JP2016145842A - 磁化可能な材料で作られた部品の応力を決定する装置及び方法 - Google Patents

磁化可能な材料で作られた部品の応力を決定する装置及び方法 Download PDF

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ミエールチェザック ルカシュ
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シー.ジルズ デイビッド
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Abstract

【課題】磁化可能な材料で作られた部品の応力をバルクハウゼン効果を用いて決定するための、実施し易い装置及び方法を提供すること。
【解決手段】磁化可能な材料で作られた部品2の有効応力値σを決定するための装置1であり、装置は、変動する振幅Hの磁場を生成する生成ステージ3と、磁場の振幅Hの変動に沿ってバルクハウゼンノイズ信号MBNを捕捉するピックアップステージ4とを含む。装置は、磁場の振幅Hの変動に沿って信号MBNの最大値MBNmaxの逆数1/MBNmaxを計算する処理ユニットを有し、処理ユニット5が、最大値の逆数1/MBNmaxと有効応力値σとの間の線形関係を記憶するメモリステージ15を有特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁化可能な材料で作られた部品好ましくは航空機部品の応力を決定する装置及び方法に関する。
知られている通り、航空機産業は、窒化鋼または浸炭鋼の部品を採用している。これらの部品は、まず浸炭され、その後ショットピーニングされ、最後に研磨される。
ショットピーニングは、部品の最も外側の層において等方性残留圧縮状態を生じるように部品表面を冷間加工する機械的工程である。
研磨は、しばしば、残留応力、微細構造及びその結果としての耐摩耗性及び疲労強さなどの特性の点に関してショットピーニングされた部品の最終表面状態に影響を与える。
特に、研磨パラメータが慎重に制御されないと、研磨エリアにおいて生じる熱の形のエネルギーの局部的注入が、表面層に深刻な熱損傷を引き起こす可能性がある。
部品の温度が焼戻し温度を上回ると、研磨は、冶金レベルで微細構造のマルテンサイト変化を生じて、いわゆる過焼戻しマルテンサイト、すなわち、より柔らかい表面領域及び機械的特性の全体的低下を伴う準安定相を生じる可能性がある。
その結果、過焼戻しマルテンサイトは、クラックの開始を促進する可能性がある。また、研磨は、材料の残留応力パターンを変化させる可能性もある。
最悪の場合には、材料は、表面領域において残留圧縮応力を生じ、また表面に近い内側領域において残留引張り応力を生じ、その結果材料の応力に急激な変化が生じる可能性がある。
応力の最終的な大きさ及び均等性が大幅に変動する可能性がある。
従って、業界では、部品の疲労強度の正確な評価を可能にするために部品の応力に対する研磨の影響を決定する必要性が感じられている。
既知の化学エッチング部品検査法は、重量微細構造鋼(heavy microstructural steel)にしか効果的ではなく、常にある程度の主観的評価を伴う。
さらに、この検査法は、窒化鋼または浸炭鋼部品の残量応力において過焼戻しによって生じる変化を決定することもできない。
部品の応力を決定する別の方法は、バルクハウゼン効果を採用する。
バルクハウゼン効果によれば、変化する磁場に曝された磁化可能な材料例えば強磁性体の部品内部の磁束は、連続的に変動せず、離散的変化を経る。離散的変化は、部品近くに配置されたコイルにおいて電圧パルスを誘発する。電圧パルスは、増幅されてスピーカーに接続されて、バルクハウゼンノイズとして知られる音響パルスを生成できる。
部品内部における磁束の離散的変化は、磁区の縁の不連続移動に関係する。より具体的に言うと、非磁化部品において、磁区はランダムに配向されるので、物体の平均磁化はゼロである。外部磁場に曝されると、部品の磁区の向きは、それに応じて変化する傾向があり、隣接する磁壁の移動を生じて、物体の巨視的磁化は、部品内の磁気的不連続性のために離散的変化を生じる。
バルクハウゼンノイズ特性は、部品の引張り応力または圧縮応力の影響を受けることが知られている。
