JP2010230776A - 焦点位置調整装置およびカメラ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】焦点位置調整装置110は、被写体からの光を結像するレンズ1aと、被写体の像を、少なくとも2つの異なる波長または波長帯域の光を撮像面で光電変換して、少なくとも可視領域画像信号200a、赤外領域画像信号201aを生成する撮像素子2および撮像制御部3と、撮像面に対して、レンズ1aを光軸に沿う方向に移動させる焦点位置移動機構5と、生成された可視領域画像信号200a、赤外領域画像信号201aに基づいて、それぞれの波長または波長帯域での合焦状態を評価する合焦状態評価部と、合焦状態評価部の評価結果に基づいて、焦点位置移動機構5を駆動する移動制御部とを備える。
【選択図】図1
Description
山登り制御方式とは、撮像レンズの位置を光軸に沿う方向に移動させながら、撮像素子から画像信号を取得し、その画像信号の合焦評価値の変化における最大ピーク値を探索し、この最大ピーク値が得られる撮像レンズ位置を、合焦位置と判定する方式である。合焦評価値としては、例えば、フォーカスエリア内のコントラスト値などが用いられる。
また、TTL位相差方式とは、撮像レンズの瞳を一対の領域に分割して、分割された瞳領域を通過する光束が形成する一対の像の相対的な位置変化を検出することによって撮像レンズの焦点状態を評価し、合焦位置を探索する方式である。
例えば、特許文献1には、レンズを1ステップずつ移動させながら、このレンズを介してセンサ回路に入力された画像信号をもとに評価値データを算出し、この評価値データの大きさから合焦位置の特定を行う山登り制御方式による焦点位置調整を行うオートフォーカス装置が記載されている。
特許文献1では、電源投入時にレンズ原点位置を検出し、レンズを至近側の特定位置に移動させて、この至近側の特定位置から望遠側に向けて逐次レンズを移動させて山登り方式によるオートフォーカスを行う。
TTL位相差方式を採用する焦点位置調整装置では、山登り制御方式に比べて高速に焦点位置調整を行うことができるものの、撮影レンズ透過後の光束を分割する光学系と分割後の光束の位置検出を行う光センサとを配置する必要がある。このため、部品点数および部品配置スペースが増大するため、低コスト化、小型化が難しいという問題がある。特に、コンパクトカメラや携帯電話の内蔵カメラなどには、不向きな装置構成となる。
一方、山登り制御方式では、簡素な構成により焦点位置調整を行えるものの、1ステップずつ移動して、画像信号を取得しながら、合焦位置を超える位置まで移動し、さらにレンズを原点位置に復帰して再度合焦位置に移動するため、高速のオートフォーカスを行うことができないという問題がある。
特許文献1に記載の技術によれば、原点位置の復帰時間を短縮し、至近側の画像に対するフォーカス時間は短縮するため、従来の山登り制御方式よりは、ある程度、オートフォーカス時間を短縮することができるものの、望遠側の画像が多い場合には時間短縮の効果が低くなるという問題がある。また、合焦位置を検出してから、フォーカス位置に向かって検出方向と逆方向に戻って合焦位置に移動するため、移動方向による位置誤差が発生しやすいという問題もある。
この発明によれば、撮像部によって、少なくとも2つの異なる波長または波長帯域の光を光電変換して、少なくとも第1および第2の画像信号を生成する。そして、合焦状態評価部により、撮像部によって生成された少なくとも第1および第2の画像信号に基づいて、それぞれの波長または波長帯域での合焦状態を評価する。そして、移動制御部により、合焦状態評価部の評価結果に基づいて、焦点位置移動機構を駆動することで、撮影光学系の焦点位置調整を行うことができる。
第1および第2の画像信号は、2つの異なる波長または波長帯域による焦点状態の情報を含んでいるため、撮影光学系の色収差を考慮してこれらの合焦状態を比較することで、合焦位置からの距離を評価することができる。
本明細書では、「少なくとも2つの異なる波長または波長帯域の光」とは、少なくとも2つの異なる波長の光、または、少なくとも2つの異なる波長帯域の光を意味する。「異なる波長帯域」は、互いの波長帯域が重複しない場合に限定されず、一方の波長帯域が他方の波長帯域の一部または全部を包含する場合も含まれるものとする。
