上記従来技術のようにカートリッジホルダにテープカートリッジを装着して使用する構造では、テープカートリッジ内のテープが全て消費された場合、カートリッジホルダからテープカートリッジを取り外し、新たなテープカートリッジを装着する。また、現在カートリッジホルダに装着されているものとは別の種類のテープカートリッジを使用する場合にも、同様のテープカートリッジの取り外し・装着が必要となる。このようにして繰り返されるテープカートリッジの装着・取り外しを円滑に行うため、一般に、カートリッジホルダの寸法とテープカートリッジの外形寸法との間には、ある程度の遊び寸法(隙間)が設けられている。
また、製造上の誤差によりテープカートリッジの外形寸法がある程度はばらつくのが通常である。このような隙間や寸法ばらつきの影響により、上記従来技術では、カートリッジホルダへの装着時にテープカートリッジのがたつきを防止するのが困難であった。
また、上記従来技術のようにテープカートリッジから繰り出した被印字テープに対し印字を行う場合には、テープカートリッジのがたつきが生じてテープカートリッジがカートリッジホルダに対して傾斜した状態で装着されると、印字手段に対して斜めに被印字テープが搬送される(=斜行)こととなる。この結果、本来印字したい場所と異なる対置に印字が形成される、いわゆる印字ずれが発生するという懸念もあった。
さらに、上記従来技術のように、テープカートリッジに備えた2つのロールから繰り出した2つのテープを貼り合わせる場合には、本来は互いに幅方向の中心が一致した状態(幅方向両端部がほぼ一致した状態)で貼り合わされるはずの2つのテープが、幅方向の中心が微少なずれをもった状態で貼り合わされ(=貼り合わせ不良)、著しい場合には貼り合わせ後のテープ幅が拡大してしまうために搬送経路(カートリッジ出口)でのテープ詰まり(いわゆるテープジャム)が発生するという懸念もあった。
本発明の目的は、カートリッジホルダへの装着時におけるテープカートリッジのがたつきの発生を確実に防止できるテープカートリッジ収納装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、第1の発明は、装置の外郭を構成する装置筐体と、テープを巻回したテープロールをカートリッジ筐体内に収納したテープカートリッジを着脱可能に構成され、前記装置筐体に設けられたカートリッジホルダと、前記カートリッジホルダに装着された前記テープカートリッジを係止する係止状態と、前記カートリッジホルダから前記テープカートリッジを離脱可能とする非係止状態とに切り替え可能に構成され、前記カートリッジホルダに前記テープカートリッジが装着されたときに、前記カートリッジ筐体に設けた進入孔を介して、前記カートリッジ内に前記非係止状態で進入可能なカートリッジ係止部材と、開き状態において前記カートリッジホルダを装置外部に露出させるとともに閉じ状態において前記カートリッジホルダを覆うように、前記筐体に設けられた開閉蓋と、前記開閉蓋の開閉動作に連動して、前記開閉蓋が開き状態のときには前記カートリッジ係止部材を前記非係止状態とし、前記開閉蓋が閉じ状態のときには前記カートリッジ係止部材を前記係止状態に切り替える切替手段とを有することを特徴とする。
本願第1発明においては、カートリッジホルダにテープカートリッジを装着した後にその状態でテープカートリッジを係止するカートリッジ係止部材を設けている。そして、カートリッジホルダを開閉する開閉蓋とカートリッジ係止部材の切り替え動作とが連携している。
すなわち、テープカートリッジをカートリッジホルダに装着する際は、装置筐体に設けた開閉蓋を開き状態とすると、切替手段によってカートリッジ係止部材が非係止状態に切り替えられる。この状態でカートリッジホルダにテープカートリッジを装着すると、進入孔を介して上記非係止状態のカートリッジ係止部材がカートリッジ筐体内に進入する。その後、開閉蓋を閉じ状態とすると、切替手段によって上記進入状態のカートリッジ係止部材が係止状態に切り替えられ、テープカートリッジはカートリッジホルダに対し位置決めされつつ堅固に取り付けられる。
この後、テープカートリッジをカートリッジホルダから取り外す際には、装置筐体に設けた開閉蓋を開き状態とすればよい。これにより、切替手段によってカートリッジ係止部材が非係止状態に再び切り替えられるので、カートリッジ係止部材を進入孔からカートリッジ筐体外へと退出させつつ、カートリッジホルダからテープカートリッジを離脱させることができる。
以上のように、カートリッジ係止部材を用いて、テープカートリッジをカートリッジホルダに対し位置決めしつつ安定的に取り付けることができる。これにより、テープカートリッジとカートリッジホルダとの間にもともと設定してある隙間の影響や、テープカートリッジの外形寸法のばらつきの影響があったとしても、テープカートリッジのがたつきの発生を確実に防止することができる。
第2発明は、上記第1発明において、前記カートリッジホルダは、装着時に前記カートリッジホルダの底面からの距離が一定になる一定距離部を前記カートリッジ筐体に備えた前記テープカートリッジを装着可能に構成されるとともに、前記一定距離部に備えられた位置決め基準部に接触して支持する位置決め支持部材を備えており、前記カートリッジ係止部材は、前記カートリッジ筐体の前記一定距離部に設けた前記進入孔を介し、前記カートリッジ内に進入することを特徴とする。
