を有するダブルヘテロ構造およびp型GaAsキャップ層を有するエピタキシャル層を成長させる発光素子用エピタキシャルウェハの製造方法において、前記p型クラッド層の成長時に、炭素とマグネシウムを同時にドーピングし、前記p型GaAsキャップ層の成長時に、炭素と亜鉛を同時にドーピングする発光素子用エピタキシャルウェハの製造方法である。
請求項6の発明は、前記p型クラッド層および前記p型GaAsキャップ層の炭素のドーピングは、ドーパント原料ガスとしてCBr4を供給することにより行う請求項5に記載の発光素子用エピタキシャルウェハの製造方法である。
請求項7の発明は、前記p型クラッド層および前記p型GaAsキャップ層の炭素のドーピングは、成長温度およびIII族原料とV族原料とのV/III比の調整による有機金属原料からのオートドーピングにより行う請求項5に記載の発光素子用エピタキシャルウェハの製造方法である。
請求項8の発明は、前記p型クラッド層の炭素のオートドーピングは、成長温度630℃以上680℃以下、V/III比95以上175以下で行い、前記p型GaAsキャップ層の炭素のオートドーピングは、成長温度630℃以上680℃以下、V/III比10以上40以下で行う請求項7に記載の発光素子用エピタキシャルウェハの製造方法である。
本発明によれば、従来の製造技術を活かしつつ、p型不純物の拡散を抑えることができる。
本発明の発光素子用エピタキシャルウェハの一例を示す概略的な断面構造図である。 実施例および比較例の発光素子用エピタキシャルウェハのp型クラッド層から活性層付近のドーパント原子分布を示す図である。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
図1は、本発明の発光素子用エピタキシャルウェハの一例を示す概略的な断面構造図である。
図1に示すように、本発明の発光素子用エピタキシャルウェハ1は、n型GaAs基板2上に、AlGaInP系材料からなるn型クラッド層3、アンドープガイド層4、アンドープの活性層5、アンドープガイド層6、p型クラッド層7およびp型GaAsキャップ層8を順次積層して形成される。
また、図示していないが、エッチングや蒸着などにより、例えば、p型GaAsキャップ層8上の一部にp側電極が、またn型GaAs基板2側にn側電極がぞれぞれ形成される。
n型クラッド層3には、n型不純物としてシリコン(Si)がドープされている。
p型クラッド層7には、p型不純物として炭素(C)とマグネシウム(Mg)がドープされており、p型GaAsキャップ層8には、p型不純物として炭素と亜鉛(Zn)がドープされている。
この理由を以下に述べる。
背景技術で説明したように、従来はp型キャリアとしてZnや、Znより拡散定数の小さいMgを含有させていたが、Znは拡散性が高くp型クラッド層の近傍層に拡散してしまい、またMgは相互拡散によってその上層であるp型GaAsキャップ層のZnの拡散が促進されて、結局Znが活性層中まで拡散してしまい、結果としてエピタキシャルウェハをデバイス化したときに、発光素子の信頼性を低下させていた。
そこで、さらに拡散定数の小さいCのみをドープすることが提案されているが、Cのみを用いてp型高濃度ドーピングすることは容易ではなく、またp型ドーパントの拡散がほぼなくなってしまうのは望ましくない。
本発明の発光素子用エピタキシャルウェハ1では、MgやZnと共にCをp型ドーパントとしてドープすることで、MgやZnの拡散、及びMgとZnの相互拡散を抑えて、p型クラッド層7やp型GaAsキャップ層8におけるキャリア濃度の均一性を保つようにしている。
ここで、活性層5中の原子濃度は、Zn原子が1.1×1016cm-3以上1.8×1016cm-3以下、Mg原子が1.0×1016cm-3以上1.6×1016cm-3以下、C原子が5.0×1015cm-3以下の範囲であることが好ましい。活性層5中のZn、MgおよびCの原子濃度がこの範囲であれば、半導体発光素子特性を安定させることができ、また、Zn、Mgの拡散を想定して設計された素子の構造および素子工程などの製造条件変更が必要ない。
