JP2009236766A - 歯車強度評価法及びその評価装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】真空浸炭処理された歯車の強度評価法の信頼性を高めることができる技術を提供することを課題とする。
【解決手段】44は基準位置であり、浸炭深さ測定部23の測定子としての検出コイル30の中心に一致する。検出コイル支持体26は鉄芯25に、水平方向にスライド可能にビス45で固定されている。また、鋼球27は円錐部46及び円柱部47を介して鉄芯25に固定されている。48は歯幅の中央であり、基準位置44に一致する。すなわち、測定子としての検出コイル30が歯車17の歯幅の中央48に臨んでいる。
【効果】歯幅の中央における、歯底の浸炭深さに基づいて合否判定を行う。歯幅の中央における歯底が合格基準深さを満たしていれば、歯部は全体的に合格レベルにあるとみなすことができるため、強度評価の信頼性を高めることができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、真空浸炭処理された歯車の強度を評価する歯車強度評価技術に関する。
歯車は、重要な機械要素の一つであって、高い強度が求められる。強度を高める手法として、浸炭処理法が広く採用されている。浸炭処理法は、鋼の表層の炭素量を増加させて、機械的性質を改善させる表面処理である。従来は、ガス浸炭法が主流であるが、ガス浸炭法では表面に微少酸化が不可避的に発生する。
対策として、近年、歯車に真空浸炭法を適用する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2006−349055公報(請求項1)
特許文献1の請求項1に「平滑な面部における表面炭素濃度が0.6質量%以上となるように真空浸炭されている歯車であって、前記面部の有効硬化層深さをD(mm)としたとき、前記真空浸炭に先立ち、歯元近傍に位置する応力集中部を含む表面に、D±0.25(mm)の面取り加工が施されていることを特徴とする歯車。」の記載があり、歯車に真空浸炭を施すことが開示されている。
上述したように、歯車は重要な機械要素であるため、抜き取り検査や全数検査で強度の測定を行う必要があり、この測定に渦電流を利用した非破壊検査法が実用化されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2004−108873公報(図2)
特許文献2を次図に基づいて説明する。
図14は従来の技術の基本原理を説明する図であり、(a)に示すように、円柱ワーク101に励磁コイル102と検出コイル103を巻回する。そして、励磁コイル102に交流電源104から交流電圧(励磁電圧)を印加する。すると、円柱ワーク101の表層に渦電流が発生する。この渦電流により検出コイル103に交流電流が発生する。この発生した交流電流の電圧(検出電圧)を測定装置105で測定する。励磁電圧と検出電圧との相関を(c)で説明する。
(c)は横軸が時間軸で縦軸が電圧であるグラフであり、正弦波V1が励磁電圧曲線であるときに、検出電圧は正弦波V2で表される。正弦波V1と正弦波V2の位相差をΦと定義する。
(b)で、cosΦで表されるX値は浸炭深さと良好な相関関係があり、sinΦで表されるY値は表面硬さに良好な相関関係がある。
浸炭深さや表面硬さが変化すると、Φの大きさやV2の高さが変化する。そこで、cosΦやsinΦを計測で求めることにより、そのときの浸炭深さや表面硬さを特定することができる。非破壊検査であるため、歯車の強度評価に好適である。
そこで、円柱ワーク101を、歯車に置き換えて、真空浸炭された歯車の強度評価を試みた。その具体例を次図で説明する。
