JP2010242003A - 成形用樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 セラミックス焼結体を製造する方法において、セラミックス粉末、熱可塑性樹脂、滑剤、及び、可塑剤を含有する成形用樹脂組成物から、可塑剤や滑剤のブリードを防止し、積層脱脂及び積層焼成を可能にした、生産性に優れる押出成形用樹脂組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】 セラミックス粉末100質量部に対して、非晶性樹脂を50質量%以上の割合で含有する熱可塑性樹脂を3〜20質量部、滑剤として脂肪酸又はその誘導体を0.3〜5質量部、並びに、可塑剤としてフタル酸エステルを1〜10質量部の割合で混合する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、セラミックス粉末及び熱可塑性樹脂を含有する成形用樹脂組成物に関する。詳しくは、可塑剤、滑剤等の添加剤を配合した上記樹脂組成物を使用して得られる成形体における該添加剤のブリードを抑え、成形体同士の癒着を効果的に防止したセラミックス成形用樹脂組成物を提供する。
近年、セラミックスは、高強度、耐磨耗性、低熱膨張性、耐熱性、高硬度、電気絶縁性などの特性を利用して、構造部品や回路基板、各種機能材料として広く使用されている。
セラミックス回路基板は、セラミックス基板に導電性を有する金属回路を形成したものであり、金属回路の所定位置に半導体素子等が搭載される。セラミックス回路基板の高信頼性を保つには、半導体素子が発生する熱を放熱し、半導体素子の温度が過度に上昇しないようにすることが必要であり、セラミックス基板には、電気絶縁性に加えて、優れた放熱特性が要求される。
近年、セラミックス回路基板の小型化、パワーモジュールの高出力化が進む中、小型軽量化モジュールに関して、特に電気絶縁性が高く、高熱伝導性を有する窒化アルミニウム焼結体を用いるセラミックス基板が注目されている。
一般に、セラミックスは、セラミックス粉末をバインダ樹脂と混合した組成物を様々な成形方法により所望の形状に成形した後に、必要に応じて脱脂し、次いで、焼成することによって得られる。
従来、窒化アルミニウム成形体の製造方法として、バインダ樹脂を溶解した溶媒に窒化アルミニウム及び焼結助剤を分散せしめ、これをシート状等の所定の形状に成形するドクターブレード法が知られている(特許文献1参照)。また、ドクターブレード法によってシート状に成形された成形体を積層して、脱脂、焼成することにより大量の成形体を効率よく焼成する方法も提案されている(特許文献2参照)。
一方、上記セラミックス成形体の製造方法に対して、溶媒を使用せず、セラミックス粉末と熱可塑性樹脂とを加熱混練して樹脂組成物とし、これを押出成形や射出成形を行う方法が提案されている(特許文献3、4参照)。上記熱可塑性樹脂との加熱混練により成形体を得る方法は、成形体に溶媒を含まないため、成形体の密度を高くすることができ、その後の脱脂、焼成によって得られる焼結体の寸法安定性がよく、しかも、溶媒の乾燥工程が必要ないことにより生産性も良好であるというメリットを有する。特に板状、棒状、管状など単純形状の成形体を連続的かつ効率よく得る方法としては、押出成形が最適である。
上記のようにセラミックス粉末と熱可塑性樹脂とを加熱混錬して成形用樹脂組成物を得る際には、一般に、可塑剤や滑剤が併用される。即ち、可塑剤は、通常硬くて脆いセラミックス成形体に柔軟性や弾性を与え、滑剤は混練や成形時における装置金属面への粘着防止、或いは脈動、目ヤニ等を低減させる目的で使用される。
ところが、上記成形用樹脂組成物が、可塑剤や滑剤等の添加剤を含有する場合、成形体表面に可塑剤や滑剤がブリードし、該組成物を成形して得られる成形体同士が癒着して取り扱いが困難となり、特に該成形体を積層して脱脂、焼成を行う場合には、成形体同士の癒着により脱脂不良が発生し、得られる焼結体の品質にバラツキが生じるという問題を有する。
上記問題は、成形体が高温環境下にあると、顕著になる傾向があるため、前記脱脂における昇温過程ではブリードの問題が一層深刻となる。
特開平7−267742号公報 特開平9−295871号公報 特開昭55−113511号公報 特開2005−281014号公報
従って、本発明の目的は、セラミックス粉末と熱可塑性樹脂を主成分とし、これに可塑剤、滑剤等の添加剤を配合して成形性を向上させた樹脂組成物において、得られる成形体からの該添加剤のブリードによる成形体同士の癒着を防止し、積層脱脂及び積層焼成を可能にした、生産性に優れるセラミックス成形用樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、セラミックス成形用樹脂組成物の製造方法における前記目的を達成すべく鋭意研究を行った。その結果、結晶性の熱可塑性樹脂と前記添加剤との組み合わせにおいては、可塑剤、滑剤のいずれか、或いは両方ともにブリードするが、熱可塑性樹脂が非晶性樹脂を主とし、特定の可塑剤と滑剤を特定量配合した場合に、ブリードを抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、セラミックス粉末100質量部に対して、非晶性樹脂を50質量%以上の割合で含有する熱可塑性樹脂を3〜20質量部、脂肪酸又はその誘導体を0.3〜5質量部、並びに、フタル酸エステルを1〜10質量部の割合でそれぞれ含有することを特徴とする成形用樹脂組成物である。
上記成形用樹脂組成物において、非晶質樹脂として、アクリル樹脂又はポリスチレンを使用することが好ましい。また、かかる非晶性樹脂は、ガラス転移温度が0〜120℃の範囲にあることが好ましい。
