JP2010245017A - リチウムイオン電池用電極の製造方法及びリチウムイオン電池用電極 - Google Patents

リチウムイオン電池用電極の製造方法及びリチウムイオン電池用電極 Download PDF

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Abstract

【課題】ニトリル化合物を全く含まない電解液を用いたリチウムイオン電池の電極として用いた場合でも、電位窓が広くて高い電位においても電解液が分解し難く、充放電が高い正電位の領域にまで及ぶ物質を正極活物質として利用することが可能なリチウムイオン電池用電極の製造方法及びリチウムイオン電池用電極を提供する。
【解決手段】本発明のリチウムイオン電池用電極の製造方法は、浸漬処理工程として、リチウムイオン電池の電解液に電極を接触させる前に、該電極を、ニトリル化合物を10容量%以上含む有機溶媒中にリチウム塩が溶解した前処理用電解液中に浸漬する浸漬処理工程と、該前処理用電解液に浸漬した状態で該電極に正電圧を付与する正電圧処理とを有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン電池用電極の製造方法及びリチウムイオン電池用電極に関する。
従来のリチウムイオン電池は、正極としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、これらの固溶体、マンガン酸リチウム(LiMn24)等を用い、負極として黒鉛等の炭素からなる負極材料を用いている。そして、エチレンカーボネートやプロピレンカーボネート等の液状の有機化合物を溶媒に、リチウム塩を溶質として溶解させた電解液を用いている。
こうしたリチウムイオン電池のエネルギー密度をさらに高めるべく、新たな正極活物質の探索が進められている。例えば、特許文献1や特許文献2にはLiNiPOF、LiNiPO、LiCoPO及びLiCoPOFがエネルギー密度の高い正極活物質として提案されている。これらの大きなエネルギー密度を有する正極活物質をリチウムイオン電池に利用すれば、理論的には、大きな充電容量のリチウムイオン電池となるはずである。
ところが、このような正極活物質の充電反応は、極めて高い電位において起こるため、環状カーボネートや鎖状カーボネート等の有機溶媒を用いた従来のリチウムイオン電池用電解液では、溶媒が酸化分解されて使用できなくなるという問題があった。このため、実際に取り出せる容量は、理論的な容量の半分以下となってしまうという問題があった(非特許文献1)。
これに対し、電解液にジニトリルを用いることによって電位窓を広げ、電池から取り出しうるエネルギー密度を高くするという提案がなされている(特許文献3)。
特許第3624205号 特許第3631202号 WO2008/138132
Journal of Power Sources 146 (2005) 565-569
本発明者らは、上記従来の課題を解決すべく鋭意試験研究を行ない、ニトリル基を有する有機溶媒が高い正電位においても分解し難く、広い電位窓を有することを見出した。そして、ニトリル化合物が有機溶媒の重量に対して90重量%以上含まれているリチウムイオン電池用電解液を開発し、すでに特許出願を行なっている(特願2007−333829)。このリチウムイオン電池用電解液によれば、特に高い正電位において広い電位窓を有するため、LiCoPOF、LiNiPOF、LiCoPO、LiNiPO等の酸化還元電位の高い正極材料を利用することができる。このため、起電力の大きな電池とすることができる。
しかし、このリチウムイオン電池用電解液は、粘度の高いニトリル化合物を主たる溶媒成分としているため比伝導度が小さく、大電流を取り出すことが困難となっていた。このため、電位窓が広いだけでなく、粘度が低くて比伝導度の大きなリチウムイオン電池用電解液が求められていた。また、ニトリル化合物の有毒性に鑑み、電解液へのニトリル化合物の添加は、できる限り少なくしたいという要請があった。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、ニトリル化合物を全く含まない電解液を用いたリチウムイオン電池の電極として用いた場合でも、電位窓が広くて高い電位においても電解液が分解し難く、充放電が高い正電位の領域にまで及ぶ物質を正極活物質として利用することが可能なリチウムイオン電池用電極の製造方法及びリチウムイオン電池用電極を提供することを解決すべき課題としている。
本発明者らは、上記従来の課題を解決すべく、ニトリル基を有する有機溶媒を用いたリチウムイオン電池用電解液について、さらに鋭意試験研究を行なった。その結果、ニトリル基を有する有機溶媒を用いたリチウムイオン電池用電解液中で電極に正電圧を付与することにより、電位窓が著しく広がることを発見した。さらに、このような処理によって電位窓が広がった電極の表面分析を行なったところ、ニトリル化合物に起因する窒素含有物質が検出された。
さらに、これらの新たに見出された事実から、ニトリル基を有する有機溶媒を用いたリチウムイオン電池用電解液中で電極に正電圧を付与する処理を、リチウムイオン電池の電極の前処理として利用できるのではないかと考えた。そして、さらに鋭意研究を行なった結果、このような前処理を行なった電極は、ニトリル化合物を含まない従来から使用されているカーボネート系の電解液中で用いても、広い電位窓を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のリチウムイオン電池用電極の製造方法は有機溶媒にリチウム塩が溶解している電解液を用いたリチウムイオン電池の電極の製造方法であって、前記電解液に前記電極を接触させる前に、該電極を、ニトリル化合物を1容量%以上含む有機溶媒中にリチウム塩が溶解した前処理用電解液中に浸漬する浸漬処理工程と、該前処理用電解液に浸漬された状態で該電極に正電圧を付与する正電圧処理工程と、を有することを特徴とする。
本発明のリチウムイオン電池用電極の製造方法では、電極をリチウムイオン電池に組み込む前に、ニトリル化合物を1容量%以上含む有機溶媒中にリチウム塩が溶解した前処理用電解液中に電極を浸漬する浸漬処理工程を行い、さらに電極に正電圧を付与する正電圧処理工程を行なう。こうして得られた電極は、ニトリル化合物を全く含まない電解液や、ニトリル化合物の添加量の少ない電解液を用いたリチウムイオン電池に用いても、電位窓が広く、高い電位においても電解液を分解し難く、充放電が高い正電位の領域にまで及ぶ物質を正極活物質として利用することが可能となる。
