JP2010235496A - 免疫グロブリンg分離器 - Google Patents

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Abstract

【課題】血漿又は血清から免疫グロブリンGを高い効率で除去できる免疫グロブリンG分離器を提供する。
【解決手段】エチレンビニルアルコール系共重合体からなる中空糸膜と、中空糸膜の全膜表面に、有効膜面積2平方メートルあたり20mmol以上25mmol未満の密度で共有結合したトリプトファンと、を含む吸着部材4を有し、吸着部材の平均内径が165μm〜185μmであり、平均膜厚が35μm〜45μmである、免疫グロブリンG分離器3を提供する。なお、有効膜面積2平方メートルあたり5Lの血清を濾過した時の吸着部材4のアルブミン透過率は60%以上85%未満であり、免疫グロブリンM透過率は0.8%以上1.3%未満である。また、免疫グロブリンG分離器3は、導入された血漿又は血清の総てを吸着部材4によって濾過するように構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、血漿又は血清に存在する免疫グロブリンGが吸着する免疫グロブリンG分離器に関する。
近年、医学、特に内科学、血液学、免疫学、及び臨床検査学の進歩により、疾患の原因あるいは進行と密接な関係を持っていると考えられる血液中の悪性物質が明らかになりつつある。明らかになった悪性物質としては、例えば、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、及び重症筋無力症等の自己免疫疾患に対する自己抗体及び免疫複合体や、家族性高脂血症に対する低比重リポ蛋白質及び超低比重リポ蛋白質や、肝疾患で増加する中・低分子量物質等がある。
そこで、血液及び血漿等の体液から悪性物質を選択的に吸着除去することによって、疾患の症状を軽減せしめ、更には治癒を早めることが期待されている。従来、体液中の悪性物質を除去する技術としては、活性炭又は親水性高分子材料で表面を被覆した活性炭によって全血から悪性物質を除去する方法、全血を血球部分と血漿部分とに分離し、血漿に含まれる悪性物質を吸着材により吸着除去する方法、並びに分離した血漿を濾過器に通して、高分子量の悪性物質を除去する方法等がある。
また、特許2814399号公報(特許文献1)には、中空糸膜を用いて全血を直接処理し、悪性物質を除去する全血処理用吸着器が開示されている。特許文献1に開示された全血処理用吸着器においては、基材となる中空糸状全多孔体にコーティングされた親水性高分子に対してリガンドを固定することは、中空糸状全多孔体に直接リガンドを共有結合で固定することと等価であるとしている。さらに、特開昭61−90672号公報(特許文献2)に開示された生理活性物質を固定した多孔性中空繊維においても、その素材が親水性高分子及び疎水性高分子のポリマーブレンドである場合、各々のモノマーからなる共重合体である場合と等価であるとみなしている。
特許2814399号公報 特開昭61−90672号公報
しかし、活性炭を用いる方法は、全血を処理できるものの、活性炭の吸着選択性が悪いという問題がある。また、活性炭の細孔は小さいため、活性炭は高分子量の悪性物質をほとんど吸着できないという問題もある。これに対し、中空繊維の内表面や外表面に、抗体、抗原、又は酵素等を固定し、悪性物質を吸着除去することも試みられている。しかし、中空糸の細孔部分をも含めた多孔体の全表面を利用したものは少なく、吸着能力が低いため、未だ実用化されたものは無い。更に、抗体、抗原、酵素、及び蛋白質等の不安定な生体物質をリガンドとして使用しているため、滅菌するとリガンドの活性が大幅に低下したり、分解して抗原性を発現したりするという問題がある。加えて、血液と接触した場合の安全性等にも問題がある。
また、特許文献1のコーティングされた親水性高分子は、生理食塩水、あるいは体液等の溶液の灌流によって、少なからず剥離する場合がある。さらに、リガンドの活性低下や、血液と接触した場合の安全性等への懸念が生じる場合もある。さらにまた、特許文献2の親水性高分子も、共有結合による固定がない限り、体液等の溶液の灌流によって剥離しうる。したがって、安全性の観点からすると、血液及び血漿等の体液から悪性物質を吸着除去する吸着材において、悪性物質と相互作用を成すリガンドは、活性炭、高分子材料、あるいは中空繊維等の基材に共有結合で直接固定されていることが望ましい。
