以下において、本発明にかかる液晶表示装置の各実施形態について、図面を参照して説明するが、本発明はこれらの記載により限定されず、その技術的思想の範囲内において当業者にとって様々な変更及び修正が可能である。また、各実施形態のうちいずれか2以上の形態を組み合わせた形態も本発明に包含されるものとする。
[実施形態1]
図1は、本実施形態にかかる液晶表示装置を構成する各部材の様子を示す図であり、当該液晶表示装置は、照明装置である面状光源100と液晶パネル200とを含んで構成される。また、図2は本実施形態にかかる液晶表示装置に含まれる面状光源100の平面図であり、同図においては、方位角φの定義も併記されるとともに、後述するプリズムシート120における稜線の方向についても矢印125で示される。面状光源100は所定の偏光成分の割合が大きい照明光を出射する光出射面を有し、液晶表示装置のバックライトとして好適である。バックライトは、液晶表示パネルの表示領域にその背面側から光を照射して、表示領域を略均一に照明するため、その光出射面は表示領域とほぼ同じ形状となるように形成される。
図1において本実施形態の面状光源100は、導光板140と、導光板の端面の近傍に配置される光源160と、導光板140の裏側に配置された反射手段150と、導光板140の上側に配置された偏光変換手段130(本実施形態では、偏光変換手段130として光学フィルム130を用いる)と、プリズムシート120と、拡散シート110と、を含んで構成されている。また、液晶パネル200は、液晶表示装置の観察者側に設けられる上偏光板210と、面状光源100側に設けられる下偏光板230と、これらに挟持された液晶セル220で構成されている。上偏光板210と下偏光板230の吸収軸の方向は互いに直交するように設けられる。そして下偏光板230の透過軸が、面状光源100において偏光成分の割合が高い方向と概ね平行になるように設けられる。
液晶セル220は、本明細書には図示はしないがカラーフィルタを備える第1の基板と、マトリクス状に配列したアクティブマトリクス素子等を備える第2の基板と、第1の基板及び第2の基板に挟持された液晶層と、アクティブマトリクス素子及び液晶層を駆動するためのドライバICと、信号源及び電源との接続のためのフレキシブルプリント基板とを含んで構成されている。なお、実際に液晶表示装置を構成するにはフレームなどの機械的構造物や、面状光源100における光源160を発光させるために必要な電源や配線などの電気的構造物が必要であるが、本発明の特徴となる構成でない部分については一般的な手段を用いればよく、これらについての詳細な説明は省略する。
光源160は、小型、高発光効率、低発熱といった条件を満たすものを用いると良く、このような光源として本実施形態では発光ダイオード(LED;Light Emitting Diodes)を用いる。光源160として用いられる発光ダイオードは、点状の光源であるため、導光板140の端面に対向して、必要に応じた個数が配置される。なお、本実施形態では発光ダイオードを用いているが、蛍光ランプ等の他の光源を用いても良い。また、図1では発光ダイオードによる光源160を1つの端面に沿って3個配置しているが、異なる個数の発光ダイオードを配置しても良いし、或いは、発光ダイオードからの光を線状光源に変換する光学素子を光源160と導光板140の間に配置するようにしても良い。
また、光源160としては、白色の光を発する発光ダイオードを用いることができる。白色の発光を実現する発光ダイオードとしては、例えば、青色の発光と、この青色の光で励起され黄色の光を発する蛍光体を組み合わせることで白色発光を実現する発光ダイオードを用いることができる。また、青色または紫外線の発光と、この発光する光で励起され発光する蛍光体と組み合わせることで、青色、緑色及び赤色に発光ピーク波長を有する白色発光を実現する発光ダイオードを用いることができる。あるいは、液晶表示装置が加法混色によりカラー表示を実現する場合には、赤色、青色、緑色の三原色を発光する発光ダイオードを用いると良い。例えば照明光の照射対象としてカラー液晶表示パネルを用いる場合、液晶表示パネルのカラーフィルタの透過スペクトルに対応した発光ピーク波長を有する光源を用いることで、色再現範囲が広い表示装置が実現できる。あるいは、カラーフィールドシーケンシャルによりカラー表示を実現する場合は、液晶表示パネルに光損失の原因であるカラーフィルタが必要ないため、赤色、青色、緑色の三原色を発光する発光ダイオードを用いることで光の損失が少なく色再現範囲が広い表示装置が実現できる。
反射手段150としては、本実施形態では、樹脂板や高分子フィルムの支持基材上に、アルミニウム、銀等の反射率の高い金属薄膜が、蒸着法やスパッタリング法等により成膜された反射シートが用いられる。この反射手段150としては、支持基材上に、増反射膜となるように誘電体多層膜が形成されたもの、或いは、白色顔料をコートしたものが用いられてもよい。また、支持基材上に、屈折率の異なる透明媒体が複数層積層されることで反射手段として機能するようにされたものを用いてもよい。この反射手段(以下、反射シート)150は、導光板140の下側に配置されて、後述する導光板140内を導波する光を光射出面に向かうように反射する。
導光板140は、その端面に配置された光源160から出射した光を、入射させつつ導波させて、液晶パネル200に対向するように形成された光出射面に誘導し、光出斜面においてその光を面状に出射させる。導光板140は、可視光に対して透明な板状部材から構成され、導光板140の端面から入射して導光板140内を導波する光を、液晶パネル200側に形成された光出射面に出射させるための構造を備える。導光板140の材料としては、可視光に対して透明な樹脂材料を用いれば良く、例えばアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、環状オレフィン系樹脂が用いられる。
