JP4653022B2 - 窯業系不燃パネル部材の壁倍率簡易試験方法 - Google Patents

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Description

本発明は、窯業系不燃パネル部材の壁倍率簡易試験方法に関し、特にパネル部材から得られる小片の試験用パネル片を用いて行う窯業系不燃パネル部材の壁倍率簡易試験方法に関する。
近年、例えば木造住宅建築物等の建物を構成する外壁や仕切り壁として、地震や風等による水平力に対して抵抗可能な耐力を備える耐力壁が採用される場合がある。また耐力壁として、その耐力要素に構造用面材を用いたものが知られている。構造用面材は、例えば柱、土台、梁等によって構成される軸組に対し、これらの軸組によって四方を囲まれる開口部を塞ぐように配設され、この状態で、構造用面材の周縁部に固定ビスや固定釘等を打ち込むことにより軸組に固定され、軸組と一体となって耐力を発揮する。
このように、構造用面材は、耐力壁の構成材料として耐力を発揮するものであり、このような構造用面材の耐力を例えば壁倍率として把握しておくことが重要である。特に、建物の耐火性能の向上を目的として、セメント、石膏、スラグ、パーライト等の窯業系材料を用いて形成した不燃パネル部材を構造用面材として採用する際には、これらの不燃パネル部材は固定ビスや固定釘等を打ち込んだ際の保持力がそれ程高くなく、所望の壁倍率を得ることができない場合もあることから(例えば、特許文献1参照)、不燃パネル部材による壁倍率を把握して、必要に応じて耐力壁に筋交い等を設ける手段を施す必要がある。
特開2001−159202号公報
構造用面材の壁倍率を判定する方法としては、従来より、JIS A 1414に基づく面内せん断試験による方法が一般的に知られているが、面内せん断試験方法は、実物大の不燃パネル部材を用いた試験方法であり、試験装置及び試験方法が大掛かりになる。このため、構造用面材の壁倍率を判定する試験は、構造用面材の設計変更を行う際や、顧客からの要望がある場合等、特別の事情がない限り行われていないのが現状である。したがって、面内せん断試験方法に代わって、特に窯業系不燃パネル部材の壁倍率を簡易に判定できるようにする新たな試験方法の開発が望まれている。
構造用面材の面内せん断試験方法に代わる簡易な窯業系不燃パネル部材の壁倍率試験方法は、面内せん断試験方法による壁倍率と相関性の高い試験結果が得られることが必要であり、ある程度の相関性が予想される試験方法として、JIS A 5404に基づく釘側面抵抗試験や、ASTM D
5404に基づく釘頭貫通試験、或いは(財)日本住宅・木材技術センターから提案されている圧縮引張試験等を採用することが考えられる。
しかしながら、これらの面内せん断試験方法に代わる簡易な壁倍率の試験方法は、一長一短があって、特に窯業系不燃パネル部材に対して用いる場合には、面内せん断試験方法と高い相関性のある試験方法とは言い難かった。すなわち、釘側面抵抗試験は、釘を貫通させた状態で耐力ボード(パネル部材)の表面と裏面を引き裂く試験であり、面内せん断試験方法において固定ネジの頭部が耐力ボードの内部にめり込む状態を再現することは困難である。また釘頭貫通試験は、面内せん断試験方法における終局近くで耐力ボードが前側に反ろうとするのを抑える表面の堅さを測定することが可能であるが、耐力ボードの破壊状況が面内せん断試験方法のものとは大きく相違する。さらに、圧縮引張試験は、面内せん断試験に近似する試験方法で押し引きを行うので、耐力ボードの破壊状況や固定ネジの変形等も面内せん断試験方法に近くなるが、面内せん断試験方法と比較して固定ネジの数が少な過ぎ、試験時の変形や損傷が多くなるため、面内せん断試験方法による壁倍率との相関性が低くなる。