他方、血液中の悪性物質として挙げた、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、及び重症筋無力症等の自己免疫疾患に対する自己抗体及び免疫複合体は、免疫グロブリンG(以下において、「IgG」という。)又は変性したIgGから構成される。慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、及び重症筋無力症等の自己免疫疾患では、自己抗体及び免疫複合体を吸着除去すると病態が改善される。ここで、自己抗体、免疫複合体、及びIgGの吸着部材への吸着効率は、吸着部材のリガンドの量と相関する。しかし、吸着部材のリガンドの量が増えると、補体活性化などの生体適合性の欠如や、他のタンパク質の非特異的な吸着等の問題が生じうる。したがって、リガンドを基材に可能な限り高い密度で固定することが、適切ではない場合もある。
そこで本発明は、上記問題点に鑑み、血漿又は血清からIgGを高い効率で除去し、且つリガンドの溶出、生体適合性の欠如、及び非特異的吸着等の問題が生じない、共有結合で基材に固定されたリガンドを有するIgG分離器を提供することを目的の一つとする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、エチレンビニルアルコール共重合体からなる中空糸膜の全膜表面に、IgGと相互作用するトリプトファンを固定することにより、IgGの除去効率が驚くほど高いIgG分離器を発明するに至った。また、中空糸膜に共有結合を介して直接トリプトファンを導入することにより、血漿灌流に伴う親水性高分子及び/又はトリプトファンの剥離を防止可能な、生体にとって安全なIgG分離器を完成するに至った。
すなわち本発明の態様は、エチレンビニルアルコール系共重合体からなる中空糸膜と、中空糸膜の全膜表面に、有効膜面積2m2あたり20mmol以上25mmol未満の密度で共有結合したトリプトファンと、を含む吸着部材を有し、吸着部材の平均内径が165μm〜185μmであり、吸着部材の平均膜厚が35μm〜45μmである、血漿又は血清からIgGを除去するIgG分離器であることを要旨とする。
本発明の態様に係るIgG分離器において、有効膜面積2m2あたり5Lの血清を濾過した時の吸着部材のアルブミン透過率は、60%以上85%未満である。また、有効膜面積2m2あたり5Lの血清を濾過した時の吸着部材の免疫グロブリンM(以下において、「IgM」という。)透過率は、0.8%以上1.3%未満である。さらに、本発明の態様に係るIgG分離器は、導入された血漿又は血清の総てを吸着部材によって濾過するように構成されている。
本発明の態様に係るIgG分離器は、共有結合で中空糸膜に固定されたトリプトファンをリガンドとして有するため、リガンドの溶出が生じない。また、トリプトファンの固定量を有効膜面積2m2あたり20mmol以上25mmol未満とすることにより、生体適合性の欠如、及び非特異的吸着等の問題も生じない。したがって、本発明の態様に係るIgG分離器は、血漿又は血清から高い効率でIgGを除去することが可能である。
本発明の実施の形態に係るIgG分離器を示す模式図である。 本発明の比較例2に係る血漿成分吸着器を示す模式図である。 本発明の実施例1、及び比較例1乃至4の結果を示すグラフである。
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態を説明する。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
図1に示すように、実施の形態に係るIgG分離器3は、エチレンビニルアルコール系共重合体からなる中空糸膜と、中空糸膜の全膜表面に、有効膜面積2m2あたり20mmol以上25mmol未満の密度で共有結合したトリプトファンと、を含む吸着部材4を備える。ここで、吸着部材の平均内径は165μm〜185μmであり、吸着部材の平均膜厚は35μm〜45μmである。
実施の形態に係るIgG分離器3において、有効膜面積2m2あたり5Lの血清を濾過した時の吸着部材4のアルブミン透過率は、60%以上85%未満である。また、有効膜面積2m2あたり5Lの血清を濾過した時の吸着部材4のIgM透過率は、0.8%以上1.3%未満である。さらに、実施の形態に係るIgG分離器3は、導入された血漿又は血清の総てを吸着部材4によって濾過するように構成されている。
