JP2010233187A - 干渉検出装置、干渉回避装置、無線通信装置、無線ネットワークシステム、干渉検出方法、干渉回避方法及びプログラム - Google Patents

干渉検出装置、干渉回避装置、無線通信装置、無線ネットワークシステム、干渉検出方法、干渉回避方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】無線LANにおいて、適切に電波干渉を検出し、それを回避する。
【解決手段】干渉検出部は、無線通信装置における無線データ通信に関する統計情報に基づいて、干渉による無線品質の低下を検出する(ステップ407)。干渉検出部は、取得された通信状況から得られる複数種類の統計情報に基づいて、干渉による無線品質低下を回避する回避動作を決定する(ステップ402、407、409、410、411及びステップ412、413、414、415)。
【選択図】図4

Description

本発明は、無線LANなどにおいて、本来受信すべき信号以外の電波を受信して、通信状態が劣化する現象、すなわち干渉を検出する干渉検出装置、干渉を回避する干渉回避装置、該干渉検出装置及び該干渉回避装置の少なくとも一方を備える無線通信装置、該無線通信装置を備える無線ネットワークシステム、干渉を検出する干渉検出方法、干渉を回避する干渉回避方法、及び干渉の検出又は回避をコンピュータに実行させるプログラムに関する。
従来から、無線LANなどにおいて、干渉を検出する干渉検出方法や、その干渉を回避するための干渉回避方法を提供する方法が、開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1によれば、無線品質の低下の一因として、電子レンジなどの干渉源による妨害などを挙げている。この方法によれば、そのような干渉源からの干渉を検出すべく、パケット送信前に干渉波のレベルとしてのED(EnergyDetect)値を測定し、送信したパケットに対するAckエラーを検出する。測定されたED値が閾値を超過し、Ackエラーが検出された場合に、干渉の発生が検出される。
この方法を実現するためには、無線通信装置内に、ED値を測定するED値検出回路や、Ackエラーの検出を行うAckエラー検出回路が必要となる。これらの回路は、一般的な無線通信装置には、実装されていないため、新規に実装する必要がある。これらの回路を実装すると、無線通信装置の価格が上がり、装置の大きさにも影響が出る。
また、この方法では、ED値を測定する手順と、ED値が設定した閾値を超えているか否かを判断する手順と、送信されたパケットに対するAckエラーを検出する手順とを、パケットを送信する度に行う必要がある。このため、パケットを送信する際の手順が煩雑となり、その手順を実行する時間を確保する必要がある。
さらに、特許文献1には、送信タイミングを変更することにより、干渉を回避する方法が開示されている。しかし、送信タイミングを変更して干渉を回避するためには、その干渉の周期を把握して、送信タイミングを変更する必要があるので、手順が煩雑になる。また、干渉波が定常的に発生する空間においては、送信タイミングを変更しても、干渉を回避するのは困難である。
一方、無線LAN(Local Area Network)ネットワークにおいて、近傍に存在する複数の端末が、同じチャネルで、異なる伝送レートを用いて通信を行う場合、1フレームを送信するために必要な時間は、高い伝送レートでの伝送よりも、低い伝送レートでの伝送の方が長くなる。これにより、高い伝送レートを用いた端末が、データ送信を待つ時間が長くなり、伝送レートが低下する現象が発生する。この現象を、パフォーマンス・アノマリー(以下、「Performance Anomaly」とする)という(例えば、非特許文献1参照)。
無線LANネットワークでは、端末が、アクセスポイント(以下、「AP」と略述する)に接続する際に、AP側において、Performance Anomalyの発生を検出する技術が存在する。しかし、アドホックネットワークや、影響を与える端末が異なるネットワークのAPに接続している場合に、それぞれの端末においてPerformance Anomalyを検出するには、近傍に存在する端末の伝送レートを検出する必要があるが、現状では行われていない。
再送の繰り返しによる伝送レートの低下が周辺機器に与える影響を排除する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、他の端末により、引き起こされるPerformance Anomalyを検出し、回避する手段を提供する技術や、干渉も考慮してPerformance Anomalyによる無線品質の低下を回避する技術は未だ提供されていない。
一方、無線LANネットワークにおいて、通信エリアの境界近くの無線リンクの存在により、干渉による無線品質が低下する現象が発生することがある。しかし、無線通信範囲の境界近くにおける品質低下現象については、原因を干渉と特定し、それを回避する技術が未だ提供されるには至っていない。
通信エリアの境界近くの無線リンクの存在により発生する干渉は、無線LANの伝送レートにおける無線変調方式の差などが原因として考えられる。一般的に、データ転送能力が高い変調方式は干渉に弱いため短い距離でしか通信できないのに対し、データ転送能力が低い変調方式は干渉に強いため長距離通信が可能となる。このため、高レートの通信を行っている端末からは、低レートで通信している無線リンクを捕捉することができるが、低レートの通信を行っている端末からは、高レートのデータ通信を雑音とみなしてしまう場合がある。この場合、その端末は、データ送信を行い続けるため、干渉が発生する。このように、同一チャネルにおいて異なる変調方式を用いた場合には、高レートのデータ通信が低レートのデータ通信の干渉を受け、無線品質が低下する場合がある。
この他にも、無線LANネットワークにおいて干渉を検出したり、回避したりするシステムとして、無線通信の干渉を検出するために無線ネットワーク監視用サーバを配備するシステム(例えば、特許文献3)や、APと端末の間で特殊なメッセージをやり取りして干渉を検出するシステム(例えば、特許文献4)などが開示されている。しかしながら、これらのシステムについても、干渉の検出のために、監視サーバを備えたり、他のノードと検出用のデータを送受信したりする必要があるので、多大なコストがかかり、既存の無線通信装置、システムを流用するのが困難となる。また、干渉回避策が限定されているため、様々な要因により発生する干渉を常に有効に回避できるとは限らない。
