JP2010234439A - 鍛造用金型装置及び鍛造素材の製造方法 - Google Patents

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篤実 福田
Masashi Nakano
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Abstract

【課題】長さL/直径Dの比が3以上の長尺の素材を据込鍛造することができる鍛造用金型装置を提供すること。
【解決手段】鍛造用金型装置1は、長さL/直径Dの比が3以上の棒素材2を全体加熱して据込鍛造する。鍛造用金型装置1は、棒素材2の下端面2aが載置されると共に、棒素材2の下端部の外周側面2cをクリアランスC1を介して支持する下型キャビティ4bを有する下金型4と、下降した際に、棒素材2の上端面2bを押圧する押圧部5aを有し、棒素材2の上端部の外周側面2cをクリアランスC2を介して支持する上型キャビティ5bを有する上金型5と、を備えている。上金型5及び下金型4は、棒素材2の長さ方向の中央部2dを拡径できる空間をあけた状態で、上金型5が下金型4の方向へ下降して、前記押圧部5aで前記棒素材2の上端面2bを長さ方向に押圧し中央部2dを拡径させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、鍛造する素材を据込鍛造する鍛造用金型装置及び鍛造素材の製造方法に関する。
近年、自動車用サスペンションアームは、車体の軽量化に伴い軽量のアルミニウム合金製鍛造品が使用されつつある。このような車体の軽量化の要請により、アルミニウム合金製鍛造品の使用をさらに拡大しようとする動きがある。自動車用サスペンションアームは、操舵性や乗り心地性の向上、及び、軽量化の要請に伴って、その機能や強度を十分に発揮できて、さらに、適切な応力分布が達成できるようにするために、複雑な形状を有するものが多く、一般に金型を用いた鍛造によって製造されている。
自動車用サスペンションアームのように複雑な形状の鍛造品を製造する場合は、一回の鍛造で完成品に仕上げることは困難である。このため、まず、丸棒素材に据え込みや曲げ加工等の予備成形を施して素形材の鍛造素材を形成した後、予備鍛造及び仕上鍛造を行って最終形状の鍛造完成品に仕上げている(例えば、特許文献1参照)。
従来、丸棒素材を予備成形する鍛造方法としては、特許文献1に開示されたアプセッタによる鍛造方法や、特許文献2に開示されたマルチラムプレスによる鍛造方法等がある。
アプセッタによる鍛造方法は、据込鍛造する丸棒素材の中央部を局部的に加熱して、冷間のままの両端部をグリップし、前記中央部を密閉金型内で据え込む方法である。
また、マルチラムプレスによる鍛造方法は、丸棒素材全体を加熱して密閉金型により中央部を据え込む方法である。
特開平06−315734号公報 特開2002−361354号公報
鍛造設計技術第2版、財団法人鍛造技術研究所、平成8年6月、P.271及びP.330
しかしながら、特許文献1に記載されたアプセッタによる鍛造方法では、丸棒素材を据込鍛造した後の鍛造工程を実施する場合に、両端部が冷間状態であることから、再度、丸棒素材全体を加熱しなければならないという問題点があった。また、この鍛造方法は、密閉型による方法であるので、据込鍛造する際の急激な内部圧力上昇を抑制することが容易ではない。このため、鍛造用金型装置を頑丈にしなければならず、装置全体が大型化するという問題点があった。
また、特許文献2に記載されたマルチラムプレスによる閉塞鍛造方法は、製品全体を金型で密閉拘束した状態で据込圧力を加えるため、大きなクランプ荷重が必要となり、大型プレスが必要であるという問題点があった。
例えば、製品投影面積が300cmの素材をマルチラムプレスで鍛造する場合、クランプ荷重は、
クランプ荷重=製品投影面積×内部圧力=300cm×4t/cm=1200t
となる。また、据込荷重は、
据込荷重=製品断面積×内部圧力=20cm×4t/cm=80t
となり、据え込みの内部圧力が高い。
さらに、閉塞鍛造方法では、上金型と下金型とを合致させて鍛造しているので、鍛造した際に、上金型と下金型との合わせ面に微小バリが発生する。このため、バリを除去するバリ取り工程が次の鍛造工程前に必要となるので、次工程で連続して鍛造することはできなかった。
そして、特許文献1に記載のアプセッタによる鍛造方法や、特許文献2に記載のマルチラムプレスによる鍛造方法等では、両端が小径の長尺の丸棒素材を小型プレス機で1回の加熱で鍛造することができなかった。
なお、自動車用サスペンション鍛造品等を細長い丸棒素材から製造する場合、1回の工程で必要な直径を据え込むには、丸棒素材の長さが直径の3倍以上のものを鍛造することが不可能であった(例えば、非特許文献1参照)。
また、従来、全体を加熱した丸棒素材の中央部を据え込んで拡径させる据込鍛造を小型のプレス機で行えるようにした鍛造用金型装置は存在していなかった。
