JP2010242711A - フューエルデリバリパイプ - Google Patents

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Abstract

【課題】ねじ部のがたつきを防止するフューエルデリバリパイプを提供する。
【解決手段】燃料を導入するための導入用配管200と、エンジン50の複数の気筒内へ燃料を供給するための複数のインジェクタ300とに、それぞれ接続され、導入された燃料を分岐して複数のインジェクタ300の各々に供給するフューエルデリバリパイプ100aであって、導入用配管200と、複数のインジェクタ300がそれぞれ接続される導入部112と、複数の供給部113とを有し、導入部112と、複数の供給部113の各々を相互に連通する燃料分岐路111が内部に形成されているパイプ本体110と、導入部112に外嵌された接続部保護カバー140と、を備え、接続部保護カバー140の外周には、導入用配管200に形成されたナット側雌ねじ223と螺合可能なカバー側雄ねじ142が形成されている。
【選択図】図5

Description

本発明は、フューエルデリバリパイプに関する。
従来、車両内において、燃料タンクから供給される燃料を分岐させてエンジンの各筒内に供給するためのフューエルデリバリパイプの構造としては、フューエルデリバリパイプと、これに取り付けられる相手側部品(例えば、インジェクタ)とを互いにねじで締結する構成が知られている(特許文献1)。
このような構成では、締結時にフューエルデリバリパイプ側のねじ部が塑性変形をする可能性があった。ねじ部が塑性変形をすると、相手側部品を新品に交換して締結した際に、フューエルデリバリパイプに対して相手側部品ががたつくといった問題点が生じる。
特開2007−57006号公報
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、フューエルデリバリパイプのねじ部のがたつきを抑制するフューエルデリバリパイプを提供することを目的とする。
本発明は、燃料を導入するための導入用配管と、内燃機関の複数の気筒内へ燃料を供給するための複数の気筒供給用部品とに、それぞれ接続され、前記導入された燃料を分岐して前記複数の気筒供給用部品の各々に供給するフューエルデリバリパイプであって、前記導入用配管と、前記複数の気筒供給用部品の各々とを含む相手側部品が接続される複数の接続部を有し、前記複数の接続部の各々を相互に連通する燃料分岐路が内部に形成されているパイプ本体と、前記接続部のうち、少なくとも一つの接続部に外嵌された接続部保護カバーと、を備え、前記接続部保護カバーの外周には、前記相手側部品に形成された相手側ねじ部と螺合可能なカバー側ねじ部が形成されていることに特徴を有する。
本発明の実施態様として、以下の構成とすることが好ましい。
前記少なくとも一つの接続部の外周には前記少なくとも一つの接続部と前記接続部保護カバーとの嵌合方向に沿ってガイド溝が形成されるとともに、前記ガイド溝の前記嵌合方向後端からは、前記ガイド溝と直交する抜け止め溝が形成され、前記接続部保護カバーには、前記ガイド溝及び前記抜け止め溝に嵌合可能な突起部が形成されていることを特徴とする。
このような構成とすれば、抜け止め溝に突起部を嵌合させることで、接続部に対して接続部保護カバーを抜け止めできる。
前記接続部保護カバーの嵌合方向前端からは、前記少なくとも一つの接続部の内側に突き出し、弾性変位可能な係止部が延設され、前記少なくとも一つの接続部の外周において、前記接続部保護カバーと前記少なくとも一つの接続部とが嵌合した状態で、前記係止部と対向する箇所には、前記少なくとも一つの接続部内側に凹設された抜け止め部が形成されていることを特徴とする。
このような構成とすれば、抜け止め部に係止部を係止させることで、接続部に対して接続部保護カバーを抜け止めできる。係止部は接続部の内側に突き出しおり、弾性変位可能であるから、嵌合作業時に抜け止め部に到達すると、弾性復帰して自動的に係止するため作業性がよい。
前記接続部保護カバーのビッカース硬さは、前記少なくとも一つの接続部のビッカース硬さよりも、小さい値で設定されていることを特徴とする。
このような構成とすれば、少なくとも一つの接続部に接続部保護カバーを取り付けた際に、少なくとも一つの接続部側が塑性変形することを抑制できる。
