JP2010241912A - フォトレジスト用ポリオール化合物の製造方法 - Google Patents

フォトレジスト用ポリオール化合物の製造方法 Download PDF

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  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)
  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
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Abstract

【課題】 LERを低減することができ、且つ、解像性及び耐エッチング性に優れるレジスト組成物を調製するために有用なフォトレジスト用ポリオール化合物を高い純度で効率よく得ることができるフォトレジスト用ポリオール化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明のフォトレジスト用ポリオール化合物の製造方法は、脂肪族基と芳香環に水酸基を有する芳香族基とが交互に結合しているフォトレジスト用ポリオール化合物の製造方法であって、脂肪族ポリオールと芳香族ポリオールとの酸触媒反応により生成した脂肪族基と芳香環に水酸基を有する芳香族基とが交互に結合しているフォトレジスト用ポリオール化合物の溶液と、フェノール性水酸基を有する化合物に対する貧溶媒とを混合して、疎水性不純物を析出又は層分離させて除去する工程を含む。
【選択図】 なし

Description

本発明は、脂肪族基と芳香環に水酸基を有する芳香族基とが交互に結合したフォトレジスト用ポリオール化合物の製造方法に関する。
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が使用されていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを使用した半導体素子の量産が開始されている。さらに、最近では、ArFエキシマレーザー(193nm)によるリソグラフィープロセスの次世代技術となるEUV(Extreme Ultraviolet:極端紫外光、波長約13.5nm)や電子線によるリソグラフィープロセスも提案されている。
微細な寸法のパターンを再現可能な高解像性の条件を満たすレジスト材料の一つとして、膜形成能を有し、酸の作用によりアルカリ可溶性に変化する基材成分と、露光により酸を発生する酸発生剤成分とを含有する化学増幅型レジストが知られている。
そして、このようなレジスト材料を使用してパターンを形成した場合、パターンの上面や側壁の表面に荒れが生じる問題がある。このような荒れは、従来はあまり問題となっていなかったが、近年、半導体素子などの急激な微細化に伴い、一層の高解像度、例えば、寸法幅22nm程度の解像度が求められており、それに伴って、荒れが深刻な問題となってきている。例えば、ラインパターンを形成する場合、パターン側壁表面の荒れ、すなわちLER(Line Edge Roughness)により、形成される線幅にばらつきが生じるが、その線幅のばらつきは寸法幅の10%程度以下とすることが望まれており、パターン寸法が小さいほど、LERの影響は大きい。しかしながら、一般的に使用されているポリマーは一分子当たりの平均粒径が数nmと大きく、LERを低減することが困難であった。
一分子当たりの平均粒径を小さくしてLERを低減した例としては、例えば、特許文献1に記載されている、多価フェノール化合物と露光により酸を発生する酸発生剤成分とを含有するレジスト組成物が挙げられる。しかしながら、このレジスト組成物は、解像性及び耐エッチング性の点で必ずしも満足できるものではなかった。すなわち、LERを低減することが可能で、且つ、解像性、耐エッチング性に優れるレジスト組成物が見出されていないのが現状である。
特開2006−78744号公報
本発明の目的は、LERを低減することができ、解像性及び耐エッチング性に優れるレジスト組成物を調製するために有用なフォトレジスト用ポリオール化合物を、高い純度で効率よく得ることができるフォトレジスト用ポリオール化合物の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、脂肪族ポリオールと芳香族ポリオールとの酸触媒反応により生成した脂肪族基と芳香環に水酸基を有する芳香族基とが交互に結合しているフォトレジスト用ポリオール化合物の溶液を特定の溶媒と混合すると、アルカリ現像液に溶解しない不純物成分が析出又は層分離し、この不純物成分を除去することで、LERを低減でき、解像性及び耐エッチング性に優れるレジスト組成物を調製するために有用なフォトレジスト用ポリオール化合物を高い純度で効率よく製造できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、脂肪族基と芳香環に水酸基を有する芳香族基とが交互に結合しているフォトレジスト用ポリオール化合物の製造方法であって、脂肪族ポリオールと芳香族モノ又はポリオールとの酸触媒反応により生成した脂肪族基と芳香環に水酸基を有する芳香族基とが交互に結合しているフォトレジスト用ポリオール化合物の溶液を、フェノール性水酸基を有する化合物に対する貧溶媒と混合して、疎水性不純物を析出又は層分離させて除去する工程を含むフォトレジスト用ポリオール化合物の製造方法を提供する。
この製造方法は、さらに、疎水性不純物を除去した後の溶液を、フェノール性水酸基を有する化合物に対する貧溶媒と混合して、脂肪族基と芳香環に水酸基を有する芳香族基とが交互に結合しているフォトレジスト用ポリオール化合物を析出又は層分離させる工程を含んでいてもよい。
