JP2002350404A - 磁気測定装置 - Google Patents

磁気測定装置

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JP2002350404A
JP2002350404A JP2001158577A JP2001158577A JP2002350404A JP 2002350404 A JP2002350404 A JP 2002350404A JP 2001158577 A JP2001158577 A JP 2001158577A JP 2001158577 A JP2001158577 A JP 2001158577A JP 2002350404 A JP2002350404 A JP 2002350404A
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Kikuo Maeda
喜久男 前田
Tsuguto Nakaseki
嗣人 中関
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NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 精度よく材質や残留応力を測定することがで
きる磁気測定装置、なかでもバルクハウゼンノイズ測定
装置を提供する。 【解決手段】 測定対象の材料を励磁する励磁コイル4
と、励磁された材料からの磁化信号を測定する測定コイ
ル3とを備えた磁気測定装置、なかでもバルクハウゼン
ノイズ測定装置であって、励磁コイルおよび測定コイル
のうち、少なくとも一方は測定対象の材料に接する磁芯
5の先端部が、柔軟性のある基材、たとえば柔軟性のあ
る弾性材料およびゴムのうちいずれかからなる材料、の
中に強磁性材料が混入された柔軟弾性磁性複合材7で構
成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、材料の磁気特性を
測定することにより、その材料にかかっている応力状態
や材料の金属組織などを精度よく求めることができる磁
気測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】製品出荷時のチェックや、使用中の構造
物の材質や負荷応力を、非破壊的に測定したい場合が多
くある。このような構造物の材質、残留応力や負荷応力
などを測定するのに、従来から、熱起電力測定法、磁気
特性測定法とくに透磁率測定法、またはX回折線測定法
が用いられてきた。
【0003】鋼の残留応力状態を測定するのにX線回折
法がよく知られているが、1点の測定に数分間かかるた
め、測定対象物全面の応力状態を精度よく測定するのに
長時間を要する。また、このX線回折装置は精度よく応
力状態を測定することができるが、装置が高価であり、
アラインメントなどセットに長時間を要する。また、X
線被爆の危険性などから、手軽に用いることができな
い。さらに、測定のためには、X線ビームの入射空間と
回折空間とが必要なため、機械の隙間に位置する部品に
ついて簡便に測定することはできない。
【0004】X線回折法以外の他の測定方法、たとえば
熱起電力測定法や渦電流測定法では、材質については基
準材と比較して測定することはできるが、応力の測定は
不可能である。
【0005】一方、磁化特性測定法のなかの1つに、バ
ルクハウゼンノイズ測定法がある。バルクハウゼンノイ
ズとは、鋼などの強磁性材料を磁化する過程において、
磁化の進行が断続的に生じるために発生する電磁誘導雑
音(ノイズ)である。たとえば、強磁性体の磁区を分け
る磁壁が移動する際、析出物に出会って止まり、磁壁へ
の駆動力が増して、磁壁がその析出物を瞬間的に離脱し
移動するときに、バルクハウゼンノイズが生じるといわ
れている。
【0006】図6は、バルクハウゼンノイズ測定装置の
構成図である。励磁コイル104は馬蹄形またはコ字状
形の磁芯105に巻線108が巻かれた電磁石である。
巻線には発振器から交流電流が流されるので、磁芯には
交流に対する透磁率が大きい酸化物系のフェライトを焼
