JP2010230351A - ワーク硬度計測装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】歯車等のワークの特定箇所を安定して計測することができるワーク硬度計測装置を提供することを課題とする。
【解決手段】センサー18は、ホルダー81と、このホルダー81に取り付けられている略コの字状の鉄心83と、この鉄心83に設けられている検出コイル支持体85と、この検出コイル支持体85の先端に設けられている検出コイル86と、鉄心83に設けられている励磁コイル87と、鉄心83の一方の先端に設けられ歯車14の歯面に当接する先端部材88と、鉄心83の他方の先端に設けられ歯車14に当接させない先端部材89と、からなる。
【効果】先端部材の位置が一定となり、ワークからの検出コイルの距離や励磁コイルの距離を一定化する。この結果、歯車等のワークの特定箇所を安定して計測することができる。

【選択図】図7

Description

本発明は、ワークの表面近傍の硬度を計測する硬度計測装置に関する。
従来、表面処理が施されたワークの表面近傍の硬度を非破壊で計測する技術が知られている(例えば、特許文献1(図2、図3)参照。)。
特許文献1の技術を図面に基づいて以下に説明する。
図14(a)に示すように、表面処理が施された円柱ワーク101に、励磁コイル102と検出コイル103を隣接して配置する。次に、励磁コイル102に交流電源104から交流電圧(励磁電圧)を印加する。すると、円柱ワーク101の表層に渦電流が発生する。この渦電流により検出コイル103に交流電流が発生する。この発生した交流電流の電圧(検出電圧)を測定装置105で計測する。励磁電圧と検出電圧との相関を(c)で説明する。
(c)は横軸が時間軸で縦軸が電圧であるグラフであり、正弦波V1が励磁電圧曲線であるときに、検出電圧は正弦波V2で表される。正弦波V1と正弦波V2の位相差をΦと定義する。
(b)で、cosΦで表されるX値は浸炭深さと良好な相関関係があり、sinΦで表されるY値は表面硬さに良好な相関関係がある。
浸炭深さや表面硬さが変化すると、Φの大きさやV2の高さが変化する。そこで、cosΦやsinΦを計測で求めることにより、そのときの浸炭深さや表面硬さを特定することができる。
ところで、機械要素の一つである歯車は、高い強度が求められる。強度を高める手法として、浸炭処理法が広く採用されている。そして、歯車では表面近傍の硬度が重要であり、歯車の重要な局部、例えば歯底の硬度を計測する必要があり、特に歯車の全歯底の計測ができれば好都合である。
しかしながら、特許文献1では、円柱ワーク101の外周面を計測する原理が開示されているものの、歯車の歯底のようなワークの特定箇所を安定して計測する具体的な構成となっていない。すなわち、歯車等のワークの特定箇所を安定して、かつ正確に計測することができるワーク硬度計測装置が求められている。
特開2004−108873公報
本発明は、歯車等のワークの特定箇所を安定して計測することができるワーク硬度計測装置を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明では、センサーは、ワークに対向する略コの字形状の鉄心と、この鉄心に設けられ前記ワークに向かって延びており先端が楔形断面形状を呈する検出コイル支持体と、前記鉄心に設けられ前記ワークを励磁する励磁コイルと、前記検出コイル支持体の先端に設けられ前記ワークに発生する渦電流による磁界の変化を検出する検出コイルと、前記鉄心の双方の先端に設けられる各々の形状が異なる先端部材と、からなることを特徴とする。
請求項2に係る発明では、先端部材は、互いに相似形であり、互いの先端部材の材質は同一とすることを特徴とする。
請求項3に係る発明では、先端部材は、球体とこの球体を支持する球体支持部とからなることを特徴する。
請求項4に係る発明では、先端部材の最先端部は大きさの異なる球体であり、小さい球体を有する先端部材の全長は、大きい球体を有する先端部材の全長より長いことを特徴とする。
請求項1に係る発明では、センサーは、鉄心の先端に設けられワークに当接する先端部材と、鉄心の他方の先端に設けられ通常ワークに当接させない先端部材とを備えている。先端部材はワークに接触するので、先端部材の位置が一定となり、ワークからの検出コイルの距離や励磁コイルの距離を一定化する。この結果、歯車等のワークの特定箇所を安定して計測することができる。
加えて、仮にセンサーがワークに対して想定外の角度で接近しても、先端部材がワークに接触することで検出コイルを守るので、センサーの破損を防止することができる。