本発明の成形用樹脂組成物は、滑剤や可塑剤による効果を十分発揮しながら、そのブリードを効果的に防止できるため、これを押出成形等の成形方法により成形して得られる成形体は、ブリードしたこれらの添加剤による取り扱い性が低下することない。また、シート状に成形された成形体は、ロール巻取りや積層した場合でも、成形体同士の癒着を効果的に防止することができ、このように、成形体を積層した状態で脱脂や焼成を行った場合にも、品質が安定した焼結体を製造することが可能であり、窒化アルミニウム焼結体を、工業的に低コスト且つ大量生産を達成することが可能となる。
〔セラミックス粉末〕
本発明のセラミックス成形用樹脂組成物(以下、単に成形用樹脂組成物ともいう)の製造に用いられるセラミックス粉末は、アルミナ、ジルコニアなどの酸化物セラミックス粉末、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどの窒化物セラミックス粉末、炭化ケイ素、炭化チタンなどの炭化物セラミックス粉末等が用いられる。これらセラミックス粉末の粒径は、特に限定されないが、凝集等を生ぜず、熱可塑性樹脂に均一に分散し得るように、0.5〜20μmの範囲であるのがよい。
上記セラミックス粉末のうち、窒化物セラミックス粉末、特に窒化アルミニウム粉末は、半導体素子搭載用のサブマウントやパワーモジュール用の各種電子回路基板、或いはパッケージ材料、絶縁材料の用途に好適に使用される。
上記窒化アルミニウム粉末は、直接窒化法やアルミナ還元窒化法等の公知の方法で製造されたもの、またはこれらの混合物が特に制限なく使用できる。
上記窒化アルミニウム粉末の不純物については、特に制限はないが、酸素、陽イオン等の不純物が少ないものが好ましく、例えば、酸素含有量が好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは0.4〜1.3質量%の範囲であり、陽イオン不純物の含有量が好ましくは0.3質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下であることが、熱伝導性に優れた窒化アルミニウム焼結体を得るために好ましい。
上記窒化アルミニウム粉末の平均粒子径についても、特に制限されないが、通常、1〜10μm、好ましくは1〜5μm、最も好ましくは1〜3μmである。即ち、窒化アルミニウム粉末の平均粒子径が上記範囲内にある場合に、高熱伝導性且つ高機械強度を有する窒化アルミニウム焼結体を得ることが可能である。
〔熱可塑性樹脂〕
本発明の成形用樹脂組成物において、バインダとして熱可塑性樹脂を含有する。かかる熱可塑性樹脂は、後述の可塑剤、滑剤のブリードを防止するために、非晶性樹脂を50質量%以上、好ましくは、70質量%以上の割合で含有し、残部が結晶性樹脂よりなるものが使用される。勿論、熱可塑性樹脂の全てを非晶性樹脂により構成することも可能であり、かかる態様が最も好ましい。
上記非晶性樹脂は、結晶構造を実質的に持たない熱可塑性樹脂であり、高分子の鎖が、ランダムな状態になっている樹脂が何等制限なく使用できる。具体的な非晶性樹脂を例示すれば、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリ2‐エチルヘキシルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、メチルメタクリレート‐スチレン共重合体、ブチルメタクリレート‐スチレン共重合体、ポリアクリレート等のアクリル樹脂、ポリスチレン、スチレン‐メチルメタクリレート共重合体、スチレン‐メチルメタクリレート‐ブタジエン共重合体、アクリロニトリル‐スチレン共重合体、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル‐エチレン共重合体、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、その他ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンエーテル、ノルボルネン樹脂、ポリアリーレンオキサイド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルフォン等が挙げられる。
上記非晶性樹脂は、特定の融点を持つ結晶性樹脂に対し、明確な溶融境界を持たず、ガラス転移点(以下、単にTgと表記する)から流動性を示すようになる。
本発明において、良好な成形用樹脂組成物を得るための非晶性樹脂は、Tgが0〜120℃、特に、20〜90℃の範囲にあるものが好ましい。即ち、Tgが0℃よりも低い非晶性樹脂を使用する場合、混錬は容易であるが、組成物が柔らかくなり過ぎて、取扱いが難しくなるうえ、可塑剤がブリードしやすくなる傾向がある。一方、Tgが120℃を超える非晶性樹脂を使用すると、セラミックス粉末中に均一に分散することが難しくなったり、成形体が硬くなり過ぎたりする場合がある。
また、2種類以上の非晶質樹脂のブレンド又は共重合によって、Tg(°K)を任意に調整することもできる。前記非晶性樹脂をブレンド又は共重合した際のTgは次のように計算される。
1/Tg=W/Tg+W/Tg+W/Tg
(W、W、Wは樹脂の組成比、Tg、Tg、Tgは各樹脂のTg)
また、相溶しない非晶性樹脂をブレンドした場合には海島構造をとり、共重合体に近い性質を示すが、基本的には各々の樹脂の性質を有する。相溶しない非晶性樹脂をブレンドして使用する場合は、各々の非晶性樹脂のTgが0〜120℃の範囲にあればよい。
本発明において、成形用樹脂組成物の製造に用いる非晶性樹脂は、前記の通り、公知の非晶性樹脂が何等制限なく使用できるが、成形用樹脂組成物から得られる成形体の成形性や脱脂性の観点から、特にアクリル樹脂やポリスチレンが好適に使用される。