特開2008−54303号公報 特開2008−131649号公報 特開2006−352660号公報 特開2008−312194号公報
M. Heusse, F. Rousseau, G. Berger-Sabattel and A. Duda, "Performance Anomaly of IEEE 802.11b", Proc. of INFOCOM 2003
上述のように、無線通信装置における電波干渉の検出には、次のような不都合がある。
(1)干渉検出用の回路を新規に無線通信装置に組み込む必要がある。この結果、無線通信装置の価格が上がり、装置の大きさも大きくなる。また、既存の無線通信装置をそのまま用いることができない。
(2)通信タイミングを変更しても、干渉源が定常的に干渉波を発信している場合には、干渉を回避し、無線通信状況を改善することができない。
(3)他の無線ネットワークに接続された無線LAN機器により、引き起こされるPerformance Anomalyを検出し、回避することができない。また、干渉も考慮してPerformance Anomalyによる無線品質の低下を回避することができない。
(4)通信エリアの境界近くの無線リンクの存在により発生する干渉を検出し、回避することができない。
(5)無線品質を低下させる原因は様々であり、干渉回避策が固定であると、常に無線品質を回復できるとは限らない。
(6)無線システムとして、追加で干渉を検出する機器を配置したり、通信可能である機器同士で特別な信号をやり取りしたりする必要があるため、システムの価格上昇や、既存の無線通信装置をそのまま用いることができないなどの弊害が生じる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、干渉を適切に検出又は回避することができる干渉検出装置、干渉回避装置、無線通信装置、無線ネットワークシステム、干渉検出方法、干渉回避方法及びプログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る干渉検出装置は、
データ無線通信の無線状況から得られる統計情報に基づいて、干渉による無線品質の低下を検出する品質低下検出部と、
前記無線状況から得られる複数種類の統計情報に基づいて、干渉による無線品質低下を回避する動作を決定する回避動作決定部と、
を備える。
また、本発明の第2の観点に係る干渉回避装置は、
本発明の第1の観点に係る干渉検出装置を構成する回避動作決定部により決定された動作を行う。
また、本発明の第3の観点に係る無線通信装置は、
本発明の第1の観点に係る干渉検出装置と、
本発明の第2の観点に係る干渉回避装置と、
を備える。
また、本発明の第4の観点に係る無線ネットワークシステムは、
本発明の第3の観点に係る無線通信装置をノードとして含む。
また、本発明の第5の観点に係る干渉検出方法は、
データ無線通信の無線状況から得られる統計情報に基づいて、干渉による無線品質の低下を検出する品質低下検出工程と、
前記無線状況から得られる複数種類の統計情報に基づいて、干渉による無線品質低下を回避する動作を決定する回避動作決定工程と、
を含む。
また、本発明の第6の観点に係る干渉回避方法は、
本発明の第5の観点に係る干渉検出方法により決定された動作を行うように無線通信装置を制御する。
また、本発明の第7の観点に係るプログラムは、
データ無線通信の無線状況から得られる統計情報に基づいて、干渉による無線品質の低下を検出する品質低下検出手順と、
前記無線状況から得られる複数種類の統計情報に基づいて、干渉による無線品質低下を回避する動作を決定する回避動作決定手順と、
をコンピュータに実行させる。
また、本発明の第8の観点に係るプログラムは、
前記回避動作決定手順で決定された動作を行う回避動作手順、
をコンピュータに実行させる。
本発明によれば、無線状況に関する統計情報に基づいて、干渉による品質の低下を検出する。これにより、新規な制御パケットの送受信を行い、その制御パケットを処理する機能を有する装置を追加する必要がなく、干渉を適切に検出し、回避することができる。また、複数種類の統計情報に基づいて、干渉の要因に応じた回避動作を決定するので、その要因に関わらず、干渉を適切に検出し、回避することができる。
本発明の一実施形態に係る無線ネットワークシステムの構成例を示す図である。 図1の無線ネットワークシステムにおいて構築された無線LANネットワークの構成を示す図である。 図1の無線ネットワークシステムを構成する無線通信装置の構成を示すブロック図である。 干渉検出回避処理(その1)のフローチャートである。 回避策の緩和又は解除を説明するための図である。 干渉検出回避処理(その2)のフローチャートである。
次に、本発明の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る無線ネットワークシステム1は、無線通信装置として、AP101、端末102、AP103、端末104を備える。これらAP101、103により、ホットスポットが提供されている。
AP101、103各々の通信エリアの大きさは、その無線LANの通信速度(伝送レート)に応じて決まる。AP101は、その通信エリアに、無線接続端末102を含んでいるが、無線接続端末104を含んでいない。一方、AP103は、その通信エリアに、無線接続端末102、104を含んでいる。
図2に示すように、AP101と無線接続端末102とで、無線LANネットワーク205が構成されている。AP103と無線通信端末104とで無線LANネットワーク206が構成されている。AP101、103の間隔Mは、その間に、電波が届かないエリアができるだけ存在しないような距離となっている。本実施形態では、無線LANネットワーク205と無線LANネットワーク206とでは、異なる無線LANの伝送レートが設定されている。
無線接続端末102からの送信電波は、AP103にとって、無線LANネットワーク206以外からの到来電波であり、これが雑音となって、無線接続端末104からの送信電波との干渉を引き起こす。
AP101、103、端末102、104は、このような干渉を検出し、これを回避する。以下、干渉を検出、回避するためのこれらの構成及び動作について説明する。図3に示す無線通信機器301は、AP101、103、端末102、104のいずれかとして用いることができ、他の無線機器としても用いることができる。
図3に示すように、無線通信装置301は、アンテナ302、無線通信部303、無線通信制御部304、アプリケーション機能部305を備える。
