JP2010228958A - ガラス部材 - Google Patents

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裕一郎 村山
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Abstract

【課題】防汚性に優れ、耐久性が優れたガラス部材を提供すること。
【解決手段】分子内に少なくとも1種の加水分解性アルコキシシリル基を有する高分子化合物を含有する組成物により形成されたコーティング膜を有するガラス部材であり、該コーティング膜の水中油滴接触角が160°以上であるガラス部材。食器洗い器で500回洗浄した後のガラス部材表面の水中油滴接触角が150°以上であるガラス部材。前記コーティング膜が、平均粒径50nm〜200nmのコロイダルシリカを含有するガラス部材。
【選択図】なし

Description

本発明は、ガラス部材に関する。
部材表面への油性汚れの付着を防止する技術は、種々提案されている。例えば、反射防止膜、光学フィルター、光学レンズ、眼鏡レンズ、鏡等の光学部材は、人が使用することによって、指紋、皮脂、汗、化粧品等の汚れが付着し、その機能を低下させると共に、汚れの除去が煩雑であるため、効果的な汚れ防止処理を施すことが望まれている。
特に食器等のガラス部材は使用するごとに繰り返し洗浄がされるため、スポンジ等で擦ることにより物理的に汚れを除去することにより、傷がつきやすく、ガラス特有の輝きを失うという問題がある。このため、ガラス部材の表面に処理を施し防汚性を付与して汚れを落ち易くする技術が知られている(特許文献1〜3)。また、食器洗浄器による洗浄によればスポンジ等を使用せずにガラス部材を洗浄することが可能であるが、食器洗浄器による洗浄は一般に高温の湯を使用し、高い水圧により汚れを除去するため、ガラス部材の表面に施した表面処理層等の処理による効果が失われやすい。
さらに、洗浄後に汚れや水滴が残る場合には、それらを再洗浄またはふき取る作業が必要となり、洗浄効率の低下やガラス部材の表面に施した表面処理層の磨耗やガラス部材の傷の発生に繋がる。
ガラス部材に防汚性を付与する従来技術として、特許文献1には、基材表面にZrOとSiOからなる皮膜形成成分中にTiO結晶が分散された高い耐久性光触媒膜付き基材が記載されている。
また、特許文献2には、ジエチルホスファトエチルトリエトキシシラン等のシリコン化合物をコーティング物質として含むコーティング膜を有するガラス製品が記載されている。
さらに、特許文献3には特殊な組成のガラスを用いることによりコーティング加工処理が不要なガラス製品が記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、親水性を発揮するためには太陽光などのエネルギーを必要とするために屋内用途への適用は困難である。一方、特許文献2に記載された技術は、水中における繰り返し洗浄や耐擦り性が不十分であり長期に効果を維持できなかった。
このため、高度な防汚性有し、繰り返し洗浄や耐擦り性に優れたガラス部材が求められている。
特開2001−70801号公報 特開2002−12450号公報 特開2005−247656号公報
本発明の目的は、上記先行技術の問題点を解決し、防汚性に優れ、耐久性が優れたガラス部材を提供することにある。
本発明は以下の手段により達成された。
〔1〕
分子内に少なくとも1種の加水分解性アルコキシシリル基を有する高分子化合物を含有する組成物により形成されたコーティング膜を有するガラス部材であり、該コーティング膜の水中油滴接触角が160°以上であることを特徴とするガラス部材。
〔2〕
食器洗い器で500回洗浄した後のガラス部材表面の水中油滴接触角が150°以上であることを特徴とする〔1〕に記載のガラス部材。
〔3〕
前記コーティング膜が、平均粒径50nm〜200nmのコロイダルシリカを含有することを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載のガラス部材。
〔4〕
前記コロイダルシリカの平均粒径が、50nm〜100nmであることを特徴とする〔3〕に記載のガラス部材。
〔5〕
前記コーティング膜中のコロイダルシリカの含有量が、10〜50質量%であることを特徴とする〔3〕または〔4〕に記載のガラス部材。
〔6〕
前記コーティング膜の厚さが、50nm〜200nmであることを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のガラス部材。
本発明のガラス部材は、水中油滴接触角が極めて高いため防汚性に優れ、耐久性が優れるため繰り返し洗浄や含水スポンジなどで擦っても高い水中油滴接触角を維持することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のガラス部材は、分子内に少なくとも1種の加水分解性アルコキシシリル基を有する高分子化合物を含有する組成物により形成されたコーティング膜を有するガラス部材であり、該コーティング膜の水中油滴接触角が160°以上である。
コーティング膜の水中油滴接触角は好ましくは160°〜170°である。これにより優れた防汚性を提供できる。
〔組成物〕
本発明に使用される組成物は、分子内に少なくとも1種の加水分解性アルコキシシリル基を有する高分子化合物を含有する。該組成物をガラス部材にコーティングし、乾燥することにより、コーティング膜を形成することができる。コーティングは少なくとも1部または全部に施すことができる。該コーティング膜は高い親水性に基づく高い撥油性を呈する。なお、以下の記載において、高分子化合物を親水性ポリマーということがある。
特にアルコキシシリル基はそれ自体が架橋することでポリマーのネットワーク構造を形成でき、ガラス部材との密着性に優れ、かつ水中において高分子成分が溶け出したりしない特徴をもつため、水中において高い耐久性をもつ耐油性膜を形成できる。
親水性ポリマーの主鎖構造は特に限定されない。好ましい主鎖構造としては、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、合成ゴム、天然ゴム等が挙げられ、特にアクリル樹脂、メタクリル樹脂が好ましい。親水性ポリマーは共重合体であってもよく、該共重合体はランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
加水分解性アルコキシシリル基は、水と反応してシラノール(Si−OH)を生成する基であり、好ましくは下記一般式(a)で表される。
一般式(a): −Si(Ra(OR3-a
一般式(a)中、Rは水素原子またはアルキル基、Rは水素原子またはアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基、aは0〜2の整数を示す。RまたはRは複数存在する場合は互いに同一でも異なっていてもよい。
がアルキル基を表す場合は、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、Rがアルキル基を表す場合は炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、アリール基を表す場合は炭素数6〜25のアリール基が好ましく、アラルキル基を表す場合は炭素数7〜12のアラルキル基が好ましい。
加水分解性アルコキシシリル基は、好ましくは炭素原子に結合した加水分解性アルコキシシリル基である。
加水分解性アルコキシシリル基は、ポリマー主鎖の末端に一つまたは複数有する場合や、側鎖に一つまたは複数有する場合などがある。2以上の加水分解性アルコキシシリル基を含む場合、該2以上の加水分解性アルコキシシリル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
加水分解性アルコキシシリル基は、後述するSi、Ti、Zr、Alから選択される元素を含むアルコキシド(金属アルコキシドともいう)の加水分解、重縮合物に反応して化学結合を形成できる。また、加水分解性アルコキシシリル基同士が化学結合を形成してもよい。親水性ポリマーは、水溶性であることが好ましく、金属アルコキシドの加水分解、重縮合物と反応することにより水不溶性になることが好ましい。この場合の化学結合は、通常の意味と同様に、共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合を含む。該化学結合は、共有結合であることが好ましい。
前記親水性ポリマーが、加水分解性アルコキシシリル基の加水分解と縮合によって架橋されていることが好ましい。
親水性基としては、好ましくはカルボキシル基、カルボキシル基のアルカリ金属塩、スルホン酸基、スルホン酸基のアルカリ金属塩、ヒドロキシ基、アミド基、カルバモイル基、スルホンアミド基、スルファモイル基等の官能基が挙げられる。これらの基は、ポリマー中のどの位置に存在しても良い。ポリマー主鎖より直接、または連結基を介し結合しているか、ポリマー側鎖やグラフト側鎖中に結合しており、複数個が存在するポリマー構造が好ましい。