図15は従来の歯車の強度評価を説明する図であり、歯車107に励磁コイル102と検出コイル103を巻回する。そして、励磁コイル102に交流電源104から交流電圧(励磁電圧)を印加する。すると、歯車107の歯部108に渦電流が発生する。この渦電流により検出コイル103に交流電流が発生する。この発生した交流電流の電圧(検出電圧)を測定装置105で測定した。
測定装置105で合格が確認された歯車107について、念のために破壊試験を行った。すなわち、歯車107を切断し研磨して、浸炭深さや硬さを計測した。すると、計測値に、ばらつきが、あることが判明した。すなわち、上述した歯車の強度評価法では信頼性が乏しいことが判明した。
そこで、ガス浸炭法で問題となった粒界酸化は、真空浸炭法で解消できるという利点を生かしながら、歯車の強度評価法の信頼性を高めることが求められる。
本発明は、真空浸炭処理された歯車の強度評価法の信頼性を高めることができる技術を提供することを課題とする。
本発明者らは、歯車を検出コイルで囲う、従来の評価法(図15)を検討した。この評価法では、歯車の表層部分、すなわち歯部を単位とした浸炭深さが求められる。一方、歯部は歯先や歯底を有する複雑な形状を呈している。そのため、歯先と歯底とは、浸炭深さが異なることが考えられる。そこで、真空浸炭処理された歯先と歯底の浸炭深さを計測した。その結果を次図で説明する。
図16は歯車の浸炭深さを説明する図であり、歯車を切断し、切断面を観察したところ、表層に浸炭層110が確認できた。
そこで、歯先111の浸炭深さD1と歯底112の浸炭深さD2とに着目すると、歯先と歯底の浸炭深さが同等(D1=D2)、又は歯底の浸炭深さの方が小さかった(D1>D2)。すなわち、歯先の浸炭深さが歯底の浸炭深さより小さくなることはなかった。このことから、本発明者らは、歯部全体を測定対象にするのではなく、歯底を測定対象とする方が、評価の信頼性を高めることができると知見することができた。
図17は図16の17線断面図であり、歯車107の歯底112を歯幅方向に切断し、切断面を観察したところ、(a)に示すように、表層に浸炭層110が確認できた。
そこで、歯幅の中央の浸炭深さD3と、任意の位置での浸炭深さD4とに着目すると、任意の位置よりも歯幅の中央の浸炭深さの方が小さかった(D4>D3)。
(b)は歯底112の歯幅方向における浸炭深さを説明する図であり、浸炭深さは、歯幅の両端では大きく、歯幅の中央では小さい。このことから、歯底の任意の位置を測定するのではなく、浸炭深さが最も小さい歯幅の中央を測定対象とする方が、歯車強度評価の信頼性が高めることができると知見することができた。
これらの知見に基づいて完成された請求項1に係る発明は、真空浸炭処理された歯車の強度を評価する歯車強度評価法において、前記歯車の歯幅の中央で、前記歯車の歯底の浸炭深さを測定し、得られた浸炭深さが、予め定められている合格基準範囲から外れている場合に不合格とすることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、真空浸炭処理された歯車の強度を評価する歯車強度評価装置において、この歯車強度評価装置は、歯車の歯底の浸炭深さを測定する浸炭深さ測定部と、この浸炭深さ測定部の測定子が歯車の歯幅の中央に臨むように、歯車を移動させる歯車センターリング機構とを備えていることを特徴とする。
請求項3に係る発明では、歯車センターリング機構は、基台と、この基台から上へ延ばされているセンターリング側ブラケットと、このセンターリング側ブラケットに回転軸を介して回転自在に支持され歯車を誘導する一対の回転ガイドと、この回転ガイドの回転軸部に設けられ回転ガイドと一体になり噛み合いながら回転する歯車部と、前記回転ガイドにピンを介して繋げられ前記一対の回転ガイドが閉じる方向に付勢する引張りばねと、基台に設けられ歯車を支持する歯車支軸と、この歯車支軸の下部に設けられ歯車の歯部が前記回転ガイドに臨むように前記歯車支軸の高さを大まかに調整する圧縮ばねと、からなることを特徴とする。