この発明によれば、第1の画像信号として可視領域光を光電変換した画像信号を、第2の画像信号として赤外領域光を光電変換した画像信号を、それぞれ生成するので、可視領域光および赤外領域光のいずれか一方に対して収差補正された撮影光学系を用いることにより、可視領域光および赤外領域光のいずれか他方に対する色収差が顕著になるため、合焦状態の違いを容易に検出することができる。このため、従来用いられる汎用的な撮影光学系を用いて焦点位置調整を高精度に行うことができる。
また、一般にCCDなどの汎用的な撮像素子は、赤外領域光にも感度を有しているため、撮像部を安価に構成することができる。
この発明によれば、撮像素子と撮影光学系との間の光路上に配置された波長選択手段を用いて、撮像素子に到達する光の波長選択を行うため、波長感度が同一の受光部を並べた撮像素子であっても、第1および第2の画像信号を容易に生成することができる。
互いに相対波長感度が異なる第1および第2の受光部を有する撮像素子を備え、前記第1および第2の受光部のいずれか一方は、前記少なくとも2つの異なる波長または波長帯域の光のうち、いずれか1つの波長または波長帯域の光に対して、より大きな相対感度を有し、前記第1および第2の受光部のいずれか一方によって、前記いずれか1つの波長または波長帯域の光を光電変換して、前記第1または第2の画像信号を生成する構成とする。
この発明によれば、第1および第2の受光部のいずれか一方によって、少なくとも2つの異なる波長または波長帯域の光のうち、いずれか1つの波長または波長帯域の光を光電変換して、第1または第2の画像信号を生成することができる。このため、少なくとも第1および第2の受光部のいずれか一方は、例えば、フィルタなどによって波長選択を行うことなく、したがって光量損失することなく、いずれか1つの波長または波長帯域の光による第1または第2の画像信号を生成することができる。
この発明によれば、データ記憶部に撮影光学系のデフォーカス特性のデータを記憶しておくので、合焦状態を迅速に評価することができる。また、複数のデフォーカス特性のデータをデータ記憶部に記憶しておいたり、必要に応じて、デフォーカス特性データをデータ記憶部に記憶させることで、例えば、撮影光学系が交換されたり、撮影光学系の焦点距離を可変したりする場合でも、それぞれに対応した焦点位置調整を行うことができる。
この発明によれば、請求項1〜5のいずれかに記載の焦点位置調整装置を備えるので、請求項1〜5のいずれかに記載の発明と同様の作用を備える。
本発明の第1の実施形態に係る焦点位置調整装置について、それを備えるカメラとともについて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る焦点位置調整装置を備えるカメラの概略構成を示す模式的な断面図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係る焦点位置調整装置に用いる撮影光学系の色収差について説明するグラフである。横軸は横倍率、縦軸は光束のRMS値を示す。図3は、本発明の第1の実施形態に係る焦点位置調整装置に用いる撮像素子の撮像エリアについて説明する模式図である。図4(a)、(b)は、それぞれ、本発明の第1の実施形態に係る焦点位置調整装置に用いる撮像素子の合焦状態評価エリアおよび合焦状態非評価エリアの単位受光部の配列を示す模式的な部分拡大図である。図5(a)、(b)は、それぞれ、図4(b)におけるA−A断面図およびB−B断面図である。図6は、本発明の第1の実施形態に係る焦点位置調整装置の制御手段の機能構成を示す機能ブロック図である。図7は、本発明の第1の実施形態に係る焦点位置調整装置の焦点位置と合焦評価値との関係を示す模式的なグラフである。横軸は光軸に沿う方向の位置、縦軸は合焦評価値を示す。
以下では、図1に示すように、一例として、一般撮影用途のコンパクトデジタルカメラであるカメラ100において焦点位置調整を行う焦点位置調整装置110の場合の例で説明する。本実施形態のカメラ100は、被写体を可視光領域で撮影するためものである。
