JP2010235495A - カルボン酸の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】カルボン酸アミドを不純物として含む、粗カルボン酸水溶液からカルボン酸を製造する方法、特にニトリル化合物の加水分解反応によって得られたカルボン酸アンモニウム塩水溶液を脱塩することで得られた粗カルボン酸水溶液中に、反応副生物として含まれるカルボン酸アミドを、カルボン酸アンモニウムに変換することで、最終的に製造されるカルボン酸の品質を高くする方法を提供すること。
【解決手段】カルボン酸アミドを不純物として含む粗カルボン酸水溶液を固体酸触媒と接触させることで、前記カルボン酸アミドを加水分解し、高品質のカルボン酸水溶液を得ることが可能となる。特に、前記粗カルボン酸水溶液中に含まれる、該カルボン酸に対応するカルボン酸アンモニウム塩を少なくすることで、前記カルボン酸アミドの加水分解反応を効率的に行うことが可能となる。
【選択図】図2

Description

本発明は、カルボン酸アミドを不純物として含む粗カルボン酸水溶液からカルボン酸を製造する方法に関する。特に、本発明は、ニトリル化合物の加水分解反応によって得られたカルボン酸アンモニウム塩水溶液を脱塩することで得られた粗カルボン酸水溶液中に反応副生物として含まれるカルボン酸アミドを、カルボン酸アンモニウムに変換することで、最終的に製造されるカルボン酸の品質を高くできるカルボン酸の製造方法に関する。
カルボン酸を製造する様々な方法の中で、中間体としてカルボン酸アンモニウム塩を経由するものが幾つか知られている。例えば、カルボン酸を発酵生産する場合、発酵中のpH制御のためアンモニア水を使用すると、発酵生産で得られる物質はカルボン酸アンモニウムとなる(特許文献1)。また、ニトリル化合物を出発原料としてカルボン酸を製造する場合、ニトリラーゼ等の酵素を利用する加水分解反応で得られる物質はカルボン酸アンモニウムである(特許文献2)。また、金属触媒を使ってニトリル化合物をワンステップで加水分解し、カルボン酸アンモニウムを製造する例もある(特許文献3)。
これらのようなカルボン酸アンモニウム塩水溶液は、不純物としてカルボン酸アミドを含む場合がある。例えば、ニトリル化合物を出発原料に、微生物菌体を触媒としてカルボン酸を製造する場合、該微生物菌体中にニトリルヒドラターゼが存在するとカルボン酸アミドが生成してしまう(特許文献4)。また、微生物菌体触媒が、ニトリラーゼであっても、本来はカルボン酸アンモニウムまで変換する触媒能を有しているにも関わらず、加水分解反応の中間体であるカルボン酸アミドが副生する場合がある(非特許文献1)。更に、金属触媒を使った加水分解においても、実施例を見る限り、カルボン酸アミドの副生は避けられない(特許文献3)。
副生カルボン酸アミドの処理方法についても、様々な方法が知られている。例えば、カルボン酸とアンモニアとの反応によるカルボン酸アミドの生成を防ぎながら、カルボン酸アミドを熱分解する方法が示されている(特許文献5)が、共沸溶媒の使用と共沸条件温度が必須であり、工程が複雑になる問題があった。
また、別法として、カルボン酸アミドを加水分解するのに酸性触媒を用いる方法が示されているが、必ず酸性触媒のアンモニウム塩が生成するため、前記アンモニウム塩を廃棄物としないためには、電気透析等の方法を使って再生させる必要があり煩雑であった。(特許文献6)更にアルカリ金属塩等のアルカリ触媒を用いて、カルボン酸アミドを加水分解する方法が示されている(特許文献6)が、生成されるカルボン酸金属塩を脱塩する工程も必要であり、更なる簡素化が望まれていた。
特開2007−124931号公報 特開2005−504506号公報 特開2006−522755号公報 特開2004−81169号公報 EP1385593 特開平8−245495号公報
Adv. Synth. Catal.,348,2597-2603(2006)
本発明の課題は、カルボン酸アミドを不純物として含む粗カルボン酸水溶液からカルボン酸を製造する方法を提供することにある。本発明の課題は特に、ニトリル化合物の加水分解反応によって得られたカルボン酸アンモニウム塩水溶液を脱塩することで得られた粗カルボン酸水溶液中に、反応副生物として含まれるカルボン酸アミドを、カルボン酸アンモニウムに変換することで、最終的に製造されるカルボン酸の品質を高くできるカルボン酸の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、カルボン酸アミドを不純物として含む粗カルボン酸水溶液からカルボン酸を製造するに当たり、該カルボン酸アミドを低減させる方法について、鋭意検討を行ったところ、驚くべきことに、該粗カルボン酸水溶液を固体酸触媒と接触させることで、前記カルボン酸水溶液中に存在するカルボン酸アミドが、触媒的に加水分解される現象を見出した。この知見に基づいて、本発明者らは、更に前記カルボン酸アミドの加水分解について検討を重ねたところ、前記粗カルボン酸水溶液中に含まれる、該カルボン酸に対応するカルボン酸アンモニウム塩が少ないほど、前記カルボン酸アミドの加水分解反応が効率的に進むことを見出し、また、そのようにして得られた、カルボン酸水溶液の品質が非常に高いことを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は以下に記載する通りの構成を有する。
(1) カルボン酸アミドを含む粗カルボン酸水溶液を固体酸触媒と接触させることによって該カルボン酸アミドを加水分解する工程を含む、カルボン酸の製造方法。
(2) カルボン酸アミドを含む粗カルボン酸アンモニウム塩水溶液を脱塩した後、固体酸触媒と接触させることによって該カルボン酸アミドを加水分解する工程を含む、カルボン酸の製造方法。
(3) 該カルボン酸アミドを加水分解する工程において、該カルボン酸アミドを500[重量ppm/カルボン酸]以下に低減させる、(1)又は(2)に記載のカルボン酸の製造方法。
(4) 前記粗カルボン酸水溶液が対応するニトリル化合物の加水分解反応によって得られたものである、(1)から(3)の何れかに記載のカルボン酸の製造方法。
(5) 前記ニトリル化合物の加水分解を、ニトリラーゼ、及び/又はニトリルヒドラターゼとアミダーゼの組み合わせによって酵素触媒的に行う、(4)に記載のカルボン酸の製造方法。
(6) 前記ニトリル化合物の加水分解が、ニトリラーゼによって行われる、(4)に記載のカルボン酸の製造方法。
(7) 前記ニトリラーゼが、Acinetobacter属由来である、(5)または(6)に記載のカルボン酸の製造方法。
(8) 前記Acinetobacter属が、Acinetobacter sp.AK226である、(7)に記載のカルボン酸の製造方法。
(9) 前記固体酸触媒が、ゼオライト、強酸性陽イオン交換樹脂、ヘテロポリ酸塩、及び層状金属酸化物からなる群から選択される一種以上である、(1)から(8)のいずれか1項に記載のカルボン酸の製造方法。
(10) 前記固体酸触媒が強酸性陽イオン交換樹脂であって、カルボン酸アミドを加水分解する工程において、使用する固体酸触媒により、該カルボン酸アミドの加水分解反応でカルボン酸アンモニウム塩を生成させると同時に、該カルボン酸アンモニウム塩をカルボン酸へ変換させるとともに不純物カチオンを除去する、(1)から(9)のいずれか1項に記載のカルボン酸の製造方法。
(11) 前記カルボン酸を製造する工程の後、アニオン交換樹脂によって不純物アニオンを除去する工程をさらに含む、(10)に記載のカルボン酸の製造方法。
(12) 前記カルボン酸を製造する工程の後、アニオン交換樹脂によって不純物アニオンを除去する工程と、カチオン交換樹脂によって不純物カチオンを除去する工程とをさらに含む、(10)に記載のカルボン酸の製造方法。
(13) 前記カルボン酸が、α−ヒドロキシ酸である、(1)から(12)のいずれか1項に記載のα−ヒドロキシ酸の製造方法。
(14) 前記α−ヒドロキシ酸が、乳酸またはグリコール酸である、(13)に記載のα−ヒドロキシ酸の製造方法。
(15) 前記α−ヒドロキシ酸が、グリコール酸である、(13)に記載のα−ヒドロキシ酸の製造方法。
(16) (13)から(15)のいずれか1項に記載の方法で得られたα−ヒドロキシ酸の水溶液を原料としてα−ヒドロキシ酸オリゴマーを合成する工程と、前記α−ヒドロキシ酸オリゴマーを解重合させてその環状二量体エステルを得る工程と、を含む、環状二量体エステルの製造方法。
(17) (16)に記載の方法で得られた環状二量体エステルを原料として開環重合反応でポリα−ヒドロキシ酸を得る工程を含む、ポリα−ヒドロキシ酸の製造方法。
本発明は、カルボン酸アミドを不純物として含む粗カルボン酸水溶液からカルボン酸を製造する方法を提供できる。特に、本発明は、ニトリル化合物の加水分解反応によって得られたカルボン酸アンモニウム塩水溶液を脱塩することで得られた粗カルボン酸水溶液中に、反応副生物として含まれるカルボン酸アミドを、カルボン酸アンモニウムに変換することで、最終的に製造されるカルボン酸の品質を高くできるカルボン酸の製造方法を提供できる。
図1は、本発明に使用する代表的な電気透析装置の膜構造の一例を示す概要図である。 図2は、本発明におけるカルボン酸の製造法の、一例を示す製工程図である。 図3は、本発明におけるカルボン酸の製造法の、他の一例を示す製造工程図である。 図4は、本発明におけるカルボン酸の製造法の、他の一例を示す製造工程図である。 図5は、実施例1〜4および比較例1〜3の経時変化の結果を示す。 図6は、実施例18における破過曲線の結果を示す。
1 ニトリル化合物供給ライン
2 加水分解反応混合液供給ライン
3 電気透析工程酸室回収カルボン酸混合液供給ライン
4 電気透析工程塩基室アンモニア混合液回収ライン
5 電気透析工程塩基室アンモニア混合液循環ライン
6 電気透析工程塩基室アンモニア混合液分離回収ライン
7 アミド分解反応後カルボン酸混合液供給ライン
8 アニオン交換精製工程後カルボン酸混合液供給ライン
9,15,19 アニオン交換精製工程洗浄液および再生・逆再生液回収ライン
10 カチオン交換精製工程後カルボン酸混合液回収ライン
11 カチオン交換精製工程洗浄液および再生・逆再生液回収ライン
12 αカチオン交換後カルボン酸混合液供給ライン
13 αカチオン交換後洗浄液および再生・逆再生液回収ライン
14,18 アニオン交換精製工程後カルボン酸混合液回収ライン
16 βカチオン交換後カルボン酸混合液供給ライン
17 βカチオン交換後洗浄液および再生・逆再生液回収ライン
以下本発明について具体的に説明する。
