JP2010229064A - 酸化障害抑制剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】新たな酸化障害抑制作用を果たす化合物や組成物を開発する。
【解決手段】イソクエン酸トリアルキルを有効成分とする酸化障害抑制剤。
【選択図】図1
【解決手段】イソクエン酸トリアルキルを有効成分とする酸化障害抑制剤。
【選択図】図1
Description
皮膚外用剤に用いる酸化障害抑制剤に関する。
生体内の酸化還元システムは生体内の酸化還元状態を調節している。生体内の活性酸素の生成が過剰となり、酸化還元システムの働きが不十分であると、酸化障害が発生する。皮膚の酸化障害としては、皮膚細胞のDNA損傷、細胞膜の脂質の過酸化、細胞外マトリクスのコラーゲン、エラスチンの変性が挙げられる。皮膚の酸化障害の蓄積が皮膚の老化を引き起こし、シワ、タルミ、シミ、クスミが発生する。皮膚以外の各種臓器についても脂質、タンパク質の酸化、変性に伴う酸化障害が生じる。酸化障害が多くの疾患に関与しており、酸化障害が関与する疾患として例えば、高血圧、心筋梗塞、肝臓疾患、糖尿病、アレルギー、白内障等が挙げられる。
活性酸素は生体内の活動により生成する場合と、外界の刺激により生成する場合がある。活性酸素を生成する生体内の活動としては、食細胞が細菌を内部に取り込み殺菌する際の活性酸素の生成、虚血状態から再灌流したときの活性酸素の発生、炎症反応時の活性酸素の発生等が挙げられる。活性酸素を生成する外界刺激としては、紫外線暴露、有害化学物質の摂取等が挙げられる。
活性酸素は生体内の活動により生成する場合と、外界の刺激により生成する場合がある。活性酸素を生成する生体内の活動としては、食細胞が細菌を内部に取り込み殺菌する際の活性酸素の生成、虚血状態から再灌流したときの活性酸素の発生、炎症反応時の活性酸素の発生等が挙げられる。活性酸素を生成する外界刺激としては、紫外線暴露、有害化学物質の摂取等が挙げられる。
このような酸化障害を抑制する技術は数多く研究されており、チオレドキシンを含有する皮膚外用剤(特許文献1:特開平9−12471号公報)、アデノシン誘導体とハマメリタンニンを含有する皮膚外用剤(特許文献2:特開平9−157153号公報)、リポ酸とビタミン類を含有する皮膚外用剤(特許文献3:特開平10−7541号公報)、真珠貝貝肉抽出物含有皮膚外用剤(特許文献4:特開平10−236941号公報)、γ−リノレン酸を含有する酸化ストレス防止剤(特許文献5:特開平11−71260号公報)、ウリジル酸を含有する酸化ストレス抑制剤(特許文献6:特開2005−330213号公報)、補酵素Qを含有する酸化ストレス低減用抗酸化組成物(特許文献7:国際公開第2003/032968号公報)、焼酎蒸留残渣抽出物含有抗酸化剤(特許文献8:特開2009−13279号公報)等が知られている。
しかしながら、さらに多様な酸化障害抑制技術が求められている。
しかしながら、さらに多様な酸化障害抑制技術が求められている。
新たな酸化障害抑制作用を果たす化合物や組成物を開発することを目的とする。
本発明の主な構成は、次のとおりである。
1.イソクエン酸トリアルキルを有効成分とする酸化障害抑制剤。
2.イソクエン酸トリアルキルを有効成分とするNADH産生促進剤。
3.イソクエン酸トリアルキルがイソクエン酸トリエチルであることを特徴とする1.記載の酸化障害抑制剤又は2.記載のNADH産生促進剤。
4.1.〜3.のいずれかに記載の酸化障害抑制剤あるいはNADH産生促進剤を含む皮膚外用剤。
1.イソクエン酸トリアルキルを有効成分とする酸化障害抑制剤。
2.イソクエン酸トリアルキルを有効成分とするNADH産生促進剤。
3.イソクエン酸トリアルキルがイソクエン酸トリエチルであることを特徴とする1.記載の酸化障害抑制剤又は2.記載のNADH産生促進剤。
4.1.〜3.のいずれかに記載の酸化障害抑制剤あるいはNADH産生促進剤を含む皮膚外用剤。
イソクエン酸トリアルキル、特に、イソクエン酸トリエチルを有効成分とする酸化障害抑制剤を提供することができる。イソクエン酸トリアルキルはイソクエン酸の塩に比較しても優れた酸化障害抑制作用を示す。NADHの産生促進により、生体内の抗酸化システムが円滑に循環する事が期待される。
本発明に用いるイソクエン酸トリアルキルはイソクエン酸と一価のアルコールを常法によりエステル化反応して得ることができる。また、市販のイソクエン酸トリアルキルを用いることができる。イソクエン酸トリアルキルとしては、イソクエン酸トリメチル、イソクエン酸トリエチル、イソクエン酸トリプロピル、イソクエン酸トリブチル等が挙げられる。その中でもイソクエン酸トリエチルが好ましい。
