昇降式移動足場は、垂直方向の伸縮が可能であるため、その高さを低くして保管や運搬ができるとともに、所定場所まで水平方向に移動させ、その場所で固定した後に、所定高さまで昇降式移動足場を伸張し、その高さを固定することによって、所定場所の所定高さにおいて、内装及び外装工事等の作業をすることができる。
このような昇降式移動足場の水平方向の移動と固定に関しては、昇降式移動足場の接地面にブレーキロック付き車輪を備えるとともにアウトリガーでさらに固定することによってなされることが多い。そして、垂直方向の伸縮と固定に関しては、作業台を直接上下し固定するか、又は、折り畳み可能なアームの上に作業台を設置してそのアームを伸縮し固定することによってなされる。
このような昇降式移動足場を所定場所において伸張した後に、作業員が高所で作業をすることになる。したがって、作業員の高所からの落下を防止するために、作業台には手摺が必要となる。作業台の手摺は、所定場所まで移動する前に予め昇降式移動足場に取り付けておいても良いが、所定場所まで移動した後に取り付けても良い。この場合、手摺の取付は昇降式移動足場を垂直方向に収縮した状態、すなわち、作業台が低所にある状態で安全に手摺の取付作業をした後、昇降式移動足場を垂直方向に伸張することによって、作業員が高所で安全に作業をすることができる。
また、このような昇降式移動足場は垂直方向の伸縮が可能であるため、昇降式移動足場を保管する際には、その高さを低くすることによって、高さ方向の収納スペースを節約することができる。昇降式移動足場を昇降可能にすることによって高さを低くするだけでなく、さらに昇降式移動足場の作業床を折り畳み可能にすることによって幅方向の収納スペースを節約することも提案されている。
特許文献1には、接地面に車輪を備える矩形の基台フレーム(枠体)の上に、複数段の水平フレーム(枠体)をX字形のスライダークランクを介して順に積み重ね、そして、昇降用タラップ(梯子)を備える昇降式移動足場が開示されている。そのX字形のスライダークランクは折り畳みと伸張ができるものであり、そのX字形のスライダークランクを手動で伸縮することによって、作業床の昇降を可能とし、そしてその高さを段階的に固定することが可能である。ここで、昇降用タラップはスライダークランクを伸張した後の各フレームの間の支柱の役割も果たしている。
図1及び図2は、特許文献1で開示された技術に基づき実用化されている昇降式移動足場の一例である。(a)が正面図、(b)が右側面図である。図1は昇降式移動足場を所定場所に固定した状態で、3つのX字形のスライダークランク50のすべてを垂直方向に伸張したときの状態を示し、図2は同じく所定場所に固定した状態で、3つのX字形のスライダークランク50のすべてを垂直方向に折り畳んだときの状態を示す。
この昇降式移動足場は、接地面に車輪を備えるとともに所定場所に移動かつ固定可能な矩形の基台フレーム5と、複数段の昇降自在な水平フレーム40からなる。最上段の水平フレーム40は作業床用フレームを兼ねており、最上段の水平フレーム40には、網目状板や縞付き板などからなる作業床が張られるとともに手摺り等が設置されて、作業台60が形成されている。
矩形の基台フレーム(枠体)5の四隅には基台フレームの支柱7が立設され、その下端部にはブレーキロック付き車輪6が取り付けられている。また、基台フレームの各支柱7の側面には、先端にジャッキベース75を備えたアウトリガー76が取り付けられ、基台フレームの各支柱7を軸として水平方向に回動しうるように設置されている。この昇降式移動足場の移動は、車輪6のブレーキロックを外し、ジャッキベース75を持ち上げた状態のまま、昇降式移動足場を水平方向に押すことによってなされる。この移動は、通常、水平フレーム40を垂直方向に折り畳んだ状態でなされる。そして、所定の場所まで移動した後、車輪6のブレーキロックを掛けるとともに、ジャッキベース75を接地させることで所定の場所で固定する。
矩形の基台フレーム5の上には、間隔をあけて、3段の昇降自在な矩形状の水平フレーム40が設けられ、そして、各フレーム間には、2本の斜材を交叉し軸着してなるX字形のスライダークランク50が縦方向に2列立設されている。ここでは、基台フレーム5は最下段の水平フレームを兼ねているが、基台フレーム5とは別に最下段の水平フレーム40を設けてもよい。基台フレーム5とは別に最下段の水平フレーム40を設けた場合には、基台フレーム5と水平フレームとを分離できる。したがって、昇降式移動足場の移動・運搬の際には、水平フレームを含む上部部材を基台フレームから取り外すことができるので、作業が楽になるとともに、保管の際にはそのスペースを有効に使うことができる。
最上段の水平フレーム40の上には、作業台60が設置される。最上段の水平フレーム40の四隅には、手摺り柱62が設置され、そして、隣接する手摺り柱62の間には手摺りバー63が取り付けられ、さらに四辺の上には巾木64が取り付けられて、作業台60の組み立てが完成する。なお、作業台60の組み立ては、移動前に行っても良いし、移動後に行っても良い。ここでは、最上段の水平フレーム40は作業床用フレームを兼ねているが、最上段の水平フレーム40とは別に作業床用のフレームを設けてもよい。最上段の水平フレーム40とは別に作業床用のフレームを設けた場合には、昇降式移動足場の保管・運搬時には、作業床を含めて作業台60の全体も取り外すことができる。
なお、上述したように、基台フレーム5とは別に最下段の水平フレーム40を設けた場合には、水平フレームを含む上部部材(作業台60も含まれる)を基台フレームから取り外すことができるので、殊更に最上段の水平フレーム40とは別に作業床用のフレームを設けなくても、昇降式移動足場の移動・運搬の際の作業が楽になるとともに、保管の際にはそのスペースを有効に使うことができる。
この昇降式移動足場の昇降は、各フレーム間に設けられたX字形のスライダークランク50の2本の斜材を水平方向にスライドさせることによってなされる。すなわち、X字形のスライダークランクが上方向に伸張したときは、その上側の水平フレームが上昇し、逆に、X字形のスライダークランクが下方向に収縮したときは、その上側の水平フレームが下降する。
そして、昇降式移動足場を上昇させるときは、X字形のスライダークランクを上方向に伸張させた後に、各フレーム間の両側面にそれぞれ立設可能に取り付けられた、長材70と横材71からなる支柱69で上部の水平フレーム40を支持することによって上部の水平フレーム40の高さが固定される。この操作を、最上段の水平フレーム40が所定の高さに上昇するまで、各段のスライダークランクにおいて繰り返す。逆に、昇降式移動足場を下降させるときは、先に長材70と横材71からなる支柱69を内側に押し倒すことによって上部の水平フレーム40の支持を外し、その後、その段のX字形のスライダークランクを下方向に収縮させて、上部の水平フレーム40の高さを下げ、留め具52によってその高さが固定される。この操作を、最上段の水平フレーム40が所定の高さに下降するまで、各段のスライダークランクにおいて繰り返す。