業界では、磁化可能な材料で作られた部品の応力をバルクハウゼン効果を用いて決定するための、実施し易い装置及び方法の必要性が感じられている。
また、部品の様々な深さにおける前記応力を決定するための、直接的で実施し易い装置及び方法の必要性も感じられている。
本発明によれば、磁化可能な材料で作られた部品の応力を決定する装置が提供される。
装置は、
変動する振幅の磁場を生成する生成ステージと、
前記磁場の前記振幅の変動に沿ってバルクハウゼンノイズ信号を捕捉するピックアップステージと、を備え、
装置は、
前記磁場の前記振幅の変動に沿って前記信号の最大値の逆数を計算する処理ユニットを備え、
前記処理ユニットが前記最大値の前記逆数と有効応力値との間の線形関係を記憶するメモリステージを備えることを特徴とする。
本発明によれば、磁化可能な材料で作られた部品の応力を決定する方法も提供される。
この方法は、
変動する振幅の磁場を生成するステップと、
前記磁場の前記振幅の変動に沿って前記部品のバルクハウゼンノイズ信号を捕捉するステップと、を含み、
前記磁場の前記振幅の変動に沿って前記バルクハウゼンノイズ信号の最大値の逆数を計算するステップと、
前記最大値の前記逆数と有効応力値との間の線形関係によって前記部品の有効応力値を計算するステップと、を含むことを特徴とする。
本発明の好ましい非限定的実施形態について、添付図面を参照して例として説明する。
本発明に係る、磁化可能な材料で作られた部品の応力を決定する装置の概略図である。 様々な有効作用応力値についての、図1の装置によって与えられた磁場の振幅の変動に沿った実効バルクハウゼンノイズ信号値のグラフである。 図2と同じ部品についての、有効作用応力値の変動に沿った図2のバルクハウゼンノイズ信号の実効値のグラフである。 図2及び図3と同じ部品についての、有効作用応力値の変動に沿った保磁点(coercive point)における非ヒステリシス微分磁化率(nonhysteretic differential susceptibility)の理論的試験グラフである。 図2、図3及び図4と同じ部品についての、有効作用応力値の変動に沿った非ヒステリシス微分磁化率の逆数の理論的試験グラフである。 図2〜図5と同じ部品についての、有効作用応力値の変動に沿った最大実効バルクハウゼンノイズ信号値の逆数の理論的試験グラフである。 様々な材料の部品についての、図1の装置によって与えられた磁場の強さ及び有効残留応力値の変動に沿った実効バルクハウゼンノイズ信号のグラフである。 様々な材料の部品についての、図1の装置によって与えられた磁場の強さ及び有効残留応力値の変動に沿った実効バルクハウゼンノイズ信号のグラフである。 図7及び図8と同じ部品についての、有効残留応力値の変動に沿った最大実効バルクハウゼンノイズ信号の逆数のグラフである。
図1において、参照番号1は、磁化可能な材料好ましくは強磁性体で作られた部品2の応力を決定する装置全体を示す。
部品2は、航空機部品であることが好ましい。
部品2は、熱処理、ショットピーニング及び研磨によって硬化されていることが好ましい。
また、部品2は、浸炭鋼または窒化鋼で作られ、焼戻し温度より高い温度で研磨されていることが好ましい。
装置1は、
異なる周波数値f1、f2、...fi、...fn及び異なる振幅値Hの交番磁場を部品2上に生成するための磁化要素3と、
部品2内部の磁場の作用から派生するバルクハウゼンノイズの振幅の実効値MBNを決定するためのプローブ4と、
プローブ4によって捕捉されたバルクハウゼンノイズを処理して、部品2における応力の有効値σを発出するための処理ユニット5と、を実質的に備える。
より具体的に言うと、要素3は、交流ジェネレータ6に接続された巻線21を備えたフェライト磁心であることが好ましい。
要素3は、U字形であり、それぞれの端が部品2の自由面8に当接しかつこれと直角を成す2本の平行のアーム7と、前記アーム7の間に延びかつ自由面8に平行で自由面8から所与の距離の横材9とを備える。
要素3によって生成された磁場は、部品2において、離散的に変動する磁束を引き起こす。
プローブ4は巻線10を備え、前記巻線10において、2本の対向するアーム7の間の磁束の垂直成分が捕捉される。同じ磁束が、部品2に存在して、実効値MBNの電圧の離散的ジャンプを生み出す。
