JP2010237186A - 渦流探傷用プローブ - Google Patents

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Abstract

【課題】より精度良く磁性体管の欠陥を探傷することができる内挿型の渦流探傷用プローブを提供すること。
【解決手段】本発明のプローブは、円柱状ヨークの中央部の周囲に検出コイルおよびその両側に内側励磁コイルを配置し、その両側のヨークの周囲に永久磁石を、その磁化方向がヨークの半径方向であって、ヨーク側の磁極が相異なるように装着していることを特徴とし、更に円柱状ヨークと検出コイルおよび内側励磁コイルとの間に永久磁石が、その磁化方向がヨークの軸方向になるように装着されていることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、渦流探傷用プローブに関する。詳しくは、磁性体管の欠陥を探傷するのに適した内挿型の渦流探傷用プローブに関する。
金属材料の検査方法の一つとして渦流探傷法が挙げられる。オーステナイト系ステンレス鋼、チタン、銅合金などの非磁性体管の検査では、内挿型の渦流探傷用プローブを用いた渦流探傷が広く行われている。
炭素鋼、フェライト系ステンレス鋼、フェライト相とオーステナイト相の二相からなる二相ステンレス鋼などの磁性体管の検査においては、非磁性体管の渦流探傷用プローブでは渦電流が表面しか流れないこと、透磁率の局部的な変動に起因するノイズが検出能に悪影響を及ぼすことから精度良く欠陥の探傷ができない。
二相ステンレス伝熱管の渦流探傷用プローブとして、円柱状ヨークの中央部の周囲に検出コイルを配置し、その両側のヨークの周囲に、磁化方向がヨークの半径方向であって、ヨーク側の磁極が相異なるように永久磁石を装着したプローブが知られている(例えば、非特許文献1参照。)
このプローブを用いることによって二相ステンレス管などの弱磁性体管の渦流探傷は可能であるが、炭素鋼などの強磁性体管の小さい欠陥を探傷するには不十分であり、強磁性体管の小さい欠陥をより精度良く検出できる方法が望まれている。
非破壊検査 第42巻 第9号 520〜526頁 平成5年
本発明は、より精度良く磁性体管の欠陥を探傷することができる内挿型の渦流探傷用プローブを提供することを目的とする。
本発明者は、磁性体管の渦流探傷方法について鋭意検討した結果、円柱状ヨークの中央部の周囲に検出コイルおよびその両側に内側励磁コイルを配置し、その両側のヨークの周囲に永久磁石を、その磁化方向がヨークの半径方向であって、ヨーク側の磁極が相異なるように装着したプローブを用いて渦流探傷することによって、より精度良く磁性体管の欠陥を検出できることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、円柱状ヨークの中央部の周囲に検出コイルおよびその両側に内側励磁コイルを配置し、その両側のヨークの周囲に永久磁石を、その磁化方向がヨークの半径方向であって、ヨーク側の磁極が相異なるように装着していることを特徴とする渦流探傷用プローブである。
本発明のプローブを用いて磁性体管を渦流探傷することによって、精度良く欠陥を検出することが可能になる。
本発明のプローブの実施態様を示す断面模式図である。 本発明のプローブの他の実施態様を示す断面模式図である。 本発明のプローブの永久磁石取り付け方法の模式図である。 本発明のプローブの永久磁石取り付け方法の模式図である。 本発明のプローブの永久磁石取り付け方法の模式図である。 本発明のプローブの回路図である。 実施例の結果を示す図である。 実施例の他の結果を示す図である。
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図1は本発明のプローブの実施態様を示す断面模式図である。