前記疎水性不純物を析出又は層分離させる際に用いる貧溶媒としては、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒、又は炭化水素が好ましい。
前記酸触媒反応としてFriedel−Crafts反応が挙げられる。
前記脂肪族ポリオールとしては脂環式ポリオール、例えば、アダマンタン環の3級位に2個以上の水酸基が結合したアダマンタンポリオールであるのが好ましい。
前記芳香族モノ又はポリオールとしてはヒドロキノン又はナフタレンポリオールが挙げられる。
本発明の製造方法によれば、LERを低減でき、解像性及び耐エッチング性に優れるレジスト組成物を調製する上で有用なフォトレジスト用ポリオール化合物を、高い純度で効率よく製造することができる。こうして得られたフォトレジスト用ポリオール化合物のフェノール性水酸基を、酸を作用させることで脱離する保護基で保護することにより得られるフォトレジスト用化合物をフォトレジスト組成物の成分として使用すると、LERが低減され、解像性、耐エッチング性が向上し、微細で鮮明なレジストパターンを形成することができる。
[フォトレジスト用ポリオール化合物]
本発明におけるフォトレジスト用ポリオール化合物においては、脂肪族基と芳香環に水酸基を有する芳香族基とが交互に結合している。
フォトレジスト用ポリオール化合物は、脂肪族基と芳香環に水酸基を有する芳香族基とが交互に結合した構造を有していればよく、例えば、1つの脂肪族基と1つの芳香族基とが結合した単位(繰り返し単位)を1つ有するフォトレジスト用ポリオール化合物(例えば、1つの脂肪族基に1又は2以上の芳香族基が結合した化合物、1つの芳香族基に2以上の脂肪族基が結合した化合物)、繰り返し単位を2以上有するフォトレジスト用ポリオール化合物、又はこれらの混合物であってもよい。
前記フォトレジスト用ポリオール化合物は脂肪族ポリオールと芳香族モノ又はポリオールとを酸触媒反応させることにより得られる。
本発明における脂肪族ポリオールと芳香族ポリオールとの酸触媒反応としては、Friedel−Crafts反応を好適に使用することができる。
(脂肪族ポリオール)
本発明における脂肪族ポリオールは、脂肪族炭化水素基に複数個の水酸基が結合している化合物であり、下記式(1)
R−(OH)n1 (1)
(式中、Rは脂肪族炭化水素基を示し、n1は2以上の整数を示す)
で表される。
式(1)中のRとしては、例えば、鎖状脂肪族炭化水素基、環状脂肪族炭化水素基、及びこれらの結合した基が含まれる。鎖状脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、デシル、ドデシル基などの炭素数1〜20(好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜3)程度のアルキル基;ビニル、アリル、1−ブテニル基などの炭素数2〜20(好ましくは2〜10、さらに好ましくは2〜3)程度のアルケニル基;エチニル、プロピニル基などの炭素数2〜20(好ましくは2〜10、さらに好ましくは2〜3)程度のアルキニル基などが挙げられる。
環状脂肪族炭化水素基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル基などの3〜20員(好ましくは3〜15員、さらに好ましくは5〜8員)程度のシクロアルキル基;シクロペンテニル、シクロへキセニル基などの3〜20員(好ましくは3〜15員、さらに好ましくは5〜8員)程度のシクロアルケニル基;パーヒドロナフタレン−1−イル基、ノルボルニル、アダマンチル、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−3−イル基などの橋かけ環式炭化水素基などが挙げられる。
鎖状脂肪族炭化水素基と環状脂肪族炭化水素基とが結合した炭化水素基には、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、2−シクロヘキシルエチル基などのシクロアルキル−アルキル基(例えば、C3-20シクロアルキル−C1-4アルキル基など)などが含まれる。
上記炭化水素基は、種々の置換基、例えば、ハロゲン原子、オキソ基、ヒドロキシル基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基など)、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基など)、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置換アミノ基、スルホ基、複素環式基などを有していてもよい。前記ヒドロキシル基やカルボキシル基は有機合成の分野で慣用の保護基で保護されていてもよい。
本発明における脂肪族ポリオールとしては、耐エッチング性を向上させることができる点で脂環式ポリオールが好ましい。脂環式ポリオールは、脂環式骨格を有する化合物であり、水酸基は脂環式骨格に直接結合していてもよく、連結基を介して結合していてもよい。連結基としては、アルキレン基(C1-6アルキレン基等)、又は該アルキレン基の1又は2以上と、−O−、−C(=O)−、−NH−、−S−から選択された少なくとも1つの基が結合した基等が挙げられる。
脂環式ポリオールとしては、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサントリオール、シクロヘキサンジメタノール、イソプロピリデンジシクロヘキサノール、デカリンジオール、トリシクロデカンジメタノールなどの脂環式ポリオール;式(1)におけるRが、下記式(2a)〜(2j)から選ばれる環、又はこれらが2以上結合した環であり、該Rに2個以上の水酸基が結合した有橋脂環式ポリオールが挙げられる。
Figure 2010241912
本発明における脂肪族ポリオールとしては、なかでも、有橋脂環式ポリオールが好ましく、特に耐エッチング性に優れる点で、アダマンタン環(2a)の3級位に2個以上の水酸基が結合したアダマンタンポリオールが好ましい。
