JP2015504166A - エンジン構成要素の監視 - Google Patents

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Abstract

ギヤ(24)などの回転型エンジン構成要素の局所欠陥を監視する方法は、運転中で、エンジン構成要素(24)が回転しているときに、エンジン構成要素(24)と相互作用するように配置された1つまたは複数の渦電流センサ(14)を使用する。渦電流センサ(14)(1つまたは複数)は、監視ギヤ(26)の1つまたは複数の歯(16)によって担持することができる。装置(28)は、回転型エンジン構成要素(24)との相互作用で発生した、渦電流センサ(1つまたは複数)(14)からの出力信号を測定するように構成される。出力信号は、局所欠陥を示す出力信号の形状の変化を検出するように処理される。

Description

本発明は、エンジン構成要素の監視、特に、ギヤ、さらにロータ、シャフトなど、およびブレードにも及ぶエンジンの回転型構成要素の健全性の監視に関する。
エンジン監視システムの目的は、構成要素の障害および予定外の中断時間を減らすか、またはなくすことで、動作および保守効率を向上させることである。ギヤボックスの健全性を監視することは、多くの用途にとって不可欠である。一例として、風力エネルギ業界において、ギヤボックスの障害率は、他の風力タービン構成要素の一部の障害率よりも低いが、結果として生じる中断時間は長い。沖合の風力タービンにおけるギヤボックスの修理および/または交換は、特に時間がかかることがある。この中断時間のコストに修理および交換部品のコストが加わることで、ギヤボックスの監視を改善するという目的が、風力タービンおよび他の用途にとって重要なものとなる。例えば、ギヤボックスおよびロータの障害は、ヘリコプタを危険にさらすことがあり、近くからの監視を必要とする。ギヤボックス監視の他の用途には、自動車産業、特に、F1レーシングカーがある。
現状のギヤボックスセンサは、例えば、ギヤボックスの潤滑油、異常な振動、または音響放射などに関する測定値を使用して、ギヤボックスの状態を診断する。各タイプの測定に対して、多くの異なるパラメータを対象とみなすことができ、信頼性のあるデータを得るために、多くの異なる技術を使用することができる。例えば、潤滑油は、水分含有量、酸性度、温度、または粘度のレベルを分析することができる。さらに、油内の金属粒子または他の細片の数量、大きさ、または組成も、これらの粒子が、例えば、噛み合ったギヤの表面の点食による構成要素の摩耗を示すことができることから分析されることがある。しかし、そのような原位置外での分析技術は、通常、手遅れであり、ギヤがすでにほぼ障害状態になるまで欠陥または摩耗を検出しない。したがって、予防保守を前もってスケジュールに入れることができない。
実際上、ギヤの健全性を監視するのに有効であるためには、技術は、規模、コスト、精度、および信頼性の点で適切でなければならない。さらに、望ましくは、測定されるパラメータは、交換部品の注文、ならびに中断時間および保守のスケジュール作成に配慮して、ギヤ障害に関する警告を十分早期に発しなければならない。ギヤ、特に、ギヤの歯の健全性の運転中の監視は、歯の動作環境と歯が噛み合うという特質とのために困難である。光学センサには、および静電センサさえも、それらの信頼性を損なわせる油汚染という欠点がある。光学プローブは、特に、汚染に対して脆弱であり、光送信機または受信機のいずれかが覆い隠された場合に機能しなくなる。レーダまたはソーナなどの信号の反射を利用する他のセンサも同様の問題を有し、さらに、クラックおよび点食などの小さい表面欠陥を検出するのに十分に高い解像度を提供することができない。振動または音響放射センサは、背景のエンジン振動によって検出性が鈍る。さらに、ギヤボックス監視のための振動および音響放射法は、大部分が時間および費用のかかる手操作である統計的データ解析(時間および周波数領域の信号処理)に大きく依存する。
ギヤボックスの健全性を監視するすべての現状技術は、障害が目前に迫った時点でしか損傷を検出することができないという欠点を有する。健全性監視システムの配備が中断時間を短縮するためである場合、効果的な保守管理体制を確立するには、健全性監視システムの高度な確実性が必要である。
ギヤボックスの監視には、特に、障害が起こる前に、歯の損傷、ならびに高速および低速シャフトの欠陥を連続的に検出する技術が欠けている。ギヤボックスの監視のために通常選択される振動測定およびスペクトル解析は、表面、または表面近くの欠陥の出現を検出することができない。振動信号は、ギヤボックスケーシングの運動またはベアリング内でのシャフトの移動のいずれかを測定したものである。使用されるセンサは、通常、ケーシング上の加速度計およびギヤボックス内の近接プローブである。ケーシングの振動は、ギヤボックスの状態に関する大量の情報を含み、ある期間にわたって信号を比較することで、いくつかの欠陥、例えば、位置ずれを検出することができる。しかし、多くの欠陥は、最初に高い周波数にあり、背景雑音に隠れることが多く、相対移動測定は、背景雑音に対して高感度なものではない。これは、ギヤ歯のマイクロおよびマクロ点食などの摩耗欠陥を検出するのを非常に困難にする。
本発明は、ギヤボックスなどのエンジン構成要素の健全性を監視する新規の改良された方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様によれば、移動部材によって担持された1つまたは複数の誘導型センサを含み、移動部材は、回転型構成要素との間の相対運動中に、センサ(1つまたは複数)に回転型エンジン構成要素の表面の一部上を通過させるように構成される、回転型エンジン構成要素の表面または表面近くの欠陥を監視する装置が提供される。好ましくは、誘導型センサ(1つまたは複数)は、400kHz〜10MHzの範囲、さらに好ましくは1〜2MHzの範囲の周波数でAC駆動される渦電流センサ(1つまたは複数)である。
センサを移動部材と組み合わせることで、エンジン構成要素の表面にわたってセンサを走査することが可能になるので、センサは、クラックが生じ、壊滅的な破損を引き起こす恐れがあるレベルに達する前に、表面(または表面近く)の局所的な変化を検出することができる。AC駆動式の渦電流センサ(1つまたは複数)を高周波で使用すると、磁界は、回転型構成要素の表面または表面近く、例えば、最大で25μmの深さの探測に限定される。これは、歯面の摩損などの摩耗を検出できることを意味する。センサ(1つまたは複数)は、構成要素の表面状態の直接的な特性測定を可能にし、単独で、または他の検出技術と組み合わせて使用されて、エンジン監視、例えば、風力タービンまたはヘリコプタなどの用途におけるギヤボックスおよび/またはロータシャフトの監視を改善することができる。監視は、エンジン運転中で、構成要素が回転している間に行われるので、動的な健全性をチェックする。
センサ(1つまたは複数)の誘導性により、回転型エンジン構成要素との物理的な接触は全く必要なく、負荷が追加されるのを回避することができ、一方、油に付いた汚染物および/または埃も問題にならない。誘導型センサは、特に、渦電流センサが比較的高周波でAC駆動される場合に、クラックまたは点食などの表面または表面近くの欠陥の形成を示すことができる、エンジン構成要素に入る、またはエンジン構成要素によって生じた磁界の変化を検出する。導電性部分を含む任意のエンジン構成要素は、誘導型センサによって監視することができる。対象の金属製構成要素には、エンジンシャフトおよびギヤが含まれ得る。
誘導型センサ(1つまたは複数)は、固体センサまたはコイルなどの任意で適切な種類の磁界センサを使用することができる。誘導型センサ(1つまたは複数)は、強磁性体、例えば、鉄を含有するエンジン構成要素の表面変化を検出する1つまたは複数の固体素子、例えば、ホール効果センサを含むことができる。インダクタンス型の近接センサを使用
して、表面欠陥を検出することができるが、腐食または浸食(例えば、マクロまたはマイクロ点食)による早期の金属消失などの小規模欠陥を正確に検出できることが本発明の目的である。これは、より高い周波数において高感度の誘導型センサを必要とする。非鉄系構成要素を監視できることも望ましい。誘導型センサ(1つまたは複数)は、1つまたは複数の渦電流センサを含むのが好ましい。誘導された渦電流によって発生した2次磁界を検出することで、そのようなセンサが、エンジン構成要素の導電性材料の表面および表面の下の欠陥を正確に検出できることは有益である。任意の金属製エンジン構成要素、または導電性コーティング付きの非金属製、例えば、プラスチック製構成要素でさえ、渦電流センサを使用して表面欠陥を監視され得る。
