JP2010237186A - 渦流探傷用プローブ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のプローブは、円柱状ヨークの中央部の周囲に検出コイルおよびその両側に内側励磁コイルを配置し、その両側のヨークの周囲に永久磁石を、その磁化方向がヨークの半径方向であって、ヨーク側の磁極が相異なるように装着していることを特徴とし、更に円柱状ヨークと検出コイルおよび内側励磁コイルとの間に永久磁石が、その磁化方向がヨークの軸方向になるように装着されていることを特徴とする。
【選択図】図2
Description
炭素鋼、フェライト系ステンレス鋼、フェライト相とオーステナイト相の二相からなる二相ステンレス鋼などの磁性体管の検査においては、非磁性体管の渦流探傷用プローブでは渦電流が表面しか流れないこと、透磁率の局部的な変動に起因するノイズが検出能に悪影響を及ぼすことから精度良く欠陥の探傷ができない。
このプローブを用いることによって二相ステンレス管などの弱磁性体管の渦流探傷は可能であるが、炭素鋼などの強磁性体管の小さい欠陥を探傷するには不十分であり、強磁性体管の小さい欠陥をより精度良く検出できる方法が望まれている。
円柱状ヨーク1の中央部の周囲に検出コイル5およびその両側に内側励磁コイル6が配置しされている。その両側のヨークの周囲に永久磁石3および永久磁石4が、その磁化方向がヨークの半径方向であって、ヨーク側の磁極が永久磁石3および永久磁石4で異なるように装着されている。図1では永久磁石3はヨーク側がS極、外側がN極、永久磁石4はヨーク側がN極、外側がS極になるように装着されている。
プローブの両端部にはガイド7、8が設けられている。ヨーク1の略中心部に空気導入孔9、および両端部に空気導入孔から半径方向に延びる複数の空気噴射孔10が設けられている。
なお、コイルの導線およびその取り出し孔は図示されていない。
このプローブは、円柱状ヨーク1と検出コイル5および内側励磁コイル6との間に永久磁石2が、その磁化方向がヨークの軸方向になるように装着されている以外は、図1に示す実施態様と同じである。すなわち、円柱状ヨーク1の中央部の周囲に永久磁石2が、その磁化方向がヨークの軸方向になるように装着されている。図2では左側にN極、右側にS極になるように装着されている。中央部の永久磁石2の上に検出コイル5、その両側には内側励磁コイル6が配置されている。永久磁石2の両側のヨークの周囲に永久磁石3および永久磁石4が、その磁化方向がヨークの半径方向であって、ヨーク側の磁極が永久磁石3および永久磁石4で異なるように装着されている。
永久磁石としては、例えば、ネオジム磁石などの高性能永久磁石が用いられる。中央部に装着する永久磁石2としては、ヨークの軸方向の長さが約5〜10mmのリング状のものが用いられる。永久磁石2の両側に装着される永久磁石3および永久磁石4としては、ヨークの軸方向の長さが約5〜30mm、好ましくは約10〜30mmのリング状のものが用いられる。永久磁石3および永久磁石4は長い方が、探傷精度が向上するが、約30mmを超えてもそれに見合った効果は得られない。なお、永久磁石3および永久磁石4のヨークの半径方向の大きさ、厚さは探傷する磁性体管の大きさに合わせて変更される。
これまで使用されてきた、検出コイル5のみを用いた差動結線のコイルでは、渦電流の導電範囲が広くなり過ぎるため、磁気飽和されていない部位での透磁率の局部的な変動の影響を受けてS/N比が悪くなるが、本発明では、検出コイル5が励起する渦電流の余剰な導電範囲を、検出コイルの外側に配置した内側励磁コイル6によって逆方向の渦電流を励起することによって互いの渦電流を相殺し、渦電流の余剰な導電範囲を抑制することでS/N比が向上する。
永久磁石2による均一な磁束分布と内側励磁コイル6によって検出コイル5の近傍のみに励起された渦電流によりS/N比の向上が図られた結果、欠陥の検出力が向上するとともに、欠陥の種類(内外面周溝、外側方形溝、貫通穴)、深さに応じた位相角が検出され、バッフル下の管に発生した欠陥の弁別が多重周波数方式を用いることによって可能となった。
これらの磁石によって形成される磁界の磁束密度は、検出コイル間の中央部で1.5テスラ以上あることが好ましい。磁束密度が1.5テスラより小さいと欠陥信号が小さくなり好ましくない。