本願第2発明においては、テープカートリッジが一定距離部を備えている。この一定距離部は、カートリッジホルダへの装着時に、カートリッジホルダの底面からの距離が常にある一定の所定値になるように構成されている。したがって、このような一定距離部を備えたテープカートリッジは、どのような種類のものであっても(カートリッジ自体の厚さ方向寸法が大小異なっても)、カートリッジホルダへの装着時に、位置決め支持部材に接触して支持されることで、当該一定距離部からカートリッジホルダ底面までの距離が、常に上記所定値となる。
本願第2発明においては、上記の性質を利用し、テープカートリッジの当該一定距離部に進入孔を設けている。これにより、どのような種類のテープカートリッジをカートリッジホルダに装着した場合でも、(カートリッジホルダ底面から進入孔までの距離が一定となることから)カートリッジ係止部材がカートリッジホルダ側から進入孔へのアクセス距離が常に一定となり、カートリッジ内への進入を容易かつ円滑に行うことができる。
第3発明は、上記第2発明において、前記切替手段は、前記開閉蓋及び前記カートリッジ係止部材に作動連結され、前記開閉蓋の前記開閉動作に伴う回転軸の回転を、前記係止部材の回転軸へ伝達する回転伝達機構であることを特徴とする。
本願第3発明においては、開閉蓋が開閉動作するときの回転軸の回転を、回転伝達機構で伝達して係止部材の回転軸を回転させる。このような機械的な回転伝達で係止部材を切り替えることにより、信頼性の高い確実な係止状態・非係止状態の切り替えを実現することができる。また、このような機械的な伝達でなく電子制御で切り替えを実行する場合のような、開閉検出のためのセンサや、切替用のアクチュエータ等を別途設ける必要がないので、コスト低減を図ることができる。
第4発明は、上記第2又は第3発明において、前記カートリッジ係止部材のうち、少なくとも前記係止状態において前記カートリッジ筐体に接触する部分を、弾性材料により構成したことを特徴とする。
これにより、係止状態において弾性材料の弾性力によってカートリッジ係止部材からカートリッジ筐体を押圧付勢し、安定的に位置決めを行うことができる。
第5発明は、上記第2乃至第4発明のいずれかにおいて、前記カートリッジホルダは、被印字テープを巻回した被印字テープロールを前記カートリッジ筐体内に収納した被印字テープカートリッジを着脱可能に構成されており、かつ、前記カートリッジホルダに設けられ、当該カートリッジホルダに前記被印字テープカートリッジが装着されたときに、前記被印字テープロールから供給される前記被印字テープを搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される前記被印字テープに対し所望の印字を行う印字手段とを設けたことを特徴とする。
本願第5発明においては、カートリッジホルダにテープカートリッジ(被印字テープカートリッジ)を装着すると、搬送手段の搬送によって被印字テープロールから被印字テープが繰り出され、印字手段によって所望の印字が行われる。このとき、テープカートリッジのがたつきが生じると、テープカートリッジがカートリッジホルダに対して傾斜した状態で装着され、印字手段に対して斜めに被印字テープが搬送される(いわゆる斜行)こととなるため、印字ずれが発生するおそれがある。本願第5発明においては、前述のようにカートリッジ係止部材により被印字テープカートリッジをカートリッジホルダに対し高精度に位置決めしつつ安定的に取り付けることができるので、上記印字ずれの発生を確実に防止することができる。この結果、印字後に生成される印字テープやこれを用いて作成される印字ラベルの品質を向上することができる。
第6発明は、上記第5発明において、前記カートリッジホルダは、被印字テープに貼り合わせる基材テープを巻回した基材テープロールと前記基材テープと前記被印字テープとを押圧し接着するための押圧ローラとをさらに前記カートリッジ筐体内に収納した前記被印字テープカートリッジを着脱可能に構成されており、前記搬送手段は、前記押圧ローラを駆動することにより、前記被印字テープと前記基材テープとを貼り合わせつつ搬送し、貼り合わせテープを形成することを特徴とする。
本願第6発明においては、カートリッジホルダに被印字テープカートリッジを装着すると、搬送手段の搬送によって被印字テープロールから被印字テープが繰り出され印字手段によって所望の印字が行われるとともに、基材テープロールからも基材テープが繰り出される。印字後の上記被印字テープと、上記基材テープとは、押圧ローラによって互いに押圧され接着されて、貼り合わせテープを形成する。このような被印字テープへの印字後に基材テープを貼り合わせる構造(いわゆるラミネート構造)とすることにより、貼り付け後に被印字テープの印字面を貼り合わせ側として表面側に露出しないようにすることができ、その場合汚れたりかすれたりすることのない、美観や耐久性に優れた印字を実現することができる。
ところで、上記のような貼り合わせ構造において、テープカートリッジのがたつきが生じると、テープカートリッジがカートリッジホルダに対して傾斜した状態で装着されることで、前述した斜行が被印字テープと基材テープとのそれぞれにおいて発生するおそれがある。この場合、本来は互いに幅方向の中心が一致した状態(幅方向両端部がほぼ一致した状態)で貼り合わされるはずの被印字テープ及び基材テープが、幅方向の中心が微少なずれをもった状態で貼り合わされ(=貼り合わせ不良)、著しい場合には貼り合わせ後のテープ幅が拡大してしまうために搬送経路(カートリッジ出口)でのテープ詰まり(いわゆるテープジャム)が発生するおそれがある。
