JP2010230504A - 接着性能試験方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】取り付け治具12に形成された治具接着面18をタイル30のタイル外面34に接着剤Cにより接着する。タイル外面34と平行する仮想平面を第1の仮想平面P1とし、コンクリート接着面35を含む仮想平面を第2の仮想平面P2とする。第1の仮想平面P1に対して0度を超え90度未満の傾斜角度θで交差しかつ第2の仮想平面P2を通る仮想線を仮想線Lとする。第1の仮想平面P1に対して0度を超え90度未満の傾斜角度θで交差しかつ第2の仮想平面P2を通る仮想線Lに沿って、取り付け治具12に対して該取り付け治具12をコンクリート下地26から離間する方向に荷重Wを加える。タイル30がコンクリート下地26から剥離した際に、タイルの接着性能を評価するための測定を行う。
【選択図】図2
Description
建研式引張接着試験を用いたタイルの剥離試験は次のようになされる。
すなわち、試験対象タイルの周囲のモルタルをコンクリートカッターなどによって下地のコンクリートに達するまで切り欠きを入れる。次いで、当該タイルに鋼製の引張用治具を接着剤によって取り付ける。引張用治具に、タイル張り付け面に対して垂直方向の荷重を加える。そして、タイルが剥離した際の前記荷重を引っ張り接着強度として測定する。
このような引っ張り接着強度の基準値は、例えば、0.4N/mm2とされている。
ところで、タイル張り層に剥離外力を与える主な原因は、タイル層、モルタル層、コンクリート層の動きの違い(ディファレンシャルムーブメント)によって、タイルとコンクリートとの間の接着界面に対してせん断方向の力が作用することにある。
このようなタイル層、モルタル層、コンクリート層の動きの違いは、温度変化によるタイルの熱伸縮、コンクリート躯体の自己収縮・乾燥収縮ひずみ、コンクリートの軸ひずみやクリープひずみなどによって発生する。
しかしながら、実際の外壁においては、上述したように接着界面に対してせん断力が作用することから、目荒らし無しだと、タイルの剥離が生じやすい。
特に、現場での典型的な剥離現象として、目荒らしが無いことによるコンクリート接着界面破壊(コンクリートとモルタルとの界面での破壊)が多く報告されているが、建研式引張接着試験では、そのコンクリート接着界面破壊も再現されない場合が多い。
したがって、従来の建研式接着強度試験は、実際の建物で起きている剥離現象を十分に考慮していないことから、接着性能を正確に評価する上で十分なものとはいえなかった。
ひずみ追従性試験は、コンクリート角柱の側面に所定の下地処理を施工した上でタイルを張付け、コンクリート角柱部分のみを圧縮載荷し、コンクリート層とタイル層にディファレンシャルムーブメントを与える試験方法である。
しかしながら、ひずみ追従性試験は、実際にタイルが張付けられた建物に適用することは不可能である。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、実際の建物においてタイルとコンクリートとの間の接着界面に対してせん断方向の力を作用させることによって接着性能を正確に評価する上で有利な接着性能試験方法を提供することにある。
そのため、タイル外面と平行する方向の分力により、モルタルとコンクリート下地との間の接着界面に対してせん断方向の力が作用するため、タイルの接着性能を正確に評価する上で有利となる。
まず、図1を参照して実施の形態における接着性能試験方法の実施するための接着性能試験装置10について説明する。
接着性能試験装置10は、取り付け治具12と、接着強度試験器14と、載置台16などを含んで構成されている。
取り付け治具12は、本体板部12Aと取り付け片12Bとで構成されている。
本体板部12Aは、鋼製で矩形板状を呈し、厚さ方向の一方の面が治具接着面18として形成されている。
取り付け片12Bは、本体板部12Aの厚さ方向の他方の面の長さ方向の端部で幅方向の中央部に一対突設されている。
一対の取り付け片12Bの先端には、連結軸挿通用の孔12Cが形成されている。
連結軸挿通用孔12Cに連結軸12Dが挿通され、この連結軸12Dにユニバーサルジョイント20が結合されている。
ジャッキ部14Aは、テンションロッド14Cに該テンションロッド14Cの軸方向に沿って荷重を加えるものであり、例えば、回転ハンドル1402を回転操作することにより機械的に駆動され、あるいは、手動式の油圧ポンプから供給される油圧によって駆動される。
