JP2010229168A - 紫外線硬化型接着剤の黄変を抑制する方法 - Google Patents

紫外線硬化型接着剤の黄変を抑制する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シクロオレフィンポリマーフィルムを含む光学素子用積層体の貼合に用いられる紫外線硬化型接着剤の黄変を抑制する方法を提供する。
【解決手段】紫外線硬化型接着剤の光重合開始剤としてα−ヒドロキシアルキルフェノン系および/またはアシルフォスフィンオキシド系の光重合開始剤を用いることにより紫外線硬化型接着剤の黄変を抑制するができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、紫外線硬化型接着剤の黄変を抑制する方法に関し、特にシクロオレフィンポリマーフィルムを構成材料として含む光学素子用積層体に用いられる紫外線硬化型接着剤の黄変を抑制する方法に関する。
液晶表示装置等の形成に用いる光学部材、例えば偏光板や光学補償層となる位相差フィルムやそれらを積層した楕円偏光板などは、貼り合わせ時に粘着剤や接着剤(以下、粘・接着剤という)を硬化させるために紫外線(UV)照射工程を伴う場合がある。UV照射工程は、UV硬化性の粘・接着剤を硬化させるために必要な操作である一方、その弊害もあり、光学部材の光学特性や化学的特性および機械的特性を劣化せしめることがある。具体的には、シクロオレフィンポリマーフィルム(以下、COPフィルムという)を含む光学素子用積層体においては、COPフィルムの多くが300nm以下の低波長UVを透過させてしまうため、貼合に用いる粘・接着剤によっては、黄変が起こり、光学素子用積層体として使用できない問題があった。
UV照射の弊害を防止するために、不活性ガス雰囲気下で光学補償層に直接紫外線が当たらないようにする方法(特許文献1)や、少なくとも200nm以下の紫外線を吸収および/または反射しうる紫外線遮断部材を介する方法(特許文献2)や、劣化因子となるオゾンの発生量を抑制できるメタルハイドライドランプまたは超高圧水銀灯を用いる方法(特許文献3)が示されている。また、熱線カットフィルターと低波長カットフィルターを用いて365nm近傍の紫外線のみを利用する方法も示されている(特許文献4)。
しかしながら、COPフィルムを含む光学素子用積層体に用いられる紫外線硬化型接着剤の黄変を抑制する方法としては、製造工程の大幅な変更を必要としたり、紫外線をカットする場合には同時に照射量も減ずるため、カットするUV波長や照射量を厳密に制御しなければ所望の粘着力や接着力が得られない問題があった。
特許第4081493号 特許第4081495号 特許第3980618号 特開2004−026898号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、COPフィルムを含む光学素子用積層体に用いられる紫外線硬化型接着剤の黄変を抑制する方法を提供することである。
本発明者らは上記課題の解決に向けて鋭意研究した結果、本発明を完成するに至ったものである。すなわち、本発明は次のとおりである
[1]シクロオレフィンポリマーフィルムを含む光学素子用積層体に用いられる紫外線硬化型接着剤の黄変を抑制する方法であって、該紫外線硬化型接着剤の光重合開始剤としてα−ヒドロキシアルキルフェノン系および/またはアシルフォスフィンオキシド系の光重合開始剤を用いることを特徴とする紫外線硬化型接着剤の黄変を抑制する方法。
[2]α−ヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤が1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、または2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、または1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンであり、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤が2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキシドであることを特徴とする上記[1]に記載の紫外線硬化型接着剤の黄変を抑制する方法。
[3]上記[1]または[2]に記載の方法で得られた光学素子用積層体を用いた光学素子。
紫外線硬化型接着剤の光重合開始剤としてα−ヒドロキシアルキルフェノン系および/またはアシルフォスフィンオキシド系の光重合開始剤を用いることで、COPフィルムを含む光学素子用積層体に用いられる紫外線硬化型接着剤の黄変を抑制することが出来る。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明はCOPフィルムを含む光学素子用積層体に用いられる紫外線硬化型接着剤の黄変を抑制する方法であって、積層体を貼合する紫外線硬化型接着剤にα−ヒドロキシアルキルフェノン系および/またはアシルフォスフィンオキシド系の光重合開始剤を用いることを特徴とする紫外線硬化型接着剤の黄変を抑制する方法に関する。
本発明の方法に使用される紫外線硬化型接着剤の光重合開始剤はα−ヒドロキシアルキルフェノンおよび/またはアシルフォスフィンオキシド系の光重合開始剤を用いることを特徴とする。かかる光重合開始剤を用いることにより、UV照射後の接着剤層の黄変が抑制される。
α−ヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤としては、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンなどが挙げられる。
アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシドなどが挙げられる。
上記の光重合開始剤は単独で使用することも併用して使用することもできる。光重合開始剤の好ましい配合割合は、紫外線硬化型接着剤を構成する成分やその組成等により一概に決定することは困難であるが、組成物100質量部に対して0.1〜10質量部で、より好ましくは1〜8質量部である。この範囲外では、硬化が不充分になったり、光重合開始剤が過剰になり耐候性が悪化したりして好ましくない。