また、本発明に使用される親水性ポリマーは、好ましくは金属アルコキシドと、触媒の作用等により結合を生じる基を有するポリマーであるのがよい。金属アルコキシド化合物と、触媒の作用により結合を生じる基としては、前記の一般式(a)で表される加水分解性アルコキシシリル基のほか、カルボキシル基、カルボキシ基のアルカリ金属塩、無水カルボン酸基、アミノ基、ヒドロキシ基、エポキシ基、メチロール基、メルカプト基、イソシアナート基、ブロックイソシアナート基、アルコキシシリル基、アルコキシチタネート基、アルコキシアルミネート基、アルコキシジルコネート基、エチレン性不飽和基、エステル基、テトラゾール基などの反応性基が挙げられる。
親水性基を含む繰り返し単位と加水分解性アルコキシシリル基との間や、親水性基を含む繰り返し単位と主鎖との間に連結基が介在していることが好ましい。
加水分解性アルコキシシリル基を有する親水性ポリマーは、下記一般式(I−1)で表される構造及び下記一般式(I−2)で表される構造を含む親水性ポリマー(I)であることが好ましい。
Figure 2010228958
一般式(I−1)および(I−2)中、R101〜R108はそれぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を表す。pは1〜3の整数を表し、L101およびL102は、それぞれ独立に単結合又は多価の有機連結基を表す。x及びyは組成比を表し、xは0<x<100、yは0<y<100となる数を表す。A101は−OH、−OR、−COR、−CO、−CON(R)(R)、−N(R)(R)、−NHCOR、−NHCO、−OCON(R)(R)、−NHCON(R)(R)、−SO、−OSO、−SO、−NHSO、−SON(R)(R)、−N(R)(R)(R)、−N(R)(R)(Rc)(R)、−PO(R)(R)、−OPO(R)(R)、または−PO(R)(R)を表す。ここで、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子または直鎖、分岐または環状のアルキル基を表し、Rは、直鎖、分岐または環状のアルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立に水素原子または直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはオニウムを表し、Rはハロゲンイオン、無機アニオン、または有機アニオンを表す。
親水性を付与する組成物として、例えば、ポリアクリルアミド等の親水性構造及び架橋構造を形成するアルコキシシリル基を含有する親水性ポリマー(I)を用いることで高い親水性を維持できることに加えて親水性表面に付着した水により親水性層が溶け出すことがなく長期にわたる耐水性にも優れるためと考えられる。
〔一般式(I−1)で表される構造及び一般式(I−2)で表される構造を含む親水性ポリマー(I)〕
Figure 2010228958
一般式(I−1)及び(I−2)中、R101〜R108はそれぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を表す。pは1〜3の整数を表し、L101及びL102は、それぞれ単結合又は多価の有機連結基を表す。x及びyは組成比を表し、xは0<x<100、yは0<y<100となる数を表す。A101は−OH、−OR、−COR、−CO、−CON(R)(R)、−N(R)(R)、−NHCOR、−NHCO、−OCON(R)(R)、−NHCON(R)(R)、−SO、−OSO、−SO、−NHSO、−SON(R)(R)、−N(R)(R)(R)、−N(R)(R)(Rc)(R)、−PO(R)(R)、−OPO(R)(R)、または−PO(R)(R)を表す。ここで、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子または直鎖、分岐または環状のアルキル基を表し、Rは、直鎖、分岐または環状のアルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立に水素原子または直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはオニウムを表し、Rはハロゲンイオン、無機アニオン、または有機アニオンを表す。
上記一般式(I−1)及び(I−2)において、R101〜R108はそれぞれ独立に、水素原子または炭化水素基を表す。炭化水素基としては、アルキル基、アリール基などが挙げられ、炭素原子数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。R101〜R108は、効果及び入手容易性の観点から、好ましくは水素原子、メチル基またはエチル基である。R104〜R105は、効果の点から、好ましくは、メチル基、エチル基またはプロピル基である。
これらの炭化水素基は更に置換基を有していてもよい。アルキル基が置換基を有するとき、置換アルキル基は置換基とアルキレン基との結合により構成され、ここで、置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられる。好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、Ν−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−リールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイト基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−Ν−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、
アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)およびその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基ホスフォノ基(−PO)およびその共役塩基基(以下、ホスフォナト基と称す)、ジアルキルホスフォノ基(−PO(alkyl))、ジアリールホスフォノ基(−PO(aryl))、アルキルアリールホスフォノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノ基(−POH(alkyl))およびその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナト基と称す)、モノアリールホスフォノ基(−POH(aryl))およびその共役塩基基(以後、アリールホスフォナト基と称す)、ホスフォノオキシ基(−OPO)およびその共役塩基基(以後、ホスフォナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスフォノオキシ基(−OPO(alkyl))、ジアリールホスフォノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスフォノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノオキシ基(−OPOH(alkyl))およびその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナトオキシ基と称す)、モノアリールホスフォノオキシ基(−OPOH(aryl))およびその共役塩基基(以後、アリールフォスホナトオキシ基と称す)、モルホルノ基、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
これらの置換基における、アルキル基の具体例としては、R〜Rにおいて挙げたアルキル基が同様に挙げられ、アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基等を挙げることができる。また、アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。アシル基(G1CO−)におけるG1としては、水素、ならびに上記のアルキル基、アリール基を挙げることができる。
これら置換基のうち、より好ましいものとしてはハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスフォノ基、ホスフォナト基、ジアルキルホスフォノ基、ジアリールホスフォノ基、モノアルキルホスフォノ基、アルキルホスフォナト基、モノアリールホスフォノ基、アリールホスフォナト基、ホスフォノオキシ基、ホスフォナトオキシ基、アリール基、アルケニル基が挙げられる。