好ましくは、渦電流センサは、AC駆動式(能動タイプ)センサであり、そのため、AC駆動信号の周波数を調整することができる。渦電流センサは、監視される回転型構成要素への侵入深さを減じ、したがって、マクロおよびマイクロ点食ならびに表面クラックなどの表面欠陥の正確な検出を可能にするように、高周波AC励磁によって駆動されるのが最も好ましい。渦電流センサは、400kHz〜10MHzの範囲、好ましくは、少なくとも1MHzから最大で10MHzまで、および典型的には1〜2MHzの範囲の周波数で駆動することができる。
かじり、摩損、マイクロ点食およびマクロ点食、ブリネリング、ならびに剥離などの表面損傷が効果的に検出できるのは、比較的高周波で、例えば、少なくとも500kHz、好ましくは少なくとも1MHzでAC駆動式渦電流センサを使用することの利点である。そのような表面欠陥は摩耗によって生じる。摩耗は、機械式伝動システムに任意の速度で影響を及ぼすことができる不良モードである。摩耗は、隣接する構成要素の滑りと、構成要素間の接触領域の高い応力とによって、例えば、ギヤ歯の表面から材料が除去されることで引き起こされる。不十分な潤滑により、摩耗の累積が加速されることがある。ギヤボックスでは、歯の領域が最も大きな応力および研磨作用を受けるので、摩耗は通常、歯で起こる。谷底のクラックは、航空宇宙用ギヤでは深刻な問題であり得る。
誘導型センサは、センサと監視される表面との間の距離に振幅が比例する出力信号(例えば、電圧)を供給する。表面が擦り減った場合に、少なくとも、表面の変化に感応するほど十分に高い周波数でセンサを駆動すると、局所的な分離距離の変化は、信号の振幅の変化として検出することができる。例えば、作動面の摩耗量を求めるための、誘導型センサとギヤホイールに付加された歯との間のクリアランスの変化の測定が、特許第SU−805097号明細書に開示されている。しかし、信号の振幅の変化は、センサを担持する移動部材と回転型エンジン構成要素との間の分離距離の全体的な変化によっても生じることがある。例えば、回転型エンジン構成要素が、例えば、ベアリング不良により位置ずれを起こした場合に、これは振幅の変化として検出され得る。したがって、本発明の実施形態は、表面または表面の近くの欠陥を監視するだけでなく、全体的な位置ずれを監視するのに使用することができる。
本出願人は、本発明の特に重要な用途は、局所的な摩耗がより広域の表面摩耗に変わる前に、回転型エンジン構成要素の局所的な欠陥を検出できることであると認識した。表面摩耗をエンジン構成要素の位置ずれと区別できることも重要である。例えば、位置ずれを監視するために、静電誘導型センサをギヤボックス内のギヤの周囲に配置することができる。1つまたは複数の誘導型センサを担持するのに移動部材を使用する特定の利点は、回転型エンジン構成要素の表面上を通過するようにセンサ(1つまたは複数)を配置することができ、したがって、センサが、構成要素の任意の局所的な欠陥と相互作用するように配置されることである。表面の位置の全体的な変化ではなくて、クラック、ブリネリング、剥離、マイクロ点食、およびマクロ点食などの、すなわち、表面から材料が除去された局所欠陥を検出するために、装置は、1つまたは複数の渦電流センサと、誘導信号の形状
の変化を検出するためのプロセッサとを使用するのが好ましい。上記の振幅の変化だけでなく、または振幅の変化に代えて、信号形状の変化を検出することができる。
これは、それ自体で新規であり、発明的であると考えられ、したがって、本発明の第2の態様によれば、運転中で、エンジン構成要素が回転しているときに、1つまたは複数の渦電流センサをエンジン構成要素と相互作用するように配置することと、回転型エンジン構成要素との相互作用で発生した、渦電流センサ(1つまたは複数)からの出力信号を測定することと、局所的な欠陥を示す出力信号の形状の変化を検出することと、を含む、運転中に、回転型エンジン構成要素の局所欠陥を監視する方法が提供される。
当然のことながら、出力信号の形状の変化は、信号振幅のあらゆる全体的な変化と無関係であり、標準的な信号処理技術を使用して、2つの結果を区別することができる。例えば、MathWorks製のMATLABは、初期の基準信号セットと比較した形状の変化を検出できる信号解析用のツールを含む。渦電流センサが、欠陥のない構成要素と相互作用する場合、材料内に誘導された渦電流は、センサ内のコイルによって発生した磁界の円対称性のために円形である。渦電流によって発生した磁界の接線成分は、センサの位置でゼロである。他方で、局所欠陥の存在下では、渦電流はもはや対称ではなく、センサは、欠陥によって発生した、乱れた渦電流のために形状が変化した出力信号を供給する。図1は、クラックなどの局所欠陥が、渦電流センサからの出力信号の形状の変化をどのようにしてもたらすかのいくつかの例を示している。
渦電流センサはまた、汚染され、油の詰まった環境に対するその耐性により、回転型エンジン構成要素の局所欠陥を監視するのに理想的である。そのような監視は、油からの汚染物のために、例えば、光学または静電容量センサでは不可能である。さらに、渦電流センサは、それらの解像度を高くするように小形にされる、つまり、渦電流センサは、エンジン構成要素を運転中に監視するために、作動エンジンに容易に取り付けることができる。そのような監視は、振動測定または油汚染監視などの既存の技術に加えて行うことができる。有利にも、局所欠陥の監視結果は、従来の技術と組み合わせて、エンジン状態の全体的な診断を向上させ、保守の中断時間のスケジュール作成を可能にする。
出力信号の形状の変化を検出することで、微細孔、クラック、食孔、擦り傷、摩耗領域などの局所欠陥を検出することが可能である。したがって、構成要素が破損する前に、欠陥を早期に特定でき、保守のスケジュールを決めることができる。回転型エンジン構成要素の運転中に、渦電流センサを使用してそのような試験を実施することは、これまで全く提案されていない。運転中に監視するために渦電流センサを使用することのさらなる利点は、出力信号を使用して、エンジンの健全性に関連する複数の様々なパラメータを検出できることである。局所欠陥を監視するだけでなく、方法は、出力信号の振幅の変化を検出することをさらに含むのが好ましい。振幅の変化を使用して、2次磁界に対する局所的な外乱ではなくて、表面形状の変化および/またはエンジン構成要素の位置の変化を示すことができる。そのような変化は、例えば、平行位置ずれ(半径方向または軸方向)および角度位置ずれ(ヨーまたはピッチ)を含む位置ずれ、あるいはベアリング不良、望ましくない振動、予期しない負荷もしくは過負荷、シャフトの不平衡、温度効果、および/または製造欠陥(例えば、同心度および半径方向の振れ)から生じることがある。実際上、出力信号の全体の形状および振幅は、欠陥のタイプおよびエンジン不良によって生じた摩耗の位置の両方を診断するのにきわめて有用であり得る。さらに、方法を使用して、それら自体の局所欠陥を検出するだけでなく、欠陥を進展させることがある位置ずれなどの要因を監視することもできる。
エンジン構成要素の有効寿命全体にわたってエンジン構成要素を監視でき、渦電流センサ(1つまたは複数)からの出力信号の形状変化、および、好ましくはさらに振幅変化に
より、欠陥が障害を引き起こす前に欠陥を検出し、位置を特定することが可能になるのは本発明の利点である。方法は、回転型エンジン構成要素が最初に設置されたときに、渦電流センサ(1つまたは複数)からの基準出力信号を測定することと、その基準出力信号と比較することで、出力信号の形状変化を検出することとをさらに含むのが好ましい。さらに好ましくは、出力信号の振幅の変化が、基準出力信号と比較することで検出される。任意の振幅変化(例えば、ベアリングの摩耗などによって、エンジン構成要素を担持するシャフトが半径方向に移動することによる)を検出する利点は、この振幅変化を使用して、基準出力信号を正規化することができ、それにより、形状の任意の変化をより容易に検出することができることである。出力信号を基準信号と長期にわたって比較することで、エンジンの健全性を予測することが可能になるので、保守を事前に計画することができる。
渦電流センサは、DCからメガヘルツ範囲まで広範な周波数応答を有することができる。一連の実施形態によれば、方法は、DC周波数で渦電流センサ(1つまたは複数)を駆動することを含むことができる。ギヤボックスなどの機械伝動システムは、過剰な負荷によって引き起こされる疲労により破損することがあり、疲労は、表面よりも遙かに深く侵入する欠陥を生じさせる。疲労は、構成要素の材料の弾性限界内である負荷の繰り返しサイクルによって引き起こされ、最も大きい歪みを受けた局所領域の損傷が進行する。疲労破壊は3つの段階、すなわち、クラックの発生、進展、次いで完全な破断で起こる。そのような疲労クラックは、回転型構成要素の急激な破損をもたらすことがある。ギヤホイールの歯の谷底または歯面の局所クラックは、発生するとすぐに、渦電流センサで容易に検出され、したがって、ギヤボックスの保守は、深刻な障害が発生可能になる前にスケジュールに入れることができる。クラックなどのより深い欠陥を監視する場合に、DC駆動の渦電流センサを使用することができる。深いクラックを検出するために、直径がより大きいコイルを有するセンサを使用して、監視される構成要素内の渦電流の侵入を深くするのが好ましい。