各周波数f1、f2、...fi、...fnについて、処理ユニット5は、要素3によって与えられた磁場の振幅Hの変動に沿った実効値MBNの最大値MBNmaxを計算する。
また、装置1は、プローブ4によって捕捉された実効値MBNを増幅するための増幅器12と、実効値MBNをフィルタリングするための帯域フィルタ11とを備える。
より具体的に言うと、フィルタ11は、部品2の表面8と検査領域との間のそれぞれの距離d1、d2、...di、...dnに関連付けられる周波数f1、f2、...fi、...fnと、表面8からの距離には無関係の閾値周波数f0との間の実効値MBNの周波数成分を通過させるように設計されている。
より具体的に言うと、周波数fiは、
に等しい。ここで、μ=μoμrは、透磁率であり、σeは、導電率であり、diは、有効応力値σが決定される部品2の表面8からの距離である。
従って、各周波数f1、f2、...fi、...fnは、表面8からそれに垂直に測定された様々な距離d1、d2、...di、...dnまでの磁場の所与の浸透に対応する。
より具体的に言うと、周波数f1、f2、...fi、...fnが小さくなると、それだけ距離d1、d2、...di、...dnが大きくなる。
処理ユニット5は、それぞれの距離d1、d2、...di、...dnに対応する各周波数f1、f2、...fi、...fnについて、磁場の振幅Hの変動に沿って実効値MBNの最大値MBNmaxの逆数1/MBNmaxを計算するように有利に構成されており、各周波数f1、f2、...fi、...fnについて、実効値MBNの最大値MBNmaxの逆数(1/MBNmax)と有効応力値σとの間の線形関係(図6及び図9)を記憶するメモリステージ15を備える。
有効値σは、一軸応力の場合には引張りまたは圧縮応力に等しく、多軸応力の場合には相当応力に等しい。
従って、各線形関係は、表面8からの様々な距離diにおける最大値MBNmaxの逆数(1/MBNmax)と有効応力値σとの間の関係を示す。
装置1は、距離diにおいて捕捉された実効値MBNから、距離diより小さい距離d1、d2、...、di−1において捕捉された実効値MBNの有効値を減算するための分析ステージ20も備える。
前記有効値は、距離di−1において捕捉された実効値MBNに好ましく等しい。
従って、装置1は、表面8と有効応力値σが測定される部品2の領域との間の距離diに起因する実効値MBNの減衰を考慮する。
メモリステージ15は、それぞれの周波数f1、f2、...、fi、...fnについて、逆数1/MBNmaxと有効作用応力値σとの間の多数の第一線形関係(その一つが図5に示される)を好ましく記憶する。
また、メモリステージ15は、それぞれの周波数f1、f2、...、fi、...fnについて、逆数1/MBNmaxと有効残留応力値σとの間の多数の第二線形関係(その二つが図9に示される)も記憶する。
前記関係の直線の傾きは、同じ周波数値f1、f2、...、fi、...fnについて好ましく等しい。
メモリステージ15に記憶される各線形関係のグラフは、装置1を較正するときに得られる。
較正ステージにおいて、所与の材料及び所与の距離diについての有効応力値σがx線回析によって決定され、各有効応力値σについて逆数1/MBNmaxが決定される。
増幅器12、データ収集カード13及び要素13用のパワーアンプ14が、装置1の中央ユニット30の中に設置される。
ジェネレータ6、フィルタ11、メモリステージ15、分析ステージ20、及び有効値σを表示するための表示ステージ35が、装置1のパソコンの中に設置される。
処理ユニット5にロードされてここで実行されるソフトウェアは、各周波数fiについて逆数1/MBNmaxの値及び対応する有効値σを生成するアルゴリズムを採用する。
実際の使用において、要素3は、所与の周波数f1、f2、...、fi、...fnを有する可変的な磁場を生成する。また、磁場の振幅Hは変動するが、周波数f1、f2、...、fi、...fnは一定に維持される。
磁場は、部品2にぶつかると部品2の磁区に整列するので、プローブ4の巻線10において実効値MBNの離散的電圧パルスを生み出す。
フィルタ11は実効値MBNの電圧信号をフィルタリングする。