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては好ましくは炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、より好ましくは炭素原子数1から12まで、更に好ましくは炭素原子数1から8の直鎖状、より好ましくは炭素原子数3から12までの、更に好ましくは炭素原子数3から8までの分岐状ならびにより好ましくは炭素原子数5から10まで、更に好ましくは炭素原子数5から8までの環状のアルキレン基を挙げることができる。該置換基とアルキレン基を組み合わせる事により得られる置換アルキル基の、好ましい具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキシエチル基、2−オキシプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、
クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルアバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスフォノブチル基、ホスフォナトヘキシル基、ジエチルホスフォノブチル基、ジフェニルホスフォノプロピル基、メチルホスフォノブチル基、メチルホスフォナトブチル基、トリルホスフォノへキシル基、トリルホスフォナトヘキシル基、ホスフォノオキシプロピル基、ホスフォナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等を挙げることができる。
親水性の観点から上記のなかでもヒドロキシメチル基が好ましい。
101〜L102は単結合または有機連結基を表す。ここで単結合とはポリマーの主鎖とA101又はSi原子が連結鎖なしに直接結合していることを表す。
101〜L102が有機連結基を表す場合、L101〜L102は非金属原子からなる多価の連結基を表し、0個から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、0個から100個までの水素原子、及び0個から20個までの硫黄原子から成り立つものである。具体的には、−N<、脂肪族基、芳香族基、複素環基、及びそれらの組合せから選ばれることが好ましく、−O−、−S−、−CO−、−NH−、あるいは、−O−または−S−または−CO−または−NH−を含む組合せで、2価の連結基であることが好ましい。
より具体的な連結基としては下記の構造単位またはこれらが組合わされて構成されるものを挙げることができる。
Figure 2010228958
一般式(I−1)において、L101は単結合、または、−CONH−、−NHCONH−、−OCONH−、−SONH−及び−SO−からなる群より選択される構造を1つ以上有する連結基であることが好ましい。
一般式(I−2)中、A101は−OH、−OR、−COR、−CO、−CON(R)(R)、−N(R)(R)、−NHCOR、−NHCO、−OCON(R)(R)、−NHCON(R)(R)、−SO、−OSO、−SO、−NHSO、−SON(R)(R)、−N(R)(R)(R)、−N(R)(R)(Rc)(R)、−PO(R)(R)、−OPO(R)(R)、または−PO(R)(R)を表す。ここで、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子または直鎖、分岐または環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜8)を表し、Rは、直鎖、分岐または環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜8)を表し、R及びRは、それぞれ独立に水素原子または直鎖、分岐または環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜8)、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはオニウムを表し、Rはハロゲンイオン、無機アニオン、または有機アニオンを表す。また、−CON(R)(R)、−N(R)(R)、−OCON(R)(R)、−NHCON(R)(R)、−SON(R)(R)、−N(R)(R)(R)、−N(R)(R)(Rc)(R)、−PO(R)(R)、−OPO(R)(R)、または−PO(R)(R)についてR〜Rがお互い結合して環を形成していてもよく、また、形成された環は酸素原子、硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含むヘテロ環であってもよい。R〜Rはさらに置換基を有していてもよく、ここで導入可能な置換基としては、前記R〜Rがアルキル基の場合に導入可能な置換基として挙げたものを同様に挙げることができる。
式中、Rは、直鎖、分岐または環状のアルキル基を表す。
〜R、Rにおいて、直鎖、分岐または環状のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が好適に挙げられる。
また、R〜Rにおいて、アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウムまたはカリウム等、アルカリ土類金属としてしはバリウム等、オニウムとしてはアンモニウム、ヨードニウムまたはスルホニウム等が好適に挙げられる。
ハロゲンイオンとしてはフッ素イオン、塩素イオン、臭素イオンを挙げることでき、無機アニオンとしては硝酸アニオン、硫酸アニオン、テトラフルオロホウ酸アニオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン等が、有機アニオンとしてはメタンスルホン酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、p−トルエンスルホン酸アニオン等が好適に挙げられる。
101としては、具体的には、−NHCOCH3、−CONH2、−CON(CH2、−COOH、−SO3 -NMe4 +、−SO3 -+、−(CHCHO)H、モルホリル基等が好ましい。より好ましくは、−CONH2、−COOH、−OHである。尚、上記において、nは1〜100の整数を表すことが好ましい。
pは1〜3の整数を表し、好ましくは2〜3、より好ましくは3である。
一般式(I−1)及び(I−2)で表される構造を含む親水性ポリマー(I)において、x及びyは親水性ポリマー(I)における、一般式(I−1)で表される構造単位と一般式(I−2)で表される構造単位の組成比を表す。xは0<x<100、yは0<y<100である。xは1<x<90の範囲であることが好ましく、1<x<50の範囲であることがさらに好ましい。yは10<y<99の範囲であることが好ましく、50<y<99の範囲であることがさらに好ましい。
一般式(I−1)及び(I−2)で表される構造を含む親水性ポリマー(I)の共重合比率は、親水性基を有する一般式(I−2)の量が上記範囲内になるように任意に設定することができる。好ましくは、一般式(I−2)の構造単位のモル比(y)と加水分解性アルコキシシリル基量を有する一般式(I−1)の構造単位のモル比(x)が、y/x=30/70〜99/1の範囲が好ましく、y/x=40/60〜98/2がより好ましく、y/x=50/50〜97/3が最も好ましい。y/xが30/70以上であれば親水性が不足することなく、一方、y/x=99/1以下であれば、加水分解性アルコキシシリル基量が十分量となり、十分な硬化が得られ、膜強度も十分なものとなる。
一般式(I−1)及び(I−2)で表される構造を含む親水性ポリマー(I)の質量平均分子量は、1,000〜1,000,000が好ましく、1,000〜500,000がさらに好ましく、1,000〜200,000が最も好ましい。
以下に、一般式(I−1)及び(I−2)で表される構造を含む親水性ポリマー(I)の具体例をその質量平均分子量(M.W.)とともに以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下に示す具体例のポリマーは記載される各構造単位が記載のモル比で含まれるランダム共重合体またはブロック共重合体であることを意味する。
Figure 2010228958
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本発明で特に好ましい、一般式(I−1)及び(I−2)で表される構造を含む親水性ポリマー(I)の具体例を以下に示す。
Figure 2010228958
一般式(I−1)及び(I−2)で表される構造を含む親水性ポリマー(I)を合成するための各化合物は、市販されており、また容易に合成することもできる。
一般式(I−1)及び(I−2)で表される構造を含む親水性ポリマー(I)を合成するためのラジカル重合法としては、従来公知の方法の何れをも使用することができる。
具体的には、一般的なラジカル重合法は、例えば、新高分子実験学3(1996年、共立出版)、高分子の合成と反応1(高分子学会編、1992年、共立出版)、新実験化学講座19(1978年、丸善)、高分子化学(I)(日本化学会編、1996年、丸善)、高分子合成化学(物質工学講座、1995年、東京電気大学出版局) 等に記載されており、これらを適用することができる。