(芳香族モノ又はポリオール)
本発明における芳香族モノ又はポリオールは、芳香環を少なくとも1つ有しており、且つ該芳香環に1又は2以上の水酸基が結合している化合物であり、下記式(3)
R’−(OH)n2 (3)
(式中、R’は芳香族炭化水素基を示し、n2は1以上の整数を示す)
で表される。R’に芳香環を複数個有する場合で、且つ水酸基が複数個の場合、複数個の水酸基は同一の芳香環に結合していてもよく、異なる芳香環に結合していてもよい。
式(3)中のR’としては、例えば、芳香族炭化水素基及び、芳香族炭化水素基に鎖状脂肪族炭化水素基及び/又は環状脂肪族炭化水素基が結合した基が含まれる。芳香族炭化水素基としては、フェニル、ナフチル基などの炭素数6〜14(好ましくは6〜10)程度の芳香族炭化水素基が挙げられる。鎖状脂肪族炭化水素基、及び環状脂肪族炭化水素基の例としては、上記Rにおける鎖状脂肪族炭化水素基、環状脂肪族炭化水素基の例と同様の例を挙げることができる。
鎖状脂肪族炭化水素基が芳香族炭化水素基に結合した基には、アルキル置換アリール基(例えば、1〜4個程度のC1-4アルキル基が置換したフェニル基又はナフチル基など)などが含まれる。
上記芳香族炭化水素基は、種々の置換基、例えば、ハロゲン原子、オキソ基、ヒドロキシル基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基など)、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基など)、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置換アミノ基、スルホ基、複素環式基などを有していてもよい。前記ヒドロキシル基やカルボキシル基は有機合成の分野で慣用の保護基で保護されていてもよい。また、芳香族炭化水素基の環には芳香族性又は非芳香族性の複素環が縮合していてもよい。
本発明における芳香族モノ又はポリオールとしては、例えば、フェノール、α−ナフトール、β−ナフトール、クレゾール、キシレノール、ヒドロキノン、レゾルシノール、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレンなどのナフタレンポリオール、ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビスフェノールA、1,1,1−(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどを挙げることができる。本発明においては、入手が容易な点で、ヒドロキノン、ナフタレンポリオールを好適に使用することができる。
酸触媒反応に使用する酸触媒としては、例えば、塩化アルミニウム、塩化鉄(III)、塩化スズ(IV)、塩化亜鉛(II)などのLewis酸;HF、硫酸、p−トルエンスルホン酸、リン酸などのプロトン酸等が挙げられる。これらは、単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。半導体製造等に使用する場合は、金属成分の混入が忌避されることから、硫酸、p−トルエンスルホン酸のような有機酸を使用することが好ましい。酸触媒の使用量は、例えば、脂肪族ポリオール1モルに対して、0.01〜10モル、好ましくは0.1〜5モル程度である。
また、酸触媒反応は、反応に不活性な溶媒の存在下又は溶媒非存在下で行われる。前記溶媒として、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエンなどの炭化水素;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの鎖状又は環状エーテル;アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル;酢酸エチル、酢酸n−ブチルなどのエステル;酢酸などのカルボン酸;N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン;ニトロメタン、ニトロベンゼンなどのニトロ化合物;これらの混合物などが挙げられる。
酸触媒反応における反応温度は、反応成分の種類等に応じて適宜選択できる。例えば、脂肪族ポリオールとして、1,3,5−アダマンタントリオールを用い、芳香族モノ又はポリオールとしてヒドロキノンを用いる場合には、反応温度は、例えば、室温(25℃)〜200℃、好ましくは50〜150℃程度である。反応は、回分式、半回分式、連続式等の何れの方式で行ってもよい。
芳香族モノ又はポリオールの使用量は、一般に、脂肪族ポリオール1モルに対して、1.0〜100モル、好ましくは3.0〜50モル、さらに好ましくは5.0〜20モル程度である。芳香族モノ又はポリオールを大過剰量用いてもよい。
上記反応により、対応するフォトレジスト用ポリオール化合物が生成する。反応終了後、反応生成物は、例えば、液性調整、濾過、濃縮、晶析、洗浄、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の一般的な分離精製手段により分離精製できる。なお、本明細書では、晶析(析出)を沈殿をも含む意味に用いる。
本発明の重要な特徴は、上記脂肪族ポリオールと芳香族モノ又はポリオールとの酸触媒反応により生成した脂肪族基と芳香環に水酸基を有する芳香族基とが交互に結合しているフォトレジスト用ポリオール化合物が溶媒に溶解した溶液を、フェノール性水酸基を有する化合物に対する貧溶媒と混合して、疎水性不純物を析出又は層分離(液状物として分離)させて除去する工程を含むことにある。