このような広い電位窓の電極となる理由は、電極上に窒素を成分として含む耐食性の皮膜が形成されるためであると推測される。本発明者らは、XPSによる表面分析により、電極上に窒素を成分として含む耐食性の皮膜が形成されることを確認している。
浸漬処理工程に用いる電解液の有機溶媒は、鎖式飽和炭化水素化合物の両末端にニトリル基が結合した鎖式飽和炭化水素ジニトリル化合物、鎖式エーテル化合物の末端の少なくとも一つにニトリル基が結合した鎖式エーテルニトリル化合物及びシアノ酢酸エステルのうち少なくとも一つのニトリル化合物を含むことが好ましい。
鎖式飽和炭化水素化合物の両末端にニトリル基が結合した鎖式飽和炭化水素ジニトリル化合物としては、例えば、スクシノニトリルNC(CHCN、グルタロニトリルNC(CHCN、アジポニトリルNC(CHCN、セバコニトリルNC(CHCN、ドデカンジニトリルNC(CH10CNなどのような直鎖状のジニトリル化合物の他、2−メチルグルタロニトリルNCCH(CH)CHCHCN等のように分枝を有していても良い。これらの鎖式飽和炭化水素ジニトリル化合物は、炭素数は特に限定されないが、20以下であることが好ましい。
また、鎖式エーテル化合物の末端の少なくとも一つにニトリル基が結合した鎖式エーテルニトリル化合物としては、オキシジプロピオニトリルNCCHCH−O−CHCHCNや、3−メトキシプロピオニトリルCH−O−CHCHCN等が挙げられる。これらの鎖式エーテルニトリル化合物は、炭素数は特に限定されないが、20以下であることが好ましい。
さらに、シアノ酢酸エステルとしてはシアノ酢酸メチル、シアノ酢酸エチル、シアノ酢酸プロピル、シアノ酢酸ブチル等が挙げられる。これらのシアノ酢酸エステルは、炭素数は特に限定されないが、20以下であることが好ましい。
また、前処理用電解液中のリチウム塩は、LiPF、LiBF、LiTFSI及びLiBETIのうち少なくとも一つが含まれていることが好ましい。
さらに、浸漬処理工程における電解液に用いられている有機溶媒中のニトリル化合物の濃度は1容量%以上である。ニトリル化合物の濃度が1容量%未満では電位窓を広げる効果が小さくなる。好ましくは5容量%以上であり、より好ましくは10容量%以上であり、さらに好ましいのは30容量%以上であり、最も好ましいのは70容量%以上である。
本発明のリチウムイオン電池用電極をリチウムイオン電池の電解液に用いれば、電位窓が広くなるため、充電のための電位が5V(対Li/Li+)を超えた領域に存在するような高電位酸化還元正極活物質を利用することができる。このため、起電力が大きく、エネルギー密度の高い電池とすることができる。
正電圧付与工程において電極に付与される正電圧は、リチウムイオン電池に組み込まれた時に、充電時に設定される電位よりも高い電位が好ましい。具体的には(Li/Li+)参照電極に対して6Vを超えることが好ましい。発明者らの試験結果によれば、電極に付与される正電圧が(Li/Li+)参照電極に対して6Vを超えると、リチウムイオン電池用の電解液の中で電位窓が劇的に広がり、高電位酸化還元正極活物質を利用することが可能となる。特に好ましいのは6.2V以上であり、さらに好ましいのは6.5V以上であり、最も好ましいのは7V以上である。
本発明のリチウムイオン電池用電極は、次のようにして作製することができる。すなわち、本発明のリチウムイオン電池用電極の製造方法は、
有機溶媒にリチウム塩が溶解している電解液を用いたリチウムイオン電池用の電極であって、前記電解液に電極を接触させる前に、該電極を、ニトリル化合物を1容量%以上含む有機溶媒中にリチウム塩が溶解した前処理用電解液中に浸漬する浸漬処理工程と、該前処理用電解液に浸漬した状態で、該電極に正電圧を付与する正電圧処理工程と、を行なうことによりニトリル基由来の付着物が該電極上に付着していることを特徴とする。
前記ニトリル化合物は鎖式飽和炭化水素化合物の両末端にニトリル基が結合した鎖式飽和炭化水素ジニトリル化合物、鎖式エーテル化合物の末端の少なくとも一つにニトリル基が結合した鎖式エーテルニトリル化合物及びシアノ酢酸エステルのうち少なくとも一つであることが好ましい。
本発明のリチウムイオン電池用電極の製造方法で得られた電極は、電位窓が大きく正方向に広がる。このため、前処理を施さない電極では5.2V(対Li/Li+)以下で分解がおこるような電解液を用いても、電解液はほとんど分解することがない。このため、充電のための電位が5.2V(対Li/Li+)を超える領域に存在するような高電位酸化還元正極活物質を正極活物質として利用することができ、このため、電池の起電力及びエネルギー密度を極めて高くすることができる。このような電解液としては、通常よく用いられるリチウムイオン電池用の電解液(例えば、エチレンカーボネートとジメトキシカーボネートとの混合溶媒等)が挙げられる。なお、本発明の製造方法で調製した電極を、ニトリル化合物を10容量%未満含む有機溶媒にリチウム塩が溶解している電解液を用いたリチウムイオン電池に用いることも好ましい。こうであれば、ニトリル化合物により、充電中においても電位窓を広げる効果が発揮されることとなり、より耐久性の高いリチウムイオン電池となることが期待される。
高電位酸化還元正極活物質としては、例えば、LiCoPOF,LiNiPOF,LiCoPO,LiNiPO等が挙げられる。これらの正極活物質はエネルギー密度が高く、容量の大きなリチウムイオン電池とすることができる。例えば、LiCoPOFは正極活物質としてのエネルギー密度がLiCoOに対して理論値で2倍以上あることが予測されており、十分にポテンシャルを発揮できれば、容量の大きなリチウムイオン電池を作ることができる。また、LiCoPOFが酸化される電位は高い電位領域にまで及ぶため、起電力の大きい電池とすることができる。さらに、LiCoPOFは熱安定性に優れ、400°Cという高温になっても、発熱反応は示さないことが、熱分析結果から分かっており、電池温度の上昇を防ぐことができる。
以下本発明のリチウムイオン電池用電極の製造方法を具体化した実施例についてさらに詳細に述べる。
(実施例1-1〜実施例1-6)
・前処理用の電解液の調整