本願第6発明においては、前述のようにカートリッジ係止部材により被印字テープカートリッジをカートリッジホルダに対し高精度に位置決めしつつ安定的に取り付けることができるので、上記貼り合わせ不良の発生を確実に防止することができる。この結果、上記ラミネート構造を用いて生成される印字テープやこれを用いて作成される印字ラベルの品質を向上することができる。
上記目的を達成するために、第7発明は、テープカートリッジ収納装置のカートリッジホルダに装着可能に構成され、テープを巻回したテープロールをカートリッジ筐体に収納したテープカートリッジであって、前記カートリッジ筐体は、前記カートリッジホルダへの装着時に前記カートリッジホルダの底面からの距離を一定とするための一定距離部を備えており、前記一定距離部は、前記カートリッジホルダに装着された前記テープカートリッジを係止する係止状態、及び、前記カートリッジホルダから前記テープカートリッジを離脱可能とする非係止状態、を切り替え可能に構成されたカートリッジ係止部材を、前記非係止状態で前記カートリッジ筐体内に進入させるための進入孔を備えていることを特徴とする。
本願第7発明のテープカートリッジにおいては、カートリッジ筐体に進入孔を設けている。カートリッジホルダにテープカートリッジが装着されると、進入孔を介して上記非係止状態のカートリッジ係止部材がカートリッジ筐体内に進入する。その後、上記進入状態のカートリッジ係止部材が係止状態に切り替えられることで、テープカートリッジはカートリッジホルダに対し位置決めされつつ堅固に取り付けられる。この後、テープカートリッジをカートリッジホルダから取り外す際には、カートリッジ係止部材が非係止状態に再び切り替えられることで、カートリッジ係止部材を進入孔からカートリッジ筐体外へと退出させ、カートリッジホルダからテープカートリッジを離脱させることができる。
このとき、カートリッジ筐体には、一定距離部が備えられている。この一定距離部は、カートリッジホルダへの装着時に、カートリッジホルダの底面からの距離が常にある一定の所定値になるように構成されている。したがって、このような一定距離部を備えたテープカートリッジは、どのような種類のものであっても(カートリッジ自体の厚さ方向寸法が大小異なっても)、カートリッジホルダへの装着時に、位置決め支持部材に接触して支持されることで、当該一定距離部からカートリッジホルダ底面までの距離が、常に上記所定値となる。
本願第7発明においては、上記の性質を利用し、カートリッジ筐体のうち上記一定距離部に進入孔を設けている。これにより、どのような種類のテープカートリッジであっても、カートリッジホルダに装着したときにカートリッジホルダ底面から進入孔までの距離が一定となることから、カートリッジ係止部材がカートリッジホルダ側から進入孔へのアクセス距離が常に一定となり、カートリッジ内への進入を容易かつ円滑に行うことができる。
以上のようにして、テープカートリッジをカートリッジホルダに対し位置決めしつつ安定的に取り付けることができる。これにより、テープカートリッジとカートリッジホルダとの間にもともと設定してある隙間の影響や、テープカートリッジの外形寸法のばらつきの影響があったとしても、テープカートリッジのがたつきの発生を確実に防止することができる。
第8発明は、上記第7発明において、前記カートリッジ筐体は、前記非係止状態で前記進入孔から前記カートリッジ筐体内に進入した後、前記係止状態に切り替わった前記カートリッジ係止部材に接触して係止される、被係止部を備えることを特徴とする。
被係止部を介して、係止状態においてカートリッジ係止部材によりカートリッジ筐体が接触され、係止されることで、テープカートリッジを安定的にカートリッジホルダに位置決めすることができる。
第9発明は、上記第8発明において、前記被係止部は、前記カートリッジ係止部材が前記非係止状態から回転軸まわりに回転して前記係止状態になるときに前記回転するにしたがって係止力を順次増大させるための、傾斜部を備えることを特徴とする。
これにより、カートリッジ係止部材が係止状態になるときの回転に伴って順次増大する係止力によって、カートリッジ係止部材からカートリッジ筐体を押圧付勢し、安定的に位置決めを行うことができる。また当該押圧付勢力を、カートリッジ係止部材の回転量の大小によって調整することも可能となり、さらに確実に高精度な位置決めを行うことができる。
上記目的を達成するために、第10発明は、装置の外郭を構成する装置筐体にカートリッジホルダと開閉蓋とを設け、前記開閉蓋の開き状態で前記カートリッジホルダを装置外部に露出させ、前記開き蓋の閉じ状態で前記カートリッジホルダを覆うようにしたテープカートリッジ収納装置と、テープを巻回したテープロールをカートリッジ筐体に収納し、前記カートリッジ筐体に、前記カートリッジホルダへの装着時に前記カートリッジホルダの底面からの距離を一定とするための一定距離部を設けたテープカートリッジとを有するカートリッジ収納システムであって、前記テープカートリッジ収納装置は、前記カートリッジホルダに前記テープカートリッジを係止するためのカートリッジ係止部材と、前記開閉蓋の開閉動作に連動して、前記カートリッジ係止部材の動作状態を切り替える切替手段とを有し、前記開閉蓋が開き状態となったら前記切替手段が前記カートリッジ係止部材を非係止状態に切り替え、前記カートリッジホルダに前記テープカートリッジが装着された際に、前記一定距離部に設けた進入孔を介し前記カートリッジ係止部材を前記カートリッジ筐体内に進入させ、その後前記開閉蓋が閉じ状態となったら前記切替手段が前記カートリッジ係止部材を前記カートリッジ筐体内で係止状態に切り替え、前記カートリッジホルダに装着された前記テープカートリッジを離脱不能に係止することを特徴とする。