なお、本発明の成形用樹脂組成物において使用される熱可塑性樹脂は、上述したように、非晶性樹脂を50質量%以上含有すれば良く、残部は結晶性樹脂を含有させることができる。結晶性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトンなどが挙げられる。
本発明の成形用樹脂組成物において、数種類の熱可塑性樹脂を用いる場合には、予め熱可塑性樹脂、必要により、後述する可塑剤、滑剤、その他成分と予め混合しておくと、それぞれの成分がより均一に分散するため好ましい。
〔可塑剤〕
本発明の成形用樹脂組成物において、前記熱可塑性樹脂との組合せにより、ブリードを効果的に防止できる可塑剤として、フタル酸エステルが使用される。フタル酸エステルを具体的に例示すれば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジ‐(2‐エチルヘキシル)フタレート、ジ‐2‐オクチルフタレート、ジフェニルフタレート、ジノニルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジシクロプロピルフタレート、ジシクロブチルフタレート、ジウンデシルフタレート、ベンジルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
〔滑剤〕
本発明の成形用樹脂組成物に用いる滑剤は、前記熱可塑性樹脂及び可塑剤として使用されるフタル酸エステルとの組み合わせにより、ブリードを効果的に防止できる滑剤としては、脂肪酸及びその誘導体のものが何等制限なく使用できる。具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸等の脂肪酸系滑剤、ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレインアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド、エチレンビスオレイルアミド、エチレンビスラウリルアミド等の脂肪酸アミド系滑剤、ブチルパルミテート、ブチルステアレート、硬化ヒマシ油、エチレングリコールモノステアレート等の脂肪酸エステル系滑剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
〔成形用樹脂組成物〕
本発明の成形用樹脂組成物は、セラミックス粉末、熱可塑性樹脂、可塑剤及び滑剤を含有し、各成分の割合は、セラミックス粉末100質量部に対して、非晶性樹脂を50質量%以上の割合で含有する熱可塑性樹脂を3〜20質量部、好ましくは、5〜15質量部、並びに、滑剤として脂肪酸及びその誘導体を0.3〜5質量部、好ましくは、1〜3質量部、及び、可塑剤としてフタル酸エステルを1〜10質量部、好ましくは、3〜7質量部の割合で含有することが重要である。
上記熱可塑性樹脂の割合が3質量部未満であると、バインダとしての効果が不十分となり、成形が困難となったり、成形体の強度が著しく低下したりする。一方、上記熱可塑性樹脂の割合が20質量部を超えると、脱脂性や焼結体寸法安定性が低下する。
また、脂肪酸及びその誘導体、フタル酸エステルの割合が上記範囲を外れると、脂肪酸及びその誘導体とフタル酸エステルの両方、或いはそれらの一方がブリードし、成形体同士が癒着して、積層脱脂及び積層焼成が不可能となる。
本発明の成形用樹脂組成物は、前記の成分以外に、その他の添加物として通常、セラミックス粉末の焼成に使用される公知の添加剤を含有することができる。かかるその他の添加剤としては、例えば、希土類金属、アルカリ土類金属及びアルミニウムの酸化物、フッ化物、塩化物、硝酸塩、硫酸塩等などの焼結助剤、界面活性剤、鉱油、椰子油等の油、高級アルコール等の低分子量化合物等をさらに含有していてもよい。具体的な焼結助剤を例示すれば、酸化イットリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化ランタン、酸化セリウム等が挙げられる。これら焼結助剤の配合比率は特に限定されないが、酸化物換算でセラミックス粉末100質量部に対して、0.05〜10質量部、好ましくは1〜7質量部、さらに好ましくは3〜6質量部の範囲で使用することが好ましく、単独使用又は2種類以上を併用してもよい。
上記成形用樹脂組成物及びこれを使用して得られる成形体は、上述した配合組成により、2.20〜2.80g/cm、特に、2.35〜2.60g/cmという高い密度を達成することができ、これにより成形体の強度が高くなり、その後の脱脂、焼成を経て得られる焼結体の寸法安定性も向上する。
なお、成形用樹脂組成物の粘度は、例えば、使用されるセラミックス粉末の粒径や比表面積、充填量を勘案し、熱可塑性樹脂の種類や分子量、可塑剤、滑剤の量を増減させることにより調整することができる。
本発明において、成形用樹脂組成物は、セラミックス粉末と熱可塑性樹脂、可塑剤及び滑剤、さらには、必要に応じて使用される焼結助剤を公知の混合方法にて混合して得られる。かかる混合方法としては、乾式、湿式のいずれの方法でも採用される。
上記乾式混合において、混合温度は、熱可塑性樹脂のTg以上の温度が採用される。即ち、上記混合における加熱温度は、非晶性樹脂がTg以上の温度で軟化し始めることから、使用する非晶性樹脂のTg以上の温度が採用される。即ち、加熱温度がTgより低い状態で混練すると、装置に負荷がかかり過ぎたり、樹脂が溶融せずに成形体中に残留したりする。
上記乾式混合に使用する混練装置としては、例えば、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、ディスクニーダー、連続式混練機等を挙げることができる。例えば、加圧ニーダーにより混練する場合、温度50〜300℃、好ましくは70〜200℃、時間5分〜3時間、好ましくは10分〜2時間の条件下で行うことができる。前記混練装置への供給は、熱可塑性樹脂、セラミックス粉末、その他の成分を一度に全量仕込んで加圧混練してもよく、それら成分の一部を予め混合した後、残余の原料を仕込んでさらに加圧混練してもよい。