ここで、「中空糸膜」は、外観が中空糸状であって、中空糸の構造体部分が、中空糸内表面から中空糸外表面に連通する多数の貫通孔からなる多孔構造を実質的に全体に有し、かつ多数の貫通孔のそれぞれの内表面には、無数の微細孔がさらに設けられているものをいう。以下、貫通孔及び微細孔を含めて「細孔」と呼ぶ。また、中空糸膜の「全膜表面」とは、中空糸膜の内表面、外表面、及び細孔内表面を含む総ての表面のことをいう。
中空糸膜の素材のエチレンビニルアルコール系共重合体は、エチレンとビニルアルコールとをモノマー単位とする共重合体であり、エチレン含量が27モル%以上67モル%以下、ケン化度が99モル%以上の範囲にあり、高い親水性を有する。
中空糸膜に共有結合で固定されるトリプトファンは、被吸着物質であるIgGと相互作用するリガンドである。トリプトファンを中空糸膜に固定する方法には、例えば、固定化酵素やアフィニティークロマトグラフィーで用いられる公知の単体活性化法、及び固定法を用いることができる。活性化法としては、例えば、ハロゲン化シアン法、過ヨウ素酸法、架橋試薬法、及びエポキシド法等が使用可能である。活性化法は、中空糸膜を修飾し、反応性に富んだ状態にして、リガンドのアミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、及びスルフヒドリル基等の活性水素を有する求核反応基と置換及び/又は付加反応できる方法であればよく、上記の例示に限定されるものではない。
実施の形態に係るIgG分離器3において、吸着部材4は、外筒容器14の内部で、ほぼ平行に多数本集束されている。また、吸着部材4の両末端は、吸着部材4を構成する中空糸膜の中空部を開口した状態で、外筒容器14に接着固定される。カラム状のIgG分離器3の外筒容器14の一方の末端は、血漿又は血清の入り口15として機能し、血漿又は血清が流れる導入路1に液密に固定されている。また、IgG分離器3の外筒容器14のもう一方の末端は閉塞している。さらに、IgG分離器3の外筒容器14の側壁には、少なくとも1つの血漿又は血清の取り出し用開口部16が設けられており、血漿又は血清が流れる導出路5に液密に固定されている。さらにまた、導入路1には、血漿又は血清をIgG分離器3に送るためのポンプ2が設けられている。
吸着部材4を構成する中空糸膜の細孔は、吸着部材4に有効膜面積2m2あたり5Lの血清を濾過した時のアルブミン透過率が60%以上85%未満、IgM透過率が0.8%以上1.3%未満となる孔径を有する。ここで、「有効膜面積」とは、両末端で外筒容器14に接着固定された中空糸の接着部位間で、中空糸外表面が接着剤等により被覆されていない部分の中空糸内表面の面積の総和である。すなわち「有効膜面積」とは、中空糸膜の両末端から接着剤等により被覆されている部分までの長さを定規により測定し、中空糸膜全長からこの接着剤等により被覆されている部分の長さを差し引いて得られる「中空糸膜外表面が接着剤等により被覆されていない部分の長さ」に対し、既知の中空糸膜の半径、円周率、及び中空糸膜の本数を乗することにより求められる。また、透過率は、ろ液フラクションのタンパク質濃度を、元液濃度で除することにより算出される。なお、アルブミン濃度は、例えば、イアトロファインALBII(三菱化学ヤトロン社製)を用いて、B
iolis 24i(東京貿易メディカルシステム株式会社)で測定可能である。また、IgG及びIgM濃度は、抗IgG抗体及び抗IgM抗体をそれぞれ用いて、レーザーネフェロメーターで測定可能である。
リガンドであるトリプトファンの中空糸膜への固定量は、少なすぎると吸着能力が低くなる傾向にあり、多すぎると血液活性化による安全性の問題が生じる傾向にある。そのため、トリプトファンの中空糸膜への固定量は、有効膜面積2m2あたり20mmol以上25mmol未満である。なお、固定量は、トリプトファン導入反応前後の反応溶液の吸光度(280nm)を紫外可視分光光度計で測定し、反応前後の吸光度の差分に基づいて算出される。また、トリプトファンが固定された中空糸膜である吸着部材の平均内径は、プライミングボリュームの減少の観点から、165μm〜185μmである。さらに、吸着部材の厚みは、血漿透過率を実用上損なわない範囲で大きい方が細孔内表面の表面積を大きくできる。そのため、吸着部材の平均膜厚は、35μm〜45μmである。なお、吸着部材の厚み及び平均膜厚は、走査型電子顕微鏡(SEM)で計測可能である。