本発明において磁束密度は、磁界解析ソフト「電磁界解析ソフトウエア JMAG(登録商標)」((株)JSOL製)を使用し、有限要素法で数値解析して求める値である。
内側励磁コイルは、渦電流の導電範囲を欠陥近傍のみに抑制し、微小な欠陥のS/N比を改善し、管端近傍の影響を軽減する。
なお、空気噴射孔10は、例えば、孔径が約2mmφで、空気導入孔9から周方向に約6〜10本設けられる。
図6にプローブの回路図を示す。2個の検出コイルL1、L2および2個の内側励磁コイルL3、L4および4個の可変抵抗器R1、R2、R3、R4を、ロックインアンプに対して並列に接続し、検出コイルL1、L2と可変抵抗器R1、R2がホイストンブリッジ回路となるように、ロックインアンプの入力信号用の端子と接続している。
所定の試験周波数、例えば、実際の探傷で探傷感度が高い100kHz、印加電圧5vの時の検出コイルおよび内側励磁コイルのインピーダンスを測定し、可変抵抗器R1、R2の抵抗値を、その測定した抵抗値に調整する。またこのときの検出コイルと可変抵抗器の合成インピーダンスを測定し、内側励磁コイルに接続する可変抵抗器R3、R4の抵抗値を、その測定した抵抗値の前後に変化させて探傷し、最終的に検出感度が良い条件で探傷を行う。
プローブによる探傷速度は、約2〜50mm/秒であり、より小さい欠陥を精度良く検出するためには、約2〜10mm/秒が好ましい。
図2に示すと同様のプローブを作製した。使用した材料および形状を以下に示す。
ヨーク1:炭素鋼S15C焼鈍材
永久磁石2:ネオジウムマグネット((株)アサヒコーポレーション製)
外径φ25.5mm×内径φ21mm×長さ6.4mmのリング状
永久磁石3、4:ネオジムマグネット((株)アサヒコーポレーション製)
外径φ28mm×内径φ21mm×長さ30mmのリング状を四分割したもの。
検出コイル5、内側励磁コイル6:
各コイルともに、線径φ0.08mmの銅線を使用し、寸法は幅1.0mm×
深さ1.0mm、巻数は70回、コイル間隔は0.8mmとした。
ガイド7、8:ポリアセタール(コポリマー)ジュラコン(登録商標)(ポリプラス
チック(株)製)、外径φ28.4mm
永久磁石をヨークに接着するための接着剤:
アクリル系接着剤ハードロック(登録商標)(電気化学工業(株)製)
探傷速度が30mm/秒の時の結果を図7に、探傷速度が4mm/秒でφ1.0mm、φ0.5mmの貫通孔について探傷した時の結果を図8に示す。
図中、内側励磁なし(2コイル)は、内側励磁コイルを生かさず、検出コイルのみで探傷したことを、150・・・500Ωは可変抵抗器R3、R4の抵抗値を表す。
実施例1で使用したプローブのヨークの軸方向の内部にφ4mmの空気導入孔、および永久磁石の両側(ガイド部)に空気導入孔から半径方向に延びるそれぞれ8本のφ2mmの空気噴射孔を設けた。
プローブの端部にばね秤を取り付け、実施例1と同じ強磁性体管に挿入し、レギュレーターで圧力を調整した空気を空気導入孔に供給し、空気噴射孔から噴出させながら一定速度となるように引張り、プローブが動き出す直前の引張り力を測定した。同じ条件で5回測定し、平均値を求めた。
結果を表1に示す。空気圧を高くして空気を多く噴射させることによって、引張り力が低下して走査が容易になっている。
2 永久磁石
3 永久磁石
4 永久磁石
5 検出コイル
6 内側励磁コイル
7 ガイド
8 ガイド
9 空気導入孔
10 空気噴出孔
Claims (4)
- 円柱状ヨークの中央部の周囲に検出コイルおよびその両側に内側励磁コイルを配置し、その両側のヨークの周囲に永久磁石を、その磁化方向がヨークの半径方向であって、ヨーク側の磁極が相異なるように装着していることを特徴とする渦流探傷用プローブ。
- 円柱状ヨーク1と検出コイル5および内側励磁コイル6との間に永久磁石2が、その磁化方向がヨークの軸方向になるように装着されていることを特徴とする請求項1記載の渦流探傷用プローブ。
- 永久磁石によって形成される磁界の磁束密度が、検出コイル間の中央部で1.5テスラ以上であることを特徴とする請求項1または2記載の渦流探傷用プローブ。
- ヨークの軸方向の内部に空気導入孔、および両側の永久磁石の更に両側に空気導入孔から半径方向に延びる複数の空気噴射孔を有していることを特徴とする請求項1または2記載の渦流探傷用プローブ。
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