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、長さL/直径Dの比が3以上の長尺の素材を、バリを発生させることなく据込鍛造することができる鍛造用金型装置及び鍛造素材の製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の鍛造用金型装置は、長さL/直径Dの比が3以上の棒素材を、全体を加熱した状態で中央部を拡径する据込鍛造を行う鍛造用金型装置であって、前記棒素材の下端面が載置されると共に、前記棒素材の下端部の外周側面をクリアランスを介して支持する下型キャビティを有する下金型と、下降した際に、前記棒素材の上端面を押圧する押圧部を有すると共に、前記棒素材の上端部の外周側面をクリアランスを介して支持する上型キャビティを有する上金型と、を備え、前記上金型及び下金型は、前記棒素材の長さ方向の中央部を拡径できる空間をあけた状態で、前記上金型が前記下金型の方向へ下降して、前記押圧部で前記棒素材の上端面を長さ方向に押圧し前記中央部を拡径させることを特徴とする。
かかる構成によれば、鍛造用金型装置で棒素材の中央部を拡径する据込鍛造をする場合は、鍛造する前に棒素材全体を加熱する。次に、その棒素材の下端部の外周側面を、クリアランスを介して下金型の下型キャビティ内に載置する。さらに、棒素材の上端部の外周側面を、クリアランスを介して上型キャビティで支持しながら下金型に対して上金型を下降させる。このとき、上金型は、棒素材の長さ方向の中央部を拡径できる空間をあけた状態で、下金型方向へ下降して、押圧部で棒素材の上端面を押圧して中央部を拡径させる。
棒素材は、上型キャビティ及び下型キャビティとの間に適宜な間隔のクリアランスと、中央部に開放された空間とがあることにより、上金型及び下金型に不完全な状態で部分接触している。このため、棒素材は、金型との接触による温度低下を最小限に抑えて、鍛造され易い温度の状態と、前記中央部が座屈しない状態とが維持されて鍛造される。さらに、棒素材は、上金型と下金型とが型合わせする部分を開放して前記中央部をフリーの状態で据込鍛造することにより、バリが全くない状態に拡径される。
このように、鍛造用金型装置は、棒素材の中央部を開放すると共に、その中央部以外を上型キャビティ及び下型キャビティで半拘束した状態でプレスすることにより、長さL/直径Dの比が3以上の長尺の棒部材であっても、鍛造することが可能となる。
請求項2に記載の鍛造用金型装置は、請求項1に記載の鍛造用金型装置であって、前記下型キャビティは、前記棒素材との前記クリアランスが前記棒素材の直径の0.5〜1.0%に設定されており、前記上型キャビティは、前記棒素材との前記クリアランスが前記棒素材の直径の0.5〜1.0%に設定されていると共に、抜き勾配が0.5〜1度に形成されていることを特徴とする。
かかる構成によれば、下金型の下型キャビティ及び上金型の上型キャビティは、棒素材との間のクリアランスが棒素材の直径の0.5〜1.0%からなると共に、上金型の抜き勾配が0.5〜1度に形成されていることにより、長さL/直径Dの比が3以上の長尺の棒素材であっても、鍛造時に棒素材が拡径される中央部を座屈させることなく支持することができる。
請求項3に記載の鍛造用金型装置は、請求項1または請求項2に記載の鍛造用金型装置であって、前記下金型は、その一部を構成する固定ブロックと、前記固定ブロックに対して接離可能に配置された可動ブロックと、を備え、前記可動ブロックは、摺動駆動装置によって前記固定ブロックに対して進退されることを特徴とする。
かかる構成によれば、下金型は、固定ブロックと可動ブロックとによって、棒素材の下端部が支持される略凹部状の下型キャビティを形成する。このため、棒素材を鍛造する際には、棒素材の下端部を下型キャビティ内に配置すればよい。鍛造加工終了後、棒素材を下型キャビティから取り出す際には、摺動駆動装置によって可動ブロックを移動させることにより、棒素材を容易に取り出すことができる。
請求項4に記載の鍛造用金型装置は、請求項3に記載の鍛造用金型装置であって、前記上金型は、前記下金型の外側面に沿って摺動するガイド部を有すると共に、前記上金型が前記下金型の方向へ移動する際に、前記固定ブロック及び前記可動ブロックに摺動可能に外嵌することを特徴とする。
かかる構成によれば、上金型は、上昇及び下降する際に、ガイド部が下金型の外周面に沿って摺動することにより、移動方向が所定方向に規制されている。この際に、上金型は、固定ブロック及び可動ブロックに摺動可能に外嵌して、可動ブロックが外側へ移動するのを抑制する。
請求項5に記載の鍛造素材の製造方法は、長さL/直径Dの比が3以上の棒素材全体を加熱する加熱工程と、前記棒素材の下端面を下金型の下型キャビティにクリアランスを介して載置し、前記棒素材の長さ方向の中央部を拡径できる空間をあけた状態で、かつ、上金型の上型キャビティにクリアランスを介して支持し、前記上金型を下降して前記上型キャビティの押圧部で、前記棒素材の上端面を押圧して前記中央部を拡径させる据込鍛造工程と、前記据込鍛造工程で鍛造した前記棒素材を再加熱することなく所定形状にプレス成形するプレス工程と、を含むことを特徴とする。
かかる構成によれば、加熱工程で全体を加熱された長さL/直径Dの比が3以上の棒素材は、中央部を拡径できる空間をあけた状態で、かつ、上下両端部の外周側面が上金型と下金型とで上下動可能に部分接触した状態に上型キャビティ及び下型キャビティに支持された後、上端面が押圧部に押圧されて中央部が部分的に拡径される。また、棒素材は、金型との間にクリアランスがあることにより、部分接触の状態で鍛造されるため、上金型及び下金型との接触で急冷されて熱が奪われえることがない。このため、棒素材は、次のプレス工程でも高温な状態が維持され、再加熱されることなく、所定形状にプレス成形される。