本発明において、カルボン酸、カルボン酸アミド、カルボン酸アンモニウムの3つに共通するカルボン酸は特に制限されず、広い範囲の化合物から選択できる。代表的なカルボン酸は、式RCOOHで表すことができる。(式中、Rは水素原子、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基等を示し、これらの基はさらに置換基を有していてもよい)。前記カルボン酸には、ジカルボン酸、トリカルボン酸等のポリカルボン酸類も含まれる。すなわち、前記脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基は一価の基に限らず、二価以上の多価基であってもよい。
前記脂肪族炭化水素基には、飽和炭化水素基、例えば、具体的には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル等の炭素数1〜12(好ましくは1〜6)程度のアルキル基や不飽和炭化水素基、例えば、具体的には、ビニル、アリル、1−プロペニル、イソプロペニル、2−ブテニル等の炭素数2〜12程度のアルケニル基やエチニル、2−プロピニル等の炭素数2〜12程度のアルキニル基、及び炭素数2〜12程度のアルキレン基等が含まれる。
脂環式炭化水素基には、例えば、具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル等の炭素数3〜10程度のシクロアルキル基や、これらに対応するシクロアルキレン基等が含まれ、芳香族炭化水素基としては、例えば、具体的には、フェニル、ナフチル等の炭素数6〜14程度のアリール基やこれらに対応するアリーレン基等を挙げることができる。
複素環基としては、例えば、具体的には、窒素、酸素、硫黄原子から選択された少なくとも一つの原子をヘテロ原子として含む複素環基を挙げることができる。前記複素環基は、芳香族性複素環基、非芳香族性複素環基、縮合複素環基のいずれであってもよい。複素環基としては、例えば、具体的には、フリル、チエニル、ピロリル、ピロリジニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピペリジノ、モルホリノ、モルホルニル、キノリル基等を挙げることができる。
Rで示されるこれらの基は、更に、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル等の炭素数1〜5のアルキル基等)、アリール基(フェニル、トリル、キシリル、クロロフェニル、メトキシフェニル、ナフチル等の炭素数6〜14のアリール基等)、エーテル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ等の炭素数1〜5のアルコキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ等の炭素数6〜14のアリールオキシ基等)、メルカプト基、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ等の炭素数1〜5のアルキルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ等の炭素数6〜14のアリールチオ基等)、カルボキシル基、エステル基(例えば、メトキシカルボニル等の炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、アセトキシ等の炭素数2〜12等のアシルオキシ基等)、アシル基(例えば、アセチル、ベンゾイル等の炭素数2〜12のアシル基等)、アミノ基、モノまたはジ置換アミノ基(例えば、メチルアミノ、ジメチルアミノ等のモノまたはジ−置換で炭素数1〜5のアルキルアミノ基等)、ニトロ基等の置換基を有していてもよい。上記の中でも特に好ましくは、α−ヒドロキシカルボン酸を挙げることができる。
脂肪族カルボン酸には、例えば、炭素数2〜6の飽和または不飽和カルボン酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸等の飽和カルボン酸類、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等の飽和ジカルボン酸類、アクリル酸、メタクリル酸、アリル酢酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸類)等が含まれる。
脂環式カルボン酸には、例えば、炭素数4〜10のカルボン酸(シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸等)等が含まれる。
芳香族カルボン酸には、例えば、安息香酸、o−、m−及びp−クロロ安息香酸、o−、m−及びp−フルオロ安息香酸、o−、m−及びp−ニトロ安息香酸、o−、m−及びp−トル安息香酸、2,4−ジクロロ安息香酸、p−メトキシ安息香酸、α−ナフテン酸、β−ナフテン酸等の芳香族モノカルボン酸類、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸類が含まれる。芳香族カルボン酸類には、例えば、フェニル酢酸、p−ヒドロキシフェニル酢酸、p−メトキシフェニル酢酸等のアラルキル基を有するカルボン酸も含まれる。
複素環式カルボン酸には、窒素、酸素、硫黄原子から選択された少なくとも一つの原子をヘテロ原子として含む5または6員環を含む複素環基を有するカルボン酸、例えば、2−チオフェンカルボン酸、2−フロ酸等のヘテロ原子として硫黄または酸素原子を有する複素環式カルボン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、ピラジンカルボン酸、ピペリジンカルボン酸等のヘテロ原子として窒素原子を有するカルボン酸、インドールカルボン酸等の縮合複素環式カルボン酸等が含まれる。
前記Rで示される脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基または複素環基が置換基を有するカルボン酸には、例えば、アミノ酸化合物、ヒドロキシ酸化合物等が含まれる。アミノ酸化合物としては、例えば、グリシン、α−アミノプロピオン酸、α−アミノ酪酸等のα−アミノ酸、3−アミノプロピオン酸等のβ−アミノ酸等を挙げることができる。ヒドロキシ酸化合物としては、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、γ−ヒドロキシ酸等が含まれる。ヒドロキシ酸化合物の炭素数は、例えば2〜18、好ましくは、2〜8程度がよい。
α−ヒドロキシ酸化合物としては、例えば、下記式(Ia)
Figure 2010235495
[式中、R1、R2は、同一もしくは異種の、水素原子、または置換基を有してもよい炭化水素基を示し、R1とR2は隣接する炭素原子と共に環を形成していてもよい。] で表される化合物を例示することができる。
前記R1、R2およびR1、R2が有してもよい置換基としては、上記Rについての説明箇所で述べた、水素原子、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基およびこれらの基が有していてもよい置換基等が挙げられる。例えば、上記Rの説明箇所で述べた炭素数1〜12程度のアルキル基、炭素数2〜12程度のアルケニル基、炭素数2〜12程度のアルキニル基、炭素数3〜10程度のシクロアルキル基、炭素数6〜14程度のアリール基、およびフェニルメチル、1−フェニルエチル、3−フェニルプロピル等の炭素数7〜10程度のアラルキル基等が含まれる。
R1とR2が隣接する炭素原子と共に環を形成する場合の、前記環の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル環等の炭素数3〜8程度のシクロアルカン環等を挙げることができる。
α−ヒドロキシ酸化合物としては、例えば、具体的には、グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、2−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−4−メチル酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−ブテン酸、2−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシヘキサン酸、2−ヒドロキシオクタン酸等の脂肪族α−ヒドロキシ酸、2−ヒドロキシ−シクロヘキサンカルボン酸、α−ヒドロキシシクロペンタンカルボン酸、α−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸等の脂環式α−ヒドロキシ酸、マンデル酸、2−ヒドロキシ−3−フェニル酪酸等の芳香族α−ヒドロキシ酸等を挙げることができる。
前記β−ヒドロキシ酸化合物としては、例えば、具体的には、3−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシヘキサン酸、2−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパン酸等を挙げることができる。
また、γ−ヒドロキシ酸化合物としては、例えば、具体的には、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシヘキサン酸、3−ヒドロキシヘキサンカルボン酸、4−ヒドロキシ−4−フェニル酪酸等を挙げることができる。
本発明で用いるカルボン酸アミドを含む粗カルボン酸水溶液は、如何なる方法で製造されたものでも構わないが、通常はニトリル化合物を原料とした、加水分解反応で生成したカルボン酸アンモニウム塩水溶液を脱塩することで得られる。ここで挙げたニトリル化合物とは、上記で説明した各種カルボン酸類の、それに対応するニトリル化合物と定義できる。つまり、代表的な前記ニトリル化合物は、式RCNで表すことができる。(式中、Rは上記カルボン酸RCOOHでの定義と全く同じなのでここでは省略する。)
好ましいニトリル化合物は、α−シアンヒドリン化合物であり、例えば、下記式(Ib)
Figure 2010235495
[式中、R1、R2は、同一もしくは異種の、水素原子、または置換基を有してもよい炭化水素基を示し、R1とR2は隣接する炭素原子と共に環を形成していてもよい。] で表される化合物を例示することができる。ここでのR1、R2の具体例についても、上記、α−ヒドロキシ酸と全く同一なので、ここでは省略する。
更に好ましいニトリル化合物は、グリコロニトリル、ラクトニトリル等の炭素数の少ないα−シアンヒドリン化合物である。