本発明は、このような従来の課題に着目してなされたものであり、簡易な試験装置及び試験方法によって容易に実施できると共に、面内せん断試験方法による壁倍率との相関性の高いデータに基づいて、精度良く壁倍率を算定することのできる窯業系不燃パネル部材の壁倍率簡易試験方法を提供することを目的とする。
本発明は、パネル部材から得られる小片の試験用パネル片を用いて行う窯業系不燃パネル部材の壁倍率簡易試験方法であって、一対の試験用パネル片を、一辺に沿った端面を互いに当接させつつ隣接させて基台に立設配置すると共に、一対の試験用パネル片に跨って(一対の試験用パネル片の双方に接触して)これらの背面側に重ねて配置した木製載荷板を、一対の試験用パネル片の表面側から同数の固定ネジを各々ねじ込むことによって、前記基台から浮かせて一対の試験用パネル片から上方に突出させた状態で取り付け、且つ前記固定ネジを、一対の試験用パネル片の当接した各一辺の縁部に沿って、高さ方向に位置ずれした状態で同じピッチで各々配置してねじ込むことにより、試験体を形成し、前記木製載荷板の上端面から下方に荷重を負荷しつつ、負荷した荷重を計測し、前記固定ネジによる固定部が破損するまでの間の最大荷重を測定して、該測定した最大荷重を、予め求められた、面内せん断試験による壁倍率と前記最大荷重との相関関係にあてはめることにより、壁倍率を算定する窯業系不燃パネル部材の壁倍率簡易試験方法を提供することによって、上記目的を達成したものである。
また、本発明は、パネル部材から得られる小片の試験用パネル片を用いて行う窯業系不燃パネル部材の壁倍率簡易試験方法であって、一対の試験用パネル片を、一辺に沿った端面を互いに当接させつつ隣接させて基台に立設配置すると共に、一対の試験用パネル片に跨ってこれらの背面側に重ねて配置した木製載荷板を、一対の試験用パネル片の表面側から同数の固定ネジを各々ねじ込むことによって、前記基台から浮かせて一対の試験用パネル片から上方に突出させた状態で取り付け、且つ前記固定ネジを、一対の試験用パネル片の当接した各一辺の縁部に沿って、高さ方向に位置ずれした状態で同じピッチで各々配置してねじ込むことにより、試験体を形成し、前記木製載荷板の上端面から下方に荷重を負荷しつつ、負荷した荷重及び木製載荷板の変位を計測し、所定荷重P1から所定荷重P2に至る間の木製載荷板の変位をhとして、勾配係数(N/mm)=(P2−P1)/hの関係から勾配係数を算出し、算出された勾配係数を、予め求められた、面内せん断試験による壁倍率と前記勾配係数との相関関係にあてはめることにより、壁倍率を算定する窯業系不燃パネル部材の壁倍率簡易試験方法を提供することによって、上記目的を達成したものである。
ここで、前記所定荷重P1は好ましくは500Nであり、前記所定荷重P2は好ましくは1500Nである。
そして、本発明の窯業系不燃パネル部材の壁倍率簡易試験方法によれば、前記試験用パネル片は、縦200〜300mm、横75〜150mmの大きさの矩形形状のパネル片であることが好ましい。
また、本発明の窯業系不燃パネル部材の壁倍率簡易試験方法によれば、前記木製載荷板は、桧材、杉材、外材、又はこれらの集成材からなる、厚さ20〜45mm、縦200〜300mm、横75〜150mmの大きさの厚板部材であることが好ましい。
さらに、本発明の窯業系不燃パネル部材の壁倍率簡易試験方法によれば、前記固定ネジがねじ込まれる一対の試験用パネル片の各一辺の縁部に沿った領域は、当該一辺から10〜20mmの間の帯状領域であり、該帯状領域に中心を配置して前記固定ネジがねじ込まれることが好ましい。
さらにまた、本発明の窯業系不燃パネル部材の壁倍率簡易試験方法によれば、一対の試験用パネル片の当接した各一辺の縁部に沿って各々配置される前記固定ネジのピッチが75〜150mmであることが好ましい。
また、本発明の窯業系不燃パネル部材の壁倍率簡易試験方法によれば、一対の試験用パネル片の当接した各一辺の縁部に沿って各々配置される前記固定ネジの高さ方向の位置ずれが10〜30mmであることが好ましい。