有機溶媒としてセバコニトリルと、エチレンカーボネート(EC)と、ジメチルカーボネート(DMC)とを容量比で50:25:25の割合で混合した溶媒を用い、これにリチウム塩としてLiPF6(六フッ化リン酸リチウム)を1mol/Lとなるように溶解させて前処理用電解液とした。
・浸漬処理工程及び正電圧処理工程
こうして調製した前処理用電解液を電気化学測定用のガラスセルに入れ、電極としてグラッシーカーボン電極(以下「GC電極」と略す)を浸漬し、対極として白金線を用い、参照電極として(Li/Li)を用いて、自然電位から所定の電位(実施例1-1では7V、実施例1-2では6.5V、実施例1-3では6.2V、実施例1-4では6V、実施例1-5では5.5V、実施例1-6では5V)まで電位操作(スキャン速度5mV/sec)を行なった。その後、GC電極を引き上げ、DMCで洗浄して実施例1-1〜実施例1-6のリチウムイオン電池用電極を得た。
(実施例2)
実施例2では、前処理用電解液として、セバコニトリルにリチウム塩としてLiPF6(六フッ化リン酸リチウム)を0.1mol/Lとなるように溶解させて電解液とした。また、正電圧処理工程では、参照電極(Li/Li)に対して8Vまで電位操作を行った。その他の処理条件については実施例1-1と同様であり、説明を省略する。
(比較例1)
比較例1は、実施例2で用いた前処理用電解液にGC電極を単に3時間の浸漬処理工程のみを行い、正電圧処理工程をすることなく引き上げ、DMCで洗浄し、乾燥させたものである。
(比較例2)
比較例2は、なんらの処理もしていないGC電極である。
−評 価−
(電位−電流曲線の測定)
以上のようにして得た実施例1-1〜実施例1-6,実施例2、比較例1及び比較例2の電極をエチレンカーボネート(EC):ジメトキシカーボネート(DMC)=1:1の混合溶媒中に浸漬し、電位−電流曲線を測定した。なお、対極として白金線を用い、参照電極として(Li/Li)を用いた。
その結果、図1に示すように、単に前処理用電解液に浸漬したのみのGC電極である比較例1は、未処理のGC電極である比較例2とほとんど変わりなかったのに対し、実施例1-1〜実施例1-6のCG電極は電位窓が広がり、特に6Vを超える電位まで正電圧処理工程を行った実施例1-1〜実施例1-3及び実施例2のCG電極は、電位窓が6V以上まで飛躍的に広がることが分かった。
(前処理電解液についてのサイクリックボルタモグラムの測定)
正電圧処理工程における電極表面の変化を調べるために、実施例1で用いた前処理電解液(すなわち、セバコニトリル:エチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC)=50:25:25(容量比)、LiPF6(六フッ化リン酸リチウム)を1mol/L)について、自然電位付近から8.1Vまでのサイクリックボルタモグラムを測定した。スキャン速度は5mV/secである。その結果、図2に示すように、1回目の正方向へのスイープ時には、5.2V付近で若干の酸化電流が流れた後、6V以降で大きな酸化電流が流れるが、2回目の正方向へのスイープ時には、5.2V付近での酸化電流はほぼ消失し、6V以降の電流も小さくなった。このことから、前処理電解液中で正電圧処理工程を行なうことにより、何らかの耐食性皮膜が生じ、これが電位窓を広くする原因となっていることが示唆された。
(XPSの測定)
前処理電解液についてのサイクリックボルタモグラムの測定結果から示唆された耐食性皮膜の形成について調べるため、実施例1-1の電極についてX線光電子分光法(XPS)による表面分析を行なった。XPSは試料表面に軟X線を照射し、表面から放出される光電子のエネルギーを測定することにより、表面に存在する元素の種類、価数、結合状態に関する情報を得るという測定法である。光電子の平均自由工程は数nmであることから、XPSによる表面分析の深さ方向の検出領域は数nmとなり、このため極表面での分析を行なうことができる。測定条件は以下のとおりである。
測定装置:Quantera SXI(PHI社製)
励起X線:monochromatic AlKα1,2
X線径:200μm
光電子脱出角度:45°(試料表面に対する検出器の傾き)
前処理方法:サンプリング及び装置への試料の搬送はアルゴン雰囲気で行なった。
データ処理:スムージングは9ポイントスムージングで行い、横軸補正はC1メインピークを284.6eVとして行なった。
・実施例1-1のXPS測定の結果
図3の最上段に示すワイドスキャンの結果から、下記表1に示すように炭素、酸素、窒素、フッ素及びリンが存在していることが分かった。なお、リチウムは検出限界以下であった。また、ナロースキャンによる状態分析の結果を図3〜図5に示す。炭素についてはC1sピーク分割から、C−C、CHX(炭化水素成分)、α成分(表1の注1参照)、カルボニル基、COO成分、β成分(表1の注1参照)が認められた。また、窒素についてはN1sピーク分割から、アンモニア成分あるいは−NO成分と、CN(三重結合)あるいはC−N結合の成分が認められた。また、フッ素及びリンについては、F1s及びP2pのピーク位置から、PF成分が主成分と判断された。
Figure 2010245017
(実施例3〜実施例14及び比較例3)
以下に示す様々な前処理用電解液を用い、様々な条件下で実施例3〜14及び比較例3のリチウムイオン電池用電極を調製した。それらの条件を表2に示す。
Figure 2010245017
実施例3〜14及び比較例3の電極作製では、実施例1-1〜実施例1-6と同様、対極として白金線を用い、参照電極として(Li/Li)を用いて、自然電位から所定の電位まで電位操作(スキャン速度5mV/sec)を行なった。その後、電極を引き上げ、DMCで洗浄して実施例3〜14及び比較例3の電極を得た。なお、実施例10では、ダイヤモンドライクカーボン粉末(平均粒径0.03μm)4mgとPTFE粉体1mgとを混合し、8mmφの円盤状の電極とし、この電極に正電圧処理工程を施した。また、実施例11では純ニッケル板を、実施例12では純チタン板を、実施例13では純アルミニウム板を、実施例14では、純チタン板にダイヤモンドライクカーボンをプラズマCVD法によってコーティングした電極をそれぞれ用いた。
−評 価−
実施例3〜14及び比較例3の電極についてX線光電子分光法(XPS)による表面分析を行なった。測定条件は実施例1-1のXPS測定と同様である。
Figure 2010245017