本発明においては、カルボン酸アミドを含む粗カルボン酸水溶液中の該カルボン酸アミドを加水分解することが必須要件であるため、該粗カルボン酸水溶液に、カルボン酸アミドが含まれていることが前提となる。そこで、先ず、上記ニトリル化合物の加水分解反応でカルボン酸アンモニウム塩水溶液を調製する時に、副生成物として、カルボン酸アミドが副生する反応方法について、様々な例を挙げて説明する。
例えば、具体的には、金属触媒を用いてニトリル化合物を加水分解する方法を挙げることができる。(前記特許文献6)加水分解反応は、中間体であるカルボン酸アミドを経由するので、カルボン酸アミドが残存する場合がある。
別の例として、ニトリル化合物を原料に、ニトリラーゼあるいは、ニトリルヒドラターゼとアミダーゼの組み合わせを用いてカルボン酸アンモニウム塩を製造する方法を挙げることができる。ここで、ニトリラーゼはニトリル化合物を直接カルボン酸アンモニウムに、ニトリルヒドラターゼはニトリル化合物をカルボン酸アミドに、アミダーゼはカルボン酸アミドをカルボン酸アンモニウムに、それぞれ変換する酵素である。
上記ニトリラーゼ、ニトリルヒドラターゼ、またはアミダーゼ酵素は、反応時の副生成物としてカルボン酸アミドが含まれていること以外は、特に限定されることはなく、如何なるものでも使用でき、例えば、微生物・動植物細胞に由来するものや、遺伝子情報に基づいて人工的に合成したものを使用することができるが、重量当たりの酵素発現量や取り扱いの容易性から、微生物菌体に由来するものが好ましく用いられる。微生物種としては、多くのものが知られているが、例えば、ニトリラーゼ高活性を有するものとして、Rhodococcus属、Pseudomonas属、Acinetobacter属、Alcaligenes属、Corynebacterium属等が挙げられる。また、ニトリルヒドラターゼおよびアミダーゼ高活性を有するものとして、Rhodococcus属、Pseudomonas属等が挙げられる。本発明に係わるカルボン酸アンモニウム塩水溶液の製造には、特にニトリラーゼ高活性を有するものが好ましく、特にグラム陰性菌であるAcinetobacter属が好ましく、更に好ましくはAcinetobacter sp.AK226(FERM BP-08590)である。
[寄託された生物材料への言及1]
1)寄託機関の名称およびあて名
2)独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター
日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6(郵便番号305-8566)
3)受託番号
FERM BP-08590
また前記ニトリラーゼは、例えば、天然のあるいは人為的に改良されたニトリラーゼ遺伝子を遺伝子工学的手法によって組み込んだ微生物、あるいはそこから取り出したニトリラーゼ酵素であっても構わない。尚、ニトリラーゼの発現量の少ない微生物あるいはニトリル化合物からカルボン酸アンモニウムへの変換活性の低いニトリラーゼを発現した微生物を少量用いて、カルボン酸アンモニウム塩を製造するには、より多くの反応時間を要する。そのため、可能な限りニトリラーゼを高発現した微生物や変換活性の高いニトリラーゼを発現した微生物、あるいは、そこから取り出したニトリラーゼ酵素を用いることが望ましい。
上記酵素触媒の形態としては、微生物・動植物細胞等をそのまま用いても構わないし、あるいは該微生物・動植物細胞等そのもの、または破砕等の処理をしたもの、または該微生物・動植物細胞等から必要なニトリラーゼ酵素を取り出したものをそのまま用いても構わないし、或いは一般的な包括法、架橋法、担体結合法等で固定化したものを用いても良い。尚、固定化する際の固定化担体の例としては、ガラスビーズ、シリカゲル、ポリウレタン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、カラギーナン、アルギン酸、光架橋樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
微生物・動植物細胞等をそのまま用いる場合、水(蒸留水及び又はイオン交換水)のみに懸濁させても構わないが、通常、浸透圧の関係からバッファー液に懸濁させて使用する。この場合のバッファーとしてはリン酸バッファー等の一般的な無機塩でも構わないが、不純物の混入を極力低減するには、反応生成物であるカルボン酸アンモニウム塩を用いるのが最も好ましい。また、固定化したものを用いる場合にも、通常、浸透圧の関係からバッファー液に懸濁させて使用する。この時のバッファー液濃度は、反応液中の不純物低減の観点からは低ければ低いほど良いが、酵素の安定性、活性の維持という観点からは、通常0.1M未満であり、好ましくは0.01〜0.08M、より好ましくは0.02〜0.06Mである。
ニトリル化合物の加水分解反応の条件は、pHは6〜8がよく、好ましくは6.5〜7がよい。特に原料がα−シアンヒドリン化合物の場合、該α−シアンヒドリン化合物は非常に不安定な物質であるため、通常、安定剤として硫酸やリン酸或いは有機酸といった酸成分を含む。よって、反応系中のpHを調整するには反応系へのアルカリの添加が必須となる。その場合使用するアルカリは反応に影響を及ぼさなければ特に限定されないが、生成物の一つであるアンモニアを使用するのが望ましい。アンモニアの形態はガスであっても、アンモニア水であってもよいが、通常、取り扱いの容易さからアンモニア水が望ましい。
前記ニトリル化合物の加水分解の反応温度については、反応温度が低すぎると反応活性が低くなり、高濃度のカルボン酸アンモニウム塩を製造する場合、より多くの反応時間を要する。一方、反応温度が高すぎると酵素の熱劣化で、目的とするカルボン酸アンモニウム塩の濃度が高い場合、該濃度まで到達させることが困難となり、結果として新たな酵素の追添等の処置が必要となり触媒コストが高くなる。また、特に、原料がα−シアンヒドリン化合物の場合、温度が高すぎると、基質α−シアンヒドリン化合物の青酸とアルデヒド類或いはケトン類への分解促進にも繋がり、それらによる反応阻害や失活等、ますますの反応活性低下を引き起こす。よって、通常、反応温度は30〜60℃がよく、好ましくは40〜50℃である。
カルボン酸アンモニウム塩を製造する反応方法は、固定床、移動層、流動層、撹拌槽等、いずれでもよく、また連続反応でも半回分反応でもよいが、特に固定化されていない微生物菌体を用いる場合、反応の容易性から攪拌槽を用いた半回分反応がよい。その場合、反応効率の観点から、適切な攪拌を行うのがよい。また、半回分反応を行う場合、酵素触媒は1バッチ使い捨てでもよいし、繰り返し反応を行ってもよい。但し、繰り返し反応を行う場合、該酵素触媒をカルボン酸アンモニウム高濃度から低濃度へ急激に変化させるため、浸透圧の影響等で比活性が低下する場合があるので注意を要する。
反応基質であるニトリル化合物の定常濃度については、2重量%以下が好ましく、より好ましくは0.1〜1.5重量%、更に好ましくは0.1〜1.0重量%、最も好ましくは0.2〜0.5重量%にコントロールするのがよい。ニトリル化合物の濃度が高すぎると、生成物阻害および/または失活、或いは高生成物蓄積濃度で初めて顕著となる基質阻害および/または失活の影響が急激に大きくなり、それまで進行していた反応が停止してしまう場合がある。また、ニトリル化合物の濃度が低すぎると反応速度を低下させることとなり、効率的にカルボン酸アンモニウム塩を製造できないので不利である。以上の理由から、反応中のニトリル化合物定常濃度を管理することは非常に重要である。
製造されるカルボン酸アンモニウム塩に対する使用乾燥酵素触媒重量は、基質の種類によって変化し、必ずしも限定されないが、通常1/100以下がよく、好ましくは1/100〜1/200、より好ましくは1/200〜1/300、更に好ましくは1/300〜1/500である。製造されるカルボン酸アンモニウム塩に対する使用乾燥酵素触媒重量が多すぎると該酵素触媒懸濁液由来の不純物が反応液中に多く同伴されるため精製コストが上がり、製品品質が低下するので好ましくない。逆に、製造されるカルボン酸アンモニウム塩に対する使用乾燥酵素触媒重量が少なすぎるとリアクターボリューム当たりの生産性が低下し、大きなリアクターサイズが必要となり経済的に不利となる。
以上のような方法で調製されたカルボン酸アンモニウム塩は、菌体あるいはその処理物を濾過、遠心分離、MF処理等の方法で除去し、カルボン酸アンモニウム塩水溶液を得る。更に、着色物質および/または着色原因物質を除去する目的で適時活性炭処理を行っても良い。使用する活性炭は一般的な椰子殻活性炭或いは合成活性炭或いはその他でも構わない。活性炭使用量は、着色物質および/または着色原因物質を目的スペックまで低減できる量であればよい。
また、ニトリル化合物の加水分解反応以外の方法で調製された粗カルボン酸アンモニウム塩水溶液であっても、不純物としてカルボン酸アミドを含有する場合が考えられる。それは、カルボン酸アミドからカルボン酸アンモニウムへの変換反応が平衡反応であるため、条件によっては、逆反応によってカルボン酸アンモニウムからカルボン酸アミドへの変換反応が、ごくわずか進行する可能性があるからである。前記ニトリル化合物の加水分解反応以外の方法としては、例えば、発酵による乳酸やコハク酸の製造において、pH調整剤としてアンモニアを用いる例がある。
次にカルボン酸アミドを含む粗カルボン酸アンモニウム塩水溶液を、脱塩することで、カルボン酸アミドを含む粗カルボン酸水溶液を製造する工程について説明する。
カルボン酸アミドを含む粗カルボン酸アンモニウム塩水溶液を、脱塩する方法については、特に限定されることはなく、様々な方法を挙げることができるが、例えば、代表例として(i)イオン交換法と(ii)電気透析法 の2つを挙げて説明する。
カルボン酸アミドを含む粗カルボン酸アンモニウム塩水溶液をイオン交換法によって脱塩する方法としては大きく分けて2つある。一つはカチオン交換樹脂を用いる方法であり、もう一つはアニオン交換樹脂を用いる方法である。前記のカチオン交換樹脂を用いる方法の場合、使用する樹脂は強酸性陽イオン交換樹脂であっても、弱酸性陽イオン交換樹脂であっても構わないが、好ましくは強酸性陽イオン交換樹脂がよい。具体的には、例えば、ダイヤイオンSK1B、同SK104、同SK110、同SK112、同SK116、同PK208、同PK212、同PK216、同PK220、同PK228、同UBK530、同UBK550、同UBK535、同UBK555(以上三菱化学社製)、レバチットS100、同S109、同、SP112、同STV40、同MSD1368(以上ランクセス社製)、アンバーライトIR120B、同120BN、同IR124、同1006F、同200CT、同252(以上オルガノ社製)、ダウエックス モノスフィア650C、同マラソンC、同HCR−S、同マラソンMSC(以上ダウケミカル・カンパニー社製)等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。これらのカチオン交換樹脂は、通常の方法で、予めプロトン(H+)型に再生処理してから使用する。