また、p型クラッド層7のC原子濃度は、4.0×1017cm-3以上9.0×1017cm-3以下が好ましい。
この発光素子用エピタキシャルウェハ1の製造には、有機金属気相成長法(MOVPE法)が用いられる。すなわち、気相成長装置内に設置したn型GaAs基板2を加熱し、加熱したn型GaAs基板2に、各エピタキシャル層に必要なIII族原料ガス、V族原料ガス、キャリアガスおよびドーパント原料ガスを供給し、n型GaAs基板2上にIII−V族化合物半導体のエピタキシャル層を順次成長させて形成する。
III族原料ガスとしては、例えば、Al(CH33(TMA:トリメチルアルミニウム)、Al(C253、Ga(CH33(TMG:トリメチルガリウム)、Ga(C253、In(CH33(TMI:トリメチルインジウム)、In(C253を用い、またはこれらを組み合わせて用いる。
また、V族原料ガスとしては、例えば、PH3(フォスフィン)、TBP(ターシャリーブチルホスフィン)、AsH3(アルシン)、As(CH33、TBA(ターシャリーブチルアルシン)、NH3(アンモニア)を用い、またはこれらを組み合わせて用いる。
キャリアガスとしては、H2(水素)、N2(窒素)もしくはAr(アルゴン)を用い、またはこれらを組み合わせて用いる。
n型ドーパント原料ガスとしては、例えば、Si26(ジシラン)、SiH4(シラン)、H2Se、Te(C252を用い、またはこれらを組み合わせて用いる。
p型ドーパントのCのドーピングとしては、III族原料ガスとV族原料ガスとのV/III比の調整による有機金属原料からのオートドーピング、または成長温度の調整による有機金属原料からのオートドーピング、またはCBr4(四臭化炭素)ガスを用いる方法がある。
Cのドーピングを、成長温度およびV/III比の調整による有機金属原料からのオートドーピングにより行う場合には、p型クラッド層7のCのオートドーピングを、成長温度630℃以上680℃以下、V/III比95以上175以下で行い、p型GaAsキャップ層8のCのオートドーピングを、成長温度630℃以上680℃以下、V/III比10以上40以下で行うとよい。これにより、上述の最適な拡散を実現できる。
p型ドーパントのMgのドーピングとしては、Cp2Mgを用いる。p型ドーパントのZnのドーピングとしては、DEZ(ジエチル亜鉛)、DMZ(ジメチル亜鉛)を用いる。
本発明では、上記のドーピング方法でp型クラッド層7の成長時に、p型キャリアとしてCとMgを含有させている。CはMgよりも拡散が少ないため、Mgドーピングのみに比べて、p型クラッド層7の近傍層である活性層5への拡散を低減できる。
適度に拡散させたい場合(つまり、活性層5中のMg原子濃度を高くする場合)は、p型クラッド層7中のCとMgのドーピング割合をMgが増すように調整すればよい。
また、p型GaAsキャップ層8の成長時には、p型キャリアとしてCとZnを含有させている。p型GaAsキャップ層8とp側電極との接触抵抗を可能な限り低くする必要性から、p型GaAsキャップ層8にはp型クラッド層7より一桁以上高いキャリア濃度が要求されるが、MgをGaAsに高濃度ドーピングすることができないからである。そのため、ZnとMgではMgの方が拡散定数は小さいが、Znを用いている。
CはZnよりも拡散が少ないため、Znドーピングのみに比べて、p型GaAsキャップ層8からp型クラッド層7へのZnの拡散量を抑え、p型クラッド層7に拡散したZnの活性層5への拡散を低減できる。
適度に拡散させたい場合(つまり、活性層5中のZn原子濃度を高くする場合)は、p型GaAsキャップ層8中のCとZnのドーピング割合をZnが増すように調整すればよい。
また、p型クラッド層7やp型GaAsキャップ層8を完全にCのみのドーピングとする場合には、成長温度を大きく下げたり、III族原料ガスとV族原料ガスとのV/III比を大きく下げたりしなければならない場合がある(一般にCはドーピングしにくい)。
一方でそのような製造条件は結晶性の低下を引き起こすことがあったが、本発明では比較的ドーピングしやすいMgやZnのドーピングも同時に行うため、Cのみのドーピングとする場合ほど成長温度やV/III比を大きく下げる必要はない。
