JP2010229215A - 有機蛍光材料及び着色料 - Google Patents

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Abstract

【課題】高濃度の溶液及び固体状態でも蛍光性を有するとともに、高い耐熱性を備え、再生可能な天然由来の化合物を原料とする有機蛍光材料、この有機蛍光材料を含有する着色料等を提供する。
【解決手段】下記の一般式(1)で表される有機蛍光材料。
Figure 2010229215

(式中、R1〜R2は互いに同一又は異なって水素原子、アルキル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基等、R3〜R4及びR6は互いに同一又は異なって水素原子、水酸基、アルキル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基等、R5はアミノ基、水酸基、アルキル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基等を表す。)
【選択図】なし

Description

この発明は、有機蛍光材料に関する。より詳しくは、天然由来の桂皮酸誘導体を原料とする有機蛍光材料及びこれを含有する着色料等に関する。
有機蛍光材料は、金属イオンや特定の分子、さらには生体中の特定のタンパク質や細胞などを特異的に検出可能であることから、センシング関連分野への利用が注目を集めている。また、有機蛍光材料は、近年有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)素子用の発光材料や、フォトレジスト関連分野への利用が注目を集めている。
さて、従来からある有機蛍光材料は、通常水も含めた各種溶媒中や樹脂中において十分に希薄になるように分散させた状態で使用するのが一般的である。これは、蛍光材料の濃度が高い状態では蛍光材料が発した蛍光をその蛍光材料自身が吸収すること、蛍光材料同士が衝突して失活すること、隣接する分子間におけるエネルギー移動が引き起こされること等により、蛍光強度が小さくなってしまうためである。なお、前記の現象は自己消光や濃度消光などと呼ばれている。
このように、従来からある有機蛍光材料は、高濃度で使用することは困難であった。なかでも、有機EL素子に使用する有機蛍光材料は、基質濃度の極限状態ともいえる固体状態で蛍光を発しなければならないため、その開発は容易ではなかった。したがって、高濃度溶液や固体状態で蛍光強度を高めることは困難であった。
また、有機蛍光材料を有機EL素子やフォト利用関連分野に利用する場合には、樹脂基剤が溶融した状態で、有機蛍光材料を樹脂基剤中に分散させなければならない。そのため、有機蛍光剤自体も高耐熱性を備えていなければならない。しかし、従来からある有機蛍光材料の耐熱性は不十分であった。
さらに、従来からある有機蛍光材料は、枯渇資源である石油を原料とする化合物群が多く、将来的に原料の急激な価格高騰や原料の枯渇が予想されるため、実用化する際の供給量や供給価格に不安があった。
一方、天然由来の桂皮酸の1つであるフェルラ酸は蛍光性を有することが既に分かっており、例えば特許文献1に示すように、その蛍光性を利用して精白米の糠量測定に使用されている。しかし、フェルラ酸の蛍光強度は非常に弱く、さらには固体状態では蛍光を発することができないなどの欠点があった。
特開2004−245740号公報
そこで、この発明は、高濃度溶液及び固体状態でも蛍光性を有するとともに、高い耐熱性を備え、再生可能な天然由来の化合物を原料とする有機蛍光材料、この有機蛍光材料を含有する着色料等を提供することを課題とする。
発明者らは、鋭意検討の結果、米ぬかより得られる天然由来物質であるフェルラ酸などの桂皮酸誘導体を自己カップリング反応させ、その置換基を種々変換することによって、高濃度溶液状態、高濃度溶液、固体状態及び樹脂中でも蛍光性を有し、高い耐熱性を備えた有機蛍光材料及びこれを含有する着色料が得られることを見いだし、この発明を完成するに至った。
すなわち、請求項1に記載の有機蛍光材料は、下記一般式(1)に表されるものである。
Figure 2010229215
(式中、R1、R2は互いに同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、シリル基、置換シリル基を表す。また、R3、R4及びR6は互いに同一又は異なって、水素原子、水酸基、アルキル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、シリル基、置換シリル基、アセチル基を表す。さらに、R5は、アミノ基、水酸基、アルキル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、シリル基、置換シリル基、アセチル基を表す。)
請求項2に記載の有機蛍光材料は、下記一般式(2)に表されるものである。