本発明の窯業系不燃パネル部材の壁倍率簡易試験方法によれば、簡易な試験装置及び試験方法によって、容易に実施できると共に、面内せん断試験方法による壁倍率との相関性の高いデータに基づいて、精度良く壁倍率を算定することができる。
本発明の好ましい一実施形態に係る窯業系不燃パネル部材の壁倍率簡易試験方法は、例えば実物大の不燃パネル部材を用いたJIS A 1414に基づく面内せん断試験による壁倍率の試験方法に代えて、パネル部材から得られる小片の試験用パネル片を用いて、簡易且つ精度良く窯業系不燃パネル部材の壁倍率を算定できるうようにするものである。
すなわち、本実施形態の窯業系不燃パネル部材の壁倍率簡易試験方法は、試験対象となるパネル部材から得られる小片の試験用パネル片10を用いて行う壁倍率の簡易試験方法であって、図1(a),(b)に示すように、一対の試験用パネル片10を、一辺10aに沿った端面を互いに当接させつつ隣接させて基台11に立設配置すると共に、一対の試験用パネル片10に跨ってこれらの背面側に重ねて配置した木製載荷板12を、一対の試験用パネル片10の表面側から同数の固定ネジ13を各々ねじ込むことによって、基台11から浮かせて一対の試験用パネル片10から上方に突出させた状態で取り付け、且つ固定ネジ13を、一対の試験用パネル片10の当接した各一辺10aの縁部に沿って、高さ方向に位置ずれした状態で同じピッチで各々配置してねじ込むことにより、試験体14を形成する。そして、形成した試験体14に対して、木製載荷板12の上端面から下方に荷重Pを負荷しつつ、負荷した荷重Pを計測し、固定ネジ13による固定部が破損するまでの間の最大荷重Pmを測定して、該測定した最大荷重Pmを、予め求められた、面内せん断試験による壁倍率と最大荷重Pmとの相関関係にあてはめることにより、試験対象の窯業系不燃パネル部材の壁倍率を算定する。
本実施形態では、試験対象となる窯業系不燃パネル部材は、製造時における配合、養生条件、乾燥条件等によって、その物性が異なり、壁倍率も異なることから、各条件下で製造されたパネル部材の壁倍率を、本実施形態の壁倍率簡易試験方法によって判定する。
本実施形態では、試験用パネル片10は、パネル部材から切り出したり、パネル部材の端材を利用して得られるものであり、例えば縦250mm、横100mm程度の大きさの矩形形状を有する、12.5mm程度の厚さのパネル片を使用する。ここで、試験用パネル片10は、縦200〜300mm、横75〜150mmの大きさの矩形形状のパネル片であることが好ましい。試験用パネル片10を、このような大きさ、形状とすることにより、試験体14の作成や試験の実施が容易になり、また所望の精度の試験結果が得られ易くなる。
また、本実施形態では、木製載荷板12は、例えば桧材からなる、厚さ30mm、縦250mm、横120mm程度の大きさの矩形形状の厚板部材を使用する。ここで、木製載荷板12は、厚さ20〜45mm、縦200〜300mm、横75〜150mmの大きさの矩形形状の厚板部材であることが好ましい。木製載荷板12を、このような大きさ、形状とすることにより、試験体14の作成が容易になると共に、上端面から荷重Pを負荷し易くして試験の実施を容易にし、また所望の精度の試験結果が得られ易くなる。
そして、本実施形態では、一対の試験用パネル片10の表面側から木製載荷板12に向けて複数の固定ネジ13を各々ねじ込んで、一対の試験用パネル片10と木製載荷板12とを接合することにより、試験体14を形成する。すなわち、同じ大きさの矩形形状の一対の試験用パネル片10を、縦方向の一辺10aに沿った端面を互いに当接させつつ隣接させて基台11の上に立設配置する。また、木製載荷板12を、当接した試験用パネル片10の各一辺10aが中央部分に配設されるようにして、一対の試験用パネル片10の背面側に重ねて配置すると共に、該木製載荷板12を、一対の試験用パネル片10の上端から例えば30mm上方に突出させ、且つ基台11から例えば30mm浮かせた状態で配置する。しかる後に、例えば一対の試験用パネル片10に対して各2本、合計4本の固定ネジ13を、後述する所定の位置関係となるように配置して木製載荷板12に向けてねじ込むことにより、一対の試験用パネル片10と木製載荷板12とを接合一体化する。