本発明の酸化障害抑制剤及びNADH産生促進剤は、イソクエン酸トリアルキルを有効成分として含有するものである。本発明の酸化障害抑制剤及びNADH産生促進剤は、経皮投与、経口投与のいずれも可能である。本発明の酸化障害抑制剤及びNADH産生促進剤を経口投与する場合は、固体又は液体の無毒性担体と混合して、慣用の医薬製剤、健康食品の形態とすることができる。このような製剤としては、例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤などの固形剤、溶液剤、懸濁剤、乳剤などの液剤などが挙げられ、これらの製剤は製剤上の常套手段により調製することができる。上記の無毒性担体としては、例えば、グルコース、乳糖、ショ糖、澱粉、マンニトール、デキストリン、脂肪酸グリセリド、ポリエチレングルコール、ヒドロキシエチルデンプン、グァーガム、エチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アミノ酸、ゼラチン、アルブミン、水、生理食塩水などが挙げられる。また、必要に応じて、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤、等張化剤などの慣用の添加剤を適宜添加することもできる。
本発明の酸化障害抑制剤及びNADH産生促進剤は、イソクエン酸トリアルキルを有効成分として含有するものである。本発明の酸化障害抑制剤及びNADH産生促進剤は、経皮投与、経口投与のいずれも可能である。本発明の酸化障害抑制剤及びNADH産生促進剤を経口投与する場合は、固体又は液体の無毒性担体と混合して、慣用の医薬製剤、健康食品の形態とすることができる。このような製剤としては、例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤などの固形剤、溶液剤、懸濁剤、乳剤などの液剤などが挙げられ、これらの製剤は製剤上の常套手段により調製することができる。上記の無毒性担体としては、例えば、グルコース、乳糖、ショ糖、澱粉、マンニトール、デキストリン、脂肪酸グリセリド、ポリエチレングルコール、ヒドロキシエチルデンプン、グァーガム、エチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アミノ酸、ゼラチン、アルブミン、水、生理食塩水などが挙げられる。また、必要に応じて、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤、等張化剤などの慣用の添加剤を適宜添加することもできる。
本発明の酸化障害抑制剤及びNADH産生促進剤は、皮膚外用剤とすることができる。本発明の皮膚外用剤はイソクエン酸トリアルキルを含有するものであり、医薬品、医薬部外品、化粧料として用いることができる。イソクエン酸トリエチルは親油性成分であり、水にとけないので、軟膏剤とするか、イソクエン酸トリエチルを可溶化するか、乳化製剤とすることが必要である。剤型としては、液剤、乳化剤、軟膏剤等が挙げられる。本発明の皮膚外用剤は、乳液、スキンクリーム、ハンドクリーム、ボディミルク、美容液、サンスクリーン剤、リキッドファンデーション等の形態で提供することができる。本発明の皮膚外用剤は、酸化障害抑制効果を有するので、肌荒れ改善を目的とする保湿化粧料や、紫外線防御を目的とするサンスクリーン剤、抗老化化粧料に適している。
本発明の皮膚外用剤にはイソクエン酸トリアルキル以外に、その用途、使用目的、剤形などに応じて、炭化水素油、エステル油、シリコーン油、高級脂肪酸、高級アルコール、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、増粘剤、防腐剤、糖類、金属イオン封鎖剤、粉体成分、紫外線吸収剤、紫外線遮断剤、ヒアルロン酸のような保湿剤、香料、pH調整剤等を含有させることができる。ビタミン類、皮膚賦活剤、血行促進剤、常在菌コントロール剤、活性酸素消去剤、抗炎症剤、美白剤、殺菌剤等の他の薬効成分、生理活性成分を含有させることもできる。
炭化水素油として、スクワラン、流動パラフィンなどが挙げられる。
エステル油として、トリグリセライド類、一価の脂肪酸と一価のアルコールとのエステル類、ステロール類の脂肪酸エステル類、アシルアミノ酸とステロール類もしくは高級アルコールとのエステル類、ジカルボン酸と高級アルコールとのジエステル類、二価のアルコールと脂肪酸とのジエステル類等が挙げられる。
エステル油として、トリグリセライド類、一価の脂肪酸と一価のアルコールとのエステル類、ステロール類の脂肪酸エステル類、アシルアミノ酸とステロール類もしくは高級アルコールとのエステル類、ジカルボン酸と高級アルコールとのジエステル類、二価のアルコールと脂肪酸とのジエステル類等が挙げられる。
