JP2009236767A - 歯車強度評価装置及び歯車強度評価法。 - Google Patents
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Abstract
【課題】真空浸炭処理された歯車の強度評価法の信頼性を高めることができる技術を提供することを課題とする。
【解決手段】歯車支軸16に支えられている歯車15と、疑似歯車支軸23に支えられている疑似歯車24は噛み合っている。歯車15が矢印(1)のように駆動すると、疑似歯車24が矢印(2)のように従動して回転する。この結果、歯先25の各々に埋設した検出コイル26で連続的に自動検出できる。
【効果】歯車に噛み合う疑似歯車の歯先の各々に検出コイルを埋設し、これらの検出コイルで検出した情報をスリップリング機構で外部へ取り出す。疑似歯車が測定対象の歯車と回転しながら連続的に歯底を測定するので、測定を能率良く行うことができる。加えて、歯底の全数検査を行うので、強度評価の信頼性を高めることができる。
【選択図】図2
【解決手段】歯車支軸16に支えられている歯車15と、疑似歯車支軸23に支えられている疑似歯車24は噛み合っている。歯車15が矢印(1)のように駆動すると、疑似歯車24が矢印(2)のように従動して回転する。この結果、歯先25の各々に埋設した検出コイル26で連続的に自動検出できる。
【効果】歯車に噛み合う疑似歯車の歯先の各々に検出コイルを埋設し、これらの検出コイルで検出した情報をスリップリング機構で外部へ取り出す。疑似歯車が測定対象の歯車と回転しながら連続的に歯底を測定するので、測定を能率良く行うことができる。加えて、歯底の全数検査を行うので、強度評価の信頼性を高めることができる。
【選択図】図2
Description
本発明は、真空浸炭処理された歯車の強度を評価する歯車強度評価技術に関する。
歯車は、重要な機械要素の一つであって、高い強度が求められる。強度を高める手法として、浸炭処理法が広く採用されている。浸炭処理法は、鋼の表層の炭素量を増加させて、機械的性質を改善させる表面処理である。従来は、ガス浸炭法が主流であるが、ガス浸炭法では表面に微少酸化が不可避的に発生する。
対策として、近年、歯車に真空浸炭法を適用する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2006−349055公報(請求項1)
特許文献1の請求項1に「平滑な面部における表面炭素濃度が0.6質量%以上となるように真空浸炭されている歯車であって、前記面部の有効硬化層深さをD(mm)としたとき、前記真空浸炭に先立ち、歯元近傍に位置する応力集中部を含む表面に、D±0.25(mm)の面取り加工が施されていることを特徴とする歯車。」の記載があり、歯車に真空浸炭を施すことが開示されている。
上述したように、歯車は重要な機械要素であるため、抜き取り検査や全数検査で強度の測定を行う必要があり、この測定に渦電流を利用した非破壊検査法が実用化されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2004−108873公報(図2)
特許文献2を次図に基づいて説明する。
図9は従来の技術の基本原理を説明する図であり、(a)に示すように、円柱ワーク101に励磁コイル102と検出コイル103を巻回する。そして、励磁コイル102に交流電源104から交流電圧(励磁電圧)を印加する。すると、円柱ワーク101の表層に渦電流が発生する。この渦電流により検出コイル103に交流電流が発生する。この発生した交流電流の電圧(検出電圧)を測定装置105で測定する。励磁電圧と検出電圧との相関を(c)で説明する。
図9は従来の技術の基本原理を説明する図であり、(a)に示すように、円柱ワーク101に励磁コイル102と検出コイル103を巻回する。そして、励磁コイル102に交流電源104から交流電圧(励磁電圧)を印加する。すると、円柱ワーク101の表層に渦電流が発生する。この渦電流により検出コイル103に交流電流が発生する。この発生した交流電流の電圧(検出電圧)を測定装置105で測定する。励磁電圧と検出電圧との相関を(c)で説明する。
(c)は横軸が時間軸で縦軸が電圧であるグラフであり、正弦波V1が励磁電圧曲線であるときに、検出電圧は正弦波V2で表される。正弦波V1と正弦波V2の位相差をΦと定義する。