本願第10発明のカートリッジ収納システムにおいては、テープカートリッジのカートリッジ筐体に進入孔を設けえるとともに、テープカートリッジ収納装置にはカートリッジホルダにテープカートリッジを係止可能なカートリッジ係止部材を設けている。また、カートリッジホルダを開閉する開閉蓋とカートリッジ係止部材の切り替え動作とが連携している。
すなわち、テープカートリッジをテープカートリッジ収納装置のカートリッジホルダに装着する際は、装置筐体に設けた開閉蓋を開き状態とすると、切替手段によってカートリッジ係止部材が非係止状態に切り替えられる。この状態でカートリッジホルダにテープカートリッジを装着すると、進入孔を介して上記非係止状態のカートリッジ係止部材がカートリッジ筐体内に進入する。
ここで、テープカートリッジのカートリッジ筐体には、一定距離部が備えられている。この一定距離部は、カートリッジホルダへの装着時に、カートリッジホルダの底面からの距離が常にある一定の所定値になるように構成されている。したがって、このような一定距離部を備えたテープカートリッジは、どのような種類のものであっても(カートリッジ自体の厚さ方向寸法が大小異なっても)、カートリッジホルダへの装着時に、位置決め支持部材に接触して支持されることで、当該一定距離部からカートリッジホルダ底面までの距離が、常に上記所定値となる。本願第10発明においては、上記の性質を利用し、テープカートリッジのカートリッジ筐体のうち上記一定距離部に進入孔を設けている。これにより、どのような種類のテープカートリッジであっても、カートリッジホルダに装着したときにカートリッジホルダ底面から進入孔までの距離が一定となることから、カートリッジ係止部材がカートリッジホルダ側から進入孔へのアクセス距離が常に一定となり、カートリッジ内への進入を容易かつ円滑に行うことができる。
カートリッジ係止部材がカートリッジ筐体内に進入した後、開閉蓋を閉じ状態とすると、切替手段によって上記進入状態のカートリッジ係止部材が係止状態に切り替えられ、テープカートリッジはカートリッジホルダに対し位置決めされつつ堅固に取り付けられる。これにより、テープカートリッジとカートリッジホルダとの間にもともと設定してある隙間の影響や、テープカートリッジの外形寸法のばらつきの影響があったとしても、テープカートリッジのがたつきの発生を確実に防止することができる。
この後、テープカートリッジをカートリッジホルダから取り外す際には、装置筐体に設けた開閉蓋を開き状態とすればよい。これにより、切替手段によってカートリッジ係止部材が非係止状態に再び切り替えられるので、カートリッジ係止部材を進入孔からカートリッジ筐体外へと退出させつつ、カートリッジホルダからテープカートリッジを離脱させることができる。
本発明によれば、カートリッジホルダへの装着時におけるテープカートリッジのがたつきの発生を確実に防止することができる。
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施形態のテープカートリッジ収納装置を構成するラベル作成装置の全体概略構成を示す。図1において、ラベル作成装置1は、装置本体2と、この装置本体2の外郭を構成する筐体200(装置筐体)とを有している。
装置本体2の筐体200は、キーボード3と、ラベル作成装置1の電源のオン・オフを行う電源スイッチ3dと、各種表示を行う表示部5と、ACアダプター電源の出力プラグを接続するためのDCジャック6と、カッタ駆動ボタン7と、開閉可能(又は着脱可能としてもよい)に設けられた開閉蓋8とを有している。
キーボード3は、操作者が各種入力操作を行うためのものであり、決定キー3a、カーソル移動キー3b、及び文字や記号や数字等の入力を行う文字キー3c等を有している。
カッタ駆動ボタン7は、筐体200内の所定の位置に配設されたカッタ31(後述の図3参照)を操作者の手動操作で駆動するためのものである。このカッタ駆動ボタン7が押されることで、テープ排出口(図示せず)より図中矢印Hで示す方向に排出された印字済みラベルテープ23を所望の長さに切断し、印字ラベルL(後述の図5参照)を生成可能である。
なお、後述するように、カッタ31により印字済みラベルテープ23を切断するためには、必ずしもカッタ駆動ボタン7を操作する必要はなく、例えば印字済みラベルテープ23が所定量搬送されたら、自動的に印字済みラベルテープ23を切断させるように設定することもできる。
図2に、ラベル作成装置1の開閉蓋8を開けた状態を示す。図2において、ラベル作成装置1の筐体200内部には、カートリッジホルダ9と、サーマル印刷機構4とが設けられている。
サーマル印刷機構4は、印字ヘッド19(印字手段)と、テープ送りローラ駆動軸26(搬送手段)と、リボン巻取りローラ駆動軸25とを備えている。
印字ヘッド19は、多数の発熱素子を備えたいわゆるサーマルヘッドである。
リボン巻取りローラ駆動軸25及びテープ送りローラ駆動軸26は、インクリボン13(後述の図3参照)及び上記印字済みラベルテープ23の搬送駆動力をそれぞれ与える。すなわち、カートリッジ10外に設けたテープ送りモータ118(後述の図4参照)の駆動力が、図示しないギヤ機構を介し伝達されることで、上記テープ送りローラ駆動軸26及びリボン巻取りローラ駆動軸25は、互いに連動して回転駆動される。