本発明の方法によって得られる成形用樹脂組成物の形態は特に制限されないが、造粒(ペレット化)されていることが望ましい。造粒には、フィーダー・ルーダー等、公知の装置を使用することができる。
一方、湿式分散を採用する場合に用いる有機溶剤としては、後述する除去の容易さより、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ブロムクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類などが好適である。これらの有機溶媒は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
湿式分散は、上記セラミックス粉末、熱可塑性樹脂、可塑剤、滑剤及び有機溶媒を混合して、有機溶媒中にこれらを分散させる方法であれば特に制限されないが、セラミックス粉末、熱可塑性樹脂、可塑剤、滑剤及び有機溶媒よりなる混合物を、ボールミル等の湿式破砕機により所望の粒子径まで破砕しながら分散する方法が推奨される。
上記ボールミルに用いるボールの材質は特に制限されず、一般にセラミックスの湿式混合に用いるセラミックス製或いはナイロン製のものが使用される。上記混合物の分散を効率的に行う観点からは、セラミックス製ボール、特にアルミナ製ボールを用いることが好ましく、大きさの異なるボールを任意の割合で組み合わせて使用するのがより好ましい。
上記セラミックス粉末、熱可塑性樹脂、可塑剤、滑剤を有機溶媒に分散させた後、該有機溶媒を除去する操作を行う。かかる操作は、公知の乾燥機が特に制限無く使用されるが、有機溶媒を除去後、混合物が顆粒状で得られるスプレードライヤーが好適に使用される。
また、上記湿式分散において、セラミックス粉末と熱可塑性樹脂、可塑剤、滑剤の一部を有機溶媒に分散させ、有機溶媒を除去した混合物を調整した後に、残りの成分を乾式混合において混合し加圧混練してもよい。
〔成形用樹脂組成物を用いた成形体及び焼結体の製造方法〕
本発明において、前記成形用樹脂組成物を用いて成形体を製造する方法は、公知の熱成形法が特に制限無く採用されるが、棒状、角柱状、パイプ状、シート状の成形体を低コストかつ大量生産する方法としては、押出成形が好適である。
押出成形には、公知の1軸或いは2軸押出成形機および公知の金型を使用することができる。また、押出成形条件は、押出成形物の形状や使用する押出成形機の能力に応じて異なるが、一般には押出圧力0.5〜100MPa、好ましくは1〜50MPa、押出速度1〜300mm/秒、好ましくは5〜200mm/秒、シリンダー温度50〜300℃、好ましくは50〜200℃とすることができる。
得られた成形体は、脱脂(脱有機成分)された後、焼成して焼結体が得られる。上記脱脂は、常圧雰囲気、加圧雰囲気、減圧雰囲気等での加熱による方法、溶剤等による抽出による方法、および加熱と抽出とを組み合わせた方法等、公知の手法により行うことができる。
また、脱脂は、常圧雰囲気にて空気中、窒素中、水素中等の任意の雰囲気で加熱することにより行うことが好ましいが、残留炭素量および残留酸素量の調整がし易い、空気中で脱脂を行うことがさらに好ましい。また、脱脂温度は、通常200〜900℃、好ましくは300〜600℃である。
次いで、上記脱脂によって得られた脱脂体を焼成し、焼結体が得られる。焼成条件は、公知の条件が特に制限無く採用されるが、アルゴン、窒素などの中性雰囲気中で行うことが好ましい。
得られる焼結体同士および焼結体と容器が癒着することを防止するため、窒化ホウ素粉末からなる敷粉を成形体表面や押え板表面に塗布して、脱脂及び焼成することが好ましい。
上記焼成用の容器として、非カーボン製、例えばアルミナ製、ムライト製、窒化アルミニウム製、窒化ホウ素製等の容器を使用し、該容器中に上記成形体を収納して焼結を行ってもよい。
脱脂体の焼成は、温度1500〜2000℃、好ましくは1600〜1900℃で、少なくとも1時間、特に3時間以上実施することが好ましい。焼成時間の上限は特に制限はされないが、通常は5〜10時間程度である。
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。各種物性の測定方法は以下のとおりである。
<焼結助剤及びセラミックス粉末の粒度分布>
ホモジナイザーを用いて、セラミックス粉末を5%ピロリン酸ソーダ水溶液中に分散させ、レーザー回折粒度分布装置(日機装株式会社製MICROTRAC HRA)にて平均粒子径(D50)を測定した。
<窒化アルミニウム粉末の陽イオン不純物含有量>
陽イオン不純物含有量(金属元素濃度)は、窒化アルミニウム粉末をアルカリ溶融後、酸で中和し、島津製作所製「ICP‐1000」を使用して溶液のICP発光分析により定量した。
<窒化アルミニウム粉末の酸素含有量>
酸素含有量(酸素濃度)は、堀場製作所製「EMGA‐2800」を使用して、グラファイトるつぼ中での高温熱分解法により発生したCOガス量から求めた。
<成形用樹脂組成物の粘度>
東洋精機製作所製キャピログラフ1Bを用いて(長さ20mm、直径1mmのキャピラリー使用)、測定温度140℃、押出速度5〜200mm/minの範囲の粘度を測定した。そのグラフからせん断速度が100(1/秒)の時の粘度を求めた。
<押出成形体の密度>
東洋精機製「高精度比重計D‐H」を使用して、アルキメデス法により求めた。
<熱伝導率>
京都電子工業製LFA‐502を用いてレーザーフラッシュ法により熱伝導率を測定した。
<曲げ強度>
JIS R1601に準じて、クロスヘッド速度0.5mm/分、スパン30mmで3点曲げ強度測定を行った。試験片の幅は4mmで平面研削して作製した。曲げ強度は、5サンプルの平均値を測定値とした。
また、実施例における原料は下記の通りである。