(b)で、cosΦで表されるX値は浸炭深さと良好な相関関係があり、sinΦで表されるY値は表面硬さに良好な相関関係がある。
(b)で、cosΦで表されるX値は浸炭深さと良好な相関関係があり、sinΦで表されるY値は表面硬さに良好な相関関係がある。
浸炭深さや表面硬さが変化すると、Φの大きさやV2の高さが変化する。そこで、cosΦやsinΦを計測で求めることにより、そのときの浸炭深さや表面硬さを特定することができる。非破壊検査であるため、歯車の強度評価に好適である。
そこで、円柱ワーク101を、歯車に置き換えて、真空浸炭された歯車の強度評価を試みた。その具体例を次図で説明する。
図10は従来の歯車の強度評価を説明する図であり、歯車107に励磁コイル102と検出コイル103を巻回する。そして、励磁コイル102に交流電源104から交流電圧(励磁電圧)を印加する。すると、歯車107の歯部108に渦電流が発生する。この渦電流により検出コイル103に交流電流が発生する。この発生した交流電流の電圧(検出電圧)を測定装置105で測定した。
図10は従来の歯車の強度評価を説明する図であり、歯車107に励磁コイル102と検出コイル103を巻回する。そして、励磁コイル102に交流電源104から交流電圧(励磁電圧)を印加する。すると、歯車107の歯部108に渦電流が発生する。この渦電流により検出コイル103に交流電流が発生する。この発生した交流電流の電圧(検出電圧)を測定装置105で測定した。
測定装置105で合格が確認された歯車107について、念のために破壊試験を行った。すなわち、歯車107を切断し研磨して、浸炭深さや硬さを計測した。すると、計測値に、ばらつきが、あることが判明した。すなわち、上述した歯車の強度評価法では信頼性が乏しいことが判明した。
図10で説明した評価法では、歯車の表層部分、すなわち歯部を単位とした浸炭深さが求められる。一方、歯部は歯先や歯底を有する複雑な形状を呈している。そのため、歯先と歯底とは、浸炭深さが異なることが考えられる。そこで、真空浸炭処理された歯先と歯底の浸炭深さを計測した。その結果を次図で説明する。
図11は歯車の浸炭深さを説明する図であり、歯車を切断し、切断面を観察したところ、表層に浸炭層110が確認できた。
そこで、歯先111の浸炭深さD1と歯底112の浸炭深さD2とに着目すると、歯先と歯底の浸炭深さが同等(D1=D2)、又は歯底の浸炭深さの方が小さかった(D1>D2)。すなわち、歯先の浸炭深さが歯底の浸炭深さより小さくなることはなかった。このことから、本発明者らは、歯部全体を測定対象にするのではなく、歯底を測定対象とする方が、評価の信頼性を高めることができると知見した。
本発明は、歯車の強度を能率良く検査することができる技術を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、歯車を励磁する励磁コイルと、歯車に噛み合う疑似歯車と、この疑似歯車に埋設され渦電流で発生する磁界の変化を検出する検出コイルと、これらの検出コイルで検出した情報を外部へ取り出すスリップリング機構と、からなることを特徴とする。
請求項2に係る発明では、検出コイルは、疑似歯車の歯先に埋設されていることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、歯車の歯底の強度を評価する合否判定部を備えていることを特徴とする。
請求項4に係る発明では、歯車は、真空浸炭処理が施されていることを特徴とする。
請求項5に係る発明では、疑似歯車は、全ての歯先に各々検出コイルが埋設されていることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、計測データの何番目が不合格であるかを確認できる合否判定部を備えていることを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項1記載の歯車強度評価装置で歯車の強度を評価する歯車強度評価法であって、1個の歯車から複数箇所の情報を取得し、これらの複数箇所測定したうち1箇所以上で合格基準範囲を外れた場合に不合格とすることを特徴とする。
請求項1に係る発明は、歯車に噛み合う疑似歯車に検出コイルを埋設し、これらの検出コイルで検出した情報をスリップリング機構で外部へ取り出す。疑似歯車が測定対象の歯車と回転しながら連続的に測定するので、測定を能率良く行うことができる。
