JP2010240898A - 積層体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 スパッタリングの影響により発現するうねりを抑制することによって、表面平坦性の高い積層体を提供する。
【解決手段】 長尺樹脂フィルム基板Fの少なくとも片面に酸化物誘電体膜および/または金属膜をスパッタリング法で成膜する積層体の製造方法であって、長尺樹脂フィルム基板Fに成膜して得られた積層体を、長尺樹脂フィルム基板Fのガラス転移温度−60℃から該ガラス転移温度−20℃の雰囲気温度で、98000Pa〜981000Paの圧力で積層体の表面に対して略法線方向からプレス処理する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、長尺樹脂フィルム基板の少なくとも片面に酸化物誘電体膜および/または金属膜をスパッタリング法で積層させて成る積層体の製造方法に関し、特に前記積層体として長尺樹脂フィルム基板の少なくとも片面にスパッタリング法で酸化物誘電体膜と金属膜とを交互に積層させて成る吸収型多層膜が設けられた吸収型多層膜NDフィルタの製造方法に関する。
樹脂フィルム基板の少なくとも片面に酸化物誘電体膜および/または金属膜を成膜した積層体は光学部品をはじめ広く用いられている。このような積層体の一例としてNDフィルタ(Neutral Density Filter)がある。NDフィルタには、入射光を反射して減衰させる反射型NDフィルタと、入射光を吸収して減衰させる吸収型NDフィルタが知られている。
反射光が問題となるレンズ光学系にNDフィルタを組み込む場合には、一般的に吸収型NDフィルタが用いられている。この吸収型NDフィルタには、基板自体に吸収物質を混ぜたり(色ガラスフィルタ)塗布したりするタイプと、基板自体に吸収はなくその表面に形成された薄膜に吸収があるタイプとが存在する。後者のタイプは、薄膜表面の反射を防ぐ為、上記薄膜を多層膜(吸収型多層膜)で構成し、透過光を減衰させる機能とともに反射防止の効果を持たせている。
ところで、NDフィルタを製造する方法には、長尺状の樹脂フィルムからなる基板(以降、長尺樹脂フィルム基板と称する)を使用し、その片面または両面に金属膜と酸化物膜とからなる多層膜を成膜する方法がある。例えば、PETフィルム等の長尺樹脂フィルム基板をロール・ツー・ロールで搬送しながら、その表面に金属膜や酸化物膜をスパッタリング法などの成膜法で成膜する方法が知られている。このような長尺状のPETフィルムの成膜には、一般にスパッタリングロールコータ装置が使用されている。
長尺PETフィルムへの成膜技術は、磁気テープなどの磁気記録媒体の製造にも応用されている。従来のアナログ記録媒体用の磁気テープでは、電磁変換特性低減のため、磁気テープの表面が上がったり下がったりするうねりの低減が求められていた。しかし、近年のデジタル記録型の磁気テープでは、うねり成分があっても電磁変換特性を低下させないので、走行性向上の観点から意図的にベースフィルム(PETフィルム)にうねりを付与する技術が特許文献1に開示されている。
特許文献2には、光学フィルムの転写性および離型性を両立することを目的として、温度設定された成形ロールと温度設定された弾性ロールとの間に光学フィルムを挟んで処理する方法が提案されている。具体的には、ガラス転移温度(Tg)以上に温度設定した成形ロールと、Tg以下に温度設定した弾性ロールとで光学フィルムを挟むことによって転写性および離型性を両立しているが、光学フィルムのうねりについては検討されていない。
特開平10−275324号公報 特開2007−90859号公報
吸収型多層膜NDフィルタでは、うねりを有していることは好ましくないので、うねりの除去が必要である。しかしながら、これまで、ロール・ツー・ロールで吸収型多層膜NDフィルタを作製したときに発生する長手方向(MD)、幅方向(TD)のうねりを効果的に抑制する方法は開示されていなかった。