本発明の発光素子用エピタキシャルウェハ1では、p型クラッド層7にCとMgが、p型GaAsキャップ層8にCとZnがドープされている。p型ドーパントとして拡散しにくいCを併用することで、p型不純物としてのZnやMgのドーピング量を低減し、p型クラッド層7、p型GaAsキャップ層8からの活性層5へのZnやMgの拡散を所望の範囲にすることができる。
そのため、本発明の発光素子用エピタキシャルウェハ1を用いることにより、従来の素子作製プロセスを大きく変更することなく、動作電流値Iopが低く、信頼性が高い高寿命の発光素子を得ることができる。
また、従来のようにp型クラッド層のp型不純物にZnまたはMgを用いた場合には、ZnまたはMgの活性層への拡散によって結晶性が悪化し、その結果、フォトルミネッセンス(PL)測定を行って評価すると、ZnまたはMgドーピング量の増加に伴って発光スペクトルの半値幅が急激に増大してしまう。
特に、Znの場合、キャリア濃度が6.0×1017cm-3以上になると、その傾向は顕著となるため、従来にあっては、p型クラッド層のキャリア濃度を4.0×1017cm-3程度に低く抑えていた。p型クラッド層のキャリア濃度が低いと、動作電流値Iopが悪化してしまう。
これに対して、本発明では、p型クラッド層7のキャリア濃度を8.0×1017cm-3以上としても、ドーピングされた不純物のある一定割合が拡散の少ないCであるので、活性層5への拡散が少なく、拡散による結晶性の悪化を抑制でき、PL発光の半値幅を低く維持することができる。
本実施の形態においては、p型クラッド層7のドーピングはC+Mgであるが、C+ZnまたはC+Mg+Znでもよい。同様に、本発明のp型GaAsキャップ層8のドーピングはC+Znであるが、C+MgまたはC+Mg+Znでもよい。
また、本実施の形態において、n型GaAs基板2とn型クラッド層3との間にバッファ層を設けたり、アンドープガイド層4、6を省いたり、活性層5を多重量子井戸構造に変更したり、あるいはp型GaAsキャップ層8をAlGaAs、GaPなどの他のp型半導体層に変更したりするなど種々に変更可能である。
(実施例)
本実施例では、一例としてDVDの読み書き用の光源として用いられる赤色レーザーダイオード用のLD用エピタキシャルウェハを作製した。その構造は図1に示した発光素子用エピタキシャルウェハと同様である。
本実施例のLD用エピタキシャルウェハは、n型GaAs基板2(厚さ500μm、目標とするキャリア濃度8.0×1017cm-3)上に、Siドープのn型(Al0.65Ga0.350.5In0.5Pからなるn型クラッド層3(厚さ2.5μm、目標とするキャリア濃度8.0×1017cm-3)、アンドープ(Al0.3Ga0.70.5In0.5Pからなるアンドープガイド層4(厚さ0.02μm)、アンドープ(Al0.05Ga0.950.5In0.5Pからなる活性層5、アンドープ(Al0.3Ga0.70.5In0.5Pからなるアンドープガイド層6(厚さ0.02μm)、CおよびMgドープのp型(Al0.65Ga0.350.5In0.5Pからなるp型クラッド層7(厚さ2.0μm、目標とするキャリア濃度1.0×1018cm-3)、CおよびZnドープのp型GaAsキャップ層8(厚さ1.5μm、目標とするキャリア濃度3.0×1019cm-3)のエピタキシャル層を順次積層したものである。
このLD用エピタキシャルウェハは、気相成長装置の反応炉内にn型GaAs基板を設置し、MOVPE法を用いて作製した。成長温度(n型GaAs基板に対向する面に設置した放射温度計で測定したn型GaAs基板の表面温度)は800℃、成長圧力(反応炉内の圧力)は約10666Pa(80Torr)、キャリアガスは水素である。
各エピタキシャル層の成長時に供給した原料流量は次の通りである。
n型クラッド層3では、TMG:0.012(L/分)、TMA:0.004(L/分)、TMI:0.02(L/分)、Si26:0.51(L/分)、PH3:1.8(L/分)である。
アンドープガイド層4では、TMG:0.014(L/分)、TMA:0.003(L/分)、TMI:0.02(L/分)、PH3:1.8(L/分)である。