カートリッジホルダ9は、装置本体2に着脱可能に装着されるカートリッジ10(被印字テープカートリッジ)を収納し装着することができる。また、このカートリッジホルダ9には、カートリッジ10を収納した際に開口部27に位置するように放熱を兼ねたサブフレーム28とが設けられている。開閉蓋8を図2に示すように開き状態にするとカートリッジホルダ9は装置外部に露出され、開閉蓋8を図1に示すように閉じ状態にするとカートリッジホルダ9は開閉蓋8に覆われる。
なお、カートリッジホルダ9に設けられた支持部9a,9b、ロック爪61、ラック62、歯車63、シャフト64等と、カートリッジ10のカートリッジ筐体10A、被支持部10b,10c、凹部10p、進入孔10q等については、後述する。
なお、図2において、カートリッジ10と、ラベル作成装置1とが、本実施形態におけるカートリッジ収納システムCSを構成している。
図3に、カートリッジ10を装着した状態のカートリッジホルダ9の周辺部分を、カートリッジ10とともに示す。
図3において、カートリッジホルダ9にはローラホルダ22が設けられている。ローラホルダ22は、支持軸29により回動可能に枢支され、図示しない切換機構により印字位置(図3に示す位置)とリリース位置に切換可能となっている。このローラホルダ22には、プラテンローラ20及び圧着ローラ21が回転可能に配設されており、ローラホルダ22が上記印字位置に切り換えられたときに、それらプラテンローラ20及び圧着ローラ21が上記印字ヘッド19及びテープ送りローラ18に対し圧着されるようになっている。
カートリッジ10は、外郭となるカートリッジ筐体10Aを備えており、筐体200内の凹所である上記カートリッジホルダ9に着脱可能に収納される。カートリッジ筐体10A内には、基材テープ16が巻回された基材テープロール(テープロール)17と、上記基材テープ16とほぼ同じ幅である透明な被印字テープ11(カバーフィルム)が巻回された被印字テープロール(テープロール)12と、印字用のインクリボン13(熱転写リボン。但し被印字テープが感熱テープの場合は不要)を繰り出すリボン供給側ロール14と、印字後のインクリボン13を巻取るリボン巻取りローラ15と、テープ送りローラ18(押圧ローラ)とが設けられている。
基材テープロール17は、リール部材17aの周りに、上記基材テープ16を巻回している。上記基材テープ16は、複数層(この例では4層)の積層構造を備えている(図3中部分拡大図参照)。すなわち、ロール内側に巻かれる側(図3中右側)よりその反対側(図3中左側)へ向かって、適宜の粘着剤からなり上記被印字テープ11を貼り合わせるための粘着剤層16ha、例えばPET(ポリエチレンテレフタラート)等からなるテープ基材層16hb、適宜の粘着剤からなる粘着剤層16hc、剥離紙16hdの順序で積層され構成されている。
被印字テープロール12は、リール部材12aの周りに、上記被印字テープ11を巻回している。インクリボン13は、リボン巻取りローラ15の駆動力によってリボン供給側ロール14から繰り出される。その後、印字ヘッド19と被印字テープ11との間で上記印字ヘッド19に加熱押圧されてインクを被印字テープ11に転写して所望の印字を行った後、リボン巻取りローラ15に巻き取られる。
テープ送りローラ18は、上記テープ送りローラ駆動軸26が回転駆動されることで、上記基材テープ16と上記被印字テープ11とを押圧し接着させ上記印字済みラベルテープ23としつつ、図3中矢印Hで示す方向(図1も参照)にテープ送りを行う。リボン巻取りローラ15は、上記リボン巻取りローラ駆動軸25が回転駆動されることでインクリボン13の巻取りを行う。
また、サーマル印刷機構4は、カッタ31及びハーフカッタ33を備えている。
カッタ31は、上記印字ヘッド19による印字後の被印字テープ11(張り合わせ後は印字済みラベルテープ23。以下同様)を所望の長さに切断するフルカット(切断。印字済みラベルテープ23の被印字テープ11、粘着剤層16ha、テープ基材層16hb、粘着剤層16hc、及び剥離紙16hdの全ての層を切断する)を行う。
ハーフカッタ33は、印字済みラベルテープ23を厚さ方向に部分的に切断するハーフカット(半切断。この例では、印字済みラベルテープ23のうち上記剥離紙16hdを除く被印字テープ11、粘着剤層16ha、テープ基材層16hb、及び粘着剤層16hcの層を切断する)を行う。ハーフカッタ33は、カッタ31より上記印字済みラベルテープ23の搬送方向下流側(搬送方向上流側でもよい)に位置している。
図4に、本実施形態のラベル作成装置1の制御系を示す。
図4において、ラベル作成装置1の制御基板(図示せず)上には、制御回路46が配置されている。この制御回路46には、各機器を制御するCPU40と、このCPU40にデータバス45を介して接続された入出力インターフェース44と、表示用キャラクタジェネレータROM41と、印刷用キャラクタジェネレータROM42と、ROM43と、RAM50とが設けられている。
ROM43には、表示制御プログラム47と、印字駆動制御プログラム48と、書体を選択するときに使用される書体データ49と、その他ラベル作成装置1の制御上必要な各種のプログラム及びデータとが格納されている。印字駆動制御プログラム48は、後述の印字バッファ53のデータを読み出して印字ヘッド19やテープ送りモータ118を駆動する。