本発明は、長尺樹脂フィルム基板の少なくとも片面にスパッタリング法で酸化物誘電体膜と金属膜とを交互に積層させて成る吸収型多層膜が設けられた吸収型多層膜NDフィルタにおいて、スパッタリングの影響により長尺樹脂フィルム基板に生じた歪みが、作製後の吸収型多層膜NDフィルタに、長尺樹脂フィルム基板のときの長手方向(MD)、幅方向(TD)に沿った方向のうねりを発現させるという問題を解決することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するため、吸収型多層膜NDフィルタの作製後に発生するうねりの問題、すなわち、長尺樹脂フィルム基板がスパッタリングの影響を受けて歪みを生じ、これが作製後の吸収型多層膜NDフィルタに長尺樹脂フィルム基板のときの長手方向(MD)、幅方向(TD)に沿った方向のうねりとなる問題に対して、吸収型多層膜NDフィルタの作製後にプレス処理することの効果について鋭意調査研究を行った。
その結果、長尺樹脂フィルム基板の少なくとも片面にスパッタリング法で酸化物誘電体膜と金属膜とを交互に積層させて成る吸収型多層膜が設けられた吸収型多層膜NDフィルタの製造において、上記長尺樹脂フィルム基板に吸収型多層膜を形成したのち、得られた吸収型多層膜NDフィルタに所定の条件でプレスすることによって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明が提供する積層体の製造方法は、長尺樹脂フィルム基板の少なくとも片面に酸化物誘電体膜および/または金属膜をスパッタリング法で成膜する積層体の製造方法であって、長尺樹脂フィルム基板に成膜して得られた積層体を、前記長尺樹脂フィルム基板のガラス転移温度−60℃から該ガラス転移温度−20℃の雰囲気温度で、98000Pa〜981000Paの圧力で前記積層体の表面に対して略法線方向からプレス処理することを特徴としている。
上記本発明の製造方法においては、作製される積層体が吸収型多層膜NDフィルタであっても良い。また、上記本発明の製造方法においては、長尺樹脂フィルム基板の少なくとも片面に酸化物誘電体膜と金属膜とを交互に積層させて成る吸収型多層膜が設けられた吸収型多層膜NDフィルタを幅方向に切断して得られるシート状の吸収型多層膜NDフィルタの表面に対して略法線方向から前記プレス処理することが好ましい。
さらに、上記本発明の製造方法においては、前記長尺樹脂フィルム基板がPETフィルム基板である場合、前記プレス処理を行う際の雰囲気温度が10℃から50℃であることが好ましい。
本発明によれば、スパッタリングの影響により生じる長尺樹脂フィルム基板の歪みによって作製後の吸収型多層膜NDフィルタに発現するうねりを抑制することができる。その結果、従来の吸収型多層膜NDフィルタと比較して表面平坦性の高い吸収型多層膜NDフィルタを簡単に得ることができ、工業的に有用である。
吸収型多層膜NDフィルタの一般的な構成を示す模式図である。 本発明の積層体の製造方法に好適に使用されるスパッタリングロールコータ装置の概略図を示す。 本発明で定義するうねり高さHを示す模式図である。 本発明の積層体にプレス処理を行っている様子を示す概略図である。 本発明の実施例で使用したうねり測定装置を示す概略図である。
以下、本発明の実施の形態について、積層体の一例である吸収型多層膜NDフィルタを例にとって詳細に説明する。本発明においては、長尺樹脂フィルム基板の少なくとも片面にスパッタリング法で酸化物誘電体膜と金属膜とを交互に積層させて成る吸収型多層膜が設けられた吸収型多層膜NDフィルタの製造方法において、得られた吸収型多層膜NDフィルタにプレス処理を行うことを特徴としている。
吸収型多層膜NDフィルタにプレス処理を行うことによって、スパッタリングの影響を受けて長尺樹脂フィルム基板に生じる歪みが作製後の吸収型多層膜NDフィルタに発現させるうねり、特に、長尺樹脂フィルム基板のときの長手方向(MD)、すなわち、スパッタリング時の長尺樹脂フィルム基板の搬送方向や、長尺樹脂フィルム基板のときの幅方向(TD)、すなわち、スパッタリング時の長尺樹脂フィルム基板の搬送方向に直交する方向に沿って吸収型多層膜NDフィルタに発生するうねりを抑制することができる。
本発明の吸収型多層膜NDフィルタは、長尺樹脂フィルム基板の少なくとも片面にスパッタリング法で酸化物誘電体膜と金属膜とを交互に積層して吸収型多層膜を形成したものである。この吸収型多層膜NDフィルタの基板となる樹脂板若しくは長尺樹脂フィルム基板には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリアリレート(PAR)、ポリカーボネート(PC)、ポリオレフィン(PO)、ノルボルネン、ポリイミドおよびポリアミドの樹脂材料から選択された樹脂板若しくは樹脂フィルムの単体で構成されるか、あるいは、前記樹脂材料から選択された樹脂板若しくは樹脂フィルム単体と、この単体の少なくとも片面を覆うアクリル系有機膜との複合体で構成されている。これらの材料のうち、長尺樹脂フィルム基板には、価格の観点からPETが望ましい。