なお、本発明は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、たとえば、フューエルデリバリパイプを有する燃料供給装置、このような燃料供給装置を有する内燃機関、あるいは、このような内燃機関を備える自動車などの形態で実現することが可能である。
本発明のフューエルデリバリパイプは、相手側ねじ部と螺合するカバー側ねじ部が形成されている接続部保護カバーを有しているので、相手側ねじ部をカバー側ねじ部に螺合させる際にカバー側ねじ部が塑性変形し、がたつきを生じた場合は、接続部保護カバーを新品に交換すればよい。
従来のように、接続部にねじ部を形成した場合、ねじ部が塑性変形した場合、パイプ本体ごと交換する必要が生じる。その点、本発明では、接続部保護カバーのみを交換すればよいので、パイプ本体を交換する場合と比較して、部品交換の手間が少なく、部品のコストも安くて済む。
なお、塑性変形したカバー側ねじ部にがたつきが生じるのは、例えば、接続されている相手側部品を新品に交換した場合が挙げられる。塑性変形したカバー側ねじ部と新品の相手側部品との螺合が正しくされず、相手側部品との間でがたつきが生じる可能性がある。
本発明の実施例における燃料供給装置を示す説明図。 第1実施例のフューエルデリバリパイプと燃料配管の接続部分を示す断面図。 第1実施例の導入部からシール押圧部品を分離した状態の断面図。 第2実施例におけるフューエルデリバリパイプの導入部付近の構成を示す説明図。 第2実施例におけるフューエルデリバリパイプの導入部付近の構成を示す断面図。 第2実施例における導入部の平面図。 第2実施例における接続部保護カバー及びシール押圧部品を、嵌合方向前側から視た図。 第2実施例におけるフューエルデリバリパイプと導入用配管との接続した状態を示す断面図。 第2実施例の変形例であるフューエルデリバリパイプの構成を示す断面図。
本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.自動車における燃料供給装置の構成:
B.第1実施例におけるフューエルデリバリパイプの構成:
C.第2実施例におけるフューエルデリバリパイプの構成:
A.自動車における燃料供給装置の構成:
図1は、本発明の実施例における燃料供給装置の構成を示す図である。燃料供給装置は、図示しない車両内に装備され、燃料タンク10からエンジン50に燃料を供給するものである。燃料供給装置は、燃料供給ポンプ20、フィルタ30と、圧力調整装置40と、導入用配管200と、フューエルデリバリパイプ100と、インジェクタ300とを備えている。
なお、本実施例では、エンジン50は、特許請求の範囲における「内燃機関」の一例である。また、本実施例では、インジェクタ300は、特許請求の範囲における「気筒供給用部品」の一例である。
燃料供給ポンプ20は、燃料タンク10の内部に配置され、燃料を加圧する。加圧された燃料は、フィルタ30によって濾過され、圧力調整装置40によって、一定の圧力に調整される。一定の圧力に調整された燃料は導入用配管200によってフューエルデリバリパイプ100に導入される。フューエルデリバリパイプ100に導入された燃料は、フューエルデリバリパイプ100内で分岐され、複数(本実施例では4つ)のインジェクタ300に供給される。供給された燃料は、各インジェクタ300を開くことでエンジン50内の各気筒(図示せず)へ噴射される。
B.第1実施例におけるフューエルデリバリパイプの構成:
フューエルデリバリパイプ100は、パイプ本体110とシール押圧部品130(後述)とを備えている。パイプ本体110は例えば金属製(アルミ合金や鉄など)で、図1の左右方向に長い略直方体をなしている。パイプ本体110には、導入用配管200からの燃料が導入され、円筒状をなす導入部112と、インジェクタ300が各々接続され、円筒状をなす複数(4気筒の場合4ヶ所)の供給部113とが形成されている。
パイプ本体110の内部には、燃料分岐路111が形成されている。燃料分岐路111は、パイプ本体110の長手方向に延びて形成された主経路111M、主経路111Mに連通する導入路111A及び複数(4気筒の場合4ヶ所)の供給路111Bと、を備えている。
