JP2010230249A - 温度式膨張弁および温度式膨張弁の製造方法 - Google Patents

温度式膨張弁および温度式膨張弁の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】温度式膨張弁における外気温の影響による誤作動を低減する。
【解決手段】エレメント部53の封入空間20内に、感温媒体としてのR134aとともに、感温媒体の凝縮温度を低下させる添加物としてのエタノールを封入する。これにより、感温媒体と添加物との混合物の凝縮温度を、感温媒体の凝縮温度と比べて低い値とすることができ、低外気温時でも封入空間20内の混合物が凝縮してしまうことを抑制できるので、外気温の影響による誤作動を低減することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、蒸気圧縮式冷凍サイクルに適用される温度式膨張弁と、温度式膨張弁の製造方法に関するものである。
従来、蒸気圧縮式冷凍サイクルに適用されて、蒸発器流出冷媒の過熱度が予め定めた値に近づくように、高圧冷媒を減圧膨張させる温度式膨張弁が知られている。この種の温度式膨張弁は、蒸発器流出冷媒の温度および圧力に応じて変位作動するエレメント部を備え、エレメント部によって弁体を変位させることによって、高圧冷媒を減圧膨張させる絞り通路の開度を調整している。
より具体的には、エレメント部は、温度に応じて圧力変化する感温媒体が封入された封入空間の内圧と蒸発器流出冷媒の圧力との圧力差に応じて変位するダイヤフラム(圧力応動部材)を有している。そして、このダイヤフラムの変位が、蒸発器流出冷媒の温度を感温媒体に伝達する感温棒等を介して、弁体に伝えられる。
これにより、封入空間内の感温媒体の圧力を蒸発器流出冷媒の温度に応じた圧力とし、封入空間内の内圧と蒸発器流出冷媒の圧力との圧力差によってダイヤフラムを変位させている。つまり、蒸発器流出冷媒の温度および圧力に応じてダイヤフラムを変位させて弁体を変位させることで、絞り通路の開度を調整している(例えば特許文献1)。
特許第3995828号公報
ところで、この種の温度式膨張弁では、一般的に、その外殻を形成するボデー部の内部に高圧冷媒を流通させる冷媒通路、高圧冷媒を減圧膨張させる絞り通路、蒸発器流出冷媒を流通させる冷媒通路等が形成され、さらに、感温棒、弁体等もボデー部の内部に収容される。一方、エレメント部はボデー部の外部に配置される。
よって、冬季のように、外気温が低下すると、エレメント部に形成される封入空間内の感温媒体が外気温の影響により凝縮して過冷却液相状態となってしまう。
そして、封入空間内の感温媒体が凝縮して過冷却液相状態となると、蒸発器流出冷媒の温度変化に伴って封入空間内の圧力が変化しにくくなるため、封入空間内の圧力を蒸発器流出冷媒の温度に応じた圧力としにくくなる。その結果、弁体が絞り通路の開度を適切に調節できなくなる等の誤作動が発生するという問題があった。
上記問題に鑑み、本発明は、温度式膨張弁における外気温の影響による誤作動を低減することを第1の目的とする。
また、本発明は、外気温の影響による誤作動を低減できる温度式膨張弁の製造方法を提供することを第2の目的とする。
上記目的を解決するために、請求項1に記載の発明では、蒸気圧縮式冷凍サイクルに適用されて、高圧冷媒を減圧膨張させるとともに、減圧膨張させた低圧冷媒を蒸発器(6)入口側へ流出させる温度式膨張弁であって、高圧冷媒を流通させる第1冷媒通路(51c)、第1冷媒通路(51c)に設けられて冷媒を減圧膨張させる絞り通路(51h)、および、蒸発器(6)流出冷媒を流通させる第2冷媒通路(51f)が形成されたボデー部(51)と、ボデー部(51)の外部に配置されて、温度に応じて圧力が変化する感温媒体が封入された封入空間(20)の内圧と第2冷媒通路(51f)流通冷媒の圧力との圧力差に応じて変位する圧力応動部材(53b)を有するエレメント部(53)と、圧力応動部材(53b)に連動して変位して、絞り通路(51h)の開度を調整する弁体(52a)とを備え、封入空間(20)には、感温媒体とともに、感温媒体の凝縮温度を低下させる添加物が封入されており、エレメント部(53)は、添加物が液相状態となる温度および圧力とした気相状態の感温媒体が満たされた封入空間(20)に対して、封入空間(20)内の添加物の量が予め定めた添加物用規定量となるように液相状態の添加物を封入した後に、さらに封入空間(20)内の感温媒体の量が予め定めた感温媒体用規定量となるように感温媒体を封入することによって、形成されたものであることを特徴とする。
これによれば、エレメント部(53)の封入空間(20)内に、感温媒体のみならず添加物が封入されているので、感温媒体と添加物との混合物の凝縮温度を、感温媒体の凝縮温度と比べて低い値とすることができる。よって、添加物を添加しない場合と比較して、より低い外気温下においても、封入空間(20)内の混合物が凝縮してしまうことを抑制でき、封入空間内の圧力を蒸発器流出冷媒の温度に応じた圧力とすることができる。その結果、より低い外気温下においても弁体が絞り通路の開度を適切に調節することができ、温度式膨張弁における外気温の影響による誤作動を低減することができる。
さらに、エレメント部(53)として、添加物が液相状態となる温度および圧力とした気相状態の感温媒体が満たされた封入空間(20)に対して、封入空間(20)内の添加物の量が予め定めた添加物用規定量となるように液相状態の添加物を封入した後に、さらに封入空間(20)内の感温媒体の量が感温媒体用規定量となるように感温媒体を封入することによって形成されたものを採用しているので、大気圧下あるいは大気よりも低い負圧になった際に蒸発しやすい揮発性の添加物を採用しても、封入空間(20)内に適切な量の添加物を封入できる。従って、感温媒体と添加物との混合物の凝縮温度を、感温媒体の凝縮温度と比べて適切に低下させることができる。
請求項2に記載の発明では、蒸気圧縮式冷凍サイクルに適用されて、高圧冷媒を減圧膨張させるとともに、減圧膨張させた低圧冷媒を蒸発器(6)入口側へ流出させる温度式膨張弁であって、高圧冷媒を流通させる第1冷媒通路(51c)、第1冷媒通路(51c)に設けられて冷媒を減圧膨張させる絞り通路(51h)、および、蒸発器(6)流出冷媒を流通させる第2冷媒通路(51f)が形成されたボデー部(51)と、ボデー部(51)の外部に配置されて、温度に応じて圧力が変化する感温媒体が封入された封入空間(20)の内圧と第2冷媒通路(51f)流通冷媒の圧力との圧力差に応じて変位する圧力応動部材(53b)を有するエレメント部(53)と、圧力応動部材(53b)に連動して変位して、絞り通路(51h)の開度を調整する弁体(52a)とを備え、封入空間(20)には、感温媒体とともに、感温媒体の凝縮温度を低下させる添加物が封入されており、エレメント部(53)は、添加物が液相状態となる温度および圧力とした気体が満たされた封入空間(20)に対して、封入空間(20)内の添加物の量が予め定めた添加物用規定量となるように液相状態の添加物を封入した後に、封入空間(20)から気体を抜き取り、さらに封入空間(20)内の感温媒体の量が予め定めた感温媒体用規定量となるように感温媒体を封入することによって、形成されたものであることを特徴とする。
これによれば、エレメント部(53)の封入空間(20)内に、感温媒体のみならず添加物が封入されているので、請求項1に記載の発明と同様に、温度式膨張弁における外気温の影響による誤動作を低減することができる。
さらに、エレメント部(53)として、封入空間(20)に対して、封入空間(20)内の添加物の量が予め定めた添加物用規定量となるように液相状態の添加物を封入した後に、封入空間(20)から気体を抜き取り、さらに封入空間(20)内の感温媒体の量が予め定めた感温媒体用規定量となるように感温媒体を封入することによって形成されたものを採用しているので、負圧になった際に蒸発しにくい不揮発性の添加物を採用することで、封入空間(20)内に適切な量の添加物が封入できる。従って、感温媒体と添加物との混合物の凝縮温度を、感温媒体の凝縮温度と比べて適切に低下させることができる。
請求項3に記載の発明では、蒸気圧縮式冷凍サイクルに適用されて、高圧冷媒を減圧膨張させるとともに、減圧膨張させた低圧冷媒を蒸発器(6)入口側へ流出させる温度式膨張弁であって、高圧冷媒を流通させる第1冷媒通路(51c)、第1冷媒通路(51c)に設けられて冷媒を減圧膨張させる絞り通路(51h)、および、蒸発器(6)流出冷媒を流通させる第2冷媒通路(51f)が形成されたボデー部(51)と、ボデー部(51)の外部に配置されて、温度に応じて圧力が変化する感温媒体が封入された封入空間(20)の内圧と第2冷媒通路(51f)流通冷媒の圧力との圧力差に応じて変位する圧力応動部材(53b)を有するエレメント部(53)と、圧力応動部材(53b)に連動して変位して、絞り通路(51h)の開度を調整する弁体(52a)とを備え、封入空間(20)には、感温媒体とともに、感温媒体の凝縮温度を低下させる添加物が封入されており、エレメント部(53)は、内部を満たす気体が抜き取られた封入空間(20)に対して、封入空間(20)内の感温媒体の量が予め定めた感温媒体用規定量となるように気相状態の感温媒体を封入した後に、さらに封入空間(20)内の添加物の量が予め定めた添加物用規定量となるように液相状態の添加物を封入することによって、形成されたものであることを特徴とする。
これによれば、エレメント部(53)の封入空間(20)内に、感温媒体のみならず添加物が封入されているので、請求項1に記載の発明と同様に、温度式膨張弁における外気温の影響による誤動作を低減することができる。
さらに、エレメント部(53)として、内部を満たす気体が抜き取られた封入空間(20)に対して、封入空間(20)内の感温媒体の量が予め定めた感温媒体用規定量となるように気相状態の感温媒体を封入した後に、さらに封入空間(20)内の添加物の量が予め定めた添加物用規定量となるように液相状態の添加物を封入することによって形成されたものを採用しているので、負圧になった際に蒸発しやすい揮発性の添加物を採用しても、封入空間(20)内に、適切な量の添加物が封入できる。従って、感温媒体と添加物との混合物の凝縮温度を、感温媒体の凝縮温度と比べて適切に低下させることができる。