酸化物誘電体膜には、SiO、AlO若しくはこれらの混合物のいずれかの誘電体層が用いられる。また、金属膜には、Niを主成分とする金属層が用いられる。前記Niを主成分とする金属層は、Ti、Al、V、W、Ta、Siから選択された1種類以上の元素を添加したNi系合金材料で構成されていることが好ましく、前記添加元素は、Ti元素の添加割合が5〜15重量%、Al元素の添加割合が3〜8重量%、V元素の添加割合が3〜9重量%、W元素の添加割合が18〜32重量%、Ta元素の添加割合が5〜12重量%、Si元素の添加割合が2〜6重量%の範囲であることが好ましい。
図1には、かかる吸収型多層膜NDフィルタの構成の一例が示されている。PETからなるフィルム基板の両面に、それぞれ3層の酸化物誘電体膜(SiO)と2層の金属膜(Ni)とが所定の物理的膜厚で交互に積層されて吸収型多層膜を構成している。
図2には、長尺樹脂フィルム基板Fにスパッタリング法で成膜して吸収型多層膜NDフィルタの製造を行う装置の一例であるスパッタリングロールコータ装置10が概略図で示されている。このスパッタリングロールコータ装置10は、真空成膜室11の内部に主要な構成部品の多くを備えており、例えば長尺樹脂フィルム基板Fの巻出しや巻取りを行う第1ロール12と第2ロール13、キャンロール14、スパッタリングカソード15a、15b、ガイドロール16a、16b、16c、16dなどを備えている。
このスパッタリングロールコータ装置10でスパッタリングを行う際は、長尺樹脂フィルム基板Fを第1ロール12から巻き出し、ガイドロール16a、16bでガイドしてキャンローラー14に導き、ここで長尺樹脂フィルム基板Fをキャンローラー14に密着させながらスパッタリングカソード15aによってスパッタリングする。スパッタリングされた長尺樹脂フィルム基板Fはガイドロール16c、16dでガイドされた後、第2ロール13に巻き取られる。
スパッタリングカソード15aによるスパッタリングが完了して第2ロール13に長尺樹脂フィルム基板Fが全て巻き取られると、次に搬送方向を逆にして第2ロール13から長尺樹脂フィルム基板Fを巻き出し、スパッタリングカソード15bによってスパッタリングする。スパッタリングされた長尺樹脂フィルム基板Fは、第1ロール12に巻き取られる。このようにして順次成膜を繰り返すことによって積層体が形成される。
ところで、成膜の際、スパッタリングによって長尺樹脂フィルム基板Fは加熱されるので、キャンロール14の内部には冷媒が循環しており、スパッタリング時に長尺樹脂フィルム基板Fを冷却するようになっている。更に、確実な冷却を行うべく長尺樹脂フィルム基板Fをキャンロール14に密着させるため、長尺樹脂フィルム基板Fには、その長手方向、すなわち長尺樹脂フィルム基板Fの搬送方向に張力が加えられている。
このように、スパッタリングロールコータ装置10によって成膜が行われる長尺樹脂フィルム基板Fには、キャンロール14によってある程度は冷却されるものの、スパッタリングの際に熱と張力が同時に加わる。これら熱と張力が長尺樹脂フィルム基板Fに歪みを生じ、うねりとなって品質に影響を及ぼすと考えられる。特に、長尺樹脂フィルム基板FにPETフィルムを用いると、PETフィルムのガラス転移温度は70℃であることから、スパッタリング時の熱による影響を受けやすいと考えられる。
上記したスパッタリング時の熱と張力による影響を受けた長尺樹脂フィルム基板Fは、その後に晒される環境からも影響を受ける。特に、高温多湿の環境下に晒された場合、スパッタリングの影響により生じた歪みがうねりを発生させやすくなる。例えば、長さ330mm、幅280mmのシート状の吸収型多層膜NDフィルタでは、長尺樹脂フィルム基板Fの長手方向(MD)または幅方向(TD)に、うねり高さHが0.5mmを超えるうねりを発生させることがある。
ここで、うねり高さHとは、水平な台にフィルムをその表面が上下を向くように載置したとき、そのフィルム表面上の水平距離Lだけ離間した2点の高低差Hをいうものとする。例えば、図3には、長尺樹脂フィルム基板Fに酸化物誘電体膜及び金属膜が積層された吸収型多層膜NDフィルタNにおいて、長尺樹脂フィルム基板Fの長手方向(MD)に水平距離Lだけ離間した2点に高低差Hのうねりが生じている様子が示されている。本発明においては、この距離Lは50mmとする。