請求項2に係る発明では、検出コイルは、疑似歯車の歯先に埋設されている。疑似歯車の歯先は細いので、溝などの狭い場所に入り込んで検出することができる。
請求項3に係る発明は、歯車の歯底の強度を評価する合否判定部を備えている。歯車の歯底の強度評価は難しいとされているが、本発明によれば、歯底の強度を評価することができる。
請求項4に係る発明では、歯車は、真空浸炭処理が施されている。真空浸炭処理は、ガス浸炭処理に比較してばらつきが発生しやすいと言われている。本発明によれば、真空浸炭処理によるワークの表面硬化層深さを的確に測定することができる。
請求項5に係る発明では、疑似歯車は、全ての歯先に各々検出コイルが埋設されている。疑似歯車が測定対象の歯車と回転しながら連続的に歯底を測定するので、測定を能率良く行うことができる。
加えて、歯底の全数検査を行うので、強度評価の信頼性を高めることができる。
加えて、歯底の全数検査を行うので、強度評価の信頼性を高めることができる。
請求項6に係る発明では、計測データの何番目が不合格であるかを確認できる合否判定部を備えている。何番目が不合格か確認できるので、不具合部分を特定することができる。
請求項7に係る発明では、1個の歯車から複数箇所の情報を取得し、これらの複数箇所測定したうち1箇所以上で合格基準範囲を外れた場合に不合格とする。複数箇所測定するので、評価の制度を向上させることができる。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明の歯車強度評価装置の原理図であり、歯車強度評価装置10は、基台11と、この基台11の上面中央に設けられ図左右に延びているレール12と、このレール12に左右移動自在に載せられているスライダ13と、このスライダ13に軸受14を介して縦向きに且つ回転自在に支持され歯車15を支える歯車支軸16と、スライダ13に内蔵され歯車支軸16を一定ピッチで回転させるインデックスモータ17と、基台11に載置されスライダ13をレール12に沿って往復移動させるシリンダユニット18と、このシリンダユニット18及びインデックスモータ17を制御する制御部19と、基台11の一端(図左側)に設けられている固定台21と、この固定台21に軸受22を介して縦向き且つ回転自在に支持されている疑似歯車支軸23と、この疑似歯車支軸23に支えられ歯車15に噛み合う疑似歯車24と、この疑似歯車24の歯先25、25の各々に埋設した検出コイル26、26と、固定台21に内蔵され検出コイル26で検出した情報を外部へ取り出すスリップリング機構27と、固定台21に設けられている鉄芯31と、この鉄芯31の先端に巻かれた励磁コイル32、32と、これらの励磁コイル32、32に交流電源を印加する交流電源33と、スリップリング機構27を介し検出コイル26から検出情報を取得して浸炭深さに換算する浸炭深さ換算装置34と、得られた浸炭深さを合格基準範囲と比較して合否を判定する合否判定部35と、得られた合否判定に基づいて、合格、不合格を表示する合否表示部36と、からなる。
図1は本発明の歯車強度評価装置の原理図であり、歯車強度評価装置10は、基台11と、この基台11の上面中央に設けられ図左右に延びているレール12と、このレール12に左右移動自在に載せられているスライダ13と、このスライダ13に軸受14を介して縦向きに且つ回転自在に支持され歯車15を支える歯車支軸16と、スライダ13に内蔵され歯車支軸16を一定ピッチで回転させるインデックスモータ17と、基台11に載置されスライダ13をレール12に沿って往復移動させるシリンダユニット18と、このシリンダユニット18及びインデックスモータ17を制御する制御部19と、基台11の一端(図左側)に設けられている固定台21と、この固定台21に軸受22を介して縦向き且つ回転自在に支持されている疑似歯車支軸23と、この疑似歯車支軸23に支えられ歯車15に噛み合う疑似歯車24と、この疑似歯車24の歯先25、25の各々に埋設した検出コイル26、26と、固定台21に内蔵され検出コイル26で検出した情報を外部へ取り出すスリップリング機構27と、固定台21に設けられている鉄芯31と、この鉄芯31の先端に巻かれた励磁コイル32、32と、これらの励磁コイル32、32に交流電源を印加する交流電源33と、スリップリング機構27を介し検出コイル26から検出情報を取得して浸炭深さに換算する浸炭深さ換算装置34と、得られた浸炭深さを合格基準範囲と比較して合否を判定する合否判定部35と、得られた合否判定に基づいて、合格、不合格を表示する合否表示部36と、からなる。