請求項4に係る発明では、一対の回転ガイドは、先端の間隔が歯車の歯幅より小さくならないように先端の間隔を保つストッパを有することを特徴とする。
請求項5に係る発明では、歯車センターリング機構は、基台と、この基台に上下移動自在に設けられた昇降台と、この昇降台に設けられ歯車を支持する歯車支軸と、基台に設けられ前記昇降台を昇降する昇降モータと、基台の一端から上に延ばされているセンサー用ブラケットと、このセンサー用ブラケットの上部に設けられ歯車の歯幅及び位置を非接触で検出する位置センサーと、この検出した歯幅及び位置情報に基づいて前記昇降モータを制御する制御部とからなることを特徴とする。
請求項6に係る発明では、歯車センターリング機構は、基台と、この基台に上下移動自在に設けられた昇降台と、この昇降台に設けられ歯車を支持する歯車支軸と、基台に設けられ前記昇降台を昇降する昇降モータと、基台の一端から上に延ばされているセンサー用ブラケットと、このセンサー用ブラケットの上部に設けられ歯車の歯幅及び位置を非接触で検出する位置センサーと、この検出した歯幅及び位置情報に基づいて歯車の歯幅の中央に測定子が臨むように前記昇降モータを制御する制御部とからなることを特徴とする。
請求項1に係る発明では、歯車の歯幅の中央で、歯車の歯底の浸炭深さを測定する。歯幅の中央における歯底が合格基準深さを満たしていれば、歯部は全体的に合格レベルにあるとみなすことができるため、強度評価の信頼性を高めることができる。
請求項2に係る発明では、浸炭深さ測定部の測定子が歯車の歯幅の中央に臨むように、歯車センターリング機構で歯車を移動させる。歯幅の異なる歯車でも、確実に歯幅の中央で歯底の浸炭深さを測定するので、強度評価の信頼性を高めることができる。
請求項3に係る発明では、歯車センターリング機構は、歯車を誘導する一対の回転ガイドと、回転ガイドと一体になり噛み合いながら回転する歯車部と、回転ガイドが閉じる方向に付勢する引張りばねと、歯車を支持する歯車支軸と、歯車の歯部が回転ガイドに臨むように歯車支軸の高さを大まかに調整する圧縮ばねとからなる。簡易な機械要素で構成されるので、装置全体を簡易且つ低コストにすることができる。
請求項4に係る発明では、一対の回転ガイドは、先端の間隔が歯車の歯幅より小さくならないように先端の間隔を保つストッパを有する。一対の回転ガイドの先端が歯車の歯幅より開いているので、歯車を一対の回転ガイドへ円滑に導入することができる。
請求項5に係る発明では、歯車センターリング機構は、歯車の歯幅及び位置を非接触で検出する位置センサーを備える。非接触式の位置センサーを使用するので、歯車の歯部に非接触で位置調整ができる。
請求項6に係る発明では、制御部は、位置センサーで検出した歯幅及び位置情報に基づき、歯車の歯幅の中央に測定子が臨むように昇降モータを制御する。位置センサーで歯車の歯幅及び位置を検出するので、歯幅の異なる歯車及び特殊形状の歯車にも対応することができる。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明の歯車強度評価法に適した歯車強度評価装置の原理図であり、歯車強度評価装置10は、基台11と、この基台11の上面中央に設けられ図左右に延びているレール12と、このレール12に左右移動自在に載せられているスライダ13と、このスライダ13に軸受14を介して縦向きに且つ回転自在に支持されている支持軸15と、この支持軸15に圧縮ばね16を介して上下移動自在に設けられ歯車17を支える歯車支軸18と、スライダ13に内蔵され支持軸15を一定ピッチで回転させるインデックスモータ19と、基台11に載置されスライダ13をレール12に沿って往復移動させるシリンダユニット20と、このシリンダユニット20及びインデックスモータ19を制御する制御部21と、基台11の一端(図左側)から上へ延ばされている測定側ブラケット22と、この測定側ブラケット22の上部に設けられ浸炭深さを測定する浸