Figure 2010229215
(式中、R1、R2、R7及びR8は互いに同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、シリル基、置換シリル基を表す。また、R3、R4、R9及びR10は互いに同一又は異なって、水素原子、水酸基、アルキル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、シリル基、置換シリル基、アセチル基を表す。さらに、R5及びR11は互いに同一又は異なって、アミノ基、水酸基、アルキル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、シリル基、置換シリル基、アセチル基を表す。)
また、請求項3に記載の有機蛍光材料は、下記一般式(3)に表されるものである。
Figure 2010229215
(式中、R1、R2、R7及びR8は互いに同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、シリル基、置換シリル基を表す。また、R3、R4、R9及びR10は互いに同一又は異なって、水素原子、水酸基、アルキル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、シリル基、置換シリル基、アセチル基を表す。さらに、Xはアルキル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、オキシエチレン基を表す。)
請求項4に記載の着色料は、請求項1から請求項3に記載の有機蛍光材料を含有するものである。また、請求項5に記載の着色方法は請求項4に記載の着色料を使用する方法である。さらに、請求項6に記載の樹脂成形品は請求項5に記載の着色方法によって着色された樹脂成形品である。
この発明の有機蛍光材料は、高濃度溶液、固体状態及び樹脂中でも蛍光性を有し、高い耐熱性を備え、天然由来物質から製造することができる。そのため、この発明の有機蛍光材料は、センシング関連分野に加えて、有機EL素子用の発光材料、フォトレジスト関連分野にも、需給の逼迫を考慮することなく利用することができる。
より具体的には、この発明の有機蛍光材料は、分散染料、顔料、インクジェットプリント用色素、電子写真トナー、熱転写色素、有機電界発光素子などの発光材料、光変調素子など非線形光学材料、有機太陽電池など光電変換色素、有機ELや色素レーザーなどの蛍光性色素、農業用フィルムなどの調光・波長変換色素、高密度光記録型色素、分子認識用蛍光色素などのレセプターなどとして利用することができる。
この発明の有機蛍光材料等のクロロホルム溶液の蛍光スペクトルを測定した結果を示す図である。 この発明の有機蛍光材料等の粉末の蛍光スペクトルを測定した結果を示す図である。 この発明の有機蛍光材料を2重量%含有するポリメチルメタクリレートフィルムの蛍光スペクトルを測定した結果を示す図である。
1.有機蛍光材料
この発明の有機蛍光材料は、以下の一般式(1)から(3)で示される化合物である。
Figure 2010229215
Figure 2010229215
Figure 2010229215
一般式(1)から一般式(3)において、R1、R2、R7、R8は互いに同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、シリル基、置換シリル基を表す。
なお、この発明における置換アリール基、置換シリル基の置換基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、2−メチル−1−ブチル、2−エチル−1−ヘキシル、ラウリル、オクタデシル、エイコシル、ベンジル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの炭素数1〜40の直鎖又は分岐のあるアルキル基又は環状アルキル基、エチニル、プロパギル、フェニルアセチニルなどのアルキニル基、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、t−ブトキシ、シクロヘキシルオキシ、イソノルボルニルオキシ、アダマンチルオキシ等のアルコシキル基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、キノリル、ピリジル、オキサゾリルなどのヘテロ環基、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントリル、トルイル、ジメチルアミノフェニルなどのアリール基、トリメチルシリル、トリイソプロピルシリル、トリフェニルシリルなどのシリル基、ジメチルアミノ、ジエチルアミノなどのアミノ基、ニトロ基、ニトロソ基、イソシアノ基、シアノ基、イソシアネート基などが挙げられる。