本発明の方法に使用される紫外線硬化型接着剤の光重合開始剤を除く他の成分は、通常の紫外線硬化型の塗料や接着剤等に使用される成分から適宜選定することができる。
これらの成分としては、例えば東亜合成(株)や大阪有機化学工業(株)などから市販されている各種(メタ)アクリル系の単官能モノマー、多官能モノマーやオリゴマーと、粘度調整剤(増粘剤)、表面改質剤、界面活性剤、酸化防止剤、分散剤、帯電防止財等の添加剤等を適宜選定すればよい。
さらに光の拡散や散乱を目的としてアクリル系粘・接着剤とは屈折率の異なる(微)粒子を添加してもよい。光拡散性を発現させるために添加される(微)粒子として、マット剤と呼ばれる二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムや、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレンなどの(架橋)ポリマー微粒子、ITO、銀などが挙げられる。光拡散性の粘・接着剤のヘイズは20%以上であるのが好ましく、さらには40%以上、とりわけ60%以上であるのが一層好ましい。ヘイズは、JIS K 7105に規定される値であって、(拡散透過率/全光線透過率)×100(%)で表される。
前記の(メタ)アクリル系の単官能モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシ−3−フェニルプロピルアクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等の飽和又は不飽和脂環式アルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート等の置換アリール(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート及び2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコシキ(メタ)アクリレート;N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム及び(メタ)アクリロイルモルホリン等の不飽和アミド化合物;フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びコハク酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート;ヘキサヒドロフタルイミドエチル(メタ)アクリレート及びコハクイミドエチル(メタ)アクリレート等のイミド(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、(メタ)アクリレートと共重合可能なエチレン性不飽和単量体である、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリルや酢酸ビニル等を併用してもよい。
(メタ)アクリル系の多官能モノマーには、官能基数が2,3,4,5,6等のものがあり、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート。1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
(メタ)アクリル系のオリゴマーとしては、例えばポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらは混合物であってもよい。
ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸との脱水縮合物が挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール及びトリメチロールプロパン等の低分子量ポリオール、並びにこれらのアルキレンオキシド付加物等のポリオールと、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等の二塩基酸又はその無水物等の酸成分とからの反応物等が挙げられる。
エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ビスフェノールA系、フェノールおよびクレゾール系ノボラック系、脂環族系やアミン系等の各種エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応物を挙げることができる
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリオールと有機ポリイソシアネート反応物に対して、さらにヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを反応させた反応物等が挙げられる。ここで、ポリオールとしては、低分子量ポリオール、ポリエチレングリコール及びポリエステルポリオール等がある。低分子量ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール及び3−メチル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられ、ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等が挙げられ、ポリエステルポリオールとしては、これら低分子量ポリオール又は/及びポリエーテルポリオールと、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等の二塩基酸又はその無水物等の酸成分との反応物が挙げられる。有機ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート等が挙げられる。ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、従来知られている合成法に従い製造されたもので良い。例えば、ジブチルスズジラウレート等の付加触媒存在下、使用する有機イソシアネートとポリオール成分を加熱撹拌し付加反応せしめ、さらにヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを添加し、加熱撹拌し付加反応せしめる方法等が挙げられる。