上記の反応で得られる反応生成物中には、通常、アルカリ現像液に不溶な成分を含んでいる。このような成分には、(i)分子量が2000を超える比較的高分子量の成分、(ii)分子量が1000〜2000であっても、フォトレジスト用ポリオール化合物中のフェノール性水酸基が反応中に溶媒等とのエステル交換反応などにより封止された化合物などがある。アルカリ現像液に不溶な成分を含有するフォトレジスト用ポリオール化合物をレジスト用途に使用すると、パターン形成時のラフネスに悪影響を及ぼしたり、現像時に粒子が発生し、それが異物としてパターンに残るおそれがある。本発明の方法によれば、このような成分を効率よく除去できるため、LERを低減でき、解像性及び耐エッチング性に優れるレジスト組成物を調製する上で有用なフォトレジスト用ポリオール化合物を、高い純度で効率よく製造することができる。
フォトレジスト用ポリオール化合物の溶液に用いる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン等のエーテル;アセトン、2−ブタノン等のケトン;酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル;メタノール、エタノール等のアルコールなどが挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上混合して用いることができる。疎水性不純物の除去操作に供するフォトレジスト用ポリオール化合物の溶液としては、酸触媒反応で得られた反応液であってもよく、この反応液に対して、希釈、濃縮、濾過、液性調節、溶媒交換等の操作を施して得られる溶液等のいずれであってもよい。
疎水性不純物の除去操作に供するフォトレジスト用ポリオール化合物を含む溶液中の該フォトレジスト用ポリオール化合物の含有量は、例えば1〜40重量%、好ましくは3〜30重量%である。
前記フェノール性水酸基を有する化合物に対する貧溶媒としては、例えば、フェノールの溶解度(25℃)が1g/100g以下であるような溶媒が挙げられる。前記フェノール性水酸基を有する化合物に対する貧溶媒の具体例として、例えば、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素等の炭化水素;水と水溶性有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール等のアルコール;アセトン等のケトン;アセトニトリル等のニトリル;テトラヒドロフラン等の環状エーテルなど)との混合溶媒;水などが挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上混合して用いることができる。前記貧溶媒の使用量は、フォトレジスト用ポリオール化合物を含む溶液100重量部に対して、例えば1〜55重量部、好ましくは5〜50重量部である。
フォトレジスト用ポリオール化合物の溶液と前記貧溶媒とを混合する際、フォトレジスト用ポリオール化合物の溶液に前記貧溶媒を加えてもよく、貧溶媒にフォトレジスト用ポリオール化合物の溶液を加えてもよいが、フォトレジスト用ポリオール化合物の溶液に前記貧溶媒を少量ずつ加えることがより好ましい。
析出又は層分離した疎水性不純物は、濾過、遠心分離、デカンテーション等の方法により除去できる。その後、さらに、疎水性不純物を除去した後の溶液を、前記フェノール性水酸基を有する化合物に対する貧溶媒と混合することにより、前記脂肪族基と芳香環に水酸基を有する芳香族基とが交互に結合しているフォトレジスト用ポリオール化合物を析出又は層分離させることができる。この場合、疎水性不純物を除去した後の溶液に前記貧溶媒を加えてもよく、貧溶媒に疎水性不純物を除去した後の溶液を加えてもよいが、貧溶媒に疎水性不純物を除去した後の溶液を加える方がより好ましい。この工程での前記貧溶媒の量は、疎水性不純物を除去した後の溶液(フォトレジスト用ポリオール化合物を含む溶液)100重量部に対して、例えば60〜1000重量部、好ましくは65〜800重量部である。
析出又は層分離したフォトレジスト用ポリオール化合物は濾過、遠心分離、デカンテーション等により回収することができる。なお、疎水性不純物を析出又は層分離させる際に用いる貧溶媒と、目的のフォトレジスト用ポリオール化合物を析出又は層分離させる際に用いる貧溶媒とは、同一であっても異なっていてもよい。得られたフォトレジスト用ポリオール化合物は、必要に応じて乾燥に付される。
上記フォトレジスト用ポリオール化合物の重量平均分子量(Mw)としては、500〜5000程度であり、好ましくは、1000〜3000程度、さらに好ましくは、1000〜2000程度である。フォトレジスト用ポリオール化合物の重量平均分子量が5000を上回ると、該フォトレジスト用ポリオール化合物の粒径が大きくなりすぎるため、LERを低減することが困難となる傾向がある。一方、フォトレジスト用ポリオール化合物の重量平均分子量が500を下回ると、耐熱性が低下する傾向がある。分子量分布(Mw/Mn)は、例えば1.0〜2.5程度である。なお、前記Mnは数平均分子量を示し、Mn、Mwともに標準ポリスチレン換算の値である。
本発明に係るフォトレジスト用ポリオール化合物としては、例えば、下記式(4a)〜(4c)に記載の化合物を挙げることができる。式中、s、t、uは同一又は異なって、0以上の整数を示す。「・・・」は、「アダマンタン環−ヒドロキノン」の繰り返し単位がさらに繰り返されていてもよく、ここで終了していてもよいことを示す。
Figure 2010241912
[フォトレジスト用化合物]
本発明の製造法で得られるフォトレジスト用ポリオール化合物は、アルカリ現像液に対して可溶であり、フェノール性水酸基の一部又は全部を、酸を作用させることにより脱離する保護基で保護することにより、ポジ型フォトレジスト用組成物の基剤として好適なフォトレジスト用化合物とすることができる。