R1、R2、R7、R8の具体例としては、水素原子、メチル、エチル、プロピル、ブチル、2−メチル−1−ブチル、2−エチル−1−ヘキシル、ラウリル、オクタデシル、エイコシル、ベンジル等の第一級アルコールとのエステル、イソプロピル、イソブチル、シクロヘキシル、イソノルボルニル等の第二級アルコールとのエステル、t−ブチル、アダマンチルといった第三級アルコールとのエステルなどを挙げることができる。
同じく、一般式(1)から一般式(3)において、R3、R4、R6、R9、R10は互いに同一又は異なって、水素原子、水酸基、アルキル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、シリル基、置換シリル基、アセチル基を表す。
R3、R4、R6、R9、R10の具体例としては、水素原子、水酸基、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、2−メチル−1−ブトキシ、2−エチル−1−ヘキシルオキシ、ラウリルオキシ、オクタデシルオキシ、エイコシルオキシ、ベンジルオキシ等の第一級アルコキシル基、イソプロピルオキシ、イソブトキシ、シクロヘキシルオキシ、イソノルボルニルオキシ等の第二級アルコキシル基、t−ブチトキシ、アダマンチルオキシといった第三級アルコキシル基、アセチル基などのエステルなどを挙げることができる。
同じく、一般式(1)から一般式(3)において、R5、R11は互いに同一又は異なって、アミノ基、水酸基、アルキル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、シリル基、置換シリル基、アセチル基を表す。
R5、R11の具体例としては、アミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N−メチルアミノ基等のアミノ基、水酸基、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、2−メチル−1−ブトキシ、2−エチル−1−ヘキシルオキシ、ラウリルオキシ、オクタデシルオキシ、エイコシルオキシ、ベンジルオキシ等の第一級アルコキシル基、イソプロピルオキシ、イソブトキシ、シクロヘキシルオキシ、イソノルボルニルオキシ等の第二級アルコキシル基、t−ブチトキシ、アダマンチルオキシといった第三級アルコキシル基、アセチル基などのエステルなどを挙げることができる。
同じく、一般式(3)において、Xは、アルキル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、オキシエチレン基を表す。
Xの具体例としては、C1〜C20の直鎖状又は分岐のあるアルキル基、オリゴ又はポリオキシエチレン基、オリゴ又はポリオキシプロピレン基などを挙げることができる。
つぎに、この発明の有機蛍光材料の具体例を以下に示す。なお、この発明の有機蛍光材料は、これらに限定されるものではない。また、以下の一般式中のa、b、c、d、e、h、i、j、k、m、nは0〜40の整数である。
Figure 2010229215
Figure 2010229215
Figure 2010229215
この発明の有機蛍光材料は桂皮酸誘導体を原料として合成することができ、これら桂皮酸誘導体の多くは天然中に存在する。桂皮酸誘導体の具体例としては、例えば、4−ヒドロキシ桂皮酸、コーヒー酸、フェルラ酸、シナピン酸などの天然中に多く存在する非石油由来物質が挙げられる。
桂皮酸誘導体は、カルボン酸、フェノール性の水酸基、二重結合など、それぞれ反応性の異なる官能基をその分子内に同時に有している。そのため、桂皮酸誘導体は、官能基ごとに異なる性質を付与でき、その機能や、融点、溶解性などの物性が比較的自由に設定可能である。
この発明の有機蛍光材料はこれらの誘導体であり、これらの官能基の数も増大しているため、さらに物性や機能の制御が容易である。
一般式(1)の有機蛍光材料は、例えば、次のようにして調製することができる。まず、桂皮酸誘導体を金属触媒の存在下溶媒中に分散し、所定時間還流する。還流終了後、析出固体を濾別して、得られた溶液を減圧下で濃縮し、残渣を精製することによって、第1中問生成物が得られる。
つぎに、得られた第1中間生成物を塩基性溶媒に溶解して、無水酢酸等の保護試薬を滴下した後、室温で撹拌する。所定時間経過後、加水して塩酸などで酸性化し、有機溶媒で抽出、水洗する。得られた有機層を減圧蒸留することで第2中間生成物が得られる。
そして、得られた第2中間生成物を2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン(以下、DDQと省略する。)などの酸化剤とともに溶媒に溶解し、所定時間還流する。還流終了後、析出した固体を濾別して得られた溶液を減圧下で濃縮する。最後に、濃縮の際に得られた残渣を精製すれば、一般式(1)の有機蛍光材料が得られる。
なお、前記の調製方法より得られた一般式(1)の有機蛍光材料の官能基を、公知の他の化学反応によって他の官能基に置換すれば、一般式(1)で示す他の有機蛍光材料が得られる。