導入路111Aは主経路111Mから、パイプ本体110の短手方向に延び、導入部112の内部を貫通して形成されている。各供給路111Bは主経路111Mから、パイプ本体110の短手方向に延び、各供給部113の内部をそれぞれ貫通して形成されている。これにより、燃料分岐路111によって、導入部112及び各供給路111Bは相互に連通され、導入路111Aから導入された燃料は、主経路111Mを通り各供給路111Bで分岐された後、各インジェクタ300に供給される構成となっている。
図2は、本発明の第1実施例におけるフューエルデリバリパイプ100と導入用配管200との接続部分を示す断面図である。導入用配管200は例えばステンレス製の配管本体210と、導入部112に取り付けられる取付部220を備えており、その内部を貫通して燃料流路230が形成されている。
取付部220は、配管本体210と一体的に形成され配管本体210より外径の大きい先端部222と、配管本体210に回転可能で外挿される六角形状の取り付けナット221と、を備えている。
先端部222の先端側(図2の下側)は、先端側に向かって縮径するテーパ状をなしており、外面222Aが形成されている。先端部222の基端側、すなわち配管本体210との連結側は、先端側に向かって拡径するテーパ状をなしており、先端部側当接面222Bが形成されている。
取り付けナット221には先端側に向かって円筒状の開口部221Dが形成され、導入部112を収容可能となっている。開口部221Dを構成する内壁には、ナット側雌ねじ223が形成されている。ナット側雌ねじ223は、導入部112の外周に形成された導入部側雄ねじ112Aと螺合可能となっている。なお、本実施例では、ナット側雌ねじ223は特許請求の範囲に記載の「相手側ねじ部」の一例である。
取り付けナット221の図2における上側の壁部221Aの中心には、配管本体210を挿通可能な貫通孔221Bが形成されている。貫通孔221Bの図2における下側の先端は、先端側に向かって拡径するテーパ状をなしており、先端部側当接面222Bと当接可能なナット側当接面221Cが形成されている。
図3は導入部112からシール押圧部品130を分離した状態を示す断面図である。導入部112の先端側(上側)には、導入路111Aと連通するように円筒状に凹設された押圧部品取付部112Bが形成されている。押圧部品取付部112Bの底部114には、導入路111Aの軸と同心をなし、導入路111Aを囲むように環状溝115が凹設されている。
環状溝115にはOリング150が装着可能となっている。Oリング150の線径f1は、環状溝115の深さf2より若干大きく設定されている。このため、Oリング150を環状溝115に装着した状態では、環状溝115からOリング150の上部がはみ出る構成となっている。
シール押圧部品130は例えばステンレス製で、押圧部品取付部112Bとほぼ同径の円筒状をなしており、押圧部品取付部112Bに嵌合される。
なお、シール押圧部品130の嵌合方向の高さg1は、押圧部品取付部112Bの深さg2より、小さく設定されている。これにより、シール押圧部品130を押圧部品取付部112Bに嵌合させると、その内部に完全に収容でき、フューエルデリバリパイプ100を小型化できる。
シール押圧部品130の押圧部品取付部112Bへの嵌合方向(図3の下方向)の前端面は、押圧面130Aとされ、押圧部品取付部112Bとの嵌合時には、底部114と対向して配置される。
シール押圧部品130の導入用配管200側(押圧面130Aと反対側)の先端には、前述した先端部222が嵌合される嵌合部132Dが凹設されている。
嵌合部132Dは、シール押圧部品130の軸と同軸で形成され、導入部側雄ねじ112Aに対するナット側雌ねじ223の螺進方向(図2の下方)に向かってテーパ形状で縮径している。
具体的には、嵌合部132Dの先端(図2の上端)の径は、先端部222の先端(図2の下側)の外径よりも大きく設定されており、嵌合部132Dの図2における下端の径は、先端部222の先端の外径よりも小さく設定されている。また、嵌合部132Dの表面は、前述した先端部222の先端の外面222Aと当接するシール面132Eとされる。
シール押圧部品130を軸方向に沿って貫通することで中継流路133が形成されており、中継流路133は嵌合部132Dの図2における下端側と連通されている。
シール押圧部品130の外周において、押圧部品取付部112Bとの嵌合方向(図3の下側)前端には、嵌合作業を行いやすくするために、嵌合方向に向かって縮径するテーパ部134が形成されている。