組成物は、下記一般式(II−1)及び(II−2)で表される構造を含む親水性ポリマー(II)を使用してもよい。
〔一般式(II−1)及び(II−2)で表される構造を含む親水性ポリマー(II)〕
Figure 2010228958
一般式(II−1)及び(II−2)中、R201〜R205はそれぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を表す。qは1〜3の整数を表し、L201及びL202は、それぞれ単結合又は多価の有機連結基を表す。A201は−OH、−OR、−COR、−CO、−CON(R)(R)、−N(R)(R)、−NHCOR、−NHCO、−OCON(R)(R)、−NHCON(R)(R)、−SO、−OSO、−SO、−NHSO、−SON(R)(R)、−N(R)(R)(R)、−N(R)(R)(Rc)(R)、−PO(R)(R)、−OPO(R)(R)、または−PO(R)(R)を表す。ここで、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子または直鎖、分岐または環状のアルキル基を表し、Rは、直鎖、分岐または環状のアルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立に水素原子または直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはオニウムを表し、Rはハロゲンイオン、無機アニオン、または有機アニオンを表す。
一般式(II−1)及び(II−2)で表される構造を含む親水性ポリマー(II)は、上記一般式(II−2)で表される構造単位を有し、且つ、ポリマー鎖の末端に上記一般式(II−1)で表される部分構造を有することが好ましい。
前記一般式(II−1)及び(II−2)において、R201〜R205は、それぞれ独立に水素原子または炭化水素基を表し、R201〜R205が炭化水素基を表す場合の炭化水素基としては、アルキル基、アリール基などが挙げられ、炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基が好ましい。具体的には、前記一般式(I−1)及び(I−2)のR101〜R108で挙げたものと同様のものを挙げることができる。
201、L202は、それぞれ独立に単結合又は多価の有機連結基を表す。ここで単結合とはポリマーの主鎖とA201及びSi原子が連結鎖なしに直接結合していることを表す。L201、L202が多価の有機連結基を表す場合、具体的な例及び好ましい例は、前記一般式(I−1)のL101で挙げたものと同様のものを挙げることができる。
201は−OH、−OR、−COR、−CO、−CON(R)(R)、−N(R)(R)、−NHCOR、−NHCO、−OCON(R)(R)、−NHCON(R)(R)、−SO、−OSO、−SO、−NHSO、−SON(R)(R)、−N(R)(R)(R)、−N(R)(R)(Rc)(R)、−PO(R)(R)、−OPO(R)(R)、または−PO(R)(R)を表す。A201の具体的な例及び好ましい例は一般式(I−2)のA101で挙げられたものと同様のものを挙げることができる。
qは1〜3の整数を表す。好ましくは2〜3、より好ましくは3である。
201及びL202は、より好ましくは、−CHCHCHS−、−CHS−、−CONHCH(CH)CH−、−CONH−、−CO−、−CO−、−CH−である。
一般式(II−1)及び(II−2)で表される構造を含む親水性ポリマー(II)は、例えば、連鎖移動剤(ラジカル重合ハンドブック(エヌ・ティー・エス、蒲池幹治、遠藤剛)に記載)やIniferter(Macromolecules1986,19,p287−(Otsu)に記載)の存在下に、親水性モノマー(例、アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸3−スルホプロピルのカリウム塩)をラジカル重合させることにより合成できる。連鎖移動剤の例は、3−メルカプトプロピオン酸、2−アミノエタンチオール塩酸塩、3−メルカプトプロパノール、2−ヒドロキシエチルジスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを含む。また、連鎖移動剤を使用せず、反応性基を有するラジカル重合開始剤を用いて、親水性モノマー(例、アクリルアミド)をラジカル重合させてもよい。
一般式(II−1)及び(II−2)で表される構造を含む親水性ポリマー(II)は、下記一般式(i)で表されるラジカル重合可能なモノマーと、下記一般式(ii)で表されるラジカル重合において連鎖移動能を有するシランカップリング剤を用いてラジカル重合することにより合成することができる。シランカップリング剤(ii)が連鎖移動能を有するため、ラジカル重合においてポリマー主鎖末端にシランカップリング基が導入されたポリマーを合成することができる。
Figure 2010228958
上記一般式(i)及び(ii)において、R201〜R205、L201、L202、A201、qは、上記一般式(II−1)中のものと同義である。また、これらの化合物は、市販されており、また容易に合成することもできる。一般式(i)で表されるラジカル重合可能なモノマーは親水性基A201を有しており、このモノマーが親水性ポリマーにおける一構造単位となる。
一般式(II−1)及び(II−2)で表される構造を含む親水性ポリマー(II)において、加水分解性アルコキシシリル基量を有する一般式(II−1)の構造単位のモル数に対して、一般式(II−2)の構造単位のモル数が、1000〜10倍の範囲が好ましく、500〜20倍の範囲がより好ましく、200〜30倍の範囲が最も好ましい。30倍以上であれば親水性が不足することなく、一方、200倍以下であれば、加水分解性アルコキシシリル基量が十分量となり、十分な硬化が得られ、膜強度も十分なものとなる。
一般式(II−1)及び(II−2)で表される構造を含む親水性ポリマー(II)
の質量平均分子量は、1,000〜1,000,000が好ましく、1,000〜500,000がさらに好ましく、1,000〜200,000が最も好ましい。
本発明に好適に用い得る親水性ポリマー(II)の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。具体例中、*はポリマーへの結合位置を表す。
Figure 2010228958
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Figure 2010228958
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Figure 2010228958
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本発明において特に好ましい、一般式(II−1)及び(II−2)で表される構造を含む親水性ポリマー(II)の具体例を以下に示す。
Figure 2010228958
組成物において、親水性ポリマー(I)と親水性ポリマー(II)を併用する場合の親水性ポリマー(I)/親水性ポリマー(II)の比率(質量比)は、好ましくは5/95〜95/5の範囲内であり、より好ましくは40/60〜95/5の範囲内であり、最も好ましくは60/40〜90/10の範囲内である。
組成物において、親水性ポリマー(I)および親水性ポリマー(II)は、ガラス部材との密着性の観点から、アクリル系ポリマーが好ましい。
親水性ポリマー(I)は、他のモノマーとの共重合体であってもよい。用いられる他のモノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸イミド等の公知のモノマーも挙げられる。このようなモノマー類を共重合させることで、製膜性、膜強度、親水性、疎水性、溶解性、反応性、安定性等の諸物性を改善することができる。
他のモノマーの具体例としては、特願2008−15350号公報の段落番号〔0066〕〜〔0070〕に記載のものを挙げることができる。
共重合体の合成に使用されるこれらの他のモノマーの割合は、諸物性の改良に十分な量である必要があるが、親水性層としての機能が十分であり、親水性ポリマー(I)を添加する利点を十分得るために、割合は大きすぎないほうが好ましい。従って、親水性ポリマー(I)中の他のモノマーの好ましい総割合は80質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは50質量%以下である。
親水性ポリマー(I)の共重合比の測定は、核磁気共鳴装置(NMR)や、標準物質で検量線を作成し、赤外分光光度計により測定することができる。
本発明における組成物は、親水性ポリマーを単独あるいは2種以上混合して使用することができる。
親水性ポリマー(I)、(II)は硬化性と親水性の観点から、組成物の全固形分に対して20〜99.5質量%使用されることが好ましく、30〜99.5質量%使用されることがさらに好ましい。