請求項6に記載の鍛造素材の製造方法は、請求項5に記載の鍛造素材の製造方法であって、前記据込鍛造工程は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の鍛造用金型装置で行い、前記プレス工程を鍛造装置で行うことを特徴とする。
かかる構成によれば、加熱工程で一度加熱された棒素材は、鍛造用金型装置で熱間据込鍛造された後、高温な状態が維持されているので、再加熱されずに連続してプレス工程で1回または複数回プレス加工することができる。
請求項7に記載の鍛造素材の製造方法は、請求項6に記載の鍛造素材の製造方法であって、前記鍛造素材は、自動車用サスペンション部品に成形されることを特徴とする。
かかる構成によれば、鍛造素材は、自動車用サスペンション部品に成形される。
本発明の請求項1に係る鍛造用金型装置によれば、長さL/直径Dの比が3以上の長尺の棒素材の中央部を拡径できる空間をあけた状態で据込鍛造することにより、バリを発生させずに拡径させることができる。鍛造用金型装置は、上型キャビティ及び下型キャビティによって、クリアランスと中央部の開放空間とを介して棒素材を上金型及び下金型に部分接触させて支持していることにより、棒素材が金型との接触により鍛造され易い適温より低い温度まで冷却されるのを抑制することができると共に、前記中央部が座屈しない状態に保持することができる。
本発明の請求項2に係る鍛造用金型装置によれば、上金型及び下金型は、下型キャビティ及び上型キャビティと棒素材との間のクリアランスを有すると共に、上金型に抜き勾配があることによって、長さL/直径Dの比が3以上の長尺の棒素材であっても、その棒素材の中央部が座屈することなく拡径されるように支持及び離型することができる。
本発明の請求項3に係る鍛造用金型装置によれば、棒素材を下型キャビティに配置する場合または取り出す場合には、摺動駆動装置によって可動ブロックを移動させて、固定ブロックから分離させることにより、加熱された状態の棒素材であっても容易に金型にセットしたり、取り出したりすることができる。
本発明の請求項4に係る鍛造用金型装置によれば、上金型は、ガイド部が下金型の上端部外周に外嵌されながら摺接して上昇及び下降することによって、ガタツキなく所定方向に動くように規制することができる。さらにそのときに、上金型は、固定ブロック及び可動ブロックに摺動可能に外嵌して、可動ブロックが外側へ移動してずれるのを抑制することができる。
本発明の請求項5に係る鍛造素材の製造方法によれば、加熱工程で全体加熱された棒素材は、据込鍛造工程で中央部を拡径される際に、中央部の周囲が開放されて、外周側面が上金型及び下金型に部分接触した状態で支持されて鍛造される。このため、棒部材は、上金型及び下金型との接触で急冷されることなく、かつ、バリが形成されることもないので、再加熱作業もバリ取り作業も不要である。その結果、棒素材は、次のプレス工程の際にも高温な状態が維持されているので、連続して次のプレス工程で熱間加工することができる。
本発明の請求項6に係る鍛造素材の製造方法によれば、据込鍛造工程を前記鍛造用金型装置で行ったことにより、棒素材にバリがなく、高温な状態に維持さているため、直に、次のプレス機によるプレス工程を行うことができる。
本発明の請求項7に係る鍛造素材の製造方法によれば、細長い棒素材を据込鍛造した鍛造素材から自動車用サスペンション部品を成形することができる。
本発明の実施形態に係る鍛造用金型装置及び鍛造素材の製造方法によって成形された鍛造素材の形状を工程順に示す概略図であり、(a)は材料取りした丸棒素材を示す断面図、(b)は据込鍛造した丸棒素材の断面図、(c)プレス加工した鍛造素材の断面図、(d)は完成品の斜視図である。 本発明の実施形態に係る鍛造用金型装置を示す要部断面図である。 本発明の実施形態に係る鍛造用金型装置の下金型の要部平面図である。 本発明の実施形態に係る鍛造素材の製造方法の工程図である。
以下、図面を参照して発明を実施するための形態を説明する。
なお、鍛造用金型装置1は、下金型4、上金型5等の設置方向を変更することにより適宜にその設置方向や駆動方向を変えることができるが、上金型5が上下方向に移動する場合を例に挙げて説明すると共に、便宜上、図面の前後左右方向を上下左右方向として説明する。
また、鍛造用金型装置1は、種々の形状及び材料からなる棒素材の中央部を拡径させる据込鍛造を行うことができるが、以下、その一例としてアルミニウム合金製の丸棒素材2を鍛造する場合を例に挙げて説明する。
≪丸棒素材(棒素材)及び鍛造素材の構成≫
図1(a)に示すように、丸棒素材2は、長さL/直径Dの比が3以上の長尺の丸棒からなり、連続鋳造装置(図示省略)による素材製造工程(図4のステップS1)によって長尺に形成したものを適宜な長さに切断(切断工程)して材料取りしたものである(図4のステップS2)。この丸棒素材2は、例えば、アルミニウム合金製の材料からなり、後記する鍛造用金型装置1によって未完成品である鍛造素材3に鍛造される。