次に、フューエルデリバリパイプ100と導入用配管200との接続方法を説明し、本実施例の作用について説明する。まず、導入部の環状溝115にOリング150を装着する。次に、シール押圧部品130を図3の上方から押圧部品取付部112Bに挿入し嵌合させる。シール押圧部品130を押圧部品取付部112Bに嵌合させた状態では、環状溝115からはみ出したOリング150の上部と、シール押圧部品130の押圧面130Aとが接触する。
次にシール押圧部品130の嵌合部132Dに導入用配管200の先端部222を嵌合させた後、取り付けナット221の外周に工具を係合させて、取り付けナット221を回転させることで、ナット側雌ねじ223を導入部側雄ねじ112Aに螺合させる。
ナット側雌ねじ223を導入部側雄ねじ112Aに螺合させていくと、ナット側当接面221Cが先端部側当接面222Bを押え付け、先端部222の外面222Aがシール面132Eに対して全周に渡って押圧される。
嵌合部132Dは、ナット側雌ねじ223の螺進方向に縮径しているから、ナット側雌ねじ223を導入部側雄ねじ112Aに螺合させる程、先端部222の外面222Aとシール面132Eとの押圧力は高くなり、より高いシール性を確保できる。
これと同時に、先端部222によってシール押圧部品130が押圧されると、シール押圧部品130の押圧面130Aと底部114とに挟まれているOリング150が押しつぶされる。このため、シール押圧部品130と導入部112との間でシール性が確保される。
上記のように、導入部側雄ねじ112Aにナット側雌ねじ223を締結することで、導入用配管200とシール押圧部品130とのシール並びにシール押圧部品130と導入部112とのシールが同時に行えるため、作業性がよい。
以上の作業によって、導入用配管200と導入部112とが接続され、導入路111A、中継流路133及び燃料流路230とが連通される。
本実施例においては、シール押圧部品130の押圧面130Aと環状溝115との間にOリング150を挟んで押しつぶすことで、シール押圧部品130と導入部112とのシールをする構成とした。このようにしておけば、シール押圧部品130を押圧部品取付部112Bに挿入して、嵌合させるときに、挿入の妨げとならない。
例えば、従来技術のシール構造(特開2007−57006)のように、Oリングを軸部材(シール押圧部品130に相当)に外挿して、軸挿入部(押圧部品取付部112Bに相当)の側壁に押付けることで、軸部材と軸挿入部とのシールをする構成のものでは、軸部材挿入時に押しつぶされた状態のOリングが側壁と摺動する。このため、Oリングが挿入抵抗となり、挿入作業性を低下させるだけでなく、Oリングのねじれや損傷も懸念される。
この点、本実施形態のものでは、Oリング150は押圧部品取付部112Bの底部に装着されているため、シール押圧部品130を押圧部品取付部112Bに挿入する際にOリング150が摺動することがないから、挿入の妨げにならず、Oリング150のねじれや損傷も起こらない。
ところで、従来技術において、シール部材のつぶし代を大きくすると、シール部材の摺動面に対する反力も大きくなるから、軸部材挿入時の挿入力が増加し、シール部材の損傷やねじれの危険性も高くなる。このため、従来技術の構成では、つぶし代を大きくして、高圧流体のシールをすることが困難であった。一方、本実施例の構成では、Oリング150が押圧部品取付部112Bに対して摺動しないため、Oリング150のつぶし代を従来技術と比べて大きくすることができ、高圧流体のシールに対応できる。
また、Oリング150は、先端部222によってシール押圧部品130が押圧されることで押しつぶされる。この押圧力の向きとOリング150を押しつぶす向きとが同じ方向のため、Oリング150をより効果的に押しつぶすことができる。このため、Oリング150と押圧面130A及び底部114との接触面圧を高くすることができ、より高いシール性を確保することができる。
また、Oリング150を環状溝115に装着した状態で押しつぶすため、Oリング150が押しつぶされる際の位置ずれを防止できるから、より確実にOリング150とシール押圧部品130とのシールができる。
また、本実施例においては、先端部222を直接パイプ本体110に押圧する構成とせず、シール押圧部品130に押圧する構成とした。このような構成にしておけば、先端部222の押圧によってシール面132Eが塑性変形し、部品を交換する必要が生じた場合でも、シール押圧部品130のみを新品と交換すればよい。先端部222を直接パイプ本体110に押圧する構成とすると、シール面が塑性変形した場合、パイプ本体110を交換する必要が生じる。これと比較して、本実施例の構成では部品交換の手間が少なく、部品のコストも安くて済む。