組成物は、一般式(I−1)で表される構造及び一般式(I−2)で表される構造を含む親水性ポリマー(I)を全固形分に対して50質量%以上含有することが好ましい。
組成物は、親水性ポリマー(I−1)を含む加水分解性アルコキシシリル基を有する親水ポリマーを全固形分に対して80質量%以上含有することが好ましい。
上記、親水性ポリマー(I)は、金属アルコキシドの加水分解、重縮合物と混合した状態で架橋皮膜を形成する。有機成分である親水性ポリマー(I)は、皮膜強度や皮膜柔軟性に対して関与しており、特に、親水性ポリマー(I)の粘度が0.1〜100mPa・s(5%水溶液、20℃測定)、好ましくは0.5〜70mPa・s、さらに好ましくは1〜50mPa・sの範囲にあると、良好な膜物性を与える。
〔架橋剤〕
組成物中に、親水性ポリマー(II)を含有する場合は、良好な硬化性を得るために架橋剤を含有することが好ましい。また、組成物中に親水性ポリマー(I)を含有する場合は架橋剤を含有しない場合でも良好な硬化性を得ることはできるが、膜強度が非常に優れた塗膜を得るためには架橋剤を含有してもよい。
架橋剤としては、Si、Ti、Zr、Alから選択される元素を含むアルコキシド化合物(金属アルコキシドともいう)がとくに好ましい。
〔Si、Ti、Zr、Alから選択される金属アルコキシド化合物〕
本発明で用いられる金属アルコキシドは、その構造中に加水分解して重縮合可能な官能基を有し、架橋剤としての機能を果たす加水分解重合性化合物であり、金属アルコキシド同士が重縮合することにより架橋構造を有する強固な架橋皮膜を形成し、さらに、前記親水性ポリマーとも化学結合する。金属アルコキシドは一般式(IV−1)および一般式(IV‐2)で表すことができ、式中、R8は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R9はアルキル基又はアリール基を表し、ZはSi、Ti又はZrを表し、mは0〜2の整数を表す。R8及びR9がアルキル基を表す場合の炭素数は好ましくは1から4である。アルキル基又はアリール基は置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、アミノ基、メルカプト基などが挙げられる。なお、この化合物は低分子化合物であり、分子量2000以下であることが好ましい。
(R8m−Z−(OR94-m (IV−1)
Al−(OR93 (IV−2)
以下に、一般式(IV−1)および一般式(IV−2)で表される加水分解性化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。ZがSiの場合、即ち、加水分解性化合物中にケイ素を含むものとしては、例えば、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシン、テトラプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、γ−クロロプリピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、等を挙げることができる。これらのうち特に好ましいものとしては、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、等を挙げることができる。
ZがTiである場合、即ち、チタンを含むものとしては、例えば、トリメトキシチタネート、テトラメトキシチタネート、トリエトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシタネート、クロロトリメトキシチタネート、クロロトリエトキシチタネート、エチルトリメトキシチタネート、メチルトリエトキシチタネート、エチルトリエトキシチタネート、ジエチルジエトキシチタネート、フェニルトリメトキシチタネート、フェニルトリエトキシチタネート等を挙げることができる。ZがZrである場合、即ち、ジルコニウムを含むものとしては、例えば、前記チタンを含むものとして例示した化合物に対応するジルコネートを挙げることができる。
また、中心金属がAlである場合、即ち、加水分解性化合物中にアルミニウムを含むものとしては、例えば、トリメトキシアルミネート、トリエトキシアルミネート、トリプロポキシアルミネート、トリイソプロポキシアルミネート等を挙げることができる。
〔触媒〕
本発明のコーティング膜の形成において使用できる金属錯体触媒は、Si、Ti、Zr、Alから選択される金属アルコキシド化合物の加水分解、重縮合を促進し、親水性ポリマーとの結合を生起することができる。特に好ましい金属錯体触媒としては、周期律表の2A,3B,4A及び5A族から選ばれる金属元素とβ−ジケトン、ケトエステル、ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル、アミノアルコール、エノール性活性水素化合物の中から選ばれるオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物から構成される金属錯体である。
構成金属元素の中では、Mg,Ca,Sr,Baなどの2A族元素、Al,Gaなどの3B族元素,Ti,Zrなどの4A族元素及びV,Nb及びTaなどの5A族元素が好ましく、それぞれ触媒効果の優れた錯体を形成する。その中でもZr、Al及びTiから得られる錯体が優れており、好ましい。
上記金属錯体の配位子を構成するオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物は、本発明においては、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)、2,4−ヘプタンジオンなどのβジケトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸ブチルなどのケトエステル類、乳酸、乳酸メチル、サリチル酸、サリチル酸エチル、サリチル酸フェニル、リンゴ酸,酒石酸、酒石酸メチルなどのヒドロキシカルボン酸及びそのエステル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−2−ヘプタノンなどのケトアルコール類、モノエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチル−モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミノアルコール類、メチロールメラミン、メチロール尿素、メチロールアクリルアミド、マロン酸ジエチルエステルなどのエノール性活性化合物、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)のメチル基、メチレン基またはカルボニル炭素に置換基を有する化合物が挙げられる。
好ましい配位子はアセチルアセトン又はアセチルアセトン誘導体であり、アセチルアセトン誘導体は、本発明においては、アセチルアセトンのメチル基、メチレン基またはカルボニル炭素に置換基を有する化合物を指す。アセチルアセトンのメチル基に置換する置換基としては、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基、アシル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基であり、アセチルアセトンのメチレン基に置換する置換基としてはカルボキシル基、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のカルボキシアルキル基及びヒドロキシアルキル基であり、アセチルアセトンのカルボニル炭素に置換する置換基としては炭素数が1〜3のアルキル基であってこの場合はカルボニル酸素には水素原子が付加して水酸基となる。
好ましいアセチルアセトン誘導体の具体例としては、アセチルアセトン、エチルカルボニルアセトン、n−プロピルカルボニルアセトン、i−プロピルカルボニルアセトン、ジアセチルアセトン、1―アセチル−1−プロピオニル−アセチルアセトン、ヒドロキシエチルカルボニルアセトン、ヒドロキシプロピルカルボニルアセトン、アセト酢酸、アセトプロピオン酸、ジアセト酢酸、3,3−ジアセトプロピオン酸、4,4−ジアセト酪酸、カルボキシエチルカルボニルアセトン、カルボキシプロピルカルボニルアセトン、ジアセトンアルコールが挙げられる。中でも、アセチルアセトン及びジアセチルアセトンがとくに好ましい。上記のアセチルアセトン誘導体と上記金属元素の錯体は、金属元素1個当たりにアセチルアセトン誘導体が1〜4分子配位する単核錯体であり、金属元素の配位可能の手がアセチルアセトン誘導体の配位可能結合手の数の総和よりも多い場合には、水分子、ハロゲンイオン、ニトロ基、アンモニオ基など通常の錯体に汎用される配位子が配位してもよい。