上記フォトレジスト用ポリオール化合物のフェノール性水酸基の一部又は全部が、酸を作用させることにより脱離する保護基で保護されている構造としては、例えば、3級エステル、ホルマール、アセタール、ケタール、カーボネート構造などを挙げることができる。これらのなかでも、高感度である点で、フォトレジスト用ポリオール化合物のフェノール性水酸基が酸を作用させることにより脱離する保護基で保護された構造がアセタール構造であることが好ましい。
アセタール構造は、特に限定されることなく種々の方法により形成することができ、例えば、フォトレジスト用ポリオール化合物のフェノール性水酸基に1−ハロゲン化エチルエーテル化合物を反応させる方法、フォトレジスト用ポリオール化合物のフェノール性水酸基にビニルエーテル化合物を反応させる方法などを挙げることができる。本発明においては、利用することができるビニルエーテル化合物の種類が豊富な点で、フォトレジスト用ポリオール化合物のフェノール性水酸基に、ビニルエーテル化合物を反応させる方法を好適に使用することができる。
上記ビニルエーテル化合物は、アルカリ現像液への溶解を抑止するための保護基を形成するために使用されるものであるから、非極性アルキルビニルエーテル化合物、非極性芳香族ビニルエーテル化合物を使用することが好ましい。
また、非極性ビニルエーテル化合物によりフォトレジスト用ポリオール化合物の全てのフェノール性水酸基を保護すると、フォトレジスト用化合物全体が疎水性となり、基材への密着性、アルカリ現像液の濡れ性が低下する傾向があるため、フェノール性水酸基の保護率を一定の値に調整するか、若しくは、極性官能基を有するビニルエーテル化合物を使用することが好ましい。前記極性官能基としては、例えば、エーテル結合、ケトン結合、エステル結合などが挙げられるが、これらに限定されることはない。
さらに、ビニルエーテル化合物には、電子吸引性基を有することが好ましい。電子吸引性基としては、例えば、カルボニル基、トリフルオロメチル基、シアノ基等が挙げられる。電子吸引性基を有することにより、酸脱離能が適度に抑制されフォトレジスト用化合物の保存安定性を向上することができる。
さらにまた、EUV露光においては、アウトガスによる装置の汚染が懸念されており、アウトガス抑制の点から、一定量以上の分子量を有するビニルエーテル化合物を使用することが好ましく、例えば、分子量100〜500程度である。ビニルエーテル化合物の分子量が小さすぎると、EUV露光により生成するアウトガスによる光学系汚染リスクが高まる傾向がある。一方、ビニルエーテル化合物の分子量が大きすぎると、粘度が高くなりすぎ、基材又は基板への塗布が困難となる傾向があり、また、現像後にビニルエーテル化合物が残渣として基材又は基板に残り、現像欠陥を引き起こす原因となる恐れがある。ビニルエーテル化合物は、例えば、イリジウム触媒の存在下、アルコールに酢酸ビニルを反応させることにより合成することができる。
ビニルエーテル化合物としては、例えば、下記式(5a)〜(5m)で表されるモノビニルエーテル化合物を挙げることができる。
Figure 2010241912
フォトレジスト用ポリオール化合物は、フェノール性水酸基を多数有するため、該フォトレジスト用ポリオール化合物のフェノール性水酸基を、酸を作用させることにより脱離する保護基で保護したフォトレジスト用化合物をフォトレジスト組成物として使用すると、解像性、耐エッチング性に優れる。また、レジストパターンのLERを低減することができ、種々の分野における高機能性ポリマーとして使用できる。
[フォトレジスト用高分子化合物]
本発明の製造法で得られるフォトレジスト用ポリオール化合物のフェノール性水酸基の一部又は全部を、酸を作用させることにより脱離する保護基であって且つ2以上のフェノール性水酸基を保護する多官能の保護基で保護することにより、ポジ型フォトレジスト用組成物の基剤として好適なフォトレジスト用高分子化合物を得ることができる。このフォトレジスト用高分子化合物は、酸を作用させることにより脱離する保護基が、2以上のアルカリ可溶性基を保護するため、酸を作用させていない状態では、アルカリ可溶性高分子化合物が2個以上、保護基を介して結合しているため、フォトレジスト用高分子化合物の分子量が大きく、それにより、結晶化しにくく作業性に優れ、且つ、パターン倒れを抑制することができる。そして、酸を作用させて保護基を脱離することにより、アルカリ可溶性高分子化合物同士の結合を解除することができ、LERを低減することができる。例えばEUV(Extreme Ultraviolet:極端紫外光、波長約13.5nm)を使用するライン・アンド・スペースパターンが22nm程度のフォトリソグラフィーにおいても、LERを2nm以下に低減することができ、高解像度のレジストパターンを形成することができる。
フェノール性水酸基が酸の作用により脱離する保護基で保護されている構造としては、例えば、3級エステル、ホルマール、アセタール、ケタール、カーボネート構造などを挙げることができる。これらのなかでも、高感度である点で、アルカリ可溶性基が酸を作用させることにより脱離する保護基で保護された構造がアセタール構造であることが好ましい。また、このフォトレジスト用高分子化合物は、2個以上のアセタール構造を有することが好ましい。
また、保護基によりフォトレジスト用高分子化合物中のアルカリ可溶性基を全部保護すると、フォトレジスト用高分子化合物全体が疎水性となり、基材への密着性、アルカリ現像液の濡れ性が低下する傾向があるため、アルカリ可溶性基(フェノール性水酸基)の保護率を一定の値に調整するか、若しくは、極性官能基を有する保護基を使用することが好ましい。前記極性官能基としては、例えば、エーテル結合、ケトン結合、エステル結合などが挙げられるが、これらに限定されることはない。
さらに、保護基には、電子吸引性基を有することが好ましい。電子吸引性基としては、例えば、カルボニル基、トリフルオロメチル基、シアノ基等が挙げられる。電子吸引性基を有することにより、保護基の酸脱離能が適度に抑制され、フォトレジスト用高分子化合物の保存安定性を向上することができる。