RAM50は、CPU40により演算された各種の演算結果を一時的に記憶する。このRAM50には、上記キーボード3を介し入力された文字列データを格納するテキストメモリ51、各種演算データ等を格納するワークメモリ52や印字バッファ53等が設けられている。
入出力インターフェース44には、上記キーボード3と、上記表示部5と、上記印字ヘッド19を駆動させる印刷駆動回路119と、テープ送りモータ駆動回路117と、ソレノイド駆動回路131,133と、上記カッタ駆動ボタン7とが接続されている。
テープ送りモータ駆動回路117は、例えばパルスモータであるテープ送りモータ118を駆動することにより、上記リボン巻取りローラ駆動軸25及びテープ送りローラ駆動軸26を駆動し、基材テープ16、被印字テープ11、及び印字済みテープ23の搬送を行う。
ソレノイド駆動回路131は、上記カッタ31を駆動して切断動作(フルカット)を行わせるソレノイド132を駆動する。ソレノイド駆動回路133は、上記ハーフカッタ33を駆動して半切断動作(ハーフカット)を行わせるソレノイド134を駆動する。
また、上記印刷駆動回路119、印字ヘッド19、テープ送りモータ駆動回路117、テープ送りモータ118、リボン巻取りローラ駆動軸25、テープ送りローラ駆動軸26、ソレノイド駆動回路131,133、ソレノイド132,134、カッタ31、及びハーフカッタ33等により、印字ラベルLの作成を行う上記サーマル印刷機構4が構成されている。
以上の構成において、カートリッジ10がカートリッジホルダ9に装着されることにより、上記ロールホルダ22が上記リリース位置から上記印字位置に移動する。これにより、被印字テープ11及びインクリボン13が印字ヘッド19とプラテンローラ20との間に狭持されるとともに、基材テープ16及び被印字テープ11がテープ送りローラ18と圧着ローラ21との間に狭持される。
その後、テープ送りモータ118の駆動力によってリボン巻取りローラ15及びテープ送りローラ18が図3中矢印B及び矢印Cで示す方向にそれぞれ同期して回転駆動される。このとき、テープ送りローラ駆動軸26と上記圧着ローラ21及びプラテンローラ20はギヤ機構(図示せず)にて連結されている。テープ送りローラ駆動軸26の駆動に伴いテープ送りローラ18、プラテンローラ20、及び圧着ローラ21が回転し、基材テープロール17から基材テープ16が繰り出され、テープ送りローラ18へ供給される。
一方、被印字テープロール12からは被印字テープ11が繰り出されるとともに、印刷駆動回路119により印字ヘッド19の複数の発熱素子が通電される。このとき、前述のようにして駆動されるインクリボン13が、印字ヘッド19に押圧されることで被印字テープ11の裏面に接触させられる。この結果、被印字テープ11の裏面の所定の印字領域Sに、印字(鏡像印字。以下、単に「印字」という場合は鏡像印字のことを示す)がなされる。このように鏡像印字を行うことで、作成された印字ラベルLを表から(被印字テープ11のうち基材テープ16と接着されない側から)見ると、印字面を被印字テープ11越しに透かして見ることとなるため、鏡像でない通常の印字が操作者に視認されることとなるのでる。
そして、上記基材テープ16と上記印字が終了した被印字テープ11とがテープ送りローラ18及び圧着ローラ21により接着され一体化されて(貼り合わされて)印字済みラベルテープ23として形成され、テープ排出部(図示せず)よりカートリッジ10外へと搬出される。また、被印字テープ11への印字が終了したインクリボン13は、リボン巻取りローラ駆動軸25の駆動によりリボン巻取りローラ15に巻き取られる。
上記のように印字済みラベルテープ23がテープ排出部よりカートリッジ10外へと排出されると、適宜ハーフカッタ33によりハーフカットが行われ、そして、自動的にあるいはカッタ駆動ボタン7が操作されることで、上記カッタ31によってフルカットが行われ、印字ラベルLが生成される。
図5に、上記のような動作によって作成される印字ラベルLの一例を示す。図5に示す例では、印字ラベルLの印字領域Sに、上記印字データに対応する印字R(この例では「ABC」)が印字されている。
以上のような基本構成及び動作のラベル作成装置1において、本実施形態の最大の特徴は、カートリッジ10をカートリッジホルダ9に装着する際、より適切かつ確実に装着できるようにするために、カートリッジホルダ9側にロック爪61を設け、カートリッジ筐体10A内に進入させて係止することにある。以下、その詳細を説明する。
前述の図2及び図3において、カートリッジ筐体10Aは、その面方向4隅側のうち少なくとも2つ(この例では3つ)に、被支持部10a,10b,10c(位置決め基準部)を備えている。また、カートリッジホルダ9のうち、カートリッジ10の装着時において上記被支持部10a,10b,10cにそれぞれ対応する隅部には、支持部(位置決め支持部材)9a,9b,9cが設けられている。カートリッジ10のカートリッジホルダ9への装着は、被支持部10a,10b,10cを支持部9a,9b,9cにそれぞれ接触させ支持させるようにして行う。
このとき、上記被支持部10a,10b,10cのそれぞれは互いに厚さ方向寸法が同一に構成されている。そして各被支持部10a,10b,10cは、カートリッジホルダ9への装着状態におけるそれぞれの下面(カートリッジホルダ底面側の面)位置どうし、及び、下面と反対側に位置するそれぞれの上面位置が、互いに同一平面上となるように構成されている。