・セラミックス粉末
窒化アルミニウム粉末(株式会社トクヤマ製Hグレード)
平均粒子径(D50):1.25μm、酸素含有量:0.8質量%
陽イオン不純物含有量Ca:220ppm、Si:45ppm、Fe:15ppm)
・焼結助剤
酸化イットリウム(日本イットリウム製高純度酸化イットリウム(純度99.9%以上)、平均粒子径(D50):1.5μm、比表面積:12.5m/g)
・熱可塑性樹脂
A1:ポリブチルメタクリレート(PBMA)
製品名:共栄社化学株式会社製 オリコックスKC‐500(不揮発分:45%)
Tg:5℃
A2:ポリブチルメタクリレート(PBMA)
製品名:三洋化成工業製 CB‐1
Tg:36℃
A3:ポリメチルメタクリレート(PMMA)
製品名:根上工業製 M‐4006
Tg:105℃
A4:ポリスチレン(PS)
製品名:根上工業製 M‐7002
Tg:100℃
A5:エチレン‐酢酸ビニル共重合体(EVA)
製品名:三井・デュポン・ポリケミカル社製 EV220
・可塑剤
フタル酸ビス(2‐エチルヘキシル) (DOP)
・滑剤
B1:ステアリン酸
B2:ポリエチレングリコール(平均分子量20,000)
・界面活性剤
カルボキシル化トリオキシエチレントリデシルエーテル
製品名:日光ケミカルズ株式会社製 NIKKOL ECT‐7
[実施例1]
ポリブチルメタクリレート(A2)100質量部、酸化イットリウム45.5質量部、ステアリン酸4.6質量部をバンバリーミキサー(東洋精機製 ラボプラストミル型式100C ミキサータイプB‐250)を用いて、100℃で10分間混練し、予備混練物(A)を得た。
次に、窒化アルミニウム粉末100質量部に対して、予備混練物(A)16.5質量部、フタル酸ビス(2‐エチルヘキシル)5質量部、ステアリン酸(B1)0.5質量部をバンバリーミキサーを用いて、100℃で15分間混練した。次いで、得られた混練物を押出機で造粒し、ペレット状の成形用樹脂組成物(A)を得た。
得られた成形用樹脂組成物(A)は、真空押出機(宮崎鉄工製 FM‐20)を用いて成形し、シリンダー温度を100℃として、厚さ1mm×幅60mmのシート状の押出成形体(A)を得た。また、押出圧力は2.7MPa、押出速度4.2mm/secであった。
得られた押出成形体(A)の表面に敷粉を施工して5段積層し、空気雰囲気下、10℃/時間の速度で昇温して550℃で5時間脱脂し、積層状態を保ったまま、窒素雰囲気下、1730℃で6時間焼結を行い、焼結体(A)を得た。得られた焼結体(A)は互いに添加剤のブリードによる癒着もなく、外観も良好であった。
成形用樹脂組成物(A)の最終的な配合割合とTg及び粘度、押出成形体(A)の密度、焼結体(A)の外観、熱伝導率及び曲げ強度の測定結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、熱可塑性樹脂をポリブチルメタクリレート(A2)30質量部とポリメチルメタクリレート(A3)70質量部とし、混練温度を120℃としたこと以外は実施例1と同様にして、予備混錬物(B)を得た。
次に、窒化アルミニウム粉末100質量部に対して、予備混練物(B)16.5質量部、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)5質量部、ステアリン酸(B1)0.5質量部をバンバリーミキサーを用いて、120℃で15分間混練した。次いで、得られた混練物を押出機で造粒し、ペレット状の成形用樹脂組成物(B)を得た。
次に、得られた成形用樹脂組成物(B)を用い、シリンダー温度を120℃としたこと以外は実施例1と同様にして、押出成形体(B)、焼結体(B)を得た。また、押出圧力は3.8MPa、押出速度3.8mm/secであった。得られた焼結体(B)は互いに添加剤のブリードによる癒着もなく、外観も良好であった。
成形用樹脂組成物(B)の最終的な配合割合とTg及び粘度、押出成形体(B)の密度、焼結体(B)の外観、熱伝導率及び曲げ強度の測定結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、熱可塑性樹脂をポリブチルメタクリレート(A2)80質量部とポリメチルメタクリレート(A3)20質量部とし、混練温度を120℃としたこと以外は実施例1と同様にして、予備混錬物(C)を得た。
次に、窒化アルミニウム粉末100質量部に対して、予備混練物(C)16.5質量部、フタル酸ビス(2‐エチルヘキシル)5質量部、ステアリン酸(B1)0.5質量部をバンバリーミキサーを用いて、120℃で15分間混練した。次いで、得られた混練物を押出機で造粒し、ペレット状の成形用樹脂組成物(C)を得た。
次に、得られた成形用樹脂組成物(C)を用い、シリンダー温度を120℃としたこと以外は実施例1と同様にして、押出成形体(C)、焼結体(C)を得た。また、押出圧力は3.1MPa、押出速度4.1mm/secであった。得られた焼結体(C)は互いに添加剤のブリードによる癒着もなく、外観も良好であった。
押出成形用樹脂組成物(C)の最終的な配合割合とTg及び粘度、押出成形体(C)の密度、焼結体(C)の外観、熱伝導率及び曲げ強度の測定結果を表1に示す。
[実施例4]
窒化アルミニウム粉末100質量部に対して、ポリブチルメタクリレート(A2)6.6質量部、ポリスチレン(A4)4.4質量部、フタル酸ビス(2‐エチルヘキシル)5質量部、ステアリン酸(B1)1質量部をバンバリーミキサー(東洋精機製 ラボプラストミル型式100C ミキサータイプB‐250)を用いて、100℃で15分間混練した。次いで、得られた混練物を押出機で造粒し、ペレット状の成形用樹脂組成物(D)を得た。
次に、得られた成形用樹脂組成物(D)を用い、シリンダー温度を120℃としたこと以外は実施例1と同様にして、押出成形体(D)、焼結体(D)を得た。また、押出圧力は3.1MPa、押出速度4.0mm/secであった。得られた焼結体(D)は互いに添加剤のブリードによる癒着もなく、外観も良好であった。