別の一連の実施形態によれば、方法は、(i)少なくとも1kHz、(ii)少なくとも100kHz、(iii)少なくとも500kHz、(iv)少なくとも1MHz、(v)少なくとも2MHz、および(vi)最大で10MHzまで、のうちの1つ以上から選択されたAC周波数で、渦電流センサ(1つまたは複数)を駆動することを含むことができる。センサによって誘導された渦電流の侵入深さは、δ=1/√(σμμf)に従って周波数に相関し、前式でδ=侵入深さ、σ=監視されるエンジン構成要素の材料の導電率、μ=絶対透磁率、μ=比透磁率、f=周波数である。周波数を変えることで、対象となる構成要素の様々な深さを探測することが可能である。本出願人は、渦電流センサ(1つまたは複数)を駆動するのに使用される周波数は、例えば、深い欠陥に対しては低周波、表面欠陥に対しては高周波など、様々な種類の局所欠陥を対象とするように選択または調整することができると分かった。したがって、方法は、例えば、様々な局所欠陥を監視するために、および/または欠陥の深さを調査するために、渦電流センサ(1つまたは複数)が駆動される周波数を調整することをさらに含むのが好ましい。
非強磁性材料は、比透磁率および絶対透磁率の値が1である。したがって、侵入深さは、周波数を変えることでかなりの程度まで調整することができる。他方で、強磁性材料は、比透磁率および絶対透磁率の値が1よりも遙かに大きい。それでも、侵入深さを変えるのに駆動周波数を調整することができるが、方法は、エンジン構成要素に一般的に使用される炭素鋼材料の表面または表面近くの欠陥に対して最も感度が高い、すなわち、「表皮効果」を有する。上記のように、かじり、摩損、マイクロ点食およびマクロ点食、ブリネリング、ならびに剥離などの表面損傷が効果的に検出できることは、比較的高周波で、好ましくは、少なくとも500kHz、さらに好ましくは、少なくとも1Mzで駆動されるコイルを含むAC駆動式渦電流センサを使用することの利点である。より高い周波数、例えば、少なくとも1MHzで渦電流センサ(1つまたは複数)を駆動することのさらなる
利点は、出力信号の振幅の変化が、エンジン内の全体的な位置ずれではなくて、摩耗による構成要素の表面の局所変化によって起こり得ることである。回転型エンジン構成要素は、測定される多数の近接した表面、例えば、ギヤホイールの歯面などを有し、この場合に、高い駆動周波数はまた、2次磁界が、一方の面から他方に相互作用するほど十分に深く侵入しないのを保証することができる。
本発明の別の態様によれば、運転中で、エンジン構成要素が回転しているときに、エンジン構成要素と相互作用するように配置された1つまたは複数の渦電流センサと、回転型エンジン構成要素との相互作用で発生した、渦電流センサ(1つまたは複数)からの出力信号を測定するように構成された装置と、局所欠陥を示す出力信号の形状の変化を検出するように構成されたプロセッサとを含む、運転中に回転型エンジン構成要素の局所欠陥を監視する装置が提供される。
すでに上記に説明した理由から、プロセッサは、出力信号の振幅の変化を検出するように構成されるのが好ましい。したがって、出力信号の形状および振幅の両方の変化を検出することができる。好ましくは、装置は、回転型エンジン構成要素が最初に設置されたときに、渦電流センサ(1つまたは複数)からの基準出力信号を測定するように構成され、プロセッサは、その基準出力信号と比較することで、出力信号の形状(および必要に応じて振幅)の変化を検出するように構成される。
一連の実施形態では、装置は、DC周波数で渦電流センサ(1つまたは複数)を駆動するように構成されたドライバを含むのが好ましい。別の一連の実施形態では、装置は、(i)少なくとも1kHz、(ii)少なくとも100kHz、(iii)少なくとも500kHz、(iv)少なくとも1MHz、(v)少なくとも2MHz、および(vi)最大で10MHzまで、のうちの1つ以上から選択されたAC周波数で、渦電流センサ(1つまたは複数)を駆動するように構成されたドライバを含むのが好ましい。ドライバは、例えば、様々な局所欠陥を監視するために、および/または欠陥の深さを調査するために、渦電流センサ(1つまたは複数)が駆動される周波数を調整するように構成することができる。
そのような装置では、渦電流センサ(1つまたは複数)は、運転中で、エンジン構成要素が回転しているときに、エンジン構成要素と相互作用するように、任意の適切な形で配置することができる。場合によっては、センサ(1つまたは複数)は不動とすることもできる。しかし、静止したセンサを使用することの問題は、センサが、回転を妨害することなく、渦電流が誘導される回転型構成要素に十分接近して配置されるのが困難なことである。好ましい一連の実施形態では、1つまたは複数の渦電流センサは、回転型エンジン構成要素との間の相対運動中に、センサ(1つまたは複数)に回転型エンジン構成要素の表面の一部上を通過させるように構成された移動部材によって担持される。上記の本発明の第1の態様に関連して説明したように、これは、運転中で、エンジン構成要素が回転しているときに、センサ(1つまたは複数)が、エンジン構成要素の表面にわたって走査するのを遙かにより現実的なものにすることができる。センサ(1つまたは複数)は、例えば、エンジン構成要素と同じシャフトで、またはエンジンの別の回転シャフトで駆動される別の構成要素によって担持することができる。
様々な形態の渦電流センサが、導電性の、例えば、金属材料または金属をコーティングされた材料でできたエンジン構成要素の原位置外(ex−situ)試験で公知である。一連の実施形態では、渦電流センサは、例えば、主磁界が永久磁石によって発生する受動型とすることができ、導電性構成要素内の渦電流によって発生したそのバリエイション(variation)が、付属コイルによって検出される。別の一連の実施形態では、渦電流センサは、DCまたはAC駆動され、例えば、主磁界が、1つまたは複数の通電コイ
ルによって発生する能動型とすることができ、結果として導電性構成要素に生じた渦電流によって発生した2次磁界が、同じまたは異なるコイル(1つまたは複数)によって検出される。好ましくは、渦電流センサは、構造上もコンパクトであり、かつ重量も軽量であるように、同じコイルが、主磁界を発生させるためにも、かつ2次磁界を検出するためにも使用される能動型とされる。
渦電流センサで良好な解像度を達成するには、磁束領域を狭く画定することが必要である。磁束領域は、コイル径よりも大きく、そのため、解像度を高めるには小形のコイルが必要である。一方、コイルのサイズにより、センサの領域も決まり、典型的な渦電流センサは、コイル径の約半分の領域を有する。センサが、監視される回転型構成要素の表面に接近して移動できる移動部材によって担持され、そのため、センサの領域が大きい必要がなく、クラックおよび点食などの小さい表面(または表面近くの)欠陥を検出するための良好な解像度をもたらすことは、本発明の様々な実施形態の利点である。さらに、センサの有効領域が増えるように、移動部材を使用して、センサに回転型構成要素の表面の少なくとも一部上を横断させることができる。
渦電流センサの解像度を向上させるために、センサは、主磁界を発生させるのにも、かつ監視される回転型構成要素内の主磁界によって生じる渦電流の影響を検出するのにも使用する共通コイルを含むのが好ましく、コイルは断面が細長い。センサコイルが細長い断面、例えば、長方形または楕円形の型枠に巻かれた場合に、センサの領域は、巻数が同じで直径がコイルの長軸寸法に等しい円形コイルを有するセンサの領域と等しいが、その解像度は、センサの細長い寸法と概ね一致する、クラックなどの細長い形体の検出に関して改善される。表面にわたって様々な方向に延びることができるクラックまたは他の欠陥の検出を改善するために、移動部材は、少なくとも1対の細長いセンサが互いに対してほぼ垂直に配置された複数の細長いセンサを担持することができる。
装置、例えば、移動部材は、例えば、監視される回転型構成要素の一部と合致する形状および/または大きさとされた単一のセンサを担持することができる。一方、解像度は、単一のセンサではなくて、複数の小形センサを設けることで向上させることができる。移動部材は、アレイの形で構成した2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または任意の数量のセンサを担持することができる。このアレイは、回転型構成要素のそれぞれの部分にわたって、例えば、その幅にわたって高解像度で走査するように配置することができる。アレイの形のセンサは、様々な方向の欠陥の検出効率を改善するように、1つまたは複数の異なる向きに向けることができる。