トリグリセライド類としては、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、テオブロマグランジフロルム種子油、マカデミアナッツ油、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル等が挙げられる。一価の脂肪酸と一価のアルコールとのエステル類としては、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、2−エチルヘキサン酸セチル等が挙げられる。ステロール類の脂肪酸エステル類としては、マカデミアンナッツ脂肪酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル等が挙げられる。アシルアミノ酸とステロール類もしくは高級アルコールとのエステル類としては、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)等が挙げられる。ジカルボン酸と高級アルコールとのジエステル類としては、ネオペンタン酸イソステアリル、コハク酸ジオクチル等が挙げられる。二価のアルコールと脂肪酸とのジエステル類としては、ジイソノナン酸1,3−ブチレングリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール等が挙げられる。
シリコーン油として、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、シクロジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
高級アルコールとして、例えば、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール、モノステアリルグリセリンエーテル、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、オクチルドデカノール等の分枝鎖アルコール等が挙げられる。
アニオン界面活性剤として、例えば、ラウリン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキルエーテル硫酸エステル塩、N−アシルサルコシン酸、スルホコハク酸塩、N−アシルアミノ酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤として、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
カチオン界面活性剤として、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
両性界面活性剤として、例えば、アルキルベタイン、アミドベタイン等のベタイン系界面活性剤等が挙げられる。
非イオン界面活性剤として、例えば、ソルビタンモノオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体が挙げられる。
非イオン界面活性剤として、例えば、ソルビタンモノオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体が挙げられる。
増粘剤として、カルボキシビニルポリマー、アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−C30)クロスポリマー、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデキストラン、アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム共重合体、スクレロチウムガム、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
防腐剤として、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン等をあげることができる。
防腐剤として、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン等をあげることができる。
金属イオン封鎖剤として、例えば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エデト酸、エデト酸ナトリウム塩等のエデト酸塩を挙げることができる。
粉末成分として、例えば、タルク、カオリン、雲母、シリカ、ゼオライト、ポリエチレン粉末、ポリスチレン粉末、セルロース粉末、無機白色顔料、無機赤色系顔料、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ等のパール顔料、赤色201号、赤色202号等のタール色素を挙げることができる。
紫外線吸収剤として、例えば、パラアミノ安息香酸、サリチル酸フェニル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等を挙げることができる。
紫外線遮断剤として、例えば、酸化チタン、タルク、カルミン、ベントナイト、カオリン、酸化亜鉛等を挙げることができる。
紫外線遮断剤として、例えば、酸化チタン、タルク、カルミン、ベントナイト、カオリン、酸化亜鉛等を挙げることができる。
保湿剤として、例えば、キシリトール、マルチトール、マルトース、ソルビトール、ブドウ糖、果糖、ショ糖、乳糖、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸、シクロデキストリン等が挙げられる。