最下段のX字形のスライダークランク50を例にとって、X字形のスライダークランクの構造を詳述すると、その2本の斜材の交叉部がピン51によって軸着されるとともに、2本の斜材の左端がそれぞれ上下のフレームの長辺に軸着されている。したがって、2本の斜材の右端がそれぞれ上下のフレームの長辺に沿って水平方向に移動かつ固定可能な構造であり、スライダークランク50を上方向に伸張した後は、上下のフレームの間の両側面にそれぞれ立設可能に取り付けられた支柱69によって、上部の水平フレーム40を支持することによって上部の水平フレーム40を所定高さで固定することができる。また、スライダークランク50を下方向に収縮した後は、留め具52を上方に回動させて内側に固定することによって、上側の水平フレーム40をその高さで固定することができる。
なお、この例では、この昇降式移動足場の最上段の水平フレーム40は作業床用フレームを兼ねているため、最上段のX字形のスライダークランク50を上方向に伸張した後に最上段の水平フレーム40を支持するための支柱69の長材70は、最上段の水平フレーム40の下部に設けられた横部材41を介して最上段の水平フレーム40を支持することによって最上段の水平フレーム40を所定高さで固定する。
これに対して、最上段の水平フレーム40とは別に作業床用のフレームを設けた場合には、最上段のX字形のスライダークランク50を上方向に伸張した後に最上段の水平フレーム40を支持するための支柱69の長材70は、最上段の水平フレーム40を直接支持することによって最上段の水平フレーム40を所定高さで固定することができるので、最上段の水平フレーム40の下部に横部材41を設ける必要はない。
このようにして、作業員は、この昇降式移動足場を所定の場所まで移動させ、その場所で昇降式移動足場を固定した後、各段のX字形のスライダークランク50の伸張作業をすることによって、最上段の水平フレーム40を所定高さまで上昇させ固定した後、支柱69を登って作業台60に上がり、内装及び外装工事等の作業をすることになる。
なお、図1及び図2に図示した昇降式移動足場においては、3つのX字形のスライダークランクのすべてを垂直方向に伸張したときに地上から作業床までの最大高さが2.5mとなり、そして、3つのX字形のスライダークランクのすべてを垂直方向に折り畳んだときに地上から作業床までの最小高さが0.9mとなる。したがって、X字形のスライダークランクの伸張と折り畳みを適宜組み合わせることによって、昇降式移動足場の作業床の高さをそれぞれの作業に適した所定の高さに固定することができる。
特許文献1に開示されている昇降式移動足場は、前述したとおり、所定場所まで水平方向に移動させ、その場所で固定した後に、所定高さまで昇降式移動足場を伸張し、固定した後に、作業員が昇降用タラップを登って作業台に上がり、内装及び外装工事等の作業をすることになる。そして、作業員の高所からの落下を防止するために作業台には手摺りが取り付けられているので、作業員は作業台が高所にあっても安全に作業をすることができる。
しかしながら、作業員は作業台に上がるために昇降用タラップを登る必要があるが、この昇降用タラップは昇降式移動足場の本体の両端部に垂直に設置されているため、昇降式移動足場の本体の外側を垂直に登ることになる。作業員の昇降時には、安全帯を使用するのが通常であるが、安全帯を使用しなかった場合や、安全帯を使用しても昇降途中にフックを掛けかえる場合には、このタラップから足を踏み外してしまうと地上まで落下するおそれがあった。
昇降式移動足場の地上から作業床までの距離が1m程度と短いときは、このタラップを昇降中に足を踏み外して地上まで落下してもそれ程危険ではない。ところが、図1に例示した昇降式移動足場であっても、地上から作業床までの最大高さが2.5mである。そして、最近は、昇降式移動足場での作業範囲を拡大すべく、その作業床の地上からの最大高さを3.6m程度、あるいはさらに4.5m程度まで、高くすることが求められている。昇降式移動足場の作業床を高くするためには、昇降式移動足場の段数とスライダークランク数を増加するか、又はスライダークランクを大型化することによって可能であるが、作業床が高くなる分だけ、昇降用タラップが長くなるとともに作業員の昇降位置が高くなるから、作業員が昇降用タラップから足を踏み外す機会が増加するとともに、足を踏み外して地上まで落下したときの危険度が大きくなる。
本発明は、作業員が昇降用タラップをより安全に昇降することを可能とする昇降式移動足場を提供することを目的とする。
本発明者らは、作業員の昇降時の安全性を向上してなる昇降式移動足場を開発すべく、種々検討を重ねた。その結果、次の(a)〜(f)の知見を得た。
(a) 上述した昇降式移動足場においては、その昇降用タラップは昇降式移動足場の本体の両端部に設置されているため、昇降式移動足場の本体の外側を垂直に登ることになり、作業員が安全帯を使用しなかった場合や、安全帯を使用しても昇降途中にフックを掛けかえる場合に、昇降用タラップから足を踏み外して地上まで落下するおそれがあることを考慮すると、作業員が足を踏み外しても地上まで落下しない構造とすることが考えられる。
たとえば、昇降用タラップを昇降式移動足場の本体の内部に設置し、作業床の中央部に開閉可能なハッチを取り付ければ、作業員は昇降式移動足場の本体の内部に設置した昇降用タラップを登り、ハッチを開いて、作業台に到達することができる。
しかしながら、昇降式移動足場の本体の内部は伸縮自在のスライダークランクで占められるために、作業員が昇降できるだけの空間を確保することは困難である。
なお、昇降式移動足場の本体の内部に作業員が昇降できるだけの空間を確保することだけであれば、本体を大型化することによって可能となる。しかしながら、昇降式移動足場は一般建築物内での使用と移動を可能にすべく、その重量や大きさが制限されている。特に、昇降式移動足場の幅は、一般建築物内の扉の幅(約0.9m)による制約や、エレベーターに積載可能な大きさという制約がある。したがって、昇降式移動足場の本体の内部に、作業員が昇降できるだけの空間を確保するべく、本体を大型化することは困難である。
(b) また、作業員が体勢を崩しても地上まで落下しないためには、高所での昇降用タラップの登り降りをしなければよく、そのためには昇降式移動足場のスライダークランクを折り畳んだ状態で作業員が昇降用タラップを登り、作業台に上がってから、手動でスライダークランクの伸張操作をすることができる方式とすることが考えられる。
しかしながら、この方式を手動により実現しようとすると、昇降式移動足場の作業床の高さが高くなるにしたがって、伸張操作時間が長くなるから、作業員の作業負担が増大する。よって、昇降式移動足場の地上から作業床までの距離が短い昇降式移動足場には適用可能であるが、昇降式移動足場の地上から作業床までの距離が長い昇降式移動足場に適用することは、現実的でない。
そして、この方式を手動に代えて、油圧や電動の使用によって実現しようとすると、スライダークランク式の昇降式移動足場よりも複雑な機構を採用せざるを得ないため、重量、取り扱いの容易さ、整備性の点で不利となる。
(c) したがって、一般建築物内での使用と移動が可能でかつ、作業台を高所まで伸張できるような昇降式移動足場において、作業員の昇降時の安全性を向上しようとする場合であっても、その昇降用タラップは昇降式移動足場の本体の両端部に設置することが好ましく、また、昇降式移動足場を所定位置まで水平方向に移動させ、その場所で固定した状態で、スライダークランク式の昇降式移動足場を伸張し、固定した後に、作業員が昇降用タラップを登って作業台に上がり、内装及び外装工事等の作業をするのが好ましいことになる。