その鍛造素材3は、次にプレス工程(図4のステップS5)でプレス機8により1回または複数回プレス加工することによって完成品9(例えば、自動車用サスペンションアーム等の自動車用サスペンション部品)に成形される。
≪鍛造用金型装置の構成≫
図1(b)に示すように、鍛造用金型装置1は、丸棒素材2の中央部2dを拡径させる鍛造を行う装置であり、特に、全体が加熱され長さL/直径Dの比が3以上の丸棒素材2を据込鍛造することが可能な装置である。
図2に示すように、鍛造用金型装置1は、それぞれ後記する下金型4と、上金型5と、摺動駆動装置6と、昇降装置(図示省略)と、ストッパガイドピン7とを備えて構成されている。鍛造用金型装置1は、下金型4と上金型5との間に支持した丸棒素材2を、上金型5を下降させることによって下方向に圧縮して、丸棒素材2の中央部2dを横方向に広げる熱間加工を行う装置である。
換言すると、鍛造用金型装置1は、丸棒素材2の下端部が挿入される下型キャビティ4bを有する下金型4と、丸棒素材2の上端面2bを押圧する押圧部5a、丸棒素材2の中央部2dを拡径させる逃がし空間5c、丸棒素材2の上端部が挿入される上側部型面53b及び上型下側部型面54bが形成された上型キャビティ5bを有する上金型5と、を備えて、上金型5を下降させて押圧部5aで丸棒素材2を押圧することにより、未完成の鍛造素材3に熱間鍛造する比較的小型の縦型プレス機である。
≪下金型の構成≫
図2に示すように、下金型4は、丸棒素材2の下端面2aが載置されると共に、丸棒素材2の下端部の外周側面2cをクリアランスC1を介して支持する金型である。この下金型4は、丸棒素材2を据込鍛造した際に、丸棒素材2の下端部が座屈変形しないように下型キャビティ4bで半拘束する支持部材の機能と、アールR1,R2等で丸棒素材2の中央部2dより下側部位を形成するダイの機能と、を備えている。下金型4は、それぞれ後記する下型固定ベース41と、下型ベース42と、下型固定ブロック43と、下型摺動ベース44と、下型摺動ブロック45と、を備えて構成されている。つまり、下金型4は、複数の下金型分割体を組み付けて形成されている。
その下金型分割体を組み付けた下金型4には、上型キャビティ5bの下端部が摺動自在に外嵌される上端部外周4aと、下金型4に丸棒素材2の下端部が挿入される略円柱状の空間を形成する下型キャビティ4bと、が形成されている。
上端部外周4aは、後記する下型固定ブロック43の左側外周面43cと、下型摺動ブロック45の右側外周面45cとによって四角柱の外面形状に形成され、上昇・下降する上金型5のガイド面となる。上端部外周4aの上部には、上側が先細になる勾配θ1(例えば、角度が3度程度)が形成されている。
下型キャビティ4bは、下型ベース42の底部型面42a及び左底側部型面42bと、下型摺動ベース44の右底側部型面44aと、下型固定ブロック43の左側部型面43bと、下型摺動ブロック45の右側部型面45aとによって略凹部状に形成されている。下金型4内の下型キャビティ4bと丸棒素材2との間のクリアランスC1は、丸棒素材2の直径Dの0.5〜1.0%である。
<下型固定ベースの構成>
下型固定ベース41は、下金型4全体を鍛造用金型装置1の装置本体(図示省略)上に載設する際に、その装置本体上にボルト締めされる金型基台であり、下金型4の最下端部に設置される。
<下型ベース(固定ブロック)の構成>
下型ベース42は、丸棒素材2の下端面2aが載置され、下型キャビティ4bの底部型面42a及び左底側部型面42bを形成する下金型分割体である。下型ベース42には、丸棒素材2の下端面2aが載置される底部型面42aと、丸棒素材2の下端部左側を支持する左底側部型面42bと、下型固定ブロック43が載設される固定ブロック載置面42cと、下型固定ブロック43の位置決め凸部43aが係合する位置決め溝42dと、下型摺動ベース44が載設される摺動ベース載置面42eと、下型摺動ブロック45が左右方向に移動される際のガイドをする摺動ブロックガイド部42f,42f(図3参照)と、が形成されている。この下型ベース42は、ボルトB1によって下型固定ベース41上に固定される。
底部型面42a及び左底側部型面42bは、丸棒素材2の下端面2a及び下端部左側の形状に合わせて有底半円状に形成されている。
<下型固定ブロック(固定ブロック)の構成>
図2に示すように、下型固定ブロック43は、丸棒素材2の下端部の外周側面2cの半分をクリアランスC1を介して支持する支持部材であり、下金型4の左側部型面43bを形成する下金型分割体である。
下型固定ブロック43には、前後方向に水平に延設された位置決め凸部43aと、前記左底側部型面42bに合致して円柱状の空間(下型キャビティ4bの一部)を形成する半円柱状の左側部型面43bと、左底側部型面42bの上端縁に形成されたアールR1と、上下動する上型ホルダ54のガイド部54aが摺接する左側外周面43cと、前後両端部に形成され、下型摺動ブロック45の係合切欠部45d,45d(図3参照)に係合する係合突起43d,43d(図3参照)と、が形成されている。下型ベース42は、ボルトB2によって下型ベース42上に固定されている。