このうち、焦点位置調整装置110は、撮像素子2、撮像制御部3、焦点位置移動機構5、および焦点位置制御部4に含まれる後述の合焦状態評価部40と移動制御部43とから構成される。
なお、図1は模式図のため、レンズ1aを単レンズのように描いているが、レンズ1aは単レンズに限定されず、レンズ群からなっていてもよい。
また、レンズ1aは、被写体の像を撮像素子2上に適宜倍率で結像することができれば、適宜のレンズを採用することができる。例えば、固定焦点レンズであってもよいし、可変焦点レンズであってもよい。
また、本実施形態では、撮影レンズユニット1は、カメラ100本体に組み込まれており、交換可能には設けられていないが、例えば、カメラ100本体に交換マウントなどを設けて、着脱可能および交換可能に設けてもよい。この場合、交換レンズの種類は、交換マウントに撮影レンズユニット1を装着することによって、後述する撮像制御部3が識別できるようになっている。
図2に、レンズ1aの色収差による焦点位置ずれの一例を示す。図2は、焦点距離14.25mmのレンズ1aの撮像面Mに対する焦点位置を、無限遠から至近位置の中間状態であるMG=−0.033の位置に合わせたときに、至近位置から無限遠まで物体撮影を試みた際の被写体からの光束の広がり径をRMS値でプロットしたものである。ここで、横軸は、物体距離に対応する横倍率MGで表している。すなわち、MG=0は物体距離が無限遠であることを表し、MGが負側で絶対値が大きくなるほど至近位置に近づくことを意味する。
曲線300は、可視領域光である波長546.07nmの場合、曲線301は、赤外領域光である波長900nm場合の変化をそれぞれ示す。
レンズ1aは、無収差レンズではないので、波長に応じて有限の広がりを有する。そのため、曲線300、301は、いずれも、谷底部が湾曲した全体としてV字状の変化を示し、それぞれのRMS値は、横倍率MG=−0.038、MG=−0.022で最小値となる極値をとる。これらの極値は、それぞれの焦点位置に対応している。波長900nmの極値と、波長546.07nmの極値とは、Δ=0.016だけずれており、波長546.07nmの光の結像位置に対して、波長900nmの光の結像位置が、像側に0.190mmずれることが分かる。
また、光束径のRMS値が大きいほど、像がぼけるためコントラストが低くなることを意味する。
本実施形態では、図3に示すように、矩形状の撮像エリアP内に単位受光部p1、p2、p3、p4からなる画素Piが、撮影画素数に応じた数だけ格子状に配列されている。
本実施形態では、単位受光部は、図4(a)、(b)に示すように、可視領域光のカラー画像を撮影するため、光の三原色であるR(赤色)、G(緑色)、B(青色)の各色成分をそれぞれ受光するR光受光部20R、G光受光部20G、B光受光部20Bを備える。また、焦点位置調整に用いる撮像信号を取得するため、赤外領域(IR)光を受光するIR光受光部20IRを備える。
本実施形態では、合焦状態評価エリア20aは、撮像エリアPの中央の円状の領域としているが、例えば、矩形状や多角形状などの他の形状の領域としてもよい。設定位置は、中央には限定されないが、より良好な合焦精度を得るためには、レンズ1aの収差が良好に補正された撮像エリアPの中央の領域が好ましい。
また、合焦状態非評価エリア20bでは、各画素Piは、図4(b)に示すように、単位受光部p1、p2、p3、p4が、それぞれR光受光部20R、G光受光部20G、G光受光部20G、B光受光部20Bから構成されている。
合焦状態非評価エリア20bにおける単位受光部の配列は、ベイヤ配列RGGBとして知られる配列であり、合焦状態評価エリア20aにおける単位受光部の配列は、ベイヤ配列において、G光受光部20GをIR光受光部20IRに置換した、配列RG(IR)Bなる配列になっている。
受光部2bは、光電変換を行うセンサ部分であり、可視領域および赤外領域の波長光に感度を有する。そして、各画素Piにおける各単位受光部p1、p2、p3、p4の配列に対応して、回路基板2c上に格子状に配列されている。各受光部2bの受光面は、一平面に整列され、撮像面Mを形成している。