このように、スライダークランク式の昇降式移動足場の有する利点を生かした上で、作業員の昇降時の安全性を向上させることを検討した結果、作業員が昇降用タラップから足を踏み外し難くすることによって落下することがないようにするためには、昇降用タラップに傾斜を付ければよいことを着想した。
昇降用タラップに傾斜を付けると、作業員は傾斜に合わせた前傾姿勢で昇降用タラップを登り降りすることができることになるから、足元が見やすくなり足を踏み外すおそれが小さくなる。また、作業員が安全帯を使用しなかった場合や、安全帯を使用しても昇降途中にフックを掛けかえる場合に、昇降用タラップから足を踏み外しても昇降用タラップを掴みやすく地上まで落下するおそれが小さくなる。
(d) 昇降用タラップは昇降式移動足場の本体の両端部に設置されているので、昇降用タラップに傾斜を付けるのは容易である。傾斜は、両方の昇降用タラップに付けてもよいし、いずれか一方の昇降用タラップでもよい。昇降用タラップの傾斜角度は特に規定するものではないが、作業員が足を踏み外しても落下しない傾斜角度として、4゜以上あればよい。好ましい傾斜角度は10〜15゜である。
(e) ただし、昇降用タラップに傾斜を付けると、上部の水平フレームは下部の水平フレームよりも短くなる。ところが、最上段の水平フレームの上に作業床用のフレームを設ける場合だけでなく、最上段の水平フレームが作業床用フレームを兼ねる場合であっても、上部のフレームの長辺を下部のフレームの長辺よりも短くして昇降用タラップに傾斜を付けると、傾斜を付けた分、昇降用タラップを垂直に設けるときに比べて、作業床が狭くなってしまう。作業床の面積が狭くなると、工具等の置き場所に困るなど作業床上で作業がしにくくなるだけでなく、その作業台への最大積載荷重も小さくなる場合がある。
これを解決するための一つの手法は、昇降式移動足場の作業床の面積が狭くなりすぎないように、昇降用タラップに傾斜を付けるのは一方の昇降用タラップだけにして、他方は垂直のままにすることである。このとき、作業員をして、この傾斜を付けた方の昇降用タラップだけを登り降りさせ、他方の昇降用タラップは登り降りできないような構造とするのがよい。たとえば、傾斜を付けた昇降用タラップは縦方向の長材と横材から構成するが、垂直のタラップは縦方向の長材と斜材から構成すれば、垂直のタラップはその梯子機能が殺がれるから、作業員が垂直のタラップを登り降りすることを防止できる。
別の解決手法としては、昇降式移動足場の本体を大きくすることによって、最上段の水平フレームを大きくし、もって昇降用タラップに傾斜を付けても、作業床の面積を確保できるようにすることである。ここで、昇降式移動足場の本体を大きくするには、昇降式移動足場の本体の幅を拡げるのと、昇降式移動足場の本体の長さを長くするのと、2つの手法が考えられる。ただし、昇降式移動足場は一般建築物内での使用と移動を可能にすべく、その重量や大きさが制限されており、特に、昇降式移動足場の幅は扉の幅(通常約0.9m)による制約があるため拡げることは困難である。そして、昇降式移動足場の長さは、従来1.8m程度であったが、作業床の最大高さを3.6m程度、あるいはさらに4.5m程度まで、高くすることが求められているような作業現場の建築物には、貨物用の大型エレベーターや仮設ロングスパンエレベーターが備わっていることが多いので、昇降式移動足場の長さを2.0m程度まで長くすることは可能である。したがって、昇降用タラップに傾斜を付けても、昇降式移動足場の本体の長さを長くすることによって、作業床の面積を確保することが可能である。
なお、一般建築物の扉の幅との関係上、昇降式移動足場の本体の幅を拡げることは困難であるが、折り畳み可能な作業床を用いることによって、昇降式移動足場を所定場所まで移動し、その固定後に作業床を幅方向に拡げることは可能である。たとえば、作業床を固定本体部と可動拡幅部から構成し、通常は可動拡幅部を本体部側の上方に折り畳んだ状態にしておき、作業台に作業員が登って作業する際には可動拡幅部を拡げた状態にすることによって、作業台の面積を拡げることができる。
(f) さらに、支柱から構成される昇降用タラップに傾斜を付けることに加えて、昇降用タラップの途中に背当てを設けてもよいことを着想した。昇降用タラップの途中に背当てを設置すると、作業員が安全帯を使用しなかったときや、安全帯を使用しても昇降途中にフックを掛けかえるときに、体勢を崩しても背当てが受け止めてくれるので、後方に倒れることはなく、したがって高所の昇降用タラップから足を踏み外すおそれがさらに小さくなる。 昇降用タラップの途中に設置する背当ては、たとえば昇降用タラップを構成する連続する支柱の間にある水平フレームを長辺方向に延長することによって形成することができる。また、最上段の支柱と作業床の間にも背当てを設置するのが好ましいが、この場合は、最上段の水平フレームを長辺方向に延長することによって形成することができる。あるいは、昇降用タラップを構成する連続する支柱に背当てを直角に取り付けてもよい。
なお、この背当ては昇降式移動足場を垂直方向に伸張した場合に必要になるが、昇降式移動足場を垂直方向に折り畳んだ場合には不要となる。したがって、背当ては昇降式移動足場を構成する部材中に収納したり折り畳んだりすることができるのが好ましい。たとえば、最上段の水平フレームを長辺方向に延長することによって形成する場合には、昇降式移動足場の保管・運搬時には背当ては水平フレーム内に収納できる構造とし、昇降式移動足場を垂直方向に伸張してから、水平フレームから背当てを引き出して用いるのが好ましい。また、昇降用タラップを構成する連続する支柱に背当てを直角に取り付ける場合には、昇降式移動足場の保管・運搬時には背当てを折り畳んで支柱に添う形になる構造とし、昇降式移動足場を垂直方向に伸張してから、背当てを支柱から直角に広げて用いるのが好ましい。
なお、昇降用タラップの途中に設置する背当ての寸法は、特に規定するものではないが、作業員がタラップを楽に昇降するためには、奥行きが50cm以上あればよい。背当ての奥行きの好ましい寸法は55〜65cmである。背当ての幅は、水平フレームを長辺方向に延長することによって形成する場合には水平フレームの幅方向の寸法と同じであり、そして、支柱に背当てを直角に取り付ける場合には支柱の幅、すなわち、水平フレームの横部材の長さと同じであって、50〜90cm程度が好ましい。
また、背当ては、水平フレームや支柱と同じ部材またはそれに準ずる部材で形成することができる。具体的には、たとえば鋼管やアルミニウム管などから形成することができる。
昇降用タラップに背当てを設置する場所は特に規定するものではないが、支柱から構成される昇降用タラップのうち、作業者の身長を超える高さにある支柱間に背当てを設置するのが好ましい。また、最上段の支柱と作業床の間にも背当てを設置するのが好ましい。
本発明に係る、作業員が昇降用タラップをより安全に昇降することを可能とする昇降式移動足場は、これらの知見に基づいて完成したものであり、本発明は次の(1)〜(11)の昇降式移動足場を要旨とする。