成形用樹脂組成物(D)の最終的な配合割合とTg及び粘度、押出成形体(D)の密度、焼結体(D)の外観、熱伝導率及び曲げ強度の測定結果を表1に示す。
[実施例5]
窒化アルミニウム粉末100質量部に対して、実施例1と同様にして得た予備混錬物(E)16.5質量部、フタル酸ビス(2‐エチルヘキシル)5質量部をバンバリーミキサーを用いて、100℃で15分間混練した。次いで、得られた混練物を押出機で造粒し、ペレット状の押出成形用樹脂組成物(E)を得た。
次に、得られた成形用樹脂組成物(E)を用い、実施例1と同様にして、押出成形体(E)、焼結体(E)を得た。また、押出圧力は4.1MPa、押出速度3.5mm/secであった。得られた焼結体(E)は互いに添加剤のブリードによる癒着もなく、外観も良好であった。
成形用樹脂組成物(E)の最終的な配合割合とTg及び粘度、押出成形体(E)の密度、焼結体(E)の外観、熱伝導率及び曲げ強度の測定結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例1において、酸化イットリウムを71.4質量部、ステアリン酸(B1)を7.1質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、予備混錬物(F)を得た。
次に、窒化アルミニウム粉末100質量部に対して、予備混練物(F)12.5質量部、フタル酸ビス(2‐エチルヘキシル)8質量部、ステアリン酸(B1)3.5質量部をバンバリーミキサーを用いて、100℃で15分間混練した。次いで、得られた混練物を押出機で造粒し、ペレット状の成形用樹脂組成物(F)を得た。
次に、得られた成形用樹脂組成物(F)を用い、実施例1と同様にして、押出成形体(F)、焼結体(F)を得た。また、押出圧力は5.8MPa、押出速度2.8mm/secであった。得られた焼結体(F)は互いに添加剤のブリードによる癒着もなく、外観も良好であった。
成形用樹脂組成物(F)の最終的な配合割合とTg及び粘度、押出成形体(F)の密度、焼結体(F)の外観、熱伝導率及び曲げ強度の測定結果を表1に示す。
[実施例7]
実施例1において、酸化イットリウムを31.3質量部、ステアリン酸(B1)を3.1質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、予備混錬物(G)を得た。
次に、窒化アルミニウム粉末100質量部に対して、予備混練物(G)21.5質量部、フタル酸ビス(2‐エチルヘキシル)2質量部、ステアリン酸(B1)0.5質量部をバンバリーミキサーを用いて、100℃で15分間混練した。次いで、得られた混練物を押出機で造粒し、ペレット状の成形用樹脂組成物(G)を得た。
次に、得られた成形用樹脂組成物(G)を用い、実施例1と同様にして、押出成形体(G)、焼結体(G)を得た。また、押出圧力は4.7MPa、押出速度3.3mm/secであった。得られた焼結体(G)は互いに添加剤のブリードによる癒着もなく、外観も良好であった。
成形用樹脂組成物(G)の最終的な配合割合とTg及び粘度、押出成形体(G)の密度、焼結体(G)の外観、熱伝導率及び曲げ強度の測定結果を表1に示す。
[実施例8]
実施例1において、熱可塑性樹脂をポリブチルメタクリレート(A2)60質量部とエチレン‐酢酸ビニル共重合体(A5)40質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、予備混錬物(H)を得た。
次に、窒化アルミニウム粉末100質量部に対して、予備混練物(H)16.5質量部、フタル酸ビス(2‐エチルヘキシル)5質量部、ステアリン酸(B1)0.5質量部をバンバリーミキサーを用いて、100℃で15分間混練した。次いで、得られた混練物を押出機で造粒し、ペレット状の成形用樹脂組成物(H)を得た。
次に、得られた成形用樹脂組成物(H)を用い、実施例1と同様にして、押出成形体(H)、焼結体(H)を得た。また、押出圧力は2.4MPa、押出速度4.3mm/secであった。得られた焼結体(H)は互いに添加剤のブリードによる癒着もなく、外観も良好であった。
成形用樹脂組成物(H)の最終的な配合割合とTg及び粘度、押出成形体(H)の密度、焼結体(H)の外観、熱伝導率及び曲げ強度の測定結果を表1に示す。
[実施例9]
内容積10Lのナイロン製ポットに、ビッカース硬さ1200で直径20mmのアルミナ製ボールを見掛け充填率で40%入れ、次いで、窒化アルミニウム粉末100質量部、酸化イットリウム5質量部、ポリブチルメタクリレート(A1)9質量部、ポリブチルメタクリレート(A2)7質量部、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)5質量部、ステアリン酸(B1)1質量部、ヘキサグリセリンモノオレエート1質量部、カルボキシル化トリオキシエチレントリデシルエーテル0.5質量部、ポリエチレングリコール(B2)0.5質量部、トルエン‐エタノール混合溶媒130質量部(トルエン:エタノール=90:10)を投入し、16時間ボールミル混合を行って、白色の泥漿を得た。こうして得られた泥漿をスプレードライヤー法により噴霧乾燥し、得られた混合物を押出機で造粒し、ペレット状の成形用樹脂組成物(I)を得た。
次に、得られた成形用樹脂組成物(I)を用い、実施例1と同様にして、押出成形体(I)、焼結体(I)を得た。また、押出圧力は2.5MPa、押出速度4.3mm/secであった。得られた焼結体(I)は互いに添加剤のブリードによる癒着もなく、外観も良好であった。
成形用樹脂組成物(I)の最終的な配合割合とTg及び粘度、押出成形体(I)の密度、焼結体(I)の外観、熱伝導率及び曲げ強度の測定結果を表1に示す。
[実施例10]