ここで、図2を用いて、方位角φを説明する。液晶パネル200側から面状光源100をみて、光源160が設置されている方向を6時方向とし、光源160が設置されている端部の反対側に位置する端部が存在する方向を12時方向とする。そして、3時方向となる方向をφ=0°として方位角φを定義する。つまり、導光板140において、図2で示すように、光源160が設置されている端部の方向はφ=270°の方位角、その反対側の端部が存在する方向はφ=90°の方位角となる。
図3は、導光板140近傍の光線の様子を示す図である。図3に示すとおり、導光板140の光出射面から出射する光の極角(視野角)θは、導光板140の光出射面における垂線(法線)方向を0°として定義される。本実施形態に係る面状光源100では、導光板140として、方位角φがほぼ90°であって極角θが=60〜80°の方向において輝度又は光度が最大値をとる導光板を用いる。このような導光板は、導光板140の裏側の面に、導光板140の光出射面(導光板の表側の面)に対して傾斜角度が0.5〜3°程度となる複数の段差を形成するなどして実現される。
導光板140から出射する光の極角θが、導光板140の光出射面の垂線方向に対して傾いている場合には、導光方向(光源160が設けられた端面から、導光板140において当該側面に対向する端面に向かう方向)と平行なφ=90°方向の偏光成分の割合が大きい出射光が得られる。このように、導光板140の光出射面の垂線方向に対して傾いた方向に出射する光において、導光方向と平行なφ=90°方向の偏光成分が、導光方向と垂直なφ=0°方向の偏光成分よりも多くなるのは、導光板140と空気との界面で光が屈折する際に、φ=90°方向の偏光成分とφ=0°方向の偏光成分の透過率が異なることに起因するものであって一般的に知られている。ここで、本実施形態では、方位角φ=90°方向の偏光成分をP偏光成分、方位角φ=0°方向の偏光成分をS偏光成分として定義するものとし、P偏光成分の方向は下偏光板230の透過軸の方向に、S偏光成分の方向は吸収軸の方向に対応する。
導光板140、あるいはプリズムシート120などから出射する光の輝度を、検光子(偏光板)を回転しながら、検光子を通して測定したときの最大輝度I
max、最小輝度I
minとすると、偏光度ρは式(1)で表される。
本実施形態では以下、導光板140の出射光のうち輝度が最大となる光の方位角がφ=90°で極角θ=76°である場合について説明する。極角θ=76°の出射角度では、上述のように、φ=90°方向の偏光成分の多い出射光が得られ、偏光度ρが約14%となった。なお、本実施形態では方位角φ=90°で極角θ=76°において、光の輝度が最大となるように、導光板140における光出射面から出射しているが、他の異なる角度において光の輝度が最大となってもよいことは言うまでもない。
図4は、図1のIV−IV線における面状光源100の断面構造を模式的に示す図であり、面状光源100を拡大した図が示されている。図4で示すように、光学フィルム130には、複屈折手段132(本実施形態では、複屈折手段132として複屈折フィルム132を用いる)の表面に第1反射率制御手段131(本実施形態では、第1反射率制御手段として第1透明フィルム131を用いる)及び第2反射率制御手段133(本実施形態では、第2反射率制御手段として第2透明フィルム133を用いる)が設けられている。光学フィルム130での光入射角度及び出射角度は、光入射面および光出射面の垂線(法線)に対して傾いているため、プリズムシート120入射時において、φ=0°の偏光成分が反射されて、φ=90°の偏光成分の割合が大きい光が得られる。ここで、光学フィルム130と空気との界面における反射率を制御すれば、プリズムシート120入射時のφ=90°における偏光成分の割合がより多くなる。そして特に、複屈折フィルム132にφ=0°の偏光成分をφ=90°の偏光成分に変換する機能をもたせれば、プリズムシート120に入射する光のφ=90°における偏光成分の割合が更に増加し、バックライトの光利用効率を向上させることができる。
そこで、光学フィルム130は、複屈折フィルム132と、当該複屈折フィルム132と異なる屈折率を有する第1透明フィルム131と第2透明フィルム133を含んで構成される。第1透明フィルム131は、複屈折フィルム132のプリズムシート120側に積層されて、第2透明フィルム133は、複屈折フィルム132の導光板140側に積層される。複屈折フィルム132は、導光板140から出射される光のS偏光成分をP偏光成分に変換する機能を有し、第1透明フィルム131及び第2透明フィルム133によって、複屈折フィルム132の表面の反射率が制御される。
また、図5は、面状光源100におけるプリズムシート120と光学フィルム130の拡大断面図である。複屈折フィルム132としては、例えば、ポリカーボネート系樹脂やオレフィン系樹脂などからなる透明なフィルムを一方向に延伸することで面内に屈折率の一軸異方性を持たせた透明体が用いられる。第1透明フィルム131及び第2透明フィルム133は、導光板140からプリズムシート120に向かう光及びその逆方向に向かう光が、複屈折フィルム132との界面において屈折されるように、複屈折フィルム132とは異なる屈折率をそれぞれ有し、光学的にほぼ等方となるように形成される。第1透明フィルム131及び第2透明フィルム133は、複屈折フィルム132が有する屈折率と異なる屈折率を有している。ここで、本実施形態における複屈折フィルム132の屈折率とは、複屈折フィルム132が有する常光屈折率であるが、常光屈折率と異常光屈折率とを平均した屈折率であってもよい。第1透明フィルム131及び第2透明フィルム133の屈折率は、複屈折フィルム132の常光屈折率、異常光屈折率、及びその平均の屈折率のいずれの屈折率とも異なるのが望ましい。第1透明フィルム131及び第2透明フィルム133は、例えば、延伸して複屈折フィルム132を形成する材料とは異なる絶対屈折率を有した材料で形成される。