各周波数値f1、f2、...、fi、...fnについて、処理ユニット5は、磁場の振幅Hの変動に沿って実効値MBNの最大値MBNmaxを計算し、及びメモリステージ15の中の線形関係(図5及び図9)に基づいて、周波数f1、f2、...、fi、...fnに関連付けられる距離diにおける部品2の有効応力値σを生成する。
次に、周波数f1、f2、...、fi、...fnは変更されて、メモリステージ15に記憶された異なる線形関係を用いて異なる距離d1、d2、...、di、...、dnにおける部品2の有効応力値σを得るために、上述したように測定が繰り返される。
各距離diについて、分析ステージ20は、表面8からの距離がdiより小さい距離d1、d2、...、di−1における部品2の材料によるバルクハウゼンノイズ減衰を考慮するため、距離diにおいて捕捉した実効値MBNから距離d1、d2、...、di−1において捕捉した実効値MBNの有効値を減算する。
前記有効値は、距離di−1において捕捉された実効値MBNに好ましく等しい。
装置1は、有効応力値σを測定する前に、メモリステージ15に線形関係を記憶することによって較正される。
より具体的に言うと、部品2と同じ材料で作られた試験片に応力が与えられて、表面8からの各距離diについて、x線回析によって有効応力値σが測定され、プローブ4によって最大値MBNmaxが測定される。
図5及び図9に線形関係が示されるが、これは、下記のように出願者による調査の結果である。
要約すると、出願者は、下記のこと、即ち、
所与の材料の場合、所与の周波数fiにおける実効値MBNの最大値MBNmaxは、最大微分磁化率χ’maxに依存すること、
ほとんどの材料の場合、非ヒステリシス微分磁化率χ’anは、最大微分磁化率χ’maxに等しいこと、及び
非ヒステリシス微分磁化率χ’anの逆数1/χ’anは、材料の有効応力値σの一次関数であることに気づいた。
より具体的に言うと、通常、保磁点(coercive point)においてすなわち作用磁場の振幅Hがゼロのとき、最大非ヒステリシス微分磁化率χ’anに達し、部品2は部品2のヒステリシスサイクルに起因する残留磁化を含む。
従って、出願者は、最大値MBNmaxの逆数1/MBNmaxと有効値σとの間の線形関係の存在を推定し、試験によってこれを確認した。
より具体的に言うと、出願者は、加工面において異なる条件を得るために、円筒形のSAE9310及びSAE32CDV13鋼の試験片を、丸みのあるドッグボーン形(dog-bone-shaped)SAE9310鋼の引張り試験片と一緒に研磨した。
その化学組成を表1に示す。
次に、3つの32CDV13試験片及び引張り試験片をショットピーニングして、高圧縮応力領域を調べた。寸法、研磨及びショットピーニング条件の詳細及びその結果生じたこれら試験片の残留表面応力を、表2及び3に示す。
引張り試験時に、試験片は、機械的サーボ水圧試験装置を用いて、弾性限界の範囲内で様々な有効応力値σにかけられて、増分50MPaの単調増加荷重について実効値MBNが測定された。
浸炭SAE9310試験片について、及びこの場合には引張り応力である様々な有効作用応力値σについて、実効値MBNの配列の包絡曲線を図2に示す。前記包絡曲線は、20〜1250KHzの周波数範囲における実効値MBNを表す。
実効バルクハウゼンノイズ値MBNの漸進的変化が、増大する実効応力値σを生み出す荷重に反応して観察された。この性質は、等価磁場Hσに関して作用応力の効果を説明する理論に一致する。この付加的磁場は、磁気弾性結合から派生し、下記の式で表される。
ここで、σは有効応力値であり、λは磁気ひずみであり、μ0は、真空透磁率であり、θは応力軸(例えば、引張り応力の場合引張り軸)とHσの方向との間の角度であり、νはポアソン比である。従って、実効値MBNは、下記のように表すことができる実際の磁場に対する反応である。
ここで、Heは全体磁場であり、αは磁区結合を表す平均磁場パラメータであり、Hσは等価応力場である。出願者の測定において、印加された外部磁場Hは、有効作用応力値σと同軸なので、有効作用応力値σの増大は、磁区においてより高い全体磁場Heを引き起こす。
その結果として、磁壁は、印加磁場のより低い振幅値Hにおいて局部的エネルギーバリアを壊す。これは、実効値MBNの振幅の増大と矛盾しない。
最大値MBNmaxが有効値σの増大と共に増大する傾向が、図3に示される。この有効値σへの依存は、図4に示されるようなAISI4130鋼の保磁点非ヒステリシス微分磁化率Χ’an(H=0)において出願者によって観察された。