本実施形態では、固定ネジ13は、例えばJIS B 1125ドリリングタッピンねじに相当するねじであって、各試験用パネル片10の一辺10aの縁部に沿った領域として、例えば一辺10aからs=15mm離れた位置に中心を配置して、各試験用パネル片10から木製載荷板12に向けてねじ込まれる。ここで、固定ネジ13が取り付けられる、試験用パネル片の一辺10aの縁部に沿った領域は、当該一辺10aからs=10〜20mmの間の帯状領域であることが好ましく、この帯状領域に中心を配置して固定ネジ13をねじ込ことが好ましい。固定ネジ13がこのような帯状領域に取り付けられることにより、算定される壁倍率の精度が向上することになる。なお、本実施形態では、各試験用パネル片10の一辺10aの縁部は、建築現場で実際に用いられるパネル部材に合わせて、面取りが施されている。
また、本実施形態では、固定ネジ13は、各試験用パネル片10において、各々r=100mmの中心間ピッチで2箇所に取り付けられると共に、一方の試験用パネル片10の縁部に沿って配置された固定ネジ13の取り付け位置と、他方の試験用パネル片10の縁部に沿って配置された固定ネジ13の取り付け位置とが、高さ方向に例えばt=25mm位置ずれした状態で、各固定ネジ13が取り付けられている。より具体的には、一方の試験用パネル片10では、2本の固定ネジ13が、上端から下方に例えば75mmと175mmの位置に取り付けられており、他方の試験用パネル片10では、2本の固定ネジ13が、上端から下方に例えば100mmと200mmの位置に取り付けられている。
ここで、一対の試験用パネル片10の当接した各一辺10aの縁部に沿って各々配置される固定ネジ13の中心間のピッチは、r=100〜150mmとすることが好ましい。固定ネジ13の中心間のピッチをr=100〜150mmとすることにより、算定される壁倍率の精度が向上することになる。また、一対の試験用パネル片10の当接した各一辺10aの縁部に沿って各々配置される固定ネジの高さ方向の位置ずれはt=10〜30mmとすることが好ましい。固定ネジの高さ方向の位置ずれをt=10〜30mmとすることにより、算定される壁倍率の精度が向上することになる。
本実施形態では、上述のようにして形成された試験体14に対して、図2に示すように、木製載荷板12の上端面から、例えば押圧盤15によって下方に向けて荷重Pを負荷しつつ、負荷した荷重P及び木製載荷板12の変位を計測し、固定ネジ13による固定部が破損するまでの間の最大荷重Pmを測定する。すなわち、本実施形態では、木製載荷板12の上端面から荷重Pが負荷されるのに伴って、図3(a)〜(c)に示すように、基台11から下端を浮かせた状態で設置された木製載荷板12が下方に変位hで押し込まれてゆく。これによって、例えば固定ネジ13による固定部の試験用パネル片10は、例えば固定ネジ13が木製載荷板12によって押されて頭部が斜めに成り出し、試験用パネル片10の表面が盛り上がり始めたり、固定ネジ13の頭部が更に斜めに成り、試験用パネル片10中に陥没し始めると共に表面の盛り上がりがさらに大きくなったり、表面の盛り上がり部にヒビが入り、固定ネジ13の頭部の陥没がさらに進んで、試験用パネル片10の層間の剥離が進行するといった経過を経て、固定ネジ13による固定部が破損し、以後、試験用パネル片10によって支持できる木製載荷板12からの荷重Pが急激に低下してゆくことになる。
そして、本実施形態では、このような試験用パネル片10の固定ネジ13による固定部が破損するまでの間の押圧盤15からの最大荷重Pmを測定し、測定した最大荷重Pmを、予め求められた、面内せん断試験による壁倍率と最大荷重との相関関係にあてはめることにより、試験対象のパネル部材の壁倍率を算定する。