請求項4に記載の発明では、蒸気圧縮式冷凍サイクルに適用されて、高圧冷媒を減圧膨張させるとともに、減圧膨張させた低圧冷媒を蒸発器(6)入口側へ流出させる温度式膨張弁であって、高圧冷媒を流通させる第1冷媒通路(51c)、第1冷媒通路(51c)に設けられて冷媒を減圧膨張させる絞り通路(51h)、および、蒸発器(6)流出冷媒を流通させる第2冷媒通路(51f)が形成されたボデー部(51)と、ボデー部(51)の外部に配置されて、温度に応じて圧力が変化する感温媒体が封入された封入空間(20)の内圧と第2冷媒通路(51f)流通冷媒の圧力との圧力差に応じて変位する圧力応動部材(53b)を有するエレメント部(53)と、圧力応動部材(53b)に連動して変位して、絞り通路(51h)の開度を調整する弁体(52a)とを備え、封入空間(20)には、感温媒体とともに、感温媒体の凝縮温度を低下させる添加物が封入されていることを特徴とする。
これによれば、エレメント部(53)の封入空間(20)内に、感温媒体のみならず添加物が封入されているので、請求項1に記載の発明と同様に、温度式膨張弁における外気温の影響による誤動作を低減することができる。
請求項5に記載の発明では、請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の温度式膨張弁において、感温媒体用規定量をMr(単位:モル)、添加物用規定量をMa(単位:モル)としたときに、
0.80≧Ma/(Ma+Mr)
となっていることを特徴とする。
これによれば、後述する実施形態にて説明するように、温度式膨張弁が適用される蒸気圧縮式冷凍サイクルの実使用上の環境温度範囲(外気温)において、感温媒体と添加物との混合物の凝縮温度を適切に低下させることができる。
請求項6に記載の発明では、請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の温度式膨張弁において、添加物を保持する添加物保持部材(70)を備えることを特徴とする。
これにより、添加物保持部材(70)により添加物を一時的に保持することができる。また、この添加物保持部材はエレメント部(53)に配置される封入空間(20)あるいはそれに連通する空間に配置されている。よって、温度式膨張弁の製造工程における振動等によって、封入した添加物が封入空間(20)から洩れ出てしまうような不具合を抑制することができる。
請求項7に記載の発明では、請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の発明において、圧力応動部材(53b)の変位を弁体(52a)に伝えるとともに、第2冷媒通路(51f)流通冷媒の温度を感温媒体へ伝達する感温棒(52b)を備え、感温棒(52b)の内部には、感温棒(52b)の軸方向に延びるように形成されて、封入空間(20)と連通する柱状空間(10)が形成されており、柱状空間(10)の内部には、感温棒(52b)よりも熱容量の高い材質で形成された、熱バラスト部材(71)が配置されていることを特徴とする。
これによれば、感温棒(52b)よりも熱容量の高い材質で形成された、熱バラスト部材(71)を備えることにより、感温棒(52b)から感温媒体と添加物との混合物への熱伝達速度を変更することができる。よって、弁体(52a)の急変位を抑制することができるため、冷凍サイクルの不安定な作動(ハンチング現象)を低減することができる。
請求項8に記載の発明では、請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載の発明において、圧力応動部材(53b)の変位を弁体(52a)に伝えるとともに、第2冷媒通路(51f)流通冷媒の温度を感温媒体へ伝達する感温棒(52b)を備え、 感温棒(52b)の内部には、感温棒(52b)の軸方向に延びるように形成されて、封入空間(20)と連通する柱状空間(10)が形成されており、柱状空間(10)の内部には、感温棒(52b)よりも熱伝達率の低い材質で形成された、低熱伝達率部材(60)が配置されていることを特徴とする。
これによれば、感温棒(52b)よりも熱伝達率の低い材質で形成された、低熱伝達率部材(60)を備えることにより、感温棒(52b)から感温媒体と添加物との混合物への熱伝達速度を変更することができる。よって、弁体(52a)の急変位を抑制することができるため、冷凍サイクルの不安定な作動(ハンチング現象)を低減することができる。
請求項9に記載の発明では、請求項1ないし請求項8のいずれか1つに記載の発明において、圧力応動部材(53b)の変位を弁体(52a)に伝えるとともに、第2冷媒通路(51f)流通冷媒の温度を感温媒体へ伝達する感温棒(52b)を備え、感温棒(52b)の内部には、感温棒(52b)の軸方向に延びるように形成されて、封入空間(20)と連通する柱状空間(10)が形成されており、柱状空間(10)は、圧力応動部材(53b)側の上側空間および弁体(52a)側の下側空間によって構成され、下側空間の軸方向断面の内径は、上側空間の軸方向断面の内径よりも小さく形成されていることを特徴とする。
これによれば、柱状空間(10)の下側空間の軸方向断面の内径を、上側空間の軸方向断面の内径よりも小さく形成することにより、感温棒(52b)から感温媒体と添加物との混合物への熱伝達速度が、感温棒(52b)の部位によって異なる値を取るようにできる。よって、弁体(52a)の急変位を抑制することができるため、温度式膨張弁の誤作動の1つである、冷凍サイクルの不安定な作動(ハンチング現象)を低減することができる。
請求項10に記載の発明では、蒸気圧縮式冷凍サイクルに適用されて、高圧冷媒を減圧膨張させるとともに、減圧膨張させた低圧冷媒を蒸発器(6)入口側へ流出させる機能を有し、さらに、高圧冷媒を流通させる第1冷媒通路(51c)、第1冷媒通路(51c)に設けられて冷媒を減圧膨張させる絞り通路(51h)、および、蒸発器(6)から流出した冷媒を流通させる第2冷媒通路(51f)が形成されたボデー部(51)と、ボデー部(51)の外部に配置されて、温度に応じて圧力が変化する感温媒体が封入された封入空間(20)の内圧と第2冷媒通路(51f)流通冷媒の圧力との圧力差に応じて変位する圧力応動部材(53b)を有するエレメント部(53)と、圧力応動部材(53b)に連動して変位して、絞り通路(51h)の開度を調整する弁体(52a)とを備え、封入空間(20)には、感温媒体とともに、感温媒体の凝縮温度を低下させる添加物が封入されている温度式膨張弁の製造方法であって、添加物が液相状態となる温度および圧力とした気相状態の感温媒体が満たされた封入空間(20)に対して、封入空間(20)内の添加物の量が予め定めた添加物用規定量となるように液相状態の添加物を封入する添加物封入工程と、添加物が封入された封入空間(20)内の感温媒体の量が感温媒体用規定量となるように感温媒体を封入する感温媒体封入工程とを有することを特徴とする。
これによると、添加物が液相状態となる温度および圧力とした気相状態の感温媒体が満たされた封入空間(20)に対して、封入空間(20)内の添加物の量が予め定めた添加物用規定量となるように液相状態の添加物を封入する添加物封入工程と、添加物が封入された封入空間(20)内の感温媒体の量が感温媒体用規定量となるように感温媒体を封入する感温媒体封入工程とを有しているので、請求項1に記載の発明にかかる温度式膨張弁を製造することができる。よって、外気温の影響による誤動作を低減できる温度式膨張弁の製造方法を提供することができる。
請求項11に記載の発明では、蒸気圧縮式冷凍サイクルに適用されて、高圧冷媒を減圧膨張させるとともに、減圧膨張させた低圧冷媒を蒸発器(6)入口側へ流出させる機能を有し、さらに、高圧冷媒を流通させる第1冷媒通路(51c)、第1冷媒通路(51c)に設けられて冷媒を減圧膨張させる絞り通路(51h)、および、蒸発器(6)から流出した冷媒を流通させる第2冷媒通路(51f)が形成されたボデー部(51)と、ボデー部(51)の外部に配置されて、温度に応じて圧力が変化する感温媒体が封入された封入空間(20)の内圧と第2冷媒通路(51f)流通冷媒の圧力との圧力差に応じて変位する圧力応動部材(53b)を有するエレメント部(53)と、圧力応動部材(53b)に連動して変位して、絞り通路(51h)の開度を調整する弁体(52a)とを備え、封入空間(20)には、感温媒体とともに、感温媒体の凝縮温度を低下させる添加物が封入されている温度式膨張弁の製造方法であって、添加物が液相状態となる温度および圧力とした気体が満たされた封入空間(20)に対して、封入空間(20)内の添加物の量が予め定めた添加物用規定量となるように液相状態の添加物を封入する添加物封入工程と、封入空間(20)から気体を抜き取る気体抜取工程と、封入空間(20)内の感温媒体の量が予め定めた感温媒体用規定量となるように感温媒体を封入する感温媒体封入工程とを有することを特徴とする。
これによると、添加物が液相状態となる温度および圧力とした気体が満たされた封入空間(20)に対して、封入空間(20)内の添加物の量が予め定めた添加物用規定量となるように液相状態の添加物を封入する添加物封入工程と、封入空間(20)から気体を抜き取る気体抜取工程と、封入空間(20)内の感温媒体の量が予め定めた感温媒体用規定量となるように感温媒体を封入する感温媒体封入工程とを有しているので、請求項2に記載の発明にかかる温度式膨張弁を製造することができる。よって、外気温の影響による誤動作を低減できる温度式膨張弁の製造方法を提供することができる。
請求項12に記載の発明では、蒸気圧縮式冷凍サイクルに適用されて、高圧冷媒を減圧膨張させるとともに、減圧膨張させた低圧冷媒を蒸発器(6)入口側へ流出させる機能を有し、さらに、高圧冷媒を流通させる第1冷媒通路(51c)、第1冷媒通路(51c)に設けられて冷媒を減圧膨張させる絞り通路(51h)、および、蒸発器(6)から流出した冷媒を流通させる第2冷媒通路(51f)が形成されたボデー部(51)と、ボデー部(51)の外部に配置されて、温度に応じて圧力が変化する感温媒体が封入された封入空間(20)の内圧と第2冷媒通路(51f)流通冷媒の圧力との圧力差に応じて変位する圧力応動部材(53b)を有するエレメント部(53)と、圧力応動部材(53b)に連動して変位して、絞り通路(51h)の開度を調整する弁体(52a)とを備え、封入空間(20)には、感温媒体とともに、感温媒体の凝縮温度を低下させる添加物が封入されている温度式膨張弁の製造方法であって、封入空間内部を満たす気体を抜き取る気体抜取工程と、内部を満たす気体が抜き取られた封入空間(20)に対して、封入空間(20)内の感温媒体の量が予め定めた感温媒体用規定量となるように気相状態の感温媒体を封入する感温媒体封入工程と、封入空間(20)内の添加物の量が予め定めた添加物用規定量となるように液相状態の添加物を封入する添加物封入工程とを有することを特徴とする。