(1) 接地面に車輪を備える矩形の基台フレームの上に、スライダークランクを介して複数段の水平フレームを順に積み重ね、各フレーム間に設けられたスライダークランクを伸張した後の各フレーム間の両側面に、それぞれ複数個の支柱を連続的に備えることができる昇降式移動足場であって、上記各フレーム間の支柱のうち少なくとも一方の側面の連続する複数個の支柱は上端に向けて内部方向に傾斜を付けて設置されかつ作業床への昇降用タラップを兼ねるものであることを特徴とする昇降式移動足場。
(2) 支柱は2本の長材とこれらの長材を連結する横材からなることを特徴とする、上記(1)の昇降式移動足場。
(3) 接地面に車輪を備える矩形の基台フレームの上に、スライダークランクを介して複数段の水平フレームを順に積み重ね、各フレーム間に設けられたスライダークランクを伸張した後の各フレーム間の両側面に、それぞれ複数個の支柱を連続的に備えることができる昇降式移動足場であって、上記各フレーム間の支柱のうち、一方の側面の連続する複数個の支柱は上端に向けて内部方向に傾斜を付けて設置されかつ作業床への昇降用タラップを兼ねるものであり、そして、他方の側面の連続する複数個の支柱は垂直に設置されることを特徴とする昇降式移動足場。
(4) 支柱は2本の長材とこれらの長材を連結する横材からなることを特徴とする、上記(3)の昇降式移動足場。
(5) 傾斜を付けて設置される支柱は2本の長材とこれらの長材を連結する横材からなり、かつ垂直に設置される支柱は2本の長材とこれらの長材を連結する斜材からなることを特徴とする、上記(3)の昇降式移動足場。
(6) 上端に向けて内部方向に傾斜を付けて設置されかつ作業床への昇降用タラップを兼ねる連続する複数個の支柱は、途中に背当てを有することを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれかの昇降式移動足場。
(7) 背当ては水平フレームの長辺を延長することによって形成されることを特徴とする、上記(6)の昇降式移動足場。
(8) 背当ては水平フレームの長辺に収納可能であって、昇降式移動足場を垂直方向に伸張してから、水平フレームから背当てを引き出して用いることを特徴とする、上記(7)の昇降式移動足場。
(9) 背当ては支柱に直角に取り付けられることを特徴とする、上記(6)の昇降式移動足場。
(10) 背当ては支柱に添う形に折り畳み可能であって、昇降式移動足場を垂直方向に伸張してから、背当てを支柱から直角に広げて用いることを特徴とする、上記(9)の昇降式移動足場。
(11) 作業台は水平の本体部と本体部の側方に設けられた1個又は複数個の拡幅部を有することを特徴とする、上記(1)〜(10)のいずれかの昇降式移動足場。
本発明の昇降式移動足場は、作業員が昇降用タラップをより安全に昇降することを可能とする。
以下、図面を用いて、本発明に係る昇降式移動足場を説明する。
図3〜図5は、本発明に係る昇降式移動足場の一例であり、(a)が正面図、(b)が右側面図である。図3は各フレームの間隔をすべて広げて垂直方向に伸張したときの状態を示し、図4は各フレームの間隔をすべて狭めて垂直方向に折り畳んだときの状態を示す。また、図5は各フレームの間隔をすべて狭めて垂直方向に折り畳み、さらに手摺りを取り外した状態を示す。
この昇降式移動足場は、接地面に車輪を備えるとともに所定場所に移動かつ固定可能な矩形の基台フレーム5と4段の昇降自在な水平フレーム40からなる。
矩形の基台フレーム5の四隅には基台フレームの支柱7が立設され、その下端部にはブレーキロック付き車輪6が取り付けられている。また、基台フレームの各支柱7の側面には、先端にジャッキベース75を備えたアウトリガー76が取り付けられ、基台フレームの各支柱7を軸として水平方向に回動しうるように設置されている。この昇降式移動足場の移動は、車輪6のブレーキロックを外し、ジャッキベース75を持ち上げた状態のまま、昇降式移動足場を水平方向に押すことによってなされる。そして、所定の場所まで移動した後、車輪6のブレーキロックを掛けるとともに、ジャッキベース75を接地させることで所定の場所で固定することができる。
矩形の基台フレーム5の上には、昇降自在な矩形状の水平フレーム40が4段設けられ、各フレーム間には、2本の斜材を交叉し軸着してなるX字形のスライダークランク50が縦方向に2列立設されている。なお、下部のフレームの長辺よりも上部のフレームの長辺の方が順に短く形成されている。
この例では、基台フレーム5は最下段の水平フレームを兼ねているが、基台フレーム5とは別に最下段の水平フレーム40を設けてもよい。基台フレーム5とは別に最下段の水平フレーム40を設けた場合には、基台フレーム5と水平フレームとを分離できる。したがって、昇降式移動足場の移動・運搬の際には、水平フレームを含む上部部材を基台フレームから取り外すことができるので、作業が楽になるとともに、保管の際にはそのスペースを有効に使うことができる。
この昇降式移動足場の昇降は、各フレーム間に設けられたX字形のスライダークランク50の2本の斜材を水平方向にスライドさせることによってなされる。すなわち、X字形のスライダークランクが上方向に伸張したときは、その上側の水平フレームが上昇し、逆に、X字形のスライダークランクが下方向に収縮したときは、その上側の水平フレームが下降する。
ここで、昇降式移動足場を上昇させるときは、各フレーム間に設けられたX字形のスライダークランク50を上方向に伸張させた後に、各フレームの両端面において、それぞれ立設可能に取り付けられた長材70と横材71からなる支柱で上部の水平フレームを支持することによって水平フレームの高さを固定する役割を果たすとともに、この支柱は作業台60への昇降用タラップとしての役割を担うことになる。向かって右方の各フレーム間の支柱69aは上端に向けて内部方向に10゜の傾斜を付けて設置されているのに対して、向かって左方の各フレーム間の支柱69bは垂直に設置されている。なお、作業床の面積を確保できる場合には、フレーム間の支柱を左右とも傾斜の付いた支柱69aに置き換えても構わない。
逆に、昇降式移動足場を下降させるときは、上下のフレームの間の両側面にそれぞれ立設可能に取り付けられた、長材70と横材71からなる支柱を内側に押し倒すことによって上部の水平フレーム40の支持を外し、X字形のスライダークランク50を下方向に収縮させる。そして、その後、留め具52を上方に回動させて内側に固定することによって、上側の水平フレーム40をその高さで固定することができる。
このように、実施例1に係る昇降式移動足場は、接地面に車輪を備えるとともに所定場所に移動かつ固定可能な矩形の基台フレームと、複数段の昇降自在な水平フレームと作業床からなる点では、図1及び図2に示したものと同じであるが、昇降自在な水平フレームの段数が1段多く4段である点と、向かって右方のフレーム間の支柱69aは上端に向けて内部方向に10゜の傾斜を付けて設置される点が異なる。また、向かって右方のフレーム間の支柱69aに傾斜を付けて設置できるように、水平フレーム40の長辺は、下部フレームよりも上部フレームの方が、順に短く形成されている点が異なる。
なお、実施例1に係る昇降式移動足場においても、最上段の水平フレーム40の四隅には、手摺り柱62が設置され、そして、隣接する手摺り柱62の間には手摺りバー63が取り付けられ、さらに四辺の上には巾木64が取り付けられて、作業台60の組み立てが完成する点は同じであり、その作業台の組み立ては、移動前に行っても良いし、移動後に行っても良い。