炭深さ測定部23と、測定側ブラケット22の上部にボルト24、24で取り付けられているコ字状の鉄芯25と、この鉄芯25に支持され歯車17に向かって延びている検出コイル支持体26と、鉄芯25の先端から歯車17に向かって延びている鋼球27、27と、鉄芯25の先端に巻かれた励磁コイル28、28と、これらの励磁コイル28、28に交流電圧を印加する交流電源29と、検出コイル支持体26の先端に設けられている測定子としての検出コイル30から検出情報を取得して浸炭深さに換算する浸炭深さ換算装置31と、得られた浸炭深さを合格基準深さと比較して合否を判定する合否判定部32と、得られた合否判定に基づいて、合格、不合格を表示する合否表示部33と、基台11から上へ延ばされているセンターリング側ブラケット34と、このセンターリング側ブラケット34の上部に設けられている歯車センターリング機構35とからなる。なお、鉄芯25、検出コイル支持体26、鋼球27、27、励磁コイル28、28及び測定子としての検出コイル30で浸炭深さ測定部23を構成する。
図2は図1の2矢視図であり、歯車センターリング機構35は、センターリング側ブラケット34に回転軸36を介して回転自在に支持され歯車17を誘導する回転ガイド37と、この回転ガイド37と一体になり回転する歯車部38と、回転ガイド37にピン41を介して繋げられた引張りばね42と、圧縮ばね16と、歯車支軸18と、からなる。
図3は図2の3線断面図であり、回転ガイド37、37の先端は、歯車17の歯幅よりも大きく開いた状態で、ストッパ43で回転移動が制限されている。隣り合う歯車部38と歯車部38は、噛み合っている。
図4は図1の要部拡大図であり、44は基準位置であり、浸炭深さ測定部23の測定子としての検出コイル30の中心に一致する。検出コイル支持体26は鉄芯25に、水平方向にスライド可能にビス45で固定されている。また、鋼球27は円錐部46及び円柱部47を介して鉄芯25に固定されている。
48は歯幅の中央であり、基準位置44に一致する。すなわち、測定子としての検出コイル30が歯車17の歯幅の中央48に臨んでいる。
図5は図4の5線断面図であり、検出コイル30は、絶縁性に富む三角形断面のナイロンなどの樹脂体49を介して検出コイル支持体26に支持されている。樹脂体49が三角形断面であるため、検出コイル30を歯車17の歯底51に接近させることができる。
図6は図4の6線断面図であり、鋼球27の球径は、隣合う歯先52と歯先52との間を通過するが、歯底51に到達する前に歯部53、53の面に接触する外径に設定されている。すなわち、接触点54、54に接触しているため、鋼球27の図左右方向及び上下方向の位置が規定される。併せて、鋼球27の中心は歯底51の中心に合致する。
この結果、歯底51からの検出コイル30の距離や励磁コイル28、28(図4)の距離を一定化することができる。この結果、測定の信頼性を高めることができる。
ところで、図1で説明した浸炭深さ換算装置31には、測定で得られたX電圧を浸炭深さに換算する換算表を記憶させる必要がある。そこで、図1の歯車強度評価装置10を用いて、周波数を1kHzに設定し、真空浸炭済みの歯車の「X電圧」を測定した。この測定は非破壊検査に相当する。
次に、この歯車を切断し、切断面を磨いてから「浸炭深さ」を測定した。この測定は破壊検査に相当する。
図7は測定で得られた硬さを表したグラフである。
先ず、歯底浸炭深さ計測装置10を用いて、周波数を1kHzに設定し、真空浸炭済みの歯車の「X電圧」を測定したところ、X電圧は−67mVであった。次に、切断し、切断面を磨き、この切断面を測定対象として、表面から0.1mm毎に、1.0mmまで、マイクロビッカース硬さ計で、ビッカース硬さ(Hv)を測った。
図7は測定で得られた硬さを表したグラフであり、(a)は、横軸が表面からの深さで、縦軸がビッカース硬さであるグラフに、生のデータをプロットしたものである。