結して用いる場合が多い。磁芯の両端が鋼などの測定対
象物110に押し当てられると、鋼(測定対象物)―フ
ェライトにわたる閉じた磁路が形成される。励磁コイル
によって磁化される測定対象物からの信号であるバルク
ハウゼンノイズを、検出コイル103が検出する。この
検出コイルにも磁芯が挿入されており、巻線の先端に磁
芯の端部が揃っている。検出コイルはばね機構などによ
って、測定対象物の表面に接触させられる場合が多い。
【0007】バルクハウゼンノイズは、測定対象の材料
における応力に応じて変化する。たとえば、図7に示す
ように、強磁性材料のバルクハウゼンノイズは、引張応
力状態にあるとき大きく、圧縮応力状態にあるとき小さ
い特徴がある。応力は、残留応力または外部応力の別に
よらず、応力があれば、上記の特徴を生じる。
【0008】応力以外に材料の転位密度、炭化物の析出
等によってもバルクハウゼンノイズは影響を強く受け
る。このため、予め、鋼種や材質ごとに検量線を求めて
おけば、バルクハウゼンノイズの大きさにより応力状態
を推定することができる。
【0009】バルクハウゼンノイズ法は励磁コイルと検
出(測定)コイル、またはこれらが一体となった探触子
を試料表面に当てるだけなので、1点の測定が数秒です
み、連続的な測定が可能である。このため、測定対象物
の応力状態等を簡便に推定することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
バルクハウゼンノイズ測定装置では、励磁コイル先端部
の当て方に熟練度が必要であり、バルクハウゼンノイズ
の測定によって精度よく、材質や残留応力を測定するこ
とは難しかった。
【0011】そこで、本発明は、精度よく材質や残留応
力を測定することができる磁気測定装置、なかでもバル
クハウゼンノイズ測定装置を提供することを目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気測定装置
は、測定対象の材料を励磁する励磁コイルと、励磁され
た材料からの磁化信号を測定する測定コイルとを備える
磁気測定装置である。この磁気測定装置では、励磁コイ
ルおよび測定コイルのうち、少なくとも一方は、測定対
象の材料に接する磁芯の先端部が柔軟性のある材料で構
成されている(請求項1)。
【0013】上記の構成によれば、励磁コイルまたは測
定コイルの磁芯先端を、測定対象物に良好な再現性をも
って接触させることができる。すなわち、従来、磁芯は
フェライト焼結材などで構成されていたために、測定対
象の表面にわずかな凹凸などがあっただけで、接触角度
や接触面積が変動していた。このような接触面積や接触
角度の変動は、わずかであっても、励磁においても、測
定(検出)においても、磁気信号を大きく変動させてい
た。本発明の柔軟性のある材料を磁芯先端部に取り付け
ることにより、測定対象物の表面のわずかな凹凸等を吸
収して、再現性よく同じ接触面積および接触角度で、そ
の柔軟性のある材料を測定対象物に接触させることがで
きる。このため、ばらつきの少ない信頼性の高い測定信
号を得ることができ、測定対象物の応力状態や金属組織
を精度よく予測することが可能となる。
【0014】上記本発明の磁気測定装置では、柔軟性の
ある材料が、柔軟性のある基材中に強磁性材料が混入さ
れた柔軟弾性磁性複合材であることが望ましい(請求項
2)。
【0015】ここで、本発明を完成させるにあたって、
本発明者が行なった考察について説明する。上記磁気測
定装置では、上記の励磁コイルは、測定対象の鋼との間
に磁路を形成する。電気回路と対応させて、鋼(測定対
象物)―フェライトにわたる閉じた磁路を磁気回路と称
することはよく知られている。
【0016】電気回路における起電力Vは、磁気回路で
は、励磁コイルの巻線回転数Nとそのコイルに流す電流
Iとの積である起磁力NIが対応する。また、電気回路
における電気抵抗Rは、磁気回路の場合、磁路の断面積
S、磁路を構成する材料の透磁率μ、磁路長さlとする
と、l/(μS)と表わされる。また、電気回路の電流
Iは、磁気回路では磁束Φが対応する。したがって、電