一対の脚部14Bは、テンションロッド14Cの両側に位置するジャッキ部14Aの下部から垂設されている。
テンションロッド14Cの上部は、例えば、テンションロッド14Cに螺合される不図示のナットを介してジャッキ部14Aに着脱可能に連結される。
テンションロッド14Cの下部はユニバーサルジョイント20に着脱可能に連結され、したがって、テンションロッド14Cはユニバーサルジョイント20を介して取り付け治具12に揺動可能に連結される。
荷重計14Dは、ジャッキ部14Aからテンションロッド14Cに加わる荷重を測定しその測定値を表示するものである。
荷重計14Dとして、デジタル荷重計、アナログ荷重計など従来公知のさまざま荷重計が使用可能である。
載置板16Aは、一対の脚部14Bが載置される載置面16Cと、載置面16Cの一側に接続され後述するタイル30のタイル外面34に当て付けられる第1当て付け部16Dとを有している。
支持板16Bは、載置板16Aの第1当て付け部16Dと反対側に位置する他側から載置板16Aと直交する方向に垂設されている。
支持板16Bは、延在方向の先部にタイルのタイル外面に当て付けられる第2当て付け部16Eが設けられている。
載置台16は、載置板16Aを上方に、支持板16Bを下方に位置させて設置される。
その際、第2当て付け部16Eがアンカー22に係合することで、接着強度試験器14の反力をアンカー22で受けるようにしている。
なお、接着強度試験器14の反力を受ける構成としては、アンカー22を用いる代わりに、床などの水平面に設置したサポート部材を用いるなど任意である。
図1に示すように、外壁24は、コンクリート下地26の表面にモルタル28を介してタイル30が接着されることで構成されている。
タイル30の厚さ方向の一方の面は、モルタル28を介してコンクリート下地26に接着されるタイル接着面32として形成され、その反対側の面はタイル外面34として形成されている。
また、タイル接着面32に接着されたモルタル28がコンクリート下地26に接着される面は、コンクリート接着面35として形成されている。
図2、図3に示すように、本実施の形態では、タイル30は矩形板状を呈し、タイル接着面34は矩形状を呈している。
まず、図1、図2に示すように、接着性能試験の対象となるタイル30を選択し、そのタイル30の周囲全周のモルタル28をコンクリート下地26が露出するようにコンクリートカッターなどを用いて切断することで、切り欠き36を形成する(第1工程)。
すなわち、テンションロッド14Cの下部をユニバーサルジョイント20に連結する。
載置台16の第1、第2当て付け部16D、16Eをタイル外面34に当て付けるとともに、第2当て付け部16Eをアンカー22に係合させる。
接着強度試験器14の脚部14Bを載置面16Cに載置した状態で、テンションロッド14Cの上部を接着強度試験器14のジャッキ部14Aに連結する。
第1の仮想平面P1に対して0度を超え90度未満の傾斜角度θで交差しかつ第2の仮想平面P2を通る仮想線を仮想線Lとする。
この状態で、載置台16および接着強度試験器14は、載置台16に載置された接着強度試験器14のテンションロッド14Cの中心軸と仮想線Lとが一致するように構成されている。
これにより、第1の仮想平面P1に対して0度を超え90度未満の傾斜角度θで交差しかつ第2の仮想平面P2を通る仮想線Lに沿って、取り付け治具12に対して該取り付け治具12をコンクリート下地26から離間する方向に荷重Wが加えられることになる。
図2、図3に示すように、本実施の形態では、コンクリート接着面35の対向する2辺3502、3504の中心を通りコンクリート接着面35上を延在する中心線CLと仮想線Lとは、タイル30を平面視した場合に重なっている。
そして、タイル30を平面視した場合に、荷重は対向する2辺3502、3504のうちの一方の辺3502から他方の辺3504に向いている。
本実施の形態では、仮想線Lが第2の仮想平面P2を通る箇所は、対向する2辺3502、3504のうちの一方の辺3502の中央である。
ここで、タイルの接着性能を評価するための測定を行う(第4工程)。
本実施の形態では、タイルの接着性能を評価するための測定は、後述するように、タイル30がコンクリート下地26から剥離した際の破壊面積の割合を測定することによって行う。
そのため、図2に示すように、タイル外面34と直交する方向の分力F1と、タイル外面34と平行する方向の分力F2とがタイル30に作用する。