各受光部2b上には、R光受光部20R、G光受光部20G、B光受光部20B、IR光受光部20IRのエリアに応じて、入射光の波長選択を行うRフィルタ2R、Gフィルタ2G、Bフィルタ2B、IRフィルタ2IRが、形成されている。
Rフィルタ2R、Gフィルタ2G、Bフィルタ2Bは、それぞれ、光の三原色であるR光、G光、B光の波長帯域の光のみをそれぞれ透過させるものである。
IRフィルタ2IRは、少なくとも後述する赤外領域光源10の波長光を含み、受光部2bに感度を有する赤外領域光のみを透過させて波長選択を行うものである。
また、特に図示しないが、同様に、合焦状態非評価エリア20bの各受光部2b上には、R光受光部20R、G光受光部20G、B光受光部20Bのエリアに応じて、入射光の波長選択を行うRフィルタ2R、Gフィルタ2G、Bフィルタ2Bが形成されている。
焦点位置移動機構5としては、本実施形態では、特に図示しないが、ステッピングモータなどの回転力をボールネジなどの直動機構に伝達してレンズ鏡筒1bを光軸Oに沿って移動させる機構を採用している。この他にも、アクチュエータやリニアモータなどの周知の直動機構を適宜採用することができる。
リリーススイッチ8は、シャッタを開放するための操作スイッチであり、撮像制御部3に電気的に接続されている。そして、リリーススイッチ8は、例えば、半押し操作によってオートフォーカス動作を行う制御信号を撮像制御部3に送出する。
撮像制御部3は、例えば、以下のような動作を行うことができるようになっている。
すなわち、操作部からの操作入力を受け付け、それら操作入力に基づいて撮像動作を制御したり、液晶モニタ6に撮像された画像を表示したり、操作画面の表示を行ったりする。
また、焦点位置移動機構5を制御して撮影レンズユニット1を光軸Oに沿う方向に移動させる。本実施形態のカメラ100では、電源が投入されると、撮像制御部3によって、焦点位置移動機構5を駆動し、撮影レンズユニット1の光軸Oに沿う方向の位置を初期化する。本実施形態では、撮影レンズユニット1を、無限遠の被写体に対する焦点面の位置が撮像面Mに一致する位置に移動させる。以下ではこの初期化された位置を基準位置と称する。
また、リリーススイッチ8からのオートフォーカス動作を行う制御信号に基づいて、赤外領域光源10を発光させる。
赤外領域光源10は、被写体の像を赤外領域光によって撮像するために、受光部2bが感度を有する赤外領域光を発生する光源である。
赤外領域光の波長域は、700nm以上1300nm以下の範囲が好ましい。このような波長範囲であれば、汎用の電子撮像装置に用いる撮像素子の受光感度が十分にあり、特別な改良を施すことなくオートフォーカスを実施することができるため好ましい。
本実施形態では、一例として、波長900nmのLED光源を備える。
ただし、レンズ情報信号220は、レンズ1aが固定焦点レンズでかつ交換レンズでない場合には、省略することができる。
可視領域画像信号200aは、合焦状態評価エリア20aの各画素Pi内のR光受光部20R、G光受光部20G、B光受光部20Bの受光輝度の和から生成されるものである。そのため、可視領域画像信号200aは、可視領域光のモノクロ輝度を表している。
赤外領域画像信号201aは、合焦状態評価エリア20aの各画素Pi内のIR光受光部20IRの受光輝度から生成されるものである。
ただし、G光受光部20Gの輝度については、合焦状態評価エリア20aでは、そのままの輝度を採用し、合焦状態非評価エリア20bでは、2つのG光受光部20Gの平均輝度を採用する。
本実施形態では、可視領域画像信号200a、および赤外領域画像信号201aに画像処理を施して、それぞれから合焦評価値を演算するようにしている。
合焦評価値は、合焦状態評価エリア20a内の画像信号を変数とし、合焦状態で最大または最小の極値を示す評価値であれば、いかなる評価値を採用してもよい。例えば、画像の高周波成分の大きさや、輝度の大きさや、点像強度分布(PSF)などの合焦評価値を採用することができる。
また、合焦状態評価部40は、移動制御部43から移動が完了したことを検知すると合焦完了信号210を、撮像制御部3に送出する。