(メタ)アクリル系のオリゴマーの分子量としては、当該オリゴマーを用いて得られる粘・接着剤が耐久性に優れたものとなることから、数平均分子量で500〜10,000であることが好ましく、より好ましくは1,000〜10,000である。
前記の(メタ)アクリル系の単官能モノマー、多官能モノマーやオリゴマーは親水性や親油性のバランスをとる目的で、エチレンオキシドあるいはプロピレンオキシドで変性させたものを用いることもできる。
表面改質剤は、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状均一性を確保するために、フッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、又はその両者を用いるのが好ましく、特にフッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量においてその効果が現れるため、好ましく用いられる。
粘度調整剤や粘着性付与剤としては、クマロン・インデン樹脂、テルペン系樹脂、ロジンエステル系樹脂、石油系樹脂などを挙げることができる。
また、接着剤層の厚みは0.5〜50μmが好ましく、望ましくは1〜30μm、さらに望ましくは1〜20μmである。厚みが0.5μmより薄すぎると、接着力の不足により剥れが発生しやすくなり、また50μmより厚すぎると端部から滲みでて製品外観の不良を起こしたりして好ましくない。
本発明におけるUV照射工程について説明する。
UV光源としては、公知の光源、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、低圧水銀灯、キセノンランプ、アークランプ、レーザーなどを挙げることができ、照射量は積算照射量として通常20〜2000mJ/cm、好ましくは100〜1500mJ/cmの範囲である。
本発明の方法が適用される光学素子用積層体について説明する。光学素子用積層体は、COPフィルムを含む光学素子用積層体であって、その積層体の構成の例を次に示す。
なお、「/」は層界面を表す。
1)基材/粘・接着剤層/液晶層/配向基板
2)基材/粘・接着剤層/液晶層/粘・接着剤層/第2の基板
3)基材/粘・接着剤層/液晶層/粘・接着剤層/仮基板
4)基材/粘・接着剤層/位相差フィルム
5)基材/粘・接着剤層/偏光板
6)基材/粘・接着剤層/液晶層/粘・接着剤層/位相差フィルム
7)基材/粘・接着剤/位相差フィルム/粘・接着剤層/液晶層/配向基板
8)基材/粘・接着剤/位相差フィルム/粘・接着剤層/液晶層/粘・接着剤層/第2の基板
9)基材/粘・接着剤/位相差フィルム/粘・接着剤層/液晶層/粘・接着剤層/仮基板
10)基材/粘・接着剤/位相差フィルム/粘・接着剤層/液晶層/配向基板/粘・接着剤層/偏光板
上記の積層体の構成要素である基材、位相差フィルム、配向基板、第2の基板、仮基板、偏光板に少なくともCOPからなるフィルムを一層以上含むことが必要である。
上記の積層体の構成要素について説明する。
基材は、光学的に透明で他の層を支持する機能を有するものであれば特に制限はなく、位相差フィルムや配向基板、第2の基板であってもよい。使用される材料としてはCOP以外にトリアセチルセルロースのようなセルロース系樹脂、ポリ(4−メチルーペンテン−1)樹脂、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリメチルメタクリレート樹脂等を挙げることができる。
位相差フィルムは、位相差を有し透明性と均一性に優れたものであれば特に制限されず、高分子延伸フィルムや液晶からなる光学補償フィルムを好ましく挙げることができる。高分子延伸フィルムとしては、セルロース系、ポリカーボネート系、ポリアリレート系、ポリスルフォン系、ポリアクリル系、ポリエーテルスルフォン系、COP等からなる一軸又は二軸位相差フィルムを例示することができる。
高分子延伸フィルムは、一軸または二軸延伸により得ることが好ましい。一軸延伸は、2つ以上のロールの周速差を利用した縦一軸延伸、またはポリマーフイルムの両サイドを掴んで幅方向に延伸するテンター延伸が好ましい。また、ポリマーフイルムを縦方向および横方向に延伸することにより、二軸性の光学異方性を発現させてもよい。なお、二枚以上のポリマーフイルムを用いて、二枚以上のフイルム全体の光学的性質が前記の条件を満足してもよい。ポリマーフイルムは、複屈折のムラを少なくするためにソルベントキャスト法により製造することが好ましい。ポリマーフイルムの厚さは、20〜400μmであることが好ましく、30〜100μmであることが最も好ましい。広く一般に使用されているヨウ素を用いた偏光膜は、連続縦一軸延伸プロセスによって製造されるため、ロールの長手方向と平行に吸収軸がある。したがって、一般的な縦一軸延伸された長尺の偏光膜と長尺の高分子延伸フィルムを、偏光膜の吸収軸と高分子延伸フィルムの遅相軸が直交するようにロールトゥロールにより貼り合せる場合には、遅相軸が搬送方向と直交するように高分子延伸フィルムの製造には横延伸機を用いるのが好ましい。
また、液晶からなる光学補償フィルムとは、液晶を配向させてその配向状態から生じる光学異方性を利用できるフィルムであれば特に制限されるものではなく、例えば、ある温度範囲において液晶性を示すサーモトロピック液晶性化合物や、ある溶液の特定の濃度範囲で液晶性を示すリオトロピック液晶性化合物を配向基板上に塗布したフィルムが挙げられる。特にサーモトロピック液晶性化合物は広い温度範囲で液晶性を示すことができるようにするために複数の液晶性化合物を混合して用いることが多い。