ところで、この種の歯車では、「表面から○○mmの深さで、ロックウエルCスケール硬さが50以上であること」と言った要求仕様が出されることが多い。ロックウエルCスケール硬さ50は、換算表によれば、ビッカース硬さ(Hv)513に相当する。
そこで、(a)にプロットした複数の点を滑らかな曲線で繋ぐ。
結果、(b)示すグラフが得られる。そこで、縦軸の513から横線を引き、曲線に交わったところから、縦線を降ろし、この縦線が横軸と交わったところの距離を読む。表面からの距離は0.64mmであった。
図8はX電圧と浸炭深さの相関図であり、横軸が浸炭深さ(表面からの距離に相当。)で、縦軸がX電圧であるグラフに、1個のデータ(0.64mm、−67mV)を●でプロットした。
浸炭条件を変えて得られたサンプルを21個作製し、これらのサンプルについても図7(a)、(b)での手順を踏んで、浸炭深さとX電圧を定めた。21個のサンプルについては○で、グラフにプロットした。
1個の●と21個の○は右下りの直線に沿って分散している。縦軸のX電圧が測定で得られれば、この相関図により、得られたX電圧に対応する浸炭深さを求めることができる。
また、詳細な計算法は省略するが、この分散における相関係数(r)は0.92であった。
以上の説明から明らかなように、本発明は次の点にも特徴がある。すなわち、図7(a)、(b)で説明したように、得られた硬さと深さは、測定で得られた硬さを、歯車の表面から中心に向かってプロットした点を結んでなる曲線から得る。点を結んで曲線を得るようにしたので、測定点の数を少なく設定することができ、測定時間が短縮でき、測定コストの低減を図ることができる。
又、図7で求めた硬さという定量的データに基づいて、浸炭深さが決められる。すなわち、図7で説明したように、破壊検査による硬さデータと、非破壊検査によるX電圧との突き合わせが行われる。この後は、非破壊検査によりX電圧を求め、図8に基づいて、浸炭深さに換算する。非破壊検査であるにも拘わらず、破壊検査での裏付けがなされているので、非破壊検査で求めた浸炭深さの信頼性が飛躍的に高まる。
次に、好適な周波数を特定することを目的に、700Hzから4kHzまで周波数を変えて、各周波数当たり22個のサンプルを準備し、図8と同様の相関図を作成し、相関係数を求めた。その結果を次図に示す。
図9は周波数と相関係数の関係を示すグラフであり、1kHzが最大で、2kHz以上では相関係数が小さくなった。一方、700〜1kHzでは、変化は小さい。
真空浸炭された歯車の歯底の浸炭深さを調べるには、周波数は700〜1kHzの範囲に設定することが望ましいことが分かった。
以上の構成からなる歯車強度評価装置10の作用を次に説明する。
図10は歯車センターリング機構の作用説明図であり、(a)に示すように、歯車17を歯車支軸18に載置する。歯車支軸18は、圧縮ばね16で矢印(1)の向きに付勢され、歯車17を基準位置44の付近に保持する。異なる重さの歯車17を載置しても、圧縮ばね16の作用により、歯車17を基準位置44の付近に保持することができる。
次に、(b)に示すように、歯車17を矢印(2)の向きに前進させる。歯車17が回転ガイド37、37に接触し、回転ガイド37、37は矢印(3)のように開く。すると、(c)に示すように、回転ガイド37、37は、引張りばね42で矢印(4)の向きに付勢され、歯車17は矢印(5)のように前進する。
隣り合う歯車部38と歯車部38が噛み合うことで、回転ガイド37、37は基準位置44に対して同じ角度で開き、(d)に示すように、歯車17の歯幅の中央48と基準位置44が一致する。この結果、図4の測定子としての検出コイル30が、歯車17の歯幅の中央48に臨む。
図11は歯車強度評価装置の作用説明図であり、(a)に示すように、静止状態にある検出コイル30へ、歯車17を矢印(6)のように前進させる。(b)に示すように、検出コイル30に任意の歯底51を臨ませ、歯底51の浸炭深さを検出し、この浸炭深さの合否を判定させる。終わったら、矢印(7)のように歯車17を後退させる。