図5で示すように、導光板140の光出射面を極角θで出射した光L1は、光学フィルム130に入射角θで入射して、光学フィルム130内を進行する(光L2)。そして、プリズムシート120側の光学フィルム130の界面に達した光L2のうちの一部は、第1透明フィルム131から出射して空気中を進行して入射角θでプリズムシート120に入射する(光L4)。また、光L2の残りの部分は、第1透明フィルム131と空気との界面で反射されて再び光学フィルム130内を進行し(光L3)、導光板140側の界面から出射して導光板140に向けて空気中を進行する(光L6)。さらに、光L4の一部は、プリズムシート120の内部を経て液晶パネル200に向けて進行し、光L4の残りの部分は、基材122により光学フィルム130側に反射される(光L5)。光L3や光L5においては、界面等で反射しているためにφ=0°のS偏光成分が光L2や光L4と比べて増大している。光L3が複屈折フィルム132を通過する際、及び光L5が光学フィルム130に入射して複屈折フィルム132を通過する際に、複屈折フィルム132は、φ=0°の偏光方向であるS偏光の状態を変化させるものとすればよい。
ここで、導光板140から、輝度が最大となる角度で出射する光L1は、φ=90°の偏光方向であるP偏光成分の割合が大きい。しかし、複屈折フィルム132に入射して進行する光L2において、偏光の解消度合いが大きいと導光板140から出射した光はP偏光成分の割合よりもS偏光成分の割合が多くなってプリズムシート120に至ってしまう。そこで、P偏光成分の割合が多い光L2の偏光解消の度合いを小さくするとともに、プリズムシート120等に反射されてS偏光成分の割合が多くなった光L3や光L5を複屈折フィルム132で偏光を解消させてP偏光成分の割合を増大させる。このため、本実施形態における複屈折フィルム132は、光L1に対して、互いに直交する偏光成分の間に4分の1波長以下の位相差を生じさせる波長板として機能するようにする。具体的には、複屈折フィルム132は、例えば、視感度が高い550nmの波長近辺を基準として厚みが定められた4分の1波長板である。
上記のような効果となる複屈折フィルム132の条件は、例えば、複屈折フィルム132の厚さをt1、及び、屈折率異方性をΔnとしたとき、リターデーションΔnt1の値が175nm以下、遅相軸角度はφ=35°〜70°となるようにすれば機能する。さらにP偏光成分の割合を向上させるために、複屈折フィルム132が8分の1波長板として機能するようにするのが望ましい。
図6は、複屈折フィルム132が8分の1波長板である際の、複屈折フィルム132を通る光線における偏光状態の変化の一例を示す図であり、偏光状態の変化がポアンカレ球を用いて説明される。ここでは、S偏光の完全直線偏光の座標を(S1,S2,S3)=(−1,0,0)、P偏光の完全直線偏光の座標を(S1,S2,S3)=(1,0,0)とし、複屈折フィルム132の遅相軸がこれらに対して45°傾斜して設けられる。同図においては、S偏光の完全直線偏光の光が、複屈折フィルム132に入射して光学フィルム130と空気との界面で反射して再び複屈折フィルム132内を進行する際の偏光状態の変化と、P偏光の完全直線偏光の光が、複屈折フィルム132に入射してプリズムシート120側に出射する際の偏光状態の変化が、概念的に示される。ここでまず、S偏光の偏光状態変化について説明する。S偏光の完全直線偏光が、複屈折フィルム132を通過する前の状態は、図の点A1となる。複屈折フィルム132を通過すると、図の点B1に変換されて楕円偏光となる。そして、光学フィルム130と空気との界面で反射されて再び複屈折フィルム132内を通過すると、偏光状態が図の点C1の円偏光に変換される。(図6の説明においては、便宜上、S偏光の完全直線偏光の一部が光学フィルム130と空気との界面において透過すること考慮していない)。
次にP偏光の偏光状態変化について説明する。P偏光の完全直線偏光が複屈折フィルム132を通過する前の状態は、図の点A2となる。そして、複屈折フィルム132を通過すると、図の点B2に変換されて楕円偏光となりプリズムシート120の裏面に達する。なお、プリズムシート120の裏面に達した楕円偏光は、楕円偏光のうちのP偏光成分の透過率が約90%であるため概ねプリズムシート120を通過する。しかし、楕円偏光のうちのS偏光成分の透過率は約50%であって、プリズムシート裏面で残りの約半分の光線が反射され、再度光学フィルム130に入射する。光学フィルム130に再入射された偏光方向がS偏光成分の光は、先に説明したような偏光変換(A1→B1)が起こる。従って、導光板120に戻るまでに、S偏光成分の光はB1のような楕円偏光に変換される。
ここで、上記のように偏光を変換する機能を有した複屈折フィルム132の条件としては、例えば、導光板120に再入射する光の偏光状態が、円偏光になればよく、ポアンカレ球のS3の座標の絶対値が0.9以上になれば望ましい。このためには、複屈折フィルム132の厚さをt1、屈折率異方性をΔnとしたとき、リターデーションΔnt1の値が45〜85nm、遅相軸角度はφ=35°〜70°となるようにする。また、ポアンカレ球のS3の座標の絶対値が0.99以上になるようなΔnt1、遅相軸角度にすればより望ましく、それぞれΔnt1の値が55〜70nm、遅相軸角度はφ=45°〜60°に設定すればよい。このように、上述したような8分の1波長板として光学フィルム130を機能させることで、導光板140からの出射光におけるP偏光の状態を大きく崩さずにプリズムシート120に入射させ、プリズムシート120や界面で反射されてS偏光成分の割合が多い光の偏光を変換する。そして、プリズムシート120等で反射されて偏光が変換された光は、導光板140における反射シート150等に反射されて再びプリズムシート120に入射することとなる。これにより、プリズムシート120入射時の光のP偏光成分の割合を増やすことができる。