本発明の製造方法で得られた吸収型多層膜NDフィルタを更に加工する場合や、加工された吸収型多層膜NDフィルタを構成部品として備える光学部品の特性を考慮すると、直径50mmの吸収型多層膜NDフィルタが有しているうねり高さHは0.5mm以下であることが望ましい。これに対して、本発明の吸収型多層膜NDフィルタの製造方法によれば、下記に詳細に説明するように、直径50mmの吸収型多層膜NDフィルタのうねり高さHを0.5mm以下にすることが可能となる。
なお、吸収型多層膜NDフィルタを構成部品として備える光学部品では、吸収型多層膜NDフィルタを直径5mm程度に切り出して取り付けることがある。このような直径5mm程度の吸収型多層膜NDフィルタのうねり高さHを測定する場合は、当該直径5mm程度の吸収型多層膜NDフィルタの曲率を測定し、これを換算してうねり高さHを得ることができる。
本発明の吸収型多層膜NDフィルタの製造方法は、吸収型多層膜NDフィルタにプレス処理を施すことを特徴としている。具体的には、長尺樹脂フィルム基板の少なくとも片面に酸化物誘電体膜と金属膜とを交互に積層させて成る吸収型多層膜NDフィルタを空気中でプレス処理するか、またはこの吸収型多層膜NDフィルタを酸素含有雰囲気下でプレス処理する。
酸素含有雰囲気下で処理する時の雰囲気温度は、吸収型多層膜NDフィルタを構成する長尺樹脂フィルム基板のガラス転移温度−60℃から該ガラス転移温度−20℃とする。例えば、長尺樹脂フィルム基板にPETフィルムを使用する場合は、そのガラス転移温度は70℃であるので、雰囲気温度は10℃以上50℃以下に調整する。この雰囲気温度は30℃以下がより好ましい。
PETフィルムを使用する場合の雰囲気温度が50℃よりも高いとプレス処理の際に樹脂フィルム基板が変形し、フィルムに歪みが生じ、うねりを抑制できなくなるので好ましくない。一方、この温度が10℃より低いとスパッタリングの影響により生じる長尺樹脂フィルム基板の歪みが作製後の吸収型多層膜NDフィルタに発現させる長尺樹脂フィルム基板のときの長手方向(MD)、幅方向(TD)に沿った方向のうねりを良好に抑制することができなくなる。
プレスする圧力は98000Paから981000Paで行う。この圧力は、390000Pa〜590000Paがより好ましい。プレスする圧力が981000Paよりも高いと前記吸収型多層膜NDフィルタに積層されている前記吸収型多層膜に微細なクラックが発生するため、好ましくない。一方、98000Paよりも低いとプレスする圧力が弱すぎて、うねりを抑制する効果が低くなる。
吸収型多層膜NDフィルタをプレス処理するには、長尺樹脂フィルム基板の少なくとも片面に酸化物誘電体膜と金属膜とを交互に積層させて成る吸収型多層膜が設けられた吸収型多層膜NDフィルタを幅方向に切断し、得られたシート状の吸収型多層膜NDフィルタを、プレス処理の圧力では変形することのない平坦なステンレス板等の金属板やガラス板に挟み、吸収型多層膜NDフィルタの表面に対して略法線方向から所定の圧力が加わるように、前記金属板や前記ガラス板に圧力を加えればよい。
圧力を加える方法としては、前記金属板や前記ガラス板を、それに挟まれている吸収型多層膜NDフィルタの表面が略水平となるように保ち、吸収型多層膜NDフィルタの上面側に位置する金属板又はガラス板の上に所望の圧力を実現できる分銅を載せても良いし、前記金属板や前記ガラス板に水圧や油圧プレスにより圧力を加えても良い。図4には、2枚の金属板20、21に挟んだ吸収型多層膜NDフィルタNを分銅22で加圧してプレス処理している様子が示されている。
吸収型多層膜NDフィルタを前記金属板又はガラス板に挟む際は、吸収型多層膜NDフィルタの表面に傷などがつかないようにするため、合い紙で表面と裏面を保護しても良い。また、複数枚の吸収型多層膜NDフィルタを前記金属板又はガラス板に挟んで同時にプレス処理する場合には、隣接する吸収型多層膜NDフィルタ同士の間に合い紙を挟んで保護しても良い。合い紙には、無塵紙や長尺樹脂フィルム等を用いることができる。