本発明におけるカチオン交換樹脂の使用方法としては、通常の方法が採用される。即ち、上記カルボン酸アミドを含む粗カルボン酸アンモニウム塩水溶液に所定量のカチオン交換樹脂を添加するバッチ式でもよいし、あるいはまた、該カチオン交換樹脂を樹脂塔に充填して、前記カルボン酸アミドを含む粗カルボン酸アンモニウム塩水溶液を通液するカラム法を採用することもできる。バッチ式の場合は、該カルボン酸アンモニウムのアンモニウムイオンの該カチオン交換樹脂への平衡吸着に達するのに十分な時間の撹拌を行った後、上澄みを回収すれば粗カルボン酸水溶液を得ることができる。また、カラム法の場合は、カラム出口よりアンモニウムイオンの漏れ出しが起こるまでの樹脂通過液が、粗カルボン酸水溶液となる。因みにカラム法の通液方向は、アップフローでもダウンフローでも構わない。
カチオン交換樹脂の使用量は、樹脂の総交換容量がアンモニウムイオンと当量以上に相当する樹脂量は必須であり、更に確実にアンモニウムイオンを除去するためには、通常1.2倍当量以上の樹脂を使用するのがよい。また、更にカラム法の場合、樹脂の破過、樹脂の再生を行うまでの時間を長くとるために、より過剰の樹脂を使用することは通常行われることである。
樹脂処理時の温度は常温でもよいが、必要であれば樹脂の耐熱性が保証される範囲で加温しても構わない。通常は70℃以下で行われる。また、カラム法の場合、通液速度は空間速度[L/L−樹脂/Hr]で1〜20の範囲、好ましくは2〜10の範囲がよい。
カラム法の場合、樹脂通過液にアンモニウムイオンがスペック以上の混入が確認される点を破過点とし、そこから通常の洗浄、再生操作 (例えば希塩酸、希硫酸等の鉱酸による再生)を行えば、樹脂は繰り返し使用が可能である。
また、前記のアニオン交換樹脂を用いる方法の場合、使用する樹脂は強塩基性アニオン交換樹脂であっても、中塩基性アニオン交換樹脂であっても、弱塩基性アニオン交換樹脂であっても構わないが、好ましくは弱塩基性或いは中塩基性アニオン交換樹脂がよい。具体的には、例えば、アンバーライトIRA−93(オルガノ社製)、ダイヤイオンWA20、同WA30(以上三菱化学社製)、レバチットMP64(ランクセス社製)等が挙げられる。
本発明におけるアニオン交換樹脂の使用方法としては、通常の方法が採用される。即ち、上記カルボン酸アミドを含む粗カルボン酸アンモニウム塩水溶液に所定量のアニオン交換樹脂を添加するバッチ式でもよいし、或いはまた、該アニオン交換樹脂を樹脂塔に充填して、該カルボン酸アミドを含む粗カルボン酸アンモニウム塩水溶液を通液するカラム法を採用することもできる。バッチ式の場合は、カルボン酸アニオンの該アニオン交換樹脂への平衡吸着に達するのに十分な時間の撹拌を行った後、該樹脂を回収・洗浄した後、鉱酸(塩酸、硫酸、硝酸等)で処理すれば粗カルボン酸水溶液を得ることができる。また、カラム法の場合は、カラム出口よりカルボン酸アニオンの漏れ出しが起こった後、更に十分量のカルボン酸アミドを含む粗カルボン酸アンモニウム塩水溶液を通液し、出口液が入口液と同組成になるまで通液を継続することで、最大量のカルボン酸アニオンを樹脂に吸着させる。その後、十分な洗浄を行った後、鉱酸(塩酸、硫酸、硝酸等)を通液することで前記カルボン酸アニオンを脱着させ、粗カルボン酸水溶液を得ることができる。
樹脂処理時の温度は常温でもよいが、必要であれば樹脂の耐熱性が保証される範囲で加温しても構わない。通常は70℃以下で行われる。また、カラム法の場合、通液速度は空間速度[L/L−樹脂/Hr]で1〜20の範囲、好ましくは2〜10の範囲がよい。
カラム法の場合、鉱酸によるカルボン酸アニオンの脱着操作時の樹脂通過液に鉱酸アニオンがスペック以上の混入が確認される点を破過点とし、更に出口液が入口液と同組成になるまで通液を継続した後、そこから通常の洗浄、再生操作 (例えば水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等の強アルカリ水溶液による再生)を行えば、樹脂は繰り返し使用が可能である。
次に前記得られたカルボン酸アミドを含む粗カルボン酸アンモニウム塩水溶液を電気透析法によって脱塩する方法としては大きく分けて3つある。一つはバイポーラ膜と陽イオン交換膜とを交互に配列し、酸室と塩基室を形成させた二室式水分解電気透析装置を用いてカルボン酸アミドを含む粗カルボン酸アンモニウム塩水溶液中のアンモニウムイオンに陽イオン交換膜中を移動させる方法であり、もう一つはバイポーラ膜と陰イオン交換膜とを交互に配列し、酸室と塩基室を形成させた二室式水分解電気透析装置を用いてカルボン酸アミドを含む粗カルボン酸アンモニウム塩水溶液中のカルボン酸アニオンに陰イオン交換膜中を移動させる方法であり、更にもう一つはバイポーラ膜と陽イオン交換膜と陰イオン交換膜と順番に配列し、原料室と酸室と塩基室を形成させた三室式水分解電気透析装置を用いて、カルボン酸アミドを含む粗カルボン酸アンモニウム塩水溶液中のアンモニウムイオンに陽イオン交換膜中をカルボン酸アニオンに陰イオン交換膜中を移動させる方法である。これらのどの方法でも構わないが、得られる粗カルボン酸水溶液の品質と電気効率の観点から、バイポーラ膜と陽イオン交換膜とを交互に配列し、酸室と塩基室を形成させた二室式水分解電気透析装置を用いてカルボン酸アミドを含む粗カルボン酸アンモニウム塩水溶液中のアンモニウムイオンに陽イオン交換膜中を移動させる方法が好ましい。
本発明におけるバイポーラ膜としては、従来公知のバイポーラ膜、すなわち陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とを貼り合わせた構造を有するバイポーラ膜を使用できる。具体的には、例えば、ネオセプタBP−1(株式会社アストム製)を挙げることができる。その他陽イオン交換膜としては、ネオセプタCMB(株式会社アストム製)、陰イオン交換膜としては、ネオセプタAHA(株式会社アストム製)を挙げることができる。
本発明における電気透析工程の一例としてバイポーラ膜と陽イオン交換膜からなる二室法について説明する。本法においては、粗カルボン酸水溶液を酸室より回収し、アンモニア水溶液を塩基室より回収する。図1は、本法において使用される水分解電気透析装置の代表的な様態の概略図を示すものである。即ち図1において、水電気分解透析装置は、陽電極1および陰電極2の間に、膜としてバイポーラ膜(B)3、陽イオン交換膜(C)4の2種類が交互に配列され、酸室7および塩基室8の二室が形成されている。バイポーラ膜(B)3と陽電極1との空隙5、およびバイポーラ膜(B)3と陰電極2の空隙6には電極液が満たされている。ここで、バイポーラ膜(B)3の陰イオン交換体側と陽イオン交換膜(C)4の間の室が塩基室8、バイポーラ膜(B)3の陽イオン交換体側と陽イオン交換膜(C)4の間の室が酸室7となる。
本発明において、上記公知の水分解電気透析装置を使用した水分解電気透析工程は、酸室7、塩基室8のそれぞれの室に供給する液の外部タンクを設けて、それぞれの室と外部タンクとの間で液を循環させながら電気透析を行う方法が好ましく用いられる。原料であるカルボン酸アミドを含む粗カルボン酸アンモニウム塩水溶液を酸室7に供給し、通電を行うことでアンモニウムイオンは、陽イオン交換膜(C)4を通過して塩基室8に移動し、このときバイポーラ膜(B)3から生成したOH-イオンと結合してアンモニア水溶液となる。また、酸室7ではバイポーラ膜から生成したプロトンとカルボン酸アニオンが結合して非解離性のカルボン酸となり、そのまま酸室7に留まり回収することができる。水分解電気透析時の温度は、通常5〜70℃、好ましくは20〜50℃で行われる。
次にカルボン酸アミドを含む粗カルボン酸水溶液を、固体酸触媒と接触させて、該カルボン酸アミドを低減する工程について説明する。
本発明で用いる固体酸触媒は、粗カルボン酸水溶液中に存在するカルボン酸アミドを効率よく、好ましくない副生成物を生じることなく加水分解することができるものであれば如何なるものでも構わないが、例えば、ゼオライト、強酸性陽イオン交換樹脂、ヘテロポリ酸塩、層状金属酸化物等を挙げることができる。
上記ゼオライトとしては、例えば、具体的には、国際ゼオライト協会コード名FAU(X、Y型ゼオライト)、MFI(シリカライト、ZSM−5)、MOR(モルデナイト)、MAZ(オメガ)、BEA(ベータ)、FER(フェリエライト)、LTA(A型ゼオライト)、GIS(B型ゼオライト)を有するものおよびその他のものが含まれる。
一般に、ゼオライトの結晶構造中のSiO2とAl23のモル比は少なくとも5 :1〜
無限大であるが、好ましくはゼオライト構造中のSiO2とAl23のモル比は8:1〜200:1、より好ましくは12:1〜100:1の範囲である。好ましいゼオライトは、一般に直径が4Å(オングストローム)を超える中ないし大の細孔を有するものである。最も好ましいゼオライトは、たとえば直径6Åを超える大細孔径を有するものであり、例えば、Y型ゼオライトおよびモルデナイトが含まれる。適当なゼオライトは、幅広い種類および範囲のゼオライト生成物を販売しているZeolyst Internationalなどの会社から市販されている。
また、上記強酸性陽イオン交換樹脂としては、例えば、スルホン酸基で官能化された、スチレンとジビニルベンゼンのスルホン化コポリマーを挙げることができる。一般的には、スチレン/ジビニルベンゼンコポリマーの主成分はスチレンであり、副成分はジビニルベンゼンであって、スチレンがコポリマーの75〜98重量%以上を占め、ジビニルベンゼンはスチレン/ジビニルベンゼンコポリマーの2重量%未満〜25重量%を占める。適当な市販されている強酸性陽イオン交換樹脂は、例えば、具体的には、ダイヤイオンSK104、SK1B、SK110、SK112、UBK08、UBK10、UBK12、PK208、PK212、PK216、PK218、PK220、PK228等(以上三菱化学またはその関連会社製)、アンバーライトIR120B、IR124、200CT、252、アンバージェット1020、1024、アンバーリスト15、16、31等(以上オルガノ社製)、ダウエックス50W等(ダウ・ケミカル社製)等を挙げることができる。また、更に酸性度の高い陽イオン交換樹脂として、ナフィオン等(デュポン社製)を挙げることもできる。