また、液晶性化合物は低分子量でも、高分子量でもよく、またこれらの混合物であってもよい。液晶性化合物やその組成物の液晶相としては、ネマチック相、ねじれネマチック相、コレステリック相、スメクチック相、ディスコティックネマチック相等が挙げられる。また、配向形態としては、配向基板に水平に配向するホモジニアス配向や垂直に配向するホメオトロピック配向、両者の中間状態と考えられるチルト配向やハイブリッド配向が例示される。
低分子量の液晶性化合物としては、飽和ベンゼンカルボン酸類、不飽和ベンゼンカルボン酸類、ビフェニルカルボン酸類、芳香族オキシカルボン酸類、シッフ塩基型類、ビスアゾメチン化合物類、アゾ化合物類、アゾキシ化合物類、シクロヘキサンエステル化合物類、ステロール化合物類などの末端に反応性官能基を導入した液晶性を示す化合物や前記化合物類のなかで液晶性を示す化合物に架橋性化合物を添加した組成物などが挙げられる。
また、ディスコティック液晶性化合物としては、トリフェニレン系、トルクセン系等が挙げられる。
高分子量の液晶性化合物としては、各種の主鎖型高分子液晶性化合物、側鎖型高分子液晶性化合物、またはこれらの混合物(組成物)を用いることができる。
主鎖型高分子液晶性化合物としては、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリカーボネート系、ポリイミド系、ポリウレタン系、ポリベンズイミダゾール系、ポリベンズオキサゾール系、ポリベンズチアゾール系、ポリアゾメチン系、ポリエステルアミド系、ポリエステルカーボネート系、ポリエステルイミド系等の主鎖型高分子液晶性化合物、またはこれらの混合物等が挙げられる。なかでも合成の容易さ、配向性、ガラス転移点などの面から液晶性ポリエステルが好ましく、前記の反応性官能基を結合していてもよい。
前記の側鎖型高分子液晶性化合物としては、ポリアクリレート系、ポリメタクリレート系、ポリビニル系、ポリシロキサン系、ポリエーテル系、ポリマロネート系、ポリエステル系等の直鎖状または環状構造の骨格鎖を有する物質に側鎖としてメソゲン基が結合した高分子液晶性化合物、またはこれらの混合物が挙げられる。
また、ディスコティック液晶性化合物は、様々な文献(C. Destrade et al., Mol. Crysr. Liq. Cryst., vol. 71, page 111 (1981) ;日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B. Kohne et al., Angew. Chem. Soc. Chem. Comm., page 1794 (1985);J. Zhang et al., J. Am. Chem. Soc., vol. 116, page 2655 (1994))等に記載されている。ディスコティック液晶性化合物の重合については、特開平8−27284号公報等に記載がある。
これらの液晶性化合物は、配向状態を固定するために、紫外線または熱により重合もしくは架橋するような化合物であることが好ましい。そのような液晶性化合物としては、(メタ)アクリロイル基やエポキシ基、ビニル基、オキセタニル基などの重合性基を有する化合物、もしくはアミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、イソシアナート基などの反応性官能基を有する化合物であることが好ましく、例えばWO97/44703やWO98/00475号公報に記載の化合物などが挙げられる。
なお、液晶層は配向基板、第2の基板や仮基板上に形成されていてもよいが、薄膜化の要求からこれら基板を剥離した形態が好ましい。
配向基板、第2の基板や仮基板は適宜選択できるが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)、アモルファスポリオレフィン、COP等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリケトンサルファイド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、トリアセチルセルロース、あるいはエポキシ樹脂等のフィルムを例示できる。
とりわけ、光学的欠陥の検査性に優れる透明性で光学的に等方性のフィルムとして、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、アモルファスポリオレフィン、COP、トリアセチルセルロース、あるいはエポキシ樹脂などのプラスチックフィルムが好ましく使用される。
なお、第2の基板とは、液晶の配向基板が光学的用途に相応しくない場合に液晶層の支持基板として使用されるものである。配向基板から液晶層を支持基板に移行させるには、適宜な粘・接着剤を介して行うことができる。
また、これらフィルムの厚みとしては、光学素子用積層体の薄膜化や液晶層を移行する場合の要求から、望ましくは10〜100μm、特に望ましくは20〜80μmがよい。厚みが厚すぎると液晶層の移行(剥離)に際して剥離ポイントが安定せず剥離性が悪化する恐れがあり、一方薄すぎるとフィルムの機械強度が保てなくなるため、製造中に引き裂かれるなどのトラブルが生じる恐れがある。
なお、仮基板は該用途として公知のフィルムでも、上記に例示したフィルムから適宜選定してもよく、シリコーン処理等の易剥離性処理が施されていてもよく、また接着力を調整する目的で予めその表面に有機薄膜又は無機薄膜を形成したり、コロナ放電処理等を施しておいても良い。
前記の移行方法としては公知の方法を採用することができる。例えば、特開平4−57017号公報や特開平5−333313号公報に記載されているように液晶フィルム層を粘着剤もしくは接着剤を介して、配向基板とは異なる目的の基板と積層した後に、必要により粘着剤もしくは接着剤の硬化処理(UV架橋等)を施し、該積層体から配向基板を剥離することで液晶フィルムのみを移行させる方法等を挙げることができる。
液晶層の厚さとしては、所望とする正面位相差と厚み方向の位相差値によって異なり、さらに配向した液晶性化合物の複屈折によっても異なるが、好ましくは0.05〜20μm、より好ましくは0.1〜10μm程度である。膜厚がこの範囲外では、目的とする効果が得られない、配向が不十分になる、などして好ましくない。