ROMは、複数種類の参照データが格納可能になっている。複数種類の参照データとしては、例えば、レンズ1aが可変焦点レンズである場合には、レンズ1aの焦点距離に応じた参照データを格納することができる。また、レンズ1aが交換可能に設けられている場合には、各交換レンズ固有の光学特性に応じた参照データを格納することができる。
RAMは、ROMに格納された複数種類の参照データから焦点位置調整に用いる参照データを呼び出して記憶するものである。RAMに呼び出された参照データは、合焦状態評価部40から参照できるようになっている。
なお、レンズ1aが固定焦点レンズでかつ交換レンズでない場合には、参照データは1種類のみでよい。
図7では、撮像面Mに対するレンズ1aの光軸に沿う方向の位置を、基準位置を0とし、至近位置側、すなわち、撮影レンズユニット1の物体側への繰り出し方向を負とする座標系で表している。−x0は、至近位置の限界を示す。
なお、座標系の取り方は任意であり、以下の座標系に沿う大小関係や正負方向の記述は、異なる座標系を採用する場合には、適宜読み替えるものとする。
可視領域画像信号200aの位置xに対する合焦評価値の変化は、y=f(x)で表される。すなわち、曲線302で示すように、谷底部が湾曲した全体としてV字状の変化を示し、谷底部のx=S1では最小値となる極値をとり、位置xが位置S1から離れるにしたがって合焦評価値が略直線的に増大する。
一方、赤外領域画像信号201aの位置xに対する合焦評価値の変化は、y=g(x)で表される。すなわち、曲線303で示すように、谷底部が湾曲した全体としてV字状の変化を示し、谷底部のx=S2で最小値となる極値をとり、位置xが位置S2から離れるにしたがって合焦評価値が略直線的に増大する。
また、参照データは、関数f(x)、g(x)を近似式等で表した場合の各係数が記憶されていてもよいし、位置xと、関数値y=f(x)、y=g(x)とからなる表データとして記憶されていてもよい。
図8は、本発明の第1の実施形態に係る焦点位置調整装置のオートフォーカス制御のフローチャートである。
そして、撮影者がリリーススイッチ8を半押しすると、撮像制御部3によって、赤外領域光源10が発光され、図8に示すフローにしたがってオートフォーカス制御が開始される。
また、撮像制御部3は、レンズ情報信号220も合わせて合焦状態評価部40に送出する。
例えば、現在位置をxとすると、それぞれの合焦評価値は、f(x)、g(x)となる。
算出された合焦評価値f(x)、g(x)は、焦点位置移動機構5の駆動量で表される位置情報xとともに、データ記憶部41に記憶される。
参照データは、図7に示す曲線302、303のように、それぞれ略V字状の曲線となるため、それぞれの曲線上で1つの合焦評価値に対する撮影レンズユニット1の位置xは、合焦位置S1、S2を除いて2つ存在するが、それら2つの位置では、他方の合焦評価値を参照すると、位置の判別が可能である。
例えば、可視領域画像信号200aから計算された合焦評価値がy1であった場合、y1となる位置は、y1=f(L1)=f(L0)のため、位置L1、L0(ただし、L0<L1)のいずれかの可能性がある。
一方、赤外領域画像信号201aの合焦評価値では、g(L1)<g(L0)のように異なっているため、算出された赤外領域画像信号201aの合焦評価値を参照データのg(L1)、g(L0)と比較することで、位置がL1なのかL0なのかを判別することができる。
したがって、f(x)、g(x)の値から参照データに基づいて、合焦位置S1、S2に対する現在位置xの位置関係を知ることができる。
現在位置xが、例えば、x=L1を超えて合焦位置S2の負方向側にあると判定された場合には、ステップS5に移行する。
x1=x2+(S1−S2) ・・・(1)
Δx=x1−x ・・・(2)
移動制御部43は、現在位置xからΔxだけ、さらに物体側に撮影レンズユニット1を駆動するための制御信号を焦点位置移動機構5に送出する。これにより、撮影レンズユニット1が位置x1に移動される。