また、下型固定ブロック43の左側外周面43cと上金型5の上型ホルダ54との間のクリアランスC4は、0.0mmである。左側外周面43cは、上金型5が上昇・下降する際に、上金型5のガイド部54aが摺動してガイドされるようになっている。
<下型摺動ベース(可動ブロック)の構成>
下型摺動ベース44は、下金型4の右底側部型面44aを形成する下金型分割体であり、下型ベース42の摺動ベース載置面42eに摺動可能な状態に載置されている。この下型摺動ベース44は、下型摺動ブロック45と共に摺動駆動装置6によって左右方向に移動される可動部材である。下型摺動ベース44には、左底側部型面42bに対向して配置され、この左底側部型面42bとで円柱状の空間(下型キャビティ4bの一部)を形成する右底側部型面44aと、下型摺動ブロック45を載置する摺動ブロック載置面44bと、下型摺動ブロック45の下面に形成した位置決め凸部45bが係合する位置決め溝44cと、が形成されている。下型摺動ベース44は、ボルトB3によって下型摺動ブロック45の下面に固定されている。
<下型摺動ブロック(可動ブロック)の構成>
下型摺動ブロック45は、下型固定ブロック43と合致することによって、左側部型面43bと右側部型面45aとで丸棒素材2の下端部が挿入される下型キャビティ4bの一部を形成すると共に、略四角柱形状の下金型4の上側外周部位を形成する下金型分割体である。下型摺動ブロック45には、前記左側部型面43bに合致して円柱状の空間(下型キャビティ4bの一部)を形成する半円柱状の右側部型面45aと、前後方向に水平に延設された位置決め凸部45bと、右側部型面45aの上端縁に形成されたアールR2と、上下動する上型ホルダ54のガイド部54aが摺接する右側外周面45cと、係合突起43dに係合して位置決め機能を果たす係合切欠部45d,45d(図3参照)と、摺動駆動装置6のピストンロッド61が連結されるフローティングジョイント45eと、が形成されている。
アールR2は、下型固定ブロック43のアールR1と同一の径で対向位置に形成されている。下型摺動ブロック45と上金型5の上型ホルダ54との間のクリアランスC3は、0.2mm程度である。
<摺動駆動装置の構成>
図2に示すように、摺動駆動装置6は、下型摺動ブロック45及び下型摺動ベース44を下型ベース42及び下型固定ブロック43に対して左右方向へ移動させる駆動装置であり、下型ベース42上に載設されている。摺動駆動装置6は、下型摺動ベース44に連結された下型摺動ブロック45を押し引きする前記ピストンロッド61と、ピストンロッド61を進退させるためのエアシリンダ62と、エアシリンダ62に動力源となる圧縮空気を送るエア供給源(図示省略)と、エア供給源を駆動制御する制御装置(図示省略)と、下型摺動ブロック45及び下型摺動ベース44を所定位置でまで摺動させたり、所定位置で停止させたりするための駆動信号を前記制御装置に送る位置検出用のオートスイッチ(図示省略)と、を備えて構成されている。
<昇降装置及びストッパガイドピンの構成>
昇降装置(図示省略)は、油圧等の流体圧供給装置(図示省略)からの流体圧によって上昇及び下降させることにより上金型5を上昇及び下降させる駆動装置である。
ストッパガイドピン7は、鍛造用金型装置1を使用しないときに、下金型4と上金型5を縦型プレスにセッティングしたり、使用時に取り外したりする部材である。
≪上金型の構成≫
上金型5は、昇降装置(図示省略)によって下降した際に、丸棒素材2の上端面2bを押圧する押圧部5aを有すると共に、丸棒素材2の上端部の外周側面2cをクリアランスC2を介して支持する金型である。この上金型5は、丸棒素材2の長さ方向の中央部2dを拡径できる空間をあけた状態で、下金型4の上端部外周4aに沿ってガイド部54aが摺動しながら、下金型4の方向へ下降されて、押圧部5aで丸棒素材2の上端面2bを押圧し長さ方向に圧縮して中央部2dを拡径させる。上金型5は、それぞれ後記する上型ベース51と、調整ブロック52と、上型サブホルダ53と、上型ホルダ54とを備えて構成されている。つまり、上金型5は、複数の上金型分割体を組み付けて形成されている。
図2に示すように、押圧部5aは、丸棒素材2の上端面2bを押圧するためのパンチであり、例えば、段付き円柱状に形成されている。この押圧部5aは、逆凹部状に形成された上型キャビティ5bの天井面に配置されている。
逃がし空間5cは、丸棒素材2の中央部2dが自由に拡径されて部分鍛造されるように形成された空間であり、上型キャビティ5b内のアールR3と、下型固定ブロック43及び下型摺動ブロック45の上面とによって形成されている。
上型キャビティ5bは、上金型5の凸部形状の空間を形成する窪みであり、丸棒素材2の上側と、下型固定ブロック43及び下型摺動ブロック45とが挿入される。上型キャビティ5bの内壁面と丸棒素材2の上端部の外周側面2cとの間には、クリアランスC2がある。上型キャビティ5bの下部は、下型固定ブロック43及び下型摺動ブロック45に合わせて四角柱状の空間に形成されている。上型キャビティ5bの中間部は、幅の広い四角柱の空間を形成する壁面からアールR3を介して丸棒素材2の直径Lより僅かに小さい内径の空間を形成する壁面に段付き状に縮径した状態に形成されている。上型キャビティ5bの上部は、上型下側部型面54b及び上側部型面53bによって、テーパ状の空間に形成されている。