以上示した実施の形態に係るIgG分離器3によれば、トリプトファンが中空糸膜の全膜表面にほぼ均一に共有結合しているため、トリプトファンが溶出しない。また、トリプトファンの固定量を有効膜面積2m2あたり20mmol以上25mmol未満とすることにより、生体適合性の欠如、及び非特異的吸着等の問題も生じない。したがって、実施の形態に係るIgG分離器3は、血漿又は血清から高い効率でIgGを除去することが可能である。
(実施例1)
内径175μm、外径255μmの中空糸状の多孔質エチレンビニルアルコール共重合体を中空糸膜として用いた。この中空糸膜は、特許第3203047号に記載の方法で合成した。すなわち、エチレン含有33モル%、ケン化度99.9モル%、乾燥時のガラス転移点が68℃、飽和含水時のガラス転移点が−5℃のエチレンビニルアルコール系共重合体を、溶媒としてのジメチルスルホキシドに17重量%濃度となるよう溶解した。次に、内部注入剤として窒素を用いて、凝固液としてジメチルスルホキシド水溶液を、凝固浴温度20℃、凝固浴濃度15%、溶液温度50℃で紡糸し、エチレンビニルアルコール共重合体からなる中空糸膜(EVOH)を得た。
次に、濃度が10mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用意し、さらに、40重量%のエピクロルヒドリンと、12重量%の水酸化ナトリウム水溶液とを含むジメチルスルホキシド混合溶液を調製した。その後、得られた中空糸膜を、調製したジメチルスルホキシド混合溶液中に浸漬し、30℃で100mm-1の振動を4時間加え、中空糸膜の表面を活性化させた。この後、エタノールで洗浄し、さらに蒸留水で洗浄して、エポキシ活性化エチレンビニルアルコール系中空糸膜を得た。
次に、濃度が0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用意し、水酸化ナトリウム水溶液に濃度が46mmol/Lとなるよう、トリプトファン(Trp)を加えた。その後、得られたエポキシ活性化エチレンビニルアルコール系中空糸膜を、トリプトファン(Trp)含有水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、40℃で16時間、100mm-1の振動を加えて、中空糸膜の全膜表面にトリプトファンを固定する反応を行った。この後、十分水洗して、中空糸膜の全膜表面にトリプトファンが共有結合で固定された吸着部材4(EVOH−Trp)を得た。リガンドとして固定されたトリプトファンの量は、乾燥重量で633μmol/gであった。なお、トリプトファンの固定量は、前述した方法で算出可能である。また、中空糸膜の乾燥重量は、予め計測可能である。したがって、トリプトファンの固定量を、中空糸膜の乾燥重量で除することにより、上記値を算出可能である。
得られた吸着部材4を乾燥した後、ポリカーボネート製の容器内に吸着部材4の両端をウレタン接着剤で遠心成型固定した。さらに、容器の両端を切断した後ノズルを形成し、図1に示すIgG分離器3を製作した。IgG分離器3の吸着部材4の有効長は26cmであり、有効膜面積は2mであった。
次に、IgG分離器3に、導入路1、ポンプ2、及び導出路5を接続し、IgG分離システムを組み立てた。その後、牛由来の血清を導入路1より導入し、ポンプ2によりIgG分離器3に20mL/分で送り、吸着部材4で血清を濾過した。さらに、濾過前の血清中のIgG、及びIgG分離器3で濾過された血清中のIgGを測定し、濾過した全血清に対する除去されたIgGの割合を算出した。なお、IgGはレーザーネフェロメーターで測定した。また、アルブミン(Alb)、IgG、及びIgMの透過率も測定した。
(比較例1)
中空糸膜吸着材(EVOH−Trp)の代わりに、トリプトファンを結合していないエチレンビニルアルコール共重合体からなる中空糸膜(EVOH)を用いた以外は、実施例1と同様にIgG分離器を組み立てた。その後、実施例1と同様にして、血清のIgG除去率を算出した。
(比較例2)