また、上記ヘテロポリ酸塩としては、必ずしも限定されないが、例えば、ヘテロポリ酸セシウム塩、ヘテロポリ酸カリウム塩、ヘテロポリ酸ルビジウム塩およびヘテロポリ酸アンモニウム塩より成る群から選ばれる。該ヘテロポリ酸塩は下記式で示される。H+ p+ q[XY1240n-+ p+ q[X21862n-+ p+ q[XY624n-ここで、Xは、H、B、C、Na、Al、Si、P、S、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Zr、Rh、Sn、Sb、Te、I、Re、Pt、Bi、Ce、Th、U及びNpより成る群から選ばれ、Yは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Tc、Rh、Cd、In、Sn、Ta、W、Re、Tl及びPbより成る群から選ばれ、Zは、Ce、K、Rb及びNH4より成る群から選ばれる。また、nは2〜5であり、p+q=nである。上記式中、Yが定まれば、Xはそれに対応する原子として定められる。これらのヘテロポリ酸塩のうち、セシウム塩、ルビジウム塩が好ましく、とりわけセシウム塩が好ましい。
前記ヘテロポリ酸部分は、必ずしも限定されないが、好ましくは下記式(H+ n)[XY1240n- で示されるものから選ばれる。ここで、Xは、S、P、As、SiまたはGeであり、Yは夫々独立して、Mo、W、NbおよびVより成る群から選ばれる。nは電荷を補う数であり、好ましくは2〜5、より好ましくはで3〜4あり、更に好ましくは3である。ヘテロポリ酸としては、より好ましくは12-タングストリン酸、12-タングストケイ酸、12-モリブドリン酸、12-モリブドケイ酸、12−バナドリン酸、12−バナドケイ酸及び11−モリブド-1-バナドリン酸が使用され、より好ましくは12-タングストリン酸、12-タングストケイ酸、12-モリブドリン酸及び12-モリブドケイ酸が使用され、最も好ましくは12-タングストリン酸が使用される。ヘテロポリ酸塩として、好ましくは12-タングストリン酸セシウム塩が使用され、より好ましくは、下記式Csr3-rPW1240 (ここで、rは2〜3である)で示される12-タングストリン酸セシウム塩が使用され、最も好ましくはCs2.50.5PW1240が使用される。
上記層状金属酸化物としては、必ずしも限定されないが、例えば、アルカリ金属カチオンを挟んでチタンニオブ酸の層状金属酸化物層からなるポリアニオンナノシートが規則正しく積層しているカチオン交換性層状金属酸化物等を挙げることができる。
上記カルボン酸アミドを含む粗カルボン酸水溶液に対し、上記固体酸触媒を接触させる方法は、特に限定されないが、例えば、前記固体触媒を固体のまま、または懸濁液にして、該粗カルボン酸アンモニウム塩水溶液と混合する、いわゆるバッチ法、あるいは、上記固体酸触媒を充填塔等に充填し、該充填塔内に、上記粗カルボン酸アンモニウム塩水溶液を通液させることによって接触させるカラム法を選択することもできる。尚、カラムへの通液方法は、アップフローでもダウンフローでも構わない。
上記バッチ法の場合、カルボン酸アミドと該固体酸触媒との接触効率を上げるために、好ましくは、適度な攪拌操作を行うのがよい。攪拌の回転数は特に限定されないが、通常は20〜500rpm、好ましくは100〜300rpm、更に好ましくは150〜250rpmである。
固体酸触媒量は、粗カルボン酸水溶液中のカルボン酸アミドを加水分解できる量以上使用されればよく、該固体酸触媒の持つ酸点の前記カルボン酸アミドに対する量で示すと、通常は1当量以上、好ましくは2〜100当量、更に好ましくは5〜30当量程度である。
上記カラム法における通液速度は、目的とするカルボン酸アミドの低減が十分に達成できる速度以下であればよく、特に限定されないが、通常は空間速度[L/L-樹脂/Hr]が0.5〜20、好ましくは1〜10がよい。
上記カルボン酸アミドを含む粗カルボン酸水溶液に対し、上記固体酸触媒を接触させ、該カルボン酸アミドを加水分解反応で低減する時の圧力は、特に限定されず、減圧下でも加圧下でも構わないが、通常は大気圧下で行われる。
上記カルボン酸アミドを加水分解反応で低減する時の温度は、低すぎると、加水分解反応速度が低下するので、一定の加水分解反応変換率を得るのに時間がかかり宜しくないし、高すぎると、固体酸触媒の持つ、官能基の脱落等の劣化が激しくなるので宜しくない。前記加水分解反応の温度は、通常30〜150℃、好ましくは50〜120℃、更に好ましくは80〜100℃がよい。
上記カルボン酸アミドを加水分解反応で低減する時のpHは、低い方が望ましい。例えば、脱塩によって得られたカルボン酸アミドを含む粗カルボン酸水溶液の場合、脱塩が十分に行われれば、該カルボン酸水溶液の持つpHに近づくこととなり、低いpHとなる。該カルボン酸由来の水素イオン(H+)にも、該カルボン酸アミドを加水分解する能力があり、温度を高くすることで、上記固体酸触媒を使用しなくても該カルボン酸アミドの加水分解は進行する。しかしながら、そのような無触媒での加水分解は速度が十分ではなく、前記固体酸触媒を使用することで加水分解速度を高くすることができる。
また、上記固体酸触媒の中には、カルボン酸アミドの加水分解反応前に、鉱酸等による水素イオン型(H+)への再生が必要な場合と必要でない場合がある。上記カルボン酸アミドを含む粗カルボン酸水溶液中には、該カルボン酸に由来する水素イオン(H+)が存在するため、該カルボン酸アミドの加水分解反応と該固体酸触媒の再生を同時に行うことが可能となる。つまり、条件によっては、前記固体酸触媒は、所謂、消費を伴わず、触媒的に回転数を伸ばすことが可能となる。その場合の条件としては、常にフレッシュな水素イオン(H+)が供給されるという制限がつくことは容易に類推される。
粗カルボン酸水溶液の濃度は、特に限定されないが、低すぎると、生産性が低くなり、高すぎると析出等の弊害が起こるので、析出しない程度に高い方がよい。また、前工程のカルボン酸アンモニウム塩水溶液合成工程の制限を受けることを考慮すると、通常は5〜80重量%、好ましくは10〜60重量%、更に好ましくは20〜50重量%がよい。
カルボン酸アミドの加水分解反応による変換は、できるだけ高い方が最終製品であるカルボン酸の品質が高くなるのでよいが、カルボン酸アミドの加水分解反応変換率を高くするためには、固体酸触媒の使用量が多くなる、高温条件が必要となる、加水分解反応時間が長くなる等の弊害がある。また、特に微量のα−ヒドロキシ酸アミドを含む粗α−ヒドロキシ酸水溶液を固体酸触媒に接触させて得られた、α−ヒドロキシ酸水溶液を、イオン交換等の精製工程にかけても、完全に除去することができず、最終的にポリα−ヒドロキシ酸を製造する場合、原料α−ヒドロキシ酸水溶液中に残存する場合がある。従って、前記α−ヒドロキシ酸アミドの加水分解反応変換率によって、前記α−ヒドロキシ酸水溶液中の残存α−ヒドロキシ酸アミドの量が異なり、該α−ヒドロキシ酸アミドが、ポリα−ヒドロキシ酸を製造するまでに様々な悪影響を及ぼす。例えば、α−ヒドロキシ酸のオリゴマー化工程において、残存α−ヒドロキシ酸アミドの熱分解が起こり、発生したアンモニアに起因した着色が起こる場合がある。更に、次工程の、α−ヒドロキシ酸オリゴマーの解重合による環状二量体エステル合成工程においても、前記アンモニアに起因した不純物N分が、環状二量体エステルに混入する場合がある。更に前記環状二量体エステルの開環重合によるポリα−ヒドロキシ酸合成工程においても、前記不純物N分に起因した着色や、ポリマー物性の低下を引き起こす場合がある。カルボン酸アミドを含むカルボン酸アンモニウム水溶液を、固体酸触媒と接触させて、該カルボン酸アミドを低減する時の残存カルボン酸アミド量は、必ずしも限定されないが、通常500[重量ppm/カルボン酸]以下がよく、好ましくは300[重量ppm/カルボン酸]以下、更に好ましくは100[重量ppm/カルボン酸]以下、最も好ましくは10[重量ppm/カルボン酸]がよい。
ところで、前記固体酸触媒が強酸性陽イオン交換樹脂の場合、前記固体酸触媒による上記カルボン酸アミドの加水分解反応と、該カルボン酸アミドを含む粗カルボン酸アンモニウム水溶液の脱塩とを同時に行うことが可能である。つまり、上記脱塩方法の説明箇所で述べた、強酸性陽イオン交換樹脂によるカラム法での脱塩では、該操作中にカルボン酸アミドを含む粗カルボン酸水溶液が生成されるので、更に引き続き、強酸性陽イオン交換樹脂に接触することで、該カルボン酸アミドの加水分解反応が進行することとなる。但し、この場合の強酸性陽イオン交換樹脂へのカルボン酸アミドを含む粗カルボン酸アンモニウム水溶液の通液速度や温度条件、滞留時間等は、該カルボン酸アミドの加水分解反応が十分に進行する条件(律速段階)から決定される。通液速度は空間速度[L/L−樹脂/Hr]で0.1〜5の範囲、好ましくは0.5〜2の範囲がよく、温度は、通常30〜150℃、好ましくは50〜120℃、更に好ましくは80〜100℃がよく、滞留時間は、温度条件や使用するイオン交換樹脂の酸性度によって異なるが、通常30分以上、好ましくは1時間以上がよい。
本発明に係るカルボン酸の製造方法によれば、カルボン酸は水溶液として得ることができ、当該カルボン酸水溶液中には、様々な不純物を含む。例えば、脱塩方法がイオン交換の場合、カチオン交換では一部漏出したアンモニウムイオンや全く吸着されないアニオン成分、中性成分等が不純物として含まれ、また、アニオン交換では洗浄しきれていない金属カチオン、アンモニウムイオン、中性成分やカルボン酸と同様の挙動を示すアニオン成分等が不純物として含まれる。一方、脱塩方法が電気透析の場合、脱塩率100%を達成することは困難で、一部アンモニウムイオンが混入し、カルボン酸と同様の挙動を示すアニオン成分等が不純物として含まれる。
溶液中の金属カチオン、アンモニウムイオン等のカチオン性不純物は一般的なカチオン交換法の操作によって精製・除去することができる。また、製造されるカルボン酸が、特に、α−シアンヒドリン化合物の加水分解反応物である、α−ヒドロキシ酸の場合、副生成物として中性のアミノ酸類が副生される場合がある。その場合、高濃度のα−ヒドロキシ酸水溶液中では、該アミノ酸類の平衡状態がカチオン性のものに偏っており、前記カチオン交換によって精製・除去することが可能である。また、硫酸アニオンのようなアニオン性不純物も、一般的なアニオン交換法の操作によって精製・除去することが可能である。尚、前記固体酸触媒が強酸性陽イオン交換樹脂の場合、前記固体酸触媒による上記カルボン酸アミドの加水分解反応と、該カルボン酸アミドを含む粗カルボン酸アンモニウム水溶液の脱塩と、前記カチオン性不純物の精製・除去を同時に行うことが可能である。
本発明において製造されるカルボン酸が、特に、α−ヒドロキシ酸の場合、得られたα−ヒドロキシ酸水溶液中にアンモニウムイオン、金属カチオン、不純物アニオン成分が多く含まれていると、次工程における環状二量体エステル合成反応を回分反応の繰り返し反応で行うためには、これらカチオン類やアニオン類が蓄積されることによる影響を避けるため、適度な濃度に低減する必要がある。また、アンモニウムイオンは着色の原因となり、製品ポリマーの物性に悪影響を与えるため、出来る限り低減することが望ましい。