すなわち、本実施形態では、製造時における配合、養生条件、乾燥条件等の様々な条件下で製造された種々のパネル部材について、実物大のパネル部材を用いたJIS A 1414に基づく面内せん断試験によって壁倍率を算定すると共に、パネル部材から得られた試験用パネル片を用いた上述と同様の試験方法によって、固定ネジによる固定部が破損するまでの間の押圧盤からの最大荷重Pmを測定し、これらの相関関係を予め求めておく。このような面内せん断試験による壁倍率と上述と同様の試験方法による押圧盤からの最大荷重Pmとの相関関係は、後述する実施例に示されるように、例えば決定係数R2=0.37程度の相当の相関関係を示すことから、このような面内せん断試験による壁倍率と押圧盤からの最大荷重Pmとの予め求められた相関関係に、実際の試験時に測定された押圧盤からの最大荷重Pmをあてはめることにより、試験対象のパネル部材の壁倍率を精度良く算定することが可能になる。
したがって、本実施形態の窯業系不燃パネル部材の壁倍率簡易試験方法によれば、簡易な試験装置及び試験方法によって、容易に実施できると共に、面内せん断試験方法による壁倍率との相関性の高いデータに基づいて、精度良くパネル部材の壁倍率を算定することが可能になる。
ここで、面内せん断試験による壁倍率と、上述と同様の試験方法による押圧盤からの最大荷重Pmとの間に相当の相関関係がみられる理由としては、以下のことが考えられる。すなわち、例えば一対の試験用パネル片10の固定ネジ13によるネジ固定の位置がずれていることにより、左右の試験用パネル片10に負荷される押圧盤15からの圧縮力の伝わり方が変わり、僅かながら2枚の試験用パネル片10が回転しようとする力が働く。また試験用パネル片10の下部は基台11と接していることから、木製載荷板12の下端と基台11との間の部分では、試験用パネル片10を前に押し出す力と圧縮する力が働いて、実物大のパネル部材を用いた面内せん断試験と類似の挙動が試験用パネル片10と固定ネジ13に発生することになり、これらによって、変形や破壊の状況が面内せん断試験と同じようになる。
そして、本発明の窯業系不燃パネル部材の壁倍率簡易試験方法によれば、他の実施形態として、例えば上記実施形態と同様にして形成した試験体14に対して、木製載荷板12の上端面から下方に荷重を負荷しつつ、負荷した荷重及び木製載荷板12の変位を計測し、所定荷重P1(例えば500N)から所定荷重P2(例えば1500N)に至る間の木製載荷板の変位をh(mm)として、勾配係数(N/mm)=(P2−P1)/hの関係から勾配係数を算出し、算出された勾配係数を、予め求められた、面内せん断試験による壁倍率と前記勾配係数との相関関係にあてはめることにより、試験対象のパネル部材の壁倍率を算定することもできる。すなわち、製造時における配合、養生条件、乾燥条件等の様々な条件下で製造された種々のパネル部材について、実物大のパネル部材を用いたJIS A 1414に基づく面内せん断試験によって壁倍率を算定すると共に、パネル部材から得られた試験用パネル片を用いた上述と同様の試験方法によって、勾配係数を算出し、これらの相関関係を予め求めておく。このような面内せん断試験による壁倍率と勾配係数との相関関係は、後述する実施例に示されるように、例えば決定係数R2=0.8488程度の強い相関関係を示すことから、このような面内せん断試験による壁倍率と勾配係数との予め求められた相関関係に、実際の試験時に得られた勾配係数をあてはめることにより、試験対象のパネル部材の壁倍率をさらに精度良く算定することが可能になる。
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、一対の試験用パネル片の当接した各一辺の縁部に沿ってねじ込まれる固定ネジは、各2本、合計4本である必要は必ずしもなく、同ピッチ且つ高さ方向に位置ずれした状態で、各々3本以上の固定ネジを用いることもできる。また勾配係数を算出する際の所定荷重P1を500N、所定荷重P2を1500Nとする必要は必ずしもなく、相関性の高い勾配係数が得られるように、荷重−変位曲線の形状等に応じてこれらの所定荷重P1,P2を適宜変更することもできる。