アンテナ302は、無線電波を送受信する。無線通信部303は、無線通信制御部304の制御の下、アンテナ302を介して、無線通信を行う。無線通信部303は、受信されたデータ、近傍における無線状況、無線通信制御部304から受けた要求の回数、その成否等の情報など、この無線通信の過程で得られる各種データを取得し、記憶する。無線通信部303は、それらの情報を、無線通信制御部304が取得するためのインターフェイスを有している。
無線通信制御部304は、無線通信部303を制御する。無線通信制御部304は、データ送信部306、データ受信部307、情報取得部308、機能設定部309を備える。
データ送信部306は、アプリケーション機能部305のアプリケーション310からの送信要求を受信すると、その送信要求に係るデータを、アンテナ302を介して送信するように無線通信部303を制御する。また、データ送信部306は、送信されたデータが、エラーや不具合等により送信相手へ到達できなかった場合に、そのデータを再度送信するように、無線通信部303を制御する。
データ受信部307は、無線通信部303がアンテナ302を介して受信したデータを、アプリケーション機能部305のアプリケーション310に転送する。
情報取得部308は、無線通信部303が、記憶する各種データを取得する。情報取得部308は、取得されたデータを用いて必要に応じて演算を行い、必要なデータを取得する。このようにして取得されたデータには、例えば、無線電波強度(以下、「RSSI」と略述する)、信号対雑音比(以下、「SN比」と略述する)、近傍における無線状況、無線通信部303にて送受信されたデータ量、パケットロス率、キャリアセンス時間、再送信回数、総送信回数、データ送受信時における無線通信部303の処理結果(エラー又は不具合の内容、エラー又は不具合の発生回数など)などがある。これらのデータは、無線によるデータ通信制御により得られる情報であり、その中には、RSSI、SN比など、その通信に関する統計情報が含まれている。
情報取得部308は、上述した情報以外の情報であっても、無線通信部303が有する情報やその情報を用いて演算により得られる情報であれば、取得可能である。情報取得部308は、アプリケーション310から呼び出されることもあるが、図3では、アプリケーション310との関係の図示が省略されている。
機能設定部309は、伝送レート、送信電力、送信パケット長、最大再送信回数、キャリアセンス範囲、無線LANのチャネルなどの送信パラメータを、無線通信部303に設定する。これらの送信パラメータには、初期値があり、機能設定部309は、電源投入後の初期化時に、これらの初期値を無線通信部303に設定している。機能設定部309は、アプリケーション310から呼び出されることもあるが、図3では、アプリケーション310との関係の図示が省略されている。
このように、無線通信制御部304は、アプリケーション機能部305から無線通信部303に対する要求を無線通信部303へ伝えるデバイスドライバとして動作する。
アプリケーション機能部305は、CPU、各種メモリ、タイマ等(いずれも不図示)を有している。CPUが、各種メモリに格納されたソフトウエアプログラムを実行することにより、アプリケーション機能部305の機能が実現される。このため、アプリケーション機能部305では、各種機能の変更・追加が容易となる。アプリケーション機能部305は、アプリケーション310、干渉検出装置としての干渉検出部311、干渉回避装置としての干渉回避部312、データ保存部313を備える。
アプリケーション310は、使用者又は無線通信装置301のベンダによって組み込まれる。無線通信装置301を動作させる際には、使用者等は、目的に応じてアプリケーション310を動作させる。この動作の結果、アプリケーション310の指示による無線通信制御部304の制御の下、無線通信部303において無線通信が行われる。
アプリケーション310は、無線通信制御部304のデータ送信部306に対して、無線通信部303を介してデータを送信する要求を発するとともに、データ受信部307を介して、無線通信部303からデータを受信する。アプリケーション310は、データ送受信以外の処理も実行可能である。
干渉検出部311は、無線通信制御部304の情報取得部308から、干渉の検出に必要な情報を取得する。より具体的には、干渉検出部311は、RSSI、SN比、近傍における無線状況、無線通信部303にて送受信されたデータ量、パケットロス率、キャリアセンス時間、再送信回数、総送信回数、データ送受信時における無線通信部303の処理結果など、情報取得部307によって取得された情報を取得する。
干渉検出部311は、取得された情報に基づく統計情報に基づいて、干渉による無線品質の低下を検出する。必要であれば、干渉検出部311は、情報取得部307から取得された通信に関する統計情報を用いて演算を行い、無線品質の低下の検出に必要となる統計情報を算出する。干渉検出部311によって取得され又は算出された統計情報を含む各種情報は、データ保存部313に保存される。
さらに、干渉検出部311は、干渉による無線品質の低下が検出されると、取得された又は算出された複数種類の統計情報に基づいて、干渉を回避するのに必要な回避動作を決定する。そして、干渉検出部311は、決定された回避動作を行うための干渉回避命令を、干渉回避部312に通知する。干渉回避命令は、回避動作を実行するために必要なデータを、機能設定部309を介して、無線通信部303に設定するための命令である。
干渉回避部312は、干渉検出部311から通知される干渉回避命令を受信する。干渉回避部312は、受信された干渉回避命令にしたがって、無線通信部303に通信条件を設定するように、機器設定部309に設定要求を行う。これにより、回避動作が実行される。
干渉回避部312は、干渉回避命令やその命令により設定される通信条件、それまで機能設定部309により設定されていた通信条件等を、データ保存部313に保存する。干渉回避部312は、データ保存部313において保存されたデータに基づいて学習を行い、その学習結果に応じて、回避動作を変更又は調整することができるようになっている。
さらに、干渉回避部312は、データ保存部313に保存された、各種統計情報、回避動作の履歴に基づいて、無線状況の変動、回復が検出された場合、回避動作の段階的な緩和又は解除を行う。
データ保存部313には、干渉検出部311や干渉回避部312から送られた各種データを保存する。より具体的には、干渉検出部311から送られる各種統計情報、干渉回避部312から送られる回避動作の履歴を保存する。保存されたデータは、干渉検出部311や、干渉回避部312によって読み出すことができるようになっている。