この例では、この昇降式移動足場の最上段の水平フレーム40は作業床用フレームを兼ねているため、最上段のX字形のスライダークランク50を上方向に伸張した後に最上段の水平フレーム40を支持するための支柱69の長材70は、最上段の水平フレーム40の下部に設けられた横部材41を介して最上段の水平フレーム40を支持することによって最上段の水平フレーム40を所定高さで固定する。
なお、最上段の水平フレーム40とは別に作業床用のフレームを設けることができるが、この場合には、最上段のX字形のスライダークランク50を上方向に伸張した後に最上段の水平フレーム40を支持するための支柱69の長材70は、最上段の水平フレーム40を直接支持することによって最上段の水平フレーム40を所定高さで固定することができるので、最上段の水平フレーム40の下部に横部材41を設ける必要はない。
作業員は、この昇降式移動足場を所定の場所まで移動させ、その場所で昇降式移動足場を固定した後、各段のX字形のスライダークランク50の伸張作業をすることによって、最上段の水平フレーム40を所定高さまで上昇させる。すなわち、所定高さに対応してスライダークランク50の伸張作業を行う段数を決め、必要な段数分だけスライダークランク50の伸張作業を行った後、フレーム間の支柱69a、69bで上部フレームの高さを固定した後、向かって右方のフレーム間の傾斜の付いた支柱69a(昇降用タラップでもある)を登って作業床に上がり、内装及び外装工事等の作業をすることになる。
昇降自在な水平フレームの段数が1段多く4段であるため、作業床の最大高さは3.6mとなるが、傾斜の付いた支柱69aから構成される昇降用タラップは10゜の傾斜が付いているので、作業員は傾斜に合わせた前傾姿勢でこの昇降用タラップを登り降りすることができるから、足元が見やすくなり足を踏み外すおそれが小さくなるし、たとえ作業員が安全帯を使用しなかった場合や、安全帯を使用しても昇降途中にフックを掛けかえる場合に、昇降用タラップから足を踏み外しても昇降用タラップを掴みやすく地上まで落下するおそれが小さくなる。
この昇降式移動足場を垂直方向に折り畳み、さらに手摺り等を取り外した状態は図5に示されるとおりであり、最上段の水平フレーム40は作業床用フレームを兼ねている昇降式移動足場においては、作業床フレーム以外の作業台形成部材はすべて取り外すことができる。
この結果、昇降式移動足場をコンパクトにすることができるので、一般建築物内の扉の幅の通り抜けやエレベーターへの積載が可能となる。また、倉庫等に保管する際にも、そのスペースを有効に使うことができる。
なお、最上段の水平フレーム40とは別に作業床用のフレームを設けた昇降式移動足場の場合には、昇降式移動足場の運搬ないし保管時には、作業床を含めて作業台60の全体も取り外すことができる。また、基台フレーム5とは別に最下段の水平フレーム40を設けた場合には、基台フレーム5と水平フレームとを分離できるので、昇降式移動足場の移動・運搬の際には、水平フレームを含む上部部材を基台フレームから取り外すことができるので、作業が楽になるとともに、保管の際にはそのスペースを有効に使うことができる。
図6は、本発明に係る昇降式移動足場の他の例であり、垂直方向に伸張した状態を示す。(a)が左側面図、(b)が正面図、(c)が右側面図である。
この昇降式移動足場は、接地面に車輪を備えるとともに所定場所に移動かつ固定可能な矩形の基台フレームと、4段の昇降自在な水平フレームからなり、右側端面のフレーム間の支柱69aは上端に向けて内部方向に10゜の傾斜を付けて設置され、そして、左側端面のフレーム間の支柱69bは垂直に設置される点は、実施例1と同じであり、また、水平フレーム40の長辺は、右側端面のフレーム間の支柱69aが上端に向けて内部方向に10゜の傾斜を付けて設置できるように、下部のフレームの長辺よりも上部のフレームの長辺の方が順に短く形成されている点も実施例1と同じである。異なるのは、左側端面のフレーム間の垂直に設置される支柱69bが縦方向の長材と斜材から構成されている点であり、その梯子機能が殺がれているから、作業員が垂直のタラップを登り降りすることを防止できる。
すなわち、実施例2に係る昇降式移動足場を上昇させるときは、水平フレーム40の間に設けられたX字形のスライダークランク50を上方向に伸張させた後に、上下の水平フレーム40の両端面において、右側の端面には長材70と横材71からなるフレーム間の支柱69aを上下の水平フレーム40の間に立設可能に取り付け、そして、左側の端面には長材70と斜材72からなるフレーム間の支柱69bを上下の水平フレーム40の間に立設可能に取り付ける。これらの支柱で上部の水平フレームを支持することによって水平フレームの高さを固定する役割を果たす。ここでは、右側の端面のフレーム間に支柱69aは上端に向けて内部方向に10゜の傾斜を付けて設置されるのに対して、左側の端面のフレーム間の支柱69bは垂直に設置される。さらに、これらの支柱のうち、右側の端面の立設可能な支柱69aは作業床への昇降用タラップとしての役割を担うことになる。なお、左側の端面のフレーム間に垂直に立設可能な支柱69bは縦方向の長材と斜材から構成されているので、その梯子機能が殺がれているから、作業員が垂直のタラップを登り降りすることを防止できる。
なお、実施例2に係る昇降式移動足場においても、最上段の水平フレーム40の四隅には、手摺り柱62が設置され、そして、隣接する手摺り柱62の間には手摺りバー63が取り付けられ、さらに四辺の上には巾木64が取り付けられて、作業台60の組み立てが完成する点は同じであり、その作業台の組み立ては、移動前に行っても良いし、移動後に行っても良い。ここでは、最上段の水平フレーム40は作業床用フレームを兼ねているが、最上段の水平フレーム40とは別に作業床用のフレームを設けてもよい。最上段の水平フレーム40とは別に作業床用のフレームを設けた場合には、昇降式移動足場の保管・運搬時には、作業床を含めて作業台60の全体も取り外すことができる。
この例では、基台フレーム5は最下段の水平フレームを兼ねているが、基台フレーム5とは別に最下段の水平フレーム40を設けてもよい。基台フレーム5とは別に最下段の水平フレーム40を設けた場合には、基台フレーム5と水平フレームとを分離できる。したがって、昇降式移動足場の移動・運搬の際には、水平フレームを含む上部部材を基台フレームから取り外すことができるので、作業が楽になるとともに、保管の際にはそのスペースを有効に使うことができる。
作業員は、この昇降式移動足場を所定の場所まで移動させ、その場所で昇降式移動足場を固定した後、各段のX字形のスライダークランク50の伸張作業をすることによって、最上段の水平フレーム40を所定高さまで上昇させる。すなわち、所定高さに対応してスライダークランク50の伸張作業を行う段数を決め、必要な段数分だけスライダークランク50の伸張作業を行った後、フレーム間の支柱69a、69bで上部フレームの高さを固定した後、向かって右方のフレーム間の傾斜の付いた支柱69a(昇降用タラップでもある)を登って作業床に上がり、内装及び外装工事等の作業をすることになる。