アセタール構造は、特に限定されることなく種々の方法により形成することができ、例えば、フェノール性水酸基に1−ハロゲン化エチルエーテル化合物を反応させる方法、フェノール性水酸基にビニルエーテル化合物を反応させる方法などを挙げることができる。利用することができるビニルエーテル化合物の種類が豊富な点で、フェノール性水酸基に、ビニルエーテル化合物を反応させる方法を好適に使用することができる。
ビニルエーテル化合物としては、少なくとも、ビニル基を2以上有する多価ビニルエーテル化合物(例えば、ジビニルエーテル化合物、トリビニルエーテル化合物、テトラビニルエーテル化合物、ヘキサビニルエーテル化合物等)を使用することが好ましく、これらを単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。さらに、モノビニルエーテル化合物と、多価ビニルエーテル化合物とを混合して使用してもよい。アルカリ可溶性高分子化合物の重量平均分子量が小さくとも、フォトレジスト用高分子化合物が液体となりレジスト塗膜を形成することが困難となることを防ぐことができ、作業性に優れる点、及び、耐エッチング性を向上させることができ、パターン形成後のパターン倒れを防止することができる点で、ジビニルエーテル化合物、又はジビニルエーテル化合物とモノビニルエーテル化合物の混合物を好適に使用することができる。ビニルエーテル化合物は、例えば、イリジウム触媒の存在下、アルコールに酢酸ビニルを反応させることにより合成することができる。
上記ビニルエーテル化合物は、アルカリ現像液への溶解を抑止するための保護基を形成するために使用されるものであるから、非極性アルキルビニルエーテル化合物、非極性芳香族ビニルエーテル化合物を使用することが好ましい。また、EUV露光において、アウトガスによる装置の汚染が懸念されており、アウトガス抑制の点から、一定以上の分子量を有するビニルエーテル化合物を使用することが好ましく、ビニルエーテル化合物の分子量としては、例えば、100〜500程度である。ビニルエーテル化合物の分子量が小さすぎると、EUV露光により生成するアウトガスによる光学系汚染リスクが高まる傾向がある。一方、ビニルエーテル化合物の分子量が大きすぎると、粘度が高くなりすぎ、基材又は基板への塗布が困難となる傾向があり、また、現像後にビニルエーテル化合物が残渣として基材又は基板に残り、現像欠陥を引き起こす原因となる恐れがある。
ジビニルエーテル化合物としては、例えば、下記式(6a)〜(6n)で表される化合物を挙げることができる。なお、モノビニルエーテル化合物としては、前記式(5a)〜(5m)で表されるモノビニルエーテル化合物を使用できる。
Figure 2010241912
[フォトレジスト組成物]
上記フォトレジスト用化合物に、必要に応じて、光酸発生剤、レジスト用溶剤等を含有させることにより、フォトレジスト組成物を調製できる。
また、上記本発明の製造法で得られるフォトレジスト用ポリオール化合物と、ビニルエーテル化合物と、必要に応じて、光酸発生剤、レジスト用溶剤等を含有させることにより、フォトレジスト組成物を調製することもできる。このフォトレジスト組成物は、脂肪族基と芳香環に水酸基を有する芳香族基とが交互に結合しているポリオール化合物と、ビニルエーテル化合物とを含有するため、例えば基材に塗布し、加熱することで(例えば、80〜250℃)容易に反応させることができる。そして、反応により得られるフォトレジスト用高分子化合物(レジスト塗膜)は、アルカリ現像液不溶性、若しくはアルカリ現像液難溶性を呈し、耐エッチング性に優れ、パターン倒れを抑制することができる。さらに、前記フォトレジスト用高分子化合物は、酸を作用させることにより容易に分解することができ、LERを低減することが可能であり解像性に優れる。例えばEUV(Extreme Ultraviolet:極端紫外光、波長約13.5nm)を使用すると、ライン・アンド・スペースパターンが22nm以下のフォトリソグラフィーにおいても、LERを2nm以下に低減することができ、高解像度のレジストパターンを形成することができる。前記ビニルエーテル化合物としては、上記の式(5a)〜(5m)で表されるモノビニルエーテル化合物、式(6a)〜(6n)で表されるジビニルエーテル化合物などを使用できる。この場合、ポリオール化合物と、ビニルエーテル化合物の含有量としては、フェノール性水酸基とビニルエーテル基の数に応じて適宜調整することができ、例えば、フェノール性水酸基100個に対して、ビニルエーテル基30〜200個程度、好ましくは、50〜150個程度である。ビニルエーテル基の数が30個を下回ると、フェノール性水酸基の保護が不十分となるため、アルカリ現像液に対する非溶解性若しくは難溶解性を十分に付与することが困難となり、レジストパターンの形成時において、露光していない箇所がアルカリ現像液に溶解若しくは膨潤し、目的とするパターンを正確に再現することが困難となる傾向がある。一方、ビニルエーテル基の数が200個を超えると、未反応のビニルエーテル化合物が残り、露光時にアウトガスの原因となる恐れがあると共に、十分な架橋構造が形成されず、レジスト塗膜のTgが下がり、パターン形成時に目的とするパターンを正確に写し取ることが困難となる傾向がある。
光酸発生剤としては、露光により効率よく酸を生成する慣用乃至公知の化合物、例えば、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩(例えば、ジフェニルヨードヘキサフルオロホスフェートなど)、スルホニウム塩(例えば、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナートなど)、スルホン酸エステル[例えば、1−フェニル−1−(4−メチルフェニル)スルホニルオキシ−1−ベンゾイルメタン、1,2,3−トリスルホニルオキシメチルベンゼン、1,3−ジニトロ−2−(4−フェニルスルホニルオキシメチル)ベンゼン、1−フェニル−1−(4−メチルフェニルスルホニルオキシメチル)−1−ヒドロキシ−1−ベンゾイルメタンなど]、オキサチアゾール誘導体、s−トリアジン誘導体、ジスルホン誘導体(ジフェニルジスルホンなど)、イミド化合物、オキシムスルホネート、ジアゾナフトキノン、ベンゾイントシレートなどを使用できる。これらの光酸発生剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