図7に光学フィルム130の拡大断面図を示す。複屈折フィルム132のプリズムシート120側には第1透明フィルム131を設ける。導光板140から出射する光のうち、輝度または光度が最大値となる角度の光が光学フィルム130に入射する際、S偏光成分をより多く反射させるために第1透明フィルム131を設ける。本実施形態では、複屈折フィルム132の屈折率よりも屈折率が高い透明な層を第1透明フィルム131として設ける。第1透明フィルム131の厚さd
1が導光板140から出射するときの輝度または光度が最大となる角度に対して、以下の式(2)の条件を満たすように形成するとよい。第1透明フィルム131の屈折率をn
1とし、導光板140から出射する光の輝度または光度が最大となる角度で第1透明フィルム131内を進む角度θ
1とすると、厚さd
1は式(2)を満たせばよい。
ここで、λは光の波長、mは0以上の整数である。波長λについては視感度が高い550nmについてd
1を設定すればよい。なお、第1透明フィルム131の膜厚はmの値を1以上としても同様の効果が得られるが、膜厚d
1が大きくなると第1透明フィルム131を構成する透明体の屈折率の波長依存性の影響が大きくなるため、m=0の場合の膜厚を選択するのが望ましい。
面状光源100から照射された光は、下偏光板230と、液晶セル220と、上偏光板210とを含んで構成される液晶パネル200を透過している。面状光源100からの光が画像の形成に用いられるが、その際、下偏光板230でS偏光成分が吸収されている。このため、面状光源100出射時にはP偏光成分の割合が多いことがのぞましく、第1透明フィルム131でS偏光成分を導光板140側により多く反射させることがのぞましい。
ここで、プリズムシート120と導光板140の間に、第1透明フィルム131及び第2透明フィルム133が積層されない光学フィルム130を設けた場合のプリズムシート120出射後の正面輝度は、プリズムシート120と導光板140の間に光学フィルム130を設けない構成におけるプリズムシート120出射後の正面輝度に比べ約5%高いが、ピーク輝度では約5%低い。まず、複屈折フィルム132に第1透明フィルム131を積層した光学フィルム130を設ける場合であって、正面輝度及びピーク輝度が光学フィルム130を設けない構成よりも高くするには、第1透明フィルム131のS偏光反射率を56%以上にするのが望ましい。具体的には、複屈折フィルム132の屈折率が1.5である場合、前記S偏光反射率を実現する屈折率n1と膜厚d1をかけた値である光路長n1d1の範囲は、第1透明フィルム131の屈折率が1.7である場合、120nm<n1d1<155nmである。また、第1透明フィルム131の屈折率が2.0である場合、55nm<n1d1<220nmである。更に5%ピーク輝度を向上させるためには、第1透明フィルム131のS偏光反射率は、66%以上であるのが望ましい。第1透明フィルム131の屈折率が1.9である場合、135nm<n1d1<140nmである。また、第1透明フィルム131の屈折率が2.0である場合、95nm<n1d1<180nmである。
また、本実施形態における第1透明フィルム131は以下の方法で形成することができる。第1透明フィルム131を形成するための塗料(以下、高屈折率層塗料)は、チタアニゾルとしてテトラ−n−ブトキシチタン(35重量部)、親油性スメクタイトとしてコープケミカル製スメクタイトSAN(3重量部)、これに溶媒として2−2−4トリメチルブタン(600重量部)を混合し、調整される。この低屈折率層塗料をスピンコートで複屈折フィルム132に塗布をする。その際のスピンコート条件は最初回転数350rpmで5秒間、引き続き回転数1800rpmで回転数20秒間である。その後、70℃に制御した恒温槽にいれ、10分間加熱し熱硬化させる。この作成方法により、複屈折フィルム132より高い屈折率である透明な層が複屈折フィルム132に形成される。
複屈折フィルム132の導光板140側には、図7で示すように、第2透明フィルム133を設ける。第2透明フィルム133は、導光板140から出射する光のうち、プリズムシート120に入射する際に、少なくとも輝度または光度が最大値となる角度のP偏光成分を増加させるために設けられる。本実施形態では、複屈折フィルム132の屈折率よりも屈折率が低い透明な層を第2透明フィルム133として設ける。その厚さd
2が導光板140から出射するときの輝度または光度が最大となる角度に対して以下の条件を満たすように形成するとよい。第2透明フィルム133の屈折率をn
2とし、導光板140から出射する光の輝度または光度が最大となる角度で第2透明フィルム133内を進む角度θ
2とすると厚さd
2は式(3)を満たせばよい。
波長λについては第2透明フィルム133と同様に視感度が高い550nmについてd
2を設定すればよい。なお、第2透明フィルム133の膜厚は第2透明フィルム133の膜厚と同様にmの値を0以上の整数としても同様の効果が得られるが、膜厚d
2が大きくなると第2透明フィルム133を構成する透明体の屈折率の波長依存性の影響が大きくなるため、m=0の場合の膜厚を選択するのが望ましい。