実施例9において、熱可塑性樹脂をポリブチルメタクリレート(A2)7質量部の代わりにポリブチルメタクリレート(A2)4.9質量部、ポリメチルメタクリレート(A3)2.1質量部とした以外は実施例9と同様にして成形用樹脂組成物(J)を得た。
次に、得られた成形用樹脂組成物(J)を用い、シリンダー温度を120℃としたこと以外は実施例1と同様にして、押出成形体(J)、焼結体(J)を得た。また、押出圧力は2.4MPa、押出速度4.4mm/secであった。得られた焼結体(J)は互いに添加剤のブリードによる癒着もなく、外観も良好であった。
成形用樹脂組成物(H)の最終的な配合割合とTg及び粘度、押出成形体(J)の密度、焼結体(J)の外観、熱伝導率及び曲げ強度の測定結果を表1に示す。
[実施例11]
実施例9において、熱可塑性樹脂をポリブチルメタクリレート(A2)7質量部の代わりにポリブチルメタクリレート(A2)4.2質量部、ポリスチレン(A4)2.8質量部とした以外は実施例9と同様にして、成形用樹脂組成物(K)を得た。
次に、得られた成形用樹脂組成物(K)を用い、シリンダー温度を120℃としたこと以外は実施例1と同様にして、押出成形体(K)、焼結体(K)を得た。また、押出圧力は2.4MPa、押出速度4.5mm/secであった。得られた焼結体(K)は互いに添加剤のブリードによる癒着もなく、外観も良好であった。
成形用樹脂組成物(K)の最終的な配合割合とTg及び粘度、押出成形体(K)の密度、焼結体(K)の外観、熱伝導率及び曲げ強度の測定結果を表1に示す。
[実施例12]
実施例9において、熱可塑性樹脂をポリブチルメタクリレート(A2)7質量部の代わりにポリブチルメタクリレート(A2)4.2質量部、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A5)2.8質量部とした以外は実施例9と同様にして、成形用樹脂組成物(L)を得た。
次に、得られた成形用樹脂組成物(L)を用い、実施例1と同様にして、押出成形体(L)、焼結体(L)を得た。また、押出圧力は2.3MPa、押出速度4.8mm/secであった。得られた焼結体(L)は互いに添加剤のブリードによる癒着もなく、外観も良好であった。
成形用樹脂組成物(L)の最終的な配合割合とTg及び粘度、押出成形体(L)の密度、焼結体(L)の外観、熱伝導率及び曲げ強度の測定結果を表1に示す。
Figure 2010242003
[比較例1]
ポリブチルメタクリレート(A2)100質量部、酸化イットリウム250質量部、ステアリン酸(B1)25質量部をバンバリーミキサー(東洋精機製 ラボプラストミル型式100C ミキサータイプB‐250)を用いて、100℃で10分間混練し、予備混練物(M)を得た。
次に、得られた成形用樹脂組成物(M)を用い、窒化アルミニウム粉末100質量部に対して、予備混練物(A)7.5質量部、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)5質量部、ステアリン酸(B1)0.5質量部をバンバリーミキサーを用いて、100℃で混練し、15分間混練した。次いで、得られた混練物を押出機で造粒しようとしたが、ペレット状にすることができず、押出成形は断念した。
成形用樹脂組成物(M)の最終的な配合割合とTgを表2に示す。
[比較例2]
窒化アルミニウム粉末100質量部に対して、ポリブチルメタクリレート(A2)7.7質量部、ポリスチレン(A4)3.3質量部、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)5質量部、ステアリン酸(B1)0.2質量部をバンバリーミキサー(東洋精機製 ラボプラストミル型式100C ミキサータイプB‐250)を用いて、120℃で15分間混練した。次いで、得られた混練物を押出機で造粒し、ペレット状の成形用樹脂組成物(N)を得た。
得られた成形用樹脂組成物(N)は、真空押出機(宮崎鉄工製 FM‐20)を用いて成形し、シリンダー温度を120℃として、厚さ1mm×幅60mmのシート状の押出成形体(N)を得た。また、押出圧力は5.4MPa、押出速度3.0mm/secであった。
得られた押出成形体(N)の表面に敷粉を施工して5段積層し、空気雰囲気下、10℃/時間の速度で昇温して550℃で5時間脱脂し、積層状態を保ったまま、窒素雰囲気下、1730℃で6時間焼結を行い、焼結体(N)を得た。得られた焼結体(N)は添加剤のブリードにより互いに癒着していた。焼結体中央付近は外周部に比べて凹凸があり、色ムラが見られた。
押出成形用樹脂組成物(N)の最終的な配合割合とTg及び粘度、押出成形体(N)の密度、焼結体(N)の外観、熱伝導率及び曲げ強度の測定結果を表2に示す。
[比較例3]
ポリブチルメタクリレート(A2)60質量部、ポリブチルメタクリレート(A3)40質量部、酸化イットリウム45.5質量部、ステアリン酸(B1)4.6質量部を比較例2と同様にして、予備混練物(O)を得た。
次に、窒化アルミニウム粉末100質量部に対して、予備混練物(O)16.5質量部、フタル酸ビス(2‐エチルヘキシル)5質量部、ステアリン酸(B1)5.5質量部をバンバリーミキサーを用いて、120℃で15分間混練した。次いで、得られた混練物を押出機で造粒し、ペレット状の成形用樹脂組成物(O)を得た。
次に、得られた成形用樹脂組成物(O)を用い、比較例2と同様にして、押出成形体(O)、焼結体(O)を得た。また、押出圧力は1.5MPa、押出速度8.2mm/secであった。得られた焼結体(O)は添加剤のブリードにより互いに癒着していた。焼結体中央付近は外周部に比べて凹凸があり、色ムラが見られた。
押出成形用樹脂組成物(O)の最終的な配合割合とTg及び粘度、押出成形体(O)の密度、焼結体(O)の外観、熱伝導率及び曲げ強度の測定結果を表2に示す。
[比較例4]