薬効成分として、例えば、ビタミンA油、レチノール等のビタミンA類、リボフラビン等のビタミンB2類、ピリドキシン塩酸塩等のB6類、パントテン酸カルシウム等のパントテン酸類、ビタミンD2、コレカルシフェロール等のビタミンD類、α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸DL−α−トコフェロール等のビタミンE類等のビタミン類を挙げることができる。
薬効成分として、例えば、ビタミンA油、レチノール等のビタミンA類、リボフラビン等のビタミンB2類、ピリドキシン塩酸塩等のB6類、パントテン酸カルシウム等のパントテン酸類、ビタミンD2、コレカルシフェロール等のビタミンD類、α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸DL−α−トコフェロール等のビタミンE類等のビタミン類を挙げることができる。
そのほかに、ローヤルゼリー、ぶなの木エキス等の皮膚賦活剤、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、γ−オリザノール等の血行促進剤、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、アズレン等の消炎剤、アルギニン、セリン、ロイシン、トリプトファン、グルタミン、アラニルグルタミン等のアミノ酸類、塩化リゾチーム等をあげることができる。
さらに、スイートピーエキス、カミツレエキス、パセリエキス、ワイン酵母エキス、グレープフルーツエキス、エキナセアエキス、コメエキス、ブドウエキス、コメヌカエキス、ビワエキス、オウバクエキス、ヨクイニンエキス、センブリエキス、メリロートエキス、シャクヤクエキス、ヘチマエキス、トウガラシエキス、レモンエキス、ゲンチアナエキス、シソエキス、アロエエキス、ローズマリーエキス、セージエキス、タイムエキス、茶エキス、海藻エキス、チョウジエキス、マロニエエキス、ハマメリスエキス、クワエキス等の各種抽出物を配合することができる。
本発明の酸化障害抑制剤は、皮膚外用剤のみならず、経口剤として提供することができる。経口剤としては錠剤等が挙げられる。
さらに、スイートピーエキス、カミツレエキス、パセリエキス、ワイン酵母エキス、グレープフルーツエキス、エキナセアエキス、コメエキス、ブドウエキス、コメヌカエキス、ビワエキス、オウバクエキス、ヨクイニンエキス、センブリエキス、メリロートエキス、シャクヤクエキス、ヘチマエキス、トウガラシエキス、レモンエキス、ゲンチアナエキス、シソエキス、アロエエキス、ローズマリーエキス、セージエキス、タイムエキス、茶エキス、海藻エキス、チョウジエキス、マロニエエキス、ハマメリスエキス、クワエキス等の各種抽出物を配合することができる。
本発明の酸化障害抑制剤は、皮膚外用剤のみならず、経口剤として提供することができる。経口剤としては錠剤等が挙げられる。
〔酸化障害の抑制効果並びにNADH産生促進効果の測定〕
1. 試薬および試験方法
1.1 試薬および材料:
イソクエン酸トリエチル(MP-bio製)
イソクエン酸モノカリウム(協和発酵工業製)
三次元皮膚モデル LSE-high(東洋紡製)
LDH-細胞毒性テストワコー (Wako製)
NAD+/NADH Quantification Kit (Biovision製)
1. 試薬および試験方法
1.1 試薬および材料:
イソクエン酸トリエチル(MP-bio製)
イソクエン酸モノカリウム(協和発酵工業製)
三次元皮膚モデル LSE-high(東洋紡製)
LDH-細胞毒性テストワコー (Wako製)
NAD+/NADH Quantification Kit (Biovision製)
1.2 検体:
イソクエン酸トリエチル溶液:イソクエン酸トリエチルをDMSO(ジメチルスルフォキシド)に溶解し、そのDMSO溶液を200mMリン酸緩衝液(pH7)に分散溶解させた。イソクエン酸トリエチルの濃度は10μM、DMSOの濃度は0.1%(V/V)とした。
イソクエン酸モノカリウム溶液:0.1%(V/V)のDMSOを含有する200mMリン酸緩衝液(pH7)にイソクエン酸モノカリウムを溶解し、イソクエン酸モノカリウムの濃度を10μMとした。
イソクエン酸トリエチル溶液:イソクエン酸トリエチルをDMSO(ジメチルスルフォキシド)に溶解し、そのDMSO溶液を200mMリン酸緩衝液(pH7)に分散溶解させた。イソクエン酸トリエチルの濃度は10μM、DMSOの濃度は0.1%(V/V)とした。
イソクエン酸モノカリウム溶液:0.1%(V/V)のDMSOを含有する200mMリン酸緩衝液(pH7)にイソクエン酸モノカリウムを溶解し、イソクエン酸モノカリウムの濃度を10μMとした。
1.3 試験方法:
1)三次元皮膚モデルLSE-Highを入手後、定法に従いウェル設定した(各サンプル数は2ウェル)。
2)培養液に10mM H2O2を添加した。(培養液に10mM H2O2を添加しないものをコントロール1とした)。