移動制御部43は、位置x1への移動が完了すると、合焦状態評価部40に移動が完了したことを通知する。そして、合焦状態評価部40は、合焦完了信号210を撮像制御部3に送出する。
以上で合焦が完了する。
このため、本実施形態では、焦点距離を切り替えたりレンズ1aを交換したりする場合であっても、合焦評価値の演算処理や、参照データを、それぞれの焦点距離やレンズの種類に適合するものに、自動的に切り替えることができる。
本実施形態では、撮影レンズユニット1を無限遠位置に対応する基準位置から物体側に向かって移動させてオートフォーカスを行うため、無限遠位置に対応する基準位置に近い長波長側の合焦位置x2を検出するために移動してから、さらに同方向に移動して、合焦位置x1に移動することができる。
このため、無限遠位置に対応する基準位置から1ステップずつ合焦状態を評価しながらレンズを移動させて、赤外領域より短波長側の可視光の合焦位置x1を検出する従来のオートフォーカス制御に比べて、より基準位置に近い赤外領域光による合焦位置x2を検出し、その後連続移動して可視光の合焦位置x1に移動するので、短時間に合焦状態を検出し、合焦位置に向かってより高速で移動できる。このため、合焦動作をより高速化することができる。
また、このように無限遠位置に対応する基準位置から至近側に向かう一方向に移動して、合焦させることができるので、従来のように、合焦位置x1を検出してから、一度逆方向にレンズ位置を戻して、再度合焦位置x1に移動することなく、合焦動作を行うことができるため、迅速な合焦を行うことができる。また、焦点位置移動機構5が、例えば、駆動機構のバックラッシなどによって、移動方向の変更により移動位置誤差が発生しやすい機構を採用しても、移動方向の変更による移動位置誤差が発生しないため、高精度に合焦することができる。
図9(a)は、本発明の第1の実施形態の変形例に係る焦点位置調整装置に用いる撮像素子の合焦状態評価エリアの単位受光部の配列を示す模式的な部分拡大図である。図9(b)は、図9(a)におけるC−C断面図である。
撮像素子2Aは、図9(a)、(b)に示すように、撮像素子2の合焦状態評価エリア20aにおけるIR光受光部20IRを、IR光受光部21IRに代えたものである。
IR光受光部21IRは、赤外領域光のみに感度を有する受光部21bからなる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る焦点位置調整装置について説明する。
図10は、本発明の第2の実施形態に係る焦点位置調整装置の焦点位置と合焦評価値の比との関係を示す模式的なグラフである。横軸は光軸に沿う方向の位置、縦軸は合焦評価値を示す。
焦点位置制御部4Aは、焦点位置制御部4の合焦状態評価部40を合焦状態評価部40Aに代えたものである。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
ただし、本実施形態による合焦評価値は、上記第1の実施形態の合焦状態評価部40と同様にして、赤外領域画像信号201aおよび可視領域画像信号200aに基づく合焦評価値を求めてから、赤外領域画像信号201aに基づく合焦評価値に対する可視領域画像信号200aに基づく合焦評価値の比Rとして算出する点が上記第1の実施形態と異なる。
比Rを求めるための各合焦評価値は、上記第1の実施形態と同様に種々の評価値を採用することができる。以下では、光束の広がり径をRMS値の場合の例で説明する。
また、合焦状態評価部40Aは、移動制御部43から移動が完了したことを検知すると合焦完了信号210を、撮像制御部3に送出する。
図10は、上記第1の実施形態で説明した図2に示す例に対応する参照データであり、焦点距離14.25mmのレンズ1aの撮像面Mに対する焦点位置を、無限遠から至近位置の中間状態であるMG=−0.033の位置に合わせたときに、至近位置から無限遠まで物体撮影を試みた際の被写体からの光束の広がり径をRMS値でプロットしたものである。ここで、横軸は、物体距離に対応する横倍率MGで表している。曲線303は、可視領域である波長546.07nmのRMS値に対する赤外領域である波長900nmのRMS値の比Rを示す。