活性層5では、TMG:0.016(L/分)、TMA:0.002(L/分)、TMI:0.024(L/分)、PH3:1.8(L/分)である。
アンドープガイド層6では、TMG:0.014(L/分)、TMA:0.003(L/分)、TMI:0.02(L/分)、PH3:1.8(L/分)である。
p型クラッド層7では、TMG:0.012(L/分)、TMA:0.004(L/分)、TMI:0.02(L/分)、CBr4:0.02(L/分)、Cp2Mg:0.04(L/分)、PH3:1.8(L/分)である。
p型GaAsキャップ層8では、TMG:0.012(L/分)、CBr4:0.05(L/分)、DEZ:0.2(L/分)、AsH3:2(L/分)である。
アンドープ(Al0.05Ga0.950.5In0.5Pからなる活性層5中のZn、C、Mgの各原子濃度は、Zn原子が1.1×1016cm-3以上1.8×1016cm-3以下、Mg原子が1.0×1016cm-3以上1.6×1016cm-3以下、C原子が5.0×1015cm-3以下の範囲であることが好ましい。実施例では、活性層5中のZn、C、Mg原子濃度が所望の範囲となるように、p型クラッド層7中のp型ドーパントであるCBr4、Cp2Mgを調整し、p型GaAsキャップ層8中のp型ドーパントであるCBr4、TMZを調整した。
例えば、活性層5中のZn原子濃度を高くする場合には、p型クラッド層7へのMgドーピング量を増やし、ZnとMgの相互拡散を促進させてもよい。また、p型GaAsキャップ層8へのZnドーピング量を増やしてZnの拡散を促進させてもよい。
本実施例では、CBr4を供給することによりCのドーピングを行ったが、成長温度およびIII族原料とV族原料とのV/III比の調整による有機金属原料からのオートドーピングにより行う場合には、成長温度を630℃以上680℃以下とし、V/III比を、n型クラッド層3、アンドープガイド層4、6では115以上175以下とし、活性層5では130以上190以下とし、p型クラッド層7では95以上175以下とし、p型GaAsキャップ層8では10以上40以下としてエピタキシャル成長させるとよい。
また、各層のアルミ組成比は記載値の±0.1、キャリア濃度、厚さは記載値の±10%の範囲とするとよい。実施例ではp型クラッド層7は、(Al0.65Ga0.350.5In0.5Pとしたが、(Al0.55Ga0.450.5In0.5Pとしてもよい。p型クラッド層のC原子濃度は、4.0×1017cm-3以上9.0×1017cm-3以下が好ましい。
(比較例)
比較例として、実施例のp型クラッド層7を、Mgドープのp型クラッド層に、またp型GaAsキャップ層8を、Znドープのp型GaAsキャップ層に変更したLD用エピタキシャルウェハを作製した。
実施例との相違点は、p型クラッド層の成長時に供給するp型ドーピング原料が、CBr4とCp2MgではなくCp2Mgだけ(原料流量0.07(L/分))である点、およびp型GaAsキャップ層の成長時に供給するp型ドーピング原料が、CBr4とDEZではなくDEZだけ(原料流量0.3(L/分))である点のみであり、他の成長条件は全て同じである。
(実施例と比較例の比較)
実施例および比較例のLD用エピタキシャルウェハに対して、p型クラッド層から活性層にかけてドーパント原料濃度分布を測定した。その結果を図2に示す。
図2に示すように、実施例では比較例よりも活性層でのMg、Zn濃度が低くなっている。
実施例も比較例もp型クラッド層の目標とするキャリア濃度は1.0×1018cm-3としたが、比較例では、p型クラッド層中のMgドーピング量が多いため、活性層中にMgが拡散し、Mg原子濃度が高くなっている。
これに対し実施例では、p型クラッド層7中のMgドーピング量が少なく、活性層5中のMg原子濃度も低く抑えられている。また、実施例ではp型GaAsキャップ層8からの活性層5へのZnの拡散原子濃度も低く抑えられていることが分かる。
ここでは、p型クラッド層から活性層へのMgの拡散について述べたが、同様にp型GaAsキャップ層から活性層へのZnの拡散も同様に抑制することができる。