光酸発生剤の使用量は、露光により生成する酸の強度や上記フォトレジスト用化合物の比率などに応じて適宜選択でき、例えば、フォトレジスト用化合物100重量部に対して0.1〜30重量部、好ましくは1〜25重量部、さらに好ましくは2〜20重量部程度の範囲から選択できる。
レジスト用溶剤としては、例えば、グリコール系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、これらの混合溶媒などが挙げられる。これらのなかでも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、これらの混合液が好ましく、特に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート単独溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとプロピレングリコールモノメチルエーテルとの混合溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートと乳酸エチルとの混合溶媒などの、少なくともプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含む溶媒が好適に用いられる。
フォトレジスト組成物中のフォトレジスト用化合物濃度[フォトレジスト用高分子化合物濃度、ポリオール化合物濃度(ポリオール化合物とビニルエーテル化合物とを含むフォトレジスト組成物の場合)]は、基板又は基材に塗布可能な範囲内の濃度であれば、塗布膜厚に応じて適宜設定することができ、例えば、2〜20重量%程度、好ましくは5〜15重量%程度である。フォトレジスト組成物は、アルカリ可溶性樹脂(例えば、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、イミド樹脂、カルボキシル基含有樹脂など)などのアルカリ可溶成分、着色剤(例えば、染料など)などを含んでいてもよい。また、本発明に係るフォトレジスト用ポリオール化合物であって、酸脱離性基で保護されていないものを含有していてもよい。
[レジストパターンの形成方法]
上記フォトレジスト組成物によりレジスト塗膜を形成し、該レジスト塗膜を露光、現像することにより、レジストパターンを形成できる。
レジスト塗膜は、フォトレジスト組成物を基材又は基板上に塗布し、乾燥して得られ、該レジスト塗膜に、所定のマスクを介して露光して潜像パターンを形成し、次いで現像することにより、微細なパターンを高い精度で形成できる。
基材又は基板としては、シリコンウェハ、金属、プラスチック、ガラス、セラミックなどが挙げられる。フォトレジスト組成物の塗布は、スピンコータ、ディップコータ、ローラコータなどの慣用の塗布手段を用いて行うことができる。レジスト塗膜の厚みは、例えば0.01〜10μm、好ましくは0.03〜1μm程度である。
露光には、種々の波長の光線、例えば、紫外線、X線などが利用でき、半導体レジスト用では、通常、g線、i線、エキシマレーザー(例えば、XeCl、KrF、KrCl、ArF、ArClなど)、EUV(Extreme Ultraviolet:極端紫外光)などが使用される。露光エネルギーは、例えば1〜1000mJ/cm2、好ましくは10〜500mJ/cm2程度である。
露光により光酸発生剤から酸が発生し、続いて、ポストエクスポジュアベーキング処理(以下、「PEB処理」と称する場合がある)を行うことにより、発生した酸が保護基に作用し、フォトレジスト用化合物中の保護基が速やかに脱離して、アルカリ現像液可溶化に寄与するフェノール性水酸基が生成する。そのため、アルカリ現像液による現像処理により、所定のパターンを精度よく形成できる。PEB処理の条件としては、例えば、50〜180℃の温度で、0.1〜10分間程度、好ましくは1〜3分程度である。
PEB処理されたレジスト塗膜は、現像液を用いて現像処理し、露光部分を除去することができる。それにより、レジスト塗膜のパターニングが行われる。現像方法としては、液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法などが挙げられる。また、現像液としては、アルカリ性水溶液(例えば、0.1〜10重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液など)を使用することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
なお、GPC測定は、下記条件の下で行った。
GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)測定
カラム:TSKgel SuperHZM−Mを3本
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
溶離液流速:0.6mL/min
試料濃度:20mg/mL
注入量:10μL
実施例1
ジムロート冷却管、温度計、撹拌子を装備した200mLの3つ口フラスコに、1,3,5−アダマンタントリオール5.85g、ヒドロキノン24.18g、p−トルエンスルホン酸15.04g、及び酢酸n−ブチル170.02gを仕込み、よく撹拌した。次に、フラスコ内を窒素置換した後、140℃に加温したオイルバスにフラスコを漬けて、撹拌しながら加熱を開始した。還流状態で1時間加熱し続けた後、冷却した。