前記クリアランスC2は、例えば、丸棒素材2の直径Dの0.5〜1.0%である。抜き勾配θ2(テーパ)は、0.5〜1度である。
<上型ベースの構成>
図2に示すように、上型ベース51は、前記昇降装置(図示省略)によって昇降される部材であり、上金型5の最上部に水平に配置された厚板部材からなる。この上型ベース51には、調整ブロック52と、上型サブホルダ53とがそれぞれボルト締めされている。
<調整ブロックの構成>
調整ブロック52は、前記押圧部5aを下面に形成した段付円柱状の上金型5の上金型分割体であり、上型ベース51及び上型サブホルダ53にわたって連続形成された調整ブロック設置孔51a,53a内に上側から挿入して締結部材で固定されている。この調整ブロック52の下面には、押圧部5aが形成され、上金型5が下降した際に、その押圧部5aが丸棒素材2の上端面2bを押圧して鍛造するパンチの役目を果たす。
<上型サブホルダの構成>
図2に示すように、上型サブホルダ53は、上型キャビティ5b内の天井面に前記押圧部5aを備えると共に、丸棒素材2の上端部をクリアランスC2を介して支持する上側部型面53bを有する上金型分割体である。上型サブホルダ53には、前記調整ブロック設置孔53aと、前記上側部型面53bと、下端面外周に突出形成された環状凸部53cとが形成されている。上型サブホルダ53は、ボルトB4により上型ベース51が固定され、この上型サブホルダ53は、ボルトB5により上型ホルダ54に固定されている。
上側部型面53bは、下側に向かって拡開したテーパ状の孔の内壁面からなり、丸棒素材2の上端部の外周側面2cを遊びがある状態に支持(半拘束)する部位である。このテーパ状の空間を形成する上側部型面53bの上端部は、前記調整ブロック52によって閉塞されている。
<上型ホルダの構成>
上型ホルダ54は、上下方向の中心線に沿って上型キャビティ5bが貫通した状態に形成されると共に、その中央に逃がし空間5cを形成するための段付き状のアールR3が形成された上金型分割体である。上型ホルダ54は、下降した際に、この上型ホルダ54のアールR3と、アールR3から所定間隔(逃がし空間5c)を介して配置された下型固定ブロック43及び下型摺動ブロック45のアールR1,R2とで、丸棒素材2の中央部2dを拡径させる形状を規制するダイの役目を果たす。上型ホルダ54には、角筒状に形成され開口部内縁に面取り状の傾斜面を有するガイド部54aと、このガイド部54aに縮径するように形成されたアールR3と、丸棒素材2の直径Dより大きな内径でテーパ状に形成された上型下側部型面54bと、上外縁に形成され前記環状凸部53cが係合するリング状切欠部54cと、が形成されている。
≪プレス機の構成≫
図1(c)に示すように、プレス機8は、鍛造用金型装置1で丸棒素材2を鍛造して形成された鍛造素材3を、再加熱せずに熱間プレス加工して、完成品9または完成前の製品に仕上げるプレス工程を行う装置であり、小型プレス機からなる。このプレス機8は、鍛造用金型装置1と同じ製造ライン上の隣接した位置に配置され、上型8aと下型8bとを備えている。
ここで、プレス加工とは、プレス機8に凸状部と凹状部からなる金型(上型8a及び下型8b)を取付けて、素材を金型の間に大きな圧力をかけて挟み込むことにより、その素材を加工・成形(せん断、曲げ、打抜き、絞り等)することをいう。つまり、プレス加工は、高温にした金属の塊をハンマや上金型で押圧することによって、金属を強くしたり、形を整えたりする加工方法であり、鍛造も含まれる。プレス機8とは、金型を加圧する機械をいう。
[鍛造用金型装置の作用及び工程]
次に、本発明の実施形態に係る鍛造用金型装置1の作用を鍛造素材3の製造方法の工程順に説明する。
≪素材製造工程≫
図4に示すように、まず、素材製造工程によって丸棒素材2の元となる長い丸棒形状の素材を形成する(ステップS1)。この素材製造工程では、アルミニウム合金等の溶湯から連続鋳造装置(図示省略)によって、例えば、直径Dが55mmの長尺の丸棒状鋳塊素材を連続鋳型形成する。
連続鋳造装置(図示省略)によって形成した丸棒素材2をさらに押出加工を施し組織や強度を改善した素材を使用してもよい。この押出加工は、必要に応じて行えばよい。
≪切断工程≫
次に、前記丸棒状鋳塊素材を所定の長さL(例えば642mm)に切断する切断工程を行う(ステップS2)。切断工程では、長尺の丸棒状鋳塊素材を切断機(図示省略)によって、長さL/直径Dの比が3以上の丸棒素材2に切断する材料取りを行う。
≪加熱工程≫
続いて、その丸棒素材2を加熱炉(図示省略)の中に入れて、丸棒素材2全体を加熱する加熱工程を行う(ステップS3)。加熱工程で丸棒素材2を加熱する温度は、丸棒素材2の材質によって、その丸棒素材2を鍛造するのに最適な温度(例えば、430℃〜540℃)まで加熱して所定時間(例えば、約60分)その状態に保持すればよい。
なお、本発明では、後記する据込鍛造工程時に、丸棒素材2の上下両端部を下金型4と上金型5とでしっかりと把持する必要がなく、上下動自在に支持するので、丸棒素材2の中央部2dを部分加熱することを解消して、全体加熱することを可能にした。
≪据込鍛造工程≫