これにより、タイル外面34と平行する方向の分力F2により、モルタル28とコンクリート下地26との間の接着界面(コンクリート接着面35)に対してせん断方向の力が作用するため、タイル30の接着性能を正確に評価する上で有利となる。
すなわち、実際の建物においてモルタル28とコンクリート下地26との間の接着界面(コンクリート接着面35)に対してせん断方向の力を作用させることから、実際の建物で起きている剥離現象を十分に考慮した試験を行えるため、接着性能を正確に評価する上で有利となる。
言い換えると、タイル30に対して斜め方向に引張力を加えることによって、せん断による破壊を起こしやすくすることにより、実際の剥離現象と同様の剥離現象を再現できるため、実際の建物におけるタイル30の接着性能の評価を的確に評価する上で有利となる。
また、ひずみ追従性試験に比較して実際にタイル30が張付けられた建物に適用することが容易であるため、実際の建物におけるタイル30の接着性能の評価を的確に評価する上で有利となる。
図17に示すように、タイル30がコンクリート下地26から剥離する際、次のような種類の破壊が発生する。
1)タイル凝集破壊(CFT):タイル30の部分が破壊されるもの。
2)タイル接着界面破壊(AFT):タイル30とモルタル28との接着界面で破壊されるもの(タイル接着面32で破壊されるもの)。
3)モルタル凝集破壊(CFM):モルタル28の部分が破壊されるもの(タイル接着面32とコンクリート接着面35との間のモルタル28の部分が破壊されるもの)。
4)コンクリート接着界面破壊(AFC):モルタル28とコンクリート下地26との接着界面で破壊されるもの(コンクリート接着面35で破壊されるもの)。
5)コンクリート凝集破壊(CFC):コンクリート下地26の部分が破壊されるもの。
実際に発生する破壊の形態としては、コンクリート接着界面破壊(AFC)が最も生じやすく、したがって、このコンクリート接着界面破壊(AFC)の発生度合いを測定することがタイルの接着性能を評価する上で好ましいといえる。
したがって、タイル30がコンクリート下地26から剥離した際、第4工程として次のような測定を行うことがタイルの接着性能を評価する上で好ましい。
すなわち、コンクリート下地26とコンクリート接着面35との間で生じた破壊部分、すなわち、コンクリート接着面35の破壊部分の面積を計測し、該破壊部分の面積がコンクリート接着面35の面積に占める割合をコンクリート接着界面破壊割合(AFC割合)として求める。
上記コンクリート接着界面破壊割合(AFC割合)の測定は後述する各実施例において実施している。
すなわち、異なる下地処理が施されたコンクリート下地26にタイル30をモルタル28を介して接着した複数の試験体を用意し、それら試験体に対して本発明による接着性能試験方法とひずみ追従性試験とによる試験を行い、測定した接着強度の相関を確認した。
以下詳細に説明する。
試験体としては、コンクリート下地26の下地処理の条件をさまざまに変化させた複数の試験体を用意した。
第1試験体A:型枠脱型面に目荒らしを十分に行い、かつ、吸水調整材処理を施したコンクリート下地26にタイル30をモルタル28を介して接着したもの。最も剥離しにくい試験体である。
第2試験体B:型枠脱型面に目荒らしや吸水調整材塗布などの下地処理を施さないコンクリート下地26にタイル30をモルタル28を介して接着したもの。最も剥離しやすい試験体である。
第3試験体C:型枠脱型面に目荒らしを不十分に行ったコンクリート下地26にタイル30をモルタル28を介して接着したもの。剥離しやすさは第1、第2試験体A、Bと中間程度である。
これら各試験体A,B,Cを複数用意した。
ひずみ追従性試験は次のようになされる。
図16に示すように、コンクリート角柱50の側面52に所定の下地処理を施工した上で、タイル30をモルタル28を介して側面52に接着する。
コンクリート角柱50に、荷重WPを単調圧縮載荷することにより、コンクリート層とタイル層にディファレンシャルムーブメントを与える。
そして、コンクリート下地26とコンクリート接着面35との間で生じた破壊部分、すなわち、コンクリート接着面35の破壊部分の面積を計測し、該破壊部分の面積がコンクリート接着面35の面積に占める割合をコンクリート接着界面破壊割合(AFC割合)として評価する。
ひずみ追従性試験の結果は次のとおりである。
第1試験体A:コンクリート接着界面破壊(AFC)の割合が最も少ない。
第2試験体B:全面的にコンクリート界面破壊が生じた。
第3試験体C:第1試験体Aに次いでコンクリート接着界面破壊(AFC)の割合が少ない。