また、一般式(2)の有機蛍光材料は、例えば、次のようにして調製することができる。まず、前記の方法により得られた一般式(1)に示す有機蛍光材料を溶媒に溶解し、酸化剤を加え撹拌する。つぎに、反応系から溶媒を留去し、得られた残渣を精製すれば一般式(2)の有機蛍光材料が得られる。
なお、前記の調製方法より得られた一般式(2)の有機蛍光材料の官能基を、公知の他の化学反応によって他の官能基に置換すれば、一般式(2)で示す他の有機蛍光材料が得られる。
さらに、一般式(3)の有機蛍光材料は、例えば、次のようにして調製することができる。まず、前記の方法により得られた一般式(2)に示す有機蛍光材料をジブロモメタンなどのハロゲンを複数有する化合物、アルカリ性物質、クラウンエーテルとともに溶媒に溶解して環流させる。つぎに、反応系から溶媒を留去し、得られた残渣を精製すれば一般式(3)の有機蛍光材料が得られる。
加えて、一般式(3)の有機蛍光材料は、次のような方法でも調製することができる。まず、一般式(2)に示す有機蛍光材料を複数の水酸基を有する化合物、トリフェニルホスフィン、アゾジカルボンサンジエステルとともに溶媒に溶解させる。つぎに、反応系から溶媒を留去し、得られた残渣を精製すれば一般式(3)の有機蛍光材料が得られる。
なお、前記の調製方法より得られた一般式(3)の有機蛍光材料の官能基を、公知の他の化学反応によって他の官能基に置換すれば、一般式(3)で示す他の有機蛍光材料が得られる。
2.着色料
この発明の着色料は、一般式(1)〜(3)で表される有機蛍光材料を含有するものである。この着色料は、用途に応じて、粉末などの固体状態、溶媒に溶かした液体状態(例えば染料や塗料など)で布、金属、木材などに着色してもよく、溶融したプラスチックに混ぜてフィルムなどの樹脂成形品に着色してもよい。なお、この発明の着色料を溶かす溶媒、混ぜる対象となる樹脂は、公知の成分であれば特に限定することなく使用することができる。また、この発明の着色料には、必要に応じて安定化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤などの公知の添加物を添加してもよい。
一方、この発明の有機蛍光材料は、その置換基を変えることによって、溶媒や樹脂に対する相溶性や、室温における状態(固体からオイル状まで)等の物性をコントロールできる。そのため、この発明の有機蛍光材料を溶かし易い溶媒や混ぜ易い樹脂を選択するのではなく、既存の溶媒や樹脂に適した有機蛍光材料を新規に調製してもよい。
以下にこの発明を実施例に従ってさらに詳しく説明する。ただし、この発明の特許請求の範囲は、如何なる意味においても下記の実施例により限定されるものではない。
下記化学(7)で表される化合物の合成
Figure 2010229215
フェルラ酸エチルエステル2.1g、Ag2O 1.0gをトルエン15mL及びアセトン10mLの混合溶液中に分散させ、12時間、100℃、不活性ガス中で還流させた。反応溶液を室温まで戻した後、析出固体を濾別し、得られた溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して第1中間生成物1.0gを得た。
この第1中間生成物0.5gをピリジン10mLに溶解させ、無水酢酸2mLを滴下した後、室温で攪拌した。2時間後、水100mLを加え、さらに6N−HClを加えて酸性化した後、酢酸エチルで抽出、水洗した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、減圧蒸留して第2中間生成物0.55gを得た。
得られた第2中間生成物0.5g及びDDQ0.3gをジオキサン100mLに溶解させ、20時間、110℃で還流させた。室温まで戻した後、析出固体を濾別して、得られた溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化学式7に示す化合物0.3gを得た。得られた化合物を1H NMR及び13C NMRの測定結果から同定し、その分解温度を測定した。その結果を以下に示す。
分解温度:342℃、1H NMR(400MHz, CDCl3) :δ 7.83-7.81 (2H, m), 7.80 (1H, d, J=16.0 Hz), 7.68 (1H, dd, J=2.0, 8.4 Hz), 7.15 (1H, d, J=8.4 Hz), 7.05 (1H, d, J=1.6 Hz), 6.46 (1H, d, J=16.0 Hz), 4.44 (2H, q, 7.2 Hz), 4.30 (2H, q, 7.2 Hz), 4.06 (3H, s), 3.93 (3H, s), 2.35 (3H, s), 1.44 (3H, t, 7.2 Hz), 1.37 (3H, t, 7.2 Hz); 13C NMR (100MHz, CDCl3):δ 168.65, 167.05, 163.57, 160.53, 150.75, 145.35, 145.18, 144.29, 141.54, 131.62, 129.18, 127.76, 122.57, 122.52, 117.66, 116.32, 113.85, 109.56, 105.96, 60.98, 60.54, 56.14, 20.70, 14.36