位相差フィルムの光学特性(光学異方性)は、面内の最大屈折率方向を示す方向の屈折率をnx、それと直交する方向の屈折率をny、厚さ方向の屈折率をnz、フィルムの厚さをdとするとき、波長550nm光で測定した(nx−ny)・dで表される正面位相差(Re)は20〜1000nm、より好ましくは50〜700nm、さらに好ましくは70〜300nm程度がよい。
また、{nz−(nx+ny)/2}・dで表される厚み方向の位相差(Rth)は絶対値で5〜700nm、より好ましくは、10〜300nm、さらに好ましくは20〜200nm程度がよい。なお、正面位相差と厚み方向の位相差とは上記条件を同時に満たす必要はない。
位相差フィルムは、1枚のみの使用でも良いし複数枚使用しても良い。また、高分子延伸フィルムと液晶からなる光学補償フィルムを併用することもできる。
偏光板としては特に制限されず、偏光素子単独、偏光素子の両面もしくは片面に保護フィルムを有する各種のものが使用できる。偏光素子としては、たとえば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等があげられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムを延伸して二色性材料(沃素、染料)を吸着・配向したものが好適に用いられる。偏光素子の厚さも特に制限されないが、5〜80μm程度が一般的である。
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光素子は、たとえば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸してもよし、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
偏光素子の一方の面または両面に設けられる透光性保護フィルムとしては、光学的に等方な基板が好ましく、例えばフジタック(富士フィルム社製品)やコニカタック(コニカ社製品)などのトリアセチルセルロースフィルム、アートンフィルム(JSR社製品)やゼオノアフィルム、ゼオネックスフィルム(日本ゼオン社製品)などのシクロオレフィンンポリマー、TPXフィルム(三井化学社製品)、アクリプレンフィルム(三菱レーヨン社製品)が挙げられるが、耐熱性や耐湿性などからトリアセチルセルロースやシクロオレフィンンポリマーが好ましい。透光性保護フィルムの厚さは、一般には150μm以下であり、5〜100μmが好ましい。特に10〜50μmとするのが好ましい。
次に本発明が適用される光学素子用積層体の構成材料として必須に用いられるCOPについて説明する。
本発明で使用されるCOPは重合体の繰り返し単位中に脂環式構造を有するものであり、主鎖中に脂環式構造を含有する重合体、及び側鎖に脂環式構造を含有する重合体のいずれも用いることができる。
脂環式構造としては、例えばシクロアルカン構造、シクロアルケン構造等が挙げられるが、熱安定性等の観点からシクロアルカン構造が好ましい。脂環式構造を構成する炭素数は特に制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個である。脂環式構造を構成する炭素原子数がこの範囲にあると、耐熱性及び柔軟性に優れた透明プラスチックフィルムを得ることができ、好ましく用いることができる。
COPの脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択すればよいが、通常50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。脂環式構造を有する繰り返し単位が過度に少ないと耐熱性が低下し好ましくない。なお脂環式構造含有重合体における脂環式構造を有する繰り返し単位以外の繰り返し単位は、使用目的に応じて適宜選択される。
COPの具体例としては、(i)ノルボルネン系重合体、(ii)単環の環状オレフィン系重合体、(iii)環状共役ジエン系重合体、(iv)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素化物が挙げられる。これらの中でも、透明性や成形性の観点から、ノルボルネン系重合体が好ましい。
(i)ノルボルネン系重合体
ノルボルネン系重合体としては、具体的には、ノルボルネン系単量体の開環重合体、ノルボルネン系単量体と開環重合可能なその他の単量体との開環共重合体、及びこれらの水素化物、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体と共重合可能なその他の単量体との付加重合体等が挙げられる。これらの中でも、透明性の観点から、ノルボルネン系単量体の開環(共)重合体の水素化物が特に好ましい。
ノルボルネン系単量体としては、例えば、ジシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12.5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]ドデカ−3−エン(テトラシクロドデセン)等が挙げられ、これらの化合物は置換基を有していてもよい。該置換基としては、例えばアルキル基、アルケニル基、アルコシキカルボニル基、カルボキシル基等を挙げることができる。またこれらの置換基は、同一又は、相異なる複数個が環に結合してもよい。ノルボルネン系単量体は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ノルボルネン系単量体と開環重合可能なその他の単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のモノ環状オレフィン類及びその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン等の環状共役ジエン及びその誘導体;等が挙げられる。
ノルボルネン系単量体の開環重合体及びノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との開環共重合体は、単量体を開環重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。開環重合触媒としては、公知のものを使用できる。