昇降自在な水平フレームの段数が1段多く4段であるため、作業床の最大高さは3.6mとなるが、傾斜の付いた支柱69aから構成される昇降用タラップは10゜の傾斜が付いているので、作業員は傾斜に合わせた前傾姿勢でこの昇降用タラップを登り降りすることができるから、足元が見やすくなり足を踏み外すおそれが小さくなるし、たとえ作業員が安全帯を使用しなかった場合や、安全帯を使用しても昇降途中にフックを掛けかえる場合に、昇降用タラップから足を踏み外しても昇降用タラップを掴みやすく地上まで落下するおそれが小さくなる。
この昇降式移動足場も実施例1と同様に、作業床フレーム以外の作業台形成部材はすべて取り外すことができる。この結果、昇降式移動足場をコンパクトにすることができるので、一般建築物内の扉の幅の通り抜けやエレベーターへの積載が可能となる。また、倉庫等に保管する際にも、そのスペースを有効に使うことができる。
なお、最上段の水平フレーム40とは別に作業床用のフレームを設けた昇降式移動足場の場合には、昇降式移動足場の運搬ないし保管時には、作業床を含めて作業台60の全体も取り外すことができる。また、基台フレーム5とは別に最下段の水平フレーム40を設けた場合には、基台フレーム5と水平フレームとを分離できるので、昇降式移動足場の移動・運搬の際には、水平フレームを含む上部部材を基台フレームから取り外すことができるので、作業が楽になるとともに、保管の際にはそのスペースを有効に使うことができる。
図7及び図8は、本発明に係る昇降式移動足場の他の例である。図7は垂直方向に伸張した状態、そして、図8は垂直方向に折り畳んだ状態を示す。いずれも、(a)が正面図、(b)が右側面図である。
この昇降式移動足場は、接地面に車輪を備えるとともに所定場所に移動かつ固定可能な矩形の基台フレームと、4段の昇降自在な水平フレームからなり、右側の端面のフレーム間の支柱69aは上端に向けて内部方向に10゜の傾斜を付けて設置され、そして、左側の端面のフレーム間の支柱69bは垂直に設置される点は、実施例1と同じであり、また、水平フレーム40の長辺は、右側の端面のフレーム間の支柱69aは上端に向けて内部方向に10゜の傾斜を付けて設置できるように、下部フレームよりも上部フレームの方が順に短く形成されている点も実施例1と同じである。異なるのは、最上段の水平フレーム40が1個の本体部65と2個の拡幅部66から構成されていて、作業床が折り畳み可能となっている点である。折り畳み可能な作業床を用いることによって、昇降式移動足場を所定場所まで移動し、その固定後に作業床を幅方向に拡げることは可能である。
すなわち、実施例3に係る昇降式移動足場においては、最上段の水平フレーム40が、1個の水平の本体部65と、この本体部65のそれぞれの側方に設けられた2個の拡幅部66から構成されており、そして、本体部65と拡幅部66の間にはヒンジ構造67が設けられていて、拡幅部66はこのヒンジ構造67を介して、本体部65に対して上方にのみ回動可能に接続されている。また、当て材68が拡幅部66の基部の下部に設置されている。
なお、実施例3に係る昇降式移動足場においても、最上段の水平フレーム40の四隅には、手摺り柱62が設置され、そして、隣接する手摺り柱62の間には手摺りバー63が取り付けられ、さらに四辺の上には巾木64が取り付けられて、作業台60の組み立てが完成する点は同じであり、その作業台の組み立ては、移動前に行っても良いし、移動後に行っても良い。
この例では、この昇降式移動足場の最上段の水平フレーム40は作業床用フレームを兼ねているため、最上段のX字形のスライダークランク50を上方向に伸張した後に最上段の水平フレーム40を支持するための支柱69の長材70は、最上段の水平フレーム40の下部に設けられた横部材41を介して最上段の水平フレーム40を支持することによって最上段の水平フレーム40を所定高さで固定する。
また、この例では、基台フレーム5は最下段の水平フレームを兼ねているが、基台フレーム5とは別に最下段の水平フレーム40を設けてもよい。基台フレーム5とは別に最下段の水平フレーム40を設けた場合には、基台フレーム5と水平フレームとを分離できる。したがって、昇降式移動足場の移動・運搬の際には、水平フレームを含む上部部材を基台フレームから取り外すことができるので、作業が楽になるとともに、保管の際にはそのスペースを有効に使うことができる。
作業員は、この昇降式移動足場を所定の場所まで移動させ、その場所で昇降式移動足場を固定した後、各段のX字形のスライダークランク50の伸張作業をすることによって、最上段の水平フレーム40を所定高さまで上昇させる。すなわち、所定高さに対応してスライダークランク50の伸張作業を行う段数を決め、必要な段数分だけスライダークランク50の伸張作業を行った後、フレーム間の支柱69a、69bで上部フレームの高さを固定した後、向かって右方のフレーム間の傾斜の付いた支柱69a(昇降用タラップでもある)を登って作業床に上がり、内装及び外装工事等の作業をすることになる。
昇降自在な水平フレームの段数が1段多く4段であるため、作業床の最大高さは3.6mとなるが、傾斜の付いた支柱69aから構成される昇降用タラップは10゜の傾斜が付いているので、作業員は傾斜に合わせた前傾姿勢でこの昇降用タラップを登り降りすることができるから、足元が見やすくなり足を踏み外すおそれが小さくなるし、たとえ作業員が安全帯を使用しなかった場合や、安全帯を使用しても昇降途中にフックを掛けかえる場合に、昇降用タラップから足を踏み外しても昇降用タラップを掴みやすく地上まで落下するおそれが小さくなる。
なお、左側の端面のフレーム間の垂直に設置される支柱69bを縦方向の長材と斜材から構成すれば、実施例2に係る昇降式移動足場と同様に、その梯子機能が殺がれているから、作業員が垂直のタラップを登り降りすることを防止できる。
この昇降式移動足場も実施例1と同様に、作業床フレーム以外の作業台形成部材はすべて取り外すことができる。この結果、昇降式移動足場をコンパクトにすることができるので、一般建築物内の扉の幅の通り抜けやエレベーターへの積載が可能となる。また、倉庫等に保管する際にも、そのスペースを有効に使うことができる。
また、基台フレーム5とは別に最下段の水平フレーム40を設けた場合には、基台フレーム5と水平フレームとを分離できるので、昇降式移動足場の移動・運搬の際には、水平フレームを含む上部部材を基台フレームから取り外すことができるので、作業が楽になるとともに、保管の際にはそのスペースを有効に使うことができる。
図9は、本発明に係る昇降式移動足場の他の例であり、垂直方向に伸張した状態を示す。(a)が正面図、(b)が右側面図である。
この昇降式移動足場は、接地面に車輪を備えるとともに所定場所に移動かつ固定可能な矩形の基台フレーム5と5段の昇降自在な水平フレーム40からなる。
矩形の基台フレーム5の四隅には基台フレームの支柱7が立設され、その下端部にはブレーキロック付き車輪6が取り付けられている。また、基台フレームの各支柱7の側面には、先端にジャッキベース75を備えたアウトリガー76が取り付けられ、基台フレームの各支柱7を軸として水平方向に回動しうるように設置されている。この昇降式移動足場の移動は、車輪6のブレーキロックを外し、ジャッキベース75を持ち上げた状態のまま、昇降式移動足場を水平方向に押すことによってなされる。そして、所定の場所まで移動した後、車輪6のブレーキロックを掛けるとともに、ジャッキベース75を接地させることで所定の場所で固定することができる。