すなわち、コンクリート下地26の下地処理の条件が良いほどコンクリート接着界面破壊(AFC)の割合が少ない。
以下の第1乃至第5実施例に示すように、本発明による接着性能試験方法について条件を変えて実験を行った。
第1実施例では、実験条件は、図4に示すように、傾斜角度θを45度とし、仮想線Lが第2の仮想平面P2を通る箇所を中心線CL(図3)の延在方向の中心点(タイル張り付け芯)とした。すなわち、仮想線Lはコンクリート接着面35を通っている。
タイル30を平面視した場合に、荷重は対向する2辺3502、3504のうちの一方の辺3502から他方の辺3504に向いている。
なお、図4以降の図面においては、図面の簡略化を図るために、取り付け治具12の治具接着面18とタイル外面34とを接着する接着剤Cの図示を一部省略する。
評価は、前述したコンクリート接着界面破壊割合(AFC割合)の測定に基づいて行う。すなわち、タイル30がコンクリート下地26から剥離した際、コンクリート下地26とコンクリート接着面35との間で生じた破壊部分、すなわち、コンクリート接着面35の破壊部分の面積を計測し、該破壊部分の面積がコンクリート接着面35の面積に占める割合をコンクリート接着界面破壊割合(AFC割合)として求める。
試験結果は図5に示すとおりである。
ここで、図5は、横軸に本発明方法によるAFC割合の平均(%)を示し、縦軸にひずみ追従性試験によるAFC割合の平均(%)を示している。なお、図7、図9、図11、図13、図15における横軸および縦軸の関係も図5と同様である。
なお、図5において符号A、B,Cは、第1試験体A、第2試験体B、第3試験体Cのデータを示している。
第1試験体A:界面破壊がほとんど検出されず、ひずみ追従性試験と同様の傾向を示した。
第2試験体B:コンクリート接着界面破壊(AFC)が多く検出され、ひずみ追従性試験と同様の傾向を示した。
第3試験体C:中間的な下地処理をしたものについては、図5に示すように、ひずみ追従性試験との相関があまり見られなかった。
第2実施例では、実験条件は、図6に示すように、傾斜角度θを45度とし、仮想線Lが第2の仮想平面P2を通る箇所をコンクリート接着面35上における中心線CL(図3)の延在方向の後端とした。
すなわち、図3に示すように、コンクリート接着面35の対向する2辺3502、3504の中心を通りコンクリート接着面35上を延在する中心線CLと仮想線Lとは、タイル30を平面視した場合に重なっている。また、タイル30を平面視した場合に、荷重Wは対向する2辺3502、3504のうちの一方の辺3502から他方の辺3504に向いており、仮想線Lが第2の仮想平面P2を通る箇所は、2辺3502、3504のうちの一方の辺3502の中央である。
試験結果は次のとおりである。
第1試験体A:界面破壊がほとんど検出されず、ひずみ追従性試験と同様の傾向を示した。
第2試験体B:コンクリート接着界面破壊(AFC)が多く検出され、ひずみ追従性試験と同様の傾向を示した。
第3試験体C:図7に示すように、ひずみ追従性試験との相関があまり見られなかった。
第3実施例では、実験条件は、図8に示すように、傾斜角度θを45度とし、仮想線Lが第2の仮想平面P2を通る箇所を中心線CL(図3)の延在方向の前端とした。
すなわち、図3に示すように、中心線CLと仮想線Lとは、タイル30を平面視した場合に重なっている。また、タイル30を平面視した場合に、荷重Wは対向する2辺3502、3504のうちの一方の辺3502から他方の辺3504に向いており、仮想線Lが第2の仮想平面P2を通る箇所は、2辺3502、3504のうちの他方の辺3504の中央である。
試験結果は次のとおりである。
第1、第2、第3試験体A、B、C:界面破壊がほとんど検出されず、図9に示すように、ひずみ追従性試験との相関が見られなかった。
第4実施例では、実験条件は、図10に示すように、傾斜角度θを30度とし、仮想線Lが第2の仮想平面P2を通る箇所を中心線CL(図3)の延在方向の中心点(タイル張り付け芯)とした。
試験結果は次のとおりである。
第1試験体A:界面破壊がほとんど検出されず、ひずみ追従性試験と同様の傾向を示した。
第2試験体B:コンクリート接着界面破壊(AFC)が多く検出され、ひずみ追従性試験と同様の傾向を示した。
第3試験体C:図11に示すように、ひずみ追従性試験と比較してコンクリート接着界面破壊(AFC)の割合が小さく、相関が良いとはいえなかった。