ここで、複屈折フィルム132に第2透明フィルム133を積層して第1透明フィルム131を積層しない光学フィルム130を設ける場合であって、正面輝度及びピーク輝度が光学フィルム130を設けない構成よりも高くなるようにするには、第2透明フィルム133のS偏光反射率を27%以下にするのが望ましい。複屈折フィルム132の屈折率が1.5である場合、前記S偏光反射率を実現する屈折率n2と膜厚d2をかけた値である光路長n2d2の範囲は、第2透明フィルム133の屈折率が1.3である場合、95nm<n2d2<180nmである。また、第2透明フィルム133の屈折率が1.2である場合、75nm<n2d2<200nmである。更に5%ピーク輝度を向上させるためには、第2透明フィルム133の反射率は15%以下であるのが望ましい。第2透明フィルム133の屈折率が1.25である場合の光路長n2d2の範囲は、130nm<n2d2<145nmである。また、第2透明フィルム133の屈折率が1.2である場合、105nm<n2d2<170nmである。
本実施形態における第2透明フィルム133は以下の方法で形成することができる。第2透明フィルム133を形成するための塗料(以下、低屈折率層塗料)は、シリカゾル(リン酸酸性、溶剤は水:エタノール=1:4、アルコキシシラン重合物は5重量%含有)(80重量部)、無機酸化物粒子として酸化ケイ素の分散液(平均粒子系は10〜50nm、無機酸化物粒子分は10重量%)(120重量部)、これに2−プロパノール(280重量部)が混合されて、調整される。この低屈折率層塗料はスピンコートで複屈折フィルム132に塗布される。その際のスピンコート条件は最初回転数350rpmで5秒間、引き続き回転数1200rpmで回転数20秒間である。その後、70°に制御した恒温槽にいれ、10分間加熱し熱硬化させる。この作成方法により、複屈折フィルム132より低い屈折率である透明な層が複屈折フィルム132に形成される。
従って、上記光学フィルム130を用いることにより、プリズムシート120入射する光のP偏光成分の割合を、増やすことが可能となる。なお、本実施形態における光学フィルム130は、複屈折フィルム132の両面に透明な層(第1透明フィルム131、第2透明フィルム133)を有する構成であるが、第1透明フィルム131のみ、第2透明フィルム133のみが複屈折フィルム132に積層される構成としてもよく、これらの構成においても、プリズムシート120入射時の光及び導光板140側に戻された光におけるP偏光成分の割合を増やす効果が得られる。第1透明フィルム131と第2透明フィルム133の両方が複屈折フィルム132に積層された図7で示されるような光学フィルム130を用いることで、いずれか片方が複屈折フィルム132に積層された光学フィルム130を用いる場合よりもさらに、P偏光成分の割合を増やすことができる。
更に、φ=90°である偏光成分を増加させるために、光学フィルム130やプリズムシート120で反射されて導光板140に戻ってくる光のφ=0°である偏光成分をφ=90°である偏光成分に偏光変換するのもよい。これは、例えば、導光板140に複屈折性を持たせることで、導光板140を通過する光の偏光状態を変化させてφ=0°の偏光成分をφ=90°の偏光成分に変換させる。このような導光板は、例えば、一軸延伸したポリカーボネート系樹脂、或いは環状オレフィン系樹脂を基材として、導光板内を導波する光を表側に出射させるための微細な段差、凹凸形状、レンズ形状などから構成される微細な傾斜面を形成したものを用いることができる。
導光板140は、図8のように、光学フィルム130やプリズムシート120の裏側の面で反射した光L6、L8、L9が導光板140を通過する際、φ=0°である偏光成分の偏光状態を変化させるものであれば良く、より望ましくは導光板140の下側に設けられた反射シート150での反射を介して、再びプリズムシート120へ入射する光をφ=90°である偏光成分に変換するものである。このため、例えば、導光板140は、その遅相軸角度を方位角φ=30°〜60°とし、導光板140の厚さをt2、屈折率異方性をΔnLとしたとき、リターデーションΔnLt2の値が100〜150nmとなるようにすれば機能する。導光板140が複屈折性を有することで、導光板140を通過する光におけるφ=90°の偏光成分が増加し、プリズムシート120に入射する光のφ=90°である偏光成分が更に増加する。なお、本実施形態における導光板140は複屈折性を有する構成であるが、複屈折性を有しない構成としてもよいのは言うまでもない。
プリズムシート120は少なくとも2つの斜面を有し、その稜線が一方向に伸びるプリズム列を備える。プリズムシート120は図5に示すようにプリズム121と基材122で構成されている。プリズムシート120の基材122には、例えば、透明なフィルムでトリアセチルセルロースフィルムや無延伸のポリカーボネートフィルムなど少なくとも面内の屈折率異方性がほとんどない光学的に等方な透明体を用いられる。また、基材122として、ポリカーボネート系樹脂やオレフィン系樹脂などからなるフィルムを一方向に延伸することで、面内に屈折率の一軸異方性を持たせた透明体を用いることができる。ただし、これらの1軸異方性を有する透明体を用いる場合には、プリズムシート120を通過する光のφ=90°の偏光成分とφ=0°の偏光成分に位相差が生じないようにするために、例えば、当該フィルムの遅相軸をφ=0°もしくはφ=90°にして用いる必要がある。
基材122として、更にポリカーボネート系樹脂やPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを用いることも有効である。ただし、PETフィルムは2軸異方性を有するため、この場合には、1軸異方性をもつフィルムと同様に、プリズムシートを通過する光のφ=90°である偏光成分とφ=0°の偏光成分に位相差が生じないようにする必要がある。具体的には、上記と同様にフィルムの遅相軸をφ=0°もしくはφ=90°に配置するようにすれば良い。