以下、実施例により、本発明の窯業系不燃パネル部材の壁倍率簡易試験方法をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔面内せん断試験による壁倍率と押圧盤からの最大荷重との相関関係〕
表1に示すように、JIS A 1414に基づく面内せん断試験によって壁倍率が予め求められている8種類の窯業系不燃パネル部材(壁倍率:2.25,2.59,2.80,2.93,3.01,3.15,3.36,3.53)から、各々小片の試験用パネル片を得て上記実施形態の試験体14と同様の試験体を各々13個形成した。各試験体に対して、押圧盤によって木製載荷板の上端面から下方に荷重を負荷しつつ、負荷した荷重を計測し、固定ネジによる固定部が破損するまでの間の最大荷重を各々測定した。測定された各々の最大荷重を、固定ネジ4本での保持力(N)として表1に示す。
Figure 0004653022
また、8種類の各窯業系不燃パネル部材について、13個の試験体14の平均の保持力(最大荷重)を各々算出すると共に、固定ネジ1本当たりの保持量(N)を各々算出した。さらに、固定ネジ1本当たりの保持量(N)と、各窯業系不燃パネル部材の壁倍率との相関関係を求めた。得られた面内せん断試験による壁倍率と押圧盤からの最大荷重(固定ネジ1本当たりの保持量(N))との相関関係を図4に示す。
〔面内せん断試験による壁倍率と勾配係数との相関関係との相関関係〕
表2に示すように、JIS A 1414に基づく面内せん断試験によって壁倍率が予め求められている8種類の窯業系不燃パネル部材(壁倍率:2.25,2.59,2.80,2.93,3.01,3.15,3.36,3.53)から、各々小片の試験用パネル片を得て上記実施形態の試験体14と同様の試験体を各々13個形成した。各試験体に対して、押圧盤によって木製載荷板の上端面から下方に荷重を負荷しつつ、負荷した荷重及び木製載荷板の変位を各々計測し、所定荷重P1=500Nから所定荷重P2=1500Nに至る間の木製載荷板の変位をhとして、勾配係数(N/mm)=(P2−P1)/hの関係から勾配係数を各々算出た。算出された各々の勾配係数を表1に示す。
Figure 0004653022
また、8種類の各窯業系不燃パネル部材について、13個の試験体14の平均の勾配係数を各々算出した。さらに、算出した勾配係数と、各窯業系不燃パネル部材の壁倍率との相関関係を求めた。得られた面内せん断試験による壁倍率と勾配係数とのとの相関関係を図5に示す。
図4に示す算出結果から、JIS A 1414に基づく面内せん断試験による壁倍率と押圧盤からの最大荷重との間には、決定係数R2(相関係数Rの2乗)=0.37程度の可成りの相関関係があることが判明する。また、図5に示す算出結果から、JIS A 1414に基づく面内せん断試験による壁倍率と押圧盤からの最大荷重との間には、決定係数R2(相関係数Rの2乗)=0.8488程度の極めて強い相関関係があることが判明する。したがって、本発明によれば、JIS A 1414に基づく面内せん断試験による壁倍率と相関性の高い精度の良い試験結果が、簡易な試験装置及び試験方法によって、容易に得られることが判明する。
本実施形態の好ましい一実施形態に係る窯業系不燃パネル部材の壁倍率簡易試験方法に用いる試験体の、(a)は略示正面図、(b)は略示側面図である。 試験体に荷重を負荷する状況を説明する試験体の略示正面図である。 (a)〜(c)は、荷重の負荷に伴って、木製載荷板が下方に押し込まれてゆく状況を説明する試験体の略示側面図である。 壁倍率と固定ネジ1本当たりの保持力との相関関係を例示するチャートである。 壁倍率と勾配係数との相関関係を例示するチャートである。
符号の説明