C.第2実施例におけるフューエルデリバリパイプの構成:
図4は、第2実施例におけるフューエルデリバリパイプ100aの導入部112付近の構成を示す説明図であり、図5は、第2実施例におけるフューエルデリバリパイプ100aの導入部112付近の構成を示す断面図である。なお第2実施例については、第1実施例と同一の構成については同一符号を付して重複する説明を省略し、異なるところについてのみ説明する。
フューエルデリバリパイプ100aは、シール押圧部品130の周囲を囲むようにして、接続部保護カバー140が形成されている点と、導入部112に接続部保護カバー140を取り付けるための嵌合溝116が形成されている点で第1実施例におけるフューエルデリバリパイプ100と相違する。
接続部保護カバー140は、その内径が導入部112の外径とほぼ同じに設定された円筒状をなし、その上端とシール押圧部品130の上端とが連結壁141によって一体的に連結されている。これにより接続部保護カバー140とシール押圧部品130との間には、下方に向けて開口部140Aが形成され、開口部140A内に導入部112の側壁112Cを嵌合可能となっている。
接続部保護カバー140の外周には、カバー側雄ねじ142が形成されており、取り付けナット221のナット側雌ねじ223と螺合可能となっている。なお、本実施例では、カバー側雄ねじ142は特許請求の範囲に記載の「カバー側ねじ部」の一例である。
導入部112の側壁112Cの外周側には、L字型の嵌合溝116が形成されている。嵌合溝116は、ガイド溝116Aと抜け止め溝116Bを備えている。ガイド溝116Aは導入部112と接続部保護カバー140との嵌合方向に沿って導入部112の先端から基端付近まで延設されている。
抜け止め溝116Bはガイド溝116Aに対して交差し(本実施例では直交)、ガイド溝116Aの嵌合方向後端(図4の下側)から、取り付けナット221の締め付け方向と同じ方向(図4の左側)へ延設されている。
図6は、導入部112の平面図である。嵌合溝116は導入部112の周方向に等間隔(本実施例では90度間隔)で4箇所形成されている。
図7は、接続部保護カバー140及びシール押圧部品130を、その嵌合方向前側(図5の下側)から視た図である。接続部保護カバー140の内周面143には、嵌合溝116に対応する4箇所に、それぞれ内側へ突出する突起部143Aが形成されている。
図8は、フューエルデリバリパイプ100aと導入用配管200との接続した状態を示す断面図である。突起部143Aは、導入部112に接続部保護カバー140を嵌合させた際に、抜け止め溝116Bと同じ高さとなるような位置に形成されている。ガイド溝116Aの幅方向(図4の左右方向)の長さは、対応する突起部143Aの幅とほぼ同じに設定されており、突起部143Aの嵌合方向(図8の上下方向)の長さは抜け止め溝116Bの嵌合方向の長さとほぼ同じに設定されている。
次に導入部112への接続部保護カバー140及び導入用配管200の取り付け方法について説明する。まず、接続部保護カバー140の各突起部143Aを導入部112の各ガイド溝116Aにそれぞれ嵌合させる。そして、開口部140Aに導入部112の側壁112Cを嵌合させ、接続部保護カバー140を導入部112に対して押し込んでいく。
そして、接続部保護カバー140を導入部112に対して押し込んでいくと、各突起部143Aはガイド溝116Aの嵌合方向(図5の下側)先端に到達する。このようにして、導入部112の外周を接続部保護カバー140が覆うように外嵌される。また、これと同時にシール押圧部品130を押圧部品取付部112Bに嵌合させつつ、シール押圧部品130の押圧面130AがOリング150と接触するまで、シール押圧部品130を押圧部品取付部112Bに嵌合させる。
次に、接続部保護カバー140及びシール押圧部品130を、軸を中心として各抜け止め溝116Bの延設方向(図6の時計回り)に回転させると、各突起部143Aは各抜け止め溝116Bに嵌合される。これによって、各突起部143Aの嵌合方向の規制がされ、接続部保護カバー140の抜け止めがされる。