ノルボルネン系単量体と付加共重合可能なその他の単量体としては、例えばエチレン、プロピレン等の炭素数2〜20のα−オレフィン及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン等のシクロオレフィン及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン等の非共役ジエン等が挙げられる。これらの単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中では、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。
ノルボルネン系単量体の付加重合体、及びノルボルネン系単量体とこれと共重合可能な他の単量体との付加共重合物は、単量体を付加重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。付加重合触媒としては、公知のものを使用することができる。
ノルボルネン系単量体の開環重合体、ノルボルネン系単量体と開環重合可能なその他の単量体との開環共重合体の水素化物は、公知の水素化触媒を用い、炭素−炭素不飽和結合を好ましくは90%以上水素化することによって得られる。
上記ノルボルネン系(共)重合体として、例えば、日本ゼオン(株)製、商品名“ZEONOR”、“ZEONEX”;JSR(株)製、商品名“ARTON”;日立化成工業(株)製、商品名“OPTOREZ”;三井化学(株)製、商品名“APEL”;Topas Advanced Polymers GmbH社製“Topas”等が市販されている。
(ii)単環の環状オレフィン系重合体
単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等の付加重合体重合体を挙げることができる。
(iii)環状共役ジエン系重合体及びこれらの水素化物
環状共役ジエン系重合体としては、例えば、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン等の環状共役ジエン系単量体を1,2−付加重合、又は1,4−付加重合した重合体、及びその水素化物を挙げることができる。
(iv)ビニル脂環式炭化水素重合体及びこれらの水素化物
ビニル脂環式炭化水素重合体は、ビニルシクロアルカン又はビニルシクロアルケン由来の繰り返し単位を有する重合体である。ビニル脂環式炭化水素重合体としては、例えば、ビニルシクロヘキサン等のビニル脂環式炭化水素化合物の重合体、及びその水素化物;スチレン、α−メチルスチレン等のビニル芳香族炭化水素化合物の重合体の芳香環部分の水素化物等が挙げられる。また、ビニル脂環式炭化水素重合体は、ビニル脂環式炭化水素化合物やビニル芳香族炭化水素化合物と、これらの単量体と共重合可能な他の単量体とのランダム共重合体、ブロック共重合体等の共重合体、及びその水素化物であってもよい。
本発明に使用されるCOPの分子量は、溶媒としてシクロヘキサン(重合体が溶解しない場合はトルエン)を用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定した、ポリイソプレン又はポリスチレン換算の重量平均分子量が、通常10,000〜300,000、好ましくは20,000〜200,000の範囲である。分子量がこのような範囲にある時に、透明プラスチックフィルムの機械的強度と成形加工性とが高度にバランスされ、光学素子用積層体の構成材料として好適である。
COPのガラス転移温度は、使用目的に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃〜250℃の範囲である。ガラス転移温度がこのような範囲にある時、高温下での使用における変形や応力が生じることなく耐久性に優れており、光学素子用積層体の構成材料として好適である。
COPからなる材料は、当該ポリマーをフィルムに成形し必要により延伸を行うことにより得ることができる。フィルムの成形は前記のCOPを公知の成形方法により成形することができる。
フィルムに成形する方法としては、溶液キャスティング法、又は溶融押出成形法が挙げられる。中でも、フィルム中の揮発成分の含有量や厚さムラを少なくできる点、及び生産性の観点から、溶融押出成形法が好ましい。さらに溶融押出成形法としては、Tダイ等のダイスを用いる方法やインフレーション法等が挙げられるが、厚み精度に優れる点でTダイを用いる方法が好ましい。
フィルムを成形する方法としてTダイを用いる方法を採用する場合、Tダイを有する押出機における溶融温度は、用いる重合体のガラス転移温度よりも80℃〜180℃高い温度にすることが好ましく、100℃〜150℃高い温度にすることがより好ましい。押出機での溶融温度が過度に低いと重合体の流動性が低下し、逆に溶融温度が過度に高いと重合体が劣化する可能性がある。
さらに、フィルムに成形する前に、用いるCOPを予備乾燥しておくことが好ましい。予備乾燥は、例えば原料をペレットの形態にして、熱風乾燥機を用いて行われる。乾燥温度は100℃以上が好ましく、乾燥時間は2時間以上が好ましい。予備乾燥を行うことにより、フィルム中の揮発成分量を低減させることができる。さらに押し出す重合体の発泡を防ぐことができる。
用いるCOPは、その飽和吸水率が0.05質量%未満であることが好ましい。飽和吸水率が0.05質量%未満であるものを使用することにより、得られるフィルム上に積層体を形成する時に、水分が放出されて品質が劣化したり、生産性が低下したりすることがない。また、吸湿によりフィルムが伸縮して、積層している層がフィルムから剥離することもない。特に、大型画面液晶表示装置において使用する場合には、吸湿による寸法変化が引き起こす画像品質の悪化を解消することができる。
フィルムの厚みは5〜150μmが好ましく、20〜120μmがより好ましく、20〜80μmが更に好ましい。フィルムの厚みが5μm以上であれば、フィルム強度が弱くなるなどの問題が生じにくく、150μm以下であれば、質量が増加しすぎて、特に20インチ以上の大型テレビに用いた場合に不利になるなどの弊害が生じにくいので好ましい。