プリズム121の形状は、例えば図5のように、左右の斜面が非対称形状であるようにしてもよい。本実施形態では、図5のようなプリズム形状を有するプリズムシート120が用いられる。このプリズム121の断面形状は、2種類の主たる傾斜角度を備える複数の斜面で構成されており、相対的に光源から遠い側の斜面が少なくとも3つの斜面から構成され、そのうちの少なくとも一つの斜面は他の斜面に対してプリズムシート120の光出射側からみて逆向きの傾きを有する。これは、プリズムの稜線が設けられる方向と直交する方位角において、導光板140から出射する光の極角を変化させたときに生じる色の変化を抑制するためである。なお、本実施形態では図5のような左右非対称であるプリズム形状を有するプリズムシート120が用いられるが、本発明にかかるプリズムが図5の形状に限定されないことは言うまでもないことである。
拡散シート110はポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボネート等の透明な高分子フィルムの表面に凹凸を形成する方法等で作成されている。本実施形態における拡散シート110は、プリズムシート120からの光を立ち上げたり、散乱したりすることにより、面状光源100における輝度の均一性を向上させる。
実施形態1のプリズムシート120は、導光板140からの光線を、図5で示すように1回透過で取り出すため、プリズムシート120内部から導光板140に戻る光量が少ない。プリズムシート120を透過する光線は偏光が崩れにくく、界面において更に偏光度が強まって出射される。
以上説明した実施形態1の構成を用いると、プリズムシート120に入射する光におけるφ=90°である偏光成分の割合および光量が増える効果が得られる。この効果により、面状光源100から照射した光は液晶パネルにおける上偏光板210および下偏光板230での吸収による光損失が少なくなり、面状光源100の光利用効率が向上する。
[実施形態2]
以下では、本発明に係る液晶表示装置の実施形態2について説明する。実施形態2では、第2透明フィルム133の屈折率が複屈折フィルム132よりも高い点が実施形態1と異なる。その他の構成は実施形態1と略同様である。これは導光板140から出射する光のうち少なくとも輝度や光度が最大値となる角度の光が、光学フィルム130を透過する際、φ=0°である偏光成分をより多く導光板140側に戻し、φ=90°である偏光成分をプリズムシート120側に入射させるためである。第2透明フィルム133の膜条件や、その形成については実施形態1の第1透明フィルム131と同様に設定すればよい。これにより、プリズムシート120に入射する光のφ=90°である偏光成分の割合が増加する効果が得られる。
なお、実施形態2における光学フィルム130は複屈折フィルム132の両面に、複屈折フィルム132よりも屈折率が高い透明な層(第1透明フィルム131、第2透明フィルム133)を有する構成であるが、両面に、複屈折フィルム132よりも屈折率が低い透明な層を設けるようにしてもよい。また、複屈折フィルム132よりも屈折率が高い第1透明フィルム131、又は、第2透明フィルム133のいずれか一方のみを設ける構成としてもよいし、複屈折フィルム132よりも屈折率が低い第1透明フィルム131、又は、第2透明フィルム133のいずれか一方のみを設ける構成としてもよい。これらの、この構成においても、プリズムシート120に入射する光の偏光方向がφ=90°である偏光成分の割合を増やす効果は得られる。
さらに、導光板140が複屈折性を有すれば、第2透明フィルム133によって反射し、導光板140に戻ってきた光について、φ=0°である偏光成分をφ=90°である偏光成分に変換し、プリズムシート120に入射するP偏光成分の割合が増加する効果がより大きくなる。実施形態2における第2透明フィルム133の屈折率は実施形態1と異なり、複屈折フィルム132の屈折率よりも大きい。このため、第2透明フィルム133で反射して戻ってくる光のφ=0°である偏光成分の割合が実施形態1よりも多い。したがって、導光板140で偏光解消されるφ=0°である偏光成分の割合が、実施形態1よりも増えるので、導光板140に複屈折性を有する効果は実施形態1よりも大きい。導光板140の構成は実施形態1と同様に形成して、リターデーションの値や遅層軸角度を設定すればよい。
以上説明した実施形態2の構成では、実施形態1で得られる効果に加え、プリズムシート120に入射するφ=90°である偏光成分の割合が増加し、バックライトの光利用効率が高くなるという効果が得られる。
[実施形態3]
以下においては、本発明に係る液晶表示装置の実施形態3について、図9、10を用いて説明する。
図9は、本発明の実施形態3における液晶表示装置を構成する各部材の様子を示す図であり、面状光源100を構成する部材が実施形態1と異なっている。具体的には、実施形態1とは異なるプリズム形状を有して互いに稜線方向が異なる複数枚のプリズムシート(第1プリズムシート120及び第2プリズムシート170)と複数枚の拡散シート(拡散シート110及び180)を面状光源100は含んでおり、さらに、光学フィルム130における複屈折フィルム132のリターデーションΔnt1および遅相軸が、実施形態1及び実施形態2と異なる。実施形態1及び実施形態2とほぼ同様になる点については説明を省略する。
以下、図9をもとに実施形態3に係る液晶表示装置の構成について説明する。図9で示すように、実施形態3の面状光源100は、導光板140と、導光板140の端面の近傍に配置される光源160と、導光板140の裏側に配置された反射シート150と、導光板140の上側に配置された光学フィルム130と、第1プリズムシート120及び第2プリズムシート170と、拡散シート110及び180で構成されている。また、図10は、実施形態3で用いる第1プリズムシート120及び第2プリズムシート170の拡大断面図である。実施形態3では、図10のようにプリズム121の形状は左右の斜面が対称形状で、つまり形状が直角二等辺三角形であるプリズムを用いる。