カートリッジ筐体10Aのカートリッジホルダ9の底面と対向する側のうち、面方向中央側には、凹部10pが形成され、その凹部10pの中央部分に進入孔10qが設けられている。凹部10pの凹み方向の底面は、前述の各被支持部10a,10b,10cの下面(カートリッジホルダ底面側の面)と同一平面上になるように構成されている。この結果、カートリジ10のカートリッジホルダ9への装着状態において、上記凹部10pと、各被支持部10a,10b,10cとは、カートリッジホルダ9の底面からの距離が一定(予め定めた距離)となる。すなわち、これら凹部10p及び被支持部10a,10b,10cが、各請求項記載の一定距離部を構成している。
一方、図2において、カートリッジホルダ9には、前述したようにロック爪61(カートリッジ係止部材)が設けられている。このロック爪61は、カートリッジ10のカートリッジホルダ9への装着時、進入孔10qを介してカートリッジ筐体10A内に進入する。
進入孔10qは、このロック爪61の形状に合わせて、このロック爪61のカートリッジホルダ9内の配置に対応する位置に形成されている。この例では、ラベル作成装置1に正対して横長のカートリッジ10を横長のカートリッジホルダ9に装着する前提の下、カートリッジ10の進入孔10qは上記装着状態で見て縦方向に形成されている(図2参照)。ロック爪61が上記進入孔10qの形状に合致した方向(上記縦方向に対応)に向いている場合がカートリッジ10をカートリッジ9に装着可能な状態(後述の非係止状態)である。
ロック爪61は、前述のシャフト64、歯車63、及びラック62を介し、開閉蓋8の開閉動作に連動して軸まわりに回転し、動作状態が切り替えられる。以下、この開閉蓋8の開閉に連携したロック爪の切り替え動作を、図6(a)及び図6(b)を用いて説明する。
図6(a)及び図6(b)は、図2に示した構造のうち、ロック爪61の切り替え動作に係わる部材のみ抽出して示した要部抽出斜視図である。図6(a)は後述の非係止状態を表し、図6(b)は後述の係止状態を表している。
図6(a)及び図6(b)に示すように、ロック爪61は、上部から見て、2つの突出部61a,61aを備えている。一方、開閉蓋8は2つのアーム8aがシャフト64(開閉蓋の回転軸)に取り付けられることにより、回転可能に軸支されている。シャフト64には、歯車63が取り付けられている。その歯車63は、ラック62の上面に設けられた溝と噛合している。ラック62の側面にも溝が形成され、その溝は歯車65と噛合している。ロック爪61は、歯車65を軸支するシャフト66(係止部材の回転軸)の先端に取り付けられている。
そして、ロック爪61は、開閉蓋8が開き状態では、図6(a)及び図2に示したような、ラベル作成装置1の正対状態において2つの突出部61a,61aが縦方向に一直線となるように作動連結されている。この状態では、前述したように、カートリッジホルダ9に装着されるカートリッジ10のカートリッジ筐体10Aの進入孔の向きと一致する(非係止状態)。したがって、カートリッジホルダ9の底面から突出したロック爪61の突出部61a,61aを進入孔10qからカートリッジ筐体10A内に進入させることで、カートリッジ10をカートリッジホルダ9へ装着することができる。
この状態から、図6(b)に示すように、開閉蓋8を閉じ状態とすると、図中白矢印で示すように、シャフト64、歯車63、及びラック62が連動して動作してシャフト66を回転駆動し、(上記カートリッジ筐体10A内に進入した状態で)ロック爪61が軸まわりに回転する。この回転により、ラベル作成装置1の正対状態においてロック爪61は、2つの突出部61a,61aが図示のように横方向に一直線となる。この状態では、前述したように、カートリッジ筐体10Aの進入孔10qの向きと90°交差する状態となる(係止状態)。この結果、上記進入状態のロック爪61が凹部10pのうちの進入孔10qの裏面部近傍(各請求項記載の被係止部を構成する。図7も参照)に裏側から接触して係止する。これにより、カートリッジ10はカートリッジホルダ9に対し位置決めされつつ堅固に取り付けられる。
この後、カートリッジ10をカートリッジホルダ9から取り外す際には、開閉蓋8を再び開き状態とすればよい。これにより、図6(a)中の白矢印に示すようにシャフト64、歯車63、及びラック62が連動して動作してシャフト66を回転駆動し、ロック爪61が軸まわりに回転し、図6(a)に示す突出部61a,61aが縦方向となる上記非係止状態へと再び切り替わる。したがって、この状態でロック爪61を進入孔10qからカートリッジ筐体10A外へと退出させつつ、カートリッジホルダ9からカートリッジ10を離脱させることができる。
なお、この例では、図6(a)及び図6(b)に示すように、突出部61aは、横断面形状をくさび形としている。これにより、図6(a)に示す非係止状態から図6(b)に示す係止状態に切り替わる際、図6(b)中白矢印のように左回転する際、くさび部分の厚さ寸法の増大によって、回転するにしたがってカートリッジ筐体10Aを付勢し係止する力が順次増大するように構成している。なお、このような係止力の順次増大が特に不要である場合には、くさび形にせず、横断面形状を通常の矩形としてもよい。また、形状は矩形のままで、ロック爪61の全部又は一部(少なくとも突出部61a)を、弾性変形可能な弾性部材により構成してもよい。この場合、係止状態において弾性材料の弾性力によってロック爪61からカートリッジ筐体10Aを押圧付勢し、安定的に位置決めを行うことができる。