3)三次元皮膚モデルの表面に、検体を100μl滴下した。(三次元皮膚モデルの表面に検体を滴下しないものをコントロール2とした)。
4)37℃ 5%CO2雰囲気下で、24時間インキュベートした。
5)培養液を回収し、LDH−細胞毒性テストワコーで細胞毒性を評価した。コントロール1の560nmの吸光度を1として、コントロール2並びに検体の吸光度比を細胞毒性の指標とした。吸光度比が大きいほど毒性が高い。
6)三次元皮膚モデルを8mm生検トレパンにて採取し、組織中のNADH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)をNAD+/NADH Quantification Kit(Biovision製)で測定した。NADHは採取した皮膚モデルの湿重量(20mg/1ウェル)当たりのモル数で比較した。
1)三次元皮膚モデルLSE-Highを入手後、定法に従いウェル設定した(各サンプル数は2ウェル)。
2)培養液に10mM H2O2を添加した。(培養液に10mM H2O2を添加しないものをコントロール1とした)。
3)三次元皮膚モデルの表面に、検体を100μl滴下した。(三次元皮膚モデルの表面に検体を滴下しないものをコントロール2とした)。
4)37℃ 5%CO2雰囲気下で、24時間インキュベートした。
5)培養液を回収し、LDH−細胞毒性テストワコーで細胞毒性を評価した。コントロール1の560nmの吸光度を1として、コントロール2並びに検体の吸光度比を細胞毒性の指標とした。吸光度比が大きいほど毒性が高い。
6)三次元皮膚モデルを8mm生検トレパンにて採取し、組織中のNADH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)をNAD+/NADH Quantification Kit(Biovision製)で測定した。NADHは採取した皮膚モデルの湿重量(20mg/1ウェル)当たりのモル数で比較した。
2.酸化障害抑制効果
コントロール1、コントロール2、イソクエン酸トリエチル溶液添加、イソクエン酸モノカリウム溶液添加の三次元皮膚モデルの培養液にLDH−細胞毒性テストワコーを適用したときの吸光度と吸光度比(細胞毒性の指標)を表1に示す。表1の結果を図1のグラフに示す。
コントロール1、コントロール2、イソクエン酸トリエチル溶液添加、イソクエン酸モノカリウム溶液添加の三次元皮膚モデルの培養液にLDH−細胞毒性テストワコーを適用したときの吸光度と吸光度比(細胞毒性の指標)を表1に示す。表1の結果を図1のグラフに示す。
三次元皮膚モデルにH2O2を添加することによって(コントロール2)、酸化障害による細胞毒性が生じ、H2O2を添加しない三次元皮膚モデル(コントロール1)と比べて吸光度が3倍となった。三次元皮膚モデルにH2O2を添加し、さらに、イソクエン酸トリエチル、イソクエン酸モノカリウムを添加することにより、吸光度はそれぞれコントロール1の1.9倍、2.9倍となり、コントロール2と比べて酸化障害が抑制されている。イソクエン酸トリエチルを添加することにより、酸化障害は54%に抑制され、イソクエン酸モノカリウムを添加することにより酸化障害は83%に抑制された。イソクエン酸モノカリウムと比べて、イソクエン酸トリエチルの酸化障害抑制効果が顕著である。
3.NADH産生促進効果
コントロール1、コントロール2、イソクエン酸トリエチル溶液添加、イソクエン酸モノカリウム溶液添加の三次元皮膚モデルの採取組織にNAD+/NADH Quantification Kit(Biovision製)を適用して得たNADH測定量を表2に示す。表2の結果を図2のグラフに示す。
NAD(還元型NADH)は、nicotin-amide adenine dinucleotide の略である。酸化還元酵素に関与する補酵素の1つでNAD⇔NADHの反応を行う。
コントロール1、コントロール2、イソクエン酸トリエチル溶液添加、イソクエン酸モノカリウム溶液添加の三次元皮膚モデルの採取組織にNAD+/NADH Quantification Kit(Biovision製)を適用して得たNADH測定量を表2に示す。表2の結果を図2のグラフに示す。
NAD(還元型NADH)は、nicotin-amide adenine dinucleotide の略である。酸化還元酵素に関与する補酵素の1つでNAD⇔NADHの反応を行う。
三次元皮膚モデルにH2O2を添加した(コントロール2)は、酸化を受けたためにNADHの産生量が、H2O2を添加しない三次元皮膚モデル(コントロール1)と比べて減少した。コントロール2のNADH量を1とすると、コントロール1のNADH量は1.7である。コントロール2と同じくH2O2を添加した系で、イソクエン酸トリエチル、イソクエン酸モノカリウムの添加効果を調べた。イソクエン酸トリエチル、イソクエン酸モノカリウムを添加することにより、それぞれ、コントロール2の3.4倍、2.2倍にNADHの産生を促進した。特にイソクエン酸トリエチルを添加した場合には、H2O2を添加していないコントロール1の1.7倍を大きく凌ぐものである。イソクエン酸トリエチルを三次元皮膚モデルに添加することにより、NADHの産生量が顕著に増大した。