次に、(c)に示すように、歯車17を1ピッチ(歯一枚分)だけ回す(矢印(8))。すると(d)に示すように、隣の歯底51が検出コイル30に臨む。以降、(a)に戻って作業を継続する。この継続する作業をフローで再度説明する。
図12は本発明の歯車強度評価法に好適な作業フロー図であり、ステップ番号(以下STと略記する。)01で、合格基準深さ範囲Dsを定める。例えば、合格基準深さ範囲Dsは0.5mm〜0.8mmとする。この0.5mm〜0.8mmを図1の合否判定部32へインプットする。
ST02で、測定対象とする歯車の歯数Nを、図1の制御部21へインプットする。測定回数を監視するために、先ず、回数nを1とする(ST03)。
図11(a)の要領で、歯車を前進させる(ST04)。図11(b)の要領で、歯底のX電圧を測定させる(ST05)。図1の浸炭深さ換算装置31により、X電圧を浸炭深さDaに換算させる(ST06)。図1の合否判定部32により、測定で得られた浸炭深さDaが合格基準深さ範囲Dsの範囲に入っているか否かを調べる(ST07)。YESであれば、「合格」の表示をする(ST08)。次に、図11(b)に矢印(7)で示すように歯車を後退させる(ST09)。
ここで、測定回数を調べる(ST10)。初回はnは1である。例えば歯車の歯数Nが40であれば、n<Nであるから、NOを進み、nに1を加える(ST11)。そして、図11(c)の要領で、歯車を歯1個分だけ回転させる(ST12)。そして、ST04から再度、歯底の浸炭深さを測定する。
ST07で、浸炭深さDaが合格基準深さ範囲Ds内でなければ、NOを進み、不合格表示を行う(ST13)。不合格の場合は、この歯車に対する測定をこの時点で終了させることができる。
ST10で、測定回数nが歯数Nに到達すれば、歯底の全数を検査したことになるので、測定終了の表示を行い、測定を終了する(ST14)。
図13は本発明の別実施例の歯車強度評価装置の原理図であり、図1と同様の部材で構成されている部分は、符号を流用して詳細な説明は省略する。
歯車センターリング機構35は、スライダ13の内部に設けられ図上下に延びている昇降レール61、61と、これらの昇降レール61、61に上下移動自在に嵌め込まれている昇降台62と、この昇降台62に軸受14を介して縦向きに且つ回転自在に支持され歯車15を支える歯車支軸18と、昇降台62に内蔵され歯車支軸18を一定ピッチで回転させるインデックスモータ19と、スライダ13に内臓され中間部材63を介して昇降台62を昇降させる昇降モータ61と、基台11の一旦から上に延ばされているセンサー用ブラケット65と、このセンサー用ブラケット65の上部に設けられ歯車17の歯幅及び位置情報を検出する位置センサー66と、この検出した歯幅及び位置情報に基づいて昇降モータを61を制御する制御部21と、からなる。
別実施例における歯車センターリング機構35の作用を説明する。
まず、位置センサー66で歯車17の歯幅及び位置情報を検出する。この検出した歯幅及び位置情報に基づいて制御部21は昇降モータ64を制御する。測定子としての検出コイル30が歯幅の中央48に臨むように、昇降モータが昇降台62を昇降させる。
なお、歯車強度評価装置10の他の作用は、図10と同様であるため、詳細な説明は省略する。
尚、本発明の歯車強度評価法は、図1及び図13に示した歯車強度評価装置10以外の装置で、測定子が歯車の歯幅の中央に臨むようにすることは差し支えない。
また、図1及び図13に示した歯車強度評価装置10以外の装置やツールで浸炭深さを測ることは差し支えない。要は、歯車の歯幅の中央で歯底の浸炭深さを非破壊的に計測することができるものであれば、計測装置の形態、種類は問わない。
本発明は、真空浸炭処理された歯車の浸炭深さを計測する技術に好適である。