下記化学式(8)で表される化合物の合成
Figure 2010229215
実施例1で得られた化合物0.2gをピロリジン2mLに溶解させ、そのまま5分間攪拌した。つぎに、水10mLを加えて1N−HClで中和した。析出した固体を濾別乾燥して、化学式8に示す化合物0.18gを得た。得られた化合物を1H NMR及び13C NMRの測定結果から同定し、その分解温度を測定した。その結果を以下に示す。
分解温度:357℃、1H NMR(400MHz, CDCl3) :δ 7.80 (1H, d, J=16.0 Hz), 7.80 (1H, d, J=1.2 Hz), 7.74 (1H, d, J=2.0 Hz), 7.66 (1H, dd, J =2.0, 8.4 Hz), 7.02(1H, d, J =1.2 Hz), 7.01(1H, d, J=8.4 Hz), 6.45(1H, d, J=16.0 Hz), 5.95 (1H, s), 4.43 (2H, q, 7.2 Hz), 4.30 (2H, q, 7.2 Hz), 4.05 (3H, s), 3.99 (3H, s), 1.45 (3H, t, 7.2 Hz), 1.37 (3H, t, 7.2 Hz); 13C NMR (100MHz, CDCl3) :δ 167.11, 163.88, 161.78, 147.96, 145.98, 145.33, 145.22, 144.01, 131.42, 129.42, 123.90, 121.17, 117.46, 116.29, 114.15, 112.13, 108.15, 105.65, 60.81, 60.53, 56.19, 56.11, 14.42, 14.38
下記の化学式(9)で表される化合物の合成
Figure 2010229215
実施例2で得られた化合物100mg、エタノール20mg、トリフェニルホスフィン90mgをジクロロメタン10mL中に分散させ、そこにアゾジイソプロピルジカルボキシレートを70mg滴下した後、4時間室温で攪拌した。撹拌終了後、減圧下で反応系を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、化学式9に示す化合物104mgを得た。得られた化合物を1H NMR及び13C NMRの測定結果から同定し、その分解温度を測定した。その結果を以下に示す。
分解温度:354℃、1H NMR(400MHz, CDCl3):δ7.80 (1H, d, J=16.0 Hz), 7.80 (1H, d, J=1.2 Hz), 7.74-7.69 (2H, m), 7.02 (1H, d, J=1.2 Hz), 6.96 (1H, d, J=8.4 Hz), 6.45 (1H, d, J=16.0 Hz), 4.44 (2H, q, J=7.2 Hz), 4.30 (2H, q, J=7.2 Hz), 4.19 (2H, q, J=7.2 Hz), 4.05 (3H, s), 3.97 (3H, s), 1.51 (3H, t, J=7.2 Hz), 1.45 (3H, t, J=7.2 Hz), 1.37 (3H, t, J=7.2 Hz); 13C NMR (100MHz, CDCl3) : δ 167.07, 163.83, 161.72, 150.40, 148.54, 145.30, 145.19, 144.02, 131.38, 129.40, 123.21, 121.42, 117.41, 116.25, 112.73, 111.54, 108.21, 105.61, 64.31, 60.78, 60.49, 56.13, 56.07, 14.68, 14.40, 14.35
下記化学式(10)で表される化合物の合成
Figure 2010229215
実施例2で得られた化合物50mgを15mLのジクロロメタンに溶解させ、そこにCu(OH)Cl・TMEDA 25mgを加え、室温で15時間攪拌した。溶媒を留去した後、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、化学式10に示す化合物46mgを得た。得られた化合物を1H NMR及び13C NMRの測定結果から同定し、その分解温度を測定した。その結果を以下に示す。