好ましい金属錯体の例としては、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)アルミニウム・アコ錯塩、モノ(アセチルアセトナト)アルミニウム・クロロ錯塩、ジ(ジアセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート、トリス(アセチルアセトナト)バリウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、トリス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムトリス(安息香酸)錯塩、等が挙げられる。これらは水系塗布液での安定性及び、加熱乾燥時のゾルゲル反応でのゲル化促進効果に優れているが、中でも、特にエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)が好ましい。
上記した金属錯体の対塩の記載を本明細書においては省略しているが、対塩の種類は、錯体化合物としての電荷の中性を保つ水溶性塩である限り任意であり、例えば硝酸塩、ハロゲン酸塩、硫酸塩、燐酸塩などの化学量論的中性が確保される塩の形が用いられる。金属錯体のシリカゾルゲル反応での挙動については、J.Sol-Gel.Sci.and Tec. 16.209(1999)に詳細な記載がある。反応メカニズムとしては以下のスキームを推定している。すなわち、塗布液中では、金属錯体は、配位構造を取って安定であり、塗布後の加熱乾燥過程に始まる脱水縮合反応では、酸触媒に似た機構で架橋を促進させるものと考えられる。いずれにしても、この金属錯体を用いたことにより塗布液経時安定性及び皮膜面質の改善と、高親水性、高耐久性の、いずれも満足させるに至った。
また、上記の金属錯体触媒の他に、Si、Ti、Zr、Alから選択される金属アルコキシド化合物の加水分解、重縮合を促進し、親水性ポリマーとの結合を生起することができるものを併用してもよい。このような触媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸や酢酸などのカルボン酸、そのRCOOHで表される構造式のRを他元素または置換基によって置換した置換カルボン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸などの酸性を示す化合物、あるいは、アンモニア水などのアンモニア性塩基、エチルアミンやアニリンなどのアミン類などの塩基性化合物が挙げられる。
上記の金属錯体触媒は、市販品として容易に入手でき、また公知の合成方法、例えば各金属塩化物とアルコールとの反応によっても得られる。
〔抗菌剤〕
本発明の部材に抗菌性、防カビ性、防藻性を付与するために、組成物に抗菌剤を含有させることができる。コーティング膜の形成において、親水性、水溶性抗菌剤を含有させることが好ましい。親水性、水溶性抗菌剤を含有させることにより、表面親水性を損なうことなく抗菌性、防カビ性、防藻性に優れた部材が得られる。
抗菌剤としては、部材の親水性を低下させない化合物を添加することが好ましく、そのような抗菌剤としては、無機系抗菌剤または、水溶性の有機系抗菌剤が挙げられる。抗菌剤としては、黄色ブドウ球菌や大腸菌に代表される細菌類や、かび,酵母などの真菌類など、身の回りに存在する菌類に対して殺菌効果を発揮するものが用いられる。
有機系の抗菌剤としては、フェノールエーテル誘導体,イミダゾール誘導体,スルホン誘導体,N・ハロアルキルチオ化合物,アニリド誘導体,ピロール誘導体,第4アンモニウム塩、ピリジン系、トリアジン系、ベンゾイソチアゾリン系、イソチアゾリン系などが挙げられる。
例えば1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、N−フルオルジクロロメチルチオ−フタルイミド、2,3,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、N−トリクロロメチルチオ−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシイミド、8−キノリン酸銅、ビス(トリブチル錫)オキシド、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール〈以後、TBZと表示〉、2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル〈以後、BCMと表示〉、10,10'−オキシビスフェノキシアルシン〈以後、OBPAと表示〉、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォン)ピリジン、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛〈以後、ZPTと表示〉、N,N−ジメチル−N'−(フルオロジクロロメチルチオ)−N’−フェニルスルファミド〈ジクロルフルアニド〉、ポリ−(ヘキサメチレンビグアニド)ハイドロクロライド、ジチオ−2−2'−ビス(ベンズメチルアミド)、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オン、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、ヘキサヒドロ−1,3−トリス−(2−ヒドロキシエチル)−S−トリアジン、p−クロロ−m−キシレノール、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
これら有機系の抗菌剤は、親水性、耐水性、昇華性、安全性等を考慮し、適宜選択して使用することができる。有機系抗菌剤中では、親水性、抗菌効果、コストの点から2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、TBZ、BCM、OBPA、ZPTが好ましい。
無機系の抗菌剤としては、殺菌作用の高い順に、水銀,銀,銅,亜鉛,鉄,鉛,ビスマスなどが挙げられる。例えば、銀、銅、亜鉛、ニッケル等の金属や金属イオンをケイ酸塩系担体、リン酸塩系担体、酸化物、ガラスやチタン酸カリウム、アミノ酸等に担持させたものが挙げられる。たとえばゼオライト系抗菌剤、ケイ酸カルシウム系抗菌剤、リン酸ジルコニウム系抗菌剤、リン酸カルシウム抗菌剤、酸化亜鉛系抗菌剤、溶解性ガラス系抗菌剤、シリカゲル系抗菌剤、活性炭系抗菌剤、酸化チタン系抗菌剤、チタニア系抗菌剤、有機金属系抗菌剤、イオン交換体セラミックス系抗菌剤、層状リン酸塩−四級アンモニウム塩系抗菌剤、抗菌ステンレス等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
天然系抗菌剤としては、カニやエビの甲殻等に含まれるキチンを加水分解して得られる塩基性多糖類のキトサンがある。
本発明には、アミノ酸の両側に金属を複合させたアミノメタルから成る日鉱の「商品名ホロンキラービースセラ」が好ましい。
これらは蒸散性ではなく、また、コーティング膜のポリマーや架橋剤成分と相互作用しやすく、安定に分子分散あるいは固体分散可能であり、コーティング膜表面に抗菌剤が効果的に露出しやすく、かつ、水がかかっても溶出することなく、効果を長期間持続させることができ、人体に影響を及ぼすこともない。また、コーティング膜や塗布液に対して安定に分散することができ、親水層や塗布液の劣化もおこらない。
上記抗菌剤の中では、抗菌効果が大きいことから、銀系無機抗菌剤と水溶性有機抗菌剤が最も好ましい。特にケイ酸塩系担体であるゼオライトに銀を担持させた銀ゼオライトやシリカゲルに銀を担持させた抗菌剤や2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、TPN、TBZ、BCM、OBPA、ZPTが好ましい。特に好ましい市販の銀ゼオライト系抗菌剤としては、品川燃料の「ゼオミック」や富士シリシア化学の「シルウェル」や日本電子材料の「バクテノン」等がある。その他、銀を無機イオン交換体セラミックスに担持させた東亜合成の「ノバロン」や触媒化成工業の「アトミーボール」やトリアジン系抗菌剤の「サンアイバックP」も好ましい。
抗菌剤の含有量は、一般的には0.001〜10質量%であるが、0.005〜5質量%が好ましく、0.01〜3質量%がより好ましく、0.02〜1.5質量%が特に好ましく、0.05〜1質量%が最も好ましい。含有量が0.001質量%以上であれば効果的な抗菌効果を得ることができる。また、含有量が10質量%以下であれば親水性も低下せず、かつ経時性も悪化せず、防汚性、防曇性に悪影響を及ぼさない。
〔界面活性剤〕
本発明においては、組成物および下塗り層用組成物の被膜面状を向上させるために界面活性剤を用いるのが好ましい。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
本発明に用いられるノニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体が挙げられる。
本発明に用いられるアニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩類、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類、スチレン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類が挙げられる。