請求項2に係る発明では、先端部材は、互いに相似形であり、互いの先端部材の材質は同一とした。また、相似形とは、形状は略同一で、それぞれの先端部材の大きさが異なる。通常、片方の先端部材はワークに接触しないので、もう一方の先端部材が2点接触し、この2点接触のみでも、ワークに対する検出コイルの位置精度の向上を図ることができる。
加えて、同材質であるので、発生する渦電流への影響を抑制することができる。
請求項3に係る発明では、先端部材は、球体とこの球体を支持する球体支持部とからなる。球体であるので、多方向に対する位置決めを容易にすることができる。
請求項4に係る発明では、先端部材の最先端部は大きさの異なる球体であり、小さい球体を有する先端部材の全長は、大きい球体を有する先端部材の全長より長い。検出コイル支持体と小さい球体を有する先端部材がワークに接触するような場合でも、小さい球体を有する先端部材の方が先にワークに接触するので、センサーの破損を防止することができる。
本発明に係るワーク硬度計測装置の構成図である。 図1の2矢視図である。 図2の3−3線断面図である。 ショックアブソーバを説明する図である。 ワーク支持機構を説明する図である。 センサー回転機構を説明する図である。 センサーの拡大図である。 図7の8線断面図である。 図7の9線断面図である。 先端部材の接触を説明する図である。 小さい球体を有する先端部材の接触を説明する図である。 センサー誤挿入時における先端部材の接触を説明する図である。 ワーク硬度計測装置の作用説明図である。 従来の技術の基本原理を説明する図である。
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
先ず、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示されるように、ワーク硬度計測装置10は、床11と、この床11に絶縁ゴム12を介して支持されているベースプレート13と、このベースプレート13に設けられワーク14の軸廻りに回転する回転軸15を備えている回転機構16と、回転軸15に設けられワーク14を支持するワーク支持機構17と、このワーク支持機構17で支持されたワーク14に臨むように設けられワーク14の表面近傍の硬度を検出するセンサー18と、このセンサー18で検出された情報を取得して硬度に換算する硬度換算部21と、この換算された情報を表示記録する表示記録部22と、ベースプレート13にL字支持部材23を介して設けられセンサー18をワーク14に進退するセンサー進退機構24とからなる。
図2に示されるように、ワーク14をワーク14の軸に沿って移動させる第1スライド機構25と、ワーク14をセンサー18に向かって移動させる第2スライド機構26とからなる2つのスライド機構を介して回転機構16がベースプレート13に設けられている。
第1スライド機構25は、ベースプレート13に設けられている縦板27と、この縦板27に設けられている2本の縦レール28、28と、この縦レール28、28にスライド自在に設けられている縦スライダー29、29と、縦スライダ29、29ーに設けられている縦移動プレート31とからなる。
第2スライド機構26は、縦移動プレート31に設けられている横板32と、この横板32に設けられている2本の横レール33、33と、この横レール33、33にスライド自在に設けられている横スライダー34、34と、これらの横スライダー34、34に設けられている横移動プレート35とからなる。
図1に戻って、第2スライド機構26は、床11に上下方向の衝撃を吸収するショックアブソーバ36を介して設けられている。
また、センサー18とセンサー進退機構24との間に、ワーク14の軸に直交する軸廻りに回転するセンサー回転機構41が介在している。センサー進退機構24の進退スライダー42に固定部材43が設けられ、この固定部材43にセンサー回転機構41が設けられている。
また、符号44は、交流電源を示す。交流電源44で励磁コイル(詳細後述)を印加する。また、符号45は、回転機構16、ワーク支持機構17及びセンサー進退機構24を制御する制御部である。
図2に戻って、第1スライド機構25の縦板27が固定されているベースプレート13に、上下方向に高さ表示用の目盛り46が設けられている。横板32に目盛り46を指し示す矢印部材47が設けられている。
第2スライダー26には、横移動プレート35の移動をロックする横ロックレバー48が設けられている。横移動プレート35にボルト49を介して、回転機構16が設けられている。