次に、本実施形態に係る無線通信装置301における干渉検出回避処理について説明する。
<ステップ401:無線状況の取得>
図4に示すように、まず、干渉検出部311は、通信エリアにおける無線状況を情報取得部308から取得する(ステップ401)。例えば、ここで取得される情報としては、RSSI、SN比、近傍における無線状況、無線通信部303にて送受信されたデータ量、パケットロス率、キャリアセンス時間、再送信回数、総送信回数、データ送受信時における無線通信部303の処理結果などがある。取得された情報は、データ保存部313に保存される。
これらの情報の取得は、周期的に(周期監視の下で)行われるようにしてもよいし、他の構成要素、例えば、データ受信部307やアプリケーション310からの通知を契機として行われるようにしてもよい。例えば、パケットロス率が、閾値を超えた場合に、データ受信部307やアプリケーション実行部310が、干渉検出部311に通知するようにしてもよい。周期監視は、干渉検出部311やアプリケーション310などにおいてタイマ監視を実行することにより、実現することができる。
<ステップ402:低レート無線リンクの検出ほか>
続いて、干渉検出部311は、ステップ402A及びステップ402Bの2つの処理を行う(ステップ402)。これらの処理については、順番はいずれが先に実行されるようにしても良いし、同時に実行しても良い。
まず、ステップ402Aについて説明する。干渉検出部311は、情報取得部308から取得された情報に基づいて、自無線通信機器の伝送レートより低い伝送レートで通信する無線通信機器(無線リンク)が存在するか否かを検出する(ステップ402A)。
無線LANでは、制御情報(ビーコンなど)は、低い伝送レートで送信される。このため、近傍の無線状況を確認する際に、近傍に存在する無線LAN端末を補足できる。これを利用して、制御情報では存在が確認できるが、データを送受信することができない無線通信機器が存在するか否かを確認する。このような場合には、自無線通信機器の伝送レートより低い伝送レートで通信する無線通信機器(無線リンク)が存在すると判定することができる。
ここでは、自分が接続する無線ネットワークと異なるネットワーク内の無線リンクであっても検出される。すなわち、検出される無線リンクには、他の無線機器と通信している無線機器(例えば、隣家のアクセスポイント)も含まれる。
なお、ステップ402Aでは、上述した方法以外の方法により、低レート無線リンクの存在を検出してもよいのは勿論である。検出結果は、データ保存部313に保存される。
続いて、ステップ402Bについて説明する。干渉検出部311は、スループットが想定以上であるか否かを判定する(ステップ402B)。スループットが想定以上であるか否かは、機器設定部309によって無線通信部分303に設定された伝送レートから想定される理論的なスループットと、情報取得部308から取得される実際のスループットとの差分が閾値以上であるか否かを判定することにより行われる。この判定の結果と算出された差分は、統計情報として、データ保存部313に格納される。
干渉検出部311は、この低レート無線リンクの検出結果と、無線機器のスループットとに基づいて、Performance Anomalyや、無線境界に無線機器が存在することを検出する。干渉検出部311は、Performance Anomalyが検出された後も、引き続き干渉検出処理を続行することにより、干渉も考慮したPerformance Anomalyの検出、及びその回避を行う。
なお、ここでは、上述した処理のほかに、Performance Anomalyの検出精度を向上させる他の処理を、追加してもよい。すなわち、Performance Anomalyを検出するための情報であれば、無線通信部303から取得できる情報や、他のハードウェアから取得した情報などあらゆる情報を用いて、Performance Anomalyの検出精度を向上させるようにしてもよい。
<ステップ403:ビジー率の算出>
続いて、干渉検出部311は、情報取得部308から取得された情報に基づいて、無線帯域の使用状況を求め、ビジー率を算出する(ステップ403)。
ビジー率は、キャリアセンス時間を用いて算出される。キャリアセンスとは、無線機器において送信するデータが発生した際に、近傍の無線状況を確認するために行われる動作をいう。
無線通信装置301は、データを送信する際に、他のノードによってデータが送信中であるか、又は、他のノードによってデータ送信を行う旨の通知が行われているかを確認する必要がある。無線LANにおいては、無線帯域が他のノードによって使用中であった場合は、その帯域使用が終了するまで待つ。待っている間、無線通信装置301は、無線ネットワークの終了を確認するためにキャリアセンスを実施する。このキャリアセンスを実施している時間がキャリアセンス時間である。キャリアセンス時間は、無線帯域監視時間ともいう。ビジー率は、単位時間当たりのキャリアセンス時間である。
ビジー率は、無線LANシステムのバックオフタイムに基づいて算出することも可能である。無線LANでは、データ送信時に、周辺の無線状況を確認し、他のノードがデータを送信している場合には、バックオフタイムを削減せずに待ち、他のノードがデータを送信していない場合には、バックオフタイムを削減する。ここで、バックオフタイムを削減せずに待っている時間を計測し、単位時間当たりのバックオフタイムを削減せずに待っている時間を算出する。この算出値がビジー率となる。なお、バックオフタイムによるビジー率の算出方法に関しては、送信前のバックオフ時間を決める際の待ち時間を入れるか否かなどによって、その算出結果が変化することがある。
また、ビジー率の算出方法については、公知の方法(例えば、上記特許文献4に記載の方法)を用いても良く、これに限定されないのは勿論である。算出された無線帯域のビジー率は、単位時間毎に、データ保存部313に保存される。
<ステップ404:衝突確率の算出>
続いて、干渉検出部311は、データの衝突確率を算出する(ステップ404)。データの衝突確率は、近傍の無線状況、例えば存在する無線端末数、端末の無線伝送速度(伝送レート)、存在する端末が送信するデータ長、無線帯域上にデータを送信している時間及び台数などに基づいて算出される。このようなデータの衝突確率の算出方法は、公知であり、例えば、特開2006−236990号公報に記載されている。算出された衝突確率は、データ保存部313に保存される。
<ステップ405:再送率の閾値Aの算出>