スリップリング機構27は、固定台21に固定される固定ケース41と、この固定ケース41に軸受42を介して回転自在に支持され疑似歯車24と共に回転する回転軸43と、この回転軸43に絶縁体44を介して固定されている集電環45と、固定ケース41に設けられ集電環45にすり接触しながら検出コイル26から取得した検出情報を外部へ取り出すブラシ46と、からなる。
なお、合否判定部35は、計測データの何番目が不合格であるかを確認することでき、合否表示部36によるモニター表示の他、印刷、音声案内及び複数個設置され不合格番目を表すLEDの点灯など、1個の歯車の複数箇所を強度を評価したうち何番目が不合格かを認識できれば、他の合否確認手段であってもよい。
図2は図1の2−2線断面図であり、歯車支軸16に支えられている歯車15と、疑似歯車支軸23に支えられている疑似歯車24は噛み合っている。歯車15が矢印(1)のように駆動すると、疑似歯車24が矢印(2)のように従動して回転する。この結果、歯先25の各々に埋設した検出コイル26で連続的に自動検出できる。
図3は図1の3線断面図であり、検出コイル26は、絶縁性に富む三角形断面のナイロンなどの樹脂体47を介して疑似歯車24の歯先25(図1参照)に埋設されている。樹脂体47と擬似歯車24には、導線48を通す連通穴49が開けられている。樹脂体47が三角形断面であるため、検出コイル26を歯車15の歯底51に接近させることができる。
また、歯車15と疑似歯車24の軸間距離は一定であるため、歯底51から検出コイル26の距離を一定化することができる。この結果、測定の信頼性を高めることができる。
また、歯車15と疑似歯車24の軸間距離は一定であるため、歯底51から検出コイル26の距離を一定化することができる。この結果、測定の信頼性を高めることができる。
ところで、図1で説明した浸炭深さ換算装置34には、測定で得られたX電圧を浸炭深さに換算する換算表を記憶させる必要がある。そこで、図1の歯車強度評価装置10を用いて、周波数を1kHzに設定し、真空浸炭済みの歯車の「X電圧」を測定した。この測定は非破壊検査に相当する。
次に、この歯車を切断し、切断面を磨いてから、「硬さ」を測定し、「浸炭深さ」を定めることにした。この測定は破壊検査に相当する。
次に、この歯車を切断し、切断面を磨いてから、「硬さ」を測定し、「浸炭深さ」を定めることにした。この測定は破壊検査に相当する。
図4は測定で得られた硬さを表したグラフである。
先ず、歯車強度評価装置10を用いて、周波数を1kHzに設定し、真空浸炭済みの歯車の「X電圧」を測定したところ、X電圧は−67mVであった。次に、切断し、切断面を磨き、この切断面を測定対象として、表面から0.1mm毎に、1.0mmまで、マイクロビッカース硬さ計で、ビッカース硬さ(Hv)を測った。
先ず、歯車強度評価装置10を用いて、周波数を1kHzに設定し、真空浸炭済みの歯車の「X電圧」を測定したところ、X電圧は−67mVであった。次に、切断し、切断面を磨き、この切断面を測定対象として、表面から0.1mm毎に、1.0mmまで、マイクロビッカース硬さ計で、ビッカース硬さ(Hv)を測った。
図4は測定で得られた硬さを表したグラフであり、(a)は、横軸が表面からの深さで、縦軸がビッカース硬さであるグラフに、生のデータをプロットしたものである。
ところで、この種の歯車では、「表面から○○mmの深さで、ロックウエルCスケール硬さが50以上であること」と言った要求仕様が出されることが多い。ロックウエルCスケール硬さ50は、換算表によれば、ビッカース硬さ(Hv)513に相当する。
そこで、(a)にプロットした複数の点を滑らかな曲線で繋ぐ。
そこで、(a)にプロットした複数の点を滑らかな曲線で繋ぐ。
結果、(b)示すグラフが得られる。そこで、縦軸の513から横線を引き、曲線に交わったところから、縦線を降ろし、この縦線が横軸と交わったところの距離を読む。表面からの距離は0.64mmであった。