このような曲線303は、データ記憶部41には、位置情報に対するRMS値の比Rの値が、適宜の関数形を表すデータもしくはデータテーブルの形で記憶されている。
曲線303に示すように、比Rは、横倍率MGが、MG=0〜−0.022で減少して、MG=−0.022となる位置S2で最小値Rminをとり、MG=−0.022〜−0.038で増大して、MG=−0.038となる位置S1で最大値Rmaxをとり、MG=−0.038〜−∞の間で、S字状曲線を描いて減少してからR=1に漸近する曲線を描き、位置S2、S1の近傍にそれぞれ谷部、頂部を有するような曲線を描いている。
ここで、位置S1、S2の差は、レンズ1aの色収差に対応する焦点距離のずれ量に等しい。
上記第1の実施形態と同様に、撮像制御部3から可視領域画像信号200a、赤外領域画像信号201aが送出されると、合焦状態評価部40Aによって、各画像信号に応じて、現在位置でのRMS値が算出され、それらの比Rが算出される。例えば、位置Laでは比R=aが算出され、位置Lbでは比R=bが算出される。
そこで、合焦状態評価部40Aは、移動制御部43に制御信号を送出して、焦点位置移動機構5を駆動し、撮影レンズユニット1を無限遠側または至近側に一定距離だけ移動させる。この一定移動距離は、位置Laと位置S1との差、および位置La’と位置S1との差のうち小さい方を超えない適宜距離とする。
これにより、合焦状態評価部40Aは、移動前の位置が位置Laであって、位置La’ではなかったと判定する。もし、R=aであった移動前の位置が位置La’であったとすると、b<aでなければならないからである。
また、同様に、移動後の現在位置は、R=bとなる位置のうち、位置Lb’ではなく、位置Lbであることが分かる。
このようにして、合焦状態評価部40Aは、現在位置Lbと合焦位置である位置S1との間の距離をデータ記憶部41に記憶された参照データから取得して、位置S1に移動するための制御信号を移動制御部43に送出する。
これにより、焦点位置移動機構5が駆動され、撮影レンズユニット1は合焦位置である位置S1に移動される。
このようにして、合焦が完了する。
また、本実施形態における合焦評価は、合焦位置S1から離れた2箇所でも行うことができるため、現在位置がどこであっても同様に最低3回の移動でオートフォーカス動作を行うことができる。1回ごとの移動は、与えられた移動距離だけ連続移動する移動動作となるため、細かいステップでの単位移動を繰り返して同距離だけ間欠的に移動する場合に比べて格段に高速な移動を行うことができる。
本変形例は、参照データとして、上記第2の実施形態の曲線303の変化率を表す曲線を採用したものである。曲線303を、MGで表した位置をxとして、R=H(x)と表す。すると、曲線303の変化率r(x)は、Δx=C(一定)として、r(x)={H(x+Δx)−H(x)}/Δxのように算出することができる。この変化率r(x)は曲線303から一義的に決まるものである。
ここで、一定値Cは、例えば、焦点位置移動機構5の最小送り量などをとればよい。例えば、レンズ1aを、MG=0.002ずつ移動させるとした場合、C=0.002とする。
変化率r(x)は、xをMGの軸上で変化させたとき、x=S1、S2の位置にて傾きがほぼゼロ(極値=合焦位置)の曲線となる。
例えば、曲線303の場合、レンズ1aを、x=−0.1から、x=0に向かって一定速度で移動させると、変化率r(x)は、正→ゼロ(S1)→負→ゼロ(S2)→正のように変化する。この変化率r(x)は、曲線303の場合、位置xに1対1に対応しているので、この位置xにおける変化率r(x)をデータテーブルとして記憶しておく。
オートフォーカスは、現在位置x=Laで、比R=aを取得し、その後、無限遠側に、Δx=0.002だけ、レンズ1aを移動させた位置Lbで、R=bを取得する。そして、これらからr=(a−b)/(La−Lb)を算出する。そして、この位置Laにおける変化率rを、データテーブルのr(x)と比較して、位置Laを検出する。そして、データテーブルから合焦位置S1までの移動方向および移動距離を求めて、合焦位置S1にレンズ1aを駆動する。これによりオートフォーカス動作を行うことができる。