また、この状態では、シール押圧部品130の押圧面130Aと、導入部112の底部114とによって、Oリング150が押しつぶされる。すると、押しつぶされたOリング150の反発力によって、シール押圧部品130は、嵌合方向後側(図8の上側)へ押し上げられる。これにより、シール押圧部品130と一体的に形成されている突起部143Aは、抜け止め溝116Bの上壁に押し付けられる。このため、導入部112に対するシール押圧部品130の回り止めがより確実にされる。
次に、シール押圧部品130の嵌合部132Dに導入用配管200の先端部222を嵌合させた状態で、取り付けナット221の外周に工具を係合させて、取り付けナット221を回転させることで、ナット側雌ねじ223をカバー側雄ねじ142に螺合させる。
なお、抜け止め溝116Bの延設方向を図4の左側としたが、これはカバー側雄ねじ142のねじ締め方向を右ねじとした場合に、ねじ締め方向と同じ方向にするためである。このようにしておけば、ねじ締め時に、接続部保護カバー140が回転して、突起部143Aが抜け止め溝116Bから、外れてしまうことを防止できる。仮にカバー側雄ねじ142のねじ締め方向が左ねじである場合は、抜け止め溝116Bの延設方向を逆(図4の右側)にするのが望ましい。
上述したように、第2実施例では、カバー側雄ねじ142が形成されている接続部保護カバー140を有しているので、ナット側雌ねじ223をカバー側雄ねじ142に螺合させる際にカバー側雄ねじ142が塑性変形し、カバー側雄ねじ142を交換する必要が生じた場合は、接続部保護カバー140のみを交換すればよい。
従来のように、導入部112にねじ部を形成した構成では、ねじ締めによって、ねじ部が塑性変形した場合、パイプ本体110ごと交換する必要が生じる。その点、本発明では、接続部保護カバー140のみを交換すればよいので、パイプ本体110を交換する場合と比較して、部品交換の手間が少なく、部品のコストも安くて済む。
なお、塑性変形したカバー側雄ねじ142を交換する場合というのは、例えば、接続されているナット側雌ねじ223を新品に交換した場合が挙げられる。新品のナット側雌ねじ223と塑性変形したカバー側雄ねじ142との螺合が正しくされず、ナット側雌ねじ223が、がたつく可能性があるためである。
また、導入部112に接続部保護カバー140を固定すると、接続部保護カバー140と一体的に形成されているシール押圧部品130はOリング150を覆う状態となる。これにより、例えばフューエルデリバリパイプ100a運搬時などに、Oリング150がフューエルデリバリパイプ100aから脱落したり、Oリング150に異物が付着することを防止できる。
本実施例では、導入部112に接続部保護カバー140を取り付ける構成を例示したが、例えば、供給部113に嵌合溝116を形成し、接続部保護カバー140を取り付ける構成としてもよい。
また、本実施例では、導入部112の外周に嵌合溝116を形成し、接続部保護カバー140の内周に突起部143Aを形成したが、この構成を入れ替えてもよく、導入部112の外周に突起部143Aを形成し、接続部保護カバー140の内周に嵌合溝116を形成し、突起部143Aと嵌合溝116とを嵌合させる構成としてもよい。
接続部保護カバー140の内周に嵌合溝116を形成した場合は、導入部112との嵌合方向に沿って、接続部保護カバー140の嵌合方向先端から基端付近までガイド溝116Aを延設し、ガイド溝116Aの嵌合方向後端から、取り付けナット221の締め付け方向と同じ方向に抜け止め溝116Bを延設するのが望ましい。
図9は、第2実施例の変形例であるフューエルデリバリパイプ100bの構成を示す断面図である。前記第1、第2実施例と同一の構成については同一符号を付して重複する説明を省略し、異なるところについてのみ説明する。フューエルデリバリパイプ100bは、第2実施例とは接続部保護カバー140bの形状が異なり、接続部保護カバー140bの導入部112への抜け止め方法において、第2実施例とは相違する。
第2実施例のフューエルデリバリパイプ100aでは、接続部保護カバー140の内周に突起部143Aを形成し、導入部112側の嵌合溝116に嵌合させることで、接続部保護カバー140を抜け止めとした。フューエルデリバリパイプ100bでは、接続部保護カバー140bの嵌合方向先端から全周に渡って係止部145を延設し、導入部112に形成した抜け止め部117に係止部145を係止させることで、接続部保護カバー140の抜け止めをする構成となっている。