分解温度:395℃、1H NMR(400MHz, CDCl3) :δ 7.85 (2H, d, J=2.0 Hz), 7.81 (2H, d, J=1.6 Hz), 7.79 (2H, d, J=16.0 Hz), 7.74 (2H, d, J=2.0 Hz), 7.61 (2H, d, J=1.6 Hz), 6.44 (2H, d, J=16.0 Hz), 6.31 (2H, s), 4.43 (4H, q, J=7.2 Hz), 4.29 (4H, q, J=7.2 Hz), 4.05 (6H, s), 4.03 (6H, s), 1.41 (6H, t, J=3.2 Hz), 1.36 (6H, t, J=3.2 Hz); 13C NMR (100MHz, CDCl3):δ 167.10, 163.81, 161.41, 146.50, 145.35, 145.32, 145.23, 144.08, 131.40, 129.48, 125.48, 123.28, 120.98, 117.44, 116.26, 111.88, 108.41, 105.76, 60.85, 60.50, 56.43, 56.10, 14.38, 14.36
下記化学式(11)で表される化合物の合成
Figure 2010229215
実施例4で得られた化合物196mg、炭酸カリウム500mg及び18−クラウン−6 120mgを15mLのジブロモメタンに溶解させ、24時間環流させた。得られた溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、化学式11に示す化合物160mgを得た。得られた化合物を1H NMR及び13C NMRの測定結果から同定し、その分解温度を測定した。その結果を以下に示す。
分解温度:392℃、1H NMR(400MHz, CDCl3) :δ 7.99 (2H, d, J=2.0 Hz), 7.84 (2H, d, J=1.2 Hz), 7.81 (2H, d, J=16.0 Hz), 7.76 (2H, d, J=2.0 Hz), 7.05 (2H, d, J=1.2 Hz), 6.46 (2H, d, J=16.0 Hz), 5.82 (2H, s), 4.43 (4H, q, J=7.2 Hz), 4.30 (4H, q, J=7.2 Hz), 4.05 (6H, s), 4.03 (6H, s), 1.38 (6H, t, J=7.2 Hz), 1.37 (6H, t, J=7.2 Hz); 13C NMR (100MHz, CDCl3):δ 167.07, 163.59, 160.81, 151.19, 145.35, 145.24, 145.20, 144.33, 131.65, 130.80, 129.27, 125.71, 122.70, 117.67, 116.30, 112.95, 109.46, 105.96, 100.81, 61.00, 60.55, 56.42, 56.11, 14.37, 14.36
下記化学式(12)で表される化合物の合成
Figure 2010229215
実施例5で得られた化合物214mg、トリフェニルホスフィン127mg、2−ブロモエタノール30mgを20mLのジクロロメタンに溶解させた後、ジイソプロピルアゾジカルボキシレートを98mg加えて室温で4時間撹拌した。得られた溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して中間生成物124mgを得た。
得られた中間生成物114mg及び炭酸カリウム150mgをアセトン30mLに加えた後、3時間環流させた。得られた溶液を減圧下で濃縮し、メタノールで再沈させて、化学式12に示す化合物100mgを得た。得られた化合物を1H NMR及び13C NMRの測定結果から同定し、その分解温度を測定した。その結果を以下に示す。
分解温度:396℃、1H NMR(400MHz, CDCl3) :δ 7.84 (2H, d, J=2.0 Hz), 7.83 (2H, d, J=1.2 Hz), 7.80 (2H, d, J=16.0 Hz), 7.72 (2H, d, J=2.0 Hz), 7.03 (2H, d, J=1.2 Hz), 6.45 (2H, d, J=16.0 Hz), 4.48-4.35 (6H, m), 4.29 (4H, q, J=7.2 Hz), 4.13-4.03 (2H, m), 4.03 (6H, s), 4.02 (6H, s), 1.39 (6H, t, J=7.2 Hz), 1.36 (6H, t, J=7.2 Hz); 13C NMR (100MHz, CDCl3):δ 167.07, 163.63, 160.90, 151.81, 148.78, 145.32, 145.23, 144.29, 132.30, 131.56, 129.36, 125.53, 123.47, 117.59, 116.25, 113.43, 109.23, 105.95, 71.62, 60.94, 60.52, 56.23, 56.11, 14.37, 14.35
下記化学式(13)で表される化合物の合成
Figure 2010229215