本発明に用いられるカチオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
本発明に用いられる両性界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミタゾリン類が挙げられる。
なお、上記界面活性剤の中で、「ポリオキシエチレン」とあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン等の「ポリオキシアルキレン」に読み替えることもでき、本発明においては、それらの界面活性剤も用いることができる。
更に好ましい界面活性剤としては、分子内にパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系界面活性剤が挙げられる。このようなフッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等のアニオン型;パーフルオロアルキルベタイン等の両性型;パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン型;パーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基及び親水性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基、親水性基及び親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基を含有するウレタン等のノニオン型が挙げられる。また、特開昭62−170950号、同62−226143号及び同60−168144号の各公報に記載されているフッ素系界面活性剤も好適に挙げられる。
界面活性剤は、本発明の組成物中に、不揮発性成分に対して、好ましくは0.001〜10質量%、更に好ましくは0.01〜5質量%の範囲で使用される。また、界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
好ましい界面活性剤の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2010228958
〔無機微粒子〕
本発明のコーティング膜は、親水性の向上や、皮膜のひび割れ防止、膜強度向上のために、無機微粒子を含有してもよい。無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウムまたはこれらの混合物が好適に挙げられる。
無機微粒子は、平均粒径が5nm〜10μmであるのが好ましく、0.5〜3μmであるのがより好ましい。上記範囲内であると、親水層中に安定に分散して、親水層の膜強度を十分に保持し、耐久性の高い親水性に優れる親水性部材を形成することができる。
上述したような無機微粒子の中で、特にコロイダルシリカ分散物が好ましく、市販品として容易に入手することができる。
本発明に用いることのできるコロイダルシリカの平均粒径は50nm〜200nmが好ましい。更に好ましくは50nm〜100nmである。粒径が小さいと塗膜中に埋もれてしまうために十分な突起を形成できないために水中油滴接触角が低下する。粒径が大き過ぎると塗膜中に空隙が発生しやすくなるためにコーティング膜強度が低下しスポンジ擦りなどで塗膜がはがれることがある。
無機微粒子の含有量は、親水層の全固形分に対して、80質量%以下であるのが好ましく、50質量%以下であるのがより好ましい。
とくに、コロイダルシリカの含有量はコーティング膜中の10〜50質量%が好ましい。更に好ましくは20〜30質量%である。添加量が少ないと十分な耐油性が得られない。一方、添加量が多いと塗膜中に空隙が発生しやすくなるために塗膜強度が低下しスポンジ擦りなどで塗膜がはがれることがある。
〔その他の成分〕
以下に、必要に応じて本発明の部材の組成物に用いることのできる種々の添加剤について述べる。
1)紫外線吸収剤
本発明においては、本発明の部材耐久性向上の観点から、紫外線吸収剤を用いることができる。
2)酸化防止剤
本発明の部材の安定性向上のため、組成物に酸化防止剤を添加することができる。
3)溶剤
親水性層形成時に、基板に対する均一な塗膜の形成性を確保するために、組成物に適度に有機溶剤を添加することも有効である。
4)高分子化合物
組成物には、コーティング層の膜物性を調整するため、親水性を阻害しない範囲で各種高分子化合物を添加することができる。
紫外線吸収剤、酸化防止剤、溶剤、高分子化合物については特願2008−15350号公報の段落番号〔0143〕〜〔0146〕の記載を適用することができる。
この他にも、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、基板への密着性を改善するために、親水性を阻害しない範囲でタッキファイヤーなどを含有させることができる。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環族アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香族アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などである。
〔基材〕
本発明に用いることのできるガラス部材における基材は、ソーダ硝子や石英ガラスなど公知のものを用いることができ特に限定されない。
基材とコーティング膜の密着力を確保するために必要に応じて基材表面にプライマー層を設けてもよい。プライマー層としてはコーティング膜との濡れ性のよいものであれば特に限定はしないが加水分解性アルコキシシリル基を有するものが好ましい。
中でも好ましいものはテトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシランが好ましい、特に好ましくはテトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン。一般的に上市されている製品を用いても良い。中でも水性アクリル系のものが好ましい。
本発明におけるコーティング膜や必要に応じて設けられるプライマー層は、公知の塗布方法で作製することが可能であり、特に限定がなく、例えばエアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート、スピンコート等が利用できる。これらについては例えば(株)総合技術センター発行の「最新コーティング技術」(昭和58年5月31日)を参考にできる。
コーティング膜の表面の中心線平均粗さRaは、10nm〜100nmであることが好ましい。
また、コーティング膜のTgは、塗膜強度の観点から、40℃〜150℃が好ましい。また、親水性層の弾性率は1GPa〜7GPaが好ましい。
なお、上記のコーティング膜の表面性状は、使用する無機微粒子の粒子サイズ、含有量、基材自体の表面粗さ、組成物の粘度、親水性層の加熱温度、速度などを調節することによって制御できるが、本発明はこれに限定されるものではない。
(表面自由エネルギー)
コーティング膜表面の親水性度は、汎用的に、水滴接触角で測定される。しかし、本発明のような非常に親水性の高い表面においては、水滴接触角が10℃以下になることがあり、親水性度の相互比較を行うには、限界がある。一方、固体表面の親水性度をより詳細に評価する方法として、表面自由エネルギーの測定がある。種々の方法が提案されているが、本発明では、一例として、Zismanプロット法を用いて表面自由エネルギーを測定した。具体的には、塩化マグネシウムなどの無機電解質の水溶液が濃度とともに表面張力が大きくなる性質を利用し、その水溶液を用いて空中、室温条件で接触角を測定した後、横軸にその水溶液の表面張力、縦軸に接触角をcosθに換算した値をとり、種々の濃度の水溶液の点をプロットして直線関係を得、cosθ=1すなわち、接触角=0°になるときの表面張力を、固体の表面自由エネルギーと定義する測定方法である。水の表面張力は72mN/mであり、表面自由エネルギーの値が大きいほど親水性が高いといえる。
このような方法で測定した表面自由エネルギーが、70mN/m〜95mN/m、好ましくは72mN/m〜93mN/m、さらに好ましくは75mN/m〜90mN/mの範囲にあるコーティング膜が、親水性に優れ、良好な性能を示す。
本発明のガラス部材において、コーティング膜の水中油滴接触角は160°以上である必要がある。好ましくは165°以上である。コーティング膜の水中油滴接触角は160°以上であることにより、塗膜に付着した油などの疎水性の汚れ物の洗浄性が極めて高く、水中に浸漬させておくだけで容易に洗浄することができる。
なお本発明において水中油滴接触角は、コーティング膜表面に大豆油25μlの油滴をマイクロピペットで滴下後、20℃水中に水平状態で入れ30sec放置後の油滴状態をデジタルカメラで撮影し、印刷した画像から接触角を読み取ることにより測定できる。