これによると、封入空間内部を満たす気体を抜き取る気体抜取工程と、内部を満たす気体が抜き取られた封入空間(20)に対して、封入空間(20)内の感温媒体の量が予め定めた感温媒体用規定量となるように気相状態の感温媒体を封入する感温媒体封入工程と、封入空間(20)内の添加物の量が予め定めた添加物用規定量となるように液相状態の添加物を封入する添加物封入工程とを有しているので、請求項3に記載の発明にかかる温度式膨張弁を製造することができる。よって、外気温の影響による誤動作を低減できる温度式膨張弁の製造方法を提供することができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
本発明の第1実施形態ないし第3実施形態における温度式膨張弁の断面図である。 モル分率ηmと蒸気圧降下率P/Prとの関係を示すグラフである。 第1実施形態における温度式膨張弁の製造工程を示す図である。 第2実施形態および第3実施形態における温度式膨張弁の製造工程を示す図である。 本発明の第4実施形態における温度式膨張弁の断面図である。
(第1実施形態)
以下、本発明を蒸気圧縮式冷凍サイクルに用いられる温度式膨張弁に適用した第1実施形態について図1、2を用いて説明する。図1は、本実施形態の温度式膨張弁5の断面図である。
本実施形態では、この温度式膨張弁5を採用した蒸気圧縮式冷凍サイクル1を車両用空調装置に適用しており、図1では、温度式膨張弁5と蒸気圧縮式冷凍サイクル1の各構成機器との接続関係についても模式的に図示している。
この蒸気圧縮式冷凍サイクル1では、冷媒としてフロン系冷媒であるR134aを採用しており、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界サイクルを構成している。まず、図1に示す蒸気圧縮式冷凍サイクル1において、圧縮機2は図示しない車両走行用エンジンから電磁クラッチ等を介して駆動力を得て、冷媒を吸入して圧縮するものである。
放熱器3は、圧縮機2から吐出された高圧冷媒と図示しない冷却ファンにより送風される外気(車室外空気)とを熱交換させることで、高圧冷媒を放熱させて凝縮させる放熱用熱交換器である。放熱器3の出口側には、放熱器3流出冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離して、サイクル内の余剰液相冷媒を溜める受液器(レシーバ)4が接続されている。さらに、レシーバ4の液相冷媒出口には、温度式膨張弁5が接続されている。
この温度式膨張弁5は、レシーバ4から流出した高圧冷媒を減圧膨張させるとともに、蒸発器6流出冷媒の温度と圧力とに基づいて、蒸発器6流出冷媒の過熱度が予め定めた値に近づくように絞り通路面積(弁開度)を変化させて、蒸発器6入口側へ流出させる冷媒流量を調整するものである。尚、温度式膨張弁5の詳細構成については後述する。
蒸発器6は、温度式膨張弁5にて減圧膨張された低圧冷媒と、図示しない送風ファンによって送風された空気とを熱交換させ、低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる吸熱用熱交換器である。さらに、蒸発器6の出口側は、温度式膨張弁5の内部に形成された第2冷媒通路51fを介して、圧縮機2の吸入側に接続されている。
次に、温度式膨張弁5の詳細構成について説明する。この温度式膨張弁5は、いわゆる内部均圧式のもので、図1に示すように、ボデー部51、弁体部52およびエレメント部53等を有して構成される。
まず、ボデー部51は、温度式膨張弁5の外殻および温度式膨張弁5内の冷媒通路等を構成するもので、円柱状あるいは角柱状の金属ブロックに穴開け加工等を施して形成されている。ボデー部51には、冷媒流入口・流出口51a、51b、51d、51e、弁室51g、絞り通路51h、連通室51i、取付穴51j等が形成されている。
冷媒流入口・流出口としては、レシーバ4の液相冷媒出口に接続されて高圧液相冷媒を流入させる第1流入口51a、第1流入口51aから流入した冷媒を蒸発器6入口側へ流出させる第1流出口51bが形成されている。従って、本実施形態では、第1流入口51aから第1流出口51bへ至る冷媒通路によって、第1冷媒通路51cが形成される。
また、他の冷媒流入口・流出口として、蒸発器6から流出した低圧冷媒を流入させる第2流入口51d、第2流入口51dから流入した冷媒を圧縮機2吸入側へ流出させる第2流出口51eが形成されている。従って、本実施形態では、第2流入口51dから第2流出口51eへ至る冷媒通路によって、第2冷媒通路51fが形成される。
弁室51gは、第1冷媒通路51cに設けられて、その内部に後述する弁体部52の球状弁52aが収容される空間である。より具体的には、弁室51gは、第1流入口51aに直接連通し、絞り通路51hを介して第1流出口51bに連通している。絞り通路51hは、第1冷媒通路51cに設けられて、第1流入口51aから弁室51gへ流入した冷媒を、減圧膨張させながら弁室51g側から第1流出口51b側へ導く通路である。
連通室51iは、第2冷媒通路51fおよびボデー部51上面に形成された取付穴51jに連通するように設けられた空間である。この取付穴51jには、ボデー部51の外部から、後述するエレメント部53が取り付けられている。
弁体部52は、一方の端部に設けられた弁体である球状弁52a、エレメント部53のダイヤフラム53bに溶接、接着等の接合手段によって連結された略円柱状の感温棒52b、および、感温棒52bに同軸上に圧入等の手段よって連結されて、球状弁52aに当接する略円柱状の作動棒52cを有して構成されている。
球状弁52aは、感温棒52bおよび作動棒52cの軸方向に変位することによって、絞り通路51hの冷媒通路面積を調整する弁体である。また、弁室51gには、コイルバネ54が収容されており、このコイルバネ54は、支持部材54aを介して、球状弁52aに対して絞り通路51hを閉弁させる側に付勢する荷重をかけている。さらに、コイルバネ54による荷重は、調整ネジ54bによって調整可能になっている。
感温棒52bは、連通室51i、取付穴51jを貫通するように延びており、その外周面が、第2冷媒通路51fを流通する蒸発器6流出冷媒、および、連通室51iへ流入した蒸発器6流出冷媒に晒されるように配置されている。これにより、感温棒52bは、第2冷媒通路51fを流通する蒸発器6流出冷媒の温度をエレメント部53側へ伝達することができる。
さらに、感温棒52bの内部には、感温棒52bの軸方向へ延びるように形成された略円柱上の柱状空間10が形成されている。この柱状空間10の内壁面には、感温棒52bよりも熱伝達率の低い材質で形成された低熱伝達率部材である断熱部材60が配置されている。具体的には、断熱部材60は、ポリオキシメチレン(POM)等の樹脂を、底面を有する円筒状に成型することで形成されており、柱状空間10の内壁面に密接するように圧入されている。
また、断熱部材60の中には、感温棒52bよりも熱容量の高い材質で形成された粒状の熱バラスト部材71が充填されている。具体的には、本実施形態の熱バラスト部材71は、アルミナシリカ等の粒状のセラミックにて構成されている。
さらに、充填された熱バラスト部材71の最上面に位置付けられて、封入空間20に対向する充填面71a側には、添加物保持部材70が設置されている。添加物保持部材70は、後述する添加物を一時的に吸着して保持するもので、ポリウレタン等の多孔質樹脂にて形成されたスポンジ状部材である。
作動棒52cは、ボデー部51に連通室51i側と弁室51g側とを貫通するように形成された弁体部配置穴51kおよび絞り通路51hを貫通するように配置されている。尚、弁体部配置穴51kと弁体部52の作動棒52cとの隙間は、図示しないO−リング等のシール部材によってシールされており、弁体部52が変位しても弁体部配置穴51kと弁体部52との隙間から冷媒が漏れることはない。
エレメント部53は、取付穴51jにネジ止め等の固定手段によって取り付けられるエレメントハウジング53a、圧力応動部材であるダイヤフラム53b、エレメントハウジング53aとともにダイヤフラム53bの外縁部を狭持してエレメント部53の外殻を形成するエレメントカバー53cによって構成される。
エレメントハウジング53aおよびエレメントカバー53cは、ステンレス(SUS304)等の金属で杯状に形成され、ダイヤフラム53bの外縁部を狭持した状態で、その外周端部同士が溶接、鑞付け等の接合手段によって一体に接合されている。従って、エレメントハウジング53aおよびエレメントカバー53cによって形成されるエレメント部53の内部空間は、ダイヤフラム53bによって2つの空間に区画される。
この2つの空間のうち、エレメントカバー53cとダイヤフラム53bとによって形成される空間は、蒸発器6流出冷媒の温度に応じて圧力変化する感温媒体および感温媒体の凝縮温度を低下させる添加物が封入される封入空間20である。なお、感温媒体および添加物の詳細については後述する。さらに、封入空間20は、ダイヤフラム53bの中心部に形成されてダイヤフラム53bの表裏を貫通する貫通穴を介して、感温棒52bの内部に形成された柱状空間10と連通している。
一方、エレメントハウジング53aとダイヤフラム53bとによって形成される空間は、連通室51iと連通して蒸発器6流出冷媒を導入させる導入空間30である。従って、柱状空間10および封入空間20に封入された感温媒体および添加物の混合物には、感温棒52bを介して、第2冷媒通路51fを流通する蒸発器6流出冷媒の温度が伝達されるだけでなく、ダイヤフラム53bを介して、導入空間30に導入された蒸発器6流出冷媒の温度も伝達される。