図5はX電圧と浸炭深さの相関図であり、横軸が浸炭深さ(表面からの距離に相当。)で、縦軸がX電圧であるグラフに、1個のデータ(0.64mm、−67mV)を●でプロットした。
浸炭条件を変えて得られたサンプルを21個作製し、これらのサンプルについても図4(a)、(b)での手順を踏んで、浸炭深さとX電圧を定めた。21個のサンプルについては○で、グラフにプロットした。
浸炭条件を変えて得られたサンプルを21個作製し、これらのサンプルについても図4(a)、(b)での手順を踏んで、浸炭深さとX電圧を定めた。21個のサンプルについては○で、グラフにプロットした。
1個の●と21個の○は右下りの直線に沿って分散している。縦軸のX電圧が測定で得られれば、この相関図により、得られたX電圧に対応する浸炭深さを求めることができる。
また、詳細な計算法は省略するが、この分散における相関係数(r2)は0.92であった。
また、詳細な計算法は省略するが、この分散における相関係数(r2)は0.92であった。
以上の説明から明らかなように、本発明は次の点にも特徴がある。すなわち、図4(a)、(b)で説明したように、得られた硬さと深さは、測定で得られた硬さを、歯車の表面から中心に向かってプロットした点を結んでなる曲線から得る。点を結んで曲線を得るようにしたので、測定点の数を少なく設定することができ、測定時間が短縮でき、測定コストの低減を図ることができる。
又、図4で求めた硬さという定量的データに基づいて、浸炭深さが決められる。すなわち、図4で説明したように、破壊検査による硬さデータと、非破壊検査によるX電圧との突き合わせが行われる。この後は、非破壊検査によりX電圧を求め、図5に基づいて、浸炭深さに換算する。非破壊検査であるにも拘わらず、破壊検査での裏付けがなされているので、非破壊検査で求めた浸炭深さの信頼性が飛躍的に高まる。
次に、好適な周波数を特定することを目的に、700Hzから4kHzまで周波数を変えて、各周波数当たり22個のサンプルを準備し、図5と同様の相関図を作成し、相関係数を求めた。その結果を次図に示す。
図6は周波数と相関係数の関係を示すグラフであり、1kHzが最大で、2kHz以上では相関係数が小さくなった。一方、700〜1kHzでは、変化は小さい。
真空浸炭された歯車の歯底の浸炭深さを調べるには、周波数は700〜1kHzの範囲に設定することが望ましいことが分かった。
図6は周波数と相関係数の関係を示すグラフであり、1kHzが最大で、2kHz以上では相関係数が小さくなった。一方、700〜1kHzでは、変化は小さい。
真空浸炭された歯車の歯底の浸炭深さを調べるには、周波数は700〜1kHzの範囲に設定することが望ましいことが分かった。
以上の構成からなる歯車強度評価装置10の作用を次に説明する。
図7は歯車強度評価装置の作用説明図であり、(a)に示すように、歯車15を静止状態にある疑似歯車24へ、矢印(3)のように前進させ、検査位置に歯車15をセットする。(b)に示すように、検出コイル26に任意の歯底51を臨ませ、歯底51の浸炭深さを検出する。この検出した情報を図1に示したスリップリング機構27で取り出し、浸炭深さの合否を判定させる。
次に、(c)に示すように、歯車15を1ピッチ(歯一枚分)だけ回す(矢印(4))。すると、隣の歯底51が検査コイル26に臨む。以降、(b)に戻って作業を継続する。
例えば、歯車15の歯数が40であり、疑似歯車24の歯数が20であれば、疑似歯車24を2回転させることで、歯底51の全数検査が終了する。なお、歯車15、疑似歯車24の歯数は、それぞれ40、20に限定されず、疑似歯車24が歯車15に噛み合えば、他の歯数でもかまわない。
この継続する作業をフローで再度説明する。
図7は歯車強度評価装置の作用説明図であり、(a)に示すように、歯車15を静止状態にある疑似歯車24へ、矢印(3)のように前進させ、検査位置に歯車15をセットする。(b)に示すように、検出コイル26に任意の歯底51を臨ませ、歯底51の浸炭深さを検出する。この検出した情報を図1に示したスリップリング機構27で取り出し、浸炭深さの合否を判定させる。
次に、(c)に示すように、歯車15を1ピッチ(歯一枚分)だけ回す(矢印(4))。すると、隣の歯底51が検査コイル26に臨む。以降、(b)に戻って作業を継続する。