続いて、干渉検出部311は、総送信回数、再送信回数に基づいて、再送率を算出する(ステップ405)。再送率とは、無線端末が、データを送信した総送信回数に対する再送信回数の割合である。干渉検出部311は、算出された再送率を、単位時間当たりのものとし、再送率を、その推移が分かるように、データ保存部313に保存する。
続いて、干渉検出部311は、衝突確率とビジー率とに基づいて、例えば、次式を用いて、再送率の閾値Aを算出する(ステップ406)。
閾値A=衝突確率×α+ビジー率×β+γ …(1)
α、β、γは係数である。例えば、αを1.2とし、βを0.8とし、γを2%とし、衝突確率が30%であり、ビジー率が40%であるとする。この場合には、閾値Aは、70%となる。ただし、再送率の算出式は、上記式(1)には限定されないのは勿論である。
再送率の閾値Aは、理論値であり、想定される無線状況における再送率である。閾値Aより、再送率が高い場合には、何らかの要因により、無線品質の低下が発生していると考えられる。なお、再送率の閾値Aとしては、理論値をそのまま用いてもよいが、その理論値に検出係数を掛け合わせた値を閾値として、無線品質低下の検出レベルを調整することも可能である。なお、閾値Aとしては、最小値、最大値を設定することができる。
続いて、干渉検出部311は、ステップ405において算出された再送率を、ステップ406において算出された閾値Aと比較する(ステップ407)。このステップ407を実行することにより、データ送受信に関する統計情報に基づいて、無線品質への影響を考慮した、干渉の検出が可能となる。判定の結果は、データ保存部313へ保存される。
再送率が閾値Aより小さい場合は(ステップ407;No)、干渉検出部311は、無線品質が、許容範囲内に維持されているものとして、フィードバック処理を行う(ステップ408)。フィードバック処理は、一旦、干渉が検出され、その回避動作が行われた後に実行される処理である。現段階では、まだ回避動作(後述)が実行されていないので、干渉検出部311は、特に何も行わず、ステップ401に戻る。
以降、干渉による通信品質の低下がステップ407で検出されるまで、ステップ401→402→403→404→405→406→407→408が繰り返される。
<ステップ409:SN比判定>
一方、再送率が閾値Aを超えた場合(ステップ407;Yes)、干渉検出部311は、無線品質が低下しているものと判定し、データ受信時のSN比が、閾値B以下であるか否かを判定する(ステップ409)。この判定の結果は、データ保存部313へ保存される。SN比について判定するための閾値Bは、予め設定されている。閾値Bは、データ通信に影響を及ぼさない範囲と、及ぼす範囲とを適切に分断する値に設定されているのが望ましい。SN比が小さく(雑音多)、判定が肯定されるとステップ410に進み、SN比が大きく(雑音少)、判定が否定されると、ステップ411に進む。
<ステップ410、411:RSSI判定>
続いて、干渉検出部311は、RSSIが、閾値C以下であるか否かを判定する(ステップ410、411)。この判定の結果は、データ保存部313に保存される。RSSIについて判定するための閾値Cは、予め設定されている。閾値Cは、データ通信に影響を及ぼさない範囲と、及ぼす範囲とを適切に分断する値に設定されているのが望ましい。
まず、ステップ409で、SN比が、閾値Bより小さく、ステップ410に進んだ場合について説明する。SN比が小さい要因としては、信号の比率が相対的に低い場合と、雑音の比率が相対的に高い場合の2通りが考えられる。そこで、干渉検出部311は、SN比の判定後(ステップ409;Yes)、さらに、RSSIの強弱を判定する(ステップ410)。
RSSIが閾値以下である場合(ステップ410;Yes)、無線品質の低下の要因が、信号強度の弱さであり、その弱さのため、雑音の大きさが相対的に大きくなっていると断定することができる。
RSSIが閾値より大きい場合(ステップ410;No)、無線品質の低下の要因が、雑音の多さであり、その雑音が、同一無線ネットワーク内の信号に含まれる雑音ではなく、周囲の電波による雑音であると判断することができる。あるノードが通信している場合、同一無線ネットワーク(本実施形態では無線LANネットワーク)上の他のノードは、通信を行わないように調整されているので、雑音が多く、信号強度が十分である場合には、他の無線ネットワークの無線機器や電子レンジ等により干渉を受けていると判断することができるのである。
これに対し、SN比が大きい場合には、無線品質の低下の要因が、単なる信号強度の弱さであるのか、周辺からの干渉であるのかを切り分ける必要がある。そこで、干渉検出部311は、SN比判定の後(ステップ409;No)、さらに、信号強度の強弱を判定する(ステップ411)。
RSSIが閾値より低い場合(ステップ411;Yes)、無線品質の低下の要因は、信号強度の弱さであると判定することができる。また、RSSIが閾値以上の場合(ステップ411;No)、無線品質の低下の要因が、周辺の電波による干渉であると判定することができる。
このように、ステップ409、410、411において、干渉検出部311は、SN比やRSSIという複数種類の統計情報に基づいて、無線品質低下の要因を、特定するための判定処理を行う。干渉検出部311は、特定された要因に応じた干渉回避命令を、干渉回避部312に通知する(ステップ412、413、414、415)。
これを受けて、干渉回避部312は、干渉回避命令に従って、回避動作を行う(ステップ412、413、414、415)。まず、干渉回避部312が取りうる個々の干渉回避策について説明する。
干渉回避策(A)として上げられるのが、「伝送レートを下げる」ことである。無線LANでは、伝送レートが低いほど対雑音性が高くなり、通信品質が向上するからである。したがって、干渉回避策(A)は、SN比が高い場合に有効である。
なお、Performance Anomalyが発生した時に、干渉回避策として有効なのが、伝送レートをそろえる方法である。一般に、伝送レートを下げると、データを送受信できる範囲が広くなるため、他の通信に影響が出ることが考えられる。したがって、本実施形態では、取得された情報に基づいて、適切な伝送レートを導きだし、その伝送レートに設定するのが望ましい。
干渉回避策(B)として上げられるのが、「信号強度を上げる」ことである。無線LANでは、SN比が高い場合に信号の強度を上げることで、相対的にSN比を下げることができる。
信号強度を強くする方法は、大別して、2通りの方法がある。
まず、1つ目の方法の手順は、以下の通りである。