センサ(1つまたは複数)は、センサ(1つまたは複数)の感度を最大にするように、移動部材の表面に担持することができる。しかし、好ましい一連の実施形態では、センサ(または複数のセンサアレイ)は、外部環境から保護されるように、移動部材の表面の下に取り付けられる。これは、移動部材が監視される回転型構成要素と物理的に接触する場合に、センサ(1つまたは複数)が摩耗するのを防止することができる。誘導型センサの出力が、監視される回転型構成要素と検出コイルとの間の距離によってある程度決まることを考慮して、各センサまたは少なくともセンサのコイル(1つまたは複数)は、移動部材の内部ではあるが、それでもなお、回転型構成要素の領域に運ばれる表面に接近して設けられるのが好ましい。好ましくは、センサ(1つまたは複数)は移動部材に組み込まれる。渦電流センサなどの誘導型センサによって発生する磁界は、移動部材が主に強磁性材料で構成されていない場合に、移動部材の中に侵入することができる。アルミニウムまたは任意の非鉄合金でできた金属部材を使用することができる。好ましくは、センサ(1つまたは複数)を囲む移動部材または移動部材の少なくとも一部は、信号の減衰を回避するために、非導電性材料で形成される。適切なポリマーを使用することができる。
移動部材の回転型構成要素に対する移動速度は、所望の表面走査速度を達成するように選択することができる。移動部材の速度により、センサ走査速度を制御するのが可能になるのは本発明の特有の利点であり、それに対して、回転型構成要素の表面を監視する静止したセンサは、構成要素の回転速度で表面にわたって走査せざるを得ない。
移動部材は、回転型エンジン構成要素の表面の選択された部分上をセンサに通過させるのに適した任意の方法で移動することができる。いくつかの実施形態では、移動部材は、監視される構成要素の表面に接触しないように配置することができる。これは、監視プロセスが、監視される表面を過度に摩耗させない、または摩耗を大きくしないのを保証するのに寄与することができる。他の実施形態では、部材は、監視される表面と接触するように移動することができ、それにより、センサが直接的に物理接触しない場合に、センサ(1つまたは複数)を監視される構成要素の表面とほぼ接触した状態にする。これは、センサ(1つまたは複数)からの信号(1つまたは複数)に対する感度を改善することができる。
移動部材は、直線的に、またはジグザグにでさえ移動することができる。例えば、センサ部材は、回転ギヤホイールの各歯が通過するときに、ギヤ歯の頂部の幅を横断するように配置されると想定することができる。または、センサ部材は、各歯が通過するときに、歯面を下方に走査し、歯底の表面を監視しようとするように、歯間の歯底の方に移動し、歯底から出るように配置することができる。しかし、そのような直線的な移動は、歯の付いたギヤホイールなどの複雑な形状の回転部材の様々な外面を走査するのにうまく適合することができない。
好ましくは、移動部材は回転部材である。これは、移動部材に担持されたセンサ(1つまたは複数)が、監視される回転型構成要素の表面に対して相補的な軌道を移動できることを意味する。センサが直接的に物理接触しない場合、移動部材が移動しているときに、移動部材は、より容易に、センサ(1つまたは複数)を監視される構成要素の表面とほぼ接触した状態にすることができる。
上記に説明したように、エンジン構成要素は、ロータシャフト、ベアリング、伝動連結器などの、またはタービンブレードの場合さえある任意の回転型構成要素とすることができる。例えば、装置を使用して、例えば、低速エンジンロータにおいて、クラックが進展することがあるブレードの底部のプラットフォームを監視することができる。好ましい一連の実施形態では、回転型エンジン構成要素はギヤであり、移動部材は、そのギヤと噛み合うように成形される。移動部材は、監視ギヤまたは監視ギヤの一部の形態をとることができる。したがって、移動部材は、1つまたは複数の歯を含むことができる。センサ(1つまたは複数)は、例えば、ギヤ歯の頂部の表面を検査するために、歯付き監視ギヤの本体で担持することができるが、監視されるギヤの歯と噛み合う1つまたは複数の歯の中に、または歯の表面にセンサ(1つまたは複数)を配置することで、恩恵を受けることができる。有利にも、これは、監視ギヤと監視されるギヤとの間の非常に密接した接触を可能にして、センサ(1つまたは複数)がギヤ歯の様々な表面に接近できるようにする。好ましくは、1つまたは複数のセンサは、監視ギヤの1つまたは複数の歯によって担持される。監視ギヤは、センサ(1つまたは複数)が、監視されるギヤの各歯から信号を受け取るだけでなく、ギヤが噛み合ったときに、ギヤ歯の表面を横断し、歯の様々な部分を走査するのを可能にするので、本発明は、ギヤ歯の摩耗を監視するのによく適している。監視ギヤの中または表面でセンサ(1つまたは複数)を担持する特有の利点は、ギヤ歯間の密着により、ギヤ歯の内側面およびコーナを、これまで不可能であった方法で、原位置で試験するのが可能になったことである。
監視ギヤの少なくとも1つの歯には、1つまたは複数のセンサを設けることができる。
監視ギヤの1つの歯だけがセンサ(1つまたは複数)を担持するとしても、特定の回数回転した後、監視されるギヤのすべての歯が試験されるのを保証するように、監視ギヤの歯数と監視されるギヤの歯数との間の比率を選択することができる。例えば、監視ギヤが、ギヤ歯数において、検査されるギヤホイールとは異なる整数である場合に、センサ(1つまたは複数)は、すべての歯を連続して漸次走査する。これは、監視ギヤの複数の歯が、同時に信号を収集するのではなくて、ただ1つのセンサの信号(または一連の信号)を伝送しさえすればよいという利点を有する。ギヤ比に応じて、単一の検出歯は、監視されるギヤの各歯を十分な頻度で適切に走査できるので、損傷の最初の兆候が検出されたときに、ベースライン、すなわち、基準信号の経時的な変化を評価および使用して、警告を発することができる。他の実施形態では、監視ギヤの複数の歯はそれぞれ、監視されるギヤの歯の試験の頻度を上げるために、1つまたは複数のセンサを担持することができる。様々な歯によって担持されたセンサ(1つまたは複数)はそれぞれ、様々な位置をとることができるので、監視ギヤの様々な歯は、監視されるギヤおよびその歯の様々な表面部分にわたって走査する。それに加えて、またはそれに代えて、様々な歯によって担持されるセンサ(1つまたは複数)は、様々なタイプの欠陥を監視できるように、1つまたは複数の異なる向きに向けることができる。
上記に説明したように、センサ(1つまたは複数)は、全体的な検出領域を大きくするために、アレイの形で設けることができる。移動部材が監視ギヤの形態をとる実施形態では、歯の頂部、歯末の面、歯元の面、隅肉、および/または歯底を含む、監視されるギヤの歯の様々な面にわたって正確に検出するように、複数のセンサを監視ギヤの歯の中または表面に配置することができる。したがって、監視ギヤの歯は、その磁界が歯の頂部に侵入するセンサ、その磁界が歯末の面および/または歯元の面に侵入するセンサ、ならびにその磁界が歯底に侵入するセンサのうちの1つ以上を担持することができる。1歯当たり複数のセンサがあることで、そのような構成が容易になると考えられる。一方、様々な歯面を監視する多方向磁界を有する単一のセンサを監視ギヤの歯の中または表面に設けることができる。他の実施形態では、様々な歯面が同じセンサで監視されるのをなくすようにするのが好ましく、そのため、歯は、センサの磁界が1つの面に侵入するが、他には侵入しないように配置されたセンサを有することができる。例えば、センサの長さは、その磁界が、歯の両方の面に侵入できないように制限することができる。これは、様々な表面からの信号が、互いに区別され得ることを保証するのに寄与することができる。
同様に、歯が、例えば、同じ表面を監視するための複数のセンサを担持する実施形態では、センサの磁界が重ならないように、センサ間の最小間隔を維持することが望ましい。もちろん、監視ギヤが回転し、その歯と監視されるギヤの歯との間に相対運動があるということは、センサ(1つまたは複数)または任意のセンサアレイが、歯の全面にわたって広がる領域を有する必要がないことを意味するのは当然のことである。監視ギヤの歯は、監視されるギヤの歯と噛み合うので、所与のセンサの領域は、表面の一部分にわたって走査される。これは、有効センサ領域を拡大するので、必要とされるセンサの数量および/または大きさを最小限にすることができる。