例えば、歯車15の歯数が40であり、疑似歯車24の歯数が20であれば、疑似歯車24を2回転させることで、歯底51の全数検査が終了する。なお、歯車15、疑似歯車24の歯数は、それぞれ40、20に限定されず、疑似歯車24が歯車15に噛み合えば、他の歯数でもかまわない。
この継続する作業をフローで再度説明する。
図8は本発明の歯車強度評価法に好適な作業フロー図であり、ステップ番号(以下STと略記する。)01で、合格基準深さ範囲Dsを定める。例えば、合格基準深さ範囲Dsは0.5mm〜0.8mmとする。この0.5mm〜0.8mmを図1の合否判定部35へインプットする。
ST02で、測定対象とする歯車の歯数Nを、図1の制御部19へインプットする。測定回数を監視するために、先ず、回数nを1とする(ST03)。
ST02で、測定対象とする歯車の歯数Nを、図1の制御部19へインプットする。測定回数を監視するために、先ず、回数nを1とする(ST03)。
図6(a)の要領で、歯車を前進させる(ST04)。図7(b)の要領で、歯底のX電圧を測定させる(ST05)。図1の浸炭深さ換算装置34により、X電圧を浸炭深さDaに換算させる(ST06)。図1の合否判定部35により、測定で得られた浸炭深さDaが合格基準深さ範囲Dsの範囲に入っているか否かを調べる(ST07)。YESであれば、「合格」の表示をする(ST08)。
ここで、測定回数を調べる(ST09)。初回はnは1である。例えば歯車の歯数Nが40であれば、n<Nであるから、NOを進み、nに1を加える(ST10)。そして、図7(c)の要領で、歯車を歯1個分だけ回転させる(ST11)。そして、ST05から再度、歯底の浸炭深さを測定する。
ST07で、浸炭深さDaが合格基準深さ範囲Ds内でなければ、NOを進み、不合格表示を行う(ST12)。不合格の場合は、この歯車に対する測定をこの時点で終了させることができる。
ST09で、測定回数nが歯数Nに到達すれば、歯底の全数を検査したことになるので、YESを進み、歯車を後退させ(ST13)、測定終了の表示を行い、測定を終了する(ST14)。
尚、本発明の歯車強度評価装置は、図1に示した疑似歯車24やスリップリング機構27以外の形態や構成からなる装置で歯車の強度評価をすることは差し支えない。要は、歯車を回転させながら歯車の強度を非破壊的に計測することができるものであれば、歯車強度評価装置の形態、種類は問わない。
本発明は、真空浸炭処理された歯車の浸炭深さを計測する技術に好適である。
10…歯車強度評価装置、15…歯車、24…擬似歯車、25…歯先、26…検出コイル、27…スリップリング機構、32…励磁コイル、34…浸炭深さ換算装置、35…合否判定部、36…合否表示部、51…歯底、Ds…合格基準深さ、Da…測定で得られた浸炭深さ。
Claims (7)
- 歯車を励磁する励磁コイルと、歯車に噛み合う疑似歯車と、この疑似歯車に埋設され渦電流で発生する磁界の変化を検出する検出コイルと、これらの検出コイルで検出した情報を外部へ取り出すスリップリング機構と、からなることを特徴とする歯車強度評価装置。
- 前記検出コイルは、前記疑似歯車の歯先に埋設されていることを特徴とする請求項1記載の歯車強度評価装置。
- 前記歯車の歯底の強度を評価する合否判定部を備えていることを特徴とする請求項2記載の歯車強度評価装置。
- 前記歯車は、真空浸炭処理が施されていることを特徴とする請求項1記載の歯車強度評価装置。
- 前記疑似歯車は、全ての歯先に各々前記検出コイルが埋設されていることを特徴とする請求項1記載の歯車強度評価装置。
- 計測データの何番目が不合格であるかを確認できる合否判定部を備えていることを特徴とする請求項1記載の歯車強度評価装置。
- 請求項1記載の歯車強度評価装置で歯車の強度を評価する歯車強度評価法であって、1個の歯車から複数箇所の情報を取得し、これらの複数箇所測定したうち1箇所以上で合格基準範囲を外れた場合に不合格とすることを特徴とする歯車強度評価法。
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JP2008084690A JP2009236767A (ja) | 2008-03-27 | 2008-03-27 | 歯車強度評価装置及び歯車強度評価法。 |
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