図3に示されるように、第1スライド機構25には、縦板27に設けられている支持板51、51と、この支持板51、51の上端に設けられているハンドル支持部材52と、ハンドル支持部材に回転自在に支持されているハンドル53と、このハンドル53に接続されている長ねじ54と、縦移動プレート31に設けられ長ねじ54に噛み合っているナット部55と、ハンドル53をロックするハンドルロックレバー56とが備えられている。
ハンドルロックレバー56を開くことで、ハンドル53を回し、縦移動プレート31を上下に移動させることができる。ハンドルロックレバー56を閉めることで、バンドル53をロックし、縦移動プレート31を固定することができる。
図4に示されるように、ショックアブソーバ36は、横板32にボルト57、57を介して固定されている固定板58と、この固定板58の上部に設けられている揺動部材61と、この揺動部材61に接続されているロッド62と、ロッド62に接続されているピストン63と、このピストン63に設けられている穴64と、床11にボルト65を介して固定されピストン63を摺動自在に収納するシリンダ66と、このシリンダ66内のオイル67とからなる。
なお、ショックアブソーバ36は、上述した構成に限定されず、圧縮ばねで支える構成等、第2スライド機構(図1、符号26)等を支えてワーク(図1、符号14)の上下移動を無理なく実施させるものであれば、他の構成であっても差し支えない。
図5(a)に示されるように、ワークとしての歯車14は、貫通穴68を有している。ワーク支持機構17は、ハウジング71と、ハウジング71の内部に設けられているレール72、72と、これらのレール72、72にスライド自在に設けられ貫通穴68の周面を押すことで歯車17を支持する複数のクランプ爪73、73と、ハウジング71に設けられクランプ爪73、73をハウジング71の内側に付勢する圧縮ばね74、74と、クランプ爪73、73の内側に接し上昇することでクランプ爪73、73を押し開くコーン75と、このコーン75を昇降させる昇降シリンダ76とからなる。
(b)は(a)のb−b線断面図であり、クランプ爪73は3個備えられている。3個のクランプ爪73により、歯車14を確実に支持することができる。
なお、クランプ爪73は、3個に限定せず、4個等、ワーク14に合わせて適切な数のクランプ爪73を設けても差し支えない。また、ワーク支持機構17は、上述の構成に限定されず、貫通穴68の周面を押すことでワーク14を支持できれば、他の一般的なクランプ機構でも差し支えない。
図6に示されるように、ワーク14は、はすば歯車である。
センサー回転機構41は、回転角度を知ることができる角度目盛り77が設けられており、はすば車14の歯すじの傾きに合わせて、矢印(1)のように回転させ、角度の設定を容易に行うことができる。
また、センサー18とセンサー回転機構41との間に、センサー18がはすば歯車14に接触したときの衝撃を吸収する衝撃吸収機構78が設けられている。
図7に示されるように、センサー18は、衝撃吸収機構(図6、符号78)の先端に設けられているホルダー81と、このホルダー81にボルト82、82で取り付けられている略コの字状の鉄心83と、この鉄心83に設けられワークとしての歯車14に向かって延びてスライド可能にビス84で固定されている検出コイル支持体85と、この検出コイル支持体85の先端に設けられ歯車14に発生する渦電流による磁界の変化を検出する検出コイル86と、鉄心83に設けられ歯車14を励磁する励磁コイル87と、鉄心83の一方の先端に設けられ歯車14の歯面に当接する先端部材88と、鉄心83の他方の先端に設けられ歯車14に当接させない先端部材89と、からなる。なお、先端部材89は、先端部材88を小型にした相似体である。
図8に示されるように、検出コイル86は絶縁性に富む楔形断面形状のナイロン等の樹脂体91を介して検出コイル支持体85に支持されている。樹脂体91が楔形断面形状であるため、検出コイル86を歯車14の歯底92に接近させることができる。
図9に示されるように、先端部材88は、球体93とこの球体93を支持する球体支持部94とからなる。先端部材88の球体93は、隣り合う歯先95と歯先95との間は通過するが、歯底92に到達する前に歯面に接する外径に設定されているすなわち、接触点96、96に接触しているため、先端部材88の図左右方向及び上下方向の位置が規定される。併せて、先端部材88の中心は歯底92の中心に合致する。この結果、歯底92からの検出コイル(図8、符号86)の距離や、励磁コイル87、87の距離を一定化することができる。この結果、測定の信頼性を高めることができる。