<結果>
・表面に存在する元素の存在割合について
XPSワイドスキャンの結果から求めた、電極表面に存在する元素の存在割合を表3及び図6に示す。表3から、実施例4〜8及び実施例10〜14では窒素、リン及びフッ素が多く存在しており、その他酸素等が存在することが分かった。窒素は前処理用電解液に含まれているニトリルに起因するものであり、リンは電解質として添加したLiPFに起因するものである。すなわちニトリル及びLiPFは正電圧処理工程において電極反応を起こし、電極表面に窒素、リン及びフッ素を成分として含む耐食性の皮膜が形成されることが分かった。ただし、実施例9では電解質としてLiBFを用いておりリン源はなく、リンは検出されないが、電位窓は広がる(後述する表4参照)ことから、リンの存在しない皮膜であっても、電位窓は広がる効果を有することが分かった。
これに対し、比較例3及び実施例3ではリチウムが多く検出され、その他フッ素、酸素等が検出され、窒素及びリンを成分として含む耐食性の皮膜がほとんど形成されないことが分かった。なお、比較例3及び実施例3で検出されたリチウム及びフッ素は、電解質として添加したLiPFの分解生成物と考えられる。
また、実施例11では基板であるニッケルがほとんど検出されなかったのに対し、実施例12、13では基板であるTiやAlがかなり検出された。このことから、ニッケルを基板とした場合、緻密な耐食性皮膜が形成されることが示唆された。
さらに、実施例3と実施例10とを比較すると、実施例10ではリン及び窒素が多く存在しているのに対し、実施例3ではリン及び窒素の存在量は少なかった。実施例3と実施例10とは前処理用電解液の組成は同じであり、正電圧処理工程での付与電圧が異なっているのみである。すなわち、実施例3では付与電圧が5Vであるのに対し、実施例10では7Vである。このことから、実施例10の電極表面で検出された多量のリン及び窒素を含む耐食性皮膜は、5Vより高い電位で形成されることが分かった。
・窒素の表面存在割合及び結合状態について
ワイドスキャン及び窒素のナロースキャンから求めた、窒素の表面存在割合及び結合状態の割合を図7に示す。この図に示すように、実施例4〜14の電極表面には窒素の存在割合が多く、その結合状態はCN三重結合あるいはCN単結合及びアンモニウム塩、−NOであった。また、Ti基板を用いた実施例12ではTi上に窒化物も確認された。
・リンの表面存在割合及び結合状態について
ワイドスキャン及びリンのナロースキャンから求めた、リンの表面存在割合及び結合状態の割合を図8に示す。この図に示すように、実施例4〜8、及び10〜14の電極表面に存在するリンは、P−F結合に係るリン化合物に起因するものである。これに対して比較例3及び実施例3のリンは、P−F結合に係るリン化合物に起因するものは少なく、電解質であるLiPFの分解生成物に起因するものと考えられるPO及びPFに基づくものが大きかった。
・フッ素の表面存在割合及び結合状態について
ワイドスキャン及びフッ素のナロースキャンから求めた、フッ素の表面存在割合及び結合状態の割合を図9に示す。この図に示すように、実施例4〜8、及び実施例11〜13の電極表面に存在するフッ素は、C−F結合あるいはP−F結合に帰属されるフッ素が多く、実施例14ではP−F結合に帰属されるフッ素のみが検出された。また、電解質にLiBFを用いた実施例9はB−F結合に帰属されるフッ素が検出された。これに対し、比較例3及び実施例3のフッ素は、PFに基づくものが多く、電解質であるLiPFの分解生成物に起因するものと考えられた。
以上のXPSによる表面分析の結果から、実施例の電極に形成されている表面皮膜は以下の性質を有するものである。
(1)電極表面に窒素及びフッ素を成分として含む皮膜が形成される。
(2)電極表面には窒素が多く存在し、窒素の結合状態はCN三重結合あるいはCN単結合及びアンモニウム塩、−NOである。また、チタンを基板を用いた場合には窒化物も存在する。
(3)電解質としてLiPFを用いた場合、皮膜中にP−F結合に係るリン化合物が検出される。
(4)フッ素はC−F結合あるいはP−F結合に帰属されるフッ素が多い。ただし実施例14ではP−F結合に帰属されるフッ素のみが検出された。また、実施例3では、C−F結合あるいはP−F結合に帰属されるフッ素がPFに基づくものより多い。また、電解質にLiPFを用いた場合には、B−F結合に関わるホウ素化合物が検出される。
<ニトリル化合物及びリチウム塩の組み合わせについて>
本発明のリチウムイオン電池用電極では、実施例1-1〜実施例1-6及び実施例2〜14において用いた前処理用電解液以外に、各種のニトリル化合物及び各種のリチウム塩を組み合わせた前処理用電解液を用いることができる。このことは、様々なニトリル化合物及びリチウム塩を組み合わせた以下の実施例15〜61の前処理用電解液における電位−電流曲線の測定において、電位窓が大きく広がることからも、立証されている。
(実施例15)
実施例15では、有機溶媒としてアジポニトリルと、エチレンカーボネート(EC)と、ジメチルカーボネート(DMC)とを容量比で50:25:25の割合で混合した溶媒を用い、これにリチウム塩としてLiPF6(六フッ化リン酸リチウム)を0.05mol/Lとなるように溶解させて前処理用電解液とした。
(比較例4)
比較例4では、有機溶媒としてエチレンカーボネート50体積%、ジメチルカーボネート50体積%の混合溶媒を用い、これにリチウム塩としてLiPF6を1mol/Lとなるように溶解させて前処理用電解液とした。
(実施例16〜23)
実施例16〜23では溶媒を、各種ニトリル:エチレンカーボネート:ジメチルカーボネート=50:25:25(容量比)とし、この混合溶媒に電解質をLiPF6(六フッ化リン酸リチウム)を1mol/Lとなるように溶解させたものを前処理用電解液とした(ただし、ニトリル化合物をオキシジプロピオニトリルにした実施例18は、LiPF6を0.5mol/Lとした)。
各実施例に用いたニトリルの種類は以下のとおりである。
実施例15 アジポニトリルNC(CHCN
実施例16 スクシノニトリルNC(CHCN
実施例17 セバコニトリルNC(CHCN
実施例18 ドデカンジニトリルNC(CH10CN
実施例19 2−メチルグルタロニトリルNCCH(CH)CHCHCN
実施例20 オキシジプロピオニトリルNCCHCH-O-CHCHCN