円柱状ヨーク1の中央部の周囲に検出コイル5およびその両側に内側励磁コイル6が配置しされている。その両側のヨークの周囲に永久磁石3および永久磁石4が、その磁化方向がヨークの半径方向であって、ヨーク側の磁極が永久磁石3および永久磁石4で異なるように装着されている。図1では永久磁石3はヨーク側がS極、外側がN極、永久磁石4はヨーク側がN極、外側がS極になるように装着されている。
プローブの両端部にはガイド7、8が設けられている。ヨーク1の略中心部に空気導入孔9、および両端部に空気導入孔から半径方向に延びる複数の空気噴射孔10が設けられている。
なお、コイルの導線およびその取り出し孔は図示されていない。
図2は本発明のプローブの他の実施態様を示す断面模式図である。
このプローブは、円柱状ヨーク1と検出コイル5および内側励磁コイル6との間に永久磁石2が、その磁化方向がヨークの軸方向になるように装着されている以外は、図1に示す実施態様と同じである。すなわち、円柱状ヨーク1の中央部の周囲に永久磁石2が、その磁化方向がヨークの軸方向になるように装着されている。図2では左側にN極、右側にS極になるように装着されている。中央部の永久磁石2の上に検出コイル5、その両側には内側励磁コイル6が配置されている。永久磁石2の両側のヨークの周囲に永久磁石3および永久磁石4が、その磁化方向がヨークの半径方向であって、ヨーク側の磁極が永久磁石3および永久磁石4で異なるように装着されている。
上記プローブのヨークとしては、炭素鋼、低合金鋼などの高透磁率金属が用いられる。
永久磁石としては、例えば、ネオジム磁石などの高性能永久磁石が用いられる。中央部に装着する永久磁石2としては、ヨークの軸方向の長さが約5〜10mmのリング状のものが用いられる。永久磁石2の両側に装着される永久磁石3および永久磁石4としては、ヨークの軸方向の長さが約5〜30mm、好ましくは約10〜30mmのリング状のものが用いられる。永久磁石3および永久磁石4は長い方が、探傷精度が向上するが、約30mmを超えてもそれに見合った効果は得られない。なお、永久磁石3および永久磁石4のヨークの半径方向の大きさ、厚さは探傷する磁性体管の大きさに合わせて変更される。
中央部に装着する永久磁石2によって、これらの磁石によって形成される磁界の磁束密度を大きくすることができる。図2において、永久磁石2の磁化方向が、左側にN極、右側にS極にすることによって磁束密度を大きくするとともに磁束分布を均一にすることができるためS/N比が向上する。これを左側にS極、右側にN極とすることによって磁束密度は小さくなり、磁束分布も不均一となりS/N比の低下をきたす。
これまで使用されてきた、検出コイル5のみを用いた差動結線のコイルでは、渦電流の導電範囲が広くなり過ぎるため、磁気飽和されていない部位での透磁率の局部的な変動の影響を受けてS/N比が悪くなるが、本発明では、検出コイル5が励起する渦電流の余剰な導電範囲を、検出コイルの外側に配置した内側励磁コイル6によって逆方向の渦電流を励起することによって互いの渦電流を相殺し、渦電流の余剰な導電範囲を抑制することでS/N比が向上する。
永久磁石2による均一な磁束分布と内側励磁コイル6によって検出コイル5の近傍のみに励起された渦電流によりS/N比の向上が図られた結果、欠陥の検出力が向上するとともに、欠陥の種類(内外面周溝、外側方形溝、貫通穴)、深さに応じた位相角が検出され、バッフル下の管に発生した欠陥の弁別が多重周波数方式を用いることによって可能となった。
これらの磁石によって形成される磁界の磁束密度は、検出コイル間の中央部で1.5テスラ以上あることが好ましい。磁束密度が1.5テスラより小さいと欠陥信号が小さくなり好ましくない。
本発明において磁束密度は、磁界解析ソフト「電磁界解析ソフトウエア JMAG(登録商標)」((株)JSOL製)を使用し、有限要素法で数値解析して求める値である。