従って、柱状空間10および封入空間20の内圧は、蒸発器6流出冷媒の温度に応じた圧力となる。そして、ダイヤフラム53bは、柱状空間10および封入空間20の内圧と導入空間30へ流入した蒸発器6流出冷媒の圧力との差圧に応じて変位する。このため、ダイヤフラム53bは弾性に富み、かつ熱伝導が良好で、強靱な材質にて形成することが好ましく、例えば、ステンレス(SUS304)等の金属薄板にて形成される。
また、図1に示すように、エレメントカバー53cには、封入空間に感温媒体および添加物を充填するための充填穴53dが形成されている。この充填穴53dは、封入空間20および柱状空間10内(以下、単に封入空間20内と記載する。)に、感温媒体および添加物が封入された状態で、封止プラグ53eによって閉塞されている。
次に、封入空間20内に封入される感温媒体および添加物について説明する。本実施形態では、感温媒体として蒸気圧縮式冷凍サイクル1を循環する冷媒(R134a)を採用しており、封入空間20内の感温媒体の量が予め定めた感温媒体用規定量となるように封入している。この感温媒体用規定量は、封入空間20内の内圧が蒸発器6流出冷媒の温度に応じて所定の圧力範囲で変化するように決定される値である。
また、感温媒体の凝縮温度を低下させる添加物としては、エタノール(CO)を採用しており、封入空間20内の添加物の量が予め定めた添加物用規定量となるように封入している。なお、エタノールは、大気圧下でも蒸発しやすい揮発性の添加物である。さらに、本実施形態では、添加物用規定量を、ラウールの法則を用いて決定している。ここで、ラウールの法則とは、溶液の蒸気圧降下は溶液の溶質の濃度に比例するという法則であり、以下、式F1および式F2で表される。
ηm=β×Wr/{(1−β)×Wa+β×Wr} …(F1)
P=Pr(1−ηm) …(F2)
なお、Wrは封入空間20内に封入される感温媒体の分子量、Waは封入空間20内に封入される添加物の分子量、βは封入空間20内に封入される混合物に対する添加物の質量割合である。また、Prは、純粋な感温媒体の飽和蒸気圧であり、Pは混合物の飽和蒸気圧である。
従って、式F1におけるηmは封入空間20内に封入される混合物に対する添加物のモル分率を示している。そして、式F2から明らかなように、感温媒体と添加物との混合物における感温媒体の飽和蒸気圧は、添加物のモル分率ηmの増加に伴って低下する。換言すると、感温媒体と添加物との混合物における添加物のモル分率を増加させることによって、混合物における感温媒体の凝縮温度を低下させることができる。
そこで、本実施形態では、封入空間20内に封入する感温媒体の感温媒体用規定量をMr(単位:モル)、封入空間20内に封入する添加物の添加物用規定量をMa(単位:モル)としたときに、以下式F3に示す関係を満たすようにしている。
0.80≧Ma/(Ma+Mr) …(F3)
なお、式F3の右辺は、感温媒体と添加物との混合物における添加物のモル分率ηmに相当する値であり、左辺の0.8という数値は、不必要に凝縮温度を低下させないために設定された値である。
このことを、図2を用いて説明する。図2は、モル分率ηmの変化に伴う純粋な感温媒体の飽和蒸気圧Prに対する混合物の飽和蒸気圧Pの蒸気圧降下率P/Prを示すグラフである。図2から明らかなように、ηmを0.8程度まで増加させると、蒸気圧降下率P/Prは0.2程度となる。ここで、本実施形態の感温媒体である純粋なR134aの0℃における飽和蒸気圧Prを0.2倍すると、およそ−25℃における飽和蒸気圧に対応する値となる。従って、ηmを0.8程度まで増加させると、仮に、封入空間20内の混合物の温度が−25℃程度まで低下しても、封入空間20内の混合物が凝縮することはない。
その一方で、本実施形態では、蒸気圧縮式冷凍サイクル1を循環する冷媒としてもR134aを採用している。このため、仮に、外気温が−25℃となって、放熱器3にて高圧冷媒が−25℃程度まで温度低下してしまうと、高圧冷媒の圧力が大気圧あるいはそれ以下となるまで低下してしまい蒸発器6における冷媒蒸発圧力との差がなくなってしまう。すなわち、蒸気圧縮式冷凍サイクル1が破綻してしまう。従って、外気温が低下して封入空間20内の混合物の温度が−25程度まで低下した場合に、混合物の凝縮を抑制する必要は生じない。
そこで、本実施形態では、上記の式F3を満たすように、モル分率ηmを決定し、決定されたモル分率ηmと、感温媒体用規定量Mrの値から添加物用規定量Maを決定している。より具体的には、本実施形態では、封入空間20内の容積を1ccとしたときに、添加物としてのエタノールを0.1g封入している。
もちろん、添加物を封入する際の封入誤差を勘案して、0.90≧Ma/(Ma+Mr)を満たすようにMaを決定してもよい。さらに、Ma/(Ma+Mr)の下限値としては、蒸気圧縮式冷凍サイクル1が適用される環境の最低外気温に応じて選定することができる。例えば、最低外気温が−1℃である想定される場合には、さらに、Ma/(Ma+Mr)≧0.1を満たすように設定すればよい。つまり、蒸気圧縮式冷凍サイクル1の実使用上温度範囲を鑑みれば、添加物用規定量Maは、0.90≧Ma/(Ma+Mr)≧0.1の範囲で決定できる。
また、上述の説明から明らかなように、図2に示す蒸気圧降下率P/Prの変化は、添加物の種類によらずモル分率ηmに依存するものである。従って、上述の添加物用規定量Maの決定可能範囲は、エタノール以外の添加物においても適用可能である。
次に本実施形態における温度式膨張弁5の製造方法について説明する。
まず、予め、図1に示す状態からエレメントカバー53cの充填穴53dが封止プラグ53eにて封止されていない状態の温度式膨張弁5を用意する。もちろん、この状態では封入空間20内に感温媒体および添加物は封入されていない。これに対して、柱状空間10の内部には、断熱部材60、バラスト部材71および添加物保持部材70が取り付けられている。
具体的には、柱状空間10の内壁面に、底付円筒状の断熱部材60を圧入し、次に、断熱部材60の内部に、粒状の熱バラスト部材71を充填し、その後、熱バラスト部材71の充填面71aに突き当たるまで、添加物保持部材70を圧入する。尚、断熱部材60、バラスト部材71および添加物保持部材70は、ダイヤフラム53bと感温棒52bの上側面とをレーザー溶接等にて接合した後に、ダイヤフラム53bに設けた貫通孔を介して取り付けられることが望ましい。その理由は、ダイヤフラム53bと感温棒52bの上側面とを接合する際の溶接熱によって断熱部材60、バラスト部材71および添加物保持部材70が劣化してしまうことを回避できるからである。
次に、エレメント部53の内部に形成された封入空間20への感温媒体および添加物の封入工程について図3を用いて説明する。図3は、本実施形態における封入空間20への感温媒体および添加物の封入工程を示す図である。
まず、封入工程に用いる封入装置100について説明する。封入装置100は、内部の気密を保つことが可能であり、内部にて封入作業を行う気密ケース101を備えている。そして、気密ケース101には、気密ケース101内部に封入工程前の温度式膨張弁5を搬入する入口エアシャッター101aと、気密ケース101内部から封入が完了した温度式膨張弁5を搬出する出口エアシャッター101bが設けられている。尚、入口エアシャッター101aおよび出口エアシャッター101bは、気密ケース101内部の気密を保持可能なエアシャッターである。そして、入口エアシャッター101aには、封入工程前の温度式膨張弁5を搬送する入口側搬送手段102aが接続されている。また、出口エアシャッター101bには、封入が完了した温度式膨張弁5を搬送する出口側搬送手段102bが接続されている。気密ケース101内には、入口エアシャッター101aと出口エアシャッター101bとの間を接続するケース内搬送手段102cが設置されている。これらの搬送手段としては、ベルトコンベア等を用いることができる。
気密ケース101の内部には、添加物封入装置103と、感温媒体封入装置104とが設置されている。
添加物封入装置103は、充填穴53dへと挿入される添加物封入ノズル103aと、添加物封入ノズル103aを上下させる添加物封入アーム103bと、添加物封入ノズル103aより射出される添加物の射出圧力および射出量を調整する添加物コントローラ103cとから構成されている。そして、添加物コントローラ103cには、外部に設置され、その内部に添加物であるエタノール(CO)が充填された密閉容器である添加物タンク103dが接続されている。尚、添加物タンク103dと添加物コントローラ103cとの間には、添加物タンク103dに充填された添加物を吸引し、添加物コントローラ103cに対して加圧する添加物ポンプ103eが介在している。そして、添加物タンク103dと添加物ポンプ103eは、添加物であるエタノール(CO)によって劣化しない材質にて形成された添加物ホース103fにて接続されている。そして、添加物ポンプ103eと添加物コントローラ103cとは、添加物であるエタノール(CO)によって劣化しない材質にて形成された添加物ホース103gにて接続されている。
感温媒体封入装置104は、エレメントカバー53cに密着する円筒形状の感温媒体シールド104aを備えている。尚、感温媒体シールド104aのエレメントカバー53cと接触する部位には、図示しないパッキンが組み付けられている。そして、感温媒体シールド104aの上部には感温媒体の流量および圧力を調整する感温媒体コントローラ104cが備え付けられており、感温媒体シールド104aは、エレメントカバー53cと感温媒体コントローラ104cとの間の気密を保持している。また、感温媒体シールド104aは、感温媒体コントローラ104cより上下方向に伸縮可能に構成されており、上下方向に伸縮することにより、エレメントカバー53cに密着し、封入作業後は離脱することができる。
感温媒体シールド104aの内部には、感温媒体コントローラ104cより下降し、充填孔53dに封止プラグ53eを圧入後、スポット溶接にて密封固定する封止プラグアーム104bが備え付けられている。また、感温媒体シールド104aの内部には、感温媒体シールド104aの内部に感温媒体を噴出する感温媒体噴出ノズル104dが設置されている。感温媒体噴出ノズル104dは、感温媒体コントローラ104cに接続されており、感温媒体コントローラ104cにて流量及び圧力が調節された感温媒体を噴出する。