具体的には、係止部145は断面L字状をなし、その基端部146は、導入部112に向かって傾斜しており、内側の面は係止面146Aとされる。先端部147は外側に向かって傾斜しており、内側の面は傾斜面147Aとされる。また、係止部145は、接続部保護カバー140bに対して弾性変位可能となっている。
導入部112の側壁112Cには、接続部保護カバー140bと導入部112とが嵌合した状態で、係止面146Aと対向する箇所に、抜け止め部117が形成されている。抜け止め部117は、接続部保護カバー140bの内側に向かって凹設され、接続部保護カバー140bの嵌合方向前側(図9の下側)に向かって縮径するテーパ状をなしている。また、側壁112Cの上面の周縁は嵌合方向の後側に向かってテーパ状で縮径しており、当接面118が形成されている。
次に導入部112への接続部保護カバー140bの取り付け方法について説明する。まず、嵌合の初期段階で、接続部保護カバー140bの傾斜面147Aを側壁112Cの当接面118に当接させる。この状態で、接続部保護カバー140をさらに導入部112に対して押し込むようにすると、傾斜面147Aが当接面118に押されることで係止部145が外側に弾性変形する。これによって、接続部保護カバー140b及びシール押圧部品130を導入部112にさらに押し込むことが可能となる。
接続部保護カバー140b及びシール押圧部品130を導入部112に押し込んでいくと、係止部145が抜け止め部117に到達する。すると、係止部145が弾性復帰をすることで、抜け止め部117に係止面146Aが当接する。これによって、接続部保護カバー140bの抜け止めがされ、導入部112の外周を接続部保護カバー140bが覆うように配置される。上記のように接続部保護カバー140bを導入部112に嵌合させるだけで、接続部保護カバー140bの抜け止めがされるため、嵌合作業が容易となる。
また、この状態では、シール押圧部品130は押圧部品取付部112Bに嵌合されており、シール押圧部品130の押圧面130AがOリング150と接触している。
次に、シール押圧部品130の嵌合部132Dに導入用配管200の先端部222を嵌合させた状態で、取り付けナット221の外周に工具を係合させて、取り付けナット221を回転させることで、ナット側雌ねじ223をカバー側雄ねじ142に螺合させる。
なお、取り付けナット221の内径を接続部保護カバー140bの外径よりわずかに小さく設定しておけば、取り付けナット221をねじ締めした時に接続部保護カバー140bが縮径する。これによって接続部保護カバー140bの内周と導入部112の外周とが密着し、より確実に接続部保護カバー140bの固定がされる。
また、上述の第2実施例では、導入部112に接続部保護カバー140、140b及びシール押圧部品130を取り付ける構成を例示したが、シール押圧部品130を取り付けず、接続部保護カバー140、140bのみを導入部112に外嵌する構成としてもよい。
また、上述の第2実施例では、接続部保護カバー140、140bとシール押圧部品130とを一体の構成としたが、接続部保護カバー140とシール押圧部品130とは分離していてもよく、その場合は両部品の成形を容易に行うことができる。
ところで、上述の第2実施例において、接続部保護カバー140、140bのビッカース硬さを設定することで、次の効果が期待できる。例えば、接続部保護カバー140、140bのビッカース硬さを導入部112のビッカース硬さより小さい値又は導入部112のビッカース硬さと近い値で設定しておけば、導入部112に接続部保護カバー140、140bを取り付けた際に、導入部112が塑性変形することを抑制できる。
また、接続部保護カバー140、140bのカバー側雄ねじ142のビッカース硬さをナット側雌ねじ223のビッカース硬さより大きい値又はナット側雌ねじ223のビッカース硬さに近い値としておけば、両ねじ締め付け時に、カバー側雄ねじ142の塑性変形を抑制できる。
なお、各ビッカース硬さの値は、例えば、各部品の材質の選定や、各部品に表面処理を施すことで設定可能であり、例えば、JIS規格Z2244−2003に規定のビッカース硬さ試験法に準拠して測定することができる。
<他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこのような実施の形態になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様での実施が可能である。特に、上記各実施例における構成要素中の独立請求項に記載された要素以外の要素は、付加的な要素なので適宜省略可能である。