ポリブチルメタクリレート(A2)100質量部、酸化イットリウム100質量部、ステアリン酸(B1)10質量部を比較例1と同様にして予備混練物(P)を得た。
次に、窒化アルミニウム粉末100質量部に対して、予備混練物(P)10.5質量部、フタル酸ビス(2‐エチルヘキシル)11質量部、ステアリン酸(B1)0.5質量部をバンバリーミキサーを用いて、100℃で15分間混練した。次いで、得られた混練物を押出機で造粒し、ペレット状の成形用樹脂組成物(P)を得た。
次に、得られた成形用樹脂組成物(P)を用い、シリンダー温度を100℃とした以外は比較例2と同様にして押出成形体(P)、焼結体(P)を得た。また、押出圧力は1.5MPa、押出速度8.3mm/secであった。得られた焼結体(P)は添加剤のブリードにより互いに癒着していた。焼結体中央付近は外周部に比べて凹凸があり、色ムラが見られた。
成形用樹脂組成物(P)の最終的な配合割合とTg及び粘度、押出成形体(P)の密度、焼結体(P)の外観、熱伝導率及び曲げ強度の測定結果を表2に示す。
[比較例5]
ポリブチルメタクリレート(A2)40質量部、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A5)60質量部、酸化イットリウム45.5質量部、ステアリン酸(B1)4.6質量部を比較例1と同様にして予備混練物(Q)を得た。
次に、窒化アルミニウム粉末100質量部に対して、予備混練物(Q)16.5質量部、フタル酸ビス(2‐エチルヘキシル)5質量部、ステアリン酸(B1)0.5質量部をバンバリーミキサーを用いて、100℃で15分間混練した。次いで、得られた混練物を押出機で造粒し、ペレット状の成形用樹脂組成物(Q)を得た。
次に、得られた成形用樹脂組成物(Q)を用い、シリンダー温度を100℃とした以外は比較例2と同様にして、押出成形体(Q)、焼結体(Q)を得た。また、押出圧力は2.3MPa、押出速度4.5mm/secであった。得られた焼結体(Q)は添加剤のブリードにより互いにやや癒着していた。焼結体中央付近は外周部に比べて、色ムラが見られた。
成形用樹脂組成物(Q)の最終的な配合割合とTg及び粘度、押出成形体(Q)の密度、焼結体(Q)の外観、熱伝導率及び曲げ強度の測定結果を表2に示す。
[比較例6]
内容積10Lのナイロン製ポットに、ビッカース硬さ1200で直径20mmのアルミナ製ボールを見掛け充填率で40%入れ、次いで、窒化アルミニウム粉末100質量部、酸化イットリウム5質量部、ポリブチルメタクリレート(A1)9質量部、ポリブチルメタクリレート(A2)18質量部、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)2質量部、ステアリン酸(B1)1質量部、ヘキサグリセリンモノオレエート1質量部、カルボキシル化トリオキシエチレントリデシルエーテル1質量部、ポリエチレングリコール(B2)0.5質量部、トルエン‐エタノール混合溶媒130質量部(トルエン:エタノール=90:10)を投入し、16時間ボールミル混合を行って、白色の泥漿を得た。こうして得られた泥漿をスプレードライヤー法により噴霧乾燥し、得られた混合物を押出機で造粒し、ペレット状の押出成形用樹脂組成物(R)を得た。
次に、得られた成形用樹脂組成物(R)を用い、シリンダー温度を100℃とした以外は比較例2と同様にして、押出成形体(R)、焼結体(R)を得た。また、押出圧力は4.2MPa、押出速度2.5mm/secであった。得られた焼結体(P)は添加剤のブリードにより互いに癒着していた。焼結体中央付近は外周部に比べて凹凸があり、色ムラが見られた。
成形用樹脂組成物(R)の最終的な配合割合とTg及び粘度、押出成形体(R)の密度、焼結体(R)の外観、熱伝導率及び曲げ強度の測定結果を表2に示す。
[比較例7]
比較例6において、熱可塑性樹脂をポリブチルメタクリレート(A2)18質量部の代わりにポリブチルメタクリレート(A2)12質量部、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)を0.5質量部とした以外は比較例6と同様にして成形用樹脂組成物(S)を得た。
次に、得られた成形用樹脂組成物(S)を用い、シリンダー温度を100℃とした以外は比較例2と同様にして、押出成形体(S)、焼結体(S)を得た。また、押出圧力は7.7MPa、押出速度2.6mm/secであった。得られた焼結体(S)は添加剤のブリードにより互いに癒着していた。焼結体中央付近は外周部に比べて凹凸があり、色ムラが見られた。
押出成形用樹脂組成物(S)の最終的な配合割合とTg及び粘度、押出成形体(S)の密度、焼結体(S)の外観、熱伝導率及び曲げ強度の測定結果を表2に示す。
Figure 2010242003
本発明によれば、押出成形法が適用できる棒状、角柱状、パイプ状、シート状などの形状であるセラミックスを生産性よく得ることが可能である。さらに、焼結助剤が均一に分散された構造欠陥の少ないセラミックスを得ることが可能であることから、半導体素子搭載用のサブマウント、パワーモジュール用の各種電子回路基板或いはパッケージ材料、さらには構造材料や各種機能材料として適応可能である。

Claims (3)

  1. セラミックス粉末100質量部に対して、非晶性樹脂を50質量%以上の割合で含有する熱可塑性樹脂を3〜20質量部、脂肪酸又はその誘導体を0.3〜5質量部、並びに、フタル酸エステルを1〜10質量部の割合でそれぞれ含有することを特徴とする成形用樹脂組成物。
  2. 非晶質樹脂がアクリル樹脂及び/又はポリスチレンである請求項1に記載の成形用樹脂組成物。
  3. 前記非晶性樹脂のガラス転移温度が0〜120℃の範囲にある請求項1又は2に記載の成形用樹脂組成物。
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