本発明の光学素子用積層体はその構成によりそのままの形態で、またはさらに偏光板や位相差フィルムとを組み合わせた光学素子として用いられる。光学素子は通常、各構成部材にズレや歪み等が発生しないように粘・接着剤を介して積層される。
ここで使用される粘・接着剤は、積層される両界面に適度な接着力を有する光学グレードのものであれば特に制限はなく、例えば、アクリル重合体系、エポキシ樹脂系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、ゴム系、ウレタン系およびこれらの混合物系や、熱硬化型および/または光硬化型、電子線硬化型等の各種反応性のものを挙げることができるが、光硬化型が処理の容易さなどから好ましい。前記の紫外線硬化型接着剤を用いることもできる。
光硬化型の粘・接着剤には、ラジカル重合系やカチオン重合系が知られているが、ラジカル重合系である(メタ)アクリロイル基を有する化合物を主体とする粘・接着剤(以下、アクリル系粘・接着剤という。)からなるものが好ましく、アクリル系粘・接着剤は、通常の市販されている紫外線(UV)硬化型粘・接着剤の性能や構成部材への接着性に応じて適宜変性したものが使用できる。
これらの適宜な変性は、前記の紫外線硬化型接着剤に記載した成分から適宜選定すればよい。
光硬化型の粘・接着剤を用いた場合の硬化は、当該粘・接着剤に適した方法を用いればよく、例えばUV硬化型の場合は前述したように、UV光源として公知の光源、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、低圧水銀灯、キセノンランプ、アークランプ、レーザーなどを用い、照射量は通常20〜2000mJ/cm、好ましくは100〜1500mJ/cmの範囲である。
本発明の方法により接着剤の黄変が抑制された光学素子用積層体が得られる。かかる積層体を用いた本発明の光学素子は、前記の積層体の構成と光学特性(Re,Rth等)に応じて、そのままでまたは必要により他の光学部材、例えば位相差フィルムや偏光板をさらに組み合わせて各種液晶表示装置の補償部材や、楕円偏光板、円偏光板として機能させることができる。
例えば、前記の積層体の一例として挙げた基材/粘・接着剤層/偏光板において、基材が1/4波長板の場合はさらに1/2波長板と組み合わせることにより広帯域の楕円偏光板とすることができる。また、液晶層を積層した場合は、当該液晶層の相構造や配向形態により、様々な表示モードの液晶セル、液晶表示装置に用いることができる。
表示モードとしては、例えば、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、OCB(Optically Compensatory Bend)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードを挙げることができる。
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例で用いた分析や測定の方法は以下の通りである。
(1)GPCの測定(平均分子量の測定)
化合物をテトラヒドロフランに溶解し、東ソー社製8020GPCシステムで、TSK−GEL SuperH1000、SuperH2000、SuperH3000、SuperH4000を直列につなぎ、溶出液としてテトラヒドロフランを用いて測定した。分子量の較正にはポリスチレンスタンダードを用いた。
(2)光学特性の測定
液晶層や位相差フィルムの光学特性(位相差値)は、波長550nmの光を用いて王子計測機器(株)製のKOBRA−21ADHで測定した。
(3)積層体の黄変測定
KONICA MINOLTA製分光測色計 CM-3500dを用いて、透過スペクトルを測定し、C光源2°視野における、La表色系の座標軸として測定した。
[参考例1](配向フィルムの作成)
下記式(1)の液晶性ポリマーを合成した。分子量はポリスチレン換算で、Mn=8000、Mw=15000であった。なお、式(1)はブロック重合体の構造で表記しているがモノマーの構成比を表すものである。式(1)のポリマー1.0gを、9mlのシクロヘキサノンに溶かし、暗所でトリアリルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート50%プロピレンカーボネート溶液(アルドリッチ社製、試薬)0.1gを加えた後、孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで不溶分をろ過して液晶材料溶液を調製した。
配向基板は以下のようにして調製した。厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ(株)製)を15cm角に切り出し、アルキル変性ポリビニルアルコール((株)クラレ製、MP−203)の5質量%溶液(溶媒は、水とイソプロピルアルコールの質量比1:1の混合溶媒)をスピンコート法により塗布し、50℃のホットプレートで30分乾燥した後、120℃のオーブンで10分間加熱した。
このようにして得られた配向基板に、前述の液晶材料溶液をスピンコート法により塗布した。次いで60℃のホットプレートで10分乾燥し、150℃のオーブンで2分間熱処理し、液晶材料を配向させた。次いで、60℃に加熱したアルミ板に試料を密着させて置き、その上から、高圧水銀灯ランプにより600mJ/cmの紫外光を照射して、液晶材料を硬化させ、PETフィルム/PVA層/液晶層からなる積層体Aを得た。
配向基板として用いたPETフィルムは大きな複屈折を有し、積層体Aの形態では液晶層の光学特性(Re、Rth等)の測定が困難なため、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム上に次のようにして液晶層を転写した。
すなわち、PETフィルム上の液晶層上に、紫外線硬化型アクリル接着剤UV−3400(東亜合成(株)製品)を5μm厚となるように塗布し、TACフィルム(40μm厚)でラミネートして、TACフィルム側から紫外線を照射して接着剤を硬化させた後、PVA層およびPETフィルムを剥離し、液晶層/UV−3400/TACフィルムの層構成をした配向フィルム1を得た。