前記丸棒素材2を熱間据込鍛造する据込鍛造工程では、まず、前記加熱炉(図示省略)と同じ製造ライン上に隣設された鍛造用金型装置1の上金型5を昇降装置(図示省略)で上昇状態にする。次に、下型摺動ブロック45及び下型摺動ベース44を摺動駆動装置6によって右側に寄せる。その後、加熱した丸棒素材2をクランパー(図示省略)で把持して下金型4の下型キャビティ4b及び上金型5の上型キャビティ5bに挿入して鍛造用金型装置1にセットする。前記下型摺動ブロック45及び下型摺動ベース44は、摺動駆動装置6によって、左側の下型固定ブロック43に寄せて、下金型4の下型キャビティ4bと丸棒素材2の下端部の外周側面2cとをクリアランスC1を介して支持する。
次に、上金型5を昇降装置(図示省略)で途中まで下降させて、丸棒素材2の上端部の外周側面2cをクリアランスC2を介して上型キャビティ5bによって遊びがある状態に支持すると共に、下金型4の上端部外周4aに上下動可能な状態に外嵌させる。
さらに、丸棒素材2の長さ方向の中央部2dの周囲を開放して逃がし空間5cを形成した状態で、上金型5を下金型4の上端部外周4aでガイドさせながら昇降装置(図示省略)で下降させて、上型キャビティ5b内の押圧部5aで、丸棒素材2の上端面2bを押圧して中央部2dを拡径させる据込鍛造を行う(ステップS4)。
上金型5は、下降する際に、ガイド部54aが下金型4の外周面に沿って摺動することにより、移動方向が所定方向に規制されている。さらに、この際に、上金型5のガイド部54aは、下型固定ブロック43及び下型可動ブロック45に摺動可能に外嵌して、下型可動ブロック45が右側へ移動してずれるのを抑制することができる。
この据込鍛造工程によってφ55mm×642mmの丸棒素材2は、据込鍛造されると、例えば、600mmの長さL1に圧縮され(据え込み代C:42mm)、中央部2dが約直径70mmに拡径される。
なお、この鍛造用金型装置1では、その丸棒素材2を580mm程度まで圧縮させて、直径を80mm程度まで1度の鍛造で行うことが可能である。
昇降装置(図示省略)が上金型5を下降させ据込鍛造する際の据込荷重は、例えば、
据込荷重=製品断面積×内部圧力=40cm×0.5t/cm=20t
である。つまり、前記特許文献2等のマルチラムプレスと比較した約1/4の据込荷重に低減させることができる。
鍛造用金型装置1は、丸棒素材2の中央部2dを拡径させる据込鍛造する際に、その中央部2dの周囲に逃がし空間5cが形成されてフリーの状態になっているので、丸棒素材2に必要以上の余分な力がかからず、加工時の変形抵抗値が小さいので、大きな据込荷重が不要である。このため、鍛造用金型装置1は、従来の据込鍛造用金型装置と比較して、据込荷重を小さくすることができるので、昇降装置(図示省略)及び鍛造用金型装置1全体を大幅に小型化することができる。
据込鍛造が行われた際、丸棒素材2は、中央部2dが逃がし空間5cによってフリーの状態に解放され、下側部位及び上側部位が略円柱状の窪みでなる下型キャビティ4b及び上型キャビティ5bによって曲がらないように支持されていることにより、長さL/直径Dの比が3以上の長い丸棒素材2であっても座屈することなく据込鍛造される。
また、丸棒素材2を拡径させる中央部2dが位置する箇所には、下金型4と上金型5との間に逃がし空間5cがあることにより、型合わせ面がないため、バリが形成されることがない。
丸棒素材2の周囲には、下金型4の下型キャビティ4bとの間のクリアランスC1と、上金型5の上型キャビティ5bとの間のクリアランスC2と、中央部2dの周囲の逃がし空間5cとがあることにより、クリアランスC1,C2及び逃がし空間5c内に熱伝導率が低い空気が介在されて、加熱された熱が逃げ難くなっている。さらに、丸棒素材2は、複数の分割体からなる下金型4及び上金型5によって、金型に対して完全せずに部分接触する状態に支持されているので、冷却され難くなっている。このため、据込鍛造が行われた際に、金型との接触による温度の低下を最小に抑制することができる。その結果、温度が低下しない分だけ高温の状態で熱間鍛造できるので、良好に鍛造することができる。なお、据込鍛造開始時の温度は約410℃〜520℃であり、据込鍛造終了時の温度は約360℃〜470℃である。
鍛造用金型装置1での丸棒素材2の鍛造が終了したら、上金型5を昇降装置(図示省略)で上昇状態させて、上金型5を丸棒素材2から分離させる。このとき、上型キャビティ5bには、抜き勾配θ2(テーパ)とクリアランスC2が形成されていることにより、スムーズに分離させることができる。さらに、下型摺動ブロック45及び下型摺動ベース44を摺動駆動装置6によって右側に移動させて、下型ベース42から離して下金型4を分割させた状態にする。このとき、下型摺動ブロック45及び下型摺動ベース44は、下金型4が複数の下金型分割体によって分離できることにより、丸棒素材2との接触面積が小さいため、比較的小さな引張力で容易に分離させることができる。
このようにして、下型摺動ブロック45及び下型摺動ベース44を右側に寄せた後、丸棒素材2(鍛造素材3)クランパー(図示省略)で把持して、鍛造用金型装置1と同じ製造ライン上に隣設されたプレス機8の金型にセットする。
≪プレス工程≫