そして、感温媒体コントローラ104cには、外部に設置され、その内部に感温媒体であるR134aが充填された密閉容器である感温媒体タンク104eが接続されている。尚、感温媒体タンク104eと感温媒体コントローラ104cとの間には、感温媒体タンク104eに充填された添加物を吸引し、感温媒体コントローラ104cに対して加圧する感温媒体ポンプ104fが介在している。そして、感温媒体タンク104eと感温媒体ポンプ104fは、感温媒体であるR134aによって劣化しない材質にて形成された感温媒体ホース104gにて接続されている。そして、感温媒体ポンプ104fと感温媒体コントローラ104cとは、感温媒体であるR134aによって劣化しない材質にて形成された感温媒体ホース104hにて接続されている。
気密ケース101の内部には、気密ケース101の内部を満たす感温媒体を噴出する気密ケース内感温媒体噴出ノズル105が設けられている。気密ケース内感温媒体噴出ノズル105には、R134aが充填された密閉容器である感温媒体タンク104eが接続されている。尚、感温媒体タンク104eと気密ケース内感温媒体噴出ノズル105との間には、感温媒体タンク104eに充填された添加物を吸引し、気密ケース内感温媒体噴出ノズル105に対して加圧する気密ケース内感温媒体ポンプ105aが介在している。また、気密ケース内感温媒体噴出ノズル105と気密ケース内感温媒体ポンプ105aとの間には、気密ケース101内の感温媒体圧力を調節する感温媒体圧力調節弁105bが設けられている。
次に封入装置100を用いた封入工程について説明する。まず、図示しない空気抜き穴から気密ケース内の気体(大気)を抜きながら、気密ケース内感温媒体噴出ノズル105より気相状態の感温媒体を噴出することによって、気密ケース101内を感温媒体でパージする。これにより、気密ケース101内は感温媒体にて満たされた状態となる。このとき、気密ケース101内の感温媒体圧力は1気圧となるように感温媒体圧力調節弁105bにて調節されている。そして、封入工程前の温度式膨張弁5を入口側搬送手段102a上へとセットする。すると、温度式膨張弁5は、入口エアシャッター101aを通過し、気密ケース101内へと搬入される。
気密ケース101内へと搬入された温度式膨張弁5の封入空間20の内部は、気密ケース101内に満たされた感温媒体によって置換される。これにより、封入空間20の内部は、感温媒体にて満たされた状態となる。その後、温度式膨張弁5は、ケース内搬送手段102cにより、添加物封入装置103の下方側へと運ばれる。そして、添加物封入ノズル103aを充填孔53dへと挿入する。添加物コントローラ103cは、封入空間20内の添加物の量が、前述した添加物用規定量Maとなるまで、添加物封入ノズル103aより液相状態の添加物を吐出する。
このとき、充填穴53dを介して充填した添加物が、熱バラスト部材71の充填面71a上に圧入固定された、添加物保持部材70に吸着されるように、添加物封入ノズル103aを添加物保持部材70に接する位置まで下げるようにしてもよい。そして、添加物を所定量充填された後、添加物封入ノズル103aを充填孔53dから抜く。これにより、添加物封入工程が完了する。
次に、ケース内搬送手段102cは温度式膨張弁5を感温媒体封入装置104の下方側へ搬送する。温度式膨張弁5が感温媒体封入装置104の下方側へと搬送されると、感温媒体コントローラ104cは、感温媒体シールド104aを下降させることにより、感温媒体コントローラ104cとエレメントカバー53cとの間にて気密空間を形成する。感温媒体コントローラ104cとエレメントカバー53cとの間の気密を確認した後に、感温媒体噴出ノズル104dより気相状態の感温媒体を吐出する。そして、封入空間20内の感温媒体の量が、感温媒体用規定量Mrとなるまで、充填を行う。充填が完了した後に、感温媒体コントローラ104cは、封止プラグアーム104bを加工させ、充填穴53dへと封止プラグ53eを圧入する。そして、圧入後、封止プラグ53eをスポット溶接することにより密封固定する。これにより、感温媒体封入工程が完了する。
感温媒体封入工程が完了した後に、ケース内搬送手段102cは、温度式膨張弁5を出口エアシャッター101bへと搬送する。そして、温度式膨張弁5は出口エアシャッター101bを通過し、出口側搬送手段102bによって搬出される。
上記工程により、温度式膨張弁5を製造することができる。
次に、上記構成における本実施形態の作動について説明する。圧縮機2が車両エンジンの駆動力により回転駆動されると、圧縮機2から吐出された高温高圧冷媒は、放熱器3に流入し、冷却ファンにより送風された外気と熱交換して、放熱して凝縮する。放熱器3から流出した冷媒はレシーバ4にて気液分離される。
レシーバ4から流出した高圧液相冷媒は、温度式膨張弁5の第1流入口51aから弁室51gへ流入し、絞り通路51hにて減圧膨張される。この際、絞り通路51hの冷媒通路面積は、後述するように、蒸発器6流出冷媒の過熱度が予め定めた値に近づくように調整されている。
絞り通路51hにて減圧膨張された低圧冷媒は、第1流出口51bから流出して蒸発器6へ流入する。蒸発器6へ流入した冷媒は、送風ファンによって送風された空気から吸熱して蒸発する。さらに、蒸発器6から流出した冷媒は、第2流入口51dから温度式膨張弁5へ流入する。
ここで、第2流入口51dから連通室51iへ流入した蒸発器6流出冷媒の過熱度が上昇すると、柱状空間10および封入空間20に封入された感温媒体の飽和圧力が上昇して、柱状空間10および封入空間20の内圧から導入空間30の圧力を差し引いた差圧が大きくなる。これにより、ダイヤフラム53bは、弁体部52が絞り通路51hを開弁さ
せる方向(図1では下方)へ変位する。
逆に、蒸発器6流出冷媒の過熱度が低下すると、封入空間20に封入された感温媒体の飽和圧力が低下して、柱状空間10および封入空間20の内圧から導入空間30の圧力を差し引いた差圧が小さくなる。これにより、ダイヤフラム53bは、弁体部52が絞り通路51hを閉弁させる方向(図1では上方)へ変位する。
このように蒸発器6流出冷媒の過熱度に応じてエレメント部53(具体的には、ダイヤフラム53b)が弁体部52を変位させることによって、蒸発器6流出冷媒の過熱度が予め定めた値に近づくように絞り通路51hの通路面積が調整される。尚、調整ネジ54bによって、コイルバネ54から弁体部52にかかる荷重を調整することで、弁体部52の開弁圧を変更して、予め定めた過熱度の値を変更することもできる。
第2流出口51eから流出した冷媒は、圧縮機2に吸入されて再び圧縮される。一方、図示しない送風ファンによって送風された空気は、蒸発器6にて冷却され、さらに、蒸発器6の空気流れ下流側に配置された図示しない加熱手段(例えば、温水ヒータコア等)によって目標温度まで温調されて、空調対象空間である車室内へ吹き出される。
ところで、本実施形態の温度式膨張弁5では、エレメント部53がボデー部51の外部に配置されているので、エレメントカバー53cとダイヤフラム53bとによって形成される封入空間20内の感温媒体の温度は、外気温の影響を受けやすい。例えば、冬季のように、感温棒52bおよびダイヤフラム53bから感温媒体に伝達される温度よりも外気温が低下すると、封入空間20内の感温媒体が凝縮して過冷却液相状態となってしまう。
そして、この過冷却液相状態となった感温媒体が柱状空間10内の液相状態の感温媒体と熱的に接触してしまうと、柱状空間10内の冷媒温度が低下して、柱状空間10内および封入空間20内の感温媒体の飽和圧力が低下してしまう。その結果、球状弁52aが絞り通路51hを閉弁する側に変位して所望の弁開度を実現できず、冷凍サイクルの作動が不安定になってしまうことが懸念される。
これに対して、本実施形態の温度式膨張弁5では、エレメント部53の封入空間20内に、感温媒体のみならず添加物が封入されているので、感温媒体と添加物との混合物の凝縮温度を、感温媒体の凝縮温度と比べて低い値とすることができる。よって、添加物を添加しない場合と比較して、より低い外気温下においても、封入空間20内の混合物が凝縮してしまうことを抑制でき、封入空間内の圧力を蒸発器流出冷媒の温度に応じた圧力とすることができる。その結果、より低い外気温下においても弁体が絞り通路の開度を適切に調節することができ、温度式膨張弁における外気温の影響による誤作動を低減することができる。
さらに、本実施形態の温度式膨張弁5では、上記の式F3を満たすように、モル分率ηmを決定し、決定されたモル分率ηmと、感温媒体用規定量Mrの値から添加物用規定量Maを決定しているので、温度式膨張弁が適用される蒸気圧縮式冷凍サイクルの実使用上の環境温度範囲(外気温)において、感温媒体と添加物との混合物の凝縮温度を不必要に低下させない。これにより、封入空間20と柱状空間10内の容積のうち、感温媒体の占める容積を不必要に低下させないので、封入空間20内への感温媒体の封入精度を向上できる。
さらに、本実施形態の温度式膨張弁5では、上述した添加物封入工程および感温媒体封入工程を有する製造工程によって、温度式膨張弁5を製造している。換言すると、エレメント部53として、添加物が液相状態となる温度および圧力とした気相状態の感温媒体が満たされた封入空間20に対して、封入空間20内の添加物の量が予め定めた添加物用規定量となるように液相状態の添加物を封入した後に、さらに封入空間20内の感温媒体の量が予め定めた感温媒体用規定量となるように感温媒体を封入することによって形成されたものを採用しているので、エタノールのような揮発性の添加物を採用しても、封入空間20内に適切な量の添加物を封入できる。従って、感温媒体と添加物との混合物の凝縮温度を、感温媒体の凝縮温度と比べて適切に低下させることができる。
さらに、本実施形態の温度式膨張弁5では、添加物保持部材70を備えているので、製造工程時に添加物を一時的に保持することができる。従って、例えば、温度式膨張弁5の製造工程中の搬送過程における振動等によって、封入した添加物が封入空間20から洩れ出てしまうような不具合を抑制することができる。
さらに、本実施形態の温度式膨張弁5では、断熱部材60および熱バラスト部材71を備えているので、感温棒52bから感温媒体と添加物との混合物への熱伝達速度を遅延させることができる。よって、弁体52aの急変位を抑制することができるため、冷凍サイクルの不安定な作動(ハンチング現象)を低減することもできる。