このように、長尺樹脂フィルム基板の少なくとも片面に酸化物誘電体膜と金属膜を交互に積層させて成る吸収型多層膜が設けられた吸収型多層膜NDフィルタに空気中あるいは酸素含有雰囲気下でプレス処理を行うことによって、スパッタリングの影響により生じる長尺樹脂フィルム基板の歪みが作製後の吸収型多層膜NDフィルタに発現させる長尺樹脂フィルム基板のときの長手方向(MD)、幅方向(TD)に沿った方向のうねりを抑制することができ、従来の吸収型多層膜NDフィルタと比較してうねりが抑制された表面平坦性の高い吸収型多層膜NDフィルタを提供する事ができる。
上記説明においては、長尺樹脂フィルム基板の少なくとも片面に酸化物誘電体膜と金属膜を交互に積層させて成る吸収型多層膜が設けられた吸収型多層膜NDフィルタを中心に説明してきたが、これに限定するものではなく、長尺樹脂フィルム基板の少なくとも片面に金属膜を成膜した遮光フィルタ等の他のフィルタにも、本発明が適用可能であることはいうまでもない。
本発明の製造方法で製造された吸収型多層膜NDフィルタは、基板自体に吸収物質を混ぜた吸収型NDフィルタや、厚いガラス基板を用いた吸収型多層膜NDフィルタに好適に用いることができる。特に、小型薄型デジタルカメラや携帯電話等のNDフィルタを組み込むためのスペースの小さい装置用のNDフィルタとして好適に利用することができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに説明する。
[実施例1]
吸収型多層膜NDフィルタの基板には、耐熱性が高く、可視域の波長域で透明性が高く、また吸水率が低いポリエチレンテレフタレート(以下PETフィルムと記す)(東洋紡製)を選択した。図1に実施例1で作製した吸収型多層膜NDフィルタの構造を示す。
このPETフィルム(厚さ100μm、幅280μm)の両面に酸化物誘電体膜としてSiO膜を3層、金属吸収膜としてNi層を2層、それぞれ交互に積層させて吸収型多層膜を形成した。成膜には図2に示すスパッタリングロールコータ装置10(ヒラノ光音社製)を用いた。
スパッタリングカソード15aには、酸化物誘電体膜であるSiOを成膜するためのスパッタリングターゲットとして、SiCにSiが添加されたスパッタリングターゲット(旭硝子セラミックス社製)を装着した。このスパッタリングターゲットを用いて、Arガスを導入してデュアルマグネトロンスパッタリング法により、酸素ガスを導入しながらSiO膜を成膜した(Arガス圧150SCCM)。酸素ガス導入量はインピーダンスモニターにより制御した(Oガス圧5Pa)。
また、スパッタリングカソード15bには、金属吸収膜であるNiを成膜するためのスパッタリングターゲットとして、Ni−Ti8%添加されたターゲット(住友金属鉱山社製)を装着した。このスパッタリングターゲットを用い、Arガス圧150SCCMとなるようにArガスを導入してDCマグネトロンスパッタリング法により金属吸収膜を成膜した。このようにして、図1に示す膜厚の多層膜を形成した。
<プレス処理>
図2のスパッタリングロールコータ装置10によって成膜された前記吸収型多層膜NDフィルタを取出し、ロールから巻き出しながら2枚の無塵紙(大庫洋紙(株)社製)に挟み込み、シート状(長さ330mm、幅280mm)に切断した。前記無塵紙には厚さ0.08mm、長さ330mm、幅280mmを用いた。
2枚の無塵紙に挟みこまれた吸収型多層膜NDフィルタ100組を積み重ね、更にこれら100組の吸収型多層膜NDフィルタを、雰囲気温度を30℃にセットした環境試験機(エスペック社製)内で2枚のステンレス板を用いて上下から挟み込んだ。吸収型多層膜NDフィルタの表面に略法線方向から圧力390000Paがかかるようにステンレス板に荷重をかけた。この状態を24時間保ってプレス処理した。
<うねりの測定方法>
プレス処理によって吸収型多層膜NDフィルタに発生するうねりが抑えられているか否かを評価するため、長さ330mm、幅280mmに切断した吸収型多層膜NDフィルタにおいて、PETフィルム基板のときの長手方向(MD)、幅方向(TD)に発生する基板上のうねり高さHを測定した。この測定には、図5に示すうねり測定装置30を用いた。うねり測定装置30は、水平な測定台31の上に検出対象となる長さ330mm、幅280mmに切断した吸収型多層膜NDフィルタNをその表面が上下を向くように載置し、このフィルムNの両端部に対向して設けられている発信部32から受信部33に向けて光線34を照射することによってうねり高さを検出するものである。