本発明の歯車強度評価法に適した歯車強度評価装置の原理図である。 図1の2矢視図である。 図2の3線断面図である。 図1の要部拡大図である。 図4の5線断面図である。 図4の6線断面図である。 測定で得られた硬さを表したグラフである。 X電圧と浸炭深さの相関図である。 周波数と相関係数の関係を示すグラフである。 歯車センターリング機構の作用説明図である。 歯車強度評価装置の作用説明図である。 本発明の歯車強度評価法に好適な作業フロー図である。 本発明の別実施例の歯車強度評価装置の原理図である。 従来の技術の基本原理を説明する図である。 従来の歯車の強度評価を説明する図である。 歯車の浸炭深さを説明する図である。 図16の17線断面図である。
符号の説明
10…歯車強度評価装置、17…歯車、23…浸炭深さ測定部、30…測定子(検出コイル)、31…浸炭深さ換算装置、32…合否判定部、35…歯車センターリング機構、48…歯幅の中央、51…歯底、Ds…合格基準深さ、Da…測定で得られた浸炭深さ。

Claims (6)

  1. 真空浸炭処理された歯車の強度を評価する歯車強度評価法において、
    前記歯車の歯幅の中央で、前記歯車の歯底の浸炭深さを測定し、得られた浸炭深さが、予め定められている合格基準範囲から外れている場合に不合格とすることを特徴とする歯車強度評価法。
  2. 真空浸炭処理された歯車の強度を評価する歯車強度評価装置において、
    この歯車強度評価装置は、歯車の歯底の浸炭深さを測定する浸炭深さ測定部と、この浸炭深さ測定部の測定子が前記歯車の歯幅の中央に臨むように、前記歯車を移動させる歯車センターリング機構とを備えていることを特徴とする歯車強度評価装置。
  3. 前記歯車センターリング機構は、基台と、この基台から上へ延ばされているセンターリング側ブラケットと、このセンターリング側ブラケットに回転軸を介して回転自在に支持され前記歯車を誘導する一対の回転ガイドと、この回転ガイドの回転軸部に設けられ前記回転ガイドと一体になり噛み合いながら回転する歯車部と、前記回転ガイドにピンを介して繋げられ前記一対の回転ガイドが閉じる方向に付勢する引張りばねと、前記基台に設けられ前記歯車を支持する歯車支軸と、この歯車支軸の下部に設けられ前記歯車の歯部が前記回転ガイドに臨むように前記歯車支軸の高さを大まかに調整する圧縮ばねと、からなることを特徴とする請求項2記載の歯車強度評価装置。
  4. 前記一対の回転ガイドは、先端の間隔が前記歯車の歯幅より小さくならないように先端の間隔を保つストッパを有することを特徴とする請求項3記載の歯車強度評価装置。
  5. 前記歯車センターリング機構は、基台と、この基台に上下移動自在に設けられた昇降台と、この昇降台に設けられ前記歯車を支持する歯車支軸と、前記基台に設けられ前記昇降台を昇降する昇降モータと、前記基台の一端から上に延ばされているセンサー用ブラケットと、このセンサー用ブラケットの上部に設けられ前記歯車の歯幅及び位置を非接触で検出する位置センサーと、この検出した歯幅及び位置情報に基づいて前記昇降モータを制御する制御部とからなることを特徴とする請求項2記載の歯車強度評価装置。
  6. 前記歯車センターリング機構は、基台と、この基台に上下移動自在に設けられた昇降台と、この昇降台に設けられ前記歯車を支持する歯車支軸と、前記基台に設けられ前記昇降台を昇降する昇降モータと、前記基台の一端から上に延ばされているセンサー用ブラケットと、このセンサー用ブラケットの上部に設けられ前記歯車の歯幅及び位置を非接触で検出する位置センサーと、この検出した歯幅及び位置情報に基づいて前記歯車の歯幅の中央に前記測定子が臨むように前記昇降モータを制御する制御部とからなることを特徴とする請求項2記載の歯車強度評価装置。
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