その、または各センサの形状および/または大きさは、特に、移動部材が歯付きギヤであり、センサ(1つまたは複数)が1つまたは複数の歯によって担持される場合に、移動部材の形状に合わせるように設計および選択することができる。例えば、細長いセンサは、歯の幅と実質的に合致する細長い寸法を有するように配置することができ、監視ギヤが監視されるギヤと噛み合うときに、センサは、単一のセンサを用いて実際に側面全体を対象範囲とするように、各歯の歯末の面および歯元の面上を移動する。さらに、センサ(1つまたは複数)の形状は、監視される回転型構成要素に合わせることができ、特定の予測される欠陥、または特定の不良モードの検出用に最適化された磁界を形成するように構成することができる。例えば、センサ(1つまたは複数)の少なくとも一部は、検出するの
に高い解像度を必要とする、マイクロ点食などの小規模欠陥を有すると予測される表面部分を走査するために、比較的小形であるように選択することができる。センサ(1つまたは複数)の少なくとも一部の他のものは、例えば、エンジン内の位置ずれ、または機械的な障害による、監視される表面部分の位置のマクロ的な変化を監視するために、比較的大形であるように選択することができる。実際上、移動部材は、いくつかの異なるセンサを使用して、所与のエンジン構成要素を監視するように設計することができ、これらのセンサは、大きさ、形状、および/または異なる向きに取り付けられることを含む取付位置の点で異なる。
移動部材は、エンジン内、例えば、ギヤボックス内の実働ギヤの1つである、駆動ギヤ、従動ギヤ、および/またはアイドルギアなどの伝動ギヤによって形成することができる。したがって、実働ギヤは自己監視することができ、センサ(1つまたは複数)は、回転中でギヤが噛み合ったときに、1つまたは複数の歯面を走査する。そのような実施形態では、監視されるギヤボックス内の既存のギヤの歯または本体の表面または中に1つまたは複数のセンサを取り付けることで本発明を実施することができる。これは、検出装置を収容するために、ギヤボックス内に空間を設ける必要をなくす。しかし、当然のことながら、実働ギヤは、通常、ギヤ列を通じて回転を伝達するときに、大きな負荷に耐えるように設計されており、センサ(1つまたは複数)を取り付ける、または組み込むことで、センサの動作を妨害することがある負荷をセンサ(1つまたは複数)が受けるだけでなく、ギヤ、特に、歯が脆弱になる恐れがある。したがって、移動部材は、非実働ギヤ、すなわち、伝動システムのいずれかの部分を駆動するのではなくて、単に、監視される1つまたは複数のギヤと噛み合って回転するギヤである監視ギヤ(または監視ギヤの少なくとも一部)の形態をとるのが好ましい。センサ(1つまたは複数)を担持する専用の監視ギヤを設けることにより、監視ギヤの歯は、ギヤ歯の表面にわたって密着するが、大きな負荷が監視ギヤに伝達されることなく、監視される伝動ギヤの歯と噛み合う。さらなる利点は、例えば、センサ(1つまたは複数)を修理または交換するために、ギヤボックス内の伝動ギヤに影響を及ぼすことなく、監視ギヤを取り出す、または交換することができることである。
好ましくは、装置は、例えば、部材の移動基準系から装置の外の静止基準系にセンサ信号を伝送する、有線の、または好ましくは無線のデータ伝送遠隔測定システムをさらに含む。移動部材は、例えば、データを伝送する前に、局所信号解析を行う電子信号処理システムを含むことができる。あるいは、遠隔測定システムによって、未加工の信号データを外部プロセッサに伝送することができる。遠隔測定システムは、監視情報を供給するために、制御および/または表示ユニットに接続することができる。オペレータは、監視情報を使用して、監視される構成要素の保守をいつスケジュールに入れるかを決めることができる。制御ユニットは、エンジン動作に関連する1つまたは複数のパラメータを自動で調整するために、監視情報を使用することさえできる。
当然のことながら、本発明の様々な実施形態は、ギヤなどのエンジン構成要素の欠陥を非常に信頼性高く、かつ早期に検出することができる。風力タービンで最も重要な構成要素の1つはギヤボックスである。ギヤボックスの仕事は、主軸と発電機との間に配置されて、ロータブレードの遅い回転速度を発電機の回転速度1000rpmまたは1500rpmまで増速させることである。本発明は、風力タービンのギヤボックスの監視に特定の用途を見出すことができる。本発明の実施形態は、ヘリコプタのエンジン障害に対する早期の警告システムを提供することもできる。ヘリコプタでは、主駆動シャフトは、エンジンとロータギヤボックスとの間に配置されて、エンジン出力を伝達し、一方、ロータシャフトは、ギヤボックスからプロペラに出力を伝達する。駆動シャフト、ギヤボックス、および/またはロータシャフトのいずれかの障害は、出力がもはやプロペラを回転させるために供給されないので、エンジン障害と同じ影響を及ぼす。したがって、障害状態が広が
りそうになる前に、保守を行うことができるように、これらの構成要素の変化を検出できることが不可欠である。
本発明のさらなる態様によれば、1つまたは複数の誘導型センサを担持した、ギヤボックス内の1つまたは複数の監視ギヤを設けることを含む、風力タービンまたはヘリコプタのギヤボックスを監視する方法が提供され、監視ギヤ(1つまたは複数)は、監視される1つまたは複数の伝動ギヤの回転中に、センサ(1つまたは複数)に伝動ギヤの表面上を通過させるように、監視される1つまたは複数の伝動ギヤと係合する。好ましくは、誘導型センサ(1つまたは複数)は渦電流センサであり、さらに好ましくは、すでに上記に説明した特徴のいずれかを有する。特に、渦電流センサ(1つまたは複数)は、400kHz〜10MHzの範囲、好ましくは1〜2MHzの範囲の周波数でAC駆動することができる。そのような方法は、伝動ギヤの表面または表面近くの欠陥を監視するのによく適している。
好ましい実施形態では、方法は、渦電流センサ(1つまたは複数)からの出力信号を測定することと、1つまたは複数の伝動ギヤの局所欠陥を示す出力信号の形状変化を検出することとを含む。方法は、出力信号の振幅の変化を検出することをさらに含むのが好ましい。その結果、出力信号の形状および振幅の両方の変化を検出することができ、そのため、様々な異なる種類の欠陥および欠陥の位置をギヤボックスの伝動ギヤの運転中に監視することができる。
本発明のさらに別の態様によれば、センサ(1つまたは複数)に回転型エンジン構成要素の表面の一部上を通過させるように、部材を回転型構成要素に対して移動させることを含む、1つまたは複数の誘導型センサを担持する移動部材を使用して、回転型エンジン構成要素の表面または表面近くの欠陥を監視する方法が提供される。好ましくは、誘導型センサ(1つまたは複数)は、400kHz〜10MHzの範囲、さらに好ましくは1〜2MHzの範囲の周波数でAC駆動される渦電流センサ(1つまたは複数)である。
したがって、本発明は、ギヤなどのエンジン構成要素が回転している間に、原位置で行われる非破壊検査の方法にまで広がる。回転速度を測定するのに近接センサを使用して構成要素の動作を監視する標準的な方法と比較して、誘導型センサ(1つまたは複数)は、試験中に静止していない。その代わりに、センサ(1つまたは複数)を担持する部材が移動することで、センサ(1つまたは複数)が、監視される構成要素の表面の一部分にわたって走査されるのが確実になる。したがって、クラックまたは点食などの欠陥の進展を示す表面構造の変化を検出することができる。回転型エンジン構成要素には、エンジン内のギヤボックスまたは回転シャフトがあり得る。本発明の実施形態による監視方法または装置の用途には、例えば、風力タービンギヤボックスなどの発電関連、海洋関連、航空宇宙関連、ヘリコプタ、およびF1カーなどの自動車関連があり得る。
上記に説明した装置の特徴はいずれも、そのような方法の好ましい特徴としても規定することができる。さらに、装置の特徴の任意の1つまたは複数は、本発明の態様のいずれかの実施形態による1つまたは複数の他の特徴と組み合わせて使用することができる。
本発明のいくつかの好ましい実施形態が、単なる例として、添付の図面を参照して以下に説明される。