本発明はまた、上述した本発明に係るα−ヒドロキシ酸の製造方法によって得られたα−ヒドロキシ酸水溶液を原料としてα−ヒドロキシ酸オリゴマーを合成する工程と、α−ヒドロキシ酸オリゴマーを解重合させて環状二量体エステルを得る工程と、該環状二量体エステルを開環重合してポリα−ヒドロキシ酸を得る工程と、を含むポリα−ヒドロキシ酸の製造方法をも含む。
以下、α−ヒドロキシ酸の例として、グリコール酸の場合を取り上げ、ポリマー合成までの製造方法を説明するが、α−ヒドロキシ酸としてこれに限定されるものではない。
グリコール酸オリゴマーを合成する工程では、原料グリコール酸を必要に応じて脱水縮合触媒の存在下に、減圧もしくは加圧下、通常100〜250℃、好ましくは140〜230℃の温度に加熱し、水の留出が実質的に無くなるまで縮合反応を行う。縮合反応終了後、生成したグリコール酸オリゴマーは、そのまま次工程の原料として使用することができる。また、得られたグリコール酸オリゴマーを反応系から取り出して、ベンゼンやトルエンなどの非水溶媒で洗浄して、未反応物や低重合物または触媒などを除去してから使用することもできる。グリコール酸オリゴマーは、環状でも直鎖状でもよい。重合度は、特に限定されないが、解重合反応を行う際の、グリコリド収率の点から、融点(Tm)が通常140℃以上、好ましくは160℃以上、より好ましくは180℃以上のものであることが望ましい。ここで、Tmは示差走査熱量計(DSC)を用いて、不活性ガス雰囲気下、10℃/分の速度で昇温して検出される融点である。
グリコール酸オリゴマーを解重合させてグリコリドを得る工程では、解重合方法は、特に限定されず、一般的な溶融解重合法や固相解重合法などを採用することができる。その場合の解重合反応系は、採用する解重合法に対応して、実質的にグリコール酸オリゴマーのみからなる系とグリコール酸オリゴマーと極性有機溶媒とを含有する系の二つに大別される。実質的にグリコール酸オリゴマーのみからなる解重合反応系を常圧下または減圧下において加熱すると、解重合反応により生成したグリコリドが昇華または蒸発する。よって、不活性ガスを吹き込む等の方法により、該グリコリドを解重合反応系外に排出することによりグリコリドを得ることが出来る。また、グリコール酸オリゴマーと極性有機溶媒とを含有する混合物からなる解重合反応系を加熱すると、解重合反応により生成したグリコリドが極性有機溶媒と共留出する。留出物からグリコリドを晶析等の方法により分離することにより、グリコリドを回収することができる。この場合も、常圧下または減圧下に解重合反応系を加熱して解重合反応を行う。解重合法としては、原料として使用するグリコール酸オリゴマーの重質物化防止やグリコリドの生成効率の観点から、グリコール酸オリゴマーを溶液相の状態で解重合させる溶液解重合法が好ましい。
さらに、本発明で得られたグリコリドは、開環重合法によりポリグリコール酸にすることができる。開環重合は、触媒の存在下、通常100℃以上の温度で行われるが、好ましくは160〜180℃程度がよい。触媒としては、各種環状エステルの開環重合触媒として使用されているものであればよく、特に限定されないが、具体的な例としては、例えば、スズ(Sn)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、アンチモン(Sb)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)など金属化合物の酸化物、ハロゲン化物、カルボン酸塩、アルコキシドなどが挙げられる。触媒の使用量は、一般的に、環状エステルに対して少量でよく、環状エステルを基準として。通常0.0001〜0.5重量%、好ましくは0.001〜0.1重量%の範囲内であればよい。
本発明における代表的なプロセスにおいて、ニトリル化合物を原料とした加水分解反応工程、脱塩工程(電気透析)、アミド分解工程、カチオン交換精製工程、アニオン交換精製工程を組み合わせたプロセスの代表的な一例(プロセスA)を図2の概要図に、ニトリル化合物を原料とした加水分解反応工程、脱塩工程(電気透析)、アミド分解とカチオン交換精製を兼ね備えた工程(αカチオン交換工程)、アニオン交換精製工程を組み合わせたプロセスの代表的な一例(プロセスB)を図3の概要図に、ニトリル化合物を原料とした加水分解反応工程、脱塩とアミド分解とカチオン交換精製を兼ね備えた工程(βカチオン交換工程)、アニオン交換工程を組み合わせたプロセスの代表的な一例(プロセスC)を図4の概要図にそれぞれ示し、これらを基に実際の操作を具体的に説明する。
プロセスA
図2の例では、加水分解反応工程<1>において、反応器にニトリラーゼ酵素触媒(微生物菌体)と水を仕込み、ニトリル化合物供給ライン1からニトリル化合物を供給し、所定温度、所定pHで、反応液中の定常ニトリル化合物濃度を一定に保ちながら、加水分解反応を行う。(セミバッチ反応)必要であれば、反応液のpHを使用するニトリラーゼの至的pHに制御するためpH調整剤を供給する。目的のカルボン酸アンモニウム濃度となったら、ニトリル化合物の供給を止め、未反応ニトリル化合物が完全に消費されるまで反応を継続する。最終的に得られた、カルボン酸アミドを含む粗カルボン酸アンモニウム塩水溶液を、遠心分離、MF、UF等の精製手段で除菌・除タンパクしたものを、加水分解反応混合液供給ライン2を通じて、電気透析工程<2>の原料室(酸室)へ供給する。
図2の例では、電気透析工程<2>において、原料室(酸室)に供給されたカルボン酸アミドを含む粗カルボン酸アンモニウム塩水溶液を図1に示すようなバイポーラ型電気透析装置を使って電気透析し、粗カルボン酸水溶液を酸室より回収し、アンモニア水溶液を塩基室より回収する。回収されたアンモニア水溶液は、電気透析工程塩基室アンモニア混合液回収ライン4を通じて回収し、大部分は電気透析工程塩基室アンモニア混合液分離回収ライン6を通じて回収し、一部分は電気透析工程塩基室アンモニア混合液循環ライン5を通じて電気透析装置塩基室へ循環再使用する。一方、回収された粗カルボン酸水溶液は、電気透析工程酸室カルボン酸混合液供給ライン3を通じて、アミド分解反応工程<3>に供給する。
図2の例では、アミド分解反応工程<3>において、固体酸触媒を充填した充填塔に供給された、カルボン酸アミドを含む粗カルボン酸水溶液中の前記カルボン酸アミドを加水分解し、目的量以下にカルボン酸アミドが低減された粗カルボン酸水溶液を得て、アミド分解反応後カルボン酸混合液供給ライン7を通じて、アニオン交換精製工程<4>に供給する。因みに前記固体酸触媒が強酸性陽イオン交換樹脂の場合、カルボン酸アミドの加水分解で生成するアンモニウムイオンが、前記充填塔内の強酸性陽イオン交換樹脂へ吸着・蓄積され、いずれ該強酸性陽イオン交換樹脂の持つイオン交換容量を越えると、アンモニアが前記充填塔出口より漏出することとなる。しかしながら、加水分解反応速度の低下は見られるものの、カルボン酸アミドの加水分解活性自身は維持されるので、適切な条件を選定することにより、特別な再生処理を施すことなく、アミド分解反応を継続することが可能である。
図2の例では、アニオン交換精製工程<4>において、粗カルボン酸水溶液中のアニオン成分をアニオン交換することで、精製・除去することができる。因みに使用するアニオン交換樹脂は、予めOH型に調製しておき、粗カルボン酸水溶液通液直後はイオン交換サイトへのカルボン酸アニオンの吸着が進行するが、やがて入口側より、より吸着選択係数の高いアニオン成分(例えば硫酸アニオン等)に置き換わり、出口液はアニオン成分を精製されたカルボン酸水溶液となり、アニオン交換精製工程後カルボン酸混合液供給ライン8を通じて、カチオン交換精製工程<5>に供給する。破過した樹脂は、洗浄・逆再生・洗浄・再生・洗浄を行い、洗浄液・再生液は、アニオン交換精製工程洗浄液および再生・逆再生液回収ライン9を通じて回収する。
図2の例では、カチオン交換精製工程<5>において、アニオン交換精製工程後カルボン酸水溶液中のカチオン成分をカチオン交換することで、精製・除去することができる。因みに使用するカチオン交換樹脂は、予めH型に調製しておき、吸着選択係数の高いカチオン成分(例えばアンモニウムイオン、金属カチオン等)に置き換わり、出口液はカチオン成分を精製されたカルボン酸水溶液となり、カチオン交換精製工程後カルボン酸混合液回収ライン10を通じて回収される。破過した樹脂は、洗浄・逆再生・洗浄・再生・洗浄を行い、洗浄液・再生液は、カチオン交換精製工程洗浄液および再生・逆再生液回収ライン11を通じて回収する。
プロセスB
図3の例では、加水分解反応工程<1>において、反応器にニトリラーゼ酵素触媒(微生物菌体)と水を仕込み、ニトリル化合物供給ライン1からニトリル化合物を供給し、所定温度、所定pHで、反応液中の定常ニトリル化合物濃度を一定に保ちながら、加水分解反応を行う。(セミバッチ反応)必要であれば、反応液のpHを使用するニトリラーゼの至的pHに制御するためpH調整剤を供給する。目的のカルボン酸アンモニウム濃度となったら、ニトリル化合物の供給を止め、未反応ニトリル化合物が完全に消費されるまで反応を継続する。最終的に得られた、カルボン酸アミドを含む粗カルボン酸アンモニウム塩水溶液を、遠心分離、MF、UF等の精製手段で除菌・除タンパクしたものを、加水分解反応混合液供給ライン2を通じて、電気透析工程<2>の原料室(酸室)へ供給する。
図3の例では、電気透析工程<2>において、原料室(酸室)に供給されたカルボン酸アミドを含む粗カルボン酸アンモニウム塩水溶液を図1に示すようなバイポーラ型電気透析装置を使って電気透析し、粗カルボン酸水溶液を酸室より回収し、アンモニア水溶液を塩基室より回収する。回収されたアンモニア水溶液は、電気透析工程塩基室アンモニア混合液回収ライン4を通じて回収し、大部分は電気透析工程塩基室アンモニア混合液分離回収ライン6を通じて回収し、一部分は電気透析工程塩基室アンモニア混合液循環ライン5を通じて電気透析装置塩基室へ循環再使用する。一方、回収された粗カルボン酸水溶液は、電気透析工程酸室カルボン酸混合液供給ライン3を通じて、αカチオン交換工程<6>に供給する。
図3の例では、αカチオン交換工程<6>において、強酸性陽イオン交換樹脂を充填した充填塔に供給された、カルボン酸アミドを含む粗カルボン酸水溶液中の前記カルボン酸アミドを加水分解し、目的量以下にカルボン酸アミドが低減された粗カルボン酸水溶液を得ると同時に、生成したアンモニウムイオンを、該強酸性陽イオン交換樹脂でカチオン交換することで精製・除去し、αカチオン交換後カルボン酸混合液供給ライン12を通じて、アニオン交換精製工程<4>に供給する。因みに使用する強酸性陽イオン交換樹脂は、予めH型に調製しておき、破過した樹脂は、洗浄・逆再生・洗浄・再生・洗浄を行い、洗浄液・再生液は、αカチオン交換後洗浄液および再生・逆再生液回収ライン13を通じて回収する。