実施例21 3−メトキシプロピオニトリルCH-O-CHCHCN
実施例22 シアノ酢酸メチルNCCHCOOCH
実施例23 シアノ酢酸ブチルNCCHCOO(CHCH
−評価−
(電位−電流曲線の測定)
以上のようにして調製した実施例15〜23及び比較例4の前処理用電解液について、電位−電流曲線を測定した。測定にはポテンシオガルバノスタットを用い、作用極にはグラッシーカーボンを用い、対極には白金線を用いた。また、参照電極は(Ag/Ag+)または(Li/Li)を用いた。測定にあたっては、正側及び負側に数回スキャンさせた後、自然電位から正方向、あるいは負方向に5mV/秒の速度で電位の掃引を行い、電位−電流曲線を測定した。結果を図10〜図12に示す。
その結果、図10に示すように、実施例15の電解液の電位窓は、(Li/Li)に対し6.9V(電位窓の判断基準は50μA/cmとした。以下同様)となった。これに対して、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートの混合溶媒を用いた比較例4の電位窓は、図12に示すように5.2Vであり、実施例15の電解液の電位窓は、比較例4の電解液に比べて、正側に大きく広がっていることが分かった。この結果から、実施例15の前処理用電解液を用いれば、充電のための電位が5.2Vを超えた領域に存在するような高電位酸化還元正極活物質をリチウムイオン電池の正極活物質として利用できることとなり、起電力及びエネルギー密度が高く、容量の大きなリチウムイオン電池とすることができる。
また、図11に示すように、実施例16〜23の前処理用電解液においても、実施例15と同様、いずれも比較例4の前処理用電解液と比較して、電位窓が正方向に広がることが分かった。これらの結果から、エチレンカーボネート及びジメチルカーボネートに、さらに鎖式飽和炭化水素化合物の両末端にニトリル基が結合した鎖式飽和炭化水素ジニトリル化合物(実施例15〜19)、鎖式エーテル化合物の末端の少なくとも一つにニトリル基が結合した鎖式エーテルニトリル化合物(実施例20,21)及びシアノ酢酸エステルのうち少なくとも一つのニトリル化合物(実施例22,23)を加えることによって、溶媒が高い電位まで分解することなく安定に存在できることが分かった。特に電位窓が大きく広がったのは、ニトリル化合物として鎖式飽和炭化水素化合物の両末端にニトリル基が結合した鎖式飽和炭化水素ジニトリル化合物を用いた実施例15〜19であり、分枝を有する実施例19においても大きく電位窓が正方向に広がることが分かった。また、オキシジプロピオニトリルNCCHCH-O-CHCHCNを用いた実施例20においても、大きく電位窓が正方向に広がることが分かった。
(実施例24〜31)
実施例24〜31では溶媒を、各種ニトリル:エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=50:25:25(容量比)とし、この混合溶媒に電解質をLiPF6(六フッ化リン酸リチウム)を1mol/Lとなるように溶解させたものをリチウムイオン電池用電解液とした(ただし、ニトリル化合物をグルタロニトリルにした実施例24では、LiPF6(六フッ化リン酸リチウム)を0.5mol/Lとした)。
各実施例に用いたニトリルの種類は以下のとおりである。
実施例24 グルタロニトリルNC(CHCN
実施例25 セバコニトリルNC(CHCN
実施例26 ドデカンジニトリルNC(CH10CN
実施例27 2−メチルグルタロニトリルNCCH(CH)CHCHCN
実施例28 オキシジプロピオニトリルNCCHCH-O-CHCHCN
実施例29 3−メトキシプロピオニトリルCH-O-CHCHCN
実施例30 シアノ酢酸メチルNCCHCOOCH
実施例31 シアノ酢酸ブチルNCCHCOO(CHCH
(比較例5)
比較例5では、有機溶媒としてエチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=50:50(容量比)の混合溶媒を用い、これにリチウム塩としてLiPF6を1mol/Lとなるように溶解させてリチウムイオン電池用電解液とした。
−評価−
(電位−電流曲線の測定)
実施例24〜31及び比較例5の前処理用電解液について、前述の方法と同様にして電位−電流曲線を測定した。結果を図13に示す。
この図から、実施例24〜31の前処理用電解液では、比較例5の前処理用電解液と比較して、電位窓が正方向に広がることが分かった。この結果から、エチレンカーボネート及びジエチルカーボネートを溶媒として用いた場合においても、エチレンカーボネート及びジメチルカーボネートを溶媒として用いた場合(すなわち実施例15〜23の場合)と同様、鎖式飽和炭化水素化合物の両末端にニトリル基が結合した鎖式飽和炭化水素ジニトリル化合物、鎖式エーテル化合物の末端の少なくとも一つにニトリル基が結合した鎖式エーテルニトリル化合物及びシアノ酢酸エステルのうち少なくとも一つのニトリル化合物を加えることによって、溶媒が高い電位まで安定に存在することが分かった。特に電位窓が大きく広がったのは、ニトリル化合物として鎖式飽和炭化水素化合物の両末端にニトリル基が結合した鎖式飽和炭化水素ジニトリル化合物を用いた実施例24〜27であり、分枝を有する実施例27においても大きく電位窓が正方向に広がることが分かった。また、鎖式エーテル化合物の末端の少なくとも一つにニトリル基が結合した鎖式エーテルニトリル化合物を用いた実施例28及び実施例29においても、大きく電位窓が正方向に広がることが分かった。
(実施例32〜39)
実施例32〜39では溶媒を、各種ニトリル:γ−ブチロラクトン:ジメチルカーボネート=50:25:25(容量比)とし、この混合溶媒に電解質をLiPF6(六フッ化リン酸リチウム)を1mol/Lとなるように溶解させたものを前処理用電解液とした。また、ニトリルとしてアジポニトリルを用いた実施例33では、LiPFを0.5mol/Lとした。
各実施例に用いたニトリルの種類は以下のとおりである。
実施例32 グルタロニトリルNC(CHCN
実施例33 アジポニトリルNC(CHCN
実施例34 セバコニトリルNC(CHCN
実施例35 ドデカンジニトリルNC(CH10CN
実施例36 2−メチルグルタロニトリルNCCH(CH)CHCHCN
実施例37 オキシジプロピオニトリルNCCHCH-O-CHCHCN
実施例38 シアノ酢酸メチルNCCHCOOCH