局所欠陥が全くない正方形のトークン(token)の場合の、円筒形センサによって誘導された渦電流とその出力信号とを示している。 渦電流がクラックによって妨害された場合に出力信号がどのように変わるかを示している。 渦電流が2つのクラックによって妨害された場合に出力信号がどのように変わるかを示している。 渦電流が中心から外れたクラックによって妨害された場合に出力信号がどのように変わるかを示している。 風力タービンエンジン伝動システム内の主構成要素の概略的なブロック図である。 一実施形態による監視ギヤの部分斜視図である。 別の実施形態による監視ギヤの部分斜視図である。 さらに別の実施形態による監視ギヤの部分斜視図である。 さらに別の実施形態による監視ギヤの部分斜視図である。 噛み合ったギヤの概略的な断面図である。 データ伝送遠隔測定システムを示す、ギヤボックス内の第1の監視ギヤ装置の概略的な斜視図である。 監視装置のシステム概略図である。 第2の監視ギヤ装置の部分概略図である。 第3の監視ギヤ装置の部分概略図である。 監視ギヤの歯の様々な渦電流センサ構造を示している。 監視ギヤの歯の様々な渦電流センサ構造を示している。 監視ギヤの歯の様々な渦電流センサ構造を示している。 監視されるギヤホイールの種子欠陥を示している。 監視されるギヤホイールの種子欠陥を示している。 監視されるギヤホイールの種子欠陥を示している。 図12a〜12cの渦電流センサの測定された、または予測される出力信号を示している。 図12a〜12cの渦電流センサの測定された、または予測される出力信号を示している。 図12a〜12cの渦電流センサの測定された、または予測される出力信号を示している。 表面摩損があるギヤを監視した場合の、図12aの渦電流センサ構造からの出力信号を示している。 ギヤの位置ずれを監視した場合の、図12aの渦電流センサ構造からの出力信号を示している。
いくつかの好ましい実施形態が、例えば、図2に示すような風力タービン伝動システムのギヤボックスに関連して説明される。伝動システム1は、主ロータシャフト4に取り付けられた風力タービンハブ2を含むことが分かる。タービンハブ2は、ブレード、ベーン、または風力を収集する他の回転装置を含む。ロータシャフト4が、水平であるとして概略的に示されているが、タービンは、水平軸タイプまたは垂直軸タイプとすることができる。当然ながら、そのような伝動システムは、代わりとして、ロータシャフトに取り付けられたヘリコプタのプロペラ用に設けることができるが、動力は反対方向に伝達される。
ギヤボックス6は、主ロータシャフト4の、例えば、30〜40rpmの遅い回転速度を、例えば、1000〜1500rpmの適切な出力速度に変換する。ギヤボックス6は、1段または複数段の標準的ギヤおよび/または遊星ギヤを含むことができる。ギヤボックス6は、発電機10を駆動する出力シャフト8を有する。ギヤボックス6の内部では、少なくとも1つのギヤホイールが、監視目的の誘導型センサを設けられている。この監視ギヤは、主ロータシャフト4から出力シャフト8にトルクを伝達する、例えば、駆動ギヤ、従動ギヤ、またはアイドルギヤなどの実働ギヤの1つとすることができる。または、監
視ギヤは、伝動システムのいずれかの部分を駆動するのではなくて、単に、監視される1つまたは複数の伝動ギヤと噛み合って回転する非実働ギヤとすることができる。
監視ギヤ12のいくつかの実施形態が図3〜6に示されている。図3では、ギヤ12は、歯16の幅にわたって延びる細長いセンサ14を有するとして示されている。センサ14は、歯の頂部18に設けられ、別のセンサ14が歯底または谷底20に、2つのセンサが各歯16の歯面22に設けられている。図4では、ギヤ12’は、歯16の様々な表面に設けられた比較的小さいセンサ14’を有するとして示されている。図5では、ギヤ12”は、細長いセンサ14および小さいセンサ14’が混在しているとして示されている。細長いセンサ14は、高い解像度が必要とされることがない各歯16の歯の頂部18および歯底20に担持されている。歯16の歯面22には、接触負荷が最大であり、欠陥が最も形成されやすいピッチ線に沿って、一列の小さいセンサ14’が設けられている。小さいセンサ14’は、この領域で欠陥を早期に検出できるように高い解像度をもたらす。歯面22には、ピッチ線の上下に対で配置された、ある程度大きい長方形のセンサ14も設けられている。
当然のことながら、監視ギヤ12のセンサの数量およびそれらの構成は、通常は、監視されるギヤおよび必要とされる感度に合わせた多くの様々な形態をとることができる。監視ギヤ12の複数の歯16が、センサ14、14’を設けられて示されたが、単一の歯だけに、または歯の特定のものだけに装備すれば十分であり得る。これは、関係するギヤの回転速度によって決まり得る。さらに、歯16の一部の表面だけにセンサを設ければ十分であり得る。異なる歯16では、異なる表面にセンサを設けることができる。
図6は、各歯16によって、または歯16間のフランク(flank)に担持された単一の細長いセンサ14を有する監視ギヤ26の別の実施形態を示している。細長いセンサ14の位置は、歯16ごとに異なっている。監視ギヤ26は、監視される、隣接するギヤ24とは異なる歯数を有して形成することができる。これは、各歯16が、複数回回転した後、他のギヤ24の各歯と噛み合うことを意味する。センサ14が様々な位置にあることで、多数のセンサを使用することなく、歯の様々な表面が順次走査されることが確実になる。
誘導型センサは、巻き枠に巻かれたコイルを含む渦電流センサとすることができる。例えば、円筒形または長方形などの巻き枠の形状は、センサの望ましい形状に応じて選択することができる。巻き枠は、強磁性または絶縁性であるコイル用のコアを形成することができる。コイルは、DCまたはAC電源に接続され、信号ユニットに接続するための出力線を有する。コイルは通常、1〜2MHzの周波数のAC信号によって駆動することができる。
図7は、従動ギヤ26と噛み合った駆動ギヤ24の断面図である。ギヤ噛合の運動学は、滑りおよび転がり接触を両方含み、純粋な転がりは、ピッチ点Pで示すピッチ線で起こる。接触点がピッチ線の近くに移動すると、負荷が最大になる。監視ギヤ12は、そのようなギヤ24、26の表面を検査するための、好ましくは、通常ピッチ線のまわりに発生する欠陥を検出するように配置された1つまたは複数のセンサを担持することができる。
図8は、ロータシャフト4に連結された駆動ギヤ24と、出力シャフト8に連結された従動ギヤ26とを収容したギヤボックス6の概略図である。図示した構成では、従動ギヤ26は、駆動ギヤ24用の監視ギヤである。従動ギヤ26は、上記のように、様々なギヤ歯16に配置することができる1つまたは誘導型センサ14を含む。従動ギヤ26は、ギヤ歯16のセンサ14に接続され、出力シャフト8に組み込まれた電子信号ユニット28を含む。信号ユニット28は、信号処理および/またはデータ伝送を行うことができる。
アンテナ30は、無線データ伝送用に設けられている。図9は、駆動ギヤ24と、データ格納/プロセッサユニット36および電源ユニット38に接続されたセンサドライバ34との間で信号を伝送するスリップリング32を担持した従動ギヤ26とを示している。
代替の実施形態では、駆動ギヤ24には、従動ギヤ26用の監視ギヤとして機能するように、1つまたは複数の誘導型センサを設けることができる。実際上、ギヤ24、26のいずれか、または両方は検出能力を有することができて、いずれか一方が他方を監視することができるか、または両方のギヤが互いを監視することができる。そのような構成は、ギヤボックスに収容された専用の監視手段を必ずしも必要とすることなく、ギヤボックスの自己監視を可能にする。
センサをギヤボックスの実働ギヤ、すなわち、トルクを伝達するギヤと統合することの潜在的な欠点は、センサの動作および/または完全性を妨害することがある力がセンサにかかり得ることである。図10は、駆動ギヤ24および従動ギヤ26を含むギヤ列の概略図である。このシステムでは、駆動ギヤ24の状態を監視するために、専用の監視ギヤ112が設けられている。必要に応じて、従動ギヤ26用の別の監視ギヤ112(点線の輪郭線で示す)を設けることができる。この場合、監視ギヤ(1つまたは複数)112は、ギヤボックスを通じて力を伝達することはなく、単に、例えば、ベアリングで取り付けられたシャフトを軸にして自由に回転するように構成される。駆動ギヤ24および/または従動ギヤ26の歯が監視ギヤ112の歯と噛み合うときに、監視ギヤ112の表面または中に取り付けられた1つまたは複数のセンサは、表面欠陥を検出するために実働ギヤの歯を走査する。劣化が閾値レベルに達したと分かったときに、センサ信号を使用して、早期の警告を送出することができるので、ギヤの障害が発生する前に、予防保守のスケジュールを組むことができる。
図11は、駆動ギヤ24が、主ロータシャフトの回転をアイドルギヤ32を介して従動ギヤ26に伝達する別のギヤ列構成を示している。アイドルギヤ32は、何らかの働きをするシャフトを駆動するのではなくて、従動ギヤ26に連結された出力シャフトの回転方向を変えるために使用することができる中間伝動ギヤである。監視を目的として、アイドルギヤ32には、上記の監視ギヤ12、12’、12”の1つと同様に、1つまたは複数のセンサを設けることができる。アイドルギヤ32は、場合によっては、駆動ギヤ24および従動ギヤ26の両方を監視するために使用することができ、ギヤ比が異なるのを利用して、歯が異なる速度で噛み合うときにセンサが収集した信号を識別することができる。単一の監視ギヤからの2つの異なる監視信号に分解しなければならないのが望ましくない場合、アイドルギヤ32を使用して従動ギヤ26を監視することができ、一方、駆動ギヤ24を監視するために、別の監視ギヤ112(点線の輪郭線で示す)が設けられる。もちろん、この構成は逆にすることもでき、アイドルギヤ32が、主に駆動ギヤ24を監視し、場合によっては、従動ギヤ26用に別の監視ギヤ(図示せず)が設けられる。