図3の例では、アニオン交換精製工程<4>において、粗カルボン酸水溶液中のアニオン成分をアニオン交換することで、精製・除去することができる。因みに使用するアニオン交換樹脂は、予めOH型に調製しておき、粗カルボン酸水溶液通液直後はイオン交換サイトへのカルボン酸アニオンの吸着が進行するが、やがて入口側より、より吸着選択係数の高いアニオン成分(例えば硫酸アニオン等)に置き換わり、出口液はアニオン成分を精製されたカルボン酸水溶液となり、アニオン交換精製工程後カルボン酸混合液回収ライン14を通じて回収される。破過した樹脂は、洗浄・逆再生・洗浄・再生・洗浄を行い、洗浄液・再生液は、アニオン交換精製工程洗浄液および再生・逆再生液回収ライン15を通じて回収する。
プロセスC
図4の例では、加水分解反応工程<1>において、反応器にニトリラーゼ酵素触媒(微生物菌体)と水を仕込み、ニトリル化合物供給ライン1からニトリル化合物を供給し、所定温度、所定pHで、反応液中の定常ニトリル化合物濃度を一定に保ちながら、加水分解反応を行う。(セミバッチ反応)必要であれば、反応液のpHを使用するニトリラーゼの至的pHに制御するためpH調整剤を供給する。目的のカルボン酸アンモニウム濃度となったら、ニトリル化合物の供給を止め、未反応ニトリル化合物が完全に消費されるまで反応を継続する。最終的に得られた、カルボン酸アミドを含む粗カルボン酸アンモニウム塩水溶液を、遠心分離、MF、UF等の精製手段で除菌・除タンパクしたものを、加水分解反応混合液供給ライン2を通じて、βカチオン交換工程<7>へ供給する。
図4の例では、βカチオン交換工程<7>において、強酸性陽イオン交換樹脂を充填した充填塔に供給された、カルボン酸アミドを含む粗カルボン酸アンモニウム塩水溶液中のアンモニウムイオンをカチオン交換で、前記強酸性陽イオン交換樹脂に吸着させると同時に、前記カルボン酸アミドを加水分解し、目的量以下にカルボン酸アミドが低減された粗カルボン酸水溶液を得て、βカチオン交換後カルボン酸混合液供給ライン16を通じて、アニオン交換精製工程<4>に供給する。因みに使用する強酸性陽イオン交換樹脂は、予めH型に調製しておき、破過した樹脂は、洗浄・逆再生・洗浄・再生・洗浄を行い、洗浄液・再生液は、βカチオン交換後洗浄液および再生・逆再生液回収ライン17を通じて回収する。
図4の例では、アニオン交換精製工程<4>において、粗カルボン酸水溶液中のアニオン成分をアニオン交換することで、精製・除去することができる。因みに使用するアニオン交換樹脂は、予めOH型に調製しておき、粗カルボン酸水溶液通液直後はイオン交換サイトへのカルボン酸アニオンの吸着が進行するが、やがて入口側より、より吸着選択係数の高いアニオン成分(例えば硫酸アニオン等)に置き換わり、出口液はアニオン成分を精製されたカルボン酸水溶液となり、アニオン交換精製工程後カルボン酸混合液回収ライン18を通じて回収される。破過した樹脂は、洗浄・逆再生・洗浄・再生・洗浄を行い、洗浄液・再生液は、アニオン交換精製工程洗浄液および再生・逆再生液回収ライン19を通じて回収する。
以下実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。尚、本発明はこれらの実施例により必ずしも限定されるものではなく、その要旨を超えない限り、様々な変更、修飾が可能である。特に実施例においては、グリコロニトリル(HO-CH2-CN)、グリコロアミドを含む粗グリコール酸アンモニウム塩水溶液、およびグリコロアミドを含む粗グリコール酸水溶液を用いた実験のみを示すが、本発明の主旨を考慮すると、反応液中に存在するカルボン酸アミドを、固体酸触媒を用いて低減できることが重要なので、グリコロニトリル以外のα−ヒドロキシニトリル、α−ヒドロキシ酸アミドを含む粗α−ヒドロキシ酸アンモニウム塩水溶液、およびα−ヒドロキシ酸アミドを含む粗α−ヒドロキシ酸水溶液は勿論、その他ニトリル化合物、カルボン酸アミドを含む粗カルボン酸アンモニウム塩水溶液、およびカルボン酸アミドを含む粗カルボン酸水溶液についても同様の現象と結果が得られることは容易に類推できるものである。
本発明に使用する生体触媒であるAcinetobacter sp.AK226は、本発明者らが独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに国際寄託したものであり、FERM BP−08590の国際寄託番号を有するものである。
生体触媒懸濁液中の乾燥生体触媒重量の測定法は、以下のごとく実施した。まず、適当な濃度の生体触媒懸濁液を適量取り、−80℃まで冷却した後、凍結乾燥機を用いて完全に乾燥し、その重量値から前記生体触媒懸濁液の濃度を算出した。固定化物については固定化時における既知となった生体触懸濁液の使用量と架橋剤や固定化担体の使用量から乾燥生体触媒重量を算出した。
加水分解およびアミド分解反応液及び各種処理液の分析は、以下のごとく実施した。基質であるグリコロニトリル、生成物であるグリコール酸又はグリコール酸アンモニウム、及び副生成物であるグリコロアミドは、高速液体クロマトグラフィーで測定した。カラムはイオン排除カラム(島津Shim-pack SCR-101H)、カラム温度は40℃、移動相はリン酸水溶液(pH=2.3)、流速は0.7mL/min、検出器はUV(島津SPD-10AV vp、210nm)及びRI(島津RID-6A)、注入量は10μLで実施した。
また、解重合反応液の分析は、ガスクロマトグラフィーで実施した。検出器はFID、カラムは中極性キャピラリーカラム(J&W SCIENTIFIC製 DB-1701、長さ:60m、内径:0.25mm、膜厚:1μm)、キャリアー:ヘリウム(300kPa)、インジェクション温度:200℃、検出器温度:200℃、操作温度:100℃×5分、20℃/分、270℃×10分で行った。
ここで、アミド分解反応実験におけるグリコロアミド濃度は以下の手順で算出される。アミド分解反応実験における、原料と所定の時間にサンプリングしたサンプル液を、所定の濃度まで蒸留水で希釈し、上記高速液体クロマトグラフィーでグリコロアミドとグリコール酸濃度を算出する。前記グリコロアミド濃度をグリコール酸濃度で除したものが、グリコロアミド濃度[重量ppm/グリコール酸]となり、(式1)で計算される。また、アミド分解率は、前記原料のグリコロアミド濃度をサンプルのグリコロアミド濃度で減じたものを、原料のグリコロアミド濃度で除した値であり、(式2)で計算される。
・グリコロアミド濃度[重量ppm/グリコール酸]=グリコロアミド濃度[重量%]/グリコール酸濃度[重量%]×1000000・・・(式1)
・アミド分解率[%]=原料のグリコロアミド濃度[重量%]÷サンプルのグリコロアミド濃度[重量%]×100・・・(式2)
[参考例1] 微生物菌体触媒の調製
塩化ナトリウム0.1重量%、リン酸二水素カリウム0.1重量%、硫酸マグネシウム七水和物0.05重量%、硫酸第一鉄七水和物0.005重量%、硫酸アンモニウム0.1重量%、硝酸カリウム0.1重量%硫酸マンガン五水和物0.005重量%を含む培養液250mlを三角フラスコに仕込み、pHが7になるように水酸化ナトリウムで調整し、121℃で20分間滅菌した後、アセトニトリル0.5重量%を添加した。これにAcinetobacter sp.AK226を接種して30℃で振とう培養した(前培養)。ミーストパウダー0.3重量%、グルタミン酸ナトリウム0.5重量%、硫酸アンモニウム0.5重量%、リン酸水素二カリウム0.2重量%、リン酸ニ水素カリウム0.15重量%、塩化ナトリウム0.1重量%、硫酸マグネシウム七水和物0.18重量%、塩化マンガン4水和物0.02重量%、塩化カルシウム二水和物0.01重量%、硫酸鉄7水和物0.003重量%、硫酸亜鉛7水和物0.002重量%、硫酸銅5水和物0.002重量%、大豆油2重量%を含む培養液3Lを5Lジャーファーメンターに仕込み、121℃で20分間滅菌した後、前記の前培養液を接種して30℃で通気攪拌を行った。培養開始10時間後から大豆油のフィードを開始した。PHは7になるようにリン酸及びアンモニア水でコントロールし、最終的に約5重量%のAcinetobacter sp.AK226懸濁液を得た。更に0.06Mリン酸バッファーを用いて2回洗浄を行い、最終的にリン酸バッファーに懸濁されたAcinetobacter sp.AK226懸濁液(乾燥菌体濃度10.8重量%)を得た。
[参考例2] 加水分解反応原料用グリコロニトリルの調製
加水分解反応原料用グリコロニトリルは、三菱ガス化学社製37重量%ホルマリンと青酸ガスを用いて、水酸化ナトリウムを触媒としてpH=4、反応温度40℃でシアンヒドリン化反応を行った。硫酸を用いてpH=2.2に調整した後、脱メタノールを目的として50℃、減圧条件(最終到達圧力50mmHg)でストリッピング操作を行い、水の蒸発に伴う濃縮分だけ蒸留水を添加して、最終的にグリコロニトリル:55.3重量%の水溶液(pH=2.0)を得た。以下の実施例における生体触媒を用いた加水分解反応の原料には、このグリコロニトリル水溶液を用いた。
[参考例3] アミド分解反応原料用グリコール酸水溶液の調製1
アミド分解反応原料用模擬グリコール酸水溶液は、デュポン社製グリピュア(グリコール酸結晶)とアルドリッチ社製グリコロアミドと蒸留水を用いて調製した。
[参考例4] アミド分解反応原料用グリコール酸水溶液の調製2
5Lの四つ口フラスコに、上記参考例1で調製した10.8重量%Acinetobacter sp.AK226懸濁液24gと蒸留水1100gを仕込み、該フラスコにpH計と温度計を設置し反応液のpHと温度をモニタリングできるようにして、50℃恒温水槽に入れてスリーワンモーターによる攪拌を実施し、内温が50℃になるまでしばらく保持した。次に、上記参考例2の手順で調製した55.3重量%グリコロニトリル水溶液(pH=2.0)を、液体クロマトグラフィー用ポンプを用いて0.5g/minでフィードした。原料グリコロニトリル中に安定剤として含まれる硫酸を中和するため、チューブポンプで1.5重量%アンモニア水をフィードした。尚、アンモニア水フィードポンプはpH計による制御で内液pHが6.9±0.1になるようにセットした。反応中は定期的にサンプリングを行い、高速液体クロマトグラフィーでグリコロニトリルとグリコール酸アンモニウム濃度を測定し、定常グリコロニトリル濃度が2重量%以下になるように原料の添加量を調節した。最終的なグリコール酸アンモニウム蓄積濃度は41.4重量%、基質のグリコロニトリルは検出されなかった。次に得られたグリコール酸アンモニウム塩水溶液を、遠心分離機(クボタ製:高速遠心機7700)を用いて、回転数:10000pm、処理時間:20min、処理温度:4℃で処理し、上澄みを回収後、UF(旭化成ケミカルズ社製:SIP-0013)を用いて、流速1ml/min、処理温度:40℃で処理して37.2重量%のグリコール酸アンモニウム塩水溶液を得た。本液は若干の着色を生じていたため、5gの市販活性炭(白鷺A:日本エンバイロケミカルズ製)を加えて、室温で45分攪拌した後、デカンテーションで処理液を回収し、着色成分を除去した。グリコール酸アンモニウム濃度40.5重量%、副生グリコロアミド濃度0.24重量%であった。次に、本液をバイポーラ型電気透析装置(株式会社アストム製ACYLYZER EX3B)を用いて、バイポーラ膜(アストム製ネオセプタBP−1)と陽イオン交換膜(アストム社製ネオセプタCMB)の組み合わせで電気透析を行い、粗グリコール酸水溶液を得た。組成は、グリコール酸濃度30.2重量%、グリコロアミド濃度6700[重量ppm/グリコール酸]であった。