実施例39 シアノ酢酸ブチルNCCHCOO(CHCH
(比較例6)
比較例6では、有機溶媒としてγ−ブチロラクトン:ジメチルカーボネート=50:50(容量比)の混合溶媒を用い、これにリチウム塩としてLiPF6を1mol/Lとなるように溶解させて前処理用電解液とした。
−評価−
(電位−電流曲線の測定)
実施例32〜39及び比較例6の前処理用電解液について、前述の方法と同様にして電位−電流曲線を測定した。結果を図14に示す。
この図から、実施例32〜39の前処理用電解液においても、比較例6の前処理用電解液と比較して、電位窓が正方向に大きく広がることが分かった。この結果から、環状カーボネートであるエチレンカーボネートに替えて、ジメチルカーボネート及び環状エステルであるγ−ブチロラクトンを溶媒として用いた場合においても、鎖式飽和炭化水素化合物の両末端にニトリル基が結合した鎖式飽和炭化水素ジニトリル化合物を加えることによって、溶媒が高い電位まで安定に存在することが分かった。また、鎖式飽和炭化水素ジニトリル化合物のうち、直鎖分子である実施例32〜35のみならず、分枝を有する実施例36においても大きく電位窓が正方向に広がることが分かった。さらに、鎖式エーテル化合物の両末端にニトリル基が結合した鎖式エーテルニトリル化合物を用いた実施例37や、シアノ酢酸エステルを用いた実施例38,39においても、大きく電位窓が正方向に広がることが分かった。
(実施例40〜45)
実施例40〜45では溶媒を、各種ニトリル:ジメチルカーボネート=50:50(容量比)とし、この混合溶媒に電解質をLiPF6(六フッ化リン酸リチウム)を1mol/L(実施例44、45では0.1mol/L)となるように溶解させたものを前処理用電解液とした。各実施例に用いたニトリルの種類は以下のとおりである。
実施例40 グルタロニトリルNC(CHCN
実施例41 セバコニトリルNC(CHCN
実施例42 ドデカンジニトリルNC(CH10CN
実施例43 2−メチルグルタロニトリルNCCH(CH)CHCHCN
実施例44 オキシジプロピオニトリルNCCHCH-O-CHCHCN
実施例45 シアノ酢酸メチルNCCHCOOCH
(比較例7)
比較例7では、有機溶媒としてジメチルカーボネートにリチウム塩としてLiPF6を1mol/Lとなるように溶解させて前処理用電解液とした。
−評価−
(電位−電流曲線の測定)
実施例40〜45及び比較例7の電解液について、前述の方法と同様にして電位−電流曲線を測定した。結果を図15に示す。
この図から、溶媒としてニトリル化合物以外にジメチルカーボネートを単独で加えた実施例40〜45の電解液では、ジメチルカーボネートを単独溶媒とした比較例7の前処理用電解液と比較して、電位窓が正方向に広がることが分かった。また、鎖式飽和炭化水素化合物の両末端にニトリル基が結合した鎖式飽和炭化水素ジニトリル化合物を加えることによって(実施例40〜45)、溶媒が高い電位まで安定に存在することが分かった。さらには、鎖式飽和炭化水素ジニトリル化合物のうち、直鎖分子である実施例40〜42のみならず、分枝を有する実施例43においても大きく電位窓が正方向に広がることが分かった。さらに、鎖式エーテル化合物の両末端にニトリル基が結合した鎖式エーテルニトリル化合物を用いた実施例44でも電位窓が大きく広がり、シアノ酢酸エステルを用いた実施例45では、電位窓が広がった。
(実施例46,47)
実施例46,47では溶媒を、各種ニトリル:プロピレンカーボネート=50:50(容量比)とし、この混合溶媒に電解質をLiPF6(六フッ化リン酸リチウム)を1mol/Lとなるように溶解させたものを前処理用電解液とした。各実施例に用いたニトリルの種類は以下のとおりである。
実施例46 セバコニトリルNC(CHCN
実施例47 ドデカンジニトリルNC(CH10CN
(比較例8)
比較例8では、有機溶媒としてプロピレンカーボネートにリチウム塩としてLiPF6を1mol/Lとなるように溶解させて前処理用電解液とした。
−評価−
(電位−電流曲線の測定)
実施例46,47及び比較例8の電解液について、前述の方法と同様にして電位−電流曲線を測定した。結果を図16に示す。
この図から、溶媒としてニトリル化合物以外にプロピレンカーボネートを単独で加えた実施例46,47の電解液では、プロピレンカーボネートを単独溶媒とした比較例8の電解液と比較して、電位窓が正方向に大きく広がることが分かった。また、鎖式飽和炭化水素化合物の両末端にニトリル基が結合した鎖式飽和炭化水素ジニトリル化合物を加えることによって、溶媒が高い電位まで安定に存在することが分かった。
(実施例48〜50)
実施例48〜50では溶媒を、各種ニトリル:γ−ブチロラクトン=50:50(容量比)とし、この混合溶媒に電解質をLiPF6(六フッ化リン酸リチウム)を1mol/Lとなるように溶解させたものを前処理用電解液とした。各実施例に用いたニトリルの種類は以下のとおりである。
実施例48 グルタロニトリルNC(CHCN
実施例49 セバコニトリルNC(CHCN
実施例50 ドデカンジニトリルNC(CH10CN
(比較例9)
比較例9では、有機溶媒としてγ−ブチロラクトンにリチウム塩としてLiPF6を0.1mol/Lとなるように溶解させて前処理用電解液とした。
−評価−
(電位−電流曲線の測定)
実施例48〜50及び比較例9の前処理用電解液について、前述の方法と同様にして電位−電流曲線を測定した。結果を図17に示す。
この図から、溶媒としてニトリル化合物以外にγ−ブチロラクトンを単独で加えた実施例48〜50の前処理用電解液では、γ−ブチロラクトンを単独溶媒とした比較例9の前処理用電解液と比較して、電位窓が正方向に大きく広がることが分かった。また、鎖式飽和炭化水素化合物の両末端にニトリル基が結合した鎖式飽和炭化水素ジニトリル化合物を加えることによって、溶媒が高い電位まで安定に存在することが分かった。
(実施例51〜53)
実施例51〜53では溶媒を、各種ニトリル:エチレンカーボネート:γ−ブチロラクトン=50:25:25(容量比)とし、この混合溶媒に電解質をLiPF6(六フッ化リン酸リチウム)を1mol/Lとなるように溶解させたものを前処理用電解液とした。各実施例に用いたニトリルの種類は以下のとおりである。
実施例51 セバコニトリルNC(CHCN
実施例52 2−メチルグルタロニトリルNCCH(CH)CHCHCN