2つ、3つ、またそれを超えるギヤを含むギヤ列内の1つまたは複数のギヤを監視するための様々な構成を検討することができる。遊星ギヤシステムでは、太陽ギヤおよび/または遊星ギヤ(1つまたは複数)を監視する、太陽ギヤのまわりの監視ギヤ用の空間があり得ると容易に分かる。これらのシステムのいずれかにおいて、実働ギヤおよび/または非実働ギヤを混在させて、監視目的で使用することができる。
いくつかの好ましい実施形態が、歯付きギヤに関連して説明されたが、当然ながら、本発明は、ウオームギヤおよびラックアンドピニオン駆動を含む様々なタイプのギヤ、さらには、ベルト駆動式ホイール、エンジンシャフト、クラッチプレートなどの、歯付き面を有することができない回転型エンジン構成要素を監視するのに使用することができる。例えば、噛み合いギヤの代わりに、1つまたは複数の誘導型センサを担持した回転部材が取
り付けられて、この回転部材およびロータシャフトが互いに相対回転するときに、ロータシャフトの表面にわたってセンサ(1つまたは複数)を走査するようにすることができると考えられる。エンジンは、例えば、内燃機関、ガスタービンエンジン、または風力および水力タービンを含む任意の発電タービンの形態をとることができる。
実施例1
ギヤ監視および損傷検出用途用の埋め込み式渦電流センサの使用法を評価するためにベンチテストを行った。1対の噛合「平」歯車を取り付けるために、2つの回転シャフトを使用して、簡略的なギヤボックス試験装置を構築した。主駆動ギヤをモータの出力シャフトに取り付けた。被動シャフトに機械抵抗を付与するために、磁気抵抗ブレーキとして機能する電気モータに挿入した被動シャフトに補助監視ギヤを取り付けた。1回転当たり500パルスおよび1パルスを供給する精密光学シャフトエンコーダを各シャフトに取り付けた。
主ギヤは、25歯の鋼製ギヤホイールとした。補助監視ギヤは、主ギヤの25歯すべての25回転にわたる転がり走査を可能にするように、24歯のプラスチック製ギヤホイールとした。補助監視ギヤは、歯に埋め込まれたフェライトコア付きの渦電流センサを有した。図12a〜12cは、様々な歯の様々な渦電流センサを示している。図12aおよび図12bでは、直径2mmの円筒形センサが取り付けられている。図12aは、歯面に垂直なコイル軸を有する面センサを示している。図12bは、歯軸と心合したコイル軸を有する歯底センサを示している。図12cでは、歯面に細長いセンサ(例えば、長さが10〜15mm)を取り付けることを提案している。監視ギヤにセレクタスイッチを取り付けて、任意のコイルがセンサ接続リングに接続されるのを可能にした。
基準を確立するために、欠陥の全くない、鋼でできた主ギヤを最初に監視した。次いで、それぞれが歯の少なくとも1つに機械加工された欠陥を有する、あるいは損傷の兆候を示す、様々な異なる主ギヤを出力シャフトに取り付けた。種子欠陥が、それらの種子欠陥を検出すると予測されるセンサの下にある図12d〜12fに示されている。図12dは、歯面の中間点を横断した単一の横溝を示し、図12eは、歯の谷底を横断した単一の横溝を示し、図12fは、歯面の一方の側のパンチマークを示している。図12aおよび図12bの渦電流センサからの出力信号を測定し、その結果が、対応する欠陥の上にある図13aおよび図13bに示されている。図12cのセンサ構造は、この装置でまだ試験されていないが、異なる試験装置の細長いセンサで取ったデータに基づいた、予測される出力信号の変化が図13cに示されている。出力信号Aは、欠陥がある歯の出力信号Bと比較した損傷を受けていない歯のものである。欠陥が、信号処理アルゴリズムで検出された基準信号とは十分に異なる、出力信号の明瞭な形状変化をもたらすことが図13a〜13cから分かる。
センサは、非常に良好な信号対雑音比をもたらす。欠陥が存在する位置に最も近くなるようにセンサ構造を最適化した。したがって、走査により得られた信号は、システム出力の極小位置(最大検出状態)に常に目立つように配置される。もちろん、他の位置の欠陥も検出できるが、この試験の目的は、検出状態を最適化することであった。
実施例2
実施例1で検出された種子欠陥に加えて、前もってギヤボックス試験装置上で駆動され、ギヤ歯にある程度の摩損ができた別のギヤも試験した。(図12aに示すように)歯面に取り付けたセンサを使用してギヤを監視した。図14は、センサからの信号を示し、出力信号Aは損傷を受けていないギヤのものであり、出力信号Bは摩損したギヤのものである。上側のプロットは、一群の歯が示す摩損の兆候を表すセンサ信号を示し、一方、下側
のプロットは、単一歯からのセンサ信号の拡大図である。上側のプロットから、示したすべての歯に対して、健全な歯と比べて摩損した歯の振幅が小さくなっているのが分かる。これは、面が摩損によって擦り減ったために、センサと歯面との間の距離が拡大したことによる。下側のプロットから、出力信号は、振幅が小さくなっただけでなく、形状も変わったことが分かる。これは、ギヤが単に位置ずれしたのではなくて、摩損したギヤの表面で材料の量が局所的に減り、その結果、平均距離が広がった状態で、損傷した表面がセンサ上を滑っているのを示している。
実施例3
比較例として、同じギヤボックス試験装置を使用して位置ずれ試験を行った。最初に主ギヤを最適に位置合わせして駆動し、次いで、ギヤホイールの相対半径方向位置を変えることで、わずかな半径方向のずれ(200μm)を加えた。(図12aに示すように)歯面に取り付けられた渦電流センサからの信号を使用してギヤを監視した。その結果を図15に示す。出力信号Aは、位置をずらした後に測定された出力信号Bと比較した、心合しているギヤのものである。位置ずれにより、主ギヤの歯とセンサとの間の距離が変化したために、振幅が全体的に変化しているのが分かる。しかし、センサからの出力信号の形状は全く変化していない。したがって、位置ずれ問題は、ギヤ歯のクラックまたは点食などの局所欠陥と区別することができる。

Claims (52)

  1. 運転中に回転型エンジン構成要素の局所欠陥を監視する方法であって、
    運転中で前記エンジン構成要素が回転しているときに、1つまたは複数の渦電流センサを前記エンジン構成要素と相互作用するように配置することと、
    前記回転型エンジン構成要素との相互作用で発生した、前記1つまたは複数の渦電流センサからの出力信号を測定することと、
    局所欠陥を示す前記出力信号の形状変化を検出することと、
    を含む方法。
  2. 前記出力信号の振幅の変化を検出することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記回転型エンジン構成要素が最初に設置されたときに、前記1つまたは複数の渦電流センサからの基準出力信号を測定することと、前記基準出力信号と比較することで、前記出力信号の形状(および任意選択的に振幅)の変化を検出することとをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. DC周波数で前記1つまたは複数の渦電流センサを駆動することをさらに含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
  5. (i)少なくとも1kHz、(ii)少なくとも100kHz、(iii)少なくとも500kHz、(iv)少なくとも1MHz、(v)少なくとも2MHz、および(vi)最大で10MHzまで、のうちの1つ以上から選択されたAC周波数で、前記1つまたは複数の渦電流センサを駆動することをさらに含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記1つまたは複数の渦電流センサが駆動される周波数を調整することをさらに含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 運転中に回転型エンジン構成要素の局所欠陥を監視する装置であって、運転中で前記エンジン構成要素が回転しているときに、前記エンジン構成要素と相互作用するように配置された1つまたは複数の渦電流センサと、前記回転型エンジン構成要素との相互作用で発生した、前記1つまたは複数の渦電流センサからの出力信号を測定するように構成された装置と、局所欠陥を示す前記出力信号の形状の変化を検出するように構成されたプロセッサとを含む装置。
  8. 前記プロセッサは、前記出力信号の振幅の変化を検出するように構成される、請求項7に記載の装置。