冷却した反応液を分液ロートに移し、100gの蒸留水で洗浄した。さらに、100gの蒸留水で5回洗浄した。洗浄後の反応液は181.4gであった。洗浄後の反応液に116.6gのn−ヘプタンを注ぐと、橙色の液状物が層分離して沈降した。沈降物を分液ロートで除去して、得られた上層をさらに207.9gのヘプタンに添加すると微黄色の液状物が沈降した。これを分液して45℃で8時間乾燥した結果、16.5gのフォトレジスト用ポリオール化合物1を得た。得られたフォトレジスト用ポリオール化合物1をGPC測定した結果、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は1000、分子量分布は1.13であった。
比較例1
ジムロート冷却管、温度計、撹拌子を装備した200mLの3つ口フラスコに、1,3,5−アダマンタントリオール5.9g、ヒドロキノン24.2g、p−トルエンスルホン酸15.0g、及び酢酸n−ブチル170.0gを仕込み、よく撹拌した。次に、フラスコ内を窒素置換した後、140℃に加温したオイルバスにフラスコを漬けて、撹拌しながら加熱を開始した。還流状態で1時間加熱し続けた後、冷却した。
冷却した反応液を分液ロートに移し、100gの蒸留水で洗浄した。さらに、100gの蒸留水で5回洗浄した。洗浄後の反応液は181.4gであった。洗浄後の反応液を1200gのn−ヘプタンに注ぐと濃橙色の沈殿が発生した。得られた沈殿を回収して、これを45℃で8時間乾燥した結果、20.3gのフォトレジスト用ポリオール化合物2を得た。得られたフォトレジスト用ポリオール化合物2をGPC測定した結果、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は1290、分子量分布は1.33であった。
評価試験1
実施例1で得られたフォトレジス用ポリオール化合物1について下記方法により評価を行った。
フォトレジスト用ポリオール化合物5重量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート95重量部に均一に溶解して5重量%のポリオール化合物溶液を得た。
得られたポリオール溶液をシリコンウエハ上にスピンコート法により塗布し、厚み300nmのポリオール塗膜を形成し、ホットプレートにより温度100℃で120秒間ベークした。得られたポリオール塗膜で被覆されたシリコンウエハを2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に1分間浸漬した後に、TMAH水溶液の状態を確認した。TMAH水溶液は均一透明な状態を保っていた。
評価試験2
比較例1で得られたフォトレジス用ポリオール化合物2について下記方法により評価を行った。
フォトレジスト用ポリオール化合物5重量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート95重量部に均一に溶解して5重量%のポリオール溶液を得た。
得られたポリオール溶液をシリコンウエハ上にスピンコート法により塗布し、厚み300nmのポリオール塗膜を形成し、ホットプレートにより温度100℃で120秒間ベークした。得られたポリオール塗膜で被覆されたシリコンウエハを2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に1分間浸漬した後に、TMAH水溶液の状態を確認した。TMAH水溶液は粒子状の不溶解物が分散していた。
TMAHに対する溶解性の低い成分が含まれていることから、パターン形成時に表面凹凸を大きくする等の悪影響を及ぼす恐れがある。また、アルカリ現像液中の不溶解物がパターン表面に異物として付着して悪影響を及ぼす恐れがある。

Claims (7)

  1. 脂肪族基と芳香環に水酸基を有する芳香族基とが交互に結合しているフォトレジスト用ポリオール化合物の製造方法であって、脂肪族ポリオールと芳香族モノ又はポリオールとの酸触媒反応により生成した脂肪族基と芳香環に水酸基を有する芳香族基とが交互に結合しているフォトレジスト用ポリオール化合物の溶液を、フェノール性水酸基を有する化合物に対する貧溶媒と混合して、疎水性不純物を析出又は層分離させて除去する工程を含むフォトレジスト用ポリオール化合物の製造方法。
  2. さらに、疎水性不純物を除去した後の溶液を、フェノール性水酸基を有する化合物に対する貧溶媒と混合して、脂肪族基と芳香環に水酸基を有する芳香族基とが交互に結合しているフォトレジスト用ポリオール化合物を析出又は層分離させる工程を含む請求項1記載のフォトレジスト用ポリオール化合物の製造方法。
  3. 疎水性不純物を析出又は層分離させる際に用いる貧溶媒が、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒、水、又は炭化水素である請求項1又は2記載のフォトレジスト用ポリオール化合物の製造方法。
  4. 酸触媒反応がFriedel−Crafts反応である請求項1〜3の何れかの項に記載のフォトレジスト用ポリオール化合物の製造方法。
  5. 脂肪族ポリオールが脂環式ポリオールである請求項1〜4の何れかの項に記載のフォトレジスト用ポリオール化合物の製造方法。
  6. 脂肪族ポリオールがアダマンタン環の3級位に2個以上の水酸基が結合したアダマンタンポリオールである請求項1〜5の何れかの項に記載のフォトレジスト用ポリオール化合物の製造方法。
  7. 芳香族モノ又はポリオールがヒドロキノン又はナフタレンポリオールである請求項1〜6の何れかの項に記載のフォトレジスト用ポリオール化合物の製造方法。
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