半径方向の磁化を有するリング状の永久磁石は製作コストがかかるため、通常、図3に示すように、四分割等の分割形状にして円柱状ヨークの周囲に装着し使用される。該1/4周分割の永久磁石を円柱状ヨークに装着するときは図4に示す如くダミーの鉄片あるいは装着する永久磁石とは磁化方向が逆の永久磁石を間に挟むことにより対面の永久磁石の反発力が解消されて容易に装着が可能となる。円柱状ヨークへの永久磁石の装着方法は特に限定されないが、接着剤、例えばアクリル系接着剤を用いて接着して装着される。一対の永久磁石を装着後、ダミーの鉄片もしくは装着した永久磁石とは磁化方向が逆の永久磁石を取り除いて、この位置に、円柱状ヨークとの接触面に接着剤を塗布したもう一対の永久磁石を装入し、対面する永久磁石を万力等で接着剤が接着効果を奏するまで挟み保持することにより容易に円柱状ヨークに永久磁石を装着することができる。また、別法として図5に示すように、円柱状ヨークの周囲に接着剤を介して半径方向に磁化を有する永久磁石を並べ、この永久磁石を覆うように、磁化方向が逆になったダミーの永久磁石を、隣り合う永久磁石にまたがって配置する場合には、反発力が緩和され、万力等を用いて固定しなくても、容易に円柱状ヨークに永久磁石を接着し得る。ダミーの永久磁石は接着剤が効果を発現した後、取り除けばよい。
2個の検出コイル5および2個の内側励磁コイル6としては、各々、例えば、素線径が約0.05〜0.1mmφの銅線を、幅が約0.8〜1.2mm、深さが約0.8〜1.2mmで、約60〜80回巻いて形成される。
内側励磁コイルは、渦電流の導電範囲を欠陥近傍のみに抑制し、微小な欠陥のS/N比を改善し、管端近傍の影響を軽減する。
プローブの両端部のガイド7、8は、アセタール樹脂、ステンレス鋼などで形成され、ねじ構造によってヨークに装着される。
ヨーク1に設けられた空気導入孔9から空気が導入され、空気噴射孔10から空気が噴射される。磁性体管の探傷ではプローブに装着した強力な永久磁石による管内面への張り付きによって、プローブの走査および芯出しが困難になるが、空気噴射孔から垂直に空気が噴射されることによって、管への張り付きを軽減させることができ、プローブの走査が容易になる。
なお、空気噴射孔10は、例えば、孔径が約2mmφで、空気導入孔9から周方向に約6〜10本設けられる。
コイルは導線によって過流探傷装置に接続され、時間-電圧特性などを求め、欠陥を検出する。
図6にプローブの回路図を示す。2個の検出コイルL1、L2および2個の内側励磁コイルL3、L4および4個の可変抵抗器R1、R2、R3、R4を、ロックインアンプに対して並列に接続し、検出コイルL1、L2と可変抵抗器R1、R2がホイストンブリッジ回路となるように、ロックインアンプの入力信号用の端子と接続している。
探傷は次のようにして行う。
所定の試験周波数、例えば、実際の探傷で探傷感度が高い100kHz、印加電圧5vの時の検出コイルおよび内側励磁コイルのインピーダンスを測定し、可変抵抗器R1、R2の抵抗値を、その測定した抵抗値に調整する。またこのときの検出コイルと可変抵抗器の合成インピーダンスを測定し、内側励磁コイルに接続する可変抵抗器R3、R4の抵抗値を、その測定した抵抗値の前後に変化させて探傷し、最終的に検出感度が良い条件で探傷を行う。
プローブによる探傷速度は、約2〜50mm/秒であり、より小さい欠陥を精度良く検出するためには、約2〜10mm/秒が好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
図2に示すと同様のプローブを作製した。使用した材料および形状を以下に示す。
ヨーク1:炭素鋼S15C焼鈍材
永久磁石2:ネオジウムマグネット((株)アサヒコーポレーション製)
外径φ25.5mm×内径φ21mm×長さ6.4mmのリング状
永久磁石3、4:ネオジムマグネット((株)アサヒコーポレーション製)
外径φ28mm×内径φ21mm×長さ30mmのリング状を四分割したもの。
検出コイル5、内側励磁コイル6:
各コイルともに、線径φ0.08mmの銅線を使用し、寸法は幅1.0mm×
深さ1.0mm、巻数は70回、コイル間隔は0.8mmとした。
ガイド7、8:ポリアセタール(コポリマー)ジュラコン(登録商標)(ポリプラス
チック(株)製)、外径φ28.4mm
永久磁石をヨークに接着するための接着剤:
アクリル系接着剤ハードロック(登録商標)(電気化学工業(株)製)