[実施例1〜3]
100mL三口フラスコに、上記参考例3の方法で調製した、グリコロアミド含有グリコール酸水溶液50gとオルガノ社製強酸性陽イオン交換樹脂(アンバーライトIR120B Naを予めH型に再生したもの)を仕込み、それぞれ下記条件でグリコロアミド分解実験を行った。アミド分解率の経時変化結果を表1および図5に示す。
[比較例1、2]
強酸性陽イオン交換樹脂を用いない以外は実施例1と同一の条件でグリコロアミド分解実験(比較例1)を行った。また、グリコール酸濃度を70重量%に変更する以外は、比較例1と同一の条件でグリコロアミド分解実験(比較例2)を行った。結果は表1および図5に示す。
[実施例4]
強酸性陽イオン交換樹脂をデュポン社製Nafion NR50に変更する以外は、実施例1と同一条件でグリコロアミド分解実験を行った。結果は表1および図5に示す。
[比較例3]
強酸性陽イオン交換樹脂を用いない以外は実施例2と同一の条件でグリコロアミド分解実験を行った。結果は表1および図5に示す。
Figure 2010235495
[実施例5]
樹脂総交換容量に対するアンモニアのモル比が1.05倍になるように、10重量%アンモニア水を添加する以外は、実施例2と同様の操作で、アミド加水分解反応実験(100℃×30min)を行ったところ、アミド分解率は43%であった。
[比較例4]
強酸性陽イオン交換樹脂を用いない以外は実施例5と同一の条件で、グリコロアミド分解実験(100℃×30min)を行ったところ、アミド分解率は1%未満であった。
[実施例6]
Zeolyst社製ゼオライトZSM-5(ZeolystCBV3024E)を、一般的な方法に従って、予めH型に調製、焼成したもの3gと上記参考例3で調製したグリコロアミド含有グリコール酸水溶液(GA:30wt%、GAM:12000wt-ppm/GA)50gを、100mL三口フラスコに仕込み、グリコロアミド分解実験(100℃×2Hr)を行ったところ、アミド分解率は92%であった。
[実施例7]
ゼオライトの代わりにヘテロポリ酸塩、Cs2.50.5PW1240を使用する以外は実施例6と同様にグリコロアミド分解実験を行ったところ、アミド分解率は88%であった。
[実施例8〜13]
ガラス製カラム(12φ×300mmH)に、オルガノ社製強酸性陽イオン交換樹脂、アンバーライトIR120B Naを35mL仕込み(総交換容量は70meq)、2N塩酸400mLをSV(空塔速度)=4で通液し、再生処理を行い十分に蒸留水で洗浄した。次に上記参考例4で調製した粗グリコール酸水溶液を前記再生済み強酸性陽イオン交換樹脂に通液し、カラム出口からの回収液を分析して、各条件でのアミド分解率を評価した。尚、各条件でのアミド分解率は、通液量が使用樹脂容量の1倍、1.5倍、2倍時点での出口回収液の分析値の平均値で表すものとし、結果は表2に示す。
Figure 2010235495
[実施例14〜17]
上記参考例4で調製した粗グリコール酸水溶液を前記再生済み強酸性陽イオン交換樹脂に通液する前に、2Nアンモニア水400mLをSV(空塔速度)=4で通液して、前記強酸性陽イオン交換樹脂をNH4型に変換し、蒸留水で十分に洗浄すること以外は、実施例8と同様に操作しグリコロアミド分解反応実験を行った。結果は表3に示す。
Figure 2010235495
[実施例18]
ガラス製カラム(12φ×300mmH)に、オルガノ社製強酸性陽イオン交換樹脂、アンバーライトIR120B Naを35mL仕込み(総交換容量は70meq)、2N塩酸400mLをSV(空塔速度)=4で通液し、再生処理を行い十分に蒸留水で洗浄した。次に、上記参考例3の方法で調製した、グリコロアミド含有グリコール酸水溶液(GA=40重量%、GAM=3800重量ppm/GA)に和光純薬製25%アンモニア水を添加して、アンモニウムイオン濃度が950重量ppmになるように調製した。前記調製液を上記再生済み強酸性陽イオン交換樹脂に、80℃、SV=0.9条件で通液し、出口液をフラクションコレクターで回収、分析しグリコロアミドおよびアンモニウムイオンの破過曲線を取得した。結果は図6に示す。
[実施例19、20および比較例5]
実施例11〜13で回収された粗グリコール酸水溶液約100mLを、アニオン交換精製、カチオン交換精製して、精製グリコール酸を得た。アニオン交換精製では、上記ガラス製カラム(12φ×300mmH)に、オルガノ社製弱塩基性陰イオン交換樹脂(IRA96SB)を仕込み、2N水酸化ナトリウム水溶液400mLをSV=4で通液し、再生処理を行い十分に蒸留水で洗浄した。次に、前記粗グリコール酸水溶液を、40℃、SV=2条件で通液し、グリコール酸水溶液を回収した。更にカチオン交換精製では、上記ガラス製カラム(12φ×300mmH)に、オルガノ社製強酸性陽イオン交換樹脂(IRA120B)を仕込み、2N水酸化ナトリウム水溶液400mLをSV=4で通液し、再生処理を行い十分に蒸留水で洗浄した。次に、前記アニオン交換精製後の粗グリコール酸水溶液を40℃、SV=2条件で通液し、精製グリコール酸水溶液を回収した。それぞれ回収された精製グリコール酸水溶液の分析結果を表4に示す。
得られたグリコール酸水溶液の一部を50mLナスフラスコに仕込み、窒素置換後、窒素フロー下において加熱を開始し、常圧でスターラー攪拌しながら170℃から200℃まで昇温加熱し、生成水を留去しながら縮合反応させた。次いで真空ポンプで40mmHgまで減圧し、200℃×2Hr加熱して未反応グリコール酸等の低沸物を除去した。得られたプレポリマーの着色程度の評価結果を表4に示す。引き続き、260℃まで昇温、減圧度を3〜5mmHgに上げて解重合反応を行った。留出液を氷水による冷却トラップで回収した。回収液の組成を上記ガスクロマトグラフィーで実施したが、いずれもグリコリド以外のピークは認められなかった。回収液とフラスコ内残液の着色程度の評価結果を表4に示す。
Figure 2010235495
本発明によれば、カルボン酸アミドを不純物として含む、粗カルボン酸水溶液からカルボン酸を製造することができる。本発明によれば、特にニトリル化合物の加水分解反応によって得られたカルボン酸アンモニウム塩水溶液を脱塩することで得られた粗カルボン酸水溶液中に反応副生物として含まれるカルボン酸アミドを、カルボン酸アンモニウムに変換することで、最終的に製造されるカルボン酸の品質を高くすることができる。

Claims (17)

  1. カルボン酸アミドを含む粗カルボン酸水溶液を固体酸触媒と接触させることによって該カルボン酸アミドを加水分解する工程を含む、カルボン酸の製造方法。
  2. カルボン酸アミドを含む粗カルボン酸アンモニウム塩水溶液を脱塩した後、固体酸触媒と接触させることによって該カルボン酸アミドを加水分解する工程を含む、カルボン酸の製造方法。
  3. 該カルボン酸アミドを加水分解する工程において、該カルボン酸アミドを500[重量ppm/カルボン酸]以下に低減させる、請求項1又は2に記載のカルボン酸の製造方法。
  4. 前記粗カルボン酸水溶液が対応するニトリル化合物の加水分解反応によって得られたものである、請求項1から3の何れかに記載のカルボン酸の製造方法。
  5. 前記ニトリル化合物の加水分解を、ニトリラーゼ、及び/又はニトリルヒドラターゼとアミダーゼの組み合わせによって酵素触媒的に行う、請求項4に記載のカルボン酸の製造方法。
  6. 前記ニトリル化合物の加水分解が、ニトリラーゼによって行われる、請求項4に記載のカルボン酸の製造方法。
  7. 前記ニトリラーゼが、Acinetobacter属由来である、請求項5または6に記載のカルボン酸の製造方法。
  8. 前記Acinetobacter属が、Acinetobacter sp.AK226である、請求項7に記載のカルボン酸の製造方法。
  9. 前記固体酸触媒が、ゼオライト、強酸性陽イオン交換樹脂、ヘテロポリ酸塩、及び層状金属酸化物からなる群から選択される一種以上である、請求項1から8のいずれか1項に記載のカルボン酸の製造方法。
  10. 前記固体酸触媒が強酸性陽イオン交換樹脂であって、カルボン酸アミドを加水分解する工程において、使用する固体酸触媒により、該カルボン酸アミドの加水分解反応でカルボン酸アンモニウム塩を生成させると同時に、該カルボン酸アンモニウム塩をカルボン酸へ変換させるとともに不純物カチオンを除去する、請求項1から9のいずれか1項に記載のカルボン酸の製造方法。
  11. 前記カルボン酸を製造する工程の後、アニオン交換樹脂によって不純物アニオンを除去する工程をさらに含む、請求項10に記載のカルボン酸の製造方法。
  12. 前記カルボン酸を製造する工程の後、アニオン交換樹脂によって不純物アニオンを除去する工程と、カチオン交換樹脂によって不純物カチオンを除去する工程とをさらに含む、請求項10に記載のカルボン酸の製造方法。
  13. 前記カルボン酸が、α−ヒドロキシ酸である、請求項1から12のいずれか1項に記載のα−ヒドロキシ酸の製造方法。
  14. 前記α−ヒドロキシ酸が、乳酸またはグリコール酸である、請求項13に記載のα−ヒドロキシ酸の製造方法。
  15. 前記α−ヒドロキシ酸が、グリコール酸である、請求項13に記載のα−ヒドロキシ酸の製造方法。
  16. 請求項13から15のいずれか1項に記載の方法で得られたα−ヒドロキシ酸の水溶液を原料としてα−ヒドロキシ酸オリゴマーを合成する工程と、前記α−ヒドロキシ酸オリゴマーを解重合させてその環状二量体エステルを得る工程と、を含む、環状二量体エステルの製造方法。
  17. 請求項16に記載の方法で得られた環状二量体エステルを原料として開環重合反応でポリα−ヒドロキシ酸を得る工程を含む、ポリα−ヒドロキシ酸の製造方法。
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