選択式血漿成分吸着器イムソーバTR−350(IM−TR)(旭化成クラレメディカル社製)を用いて、図2に示すメッシュ7で挟まれた粒子状全多孔体8を備える血漿成分吸着器6を含む血漿成分吸着システムを組み立てた。次に、牛由来の血清を導入路1から導入し、ポンプ2により血漿成分吸着器6に20mL/分で送った。その後、処理前の血清及びイムソーバTR−350で処理された血清中のIgGを、実施例1と同様の方法で測定し、処理した全血清に対する除去されたIgGの割合を算出した。
(比較例3)
高密度ポリエチレン(密度0.0968g/m3、MI値5.5、商品名ハイゼックス2208J)を、外径35mm、内径27mmの円形二重紡口を用いて中空糸に紡糸した。紡糸は、紡口温度150℃、ポリマー押出量16g/分、紡糸巻取り速度200m/minで行った。得られた中空糸を115℃で2時間アニール処理した後、送りロールの回転数を調整し、延伸区間200mm、室温で1.33倍に冷延伸した。さらに3段階の熱延伸を、第1段階78℃、3倍、第2段階95℃、1.28倍、第3段階98℃、1.14倍の温度及び延伸倍率で行い、未延伸糸に対して総延伸量が480%になるようにして、ポリエチレン中空糸膜(PE)を得た。その後、ポリエチレン中空糸膜(PE)を用いた以外は実施例1と同様にして、血清のIgG除去率を算出した。
(比較例4)
実施例3で得られたポリエチレン中空糸膜に窒素雰囲気下、−78℃でγ線を200kGy照射した。この中空糸膜を、グリシジルメタクリレート(GMA)を4重量%含むメタノール溶液に40℃で10分浸漬した後、ジメチルホルムアミド(DMF)及びメタノールで洗浄した。その結果、下記(1)式で定義されるグラフト率Rが65%のGMAグラフト膜を得た。
R = (Wb−Wa)/Wa × 100 (1)
(1)式において、Waはグラフト前の中空糸の重量を示し、Wbはグラフト処理後の中空糸の重量を示す。
次に、GMAグラフト膜を、230mmol/Lの濃度でトリプトファンを含む0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、70℃で20.5時間固定化反応を行った。この後、十分水洗して、GMAグラフト膜にトリプトファンを固定した吸着部材(PE−Trp)を得た。リガンドとして固定化されたトリプトファンの量は、乾燥重量で6.44mmol/gであった。次に、実施例1と同様にしてミニモジュールを作製し、実施例1と同様にしてIgGを測定した。
実施例1、及び比較例1乃至4の結果を表1及び図3に示す。
Figure 2010235496
表1に示すように、実施例1と比較例2のトリプトファン固定化量はほぼ同様であるにもかかわらず、実施例1は、比較例1と比較例2から予想されるよりも高いIgG除去率を示した。また、実施例1は比較例4のトリプトファン固定化量の約10分の1であるにもかかわらず、IgG除去率は2倍以上であり、本発明のIgG分離器のIgG除去率が顕著に高いことが示された。
本発明のIgG分離器は、例えば、医療産業及び製薬業等で利用可能である。
1……導入路
2……ポンプ
3……IgG分離器
4……吸着部材
5……導出路
6……血漿成分吸着器
7……メッシュ
8……粒子状全多孔体

Claims (1)

  1. 血漿又は血清から免疫グロブリンGを除去する免疫グロブリンG分離器であって、
    該免疫グロブリンG分離器は、エチレンビニルアルコール系共重合体からなる中空糸膜と、
    前記中空糸膜の全膜表面に、有効膜面積2平方メートルあたり20mmol以上25mmol未満の密度で共有結合したトリプトファンと、
    を含む吸着部材を備え、
    前記吸着部材の平均内径が165μm〜185μmであり、
    前記吸着部材の平均膜厚が35μm〜45μmであって、
    有効膜面積2平方メートルあたり5Lの血清を濾過した時の前記吸着部材のアルブミン透過率が60%以上85%未満であり、
    有効膜面積2平方メートルあたり5Lの血清を濾過した時の前記吸着部材の免疫グロブリンM透過率が0.8%以上1.3%未満であり、
    導入された血漿又は血清の総てを前記吸着部材によって濾過するように構成されている、血漿又は血清から免疫グロブリンGを除去する免疫グロブリンG分離器。
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