本発明のガラス部材は、食器洗い器で500回洗浄した後のコーティング膜の水中油滴接触角が150°以上であることが好ましい。より好ましくは155°以上である。食器洗い器で500回洗浄した後のコーティング膜の水中油滴接触角が150°以上であれば特に耐久性に優れたガラス部材として有用である。
〔組成物の調液〕
組成物の調製は、親水性ポリマーや必要に応じて添加される各種成分をエタノールなどの溶媒に溶解後、攪拌することで実施できる。反応温度は室温〜80℃であり、反応時間、即ち攪拌を継続する時間は1〜72時間の範囲であることが好ましい。
前記組成物を調製する際に用いる溶媒としては、これらを均一に、溶解、分散し得るものであれば特に制限はないが、例えば、メタノール、エタノール、水等の水系溶媒が好ましい。
本発明のコーティング膜は、透明性に優れ、膜厚が厚くても透明度が損なわれず、耐久性との両立が可能である。本発明のコーティング膜の厚さは、50nm〜200nmが好ましく、50nm〜100nmがさらに好ましい。膜厚が50nm以上の場合は、十分な親水性、耐久性が得られ好ましく、膜厚が200nm以下の場合は、乾燥ムラなど製膜性に問題を来たすことがなく、好ましい。上記厚さは組成物の固形分濃度、バーコータのコイル径等で調整することができるほか公知の方法で可能である。
透明性は、分光光度計で可視光領域(400nm〜800nm)の光透過率を測定し評価する。光透過率が100%〜70%が好ましく、95%〜75%がより好ましく、95%〜80%の範囲にあることが最も好ましい。この範囲にあることによって、視界をさえぎることなく、ガラス部材を各種用途に適用することができる。
本発明の親水性部材は、上記のように、組成物を、適切な基材上に塗布し、加熱、乾燥してコーティング膜を形成することで得ることができる。乾燥温度は部材が溶融変形しない程度の温度であればよい。30℃〜200℃が好ましい。更に好ましくは80℃〜180℃である。乾燥温度が低いと十分な架橋反応が進まず塗膜強度が低い。温度が高いと、膜のひび割れを生じやすく部分的に親水性が不十分になる。乾燥時間は10分〜120分が好ましい。更に好ましくは30分〜60分である。乾燥時間が短いと乾燥不十分により膜強度が低下することがある。必要以上に乾燥時間を長くしすぎると生産性が低下する。
本発明のガラス部材は、ガラス食器、包装用ガラス瓶、ジューサーミキサーやフードプロセッサーなどの家庭用品などのガラス容器;灰皿、花瓶などの装飾用ガラス置物;蛍光灯、電球などの照明器具用ガラス;浴室洗面向けの鏡などの屋内用途や、各種屋外用途に好適である。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、部とあるのは質量部を意味する。
〔実施例1〕
(ポリマー合成例)
500ml三口フラスコにアクリルアミド56.9g、アクリルアミド−3−(エトキシシリル)プロピル11.6g、エタノール140g、1−メトキシ−2−プロパノール140gを入れ、80℃窒素気流下、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル2.3gを加えた。6時間攪拌しながら同温度に保った後、室温まで冷却した。アセトン2リットル中に投入し、析出した固体を沈殿させた。得られた固体をデカンテーションして採取した。
ついで30℃で乾燥質量が恒量に達するまで乾燥して溶媒を除去し式Aで表される親水性ポリマー(ポリマーA)を得た。得られたポリマーの乾燥質量は65.6gであった。得られたポリマーの分子量をGPC(ポリエチレンオキシド標準)により測定したところ重量平均分子量25300のポリマーであった。
アクリルアミド−3−(エトキシシリル)プロピルをアクリルアミド−3−(メトキシシリル)プロピルに変更した以外は上記と同様の方法でポリマーBを作製した。
アクリルアミドをアクリル酸に変更した以外はポリマーAと同様の方法でポリマーDを作製した。
三口フラスコにアクリルアミド25g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン3.5g、ジメチルホルムアミド51.3gを入れて窒素気流下、65℃まで加熱し、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.25g添加し、反応を開始した。6時間攪拌した後、室温まで戻して酢酸エチル1.5L中に投入したところ固体が析出した。その後、濾過を行い、充分酢酸エチルで洗浄し、乾燥を行った(収量21g)。GPC(ポリエチレンオキシド標準)により、21600の重量平均分子量を有するポリマーCを作成した。
(下塗り層(プライマー層)用組成物の調製)
テトラメトキシシラン(東京化成製試薬)10部、チタンアセチルアセトナートを前記アルコキシシリル化合物のアルコキシシリル基のモル数と等モルを添加し蒸留水900部、コロイダルシリカ(日産化学製スノーテックスC)を固形分として2部、エタノール1000部を20℃で30分間攪拌し下塗り層用組成物(1)を得た。
(上塗り層用組成物(組成物)の調製)
表1に記載の主成分ポリマー10部、チタンアセチルアセトナートをアルコキシシリル基のモル数と等モルor二倍モル数を添加し蒸留水600部を20℃で30分間攪拌したのち表1記載のコロイダルシリカを固形分として2部添加し、更に20℃で15分間攪拌し上塗り層用組成物を得た。
(膜形成)
ついであらかじめアルカリ脱脂洗浄した表1記載のガラス基材Aに下塗り層用組成物Aを乾燥膜厚100nmになるようにバーコーターのコイル径を調整して塗布し150℃30分間加熱乾燥した。
更にその上に乾燥膜厚100nmになるようにバーコーターのコイル径を調整して上塗り層用組成物を塗布し150℃30分間加熱乾燥し実施例1のサンプルを作成した。
上塗り層および下塗り層の膜厚は部材断面を走査型電子顕微鏡で観察することで確認した。
〔実施例2〜18及び比較例1〜8〕
上塗り層および下塗り層の構成、ガラス基材の種類を表1記載のものにした以外は実施例1と同様である。
(評価法)
1.水接触角
協和界面科学(株)製 接触角計DropMaster500を用いて超純水を用いてコーティング膜表面の水滴接触角を求めた。
2.水中油滴接触角
ガラス表面に大豆油25μlの油滴をマイクロピペットで滴下後、20℃水中に水平状態で入れ30sec放置後の油滴状態をデジタルカメラで撮影し、印刷した画像から水中油滴接触角を読み取った。
3.スポンジ擦り試験
スリーエム製食器洗いスポンジに水道水を含ませた状態でコーティング膜表面を500往復擦り試験を行った。擦り試験を行った箇所の水接触角及び油滴接触角を上記の方法で行った。
4.食洗機テスト
パナソニック製食器洗浄乾燥機NP−50SX3を用いて標準加熱コース(洗い37分間→すすぎ3回→加熱すすぎ1回→乾燥25分間)を1サイクルとし500サイクル行った後の水接触角と水中油滴接触角を調べた。
結果を表1に示す。
Figure 2010228958
部材A:ソーダガラス(組成:SiO2 73wt%、Al2O3 2wt%、Na2O 15wt%、CaO 10w t%)
部材B:ソーダガラス(組成:SiO2 65wt%、Al2O3 10wt%、Na2O 15wt%、CaO 10wt%)
部材C:ソーダガラス(組成:SiO2 40wt%、Al2O3 35wt%、Na2O 15wt%、CaO 10wt%)
部材D:石英ガラス(組成:SiO2 100wt%)
表1において、化合物Aは、テトラメトキシシラン(東京化成社製試薬)であり、ポリマーA〜Fは、以下の通りである。Meはメチル基、Etはエチル基、nは繰り返し単位の数を表す。
Figure 2010228958
Figure 2010228958
表1から、本発明のガラス部材は、親水性、防汚性、耐久性に優れていることが明らかである。

Claims (6)

  1. 分子内に少なくとも1種の加水分解性アルコキシシリル基を有する高分子化合物を含有する組成物により形成されたコーティング膜を有するガラス部材であり、該コーティング膜の水中油滴接触角が160°以上であることを特徴とするガラス部材。
  2. 食器洗い器で500回洗浄した後のガラス部材表面の水中油滴接触角が150°以上であることを特徴とする請求項1に記載のガラス部材。
  3. 前記コーティング膜が、平均粒径50nm〜200nmのコロイダルシリカを含有することを特徴とする請求項1または2に記載のガラス部材。
  4. 前記コロイダルシリカの平均粒径が、50nm〜100nmであることを特徴とする請求項3に記載のガラス部材。
  5. 前記コーティング膜中のコロイダルシリカの含有量が、10〜50質量%であることを特徴とする請求項3または4に記載のガラス部材。
  6. 前記コーティング膜の厚さが、50nm〜200nmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のガラス部材。
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