より具体的に言うと、保磁点非ヒステリシス微分磁化率Χ’an(H=0)は、ゼロ磁場振幅Hでかつ部品のヒステリシスサイクルに起因して残留磁化が残っているとき測定された非ヒステリシス微分磁化率χ’anである。
有効応力値σと保磁点非ヒステリシス微分磁化率χ’an(H=0)、すなわち、ゼロ振幅H、との間のこの関係を示す式が、磁化に関するランジュバン関数から得られた。この式において、等価応力場Hσが作用磁場Hに及び内部結合磁場αMに加えられた。
非ヒステリシス磁化Manを表すために使用されたランジュバン関数は下記の通りである。
ここで、Msは飽和磁化、すなわち部品2の材料が達することが出来る最大磁化であり、及び、aは、部品2の材料の温度及び磁区のサイズを考慮した形状パラメータである。
等価磁場Hσ(数式3)の効果を考慮すると、応力が存在するとき、非ヒステリシス磁化Manの式は下記のようになる。
λがMにおいて対称であるより低い磁化値における磁気ひずみは下式で近似される。
従って、
である。
磁気ひずみ係数bの値は、磁気ひずみ測定によって実験的に決定できる。非ヒステリシス磁化は、元来、振幅Hに対して線形であり、低いH値については下記の式で表せる。
これは、下記のオリジナルの微分磁化式を与える。
この式は下記のように書き換えることができる。
様々な有効値σ及びゼロ振幅Hの非ヒステリシス微分磁化率χ’an(H=0)の試験データ及び磁気ひずみ係数bを用いて、AISI4130鋼について、ゼロ磁場振幅Hのときの有効応力値σへの非ヒステリシス微分磁化率χ’an(H=0)の依存度を計算することができた。また、出願者は、多くの材料について、最大非ヒステリシス微分磁化率χ’an(H=0)が、保磁点、すなわちゼロ振幅Hのときの最大微分磁化率χ’maxに等しいことにも気づいた。
数式10に基づいて、保磁点において通常測定される最大微分磁化率χ’maxは、従って下記の式により有効応力値σに関連付けられる。
図5に示すように、非ヒステリシス微分磁化率χ’anの逆数対有効応力値σをプロットすることによって、理論の真実性が確認された。
図5に示すように、線形関係によって表される理論的予測は、測定において示される傾向と一致するので、測定可能な体積の磁気特性から、特に応力が不在の場合の最大微分磁化率χ’maxから有効応力値σを決定する便利な方法として数式11の線形関係を確認する。別のしばしばより実用的である選択肢は、数式11に示すように保磁点における最大微分磁化率χ’maxの使用である。
出願者は、最大微分磁化率χ’maxと同様に、最大値MBNmaxが有効応力値σと一緒に変動することに注目した。
従って、これら2つの結果の間にはなんらかの関係が存在するはずである。1つの理論は、両方が磁化プロセスにおける同じ位相に一致するというものであり、そこではdM/dHの値従ってdB/dHの値は最大である。これらの領域は、保磁点における磁化曲線の一番鋭い傾斜によって表される。もう1つの理論は、所与の時間間隔におけるバルクハウゼン活動のレベルdMJS/dtが磁化の変化速度dM/dt=(dM/dH)(dH/dt)=χ’dH/dtに比例するというものである。この関係については、ヒステリシス理論に基づくバルクハウゼン測微活動モデルにおいてすでに説明されている。このモデルによれば、所与の時間Δtにおいてバルクハウゼンノイズによって発生する電圧の合計は、同じ時間における磁化の合計変化ΔMに比例する。これは下記の式で表せる。
ここで、γは、単に磁化の不連続変動対合計変動の比率を表す比例係数(0≦γ≦1)である。この式は、ヒステリシスサイクルの任意の点における実効値MBNと微分磁化率χ’との間の関連を定義するので、最大値MBNmaxと最大微分磁化率χ’maxとの間の直接的関係を確認する。従って、逆数1/MBNmaxのグラフは、図5に示すように、有効作用応力値σの線形関係として表すこともできる。
2つのグループの試験片について、実効値MBN対有効残留応力値σを図6及び図7に示す。
本発明に係る装置1及び方法の利点は、上の説明から明らかになるだろう。
特に、この装置及び方法は、実効値MBNの最大値MBNmaxの逆数1/MBNmaxと有効作用応力値または有効残留応力値σとの間の線形関係を採用する。