(第2実施形態)
第1実施形態では、温度式膨張弁への感温媒体および添加物を封入する封入工程において、封入空間内が感温媒体にて満たされた状態にて、液相状態の添加物であるエタノールを封入する添加物封入工程の後に、気相状態の感温媒体を封入する感温媒体封入工程を行う例を説明したが、本実施形態では、液相状態の添加物であるシリコンオイルを封入する添加物封入工程の後に、封入空間内の気体を抜き取る気体抜取工程を行い、気相状態の感温媒体を封入とする感温媒体封入工程を行う例を説明する。尚、温度式膨張弁5の構造は、第1実施形態の図1と同様である。
本実施形態における、温度式膨張弁への感温媒体および添加物の封入工程について、図4を用いて以下に詳しく説明する。図4は、本実施形態における封入空間20への感温媒体および添加物の封入工程を示す図である。
まず、封入工程に用いる封入装置200について説明する。封入装置200は、温度式膨張弁5を搬送する搬送手段201と、添加物封入工程と気体抜取工程と感温媒体封入工程とを切換可能な封入シリンダ202とを備えている。
封入シリンダ202は、エレメントカバー53cに密着する円筒形状の封入シールド202aを備えている。封入シールド202aのエレメントカバー53cと接触する部位には、図示しないパッキンが組み付けられている。そして、封入シールド202aの上部には感温媒体と添加物の流量および圧力を調整する封入コントローラ203が備え付けられており、封入シールド202aは、エレメントカバー53cと封入コントローラ203との間の気密を保持している。また、封入シールド202aは、封入コントローラ203より上下方向に伸縮可能に構成されており、上下方向に伸縮することにより、エレメントカバー53cに密着し、封入作業後は離脱することができる。
封入シールド202aの内部には、封入コントローラ203より下降する封入アーム204が備え付けられている。また、封入アーム204の先端部には、充填孔53dに封止プラグ53eを圧入後、スポット溶接にて密封固定する封止プラグ圧入シャフト205と、充填穴53dへと挿入され、封入空間20内へ添加物を吐出する添加物封入ノズル206とが組みつけられている。そして、封入アーム204が回転することにより、封止プラグ圧入シャフト205と添加物封入ノズル206のどちらが充填孔53d上へと位置するように、切換可能になっている。添加物封入ノズル206には、封入コントローラ203を介して添加物タンク213が接続されている。また、封入コントローラ203と添加物タンク213との間には、添加物タンク213に充填された添加物を吸引し、封入コントローラ203に対して加圧する添加物ポンプ207が介在している。
封入シールド202aの内部には、感温媒体を吐出する感温媒体ノズル208が設けられている。感温媒体ノズル208には、封入コントローラ203を介して感温媒体タンク209が接続されている。また、封入コントローラ203と感温媒体タンク209との間には、感温媒体タンク209に充填された感温媒体を吸引し、封入コントローラ203に対して加圧する感温媒体ポンプ210が介在している。
また、封入シールド202aの内部には、封入シールド202a内より気体を抜き取る真空ポンプ211と接続された抜取ノズル212が備えられている。
次に封入装置200を用いた封入工程について説明する。まず、封入シリンダ202の下に、搬送手段201によって温度式膨張弁5が搬送される。その後、封入コントローラ203は、封入シールド202aを下降させることにより、封入コントローラ203とエレメントカバー53cとの間にて気密空間を形成する。封入コントローラ203とエレメントカバー53cとの間の気密を確認した後に、封入アーム204を下降させる。この時、封入アーム204の先端は回転することにより、充填孔53dの上部に添加物ノズル206がセットされた状態に切り替える。
そして、添加物ノズル206の先端部を充填孔53dへと挿入する。封入コントローラ203は、封入空間20内の添加物の量が、添加物用規定量Maとなるまで、添加物ノズル206より液相状態の添加物を吐出する。尚、本実施形態の添加物用規定量Maについても、第1実施形態にて説明した式F3を満たすように決定されている。また、この添加物封入工程では、充填穴53dを介して充填した添加物が、熱バラスト部材71の充填面71a上に圧入固定された、添加物保持部材70に吸着されるように、添加物ノズル206先端部が添加物保持部材70に接する位置まで下げるようにしてもよい。そして、添加物を所定量充填した後、添加物ノズル206を上昇させる。これにより、添加物封入工程が完了する。
次に、封入空間20より気体を抜き取る気体抜取工程を行う。具体的には、真空ポンプ211を動作させることにより、抜取ノズル212を通じて、封入シリンダ202内の圧力が10−3Pa以下である低真空状態となるまで、封入シリンダ202内の気体を抜き取る。そして、封入シリンダ202内の圧力が10−3Pa以下となったことを確認した後、真空ポンプ211を停止させる。尚、好ましくは、封入空間20の油汚染を避けるため、吸引機構に油を用いない、ドライポンプを用いるとよい。
次に、封入空間20内に気相状態の感温媒体を封入する感温媒体封入工程を行う。具体的には、封入コントローラ203とエレメントカバー53cとの間にて気密が保たれた状態にて、封入コントローラ203は、感温媒体ノズル208より感温媒体を吐出する。そして、封入空間20内の感温媒体の量が、感温媒体と添加物との混合気体の凝縮温度が所定の温度となる、所定量となるまで、充填を行う。充填が完了した後に、封入コントローラ203は、封止アーム204を下降させ、充填穴53dへと封止プラグ53eを圧入する。そして、圧入後、封止プラグ53eをスポット溶接することにより密封固定する。これにより、感温媒体封入工程が完了する。そして、感温媒体封入工程が完了した後に、搬送手段201は、温度式膨張弁5を搬出する。
上記工程により、温度式膨張弁5を製造することができる。
尚、本実施形態においては、封入空間20内に添加物を充填した後に、封入空間20内を10−3Pa以下まで減圧する。そのため、添加物としては、10−3Pa以下でも揮発しにくい物質とする必要がある。よって、本実施形態では、蒸気圧縮式冷凍サイクル1の圧縮機1の潤滑用に用いられるコンプレッサオイルである、シリコンオイルを用いている。
本実施形態では、エレメント部53の封入空間20内に、感温媒体のみならず添加物が封入されているので、第1実施形態と同様に、温度式膨張弁における外気温の影響による誤作動を低減することができる。さらに、上記の式F3を満たすように、モル分率ηmを決定しているので、感温媒体と添加物との混合物の凝縮温度を不必要に低下させない。
さらに、本実施形態の温度式膨張弁5では、上述した添加物封入工程、気体抜取工程および感温媒体封入工程を有する製造工程によって、温度式膨張弁5を製造している。つまり、エレメント部53として、封入空間20に対して、封入空間20内の添加物の量が予め定めた添加物用規定量となるように液相状態の添加物を封入した後に、封入空間20から気体を抜き取り、さらに封入空間20内の感温媒体の量が予め定めた感温媒体用規定量となるように感温媒体を封入することによって形成されたものを採用し、さらに、負圧になった際に蒸発しにくい不揮発性の添加物を採用しているので、封入空間20内に適切な量の添加物を封入できる。従って、感温媒体と添加物との混合物の凝縮温度を、感温媒体の凝縮温度と比べて適切に低下させることができる。
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、添加物保持部材70を備えていることによる添加物保持効果、および、柱状空間10内部に熱バラスト部材71と断熱部材60を配置したことによるハンチング現象低減効果を得ることができる。
(第3実施形態)
第1実施形態では、温度式膨張弁への感温媒体および添加物を封入する封入工程において、封入空間内が感温媒体にて満たされた状態にて、液相状態の添加物を封入する添加物封入工程の後に、気相状態の感温媒体を封入する感温媒体封入工程を行う例を説明したが、本実施形態では、封入空間内より気体を抜き取る気体抜取工程を行い、その後に、気相状態の感温媒体を封入とする感温媒体封入工程を行った後に、液相状態の添加物を封入する添加物封入工程を行う例を説明する。尚、温度式膨張弁5の構造は、第1実施形態の図1と同様である。
本実施形態における、温度式膨張弁への感温媒体および添加物の封入工程について、図4を用いて以下に詳しく説明する。図4は、本実施形態における封入空間20への感温媒体および添加物の封入工程を示す図である。尚、本実施形態における、温度式膨張弁への感温媒体および添加物の封入工程は、第2実施形態と同様の封入装置200を用いて行う。
まず、封入シリンダ202の下に、搬送手段201によって温度式膨張弁5が搬送される。その後、封入コントローラ203は、封入シールド202aを下降させることにより、封入コントローラ203とエレメントカバー53cとの間にて気密空間を形成する。
次に、封入空間20より気体を抜き取る気体抜取工程を行う。具体的には、真空ポンプ211を動作させることにより、抜取ノズル212を通じて、封入シリンダ202内の圧力が10−3Pa以下である低真空状態となるまで、封入シリンダ202内の気体を抜き取る。そして、封入シリンダ202内の圧力が10−3Pa以下となったことを確認した後、真空ポンプ211を停止させる。
次に、封入空間20内に気相状態の感温媒体を封入する感温媒体封入工程を行う。具体的には、封入コントローラ203とエレメントカバー53cとの間にて気密が保たれた状態にて、封入コントローラ203は、感温媒体ノズル208より感温媒体を吐出する。そして、封入空間20内の感温媒体の量が、感温媒体と添加物との混合気体の凝縮温度が所定の温度となる、所定量となるまで、充填を行う。これにより、感温媒体封入工程が完了する。