このような場合、予めレンズ1aのデフォーカス特性に基づいて、データテーブルを作成する際に分かるので、(1)これらの領域で、変化率が重ならないように、Δx=Cの値を選定しておくか、あるいは(2)変化率r(x)に加えて、比R=H(x)を加えた複合テーブルデータを作成し、位置xに対して変化率r(x)と比R=H(x)の組み合わせが一意に定まるようにしておくことで、位置xの検出が可能である。
撮影光学系を一定方向に駆動して、各移動位置で合焦評価値の比を算出し、例えば、山登り制御方式と同様にして、ピーク検出を行い、合焦評価値の比のピーク位置に合焦動作を行うようにしてもよい。この場合、合焦評価値の比は、合焦評価値の変化に比べてより急峻な変化を示すので、合焦検出の感度に優れており、単に合焦評価値のピーク検出を行う場合に比べて、少ない合焦評価回数でも合焦位置を検出することができる。
1a レンズ(撮影光学系)
2、2A 撮像素子(撮像部)
2b 受光部
3 撮像制御部(撮像部)
4、4A 焦点位置制御部
5 焦点位置移動機構
9 画像記憶部
10 赤外領域光源
20B B光受光部
20G G光受光部
20IR IR光受光部
20R R光受光部
21IR IR光受光部
21b 受光部
40、40A 合焦状態評価部
41 データ記憶部
43 移動制御部
100 カメラ
110、110
110、110A 焦点位置調整装置
200a 可視領域画像信号(第1の画像信号)
201a 赤外領域画像信号(第2の画像信号)
M 撮像面
f(x)、g(x) 合焦評価値
R 比(合焦評価値)
Claims (6)
- 被写体からの光を結像する撮影光学系と、
該撮影光学系により結像される前記被写体の像を、少なくとも2つの異なる波長または波長帯域の光を撮像面で光電変換して、少なくとも第1および第2の画像信号を生成する撮像部と、
該撮像部の前記撮像面に対して、前記撮影光学系を光軸に沿う方向に移動させる焦点位置移動機構と、
前記撮像部によって生成された少なくとも前記第1および第2の画像信号に基づいて、それぞれの波長または波長帯域での合焦状態を評価する合焦状態評価部と、
該合焦状態評価部の評価結果に基づいて、前記焦点位置移動機構を駆動する移動制御部とを備えることを特徴とする焦点位置調整装置。 - 前記撮像部は、
前記第1の画像信号として、可視領域光を光電変換した画像信号を生成し、
前記第2の画像信号として、赤外領域光を光電変換した画像信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の焦点位置調整装置。 - 前記撮像部は、
光電変換を行う撮像素子と、
該撮像素子と、前記撮影光学系との間の光路上で、前記撮影光学系からの光の波長選択を行う波長選択手段とを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の焦点位置調整装置。 - 前記撮像部は、
互いに相対波長感度が異なる第1および第2の受光部を有する撮像素子を備え、
前記第1および第2の受光部のいずれか一方は、前記少なくとも2つの異なる波長または波長帯域の光のうち、いずれか1つの波長または波長帯域の光に対して、より大きな相対感度を有し、
前記第1および第2の受光部のいずれか一方によって、前記いずれか1つの波長または波長帯域の光を光電変換して、前記第1または第2の画像信号を生成することを特徴とする請求項1または2に記載の焦点位置調整装置。 - 前記合焦状態評価部は、
前記少なくとも2つの異なる波長または波長帯域における前記撮影光学系のデフォーカス特性のデータを記憶するデータ記憶部を備え、
該データ記憶部に記憶された前記デフォーカス特性のデータに基づいて、前記第1および第2の画像信号から前記合焦状態の評価を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の焦点位置調整装置。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の焦点位置調整装置を備えることを特徴とするカメラ。
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