また、液晶パネル200側に位置する第1プリズムシート120と光学フィルム130側に位置する第2プリズムシート170の稜線は、互いに直交するように配置される。第2プリズムシート170のプリズムシートの稜線の方位角度φ1はφ1=15°〜75°、又は、φ1=105°〜165°とする。また、実施形態3における下偏光板230の透過軸は、第1プリズムシート120の稜線に対して、ほぼ垂直となる方向に向けて設けられる。
実施形態3における面状光源100は、導光板140の光出射面より出射した光を、拡散シート180、第1プリズムシート120、第2プリズムシート170によって極角θを徐々に小さくするようにして液晶パネル200等に対して垂直方向に近づけていく(立ち上げる)。すなわちこれらの第1プリズムシート120、第2プリズムシート170は、光を集光する機能を有している。
ここで、第1プリズムシート120、第2プリズムシート170入射前、出射後の偏光方向の変化について説明する。まず、第1プリズムシート120出射時に液晶表示装置の正面方向に寄与することとなる第2プリズムシート170入射時の光線の方位角φpri1,及びφpri2は、φpri1=φ1−135°, φpri2=φ1+135°である(φ1は、第2プリズムシート170における稜線の方位角である)。また、正面方向に寄与する第2プリズムシート170入射時の光線の極角θ1は、45°で、方位角φpri1の光線の偏光軸はφ´pri11=φ1−135°,φ´pri12=φ1+135°、方位角φpri2の光線の偏光軸はφ´pri21=φ1+135°,φ´pri22=φ1−135°である。そして、当該光線が第2プリズムシート170出射後には、偏光軸の方向はφ1及びφ1+90°となって、第2プリズムシート170を通過することによって、偏光軸の方向が回転させられる。また、第1プリズムシート120出射後の偏光軸の方向は、第2プリズムシート170出射後の偏光軸の方向と同じである。
第2プリズムシート170通過時に偏光軸が回転することにより、第2プリズムシート170通過後の偏光度が向上しない。このため、第2プリズムシート170入射前の偏光軸を、第2プリズムシート170出射後の偏光軸と同じ方向にすれば、第2プリズムシート170出射後の偏光度は向上し、バックライトの光利用効率が向上する。したがって、光学フィルム130出射後の偏光方向を制御すればよい。実施形態3では、導光板140から出射する光線のうち、φ=90°もしくは270°付近の方位角でθ=30°〜60°の出射光が、φ=0°もしくは180°付近の方位角の出射光よりも高い輝度を有する。第2プリズムシート170のプリズムシートの稜線の方位角度φ1は、φ1=15°〜75°の場合、φpri1の輝度がφpri2の輝度よりも大幅に高い。従って、φpri1の偏光方向を第2プリズムシート170の稜線に対応して、プリズム稜線の角度φ1に平行となるように回転すればよい。第2プリズムシート170入射時の偏光方向φ´pri11は、上述したように所望の偏光方向φ1に対して反時計回りの方向に45°回転している。このため、拡散シート180出射後の方位角φpri1の光の偏光方向を時計回りに45°回転させる機能をもつ複屈折フィルム132を有すればよく、例えば、2分の1波長板の機能を有するものが望ましい。
上記のような2分の1波長板としての機能を有する複屈折フィルム132の条件は、例えば、複屈折フィルム132の厚さをt1、屈折率異方性をΔnとしたとき、リターデーションΔnt1の値が200〜300nm、遅相軸角度φprisは、φpris=φ1−45°〜φ1−90°とする。
また、第2プリズムシート170の稜線の方位角度φ1はφ1=105°〜165°の場合は、φpri2の輝度がφpri1の輝度よりも大幅に高い。従って、φpri2の偏光方向を第2プリズムシート170におけるプリズム稜線の角度φ1に平行となるように回転すればよい。第2プリズムシート170入射時の偏光方向φ´pri21は所望の偏光方向φ1に対して時計回りの方向に45°回転している。このため、拡散シート180出射後の方位角φpri2の偏光方向を反時計回りに45°回転させる機能をもつ複屈折フィルム132を有すればよく、例えば2分の1波長板の機能を有するものが望ましい。これにより、方位角φpri2の光線は、光学フィルム130によって回転され偏光方向が角度φ1のまま維持されて第2プリズムシート170から出射し、当該偏光方向に垂直となる方向に稜線が設けられた第1プリズムシート120から出射する際にも角度φ1のまま偏光方向が維持される。そして、下偏光板230は第1プリズムシート120の稜線に対応して、第1プリズムシート120の稜線にほぼ垂直となる方向(第2プリズムシート170の稜線にほぼ平行となる方向)に透過軸が設けられて、角度φ1の偏光方向が維持された光線が下偏光板230を透過する。
上記のような2分の1波長板としての機能を有する複屈折フィルム132の条件は、例えば、複屈折フィルム132の厚さをt1、屈折率異方性をΔnとしたとき、リターデーションΔnt1の値が200〜300nm、遅相軸角度φprisは、φpris=φ1−60°〜φ1−15°となるようにすれば機能する。
第1プリズムシート120入射時の光束をより多くするためには、第1透明フィルム131および第2透明フィルム133の屈折率が、複屈折フィルム132の屈折率よりも低くするのが望ましい。なお、第1透明フィルム131または第2透明フィルム133のいずれかを有しない構成としても、バックライト出射後の光利用効率は向上する。第1透明フィルム131および第2透明フィルム133の膜の条件は、実施形態1の第2透明フィルム133と同様に設定すればよい。
なお、第2プリズムシート170の基材を複屈折フィルム132にし、裏面である導光板140側に第2透明フィルム133を設ける構成にしてもよい。この場合には、複屈折フィルムと透明フィルムとを含んで構成された光学フィルム130と、プリズム列が構成された第2プリズムシート170とが、一体的に構成される。このような構成にすることで、面状光源100の薄型化が可能となる。