従って、本発明に係る装置1及び方法は、簡単かつ客観的に有効値σを決定できるようにする。より具体的に言うと、部品2が窒化鋼または浸炭鋼で作られて、焼戻し温度より上の温度でショットピーニング及び研磨されたとき、装置1は、部品2の表面8の真下の領域における残留応力を正確に決定する。
さらに、様々な周波数f1、f2、...、fi、...、fnで磁場を生成することによって、本発明に係る装置1及び方法は、表面8からの様々な距離d1、d2、...、di、...、dnにおける有効値σを決定する。
最後に、本発明に係る装置1及び方法は、周波数fi、すなわち表面8からの距離diに関連付けられる周波数において決定された実効値MBNから周波数f1、f2、...、fi−1で決定された実効値MBNを減算する。
従って、本発明に係る装置1及び方法は、より大きな計算力を必要とする複雑な数学的計算の必要なく、容易に部品2の材料による減衰を考慮する。
特許請求の範囲から逸脱することなく、上述の装置1及び方法に変更が加えられてよいことは明白である。
1 装置
2 部品
3 生成ステージ
4 ピックアップステージ
5 処理ユニット
8 自由表面
10 巻線
11 帯域フィルタ
12 増幅器
14 パワーアンプ
15 メモリステージ
20 分析ステージ

Claims (15)

  1. 磁化可能な材料で作られた部品(2)の有効応力値(σ)を決定するための装置であって、
    変動する振幅(H)の磁場を生成する生成ステージ(3)と、
    前記磁場の前記振幅(H)の変動に沿ってバルクハウゼンノイズ信号(MBN)を捕捉するピックアップステージ(4)と、を備え、
    該装置が、
    前記磁場の前記振幅(H)の変動に沿って前記信号(MBN)の最大値(MBNmax)の逆数(1/MBNmax)を計算する処理ユニット(5)を備え、
    前記処理ユニット(5)が前記最大値の前記逆数(1/MBNmax)と前記有効応力値(σ)との間の線形関係を記憶するメモリステージ(15)を備えることを特徴とする、装置。
  2. 前記信号(MBN)をフィルタリングするための帯域フィルタ(11)を、前記ピックアップステージ(4)の下流でかつ前記メモリステージ(15)の上流に備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
  3. 前記生成ステージ(3)が、前記部品(2)の自由表面(8)からの第一距離(d1、d2)に関連付けられる少なくとも第一の周波数(f1、f2)で前記磁場を生成し、
    前記帯域フィルタ(11)が、前記第一の周波数(f1、f2)と前記距離(d1、d2)には無関係の閾値周波数(f0)との間の周波数を有する前記信号(MBN)の成分を通過させることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
  4. 前記生成ステージ(3)が、少なくとも第二の周波数(f2、f1)で前記磁場を生成し、
    前記メモリステージ(15)が、前記第一及び第二の周波数(f1、f2)にそれぞれ関連付けられかつ前記部品(2)の前記表面からの第一及び第二距離(d1、d2)における前記有効応力値(σ)にそれぞれ関連付けられる第一及び第二の前記線形関係を記憶することを特徴とする、請求項2または3に記載の装置。
  5. 前記生成ステージ(3)が、前記表面(8)からの増大する距離(d1、d2、d3、di、...、dn)に関連付けられたある範囲の周波数(f1、f2、f3、fi、...、fn)で前記磁場を生成し、
    前記処理ユニット(5)が、所与の距離(di)においてピックアップされた前記信号(MBN)から前記所与の距離(di)より小さい距離(d1、d2、...,、di−1)においてピックアップされた信号(MBN)を表す値を減算する分析ステージ(20)を備えることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
  6. 前記分析ステージ(20)が、前記所与の距離(di)においてピックアップされた前記信号(MBN)から前記所与の距離(di)に先行する距離(di−1)においてピックアップされた前記信号(MBN)を減算することを特徴とする、請求項5に記載の装置。
  7. 前記メモリステージ(15)が、