このうねり測定装置30で検出した結果、この実施例1に係る吸収型多層膜NDフィルタをプレス処理したときのPETフィルム基板での長手方向(MD)、幅方向(TD)のうねり高さHは、うねり測定装置30の検出限界である直径50mm当たり0.2mmよりも低くて検出できなかった。すなわち、プレス処理することによって検出できないほど表面平坦性が高くなっていることが分かった。
[比較例1]
雰囲気温度60℃でプレス処理すること以外は実施例1と同様にして吸収型多層膜NDフィルタのプレス処理を行った。得られた比較例1に係る吸収型多層膜NDフィルタのうねりの大きさを図5に示すうねり測定装置30を用いて測定したところ、長手方向(MD)、幅方向(TD)のうねり高さHは直径50mm当たり1.0mmであった。
[比較例2]
圧力1.1MPaでプレス処理すること以外は実施例1と同様にして吸収型多層膜NDフィルタのプレス処理を行った。得られた比較例2に係る吸収型多層膜NDフィルタのうねりの大きさを図5に示すうねり測定装置30を用いて測定したところ、長手方向(MD)、幅方向(TD)のうねり高さHは直径50mm当たり0.2mmよりも低くて検出できず、実施例1と同様に高い表面平坦性を有していた。しかしながら、前記吸収型多層膜NDフィルタに積層されている前記吸収型多層膜に微細なクラックが発生した。
以上の実施例1および比較例1〜2の結果から、実施例1では、雰囲気温度30℃、圧力390000Paで24時間プレス処理を行うことにより、スパッタリングの影響を受けて生じる歪みが作製後の吸収型多層膜NDフィルタに発現させる長手方向(MD)、幅方向(TD)のうねりを効果的に抑制できることが分かった。
一方、比較例1では、雰囲気温度60℃でプレス処理を行うことにより、スパッタリングの影響を受けて生じる歪みが作製後の吸収型多層膜NDフィルタに発現させる長手方向(MD)、幅方向(TD)のうねりを抑制することができなかった。
また、比較例2では、圧力1.1MPaでプレス処理を行うことにより、スパッタリングの影響を受けて生じる歪みが作製後の吸収型多層膜NDフィルタに発現させる長手方向(MD)、幅方向(TD)のうねりは抑制することができたが、前記吸収型多層膜NDフィルタに積層されている前記吸収型多層膜に微細なクラックが発生したため、工業的に有効では無くなった。
10 スパッタリングロールコータ装置
30 うねり測定装置
F 長尺樹脂フィルム基板

Claims (4)

  1. 長尺樹脂フィルム基板の少なくとも片面に酸化物誘電体膜および/または金属膜をスパッタリング法で成膜する積層体の製造方法において、長尺樹脂フィルム基板に成膜して得られた積層体を、前記長尺樹脂フィルム基板のガラス転移温度−60℃から該ガラス転移温度−20℃の雰囲気温度で、98000Pa〜981000Paの圧力で前記積層体の表面に対して略法線方向からプレス処理することを特徴とする積層体の製造方法。
  2. 前記積層体が吸収型多層膜NDフィルタであることを特徴とする、請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 前記長尺樹脂フィルム基板の少なくとも片面に酸化物誘電体膜と金属膜とを交互に積層させて成る吸収型多層膜が設けられた吸収型多層膜NDフィルタを幅方向に切断して得られるシート状の吸収型多層膜NDフィルタの表面に対して略法線方向から前記プレス処理することを特徴とする、請求項1または2に記載の積層体の製造方法。
  4. 前記長尺樹脂フィルム基板がPETフィルム基板であり、前記プレス処理を行う際の雰囲気温度が10℃から50℃であることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の積層体の製造方法。
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JP2008257099A (ja) * 2007-04-09 2008-10-23 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 吸収型多層膜ndフィルターチップの製造方法と吸収型多層膜ndフィルターチップ並びに吸収型多層膜ndフィルターチップの接合方法および吸収型多層膜ndフィルター付き絞り羽根とその製造方法

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