実施例5で得られた化合物198mg、トリフェニルホスフィン680mg、イソプロパノール300mgを8.5mLのテトラヒドロフランに溶解させた後、ジイソプロピルアゾジカルボキシレートを520mg加えて、室温で12時間撹拌した。得られた溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、化学式13に示す化合物100mgを得た。得られた化合物を1H NMR及び13C NMRの測定結果から同定し、その分解温度を測定した。その結果を以下に示す。
分解温度:376℃、1H NMR(400MHz, CDCl3) :δ 7.83-7.78 (6H, m), 7.75 (2H, d, J=2.0 Hz), 7.02 (2H, d, J=1.2 Hz), 6.45 (2H, d, J=16.0 Hz), 4.43 (4H, q, J=7.2 Hz) , 4.32-4.20 (6H, m), 4.03 (6H, s), 3.97 (6H, s), 1.40 (6H, t, J=7.2 Hz), 1.36 (6H, t, J=7.2 Hz), 1.09 (12H, d, J=6.0 Hz); 13C NMR (100MHz, CDCl3) :δ167.10, 163.73, 161.33, 152.67, 147.34, 145.30, 144.20, 132.78, 131.43, 129.45, 125.36, 123.60, 117.45, 116.21, 113.15, 108.72, 103.79, 75.70, 60.82, 60.50, 56.12, 56.07, 22.49, 14.36
下記化学式(14)で表される化合物の合成
Figure 2010229215
実施例5で得られた化合物320mg、トリフェニルホスフィン500mg、2−エチルヘキシルアルコール300mgを10mLのテトラヒドロフランに溶解させた後、ジイソプロピルアゾジカルボキシレートを380mg加えて、室温で3時間撹拌した。得られた溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、化学式14に示す化合物204mgを得た。得られた化合物を1H NMR及び13C NMRの測定結果から同定し、その分解温度を測定した。その結果を以下に示す。
分解温度:396℃、1H NMR(400MHz, CDCl3) :δ 7.88 (2H, d, J=2.0 Hz), 7.82-7.78 (4H, m), 7.80 (2H, d, J=16.0 Hz), 7.68 (2H, d, J=2.0 Hz), 7.02 (2H, d, J=1.2 Hz), 6.45 (2H, d, J=16.0 Hz), 4.43 (4H, q, J=7.2 Hz), 4.29 (4H, q, J=7.2 Hz), 4.02 (6H, s), 3.98 (6H, s), 3.85-3.75 (4H, m), 1.44-0.67 (42H, m); 13C NMR (100MHz, CDCl3):δ 167.11, 163.70, 161.19, 152.34, 148.76, 145.35, 145.30, 144.17, 132.34, 131.36, 129.53, 125.11, 123.69, 117.39, 116.24, 113.53, 108.66, 105.80, 75.13, 60.80, 60.48, 56.10, 56.05, 40.29, 30.24, 29.06, 23.44, 22.94, 14.40, 14.35, 14.02, 10.92
下記化学式(15)で表される化合物の合成
Figure 2010229215
実施例5で得た化合物560mgをピリジン4mLに溶解させ、無水酢酸150μLを加えた後、室温で一晩攪拌した。撹拌終了後、水50mL加えて固体を析出させ、この固体を洗浄、濾別、乾燥し、化学式15に示す化合物600mgを得た。得られた化合物を1H NMR及び13C NMRの測定結果から同定し、その分解温度を測定した。その結果を以下に示す。
分解温度:377℃、1H NMR(400MHz, CDCl3) :δ 7.92 (2H, d, J=2.0 Hz), 7.82 (2H, d, J=1.2 Hz), 7.80 (2H, d, J=16.0 Hz), 7.61 (2H, d, J=2.0 Hz), 7.04 (2H, d, J=1.2 Hz), 6.45 (2H, d, J=16.0 Hz), 4.44 (4H, q, J=7.2 Hz), 4.29 (4H, q, J=7.2 Hz), 4.03 (6H, s), 3.97 (6H, s), 2.18 (6H, s), 1.41 (6H, t, J=7.2 Hz), 1.36 (6H, t, J=7.2 Hz); 13C NMR (100MHz, CDCl3) :δ168.25, 17.06, 163.52, 160.17, 151.10, 145.39, 145.19, 144.37, 139.54, 131.63, 130.85, 129.20, 127.22, 124.11, 117.66, 116.31, 113.62, 109.77, 106.05, 61.03, 60.54, 56.39, 56.12, 20.50, 14.37