図10において(a)は比較例における先端部材111がワークとしての歯車112へ接近する状態を、センサー113の前進方向から見た図である。(a)に示す比較例のセンサー113では、同じ大きさの先端部材111、111が設けられている。仮にセンサー113が歯車112の歯すじに対し、若干傾斜した状態で歯底114に前進した場合、先端部材111、111は、それぞれ接触点115、115で歯車112、112に接触する。
(b)は(a)のb−b線断面図であり、先端部材111、111は所定の位置まで前進できず、途中に引っ掛かる。結果、検出コイル116は、歯底114に接近することができないので、正確な測定をすることができない。
一方、(c)に示す実施例においては、仮にセンサー18が歯車14の歯すじに対し、若干傾斜した状態で歯底92に前進した場合、先端部材88は、2箇所の接触点96、96で歯車14に接触する。先端部材89は小型であるため、歯車14に接触せずに前進する。
(d)は(c)のd−d線断面図であり、先端部材88は所定の位置に止まる。検出コイル86は、歯底92に接近するので、正確な測定をすることができる。
図11において、(a)は比較例におけるセンサー113が歯車112の歯先117に接触する状態を、センサー113の前進方向から見た図である。(a)に示す比較例のセンサー113には、1個の先端部材111が設けられている。仮にセンサー113が歯車112の歯すじに対し、大きく傾斜した状態で歯車112に前進した場合、検出コイル支持体118が歯先117に接触する。
(b)は(a)のb−b線断面図であり、先端部材111よりも先に、検出コイル支持体118が歯先117に接触する。この結果、センサー113が破損しやすくなる。
一方、(c)に示す実施例においては、仮にセンサー18が歯車の歯すじに対し、大きく傾斜した状態で歯車14に前進した場合、先端部材が歯先95に接触する。
(d)は(c)のd−d線断面図であり、検出コイル支持体85よりも先に、先端部材89が歯先95に接触する。この結果、センサー18の破損を防止することができる。
図12において、(a)に示されるように、センサー18がワーク14に対して斜めに挿入されても、先端部材88が先にワーク14に接触する。この結果、検出コイル86の破損を免れることができる。また、(b)に示されるように、センサー18がワーク14に対して斜めに挿入されても、先端部材89が先にワーク14に接触する。この結果、検出コイル86の破損を免れることができる。
以上の述べたワーク硬度計測装置の作用を次に述べる。
図13において、(a)に示すように、静止状態にあるワークとしての歯車14へ、検出コイル86を矢印(2)のように前進させる。(b)に示すように、検出コイル86に任意の歯底92を臨ませ、歯底92の硬度を測定する。終わったら、矢印(3)のように検出コイル86を後退させる。
次に、(c)に示すように、歯車14を1ピッチ(歯一枚分)だけ回す(矢印(4))。すると、(d)に示すように、隣の歯底92が検出コイル86に臨む。以降、(a)に戻って作業を継続する。
尚、本発明のワーク硬度計測装置は、実施の形態では歯車に適用したが、軸にも適用可能であり、表面処理が施された部材であれば、一般の機械部品に適用することは差し支えない。
本発明のワーク硬度計測装置は、歯車に好適である。
10…ワーク硬度計測装置、14…ワーク(歯車、はすば歯車)、18…センサー、83…鉄心、85…検出コイル支持体、86…検出コイル、87…励磁コイル、88…先端部材、89…先端部材(相似形)、93…球体、94…球体支持部。

Claims (4)

  1. センサーは、ワークに対向する略コの字形状の鉄心と、
    この鉄心に設けられ前記ワークに向かって延びており先端が楔形断面形状を呈する検出コイル支持体と、
    前記鉄心に設けられ前記ワークを励磁する励磁コイルと、
    前記検出コイル支持体の先端に設けられ前記ワークに発生する渦電流による磁界の変化を検出する検出コイルと、
    前記鉄心の双方の先端に設けられる各々の形状が異なる先端部材と、からなることを特徴とするワーク硬度計測装置。
  2. 前記先端部材は、互いに相似形であり、前記互いの先端部材の材質は同一とすることを特徴とする請求項1記載のワーク硬度計測装置。
  3. 前記先端部材は、球体とこの球体を支持する球体支持部とからなることを特徴する請求項2記載のワーク硬度計測装置。
  4. 前記先端部材の最先端部は大きさの異なる球体であり、小さい球体を有する先端部材の全長は、大きい球体を有する先端部材の全長より長いことを特徴とする請求項1記載のワーク硬度計測装置。
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