    前記振幅(H)の変動に沿った、所与の周波数(f1、f2)についての前記最大値の前記逆数(1/MBNmax)と有効作用応力値(σ)との間の第一線形関係と、
    前記振幅(H)の変動に沿った、所与の周波数(f1、f2)についての前記最大値の前記逆数(1/MBNmax)と有効残留応力値(σ)との間の第二の線形関係と、を記憶することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
  8. 前記第一線形関係及び前記第二線形関係の直線の傾きが、同じ材料で作られた部品(2)については等しいことを特徴とする、請求項7に記載の装置。
  9. 磁化可能な材料で作られた部品(2)の応力を決定する方法であって、
    変動する振幅(H)の磁場を生成するステップと、
    前記磁場の前記振幅(H)の変動に沿って前記部品(2)のバルクハウゼンノイズ信号(MBN)を捕捉するステップと、を含み、
    前記磁場の前記振幅(H)の変動に沿って前記バルクハウゼンノイズ信号の最大値(MBNmax)の逆数(1/MBNmax)を計算するステップと、
    前記最大値(MBNmax)の前記逆数(1/MBNmax)と有効応力値(σ)との間の線形関係によって前記部品(2)の有効応力値(σ)を計算するステップと、を含むことを特徴とする方法。
  10. 前記計算するステップの前にかつ前記捕捉するステップの後に、前記信号(MBN)をフィルタリングするステップを含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
  11. 前記生成するステップが、前記部品(2)の自由表面(8)からの第一距離(d1、d2、...、dn)に関連付けられた第一の周波数(f1、f2、...、fn)で前記磁場を生成するステップを含み、
    前記フィルタリングするステップが、前記第一の周波数(f1、f2、...、fn)と、前記第一距離(d1、d2、...、dn)には無関係の閾値周波数(f0)との間の前記信号(MBN)の周波数帯域をフィルタリングするステップを含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
  12. 前記生成するステップが、さらに第二の周波数(f2)で前記磁場を生成するステップを含むことを特徴とする請求項10または11に記載の方法であって、
    前記第一及び第二の周波数(f1、f2、...、fn;f2)にそれぞれ関連付けられかつ前記部品(2)の前記表面(8)からの第一及び第二距離(d1、d2、...,dn;d2)における前記有効応力値(σ)にそれぞれ関連付けられた前記第一及び第二線形関係を記憶するステップを含むことを特徴とする、請求項10または11に記載の方法。
  13. 前記生成するステップが、前記表面(8)からの増大する距離(d1、d2、d3、di、...、dn)に関連付けられたある範囲の周波数(f1、f2、f3、fi、...、fn)で前記磁場を生成するステップを含み、
    前記計算するステップが、所与の距離(di)においてピックアップされた前記信号(MBN)から前記所与の距離(di)より小さい距離(di−1)においてピックアップされた信号(MBN)を減算する減算ステップを含むことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
  14. 前記線形関係が計算される較正ステップを含むことを特徴とする請求項9〜13のいずれか一項に記載の方法であって、前記較正ステップが、
    前記部品(2)の中に応力を生成するために前記部品(2)に荷重を加えるステップと、
    x線回析によって前記有効応力値(σ)を測定するステップと、
    各前記有効応力値(σ)において前記バルクハウゼンノイズ信号の最大値(MBNmax)の前記逆数(1/MBNmax)を決定するステップとを含む、請求項9〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 処理ユニット(5)にロード可能であり、かつ実行されると、請求項9〜14のいずれか一項に記載の方法のステップを実施する、ソフトウェア製品。
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