第5実施例では、実験条件は、図12に示すように、傾斜角度θを30度とし、仮想線Lが第2の仮想平面P2を通る箇所をコンクリート接着面35上における中心線CL(図3)の延在方向の後端とした。
すなわち、図3に示すように、コンクリート接着面35の対向する2辺3502、3504の中心を通りタイル接着面32上を延在する中心線CLと仮想線Lとは、タイル30を平面視した場合に重なっている。また、タイル30を平面視した場合に、荷重Wは対向する2辺3502、3504のうちの一方の辺3502から他方の辺3504に向いており、仮想線Lが第2の仮想平面P2を通る箇所は、2辺3502、3504のうちの一方の辺3502の中央である。
試験結果は次のとおりである。
第1、第2、第3試験体A、B、C:図13に示すように、何れの試験体においても、コンクリート接着界面破壊(AFC)の割合がひずみ追従性試験と同様の傾向を示し、最も相関が良い結果となった。
比較例として、従来の建研式接着試験方法による実験を行った。
すなわち、図14に示すように、コンクリート柱40の側面42にモルタル28を介して接着されたタイル30のタイル外面34に取り付け治具12の治具接着面18を接着剤によって接着する。図中符号2はコンクリート柱40の移動を阻止する固定部材を示す。
次いで、従来公知の建研式接着試験器を用いて取り付け治具12に、タイル外面34に対して垂直方向の荷重を加え、タイル30が剥離した際の前記荷重を接着強度として測定する。
試験結果は、図15に示すように、コンクリート接着界面破壊(AFC)がほとんど見られず、第1試験体Aを除き、ひずみ追従性試験との相関がなかった。
すなわち、タイル30とコンクリート下地26との界面に加えるせん断方向の力を確保する観点から、第1の仮想平面P1と仮想線Lとがなす傾斜角度θを0度を超え45度未満とすることが好ましい。また、第4、第5実施例を比較すると、第5実施例の方がひずみ追従性試験との相関が良い傾向にある。
すなわち、次の条件を満たすことが、ひずみ追従性試験との相関をとる上でより好ましい。
タイル30を平面視した場合に、荷重Wは対向する2辺3502、3504のうちの一方の辺3502から他方の辺3504に向いており、仮想線Lがタイル接着面32を通る箇所は、2辺3502、3504のうちの一方の辺3502の中央である。
タイル30を平面視した場合に、荷重Wは対向する2辺3502、3504のうちの一方の辺3502から他方の辺3504に向いており、仮想線Lが第2の仮想平面P2を通る箇所は、2辺3502、3504のうちの一方の辺3502の中央である。
しかしながら、仮想線Lが第2の仮想平面P2を通る箇所は、タイル30とコンクリート下地26との界面に加えるせん断方向の力を確保できればよいのであり、仮想線Lが第2の仮想平面P2を通る箇所は次のように設定してもよい。
2辺3502、3504の間の長さを(タイル30の長さを)Dとしたとき、仮想線Lが第2の仮想平面P2を通る箇所を、中心線CLと一方の辺3502が交差する点を中心にしてD/2未満の範囲とする。
このような調整を行えるようにすれば、仮想線Lが第2の仮想平面P2を通る箇所を、タイル30の厚さ寸法やモルタル28の厚さ寸法に応じて簡単に調整できるため作業の効率化を図る上で好ましい。
しかしながら、モルタル28とコンクリート下地26との間の接着界面(コンクリート接着面35)に対してせん断方向の力が有効に作用すれば、第2の仮想平面P2がコンクリート接着面35に対して多少上下方向(コンクリート接着面35と直交する方向)にずれていてもよい。
例えば、第2の仮想平面P2がタイル接着面32を含む仮想平面であっても、モルタル28とコンクリート下地26との間の接着界面(コンクリート接着面35)に対してせん断方向の力が有効に作用すれば、上述したのと同様の効果が奏される。
しかしながら、タイルの接着性能を評価するための測定としては、上記接着強度の測定に限定されるものではない。
例えば、荷重計14Dを用いて、タイル30がコンクリート下地26から剥離した際の荷重を接着強度として測定するようにし、この接着強度によりタイルの接着性能を評価するようにしてもよい。
あるいは、荷重Wを加えたタイル30の外面34と、該タイル30に近接する別のタイル30の外面34との間にπゲージや歪ゲージを取り付けておき、荷重Wに対するタイル30の変位量を測定するようにし、この変位量によりタイルの接着性能を評価するようにしてもよい。
1)タイル30が、予め下地がモルタルで構成されたモルタル層の表面にモルタル28を介して接着された構造においてタイル30とモルタル層との接着性能を評価する。