実施例と比較例のLD用エピタキシャルウェハからLDを作製し、動作電流値Iopを測定したところ、実施例のLD用エピタキシャルウェハから作製したLDの動作電流値Iopは67(mA)、比較例のLD用エピタキシャルウェハから作製したLDの動作電流値Iopは80(mA)であった。
以上より、実施例のLD用エピタキシャルウェハでは、LDの動作電流値Iopを低く抑えることができ、LDの信頼性・長寿命化が図れることが確認された。
本実施例では、LD用エピタキシャルウェハについて述べたが、本発明を他の発光素子用エピタキシャルウェハ、例えばLED用エピタキシャルウェハなどに適用しても同様に、発光素子の信頼性・長寿命化が図れる。
1 発光素子用エピタキシャルウェハ
2 n型GaAs基板
3 n型クラッド層
5 活性層
7 p型クラッド層
8 p型GaAsキャップ層

Claims (8)

  1. n型GaAs基板上に、少なくともAlGaInP系材料からなるn型クラッド層、活性層、p型クラッド層およびp型GaAsキャップ層を順次積層したダブルヘテロ構造を有する発光素子用エピタキシャルウェハにおいて、
    前記p型クラッド層中のp型不純物が炭素とマグネシウムを含み、前記p型GaAsキャップ層中のp型不純物が炭素と亜鉛を含むことを特徴とする発光素子用エピタキシャルウェハ。
  2. 前記活性層中の炭素原子濃度が、5.0×1015cm-3以下であり、前記p型クラッド層中の炭素原子濃度が、4.0×1017cm-3以上9.0×1017cm-3以下である請求項1に記載の発光素子用エピタキシャルウェハ。
  3. 前記活性層中の亜鉛原子濃度が、1.1×1016cm-3以上1.8×1016cm-3以下である請求項1または2に記載の発光素子用エピタキシャルウェハ。
  4. 前記活性層中のマグネシウム原子濃度が、1.0×1016cm-3以上1.6×1016cm-3以下である請求項1〜3のいずれかに記載の発光素子用エピタキシャルウェハ。
  5. 加熱されたn型GaAs基板に、III族原料ガス、V族原料ガス、キャリアガスおよびドーパント原料ガスを供給して、前記n型GaAs基板上に、少なくともAlGaInP系材料からなるn型クラッド層、活性層、p型クラッド層を有するダブルヘテロ構造およびp型GaAsキャップ層を有するエピタキシャル層を成長させる発光素子用エピタキシャルウェハの製造方法において、
    前記p型クラッド層の成長時に、炭素とマグネシウムを同時にドーピングし、前記p型GaAsキャップ層の成長時に、炭素と亜鉛を同時にドーピングすることを特徴とする発光素子用エピタキシャルウェハの製造方法。
  6. 前記p型クラッド層および前記p型GaAsキャップ層の炭素のドーピングは、ドーパント原料ガスとしてCBr4を供給することにより行う請求項5に記載の発光素子用エピタキシャルウェハの製造方法。
  7. 前記p型クラッド層および前記p型GaAsキャップ層の炭素のドーピングは、成長温度およびIII族原料とV族原料とのV/III比の調整による有機金属原料からのオートドーピングにより行う請求項5に記載の発光素子用エピタキシャルウェハの製造方法。
  8. 前記p型クラッド層の炭素のオートドーピングは、成長温度630℃以上680℃以下、V/III比95以上175以下で行い、前記p型GaAsキャップ層の炭素のオートドーピングは、成長温度630℃以上680℃以下、V/III比10以上40以下で行う請求項7に記載の発光素子用エピタキシャルウェハの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101262726B1 (ko) 2011-12-30 2013-05-09 일진엘이디(주) 탄소 도핑된 p형 질화물층을 포함하는 질화물계 발광소자 제조 방법
JP2014229900A (ja) * 2013-05-17 2014-12-08 アイメックImec Iii−v族デバイスおよびその製造方法

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