これらの永久磁石によって形成される磁界の磁束密度を磁界解析ソフト「電磁界解析ソフトウエア JMAG(登録商標)」((株)JSOL製)を用いて求めた。得られた磁束密度は検出コイル間の中央部で2.0テスラであった。なお、永久磁石2の磁化方向を図2と逆方向に、すなわち左側をS極、右側をN極になるように装着した場合の磁束密度は検出コイル間の中央部で1.6テスラであった。
なお、ロックインアンプは、LI5640((株)エヌエフ回路設計ブロック製)を、オシロスコープは、TDS3104B(日本テクトロニクス(株)製を、プローブを走査させるステージコントローラは、CAT-E(中央精機(株)製)を用いた。
プローブの回路図を図6に示すように作製した。試験周波数を100kHz、印加電圧5vの時の検出コイルおよび内側励磁コイルのインピーダンスを測定すると約93Ωであったことから、可変抵抗器R1、R2の抵抗値を約93Ωに調整した。またこのときの検出コイルと可変抵抗器の合成インピーダンスを測定すると約172Ωであった。この条件で、内側励磁コイルに接続する可変抵抗器R3、R4の抵抗値を150〜500Ωに変化させて探傷を行った。
強磁性体管(炭素鋼STB340、外径φ34mm×厚み2.3mm×長さ900mm)に100mm間隔でφ2.0mm、φ1.5mm、φ1.0mm、φ0.5mmの貫通孔を設けたものについて、速度30mm/秒、4mm/秒で走査して探傷を行った。
探傷速度が30mm/秒の時の結果を図7に、探傷速度が4mm/秒でφ1.0mm、φ0.5mmの貫通孔について探傷した時の結果を図8に示す。
図中、内側励磁なし(2コイル)は、内側励磁コイルを生かさず、検出コイルのみで探傷したことを、150・・・500Ωは可変抵抗器R3、R4の抵抗値を表す。
φ2mm以下の微小な欠陥では内側励磁コイルを設けたプローブを用いることによって、内側励磁コイルがなく検出コイルのみのプローブを使用した時よりも明らかにS/N比が改善されている。また探傷速度が約4mm/秒の時、内側励磁コイルがないとS/N比が悪く、φ1mm、φ0.5mmの貫通孔をともに検出できていないが、内側励磁コイルを設けたプローブでは両者ともに十分な感度で検出可能である。
実施例2
実施例1で使用したプローブのヨークの軸方向の内部にφ4mmの空気導入孔、および永久磁石の両側(ガイド部)に空気導入孔から半径方向に延びるそれぞれ8本のφ2mmの空気噴射孔を設けた。
プローブの端部にばね秤を取り付け、実施例1と同じ強磁性体管に挿入し、レギュレーターで圧力を調整した空気を空気導入孔に供給し、空気噴射孔から噴出させながら一定速度となるように引張り、プローブが動き出す直前の引張り力を測定した。同じ条件で5回測定し、平均値を求めた。
結果を表1に示す。空気圧を高くして空気を多く噴射させることによって、引張り力が低下して走査が容易になっている。
Figure 2010237186
1 ヨーク
2 永久磁石
3 永久磁石
4 永久磁石
5 検出コイル
6 内側励磁コイル
7 ガイド
8 ガイド
9 空気導入孔
10 空気噴出孔

Claims (4)

  1. 円柱状ヨークの中央部の周囲に検出コイルおよびその両側に内側励磁コイルを配置し、その両側のヨークの周囲に永久磁石を、その磁化方向がヨークの半径方向であって、ヨーク側の磁極が相異なるように装着していることを特徴とする渦流探傷用プローブ。
  2. 円柱状ヨーク1と検出コイル5および内側励磁コイル6との間に永久磁石2が、その磁化方向がヨークの軸方向になるように装着されていることを特徴とする請求項1記載の渦流探傷用プローブ。
  3. 永久磁石によって形成される磁界の磁束密度が、検出コイル間の中央部で1.5テスラ以上であることを特徴とする請求項1または2記載の渦流探傷用プローブ。
  4. ヨークの軸方向の内部に空気導入孔、および両側の永久磁石の更に両側に空気導入孔から半径方向に延びる複数の空気噴射孔を有していることを特徴とする請求項1または2記載の渦流探傷用プローブ。
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