気回路のオームの法則V=RIは、磁気回路では、NI
=Φl/(μS)と表わされる。
【0017】鋼やフェライトなどの強磁性体の透磁率μ
は、有機樹脂、シリコーンゴム、ゴム、空気などの非磁
性体に比べて100倍以上、通常10000倍程度の大
きさを有する。したがって、空気ギャップ(ギャップ長
n、透磁率μn:この値は強磁性に比べて非常に小さ
い)が磁路のなかにあると、合成した磁気抵抗は、{l
/(μS)+ln/(μnS)}≒ln/(μnS)となり、空
気ギャップがなかった磁気回路の磁気抵抗l/(μS)
より、非常に大きな値となる。ここで、lとlnとは、
数倍の違いしかないと見て、差を無視している。
【0018】このため、同じ起磁力NIならば、磁束が
小さくなる。磁束が小さいことは、材料の磁化の強さが
小さいことを意味する。このため、磁化の信号も空気ギ
ャップがなかった場合に比べて大きく変化して、測定コ
イルで検出されるバルクハウゼンノイズも異なるものと
なる。
【0019】励磁コイルの磁芯先端部の測定対象物への
接触のさせ方に応じて、接触面積や接触角度が変化す
る。この結果、上記の空気ギャップの配置のされ方が変
化し、それに応じて磁気抵抗が変化し、最終的に磁気信
号が変化する。
【0020】別の見方をすれば、強磁性体の透磁率と、
空気等の非磁性体との透磁率との相違が非常に大きいた
めに、上記の接触部の接触のし方がわずか変化しても、
磁気抵抗が大きく変化し、その結果、磁気信号が変わっ
てくる。このため、測定機会や測定者の癖や熟練度に応
じて測定値が大きく変化してしまう。
【0021】上記の柔軟弾性磁性複合材は、その中の強
磁性体どうしが接触して連続することが保証されるわけ
でない。逆に、非磁性体である柔軟性のある基材が介在
することによってその中に磁気ギャップを生じる場合が
多い。また、上記柔軟弾性磁性複合材では、非磁性体で
ある基材を含むので、実質的な強磁性体の断面は、コイ
ルを通る磁芯断面より小さくなる。このため、柔軟弾性
磁性複合材を取り付けることにより、磁気抵抗が増大す
る。したがって、上記の柔軟弾性磁性複合材を用いて
も、用いない場合よりも磁束の発生は低下する。すなわ
ち、上記の柔軟弾性磁性複合材を用いても、信号強度が
増大するわけではない。
【0022】しかしながら、柔軟弾性磁性複合材を用い
ることにより、再現性よく、測定対象の材料表面に同じ
接触面積で接触させることが容易に行なえるようにな
る。このため、測定機会によって、磁気ギャップの大き
さが違ったり、磁路の断面積が接触部で変動することが
抑制される。
【0023】測定対象表面への接触の際に、変形は柔軟
性のある基材が受け持ち、強磁性体自体は変形しない。
このため、たとえば励磁コイルの磁芯に取り付けた場
合、磁気特性とくに軟質磁性材料としての大きな初期透
磁率などの特性が変形によって劣化することはない。
【0024】上記の構成により、測定者や測定機会によ
らず、つねに安定して高い再現性を有する測定値を得る
ことが可能になる。
【0025】ここで、強磁性体は、最大比透磁率が高
い、たとえば、100を超える材料を指し、とくに磁化
初期の透磁率の高い軟質磁性材料、純鉄粉、ケイ素鋼
鈑、コバルト合金、酸化物系磁性材料などを挙げること
ができる。また、基材には、柔軟性は必要ではあるが可
塑性は必要ではなく、かえって望ましくない。基材は、
柔軟に弾性変形するものが対象となる。
【0026】励磁コイルは測定対象の鋼等に磁束を発生
させる。U字型や馬蹄形の磁芯を備えた励磁コイルを用
いることにより高い磁束を発生させることができる。強
度の強い信号を再現性よく得ることが可能となる。上記
の磁芯材料としては、交流磁化特性が要求される場合に
は、損失の小さい、酸化物フェライト系や積層して成形
したケイ素鋼鈑を用いることができる。また、測定コイ
ルの磁芯についても、酸化物フェライトや積層ケイ素鋼
鈑を用いることができる。
【0027】上記本発明の磁気測定では、柔軟性のある
基材が、柔軟な弾性材料およびゴムのいずれかからなる
構成とすることができる(請求項3)。
【0028】上記の柔軟な弾性材料には、手で抑える程