実施例53 オキシジプロピオニトリルNCCHCH-O-CHCHCN
(比較例10)
比較例10では、有機溶媒としてエチレンカーボネート:γ−ブチロラクトン=50:50(容量比)にリチウム塩としてLiPF6を1mol/Lとなるように溶解させて前処理用電解液とした。
−評価−
(電位−電流曲線の測定)
実施例51〜53及び比較例10の電解液について、前述の方法と同様にして電位−電流曲線を測定した。結果を図18に示す。
この図から、溶媒としてニトリル化合物以外に環状カーボネートであるエチレンカーボネートと、環状エステルであるγ−ブチロラクトンとを溶媒として加えた実施例51〜53の前処理用電解液では、ニトリル化合物を入れない比較例10の前処理用電解液と比較して、電位窓が正方向及び負方向に大きく広がることが分かった。また、鎖式飽和炭化水素化合物の両末端にニトリル基が結合した鎖式飽和炭化水素ジニトリル化合物を加えることによって、電位窓が大きく広がることが分かった。さらには、鎖式飽和炭化水素ジニトリル化合物のうち、直鎖分子である実施例51のみならず、分枝を有する実施例52においても大きく電位窓が正方向及び負方向に広がることが分かった。さらに、鎖式エーテル化合物の両末端にニトリル基が結合した鎖式エーテルニトリル化合物を用いた実施例53でも電位窓が大きく正負方向に広がった。
(実施例54〜58)
実施例54〜58では溶媒を、セバコニトリル(実施例56ではアジポニトリル):エチレンカーボネート:ジメチルカーボネート=50:25:25(容量比)とし、この混合溶媒に各種電解質を1mol/Lとなるように溶解させたものをリチウムイオン電池用電解液とした。各実施例に用いた電解質の種類は以下のとおりである。
実施例54 LiPF6
実施例55 LiTFSI
実施例56 LiTFSI
実施例57 LiBF
実施例58 LiBETI
(実施例59)
実施例59では、有機溶媒としてセバコニトリルと、エチレンカーボネート(EC)と、ジメチルカーボネート(DMC)とを容量比で50:25:25の割合で混合した溶媒を用い、これにリチウム塩としてLiPF6(六フッ化リン酸リチウム)を0.05mol/L、LiTFSI(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)を1.0mol/Lとなるように溶解させて前処理用電解液とした。
(実施例60)
実施例60では、有機溶媒としてシアノ酢酸ブチルと、エチレンカーボネート(EC)と、ジメチルカーボネート(DMC)とを容量比で50:25:25の割合で混合した溶媒を用い、これにリチウム塩としてLiTFSI(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)を1.0mol/Lとなるように溶解させて前処理用電解液とした。
(実施例61)
実施例61では、有機溶媒としてシアノ酢酸ブチルと、エチレンカーボネート(EC)と、ジメチルカーボネート(DMC)とを容量比で50:25:25の割合で混合した溶媒を用い、これにリチウム塩としてLiBF(四フッ化ホウ酸リチウム)を1.0mol/Lとなるように溶解させて前処理用電解液とした。
(比較例11〜13)
比較例11〜13では、比較例4におけるリチウム塩であるLiPF6の替わりに、各種リチウム塩を添加した。すなわち、有機溶媒としてエチレンカーボネート:ジメチルカーボネート=50:50(容量比)に各種リチウム塩(比較例11ではLiTFSI、比較例12ではLiBF、比較例13ではLiBETI)を1mol/Lとなるように溶解させて前処理用電解液とした。
−評価−
(電位−電流曲線の測定)
実施例54〜58、比較例4及び比較例11〜13の前処理用電解液について、前述の方法と同様にして電位−電流曲線を測定した。結果を図19に示す。またこの図から求めた、電流密度が50μA/cmとなるときの電位の値を表4に示す。
この図19及び表4から、溶媒としてニトリル化合物以外に環状カーボネートであるエチレンカーボネートと鎖状カーボネートであるジメチルカーボネートとを溶媒として加えた実施例54〜58の前処理用電解液では、電解質の種類によらず、ニトリル化合物を入れない比較例4及び比較例11〜13の前処理用電解液と比較して、電位窓が正方向に大きく広がることが分かった。
また、実施例59の電解液の電位窓は6.6V(図20参照)、実施例60の前処理用電解液の電位窓は5.4V(図21参照)、実施例61の電解液の電位窓は6.1V(図22参照)となり、いずれも正側に広がっていることが分かった。
Figure 2010245017
同様に、リチウム塩をLiPFとした、他の実施例及び比較例の前処理用電解液について、電位−電流曲線から求めた、所定の電流密度となるときの電極電位を表5に示す。この表から、鎖式飽和炭化水素化合物の両末端にニトリル基が結合した鎖式飽和炭化水素ジニトリル化合物、鎖式エーテル化合物の末端の少なくとも一つにニトリル基が結合した鎖式エーテルニトリル化合物及びシアノ酢酸エステルのうち少なくとも一つのニトリル化合物と、環状カーボネート、環状エステル及び鎖状カーボネートのうち少なくとも一つとが含まれている場合に、正方向に電位窓が広がることが分かる。
Figure 2010245017
<ニトリル添加量の影響>
前処理用電解液におけるニトリルの添加量の影響を調べるため、エチレンカーボネート:ジメチルカーボネート=1:1(容量比)の混合溶媒に、所定量のセバコニトリルを添加し、電位電流曲線を測定した。なお、電解質はLiPFを1Mとなるように加えた(ただし、セバコニトリル100容量%の場合には、1Mの溶解は困難であったため0.1Mとした)。結果を図23に示す。この図から、セバコニトリルの添加量は、1容量%でも電位窓を広げる効果があり、添加量が増すほど電位窓は高電位方向に広がることが分かった。前処理用電解液として好ましいセバコニトリルの添加量は、5容量%以上であり、より好ましくは10容量%以上であり、さらに好ましいのは30容量%以上であり、最も好ましいのは70容量%以上である。
以上のように、前処理用電解液の有機溶媒にニトリル化合物を加えることにより、電位窓が正の方向に大きく広がることが分かった。上記実施例の電位−電流曲線の測定においては、前述したように、正側及び負側に数回スキャンさせた後、自然電位から正方向、あるいは負方向に5mV/秒の速度で電位の掃引を行い、電位−電流曲線を測定している。この測定前の数回の電位のスキャンにおいては、2回以降において電位窓が広がっており、このことから、本発明の電解液中で正方向に電位掃引することにより、電位窓の広い電極を製造できることが分かる。