(1)上述の第1、第2実施例では、気筒供給用部品としてインジェクタ300を例示したが、これに限定されない。例えばインジェクタ300と供給部113とを配管でつなぐ構成とした場合は、この配管が気筒供給用部品の一例となる。
10…燃料タンク
20…燃料供給ポンプ
30…フィルタ
40…圧力調整装置
50…エンジン
100、100a、100b…フューエルデリバリパイプ
110…パイプ本体
111…燃料分岐路
111A…導入路
111B…供給路
111M…主経路
112…導入部(本実施例では、特許請求の範囲に記載の「少なくとも一つの接続部」の一例)
112A…導入部側雄ねじ
112B…押圧部品取付部
112C…側壁
113…供給部(本実施例では、特許請求の範囲に記載の「接続部」の一例)
114…底部
115…環状溝
116…嵌合溝
116A…ガイド溝
116B…抜け止め溝
117…抜け止め部
118…当接面
130…シール押圧部品
130A…押圧面
132D…嵌合部
132E…シール面
133…中継流路
134…テーパ部
140、140b…接続部保護カバー
140A…開口部
141…連結壁
142…カバー側雄ねじ(本実施例では、特許請求の範囲に記載の「カバー側ねじ部」の一例)
143A…突起部
145…係止部
146…基端部
146A…係止面
147…先端部
147A…傾斜面
150…Oリング
200…導入用配管
210…配管本体
220…取付部
221…取り付けナット
221A…壁部
221B…貫通孔
221C…ナット側当接面
221D…開口部
222…先端部
222A…外面
222B…先端部側当接面
223…ナット側雌ねじ(本実施例では、特許請求の範囲に記載の「相手側ねじ部」の一例)
230…燃料流路
300…インジェクタ(本実施例では、特許請求の範囲に記載の「気筒供給用部品」の一例)
f1…Oリング150の線径
f2…環状溝115の深さ
g1…シール押圧部品130の嵌合方向の高さ
g2…押圧部品取付部112Bの深さ

Claims (4)

  1. 燃料を導入するための導入用配管と、内燃機関の複数の気筒内へ燃料を供給するための複数の気筒供給用部品とに、それぞれ接続され、前記導入された燃料を分岐して前記複数の気筒供給用部品の各々に供給するフューエルデリバリパイプであって、
    前記導入用配管と、前記複数の気筒供給用部品の各々とを含む相手側部品が接続される複数の接続部を有し、前記複数の接続部の各々を相互に連通する燃料分岐路が内部に形成されているパイプ本体と、
    前記接続部のうち、少なくとも一つの接続部に外嵌された接続部保護カバーと、
    を備え、
    前記接続部保護カバーの外周には、前記相手側部品に形成された相手側ねじ部と螺合可能なカバー側ねじ部が形成されているフューエルデリバリパイプ。
  2. 請求項1に記載のフューエルデリバリパイプであって、
    前記少なくとも一つの接続部の外周には前記少なくとも一つの接続部と前記接続部保護カバーとの嵌合方向に沿ってガイド溝が形成されるとともに、
    前記ガイド溝の前記嵌合方向後端からは、前記ガイド溝と交差する方向に抜け止め溝が形成され、
    前記接続部保護カバーには、前記ガイド溝及び前記抜け止め溝に嵌合可能な突起部が形成されているフューエルデリバリパイプ。
  3. 請求項1に記載のフューエルデリバリパイプであって、
    前記接続部保護カバーの前記嵌合方向前端からは、前記少なくとも一つの接続部の内側に突き出し、弾性変位可能な係止部が延設され、
    前記少なくとも一つの接続部の外周において、前記接続部保護カバーと前記少なくとも一つの接続部とが嵌合した状態で、前記係止部と対向する箇所には、前記少なくとも一つの接続部内側に凹設された抜け止め部が形成されているフューエルデリバリパイプ。
  4. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載のフューエルデリバリパイプであって、
    前記接続部保護カバーのビッカース硬さは、前記少なくとも一つの接続部のビッカース硬さよりも、小さい値で設定されているフューエルデリバリパイプ。
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