度の小さな応力範囲で適度に変形し、応力の解除で元に
復する弾性挙動を示す材料ならば、いずれも該当する。
たとえば、小さな応力範囲で弾性挙動を示す各種の樹
脂、ウレタンゴム、シリコーンゴム、天然ゴム、合成ゴ
ムなどのゴムが対応する。このような基材を用いること
により、柔軟弾性磁性複合材を測定対象の材料表面に繰
返し同じ接触面積をもって当て、信頼性の高い測定値を
得ることができるようになる。
【0029】上記本発明の磁気測定装置では、強磁性材
料が、粒径75μm以上の粒径を含む強磁性体粉末であ
ることが望ましい(請求項4)。
【0030】上記75μm以上の粒径を含む強磁性体粉
末を用いることにより、強磁性粉末が間にシリコーンゴ
ム等の非磁性体を介して孤立して配置される確率を小さ
くし、強磁性体粉末どうしが比較的大きな接触面をもっ
て接触する状態を実現しやすくなる。このため、磁気抵
抗はそれほど大きくならず、強い磁気信号を発生しやす
くなる。
【0031】上記本発明の磁気測定では、磁気測定装置
がバルクハウゼンノイズ測定装置であり、測定コイルが
磁化過程におけるバルクハウゼンノイズを測定する測定
コイルとすることができる(請求項5)。
【0032】上記の柔軟弾性磁性複合材を磁芯先端部に
取り付けた励磁コイルまたは測定コイルを用いることに
より、材料の形状などによらず再現性のよい信号を得る
ことができる。
【0033】上記本発明の磁気測定では、磁気測定装置
が、測定対象の材料の磁化特性を測定することにより、
材料にかかっている応力状態およびその材料の材質状態
のうちの少なくとも一方を測定する装置とすることがで
きる(請求項6)。
【0034】上記のような磁気測定装置の場合も、再現
性よく信頼度の高い測定値を得ることが可能となる。
【0035】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。
【0036】(1)本発明例の測定装置 表1および表2に示すように、2種類のサイズの純鉄粉
を準備し、混合比を変えて2液性のシリコーンゴムに均
一混入した。このシリコーンゴムを硬化させた後、適度
の厚さに加工し、バルクハウゼンノイズ測定装置の励磁
コイルの両方の先端のフェライト端子に取り付けた。こ
の純鉄粉が混入されたシリコーンゴムを柔軟弾性磁性複
合材と記す。フェライト端子は、酸化物系の軟質磁性粉
末を焼結して形成したもので、電気抵抗が高く、交流磁
界に対して損失が小さい。このフェライト端子の代わり
に、ケイ素鋼鈑を積層して成形したものを用いてもよ
い。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】(2)比較例の測定装置 比較例では、従来のバルクハウゼンノイズ測定装置の励
磁コイルのフェライト端子をそのまま用いた。このフェ
ライト端子は、上述のように、軟磁性酸化物系材料であ
る焼結フェライトから構成されているので、測定対象物
の形状に応じて変形することはほとんど期待できない。
このため、フェライト端子は、測定の際、押付け角度が
少し変化した場合でも測定できるように、Rがついた先
端形状を有している。しかし、実際には、押付け角度が
少し変化すると途端に誤差が大きくなり、先端にRを付
けた効果は得られなかった。
【0040】(3)試験 4点曲げの試験片に-700MPa〜+400MPaの範
囲の曲げ応力をかけたときのバルクハウゼンノイズを、
上記の本発明例の測定装置と比較例の測定装置とを用い
て測定した。バルクハウゼンノイズの測定条件を表3に
示す。表面でのバルクハウゼンノイズの感度を高めるた
めに、磁化レベルと感度レベルとを、最高値に設定し、
モードはshallowの表層20μmまでの深さ域の測定と
した。
【0041】
【表3】
【0042】(4)試験結果 (a)純鉄粉サイズの影響(柔軟弾性磁性複合材厚さ2
mm) 表4および図1に、純鉄粉の混入重量を変化させた場合
の鉄粉サイズ(粒度)とバルクハウゼンノイズ値との関
係を示す。柔軟弾性磁性複合材厚さは、すべて2mmと
した。
【0043】
【表4】
【0044】図1などから、純鉄粉の混入重量が同じな