(A)自らの送信信号の信号強度を上げると、その信号を受信する対向無線機器では、信号強度が強くなったことが、検出される。
(B)対向無線機器は、受信信号の信号強度が強くなったのは、自らの送信信号の信号強度が、受信相手側で、弱くなっていたためであると判断する。そこで、対向無線機器は、送信信号の信号強度を上げる。
これにより、受信信号のRSSIを上げることができる。
もう1つの方法の手順は、以下の通りである。
(1)自らの送信する信号強度を下げる。
(2)受信側のRSSIがどうなるかを確認する。
(3)RSSIが上がらない場合には、自身の信号強度を上げる。
(4)1つ目の方法の手順により、送信強度を上げる。
ただし、送信信号の信号強度を上げすぎると、その送信信号が、送信先でない無線LANの接続端末にとっては、雑音となってしまうため、周辺の無線状況を、適切に把握して信号強度の上げ幅を決定するのが望ましい。本実施形態では、取得された情報に基づいて、適切な信号強度の上げ幅を導きだし、信号強度を上げ過ぎないようにする必要がある。
干渉回避策(C)として上げられるのが、「送信データ長を短くする」ことである。送信データ長を短くすれば、送信時の無線帯域の占有時間を短くすることができるので、データ送信時に他の電波と衝突する確率を下げることができる。ただし、同じ量のデータを送信する際に、送信データ長を短くすれば、それだけ送信回数が増えることになる。この送信回数が増えすぎると、無線機器の処理能力を圧迫したり、無線帯域の占有率が上がったりすることも考えられるため、送信データ長を適切なものとする必要がある。本実施形態においては、取得した情報に基づいて適切な送信データ長を導きだし、送信データ長を短くしすぎないようにする必要がある。
干渉回避策(D)として上げられるのが、「最大再送信回数を上げる」ことである。パケットの再送信は、干渉など無線品質の低下に伴い送信したものの、相手からの応答が無かった場合に行われるが、その再送信回数の上限を上げることにより、パケットロス率を下げることができる。ただし、再送をやみくもに繰り返すと、無線帯域を圧迫することもあるので、再送信回数を、必要最小限度に抑える必要がある。本実施形態では、取得された情報に基づいて、適切な最大再送信回数を導きだし、最大再送信回数を増やしすぎないようにする必要がある。
干渉回避部312は、必要に応じて、上述した干渉回避策(A)〜(D)の少なくとも1つを実施する(ステップ412、413、414、415)。
例えば、雑音が多いと判定され(ステップ409;Yes)、信号強度が低いと判定された場合(ステップ410;Yes)、無線品質の低下の要因を絞り込むことができないので、干渉検出部311は、伝送レートを下げ(回避策A)、信号強度を上げ(回避策B)、最大再送信回数を上げ(回避策C)、送信パケット長を短く(回避策D)する干渉回避命令を、干渉回避部312に発する(ステップ412)。干渉回避部312は、この命令を受けて、回避策A、B、C、Dを実行する(ステップ412)。
また、雑音が多いと判定され(ステップ409;Yes)、信号強度が十分に高いと判定された場合(ステップ410;No)、干渉検出部311は、干渉を回避するために、伝送レートを下げる(回避策A)干渉回避命令を、干渉回避部312に発する(ステップ413)。干渉回避部312は、この命令を受けて、回避策Aを実行する(ステップ413)。ここで、伝送レートを下げても効果が出ない場合は、信号強度を上げるようにしてもよい。
また、雑音が少ないと判定され(ステップ409;No)、信号強度が弱いと判定された場合(ステップ411;Yes)、干渉検出部311は、信号強度を上げる(回避策B)干渉回避命令を、干渉回避部312に発する。干渉回避部312は、この命令を受けて、回避策Bを実行する(ステップ414)。
また、雑音が少ないと判定され(ステップ409;No)、信号強度が高いと判定された場合(ステップ411;No)、干渉検出部311は、干渉を回避すべく、再送率を下るため、最大再送信回数を上げ(回避策C)、送信パケット長を短く(回避策D)する旨の干渉回避命令を発する。この命令を受けて、干渉回避部312は、回避策C、Dを行う(ステップ415)。ただし、再送信回数を伸ばしても無線品質の改善が見込めない場合には、ここで、最大再送信回数を、元に戻すようにしてもよい。
ステップ412、413、414、415を実行することにより、干渉回避部312が行う回避動作に従って、機能設定部309による機能設定がなされる。ステップ412、413、414、415を実行後、ステップ401に戻る。以降、任意のタイミングで、ステップ401以降の処理が繰り返される。すなわち、干渉検出部311は、その都度、無線品質の低下の要因を判定し(ステップ402〜411)、干渉回避部312は、その要因に即した回避策を実施する(ステップ412〜415)。
なお、図4に示す処理が繰り返されている間、ステップ401では、無線状況が取得され、無線品質が回復すれば、ステップ407において、無線品質の低下の解消が確認されるが、無線品質が回復しない場合には、ステップ407において、無線品質が低下したままであると判定される。この場合には、すでに行った回避策が、有効でない可能性もある。
複数回繰り返しても、無線品質が回復しない場合には、干渉回避部312は、回避策を変更してもよい。回避策を変更する繰り返しの回数は、無線状況などに合わせて、適宜決定することができる。
干渉回避部312は、例えば、他の回避策として、キャリアセンス範囲の変更を採用することができる。キャリアセンス範囲の変更は、受信したRSSIの閾値や、その閾値や他の設定値などを合わせて変更することにより実現できる。
キャリアセンス範囲を変更し、これと合わせて、上述したすべての回避策を実施しても、なお、無線品質が回復しない場合には、無線チャネルを変更するようにしてもよい。無線チャネルの変更は、Performance Anomalyにも有効であり、通信エリアの境界に存在する通信機器による無線品質の低下に対しても有効である。無線境界における干渉が発生した際の想定される最も頻度が高い回避策は、伝送レートを下げることであるが、それでも干渉を回避できない場合は、無線チャネルを変更すればよい。
ところで、回避策を実施した後、無線品質が回復し、再送率が閾値Aより小さくなった場合(ステップ407;No)、干渉検出部311は、これまでにデータ保存部313に保存されたデータに基づいて、フィードバック処理を行う(ステップ408)。ここでは、必要に応じて、その干渉回避策の緩和又は解除が行われる。この緩和又は解除は、干渉回避部312が、データ保存部313に保存された通信条件の初期値を読み出し、その初期値の全て又はその一部を、機能設定部309に設定することにより行われる。