次に、封入空間20内に液相状態の添加物を封入する添加物封入工程を行う。具体的には、封入コントローラ203とエレメントカバー53cとの間にて気密が保たれた状態にて、封入アーム204を下降させる。この時、封入アーム204の先端は回転することにより、充填孔53dの上部に添加物ノズル206がセットされた状態に切り替える。そして、添加物ノズル206の先端部を充填孔53dへと挿入する。封入コントローラ203は、封入空間20内の液相状態の添加物であるエタノール(CO)の量が、所定量となるまで、添加物ノズル206より添加物を吐出する。尚、充填穴53dを介して充填した添加物が、熱バラスト部材71の充填面71a上に圧入固定された、添加物保持部材70に吸着されるように、添加物ノズル206先端部が添加物保持部材70に接する位置まで下げるようにしてもよい。そして、添加物を所定量充填した後、添加物ノズル206を上昇させる。これにより、添加物封入工程が完了する。
そして、感温媒体及び添加物の封入が完了した後に、封入コントローラ203は、封止アーム204を下降させ、充填穴53dへと封止プラグ53eを圧入する。そして、圧入後、封止プラグ53eをスポット溶接することにより密封固定する。その後、感温媒体封入工程が完了した後に、搬送手段201は、温度式膨張弁5を搬出する。
上記工程により、温度式膨張弁5を製造することができる。
本実施形態では、エレメント部53の封入空間20内に、感温媒体のみならず添加物が封入されているので、第1実施形態と同様に、温度式膨張弁における外気温の影響による誤作動を低減することができる。さらに、上記の式F3を満たすように、モル分率ηmを決定しているので、感温媒体と添加物との混合物の凝縮温度を不必要に低下させない。
さらに、本実施形態の温度式膨張弁5では、上述した気体抜取工程、感温媒体封入工程および添加物封入工程を有する製造工程によって、温度式膨張弁5を製造している。つまり、エレメント部53として、内部を満たす気体が抜き取られた封入空間20に対して、封入空間20内の感温媒体の量が予め定めた感温媒体用規定量となるように気相状態の感温媒体を封入した後に、さらに封入空間20内の添加物の量が予め定めた添加物用規定量となるように液相状態の添加物を封入することによって形成されたものを採用しているので、蒸発しやすい揮発性の添加物を採用しても、封入空間20内に適切な量の添加物を封入できる。従って、感温媒体と添加物との混合物の凝縮温度を、感温媒体の凝縮温度と比べて適切に低下させることができる。
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、添加物保持部材70を備えていることによる添加物保持効果、および、柱状空間10内部に熱バラスト部材71と断熱部材60を配置したことによるハンチング現象低減効果を得ることができる。
(第4実施形態)
第1実施形態では、感温棒52bの内部には、感温棒52bの軸方向へ延びるように形成された略円柱上の柱状空間10が形成された例を説明したが、本実施形態では、柱状空間10は、圧力応動部材53b側の上側空間および弁体52a側の下側空間によって構成され、下側空間の軸方向断面の内径は、上側空間の軸方向断面の内径よりも小さく形成されている例を説明する。また、第1実施形態では、柱状空間10の内壁面には断熱部材60が組みつけられ、その内部に充填された熱バラスト部材71の充填面には添加物を保持する添加物保持部材70を備える例を説明したが、本実施形態では、柱状空間10の内壁面に断熱部材60が組みつけられている例を説明する。尚、上記相違点以外の構成および感温媒体と添加物の封入方法は、第1実施形態と同一である。
以下に、本実施形態における柱状空間について図5を用いて説明する。図5は、本実施形態における温度式膨張弁を示す断面図である。
感温棒52bの内部には、感温棒52bの軸方向へ延びるように柱状空間10が形成されている。そして、柱状空間10のエレメント部53側より長手方向に向かう途中には、柱状空間10の内径が変化している小径部80が設けられている。柱状空間10は、小径部80を境に、エレメント部53側と比較して内径が細く形成されている。
柱状空間10の内部には、樹脂にて形成された断熱部材60が圧入されている。断熱部材60は、柱状空間10の内壁面に密着するよう、柱状空間10の内径の変化にあわせた形状に整形されている。
本実施形態では、エレメント部53の封入空間20内に、感温媒体のみならず添加物が封入されているので、第1実施形態と同様に、温度式膨張弁における外気温の影響による誤作動を低減することができる。また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、断熱部材60を配置したことによるハンチング現象低減効果を得ることができる。
さらに、本実施形態においては、感温棒52bの内部に断熱部材60が設けられているため、急激な冷媒温度の変化によるハンチング現象も軽減することができる。また、本実施形態においては、柱状空間10の内径が一定ではなく、内径が小である部位が設けられている。この部位では、感温棒52bから感温媒体と添加物との混合物への熱伝達速度を遅らせることができるので、より一層、急激な冷媒温度の変化によるハンチング現象を低減することができる。
(他の実施形態)
上記実施形態では、冷媒としてフロン系冷媒であるR134aを採用した例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、R410A、R404A、R152a、R744、R600a等を採用してもよい。さらに、感温媒体として、上記の冷媒を採用してもよい。
また、上記実施形態では、添加物としてエタノール(CO)、シリコンオイルを封入した例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、メタノール、プロパノール等の他のアルコール類あるいは冷凍サイクルに用いられる圧縮機循環用の他のコンプレッサオイル等でもよい。
また、上記実施形態では、ダイヤフラム53bはステンレス(SUS304)にて形成した例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、真鍮をはじめとする他の金属素材であってもよい。
また、上記実施形態にでは、断熱部材60はポリオキシメチレン(POM)にて形成した例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ポリフェニレンスルファイド(PPS)等、他の樹脂素材でもよい。
また、上記実施形態では、熱バラスト部材71はアルミナシリカ等のセラミックにて構成する例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、感温棒52bよりも熱容量が大きい材質であれば、粒状の活性炭等を用いるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、柱状空間10の内壁面には断熱部材60が組みつけられており、断熱部材60の内部には熱バラスト部材71が充填されている例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、断熱部材を設けず、柱状空間10内に直接熱バラスト部材71を充填するようにしてもよい。
また、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載した発明を逸脱しない範囲であれば、どのような形で実施するようにしてもよい。
1 蒸気圧縮式冷凍サイクル
2 圧縮機
3 放熱器
4 レシーバ
5 温度式膨張弁
6 蒸発器
10 柱状空間
20 封入空間
30 導入空間
51 ボデー部
52 弁体部
53 エレメント部
54 コイルバネ
60 低熱伝達率部材
70 添加物保持部材
71 熱バラスト部材
52b 感温棒
52c 作動棒
53a エレメントハウジング
53b ダイヤフラム
53c エレメントカバー
53d 充填穴
53e 封止プラグ

Claims (12)

  1. 蒸気圧縮式冷凍サイクルに適用されて、高圧冷媒を減圧膨張させるとともに、減圧膨張させた低圧冷媒を蒸発器(6)入口側へ流出させる温度式膨張弁であって、
    前記高圧冷媒を流通させる第1冷媒通路(51c)、前記第1冷媒通路(51c)に設けられて冷媒を減圧膨張させる絞り通路(51h)、および、前記蒸発器(6)流出冷媒を流通させる第2冷媒通路(51f)が形成されたボデー部(51)と、
    前記ボデー部(51)の外部に配置されて、温度に応じて圧力が変化する感温媒体が封入された封入空間(20)の内圧と前記第2冷媒通路(51f)流通冷媒の圧力との圧力差に応じて変位する圧力応動部材(53b)を有するエレメント部(53)と、
    前記圧力応動部材(53b)に連動して変位して、前記絞り通路(51h)の開度を調整する弁体(52a)とを備え、
    前記封入空間(20)には、前記感温媒体とともに、前記感温媒体の凝縮温度を低下させる添加物が封入されており、
    前記エレメント部(53)は、前記添加物が液相状態となる温度および圧力とした気相状態の前記感温媒体が満たされた前記封入空間(20)に対して、前記封入空間(20)内の前記添加物の量が予め定めた添加物用規定量となるように液相状態の前記添加物を封入した後に、さらに前記封入空間(20)内の前記感温媒体の量が予め定めた感温媒体用規定量となるように前記感温媒体を封入することによって、形成されたものであることを特徴とする温度式膨張弁。
  2. 蒸気圧縮式冷凍サイクルに適用されて、高圧冷媒を減圧膨張させるとともに、減圧膨張させた低圧冷媒を蒸発器(6)入口側へ流出させる温度式膨張弁であって、
    前記高圧冷媒を流通させる第1冷媒通路(51c)、前記第1冷媒通路(51c)に設けられて冷媒を減圧膨張させる絞り通路(51h)、および、前記蒸発器(6)流出冷媒を流通させる第2冷媒通路(51f)が形成されたボデー部(51)と、
    前記ボデー部(51)の外部に配置されて、温度に応じて圧力が変化する感温媒体が封入された封入空間(20)の内圧と前記第2冷媒通路(51f)流通冷媒の圧力との圧力差に応じて変位する圧力応動部材(53b)を有するエレメント部(53)と、
    前記圧力応動部材(53b)に連動して変位して、前記絞り通路(51h)の開度を調整する弁体(52a)とを備え、
    前記封入空間(20)には、前記感温媒体とともに、前記感温媒体の凝縮温度を低下させる添加物が封入されており、