前記したように丸棒素材2の温度が高温の状態に維持されていることから、次のプレス工程では、再度、丸棒素材2(鍛造素材3)を加熱することなく、さらに、バリが全くないのでバリ取り作業も行うことなく、直に、プレス加工することができる(ステップS5)。このプレス工程では、小型のプレス機8により連続して所定形状にプレス加工することができるので、丸棒素材2(鍛造素材3)の加工工数及び加工時間を削減して、スピーディに生産することができる。プレス工程では、プレス機8等によって、1回または複数回プレス加工して完成品9である自動車用サスペンション部品に仕上げる。なお、プレス加工開始時の温度は約360℃〜470℃であり、プレス加工終了時の温度は約310℃〜470℃である。
[変形例]
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造及び変更が可能であり、本発明はこれら改造及び変更された発明にも及ぶことは勿論である。
前記実施形態では、アルミニウム合金製の自動車用サスペンション部品を鍛造する場合を例に挙げて説明したが、他の金属や合金等からなる他の鍛造製品にも適用できることは勿論である。
また、棒素材として、長さLが642mm、直径Dが55mmのアルミニウム合金製の丸棒素材2を据込鍛造する場合を例に挙げて説明したが、他の鍛造製品を鍛造する場合は、その大きさや材料に応じて加熱温度、加熱時間、据込荷重、下型キャビティ4b及び上型キャビティ5bの形状、大きさ等を適宜に調整すればよい。
1 鍛造用金型装置
2 丸棒素材(棒素材)
2a 下端面
2b 上端面
2c 外周側面
2d 中央部
3 鍛造素材
4 下金型
4a 上端部外周
4b 下型キャビティ
5 上金型
5a 押圧部
5b 上型キャビティ
5c 逃がし空間
6 摺動駆動装置
8 プレス機
9 完成品(自動車用サスペンション部品)
42 下型ベース(固定ブロック)
43 下型固定ブロック(固定ブロック)
44 下型摺動ベース(可動ブロック)
45 下型摺動ブロック(可動ブロック)
54 上型ホルダ
54a ガイド部
C1,C2,C3,C4 クリアランス
L 丸棒素材の長さ(棒素材の長さ)
D 丸棒素材の直径(棒素材の長さ)
S3 加熱工程
S4 据込鍛造工程
S5 プレス工程
θ1 勾配
θ2 抜き勾配

Claims (7)

  1. 長さL/直径Dの比が3以上の棒素材を、全体を加熱した状態で中央部を拡径する据込鍛造を行う鍛造用金型装置であって、
    前記棒素材の下端面が載置されると共に、前記棒素材の下端部の外周側面をクリアランスを介して支持する下型キャビティを有する下金型と、
    下降した際に、前記棒素材の上端面を押圧する押圧部を有すると共に、前記棒素材の上端部の外周側面をクリアランスを介して支持する上型キャビティを有する上金型と、を備え、
    前記上金型及び下金型は、前記棒素材の長さ方向の中央部を拡径できる空間をあけた状態で、前記上金型が前記下金型の方向へ下降して、前記押圧部で前記棒素材の上端面を長さ方向に押圧し前記中央部を拡径させることを特徴とする鍛造用金型装置。
  2. 前記下型キャビティは、前記棒素材との前記クリアランスが前記棒素材の直径の0.5〜1.0%に設定されており、
    前記上型キャビティは、前記棒素材との前記クリアランスが前記棒素材の直径の0.5〜1.0%に設定されていると共に、抜き勾配が0.5〜1度に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の鍛造用金型装置。
  3. 前記下金型は、その一部を構成する固定ブロックと、
    前記固定ブロックに対して接離可能に配置された可動ブロックと、を備え、
    前記可動ブロックは、摺動駆動装置によって前記固定ブロックに対して進退されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鍛造用金型装置。
  4. 前記上金型は、前記下金型の外側面に沿って摺動するガイド部を有すると共に、
    前記上金型が前記下金型の方向へ移動する際に、前記固定ブロック及び前記可動ブロックに摺動可能に外嵌することを特徴とする請求項3に記載の鍛造用金型装置。
  5. 長さL/直径Dの比が3以上の棒素材全体を加熱する加熱工程と、
    前記棒素材の下端面を下金型の下型キャビティにクリアランスを介して載置し、前記棒素材の長さ方向の中央部を拡径できる空間をあけた状態で、かつ、上金型の上型キャビティにクリアランスを介して支持し、前記上金型を下降して前記上型キャビティの押圧部で、前記棒素材の上端面を押圧して前記中央部を拡径させる据込鍛造工程と、
    前記据込鍛造工程で鍛造した前記棒素材を再加熱することなく所定形状にプレス成形するプレス工程と、を含むことを特徴とする鍛造素材の製造方法。
  6. 前記据込鍛造工程は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の鍛造用金型装置で行い、
    前記プレス工程を鍛造装置で行うことを特徴とする請求項5に記載の鍛造素材の製造方法。
  7. 前記鍛造素材は、自動車用サスペンション部品に成形されることを特徴とする請求項6に記載の鍛造素材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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