得られた配向フィルム1を偏光顕微鏡下で観察すると、ディスクリネーションがなくモノドメインの均一な配向で、コノスコープ観察から正の一軸性屈折率構造を有するホメオトロピック配向であることがわかった。
配向フィルム1の面内方向の位相差値(Re)は0.5nm、厚さ方向の位相差値(Rth)は−110nmであった。なお、用いたTACフィルム単体は負の一軸性でReが−0.5nm、Rthは+40nmであったことから、液晶層単独のReは0nm、またRthは−150nmと見積もられた。
Figure 2010229168
[実施例1〜4、比較例1](接着剤組成物の黄変評価)
光重合開始剤種の違いによる接着剤組成物の黄変を評価するために、アロニックスM−1310(東亞合成(株)製)30質量%、N−ビニル−2−ピロリドン(和光純薬(株)製試薬)30質量%および2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート(和光純薬(株)製試薬)40質量%から成る組成物100質量部に、表1に示す光開始剤(光重合開始剤)を4質量部配合して接着剤組成物を得た。この接着剤組成物をCOPフィルムであるエスシーナフィルム(積水化学工業(株)製、正面Re140nm、厚さRth120nm、フィルム厚み25μm)上に5μm厚となるように塗布し、シリコーン層付きPETフィルム(帝人デュポンフィルム社製、ピューレックスA43)でラミネートし、エスシーナフィルム側から高圧水銀灯により600mJ/cmの積算UV照射量で接着剤組成物を硬化させて、エスシーナフィルム/接着剤組成物層/シリコーン層付きPETフィルムの積層体を得た。
次に、この積層体からシリコーン層付きPETフィルムを剥がし、3.5cm×4.5cmの長方形サイズにカットし、接着剤組成物層面に厚み25μmの粘着剤層を形成したセパレーターフィルムを貼り合わせ、セパレーターフィルムを剥離した後、ガラス板(2mm厚)に貼り付けてガラス/粘着剤層/接着剤組成物層/エスシーナフィルムの積層体を得た。また、ブランクサンプルとして接着剤組成物のないガラス/粘着剤層/エスシーナフィルムも作成した。
この積層体の外観変化の有無を観察するために、初期値と高温(90℃ドライ)の環境下168時間放置した後の色相を測定した。色相は、分光測色計(KONICA MINOLTA CM−3500d)を用いて、透過スペクトルを測定し、C光源2°視野におけるLa表色系の座標軸として測定した。サンプルはN数2で測定し、平均値を測定値とした。
接着剤組成物のないブランクサンプルのb値初期値は0.30で、高温(90℃ドライ)の環境下168時間後も変化していないことを確認した。光重合開始剤の異なる各接着剤組成物をラミネートした積層体の色相の測定結果を表1に記す。
黄色性を示すb値が2未満であれば合格とし、2以上となった場合には光学素子用として使用できないため不合格とした。その結果、実施例1〜4について色相は2未満で合格であった。一方、比較例1は2以上の色相で8.37と著しく黄色化が進み、光学素子用として使用できないため不合格であった。
[実施例5〜6、比較例2](光学素子の黄変評価)
参考例1で得た積層体A(PET/PVA層/液晶層)の液晶層面に、アロニックスM−1310(東亞合成(株)製)30質量%、N−ビニル−2−ピロリドン(和光純薬(株)製試薬)30質量%および2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート(和光純薬(株)製試薬)40質量%から成る組成物100質量部に、表2に示す光開始剤(光重合開始剤)を4質量部配合した接着剤組成物を5μm厚となるように塗布し、実施例1と同じエスシーナフィルムでラミネートした後、エスシーナフィルム側から高圧水銀灯により600mJ/cmの積算UV照射量で、接着剤組成物を硬化させて、エスシーナフィルム/接着剤組成物層/液晶層/PVA層/PETフィルムからなる積層体を得た。
さらにこの積層体からPVA層/PETフィルムを剥離して、エスシーナフィルム/接着剤組成物層/液晶層からなる光学素子を得た。この光学素子の外観変化の有無を観察するために、色相を実施例1と同様に測定した。光学素子の色相の測定結果を表2に記す。実施例5および6はb値が2未満であるため合格であったが、比較例2は2以上となり不合格であった。
Figure 2010229168
Figure 2010229168
本発明の方法により、COPフィルムを含む光学素子用積層体に用いられる紫外線硬化型接着剤の黄変が抑制される。

Claims (3)

  1. シクロオレフィンポリマーフィルムを含む光学素子用積層体に用いられる紫外線硬化型接着剤の黄変を抑制する方法であって、該紫外線硬化型接着剤の光重合開始剤としてα−ヒドロキシアルキルフェノン系および/またはアシルフォスフィンオキシド系の光重合開始剤を用いることを特徴とする紫外線硬化型接着剤の黄変を抑制する方法。
  2. α−ヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤が1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、または2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、または1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンであり、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤が2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキシドであることを特徴とする請求項1に記載の紫外線硬化型接着剤の黄変を抑制する方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の方法で得られた光学素子用積層体を用いた光学素子。
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