ら粗い純鉄粉のほうが、測定されるバルクハウゼンノイ
ズ値は大きく、感度が高い。ただし、同じ混入量でも粗
い純鉄粉が混入した柔軟弾性磁性複合材は硬く、柔軟性
がなくなるので、両者のバランスが必要となる。感度の
高い粒度100の最大混入重量は、シリコンゴム5gに
対して20gである。上記の限界混入率は、80重量%
である。
【0045】柔軟弾性磁性複合材を取り付けたものは、
感度はやや低下する。しかし、このあと述べるように、
探触子である検出コイルの押し付け誤差がほとんど生じ
ず、結果的に信号対雑音比(S/N比)が高くなる。
【0046】(b)柔軟弾性磁性複合材の厚さ(鉄粉粒
度100、混入量20g) 柔軟弾性磁性複合材の厚さを変えたときのバルクハウゼ
ンノイズ出力値を、表5および図2に示す。
【0047】
【表5】
【0048】図2より、柔軟弾性磁性複合材の厚さが厚
くなるほどバルクハウゼンノイズ値は小さくなる傾向が
ある。しかし、柔軟弾性磁性複合材の厚さが1mm〜2
mmの範囲内では、感度は大きく変化せず、フェライト
コアの先端にこの柔軟弾性磁性複合材を取り付けても、
十分測定できる感度を得ることができる。
【0049】(c)励磁コイル先端の接触角度と測定誤
差 図3は、励磁コイル先端の接触角度を変えてバルクハウ
ゼンノイズを測定する際の測定方法を示す図である。
(a)は正面図であり、(b)は側面図である。2つの
励磁コイルのうちの一方は測定対象材料の表面に垂直に
配置し、他方はαの角度傾けて配置した。図3(b)の
側面図で認められるように、両端部のフェライトコアの
先端形状は、円弧状になっていて、多少押し付ける角度
αが変化しても、測定対象物との接触状況が大きく変化
しないようにされている。しかし、実際は、少し角度α
が変わると測定値は大きく変動したり、感度が鈍くな
る。本発明例のフェライトコア先端に取り付けた柔軟弾
性磁性複合材の厚さは1mmとした。また、測定コイル
は、上記励磁コイルと一体化されており、ばねが中に組
み込まれていて、励磁コイルよりも前に突き出る機構が
採用されている。
【0050】上記のように、測定子の接触角度を変えた
ときの測定誤差を図4に示す。測定誤差は、接触角度0
°の場合の平均値を基準値として、基準値からの変化の
割合(%)で表示してある。図4から分るように、柔軟
弾性磁性複合材を取り付けることにより、測定誤差は測
定子の角度によらず5%程度以下にすることができる。
これに比して、柔軟弾性磁性複合材を取り付けない場合
には、励磁コイル先端の傾き角度が大きくなるほど誤差
は大きくなり、角度15°では誤差は45%程度に達す
る。
【0051】したがって、励磁コイル先端に傾き角度を
生じる場合には、柔軟弾性磁性複合材を用いないと、誤
差に埋もれてしまう可能性がある。
【0052】(d)繰返し測定誤差 図5に、従来の測定装置と、本発明の柔軟弾性磁性複合
材(厚さ1mm)を取り付けた測定装置とを用いて、繰
り返し数5回の測定を行なった場合の測定誤差範囲を示
す。横軸は残留応力であり、縦軸はバルクハウゼンノイ
ズ値である。平均的な傾きが応力に対するバルクハウゼ
ンノイズの感度Sを示す。図中で、傾きSは、従来の柔
軟弾性磁性複合材を取り付けない測定装置における応力
に対する感度Sを表わす。
【0053】一方、図中で、繰返し誤差は、測定値の幅
Nで表示している。柔軟弾性磁性複合材を取り付けるこ
とにより、この繰返し誤差は非常に小さくなることが分
る。繰返し誤差が大きいと、いくら応力測定感度Sが大
きくても全体の測定精度は低くなる。従来の測定装置の
場合のS/N比は0.002(1/MPa)であったが、
本発明例のように、柔軟弾性磁性複合材を取り付けると
S/N比は0.006(1/MPa)となり、S/N比が
向上した。
【0054】上記において、本発明の実施例について説
明を行なったが、上記に開示された本発明の実施例は、
あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実
施例に限定されない。たとえば、本発明は次の事項を含
むものである。 (1)本発明の磁気測定装置では、柔軟弾性磁性複合材