  9. 前記装置は、前記回転型エンジン構成要素が最初に設置されたときに、前記1つまたは複数の渦電流センサからの基準出力信号を測定するように構成され、前記プロセッサは、前記基準出力信号と比較することで、前記出力信号の形状(および任意選択的に振幅)の変化を検出するように構成される、請求項7または8に記載の装置。
  10. DC周波数で前記1つまたは複数の渦電流センサを駆動するように構成されたドライバを含む、請求項7から9のいずれか1項に記載の装置。
  11. (i)少なくとも1kHz、(ii)少なくとも100kHz、(iii)少なくとも500kHz、(iv)少なくとも1MHz、(v)少なくとも2MHz、および(vi)最大で10MHzまで、のうちの1つ以上から選択されたAC周波数で、前記1つまた
    は複数の渦電流センサを駆動するように構成されたドライバを含む、請求項7から9のいずれか1項に記載の装置。
  12. 前記1つまたは複数の渦電流センサが駆動される周波数を調整するように構成されたドライバを含む、請求項7から11のいずれか1項に記載の装置。
  13. 前記1つまたは複数の渦電流センサは、前記回転型エンジン構成要素との間の相対運動中に、前記1つまたは複数のセンサに前記回転型エンジン構成要素の表面の一部上を通過させるように構成された移動部材によって担持される、請求項7から12のいずれか1項に記載の装置。
  14. 回転型エンジン構成要素の表面または表面近くの欠陥を監視する装置であって、移動部材によって担持された1つまたは複数の誘導型センサを含み、前記移動部材は、前記回転型構成要素との間の相対運動中に、前記1つまたは複数のセンサに前記回転型エンジン構成要素の前記表面の一部上を通過させるように構成される、装置。
  15. 前記1つまたは複数の誘導型センサは、1つまたは複数の渦電流センサを含む、請求項14に記載の装置。
  16. 前記1つまたは複数の渦電流センサは、400kHz〜10MHzの範囲、好ましくは1〜2MHzの範囲の周波数で駆動される、請求項15に記載の装置。
  17. 前記または各渦電流センサは、主磁界を発生させ、前記主磁界によって、監視される前記回転型エンジン構成要素の表面または表面近くに生じた渦電流の影響を測定するために使用される共通コイルを有する能動型である、請求項7から13または請求項15から16のいずれか1項に記載の装置。
  18. 前記コイルは断面が細長い、請求項17に記載の装置。
  19. 単一の誘導型または渦電流センサが前記移動部材によって担持される、請求項13から18のいずれか1項に記載の装置。
  20. 前記移動部材によって担持された前記1つまたは複数の誘導型または渦電流センサは、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれらを超えるセンサからなるアレイを含む、請求項13から19のいずれか1項に記載の装置。
  21. 前記アレイの前記センサは、1つまたは複数の異なる向きを有する、請求項20に記載の装置。
  22. 前記移動部材によって担持された前記1つまたは複数の誘導型または渦電流センサは、いくつかの異なるセンサを含み、前記センサは、大きさ、形状、および/または取付け位置の点で異なる、請求項13から21のいずれか1項に記載の装置。
  23. 前記1つまたは複数の誘導型または渦電流センサは、前記移動部材の表面よりも下に取り付けられる、請求項13から22のいずれか1項に記載の装置。
  24. 前記1つまたは複数の誘導型または渦電流センサは、前記移動部材に組み込まれる、請求項13から23のいずれか1項に記載の装置。
  25. 前記1つまたは複数の誘導型または渦電流センサを囲む前記移動部材または前記移動部
    材の少なくとも一部は、非導電性材料で形成される、請求項13から24のいずれか1項に記載の装置。
  26. 前記回転型エンジン構成要素は、導電性材料で作製される、請求項7から25のいずれか1項に記載の装置。
  27. 前記移動部材は回転部材である、請求項7から26のいずれか1項に記載の装置。
  28. 前記回転型エンジン構成要素は、監視される1つまたは複数の伝動ギヤを含み、前記移動部材は、前記監視される1つまたは複数のギヤと噛み合うように成形される、請求項7から27のいずれか1項に記載の装置。
  29. 前記移動部材は、監視ギヤまたは監視ギヤの一部の形態をとる、請求項28に記載の装置。
  30. 前記監視ギヤは、駆動ギヤ、従動ギヤ、および/またはアイドルギヤなどの伝動ギヤか、または非実働ギヤのいずれかである、請求項29に記載の装置。
  31. 前記監視ギヤまたは前記監視ギヤの一部は、1つまたは複数の歯を含む、請求項29または30に記載の装置。
  32. 前記1つまたは複数の誘導型または渦電流センサは、前記監視ギヤまたは前記監視ギヤの一部の1つまたは複数の歯によって担持される、請求項31に記載の装置。
  33. 複数の前記歯はそれぞれ、1つまたは複数の誘導型または渦電流センサを担持する、請求項32に記載の装置。
  34. 様々な歯によって担持される前記1つまたは複数のセンサは、1つまたは複数の向きが異なる、請求項33に記載の装置。
  35. 前記または各歯は、その磁界が歯の頂部に侵入するセンサ、その磁界が歯末の面および/または歯元の面に侵入するセンサ、ならびにその磁界が歯底に侵入するセンサの1つまたは複数を担持する、請求項31から34のいずれか1項に記載の装置。
  36. 前記または各歯は、磁界が1つの面に侵入するが、他には侵入しないように、前記または各歯に配置されたセンサを有する、請求項31から35のいずれか1項に記載の装置。
  37. 前記1つまたは複数の誘導型または渦電流センサからの信号を伝送するための無線データ伝送遠隔測定システムをさらに含む、請求項7から36のいずれか1項に記載の装置。
  38. 前記移動部材は、運転中で前記エンジン構成要素が回転している間に、前記1つまたは複数のセンサに前記エンジン構成要素の表面の一部上を通過させるように構成される、請求項14から37のいずれか1項に記載の装置。
  39. 前記回転型エンジン構成要素は、ギヤボックスの伝動ギヤである、請求項7から38のいずれか1項に記載の装置を含むギヤボックス。
  40. 請求項39に記載のギヤボックスを含む風力タービン。
  41. 請求項39に記載のギヤボックスを含むヘリコプタ。
  42. 1つまたは複数の誘導型センサを担持する移動部材を使用して、回転型エンジン構成要素の表面または表面近くの欠陥を監視する方法であって、前記1つまたは複数のセンサに前記回転型エンジン構成要素の前記表面の一部上を通過させるように、前記部材を前記回転型構成要素に対して移動させることを含む方法。
  43. 前記1つまたは複数の誘導型センサは、1つまたは複数の渦電流センサを含む、請求項42に記載の方法。
  44. 400kHz〜10MHzの範囲、好ましくは1〜2MHzの範囲の周波数で前記1つまたは複数の渦電流センサを駆動することを含む、請求項43に記載の方法。
  45. 運転中で、前記エンジン構成要素が回転している間に、前記部材を移動させることを含む、請求項42から44のいずれか1項に記載の方法。
  46. 前記1つまたは複数の渦電流センサは、移動部材によって担持される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
  47. 前記回転型エンジン構成要素は、監視される1つまたは複数の伝動ギヤを含み、前記移動部材は、前記監視される1つまたは複数のギヤと噛み合うように移動する、請求項42から46のいずれか1項に記載の方法。
  48. 前記移動部材は、監視ギヤまたは監視ギヤの一部の形態をとる、請求項47に記載の方法。
  49. 前記1つまたは複数の誘導型または渦電流センサは、前記監視ギヤまたは前記監視ギヤの一部の1つまたは複数の歯によって担持される、請求項48に記載の方法。
  50. 風力タービンまたはヘリコプタのギヤボックスを監視する方法であって、前記ギヤボックス内に、1つまたは複数の誘導型センサを担持した1つまたは複数の監視ギヤを設けることを含み、前記1つまたは複数の監視ギヤは、監視される1つまたは複数の伝動ギヤの回転中に、前記1つまたは複数のセンサに前記伝動ギヤの表面上を通過させるように、前記監視される1つまたは複数の伝動ギヤと係合する、方法。
  51. 前記1つまたは複数の誘導型センサは、400kHz〜10MHzの範囲、好ましくは1〜2MHzの範囲の周波数でAC駆動される1つまたは複数の渦電流センサである、請求項50に記載の方法。
  52. 前記または各監視ギヤは、駆動ギヤ、従動ギヤ、および/またはアイドルギヤなどの伝動ギヤか、または非実働ギヤのいずれかである、請求項48から51のいずれか1項に記載の方法。
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