図5に示すように、期間Iでは低めに推移していた再送率501が、期間II503において上昇し、ここで、回避動作が行われたとする。そして、この回避動作の結果、期間III504では、再送率501が低下し、無線品質が回復した。この場合、期間IV505において、再送率が低いままで無線品質が維持されているとみなした場合、干渉回避部312は、データ保存部313に保存されていた、回避動作開始前の通信条件の設定値の全部又は一部を読み出して機能設定部309に設定し、回避動作を解除若しくは段階的に緩和する。
上述した図4のフローチャートに示される干渉の検出回避動作は、周期的又はある特定のイベントを契機として行われる。しかしながら、複数回実施しても、無線品質の改善が見込めない場合には、無線チャネルを変更することにより、干渉による無線品質の低下を回避するようにしてもよい。無線チャネルを変更する際には、干渉検出部311が、周期的にチャネル監視を行うことにより、無線の状況を把握して、最適なチャネルを変更先として選択すればよい。
なお、本実施形態においては、ステップ412において、「伝送レートを下げる」、「RSSIを下げる」、「最大再送信回数を上げる」、「送信パケット長を短くする」などの複数の干渉回避策を同時に行い、ステップ415において、「最大再送信回数を上げる」、「送信パケット長を短くする」という複数の干渉回避策を、同時に行うようになっているが、これらの干渉回避策に優先度をつけ、ある一定の周期で、順番に行うようにしてもよい。
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る無線ネットワークシステムには、以下に示す効果を奏する。
(1)RSSI、SN比、近傍における無線通信の情報、スループット、パケットロス率、再送信回数、総送信回数などの統計情報や、必要に応じてそれらの統計情報に基づいて算出される統計情報に基づいて、干渉による無線品質の低下を自動的に検出し、回避する。このため、既存の無線通信装置に、特別な無線通信部を追加で設けることなく、干渉を検出するための測定動作としてプローブメッセージ等を追加することなく(複雑な無線通信制御、煩雑な処理を追加すること無く)、干渉による無線品質の低下を検出できる。このため、無線通信装置を安価なものとし、小型化することができる。また、電力を要する新規なパケットの送受信を行わないので、バッテリーなどの電力に制限がある無線通信装置に対しても有効である。
(2)複数の統計情報を用いることにより、無線境界における干渉、Performance Anomaly、定常的な電波源による干渉、その他の干渉を検出できるので、これに応じた効果的な干渉回避動作が可能となる。
(3)無線品質を示す情報(再送率)の履歴を記憶するので、その推移に基づいて、無線品質の回復を検出することができる。これにより、その無線品質が回復した場合に、通信条件を、元の設定に戻すことができる。
(4)統計情報や、回避動作を取得し、その履歴を保存するので、無線品質の低下や回復の判定時に、その情報を再帰的に用いることができる。例えば、これらの履歴に基づいて学習を行い、回避動作の最適化を図ることができる。
本実施形態に係る干渉検出及び回避動作の処理手順には適宜変更が可能である。図6に示すように、再送率、SN比、RSSIのみで、干渉による無線品質の低下を検出し、その回避動作を行うことも可能である。また、再送率の閾値Aも固定値を用いることができる。このようにしても、干渉に対して、適切な回避動作を行うことができる。また、このように手順を簡略化すれば、無線通信機器の製造コストを低減できる。例えば、機能を必要最小限に絞り、収集するデータや処理を簡素化することで、簡易な無線機器、例えば、センサーノードにも、図6のフローに示されるような干渉検出回復機能を有する装置を実装することができる。
また、キャリアセンス範囲の変更又は無線チャネルの変更を、干渉回避策として用いないようにすることもできる。また、キャリアセンス範囲の変更及び無線チャンネルの変更だけを干渉回避策としてもよい。すなわち、本発明は、具体的な干渉回避策には限定されない。
なお、情報取得部から取得可能な統計情報にパケットロス率も含まれる。このパケットロス率に関しては、前述のとおり、それが閾値を超えたことを、ステップ401における契機として用いることができる。パケットが欠落する要因として、送信したパケットの衝突や、再送信回数が最大値を超えた場合がある。このため、パケットロス率が増加することで、無線品質の低下を検出する契機とすることができるのである。また、パケットロス率は、ステップ404における衝突確率の算出にも用いることができる。
なお、上記実施形態では、ステップ402Bにおいて、スループットが想定以上であるか否かを判定したが、この判定が肯定されれば、無線品質の低下が発生していないとして、ステップ401の無線状況取得処理に戻っても良いし、ステップ408のフィードバック処理に遷移するようにしてもよい。
なお、上記実施形態に係る無線通信装置301は、AP101、103と無線接続端末102、104とのいずれであるものとしたが、無線にて通信を行う機器であれば、通信機器の種別に特に制限はない。
また、干渉検出部311と干渉回避部312とを統合し、干渉検出及び回避を行う干渉検出回避装置を提供することも可能である。さらに、干渉検出部311と干渉回避部312とデータ保存部313を統合することも可能である。また、干渉検出装置311及び干渉回避装置313の機能を有する装置を、無線通信装置に外付けする装置とすることも可能である。
また、本実施形態では、無線通信制御部304は、干渉を検出する干渉検出部311、干渉回避部312、データ保存部313を有していない。しかしながら、これらを無線通信制御部304に組み込むことも可能である。本実施形態では、無線通信機器303の内部を、無線通信部303、無線通信制御部304、アプリケーション機能部305の3つに分けたが、これら3つの構成要素を、無線通信部303に統合してもよいし、無線通信制御部304とアプリケーション機能部305とを統合してもよいし、さらに詳細に、機能分割された構成としてもよい。
また、無線通信部303、無線通信制御部304、アプリケーション機能部305を、それぞれ別の装置としてもよい。
AP、端末を含む、無線LANネットワークにて通信を行う無線通信装置全般に、本発明を適用することができる。