で構成される箇所は励磁コイルの磁芯の両端に限定され
ない。測定コイルの磁芯先端部がこの柔軟弾性磁性複合
材で構成されていてもよい。 (2)強磁性体が混入される柔軟性のある基材は、シリ
コーンゴム等に限定されない。予め強磁性体を混入する
ことができ、強磁性体を混入し硬化処理の化学変化後に
弾性変形しやすくなるものであれば何でもよい。ただ
し、測定対象物との接触面積が測定のたびに変動するほ
ど変形しやすくない弾性体である必要がある。 (3)本発明の磁気測定装置は、バルクハウゼンノイズ
測定装置に限定されない。他の磁気測定装置であっても
よい。
【0055】本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載に
よって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意
味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例における柔軟弾性磁性複合材
に混入される鉄粉量とバルクハウゼンノイズ値との関係
を示す図である。
【図2】 本発明の実施例における柔軟弾性磁性複合材
の厚みとバルクハウゼンノイズ値との関係を示す図であ
る。
【図3】 バルクハウゼンノイズ値の誤差に及ぼす励磁
コイルの角度の影響を試験する配置を示す図である。
(a)は正面図であり、(b)は側面図である。
【図4】 本発明の実施例におけるバルクハウゼンノイ
ズ値の誤差に及ぼす励磁コイルの角度の影響を示す図で
ある。
【図5】 本発明の実施例におけるバルクハウゼンノイ
ズ値の誤差に及ぼす繰り返し数および残留応力の影響を
示す図である。
【図6】 従来のバルクハウゼンノイズ測定値の構成図
である。
【図7】 バルクハウゼンノイズが引張応力状態のとき
大きく、かつ圧縮応力状態のとき小さいことを示す図で
ある。
【符号の説明】
3 検出(測定)コイル、4 励磁コイル、5 フェラ
イトコア、7 柔軟弾性磁性複合材料、10 測定対象
材料。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G017 AA08 AD01 BA03 CA29 CB15 CC02 2G053 AA09 AA19 AB20 BB11 BC02 BC14 CA03 DB19 5E041 AA01 BB03 CA10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 測定対象の材料を励磁する励磁コイル
    と、 前記励磁された材料からの磁化信号を測定する測定コイ
    ルとを備える磁気測定装置であって、 前記励磁コイルおよび前記測定コイルのうち、少なくと
    も一方は、前記測定対象の材料に接する磁芯の先端部が
    柔軟性のある材料で構成されている、磁気測定装置。
  2. 【請求項2】 前記柔軟性のある材料が、柔軟性のある
    基材中に強磁性材料が混入された柔軟弾性磁性複合材で
    ある、請求項1に記載の磁気測定装置。
  3. 【請求項3】 前記柔軟性のある基材が、柔軟な弾性材
    料およびゴムのいずれかからなる、請求項1または2に
    記載の磁気測定装置。
  4. 【請求項4】 前記強磁性材料が、粒径75μm以上の
    粒径を含む強磁性体粉末である、請求項1〜3のいずれ
    かに記載の磁気測定装置。
  5. 【請求項5】 前記磁気測定装置がバルクハウゼンノイ
    ズ測定装置であり、前記測定コイルが磁化過程における
    バルクハウゼンノイズを測定する測定コイルである、請
    求項1〜4のいずれかに記載の磁気測定装置。
  6. 【請求項6】 前記磁気測定装置が、前記測定対象の材
    料の磁化特性を測定することにより、材料にかかってい
    る応力状態およびその材料の材質状態のうちの少なくと
    も一方を測定する装置である、請求項1〜4のいずれか
    に記載の磁気測定装置。
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