矩形の基台フレーム5の上には、昇降自在な矩形状の水平フレーム40が5段設けられ、各フレーム間には、2本の斜材を交叉し軸着してなるX字形のスライダークランク50が縦方向に2列立設されている。なお、下部のフレームの長辺よりも上部のフレームの長辺の方が順に短く形成されている。
この昇降式移動足場の昇降は、各フレーム間に設けられたX字形のスライダークランク50の2本の斜材を水平方向にスライドさせることによってなされる。すなわち、X字形のスライダークランクが上方向に伸張したときは、その上側の水平フレームが上昇し、逆に、X字形のスライダークランクが下方向に収縮したときは、その上側の水平フレームが下降する。
ここで、昇降式移動足場を上昇させるときは、各フレーム間に設けられたX字形のスライダークランク50を上方向に伸張させた後に、各フレームの両端面において、長材70と横材71からなる立設可能な支柱を各フレーム間に取り付ける。これらの支柱で上部の水平フレームを支持することによって水平フレームの高さを固定する役割を果たすとともに、この支柱は作業台60への昇降用タラップとしての役割を担うことになる。向かって右方の各フレーム間の支柱69aは上端に向けて内部方向に10゜の傾斜を付けて設置されているのに対して、向かって左方の各フレーム間の支柱69bは垂直に設置されている。なお、作業床の面積を確保できる場合には、フレーム間の支柱を左右とも傾斜の付いた支柱69aに置き換えても構わない。
逆に、昇降式移動足場を下降させるときは、長材70と横材71からなる支柱を内側に押し倒すことによって上部の水平フレーム40の支持を外し、X字形のスライダークランク50を下方向に収縮させる。そして、その後、留め具52を上方に回動させて内側に固定することによって、上側の水平フレーム40をその高さで固定することができる。
このように、実施例4に係る昇降式移動足場は、実施例1と同様に、接地面に車輪を備えるとともに所定場所に移動かつ固定可能な矩形の基台フレームと、複数段の昇降自在な水平フレームと作業床からなり、向かって右方のフレーム間の支柱69aは上端に向けて内部方向に10゜の傾斜を付けて設置される点も同じであり、また、向かって右方のフレーム間の支柱69aに傾斜を付けて設置できるように、水平フレーム40の長辺は、下部フレームよりも上部フレームの方が、順に短く形成されている点も同じである。
実施例1と異なるのは、昇降式移動足場の作業床の最大高さを高くするために昇降自在な水平フレームの段数を1段多くして5段としており、それに伴ってX字形のスライダークランク50が増設されている点である。このため、作業床の最大高さは4.5mとなる。
なお、実施例4に係る昇降式移動足場においても、最上段の水平フレーム40の四隅には、手摺り柱62が設置され、そして、隣接する手摺り柱62の間には手摺りバー63が取り付けられ、さらに四辺の上には巾木64が取り付けられて、作業台60の組み立てが完成する点は同じであり、その作業台の組み立ては、移動前に行っても良いし、移動後に行っても良い。
この例では、この昇降式移動足場の最上段の水平フレーム40は作業床用フレームを兼ねているため、最上段のX字形のスライダークランク50を上方向に伸張した後に最上段の水平フレーム40を支持するための支柱69の長材70は、最上段の水平フレーム40の下部に設けられた横部材41を介して最上段の水平フレーム40を支持することによって最上段の水平フレーム40を所定高さで固定する。
なお、最上段の水平フレーム40とは別に作業床用のフレームを設けることができるが、この場合には、最上段のX字形のスライダークランク50を上方向に伸張した後に最上段の水平フレーム40を支持するための支柱69の長材70は、最上段の水平フレーム40を直接支持することによって最上段の水平フレーム40を所定高さで固定することができるので、最上段の水平フレーム40の下部に横部材41を設ける必要はない。
また、この例では、基台フレーム5は最下段の水平フレームを兼ねているが、基台フレーム5とは別に最下段の水平フレーム40を設けてもよい。基台フレーム5とは別に最下段の水平フレーム40を設けた場合には、基台フレーム5と水平フレームとを分離できる。したがって、昇降式移動足場の移動・運搬の際には、水平フレームを含む上部部材を基台フレームから取り外すことができるので、作業が楽になるとともに、保管の際にはそのスペースを有効に使うことができる。
作業員は、この昇降式移動足場を所定の場所まで移動させ、その場所で昇降式移動足場を固定した後、各段のX字形のスライダークランク50の伸張作業をすることによって、最上段の水平フレーム40を所定高さまで上昇させる。すなわち、所定高さに対応してスライダークランク50の伸張作業を行う段数を決め、必要な段数分だけスライダークランク50の伸張作業を行った後、フレーム間の支柱69a、69bで上部フレームの高さを固定した後、向かって右方のフレーム間の傾斜の付いた支柱69a(昇降用タラップでもある)を登って作業床に上がり、内装及び外装工事等の作業をすることになる。
昇降自在な水平フレームの段数が5段であるため、作業床の最大高さは4.5mとなるが、傾斜の付いた支柱69aから構成される昇降用タラップは10゜の傾斜が付いているので、作業員は傾斜に合わせた前傾姿勢でこの昇降用タラップを登り降りすることができるから、足元が見やすくなり足を踏み外すおそれが小さくなるし、たとえ作業員が安全帯を使用しなかった場合や、安全帯を使用しても昇降途中にフックを掛けかえる場合に、昇降用タラップから足を踏み外しても昇降用タラップを掴みやすく地上まで落下するおそれが小さくなる。
この昇降式移動足場を垂直方向に折り畳み、さらに手摺り等を取り外した状態は図5と同様であり、最上段の水平フレーム40は作業床用フレームを兼ねている昇降式移動足場においては、作業床フレーム以外の作業台形成部材はすべて取り外すことができる。したがって、昇降式移動足場をコンパクトにすることができるので、一般建築物内の扉の幅の通り抜けやエレベーターへの積載が可能となる。また、倉庫等に保管する際にも、そのスペースを節約することもできる。
また、基台フレーム5とは別に最下段の水平フレーム40を設けた場合には、基台フレーム5と水平フレームとを分離できるので、昇降式移動足場の移動・運搬の際には、水平フレームを含む上部部材を基台フレームから取り外すことができるので、作業が楽になるとともに、保管の際にはそのスペースを有効に使うことができる。
なお、左側の端面のフレーム間の垂直に設置される支柱69bを縦方向の長材と斜材から構成すれば、実施例2に係る昇降式移動足場と同様に、その梯子機能が殺がれているから、作業員が垂直のタラップを登り降りすることを防止できる。
また、実施例3と同様に、昇降式移動足場の最上段の水平フレームの上に設置される作業床を1個の本体部と2個の拡幅部から構成すれば、作業床の幅を狭くすることができるため、一般建築物内の扉の幅の通り抜けやエレベーターへの積載が可能となる。また、倉庫等に保管する際にも、同様にして、作業床の幅を狭くすることができるし、保管の際にはそのスペースを有効に使うことができる。