本発明は、ネットワークの形態には限られない。例えば、上記各実施形態に係る無線LANネットワークの他、無線メッシュネットワーク、無線アドホックネットワーク、無線センサネットワーク、無線マルチホップネットワークにも適用できる。例えば、本発明を、無線アドホックネットワークの端末間(STA−STA)通信に適用することもできる。この場合において、APに接続している端末や、APからの干渉による無線品質の低下も検出できる。
上述のように、本発明によれば、干渉の検出に用いられるのは、1ノード(自身)で取得される統計情報だけである。例えば、他のノードの伝送レートは、その他のノードが通常送信されるビーコンを傍受することで取得できる。このようにすれば、干渉・衝突の検出に関して、他のノードとの間で統計情報を送受信する必要がなくなる。すなわち、単独で取得される統計情報に基づいて、干渉を検出するということに、本発明の多大な利点がある。
また、本発明によれば、回避策を複合的に用いることで、効果的に干渉を回避する。この結果、他の無線LANシステムからの干渉を回避するだけではなく、自身を含む無線LANシステムからの干渉や、他の無線機器からの電波干渉についても回避することが可能となる。また、回避策を複合的に、バランス良く用いることで、回避策を講じることによる、通信への影響を最小限にとどめることも可能となる。
1 無線ネットワークシステム
101、103 アクセスポイント(AP)
102、104 端末
205、206 無線LANネットワーク
301 無線通信装置
302 アンテナ
303 無線通信部
304 無線通信制御部
305 アプリケーション機能部
306 データ送信部
307 データ受信部
308 情報取得部
309 機能設定部
311 干渉検出部
312 干渉回避部
313 データ保存部

Claims (14)

  1. データ無線通信の無線状況から得られる統計情報に基づいて、干渉による無線品質の低下を検出する品質低下検出部と、
    前記無線状況から得られる複数種類の統計情報に基づいて、干渉による無線品質低下を回避する動作を決定する回避動作決定部と、
    を備える干渉検出装置。
  2. 前記統計情報に基づいて、高い伝送速度での通信の実際の伝送速度が、低い伝送速度での通信により低下する低下現象を検出するパフォーマンス・アノマリー検出部を、さらに備え、
    前記パフォーマンス・アノマリー検出部により、前記低下現象が検出された場合に、
    前記回避動作決定部は、
    複数のデータ通信の伝送レートを一致させる動作と、通信チャネルを変更する動作とのいずれかを、前記動作として決定する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の干渉検出装置。
  3. データ無線通信の無線状況に基づいて、通信エリアの境界付近の低レートの無線リンクを検出する低レート無線リンク検出部を、さらに備え、
    前記低レート無線リンク検出部により、低レートの無線リンクが検出された場合に、
    前記回避動作決定部は、
    データ通信の伝送レートを下げる動作と、通信チャネルを変更する動作とのいずれかを、前記動作として決定する、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の干渉検出装置。
  4. 単位時間当たりのキャリアセンス時間の割合と、データの衝突確率とに基づいて、データの再送率の閾値を算出する閾値算出部を、さらに備え、
    前記品質低下検出部は、
    前記再送率が、前記閾値を、上回るか否かを判定することにより、干渉による無線品質の低下を検出する、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の干渉検出装置。
  5. 前記複数種類の統計情報には、データの再送率に関する情報と、前記無線通信装置における受信信号の信号対雑音比と、前記受信信号の信号強度と、の少なくとも1つが含まれ、
    前記動作に、
    データ通信の伝送レートを下げる動作と、前記受信信号の信号強度を上げる動作と、データのパケット長を短くする動作と、データの再送信回数を増やす動作と、キャリアセンス範囲を変更する動作と、通信チャンネルを変更する動作との少なくとも1つが含まれる、
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の干渉検出装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の干渉検出装置を構成する回避動作決定部により決定された動作を行う干渉回避装置。
  7. 前記統計情報及び前記動作の履歴を保存するデータ保存部を備え、
    前記動作が実行された後で、前記無線品質検出部により、無線品質の低下が検出されなくなると、前記データ保存部に保存されたデータに基づいて、当該動作を解除又は緩和する、
    ことを特徴とする請求項6に記載の干渉回避装置。
  8. 前記統計情報及び前記動作の履歴を保存するデータ保存部を備え、
    前記データ保存部に保存されたデータに基づいて、当該動作を変更する、
    ことを特徴とする請求項6又は7に記載の干渉回避装置。
  9. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の干渉検出装置と、
    請求項6乃至8のいずれか一項に記載の干渉回避装置と、
    を備える無線通信装置。
  10. 請求項9に記載の無線通信装置をノードとして含む無線ネットワークシステム。
  11. データ無線通信の無線状況から得られる統計情報に基づいて、干渉による無線品質の低下を検出する品質低下検出工程と、
    前記無線状況から得られる複数種類の統計情報に基づいて、干渉による無線品質低下を回避する動作を決定する回避動作決定工程と、
    を含む干渉検出方法。
  12. 請求項11に記載の干渉検出方法により決定された動作を行うように無線通信装置を制御する干渉回避方法。
  13. データ無線通信の無線状況から得られる統計情報に基づいて、干渉による無線品質の低下を検出する品質低下検出手順と、
    前記無線状況から得られる複数種類の統計情報に基づいて、干渉による無線品質低下を回避する動作を決定する回避動作決定手順と、
    をコンピュータに実行させるプログラム。
  14. 請求項13に記載の前記回避動作決定手順で決定された動作を行う回避動作手順、
    をコンピュータに実行させるプログラム。
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