この場合は、本実施の形態と同様に、タイル30に接着された取り付け治具12に荷重Wを加えて接着性能を評価するための測定を行うことにより、タイル30とモルタル層との接着性能を評価することができる。
2)コンクリート下地26の表面にモルタル層が接着された構造において該モルタル層とコンクリート下地26との接着性能を評価する。
この場合は、本実施の形態と同様に、モルタル層の表面に接着された取り付け治具12に荷重Wを加えて接着性能を評価するための測定を行うことにより、モルタル層とコンクリート下地26との接着性能を評価することができる。
3)タイル30がモルタル28以外の弾性接着剤などの張り付け材料(接着材料)を用いてコンクリート下地26に接着された構造においてタイル30とコンクリート下地26との接着性能を評価する。
この場合は、本実施の形態と同様に、タイル30に接着された取り付け治具12に荷重Wを加えて接着性能を評価するための測定を行うことにより、タイル30とコンクリート下地26との接着性能を評価することができる。
そのため、タイル30のサイズが大きい場合には、タイル30を切断することにより小さいサイズに分割し、分割したタイル30を用いて試験を行うようにすれば、測定結果のばらつきを抑制することができ好ましい。
Claims (8)
- コンクリート下地にモルタルを介して接着されたタイルの接着性能試験方法であって、
前記タイルがモルタルを介して前記コンクリート下地に接着される面をタイル接着面とし、その反対側の面をタイル外面とし、前記タイル接着面に接着されたモルタルが前記コンクリート下地に接着される面をコンクリート接着面としたとき、
前記タイルの周囲全周のモルタルを前記コンクリート下地が露出するように切断する第1工程と、
取り付け治具に形成された治具接着面を接着剤により前記タイル外面に接着する第2工程と、
前記タイル外面と平行する第1の仮想平面に対して0度を超え90度未満の傾斜角度で交差しかつ前記コンクリート接着面を含む第2の仮想平面を通る仮想線に沿って、前記取り付け治具に対して該取り付け治具を前記コンクリート下地から離間する方向に荷重を加える第3工程と、
前記タイルが前記コンクリート下地から剥離した際に、タイルの接着性能を評価するための測定を行う第4工程とを含む、
タイルの接着性能試験方法。 - 前記第4工程の測定は、前記タイルが前記コンクリート下地から剥離した際の前記荷重を測定することによってなされる、
請求項1記載のタイルの接着性能試験方法。 - 前記第4工程の測定は、前記タイルが前記コンクリート下地から剥離した際における前記コンクリート接着面の破壊部分の面積を計測し、該破壊部分の面積が前記コンクリート接着面の面積に占める割合をコンクリート接着界面破壊割合として算出することによってなされる、
請求項1記載のタイルの接着性能試験方法。 - 前記コンクリート接着面は矩形状を呈し、
前記コンクリート接着面の対向する2辺の中心を通り前記コンクリート接着面上を延在する中心線と前記仮想線は、前記タイルを平面視した場合に重なっている、
請求項1乃至3に何れか1項記載のタイルの接着性能試験方法。 - 前記タイルを平面視した場合に、前記荷重は前記対向する2辺のうちの一方の辺から他方の辺に向いており、
前記仮想線が前記第2の仮想平面を通る箇所は、前記2辺のうちの前記一方の辺の中央である、
請求項4記載のタイルの接着性能試験方法。 - 前記タイルを平面視した場合に、前記荷重は前記対向する2辺のうちの一方の辺から他方の辺に向いており、
前記対向する2辺の間の長さをDとしたとき、
前記仮想線が前記第2の仮想平面を通る箇所は、前記中心線と前記一方の辺が交差する点を中心にしてD/2未満の範囲である、
請求項4記載のタイルの接着性能試験方法。 - 前記傾斜角度が0度を超え45度未満である、
請求項1乃至6に何れか1項記載のタイルの接着性能試験方法。 - 前記取り付け治具は、鋼製で板状を呈し、厚さ方向の一方の面が前記治具接着面として形成された本体板部と、前記本体板部の厚さ方向の他方の面に突設されその先端に連結軸挿通用の孔が形成された取り付け片とで構成され、
前記第3工程では、前記連結軸挿通用孔に挿通された連結軸にユニバーサルジョイントが結合され、該ユニバーサルジョイントに結合されたテンションロッドを引っ張ることにより前記荷重が加えられる、
請求項1乃至7に何れか1項記載のタイルの接着性能試験方法。
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