なお、第1プリズムシート120、第2プリズムシート170の裏面である導光板140側に、プリズムシートの基材の屈折率よりも低い透明な層を設けると、第1プリズムシート120及び第2プリズムシート170を通過する光束が増加し、面状光源100出射後の光束が向上する。この場合において、第1プリズムシート120及び第2プリズムシート170における基材は、複屈折性を有していてもよいし有していなくてもよい。プリズムシートの基材の屈折率よりも低い透明な層は、実施形態1の第2透明フィルム133と同様に形成すればよい。また、同様に第1プリズムシート120及び第2プリズムシート170の裏面である導光板140側に、プリズムシートの基材の屈折率よりも高い透明な層を設けてもよい。この場合において、プリズムシートの基材の屈折率よりも高い透明な層は、実施形態1の第1透明フィルム131と同様に形成される。さらに、導光板140に偏光を解消させる機能を持たせてもよく、面状光源100の光利用効率を向上できる。
以上説明した実施形態3の構成を用いると、第1プリズムシート120に入射する光における所望の偏光方向の偏光度が向上して、面状光源100から液晶パネル200に光が提供される。この効果により、面状光源100から照射した光は、液晶パネル200における上偏光板210および下偏光板230での吸収による光損失が少なくなり、面状光源100の光利用効率が向上する。
[実施形態4]
以下においては、本発明に係る液晶表示装置の実施形態4について図11、12を用いて説明する。図11は、本発明の実施形態4における液晶表示装置を構成する各部材の様子を示す図であり、第2プリズムシート170と導光板140の間にある部材が光学フィルム130の1枚である点が、実施形態3の図9と異なり、実施形態3と略同様になる部分については説明を省略する。図12は、本発明の実施形態4における光学フィルム130の拡大断面図である。実施形態4における光学フィルム130は、図12に示すような複屈折フィルム132の第2プリズムシート170に面する側に拡散層134を有し、導光板140に面する側に第2透明フィルム133を有する構成である。
拡散層134を設けると拡散機能を備えた光学フィルム130が実現できる。ここで、例えば拡散層134は、図12のように複屈折フィルム132の第2プリズムシート170に面する側にビーズ等で設けられた凹凸により形成される。このように、拡散層134が形成されることで、実施形態3で設けられた拡散シート180を省略することができ、面状光源100の薄型化が可能となる。なお、図12のように形成された光学フィルム130を、実施形態1及び実施形態2における光学フィルム130として用いてもよく、この場合には、拡散機能を備えた光学フィルム130に対応して、プリズムシート120の形状等が適宜設けられる。
[実施形態5]
以下においては、本発明に係る液晶表示装置の実施形態5について図13を用いて説明する。実施形態5が実施形態1および2と異なる点は、プリズムシート120の構成であり、実施形態1および2とほぼ同様となる点については説明を省略する。
図13は、プリズムシート120の拡大断面図が示されている。実施形態5では、図13に示すように、実施形態1及び2で用いたプリズムシート120の裏面に、第3反射率制御手段123(本実施形態では、第3反射率制御手段123として第3透明フィルム123を用いる)を設けたプリズムシート120を用いる。第3透明フィルム123は、導光板140から出射する光のうち、少なくとも輝度や光度が最大値となる角度の光がプリズムシート120に入射する際に、偏光方向がφ=0°である偏光成分がより多く反射されるようにするために設けられる。例えば、実施形態5の場合、プリズムシートの基材122の屈折率よりも屈折率が高い透明な層を、第3透明フィルムとして、光学フィルム130が面する側に一層設ける。膜条件、および形成方法は実施形態1の第1透明フィルム131と同様に形成するとよい。また、プリズムシートの基材122の屈折率よりも屈折率が低い透明な層を、光学フィルム130が面する側に、第3透明フィルム123として設けるようにしてもよい。この場合には、膜条件、および形成方法は実施形態1の第2透明フィルム133と同様に形成するとよい。
以上説明した実施形態5の構成では、実施形態1または2で得られる効果に加え、プリズムシート出射時の偏光方向がφ=90°である偏光成分の割合がより高い光が得られるようになる。
[実施形態6]
以下においては、本発明に係る液晶表示装置の実施形態6について説明する。実施形態6が実施形態5と異なる点は、光学フィルム130の構成である。
実施形態6では、光学フィルム130の第1透明フィルム131および第2透明フィルム133に、複屈折フィルム132の屈折率よりも屈折率が低い透明な層を設ける。第1透明フィルム131および第2透明フィルム133を、複屈折フィルム132の屈折率よりも屈折率を低くすることで、プリズムシート120入射前の全光束が実施形態5よりも増加し、プリズムシート120出射後の偏光方向がφ=90°である偏光成分の光束が増加する。さらに、プリズムシート裏面の第3透明フィルム123で反射される偏光方向がφ=0°である偏光成分の光束は増加し、複屈折フィルム132により偏光解消される偏光方向がφ=0°である偏光成分は増加し、面状光源100を出射する偏光方向がφ=90°である偏光成分の光束は増加する。このため、面状光源100の光利用効率は実施形態5よりも高くなる。
実施形態6における第1透明フィルム131、第2透明フィルム133は、実施形態1の第1透明フィルム131と同様の方法で透明な層を形成するとよい。尚、第2透明フィルム133は設けなくても上記の効果は得られる。
以上説明した各実施形態の構成では、プリズムシート出射時の偏光方向がφ=90°である偏光成分の割合が、より高い光が得られるようになる。