<電池特性の測定>
本発明のリチウムイオン電池用電極の性能を評価するため、リチウム電池用陰極及びリチウム電池用正極を用いた電位−電流曲線を測定した。
すなわち、上記実施例55の前処理用電解液(すなわち、容量比でEC:DMC:セバコニトリル=25:25:50,リチウム塩としてLiTFSI(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)を1.0mol/L)を用い、作用極にリチウム電池用陰極及びリチウム電池用陽極を用いて、リチウム吸蔵放出の電位−電流曲線を測定した。リチウム電池用陰極としてはLiTiO1を用い、リチウム電池用正極としてはLiCoO及びLiCoPOを用いた。測定にはポテンシオガルバノスタットを用いた。また、参照電極は(Ag/Ag+)を用いた。測定にあたっては、正電圧処理工程として正側及び負側に数回スキャンさせた後、自然電位から正方向、あるいは負方向に0.5mV/秒の速度で電位の掃引を行い、電位−電流曲線を測定した。
その結果、図24に示すように、リチウム電池用陰極としてのLiTi12、リチウム電池用正極としてのLiCoO及びLiCoPOのいずれの電極においても、リチウム(0)とリチウムイオンとの間での酸化還元に伴うほぼ可逆的な電流が観測された。この結果から、リチウム(0)−リチウムイオン間の円滑な充放電が可能であることが分かった。
この発明は、上記発明の実施形態の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
実施例1-1〜実施例1-6、実施例2、比較例1及び比較例2における電位−電流曲線である。 実施例1で用いた前処理電解液のサイクリックボルタモグラムである。 実施例1-1のXPSのワイドスキャン測定及びのナロースキャン測定(炭素及び窒素)の結果を示すチャートである。 実施例1-1のXPSのナロースキャン測定(酸素、フッ素及びリン)の結果を示すチャートである。 実施例1-1のXPSのC1sピーク分割及びN1sピーク分割を行なった結果を示すチャートである。 実施例3〜14及び比較例3の電極についてXPS測定結果から求めた表面に存在する元素の存在割合を示すグラフである。 実施例3〜14及び比較例3の電極についてXPS測定結果から求めた窒素の表面存在割合及びそれらの元素の結合状態の割合を示すグラフである。 実施例3〜14及び比較例3の電極についてXPS測定結果から求めたリンの表面存在割合及びそれらの元素の結合状態の割合を示すグラフである。 実施例3〜14及び比較例3の電極についてXPS測定結果から求めたフッ素の表面存在割合及びそれらの元素の結合状態の割合を示すグラフである。 実施例15及び比較例4の電位−電流曲線である。 実施例16〜23及び比較例4の電位−電流曲線である。 比較例4の電位−電流曲線である。 実施例24〜31及び比較例5の電位−電流曲線である。 実施例32〜39及び比較例6の電位−電流曲線である。 実施例40〜45及び比較例7の電位−電流曲線である。 実施例46、47及び比較例8の電位−電流曲線である。 実施例48〜50及び比較例9の電位−電流曲線である。 実施例51〜53及び比較例10の電位−電流曲線である。 実施例54〜58及び比較例4,11,12,13の電位−電流曲線である。 実施例59及び比較例11の電位−電流曲線である。 実施例60及び比較例11の電位−電流曲線である。 実施例61及び比較例4の電位−電流曲線である。 エチレンカーボネート:ジメチルカーボネート=1:1とし、さらにセバコニトリルを所定量添加した混合溶媒を用いた場合の電位−電流曲線である。 実施例55のリチウムイオン電池用電解液を用いたリチウム吸蔵放出の電位−電流曲線である。

Claims (6)

  1. 有機溶媒にリチウム塩が溶解している電解液を用いたリチウムイオン電池の電極の製造方法であって、
    該電解液に該電極を接触させる前に、
    該電極を、ニトリル化合物を1容量%以上含む有機溶媒中にリチウム塩が溶解した前処理用電解液中に浸漬する浸漬処理工程と、
    該前処理用電解液に浸漬した状態で該電極に正電圧を付与する正電圧処理工程と、を有することを特徴とするリチウムイオン電池用電極の製造方法。
  2. 前記前処理用電解液に用いられている有機溶媒は、鎖式飽和炭化水素化合物の両末端にニトリル基が結合した鎖式飽和炭化水素ジニトリル化合物、鎖式エーテル化合物の末端の少なくとも一つにニトリル基が結合した鎖式エーテルニトリル化合物及びシアノ酢酸エステルのうち少なくとも一つのニトリル化合物を含むことを特徴とする請求項1記載のリチウムイオン電池用電極の製造方法。
  3. 前記前処理用電解液に用いられているリチウム塩には、LiPF、LiBF、LiTFSI及びLiBETIのうち少なくとも一つが含まれていることを特徴とする請求項1又は2記載のリチウムイオン電池用電極の製造方法。
  4. 前記前処理用電解液に用いられている有機溶媒中のニトリル化合物の濃度は10容量%以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のリチウムイオン電池用電極の製造方法。
  5. 有機溶媒にリチウム塩が溶解している電解液を用いたリチウムイオン電池用の電極であって、
    該電解液に該電極を接触させる前に、
    該電極を、ニトリル化合物を1容量%以上含む有機溶媒中にリチウム塩が溶解した前処理用電解液中に浸漬する浸漬処理工程と、
    該前処理用電解液に浸漬した状態で該電極に正電圧を付与する正電圧処理工程と、を行なうことによりニトリル基由来の付着物が該電極上に付着していることを特徴とするリチウムイオン電池用電極。
  6. 前記ニトリル化合物は鎖式飽和炭化水素化合物の両末端にニトリル基が結合した鎖式飽和炭化水素ジニトリル化合物、鎖式エーテル化合物の末端の少なくとも一つにニトリル基が結合した鎖式エーテルニトリル化合物及びシアノ酢酸エステルのうち少なくとも一つであることを特徴とする請求項5記載のリチウムイオン電池用電極。
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