NADHの産生促進により、生体内の抗酸化システムが機能するとされている(Pinnell SR. J Am Acad Dermatol. 48(1):1-19, 2003)。
NADHの産生促進により、生体内の抗酸化システムが機能するとされている(Pinnell SR. J Am Acad Dermatol. 48(1):1-19, 2003)。
処方例1
[錠剤]
(組 成) (配合:重量%)
イソクエン酸トリエチル 24
乳糖 63
コーンスターチ 12
グァーガム 1
[錠剤]
(組 成) (配合:重量%)
イソクエン酸トリエチル 24
乳糖 63
コーンスターチ 12
グァーガム 1
処方例2
〔クリーム〕
(組 成) (配合:重量%)
セタノール 8.0
ステアリルアルコール 2.0
イソクエン酸トリエチル 0.5
ポリオキシエチレンラウリルエーテル 1.5
プロピレングリコール 6.0
ソルビトール 1.0
パラベン 0.4
ビタミン 0.5
香料 0.1
精製水 66.0
処方例2のクリームは肌荒れ改善効果に優れている。
〔クリーム〕
(組 成) (配合:重量%)
セタノール 8.0
ステアリルアルコール 2.0
イソクエン酸トリエチル 0.5
ポリオキシエチレンラウリルエーテル 1.5
プロピレングリコール 6.0
ソルビトール 1.0
パラベン 0.4
ビタミン 0.5
香料 0.1
精製水 66.0
処方例2のクリームは肌荒れ改善効果に優れている。
処方例3
〔乳液〕
(組 成) (配合:重量%)
精製水 残余
1.3−ブチレングリコール 8.0
カルボキシビニルポリマー 0.12
グリセリン 3.0
混合異性化糖 0.5
L-トレオニン 0.1
ホホバ油 1.5
スクワラン 1.5
イソクエン酸トリエチル 0.2
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.0
パセリエキス 0.1
水酸化カリウム 0.04
処方例3の乳液は肌荒れ改善効果に優れている。
〔乳液〕
(組 成) (配合:重量%)
精製水 残余
1.3−ブチレングリコール 8.0
カルボキシビニルポリマー 0.12
グリセリン 3.0
混合異性化糖 0.5
L-トレオニン 0.1
ホホバ油 1.5
スクワラン 1.5
イソクエン酸トリエチル 0.2
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.0
パセリエキス 0.1
水酸化カリウム 0.04
処方例3の乳液は肌荒れ改善効果に優れている。
Claims (4)
- イソクエン酸トリアルキルを有効成分とする酸化障害抑制剤。
- イソクエン酸トリアルキルを有効成分とするNADH産生促進剤。
- イソクエン酸トリアルキルがイソクエン酸トリエチルであることを特徴とする請求項1記載の酸化障害抑制剤又は請求項2記載のNADH産生促進剤。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の酸化障害抑制剤あるいはNADH産生促進剤を含む皮膚外用剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009077159A JP2010229064A (ja) | 2009-03-26 | 2009-03-26 | 酸化障害抑制剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009077159A JP2010229064A (ja) | 2009-03-26 | 2009-03-26 | 酸化障害抑制剤 |
Publications (1)
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ID=43045217
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JP (1) | JP2010229064A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014214139A (ja) * | 2013-04-26 | 2014-11-17 | ポーラ化成工業株式会社 | Nadh産生促進剤 |
-
2009
- 2009-03-26 JP JP2009077159A patent/JP2010229064A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014214139A (ja) * | 2013-04-26 | 2014-11-17 | ポーラ化成工業株式会社 | Nadh産生促進剤 |
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