実施例1から実施例9の結果から、この発明の有機蛍光材料の分解温度が350〜400℃程度であることが分かった。一方、フェルラ酸ならびにフェルラ酸エチルエステルの分解温度は、それぞれ239℃、244℃である。したがって、この発明の有機蛍光材料は、ポリカーボネート樹脂やポリイミド樹脂など、高耐熱性が要求される樹脂中に分散させて使用することができる。
実施例1〜9で得られた化合物をポリメチルメタクリレートに対して0.1〜20重量%になるように混ぜた後、クロロホルムに溶解させた。得られた溶液を石英ガラス上に塗布して乾燥し、蛍光材料含有フィルムを得た。
実施例1〜9で得られた化合物、フェルラ酸、及びフェルラ酸エチルエステルのクロロホルム溶液(5x10-6mol/L)を調製し、蛍光分光光度計を使用して蛍光スペクトルを測定した。その結果を図1に示す。
図1から、この発明の有機蛍光材料は、フェルラ酸及びフェルラ酸エチルエステルと比較して、溶液(液体)状態における蛍光強度がかなり高いことが分かった。
実施例1〜9で得られた化合物、フェルラ酸、及びフェルラ酸エチルエステルの粉末を石英ガラスに挟み込み、蛍光分光光度計を使用して蛍光スペクトルを測定した。その結果を図2に示す。
図2から、この発明の有機蛍光材料は、フェルラ酸及びフェルラ酸エチルエステルと比較して、固体状態における蛍光強度がかなり高いことが分かった。
実施例10で得られたフィルムを石英ガラスに挟み込み、蛍光分光光度計を使用して蛍光スペクトルを測定した。その結果を図3に示す。
図3から、この発明の有機蛍光材料は、通常の方法によって樹脂に混ぜてフィルムにすることができ、得られたフィルムは高い蛍光強度を備えていることが分かった。
以上の実施例から、この発明の有機蛍光材料は、溶液状態、固体状態、樹脂に混ぜた状態での蛍光強度が極めて高いこと、高い耐熱性を備えているため、プラスチックに混ぜ合わせて使用できること、が分かった。

Claims (6)

  1. 一般式(1)で表される有機蛍光材料。
    Figure 2010229215
    (式中、R1、R2は互いに同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、シリル基、置換シリル基を表す。また、R3、R4及びR6は互いに同一又は異なって、水素原子、水酸基、アルキル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、シリル基、置換シリル基、アセチル基を表す。さらに、R5は、アミノ基、水酸基、アルキル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、シリル基、置換シリル基、アセチル基を表す。)
  2. 一般式(2)で表される有機蛍光材料。
    Figure 2010229215
    (式中、R1、R2、R7及びR8は互いに同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、シリル基、置換シリル基を表す。また、R3、R4、R9及びR10は互いに同一又は異なって、水素原子、水酸基、アルキル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、シリル基、置換シリル基、アセチル基を表す。さらに、R5及びR11は互いに同一又は異なって、アミノ基、水酸基、アルキル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、シリル基、置換シリル基、アセチル基を表す。)
  3. 一般式(3)で表される有機蛍光材料。
    Figure 2010229215
    (式中、R1、R2、R7及びR8は互いに同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、シリル基、置換シリル基を表す。また、R3、R4、R 9及びR10は互いに同一又は異なって、水素原子、水酸基、アルキル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、シリル基、置換シリル基、アセチル基を表す。さらに、Xはアルキル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、オキシエチレン基を表す。)
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の有機蛍光材料を含有する着色料。
  5. 請求項4に記載の着色料を使用する着色方法。
  6. 請求項5に記載の着色方法により着色された樹脂成形品。
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