図10および図11は、本発明に係る昇降式移動足場の他の例であり、(a)が正面図、(b)が右側面図、そして、(c)が上から2段目の水平フレームの平面図である。図10は各フレームの間隔をすべて広げて垂直方向に伸張したときの状態を示し、図11は各フレームの間隔をすべて狭めて垂直方向に折り畳んだときの状態を示す。
実施例5に係る昇降式移動足場は、実施例1と同様に、接地面に車輪を備えるとともに所定場所に移動かつ固定可能な矩形の基台フレームと、複数段の昇降自在な水平フレームと作業床からなり、向かって右方のフレーム間の支柱69aは上端に向けて内部方向に10゜の傾斜を付けて設置されている点も同じである。
実施例1と異なるのは、昇降用タラップの途中に背当て46を設けている点であり、昇降用タラップを構成する連続する支柱の間にある水平フレームを長辺方向に延長することによって形成されている。ここでは、上から3段目までの3個の水平フレーム40の長辺の右側端部の中には芯管として背当て46が引き出し可能に収納されており、水平フレーム40の中から背当て46を右方向に引き出すと、この昇降式移動足場の右端面の支柱69から構成される昇降用タラップには途中に背当て46が形成される。なお、背当て46は昇降式移動足場の水平フレームに収納することができるので、昇降式移動足場の保管・運搬時には、スペースを有効に使うことができる。
昇降自在な水平フレームの段数が4段であるため、作業床の最大高さは3.6mとなるが、傾斜の付いた支柱69aから構成される昇降用タラップは10゜の傾斜が付いていることに加えて、途中に背当て46が形成されているので、作業員は傾斜に合わせた前傾姿勢でこの昇降用タラップを登り降りすることができることに加えて、体勢を崩しても背当てが受け止めてくれるので、後方に倒れることはなく、したがって高所の昇降用タラップから足を踏み外すおそれが小さくなるとともに、たとえ足を踏み外しても昇降用タラップを掴みやすく地上まで落下するおそれが小さくなる。
図12は、本発明に係る昇降式移動足場の他の例であって、垂直方向に伸張した状態を示す。(a)が正面図、(b)が右側面図、そして、(c)が上から2段目の水平フレームの平面図である。
実施例6に係る昇降式移動足場は、実施例3と同様に、接地面に車輪を備えるとともに所定場所に移動かつ固定可能な矩形の基台フレームと、複数段の昇降自在な水平フレームと作業床からなり、向かって右方のフレーム間の支柱69aは上端に向けて内部方向に10゜の傾斜を付けて設置されている点も同じである。また、実施例3と同様に、最上段の水平フレーム40が1個の本体部と2個の拡幅部66から構成されているので、作業床が折り畳み可能となっている。
実施例3と異なるのは、昇降用タラップの途中に3個の背当て46を設けている点であり、昇降用タラップを構成する連続する支柱の間にある水平フレームを長辺方向に延長することによって形成されている。ここでは、上から2段目と3段目の水平フレーム40の長辺の右側端部の中には芯管として背当て46が引き出し可能に収納されており、そして、最上段の水平フレーム40の本体部の長辺の右側端部の中には芯管として背当て46が引き出し可能に収納されている。いずれも、背当て46を右方向に引き出すと、この昇降式移動足場の右端面の支柱69から構成される昇降用タラップには途中に背当て46が形成される。
昇降自在な水平フレームの段数が4段であるため、作業床の最大高さは3.6mとなるが、傾斜の付いた支柱69aから構成される昇降用タラップは10゜の傾斜が付いていることに加えて、途中に背当て46が形成されているので、作業員は傾斜に合わせた前傾姿勢でこの昇降用タラップを登り降りすることができることに加えて、体勢を崩しても背当てが受け止めてくれるので、後方に倒れることはなく、したがって高所の昇降用タラップから足を踏み外すおそれが小さくなるとともに、たとえ足を踏み外しても昇降用タラップを掴みやすく地上まで落下するおそれが小さくなる。
なお、実施例3と同様に、最上段の水平フレーム40が1個の本体部と2個の拡幅部66から構成されているので、作業床が折り畳み可能となっている。折り畳み可能な作業床を用いることによって、昇降式移動足場を所定場所まで移動し、その固定後に作業床を幅方向に拡げることが可能である。
図13は、本発明に係る昇降式移動足場の他の例であって、垂直方向に伸張した状態を示す。(a)が正面図、(b)が右側面図、そして、(c)が上から2段目の水平フレームの平面図である。
実施例7に係る昇降式移動足場は、実施例4と同様に、接地面に車輪を備えるとともに所定場所に移動かつ固定可能な矩形の基台フレームと、複数段の昇降自在な水平フレームと作業床からなり、向かって右方のフレーム間の支柱69aは上端に向けて内部方向に10゜の傾斜を付けて設置されている点も同じである。
実施例4と異なるのは、昇降用タラップの途中に背当て46を設けている点であり、昇降用タラップを構成する連続する支柱の間にある水平フレームを長辺方向に延長することによって形成されている。ここでは、上から4段目までの4個の水平フレーム40の長辺の右側端部の中には芯管として背当て46が引き出し可能に収納されており、水平フレーム40の中から背当て46を右方向に引き出すと、この昇降式移動足場の右端面の支柱69から構成される昇降用タラップには途中に背当て46が形成される。
昇降自在な水平フレームの段数が5段であるため、作業床の最大高さは4.5mとなるが、傾斜の付いた支柱69aから構成される昇降用タラップは10゜の傾斜が付いていることに加えて、途中に背当て46が形成されているので、作業員は傾斜に合わせた前傾姿勢でこの昇降用タラップを登り降りすることができることに加えて、体勢を崩しても背当てが受け止めてくれるので、後方に倒れることはなく、したがって高所の昇降用タラップから足を踏み外すおそれが小さくなるとともに、たとえ足を踏み外しても昇降用タラップを掴みやすく地上まで落下するおそれが小さくなる。
図14は、本発明に係る昇降式移動足場の他の例であり、垂直方向に伸張した状態を示す。(a)が正面図、(b)が右側面図である。
また、図15は本発明で用いる背当ての他の例を示す。(a)は昇降式移動足場を垂直方向に伸張した状態、(b)は背当てを折り畳んで支柱に添わせた状態、そして、(c)は背当てを添わせた支柱を折り畳んだ状態である。
実施例8に係る昇降式移動足場は、実施例7と同様に、接地面に車輪を備えるとともに所定場所に移動かつ固定可能な矩形の基台フレームと、複数段の昇降自在な水平フレームと作業床からなり、向かって右方のフレーム間の支柱69aは上端に向けて内部方向に10゜の傾斜を付けて設置されている点および昇降用タラップの途中に背当て46が設けられている点も同じである。
実施例7と異なるのは、昇降用タラップの途中に設ける背当て46の構造が異なる点である。ここでは、背当ては折り畳んで、昇降式移動足場の一部材中に添わせることができる。昇降式移動足場を垂直方向に伸張したときは、背当てをフレーム間の支柱に対して直角に取り付けることができ、昇降式移動足場を垂直方向に折り曲げるときは背当てを折り畳んで支柱に添う形になる。なお、背当てを添わせた支柱も昇降式移動足場の内部方向に折り畳むことができるので、昇降式移動足場の保管・運搬時には、スペースを有効に使うことができる。