10 試験用パネル片
10a 試験用パネル片の一辺
11 基台
12 木製載荷板
13 固定ネジ
14 試験体
15 押圧盤

Claims (8)

  1. パネル部材から得られる小片の試験用パネル片を用いて行う窯業系不燃パネル部材の壁倍率簡易試験方法であって、
    一対の試験用パネル片を、一辺に沿った端面を互いに当接させつつ隣接させて基台に立設配置すると共に、一対の試験用パネル片に跨ってこれらの背面側に重ねて配置した木製載荷板を、一対の試験用パネル片の表面側から同数の固定ネジを各々ねじ込むことによって、前記基台から浮かせて一対の試験用パネル片から上方に突出させた状態で取り付け、且つ前記固定ネジを、一対の試験用パネル片の当接した各一辺の縁部に沿って、高さ方向に位置ずれした状態で同じピッチで各々配置してねじ込むことにより、試験体を形成し、
    前記木製載荷板の上端面から下方に荷重を負荷しつつ、負荷した荷重を計測し、
    前記固定ネジによる固定部が破損するまでの間の最大荷重を測定して、該測定した最大荷重を、予め求められた、面内せん断試験による壁倍率と前記最大荷重との相関関係にあてはめることにより、壁倍率を算定する窯業系不燃パネル部材の壁倍率簡易試験方法。
  2. パネル部材から得られる小片の試験用パネル片を用いて行う窯業系不燃パネル部材の壁倍率簡易試験方法であって、
    一対の試験用パネル片を、一辺に沿った端面を互いに当接させつつ隣接させて基台に立設配置すると共に、一対の試験用パネル片に跨ってこれらの背面側に重ねて配置した木製載荷板を、一対の試験用パネル片の表面側から同数の固定ネジを各々ねじ込むことによって、前記基台から浮かせて一対の試験用パネル片から上方に突出させた状態で取り付け、且つ前記固定ネジを、一対の試験用パネル片の当接した各一辺の縁部に沿って、高さ方向に位置ずれした状態で同じピッチで各々配置してねじ込むことにより、試験体を形成し、
    前記木製載荷板の上端面から下方に荷重を負荷しつつ、負荷した荷重及び木製載荷板の変位を計測し、
    所定荷重P1から所定荷重P2に至る間の木製載荷板の変位をhとして、
    勾配係数(N/mm)=(P2−P1)/hの関係から勾配係数を算出し、
    算出された勾配係数を、予め求められた、面内せん断試験による壁倍率と前記勾配係数との相関関係にあてはめることにより、壁倍率を算定する窯業系不燃パネル部材の壁倍率簡易試験方法。
  3. 前記所定荷重P1が500Nであり、前記所定荷重P2が1500Nである請求項2に記載の窯業系不燃パネル部材の壁倍率簡易試験方法。
  4. 前記試験用パネル片は、縦200〜300mm、横75〜150mmの大きさの矩形形状のパネル片である請求項1〜3のいずれかに記載の窯業系不燃パネル部材の壁倍率簡易試験方法。
  5. 前記木製載荷板は、桧材、杉材、外材、又はこれらの集成材からなる、厚さ20〜45mm、縦200〜300mm、横75〜150mmの大きさの厚板部材である請求項1〜4のいずれかに記載の窯業系不燃パネル部材の壁倍率簡易試験方法。
  6. 前記固定ネジがねじ込まれる一対の試験用パネル片の各一辺の縁部に沿った領域は、当該一辺から10〜20mmの間の帯状領域であり、該帯状領域に中心を配置して前記固定ネジがねじ込まれる請求項1〜5のいずれかに記載の窯業系不燃パネル部材の壁倍率簡易試験方法。
  7. 一対の試験用パネル片の当接した各一辺の縁部に沿って各々配置される前記固定ネジのピッチが75〜150mmである請求項1〜6のいずれかに記載の窯業系不燃パネル部材の壁倍率簡易試験方法。
  8. 一対の試験用パネル片の当接した各一辺の縁部に沿って各々配置される前記固定ネジの高さ方向の位置ずれが10〜30mmである請求項1〜7のいずれかに記載の窯業系不燃パネル部材の壁倍率簡易試験方法。
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