    前記エレメント部(53)は、前記添加物が液相状態となる温度および圧力とした気体が満たされた前記封入空間(20)に対して、前記封入空間(20)内の前記添加物の量が予め定めた添加物用規定量となるように液相状態の前記添加物を封入した後に、前記封入空間(20)から前記気体を抜き取り、さらに前記封入空間(20)内の前記感温媒体の量が予め定めた感温媒体用規定量となるように前記感温媒体を封入することによって、形成されたものであることを特徴とする温度式膨張弁。
  3. 蒸気圧縮式冷凍サイクルに適用されて、高圧冷媒を減圧膨張させるとともに、減圧膨張させた低圧冷媒を蒸発器(6)入口側へ流出させる温度式膨張弁であって、
    前記高圧冷媒を流通させる第1冷媒通路(51c)、前記第1冷媒通路(51c)に設けられて冷媒を減圧膨張させる絞り通路(51h)、および、前記蒸発器(6)流出冷媒を流通させる第2冷媒通路(51f)が形成されたボデー部(51)と、
    前記ボデー部(51)の外部に配置されて、温度に応じて圧力が変化する感温媒体が封入された封入空間(20)の内圧と前記第2冷媒通路(51f)流通冷媒の圧力との圧力差に応じて変位する圧力応動部材(53b)を有するエレメント部(53)と、
    前記圧力応動部材(53b)に連動して変位して、前記絞り通路(51h)の開度を調整する弁体(52a)とを備え、
    前記封入空間(20)には、前記感温媒体とともに、前記感温媒体の凝縮温度を低下させる添加物が封入されており、
    前記エレメント部(53)は、内部を満たす気体が抜き取られた前記封入空間(20)に対して、前記封入空間(20)内の前記感温媒体の量が予め定めた感温媒体用規定量となるように気相状態の前記感温媒体を封入した後に、さらに前記封入空間(20)内の前記添加物の量が予め定めた添加物用規定量となるように液相状態の前記添加物を封入することによって、形成されたものであることを特徴とする温度式膨張弁。
  4. 蒸気圧縮式冷凍サイクルに適用されて、高圧冷媒を減圧膨張させるとともに、減圧膨張させた低圧冷媒を蒸発器(6)入口側へ流出させる温度式膨張弁であって、
    前記高圧冷媒を流通させる第1冷媒通路(51c)、前記第1冷媒通路(51c)に設けられて冷媒を減圧膨張させる絞り通路(51h)、および、前記蒸発器(6)流出冷媒を流通させる第2冷媒通路(51f)が形成されたボデー部(51)と、
    前記ボデー部(51)の外部に配置されて、温度に応じて圧力が変化する感温媒体が封入された封入空間(20)の内圧と前記第2冷媒通路(51f)流通冷媒の圧力との圧力差に応じて変位する圧力応動部材(53b)を有するエレメント部(53)と、
    前記圧力応動部材(53b)に連動して変位して、前記絞り通路(51h)の開度を調整する弁体(52a)とを備え、
    前記封入空間(20)には、前記感温媒体とともに、前記感温媒体の凝縮温度を低下させる添加物が封入されていることを特徴とする温度式膨張弁。
  5. 前記感温媒体用規定量をMr(単位:モル)、前記添加物用規定量をMa(単位:モル)としたときに、
    0.80≧Ma/(Ma+Mr)
    となっていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の温度式膨張弁。
  6. 前記添加物を保持する添加物保持部材(70)を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の温度式膨張弁。
  7. 前記圧力応動部材(53b)の変位を前記弁体(52a)に伝えるとともに、前記第2冷媒通路(51f)流通冷媒の温度を前記感温媒体へ伝達する感温棒(52b)を備え、
    前記感温棒(52b)の内部には、前記感温棒(52b)の軸方向に延びるように形成されて、前記封入空間(20)と連通する柱状空間(10)が形成されており、
    前記柱状空間(10)の内部には、前記感温棒(52b)よりも熱容量の高い材質で形成された、熱バラスト部材(71)が配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の温度式膨張弁。
  8. 前記圧力応動部材(53b)の変位を前記弁体(52a)に伝えるとともに、前記第2冷媒通路(51f)流通冷媒の温度を前記感温媒体へ伝達する感温棒(52b)を備え、
    前記感温棒(52b)の内部には、前記感温棒(52b)の軸方向に延びるように形成されて、前記封入空間(20)と連通する柱状空間(10)が形成されており、
    前記柱状空間(10)の内部には、前記感温棒(52b)よりも熱伝達率の低い材質で形成された、低熱伝達率部材(60)が配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載の温度式膨張弁。
  9. 前記圧力応動部材(53b)の変位を前記弁体(52a)に伝えるとともに、前記第2冷媒通路(51f)流通冷媒の温度を前記感温媒体へ伝達する感温棒(52b)を備え、
    前記感温棒(52b)の内部には、前記感温棒(52b)の軸方向に延びるように形成されて、前記封入空間(20)と連通する柱状空間(10)が形成されており、
    前記柱状空間(10)は、前記圧力応動部材(53b)側の上側空間および前記弁体(52a)側の下側空間によって構成され、
    前記下側空間の軸方向断面の内径は、前記上側空間の軸方向断面の内径よりも小さく形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載の温度式膨張弁。
  10. 蒸気圧縮式冷凍サイクルに適用されて、高圧冷媒を減圧膨張させるとともに、減圧膨張させた低圧冷媒を蒸発器(6)入口側へ流出させる機能を有し、
    さらに、前記高圧冷媒を流通させる第1冷媒通路(51c)、前記第1冷媒通路(51c)に設けられて冷媒を減圧膨張させる絞り通路(51h)、および、前記蒸発器(6)から流出した冷媒を流通させる第2冷媒通路(51f)が形成されたボデー部(51)と、
    前記ボデー部(51)の外部に配置されて、温度に応じて圧力が変化する感温媒体が封入された封入空間(20)の内圧と前記第2冷媒通路(51f)流通冷媒の圧力との圧力差に応じて変位する圧力応動部材(53b)を有するエレメント部(53)と、
    前記圧力応動部材(53b)に連動して変位して、前記絞り通路(51h)の開度を調整する弁体(52a)とを備え、
    前記封入空間(20)には、前記感温媒体とともに、前記感温媒体の凝縮温度を低下させる添加物が封入されている温度式膨張弁の製造方法であって、
    前記添加物が液相状態となる温度および圧力とした気相状態の前記感温媒体が満たされた前記封入空間(20)に対して、前記封入空間(20)内の前記添加物の量が予め定めた添加物用規定量となるように液相状態の前記添加物を封入する添加物封入工程と、
    前記添加物が封入された前記封入空間(20)内の前記感温媒体の量が感温媒体用規定量となるように前記感温媒体を封入する感温媒体封入工程とを有することを特徴とする温度式膨張弁の製造方法。
  11. 蒸気圧縮式冷凍サイクルに適用されて、高圧冷媒を減圧膨張させるとともに、減圧膨張させた低圧冷媒を蒸発器(6)入口側へ流出させる機能を有し、
    さらに、前記高圧冷媒を流通させる第1冷媒通路(51c)、前記第1冷媒通路(51c)に設けられて冷媒を減圧膨張させる絞り通路(51h)、および、前記蒸発器(6)から流出した冷媒を流通させる第2冷媒通路(51f)が形成されたボデー部(51)と、
    前記ボデー部(51)の外部に配置されて、温度に応じて圧力が変化する感温媒体が封入された封入空間(20)の内圧と前記第2冷媒通路(51f)流通冷媒の圧力との圧力差に応じて変位する圧力応動部材(53b)を有するエレメント部(53)と、
    前記圧力応動部材(53b)に連動して変位して、前記絞り通路(51h)の開度を調整する弁体(52a)とを備え、
    前記封入空間(20)には、前記感温媒体とともに、前記感温媒体の凝縮温度を低下させる添加物が封入されている温度式膨張弁の製造方法であって、
    前記添加物が液相状態となる温度および圧力とした気体が満たされた前記封入空間(20)に対して、前記封入空間(20)内の前記添加物の量が予め定めた添加物用規定量となるように液相状態の前記添加物を封入する添加物封入工程と、
    前記封入空間(20)から前記気体を抜き取る気体抜取工程と、
    前記封入空間(20)内の前記感温媒体の量が予め定めた感温媒体用規定量となるように前記感温媒体を封入する感温媒体封入工程とを有することを特徴とする温度式膨張弁の製造方法。
  12. 蒸気圧縮式冷凍サイクルに適用されて、高圧冷媒を減圧膨張させるとともに、減圧膨張させた低圧冷媒を蒸発器(6)入口側へ流出させる機能を有し、
    さらに、前記高圧冷媒を流通させる第1冷媒通路(51c)、前記第1冷媒通路(51c)に設けられて冷媒を減圧膨張させる絞り通路(51h)、および、前記蒸発器(6)から流出した冷媒を流通させる第2冷媒通路(51f)が形成されたボデー部(51)と、
    前記ボデー部(51)の外部に配置されて、温度に応じて圧力が変化する感温媒体が封入された封入空間(20)の内圧と前記第2冷媒通路(51f)流通冷媒の圧力との圧力差に応じて変位する圧力応動部材(53b)を有するエレメント部(53)と、
    前記圧力応動部材(53b)に連動して変位して、前記絞り通路(51h)の開度を調整する弁体(52a)とを備え、
    前記封入空間(20)には、前記感温媒体とともに、前記感温媒体の凝縮温度を低下させる添加物が封入されている温度式膨張弁の製造方法であって、
    前記封入空間内部を満たす気体を抜き取る気体抜取工程と、
    内部を満たす気体が抜き取られた前記封入空間(20)に対して、前記封入空間(20)内の前記感温媒体の量が予め定めた感温媒体用規定量となるように気相状態の前記感温媒体を封入する感温媒体封入工程と、
    前記封入空間(20)内の前記添加物の量が予め定めた添加物用規定量となるように液相状態の前記添加物を封入する添加物封入工程とを有することを特徴とする温度式膨張弁の製造方法。
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