あるいは、カートリッジ筐体10A内側の進入孔10q近傍の上記被係止部を、平坦とせず、図7に示すように、傾斜部10eとして設けてもよい。図7に示す例では、ロック爪61の突出部61aが係止状態へと回転するほど順次、突出部61aと傾斜部10eとの間に強い係止力が働く。この係止力によって、ロック爪61からカートリッジ筐体10Aを押圧付勢し、安定的に位置決めを行うことができる。また当該押圧付勢力を、ロック爪61の回転量の大小によって調整することも可能となり、さらに確実に高精度な位置決めを行うことができる。また、この傾斜部10eを弾性材料により構成してもよい。
上記において、シャフト64、歯車63、ラック62、及びシャフト66からなる、シャフト64の回転運動をシャフト66の回転運動へと伝達する機構(回転伝達機構)が、各請求項記載の切替手段を構成する。
以上説明したように、本実施形態によれば、カートリッジ10を、ロック爪61によってカートリッジホルダ9に対し位置決めされつつ堅固に取り付けることができる。これにより、カートリッジ10とカートリッジホルダ9との間にもともと設定してある隙間の影響や、カートリッジ10の外形寸法のばらつきの影響があったとしても、カートリッジ10のがたつきの発生を確実に防止することができる。
このとき特に、本実施形態においては、開閉蓋8が開閉動作するときのシャフト64の回転を、歯車63、ラック62、歯車65を介して伝達してロック爪61の回転軸66を回転させる。このような機械的な回転伝達で係止部材を切り替えることにより、信頼性の高い確実なロック爪61の係止状態・非係止状態の切り替えを実現することができる。また、このような機械的な伝達でなく電子制御で切り替えを実行する場合のような、開閉検出のためのセンサや、切替用のアクチュエータ等を別途設ける必要がないので、コスト低減を図れる効果もある。
また、本実施形態では特に、カートリッジ筐体10Aに凹部10pを設けている。この凹部10pでは、(被支持部10a.10b,10cと同様に)カートリッジホルダ9への装着時に、カートリッジホルダ9の底面からの距離が常にある一定の所定値となる。したがって、このような構造のカートリッジ10であれば、どのような種類のものであっても(カートリッジ10自体の厚さ方向寸法が大小異なっても)、カートリッジホルダ9への装着時に、支持部9a,9b,9cに接触して支持されることで、カートリッジホルダ9の底面までの距離が、常に上記所定値となる。本実施形態では、上記の性質を利用し、上記凹部10pに進入孔10qを設けている。これにより、どのような種類のカートリッジ10であっても、カートリッジホルダ9に装着したときにカートリッジホルダ9の底面から進入孔10qまでの距離が一定となることから、ロック爪61によるカートリッジホルダ9側から進入孔10qへのアクセス距離が常に一定となり、カートリッジ10内への進入を容易かつ円滑に行うことができる。
また、本実施形態のような、テープ搬送とともに印字を行う構成(印字装置)では、カートリッジ10のがたつきが生じると、カートリッジ10がカートリッジホルダ9に対して傾斜した状態で装着され、印字ヘッド19に対して斜めに被印字テープ11が搬送される(いわゆる斜行)こととなるため、印字ずれが発生するおそれがある。本実施形態では、前述のようにロック爪61によりカートリッジ10をカートリッジホルダ9に対し高精度に位置決めしつつ安定的に取り付けることができるので、上記印字ずれの発生を確実に防止することができる。この結果、印字後に生成される印字済みラベルテープ23やこれを用いて作成される印字ラベルLの品質を向上することができる。
また、本実施形態のラベル作成装置1では、被印字テープ11への印字後に基材テープ16を貼り合わせる構造(いわゆるラミネート構造)としている。これにより、貼り付け後に被印字テープ11の印字面を貼り合わせ側として表面側に露出しないため、汚れたりかすれたりすることのない、美観や耐久性に優れた印字を実現することができる。ここで、このような貼り合わせ構造において、カートリッジ10のがたつきが生じると、カートリッジ10がカートリッジホルダ9に対して傾斜した状態で装着されることで、前述した斜行が被印字テープ11と基材テープ16とのそれぞれにおいて発生するおそれがある。この場合、本来は互いに幅方向の中心が一致した状態(幅方向両端部がほぼ一致した状態)で貼り合わされるはずの被印字テープ11及び基材テープ16が、幅方向の中心が微少なずれをもった状態で貼り合わされる(=貼り合わせ不良)。このため、著しい場合には貼り合わせ後の印字済みラベルテープ23のテープ幅が拡大してしまう結果、搬送経路(特にカートリッジ10の上記テープ排出部)でのテープ詰まり(いわゆるテープジャム)が発生するおそれがある。
本実施形態においては、前述のようにロック爪61によりカートリッジ10をカートリッジホルダ9に対し高精度に位置決めしつつ安定的に取り付けることができるので、上記貼り合わせ不良の発生を確実に防止することができる。この結果、上記ラミネート構造を用いて生成される印字済みラベルテープ23やこれを用いて作成される印字ラベルLの品質を確実に向上することができる。
なお、上記実施形態では、開閉蓋8の開閉に伴うシャフト64の回転を、歯車63、ラック62、歯車65及びシャフト66によってロック爪61に伝達したが、これに限定されるものではない。例えば開閉蓋8の開閉状態を検出し、その検出結果に応じてモータ等の動力源を駆動させる電子制御により、ロック爪61の係止状態と非係止状態の切り替えを行うようにしてもよい。この場合、上記検出手段と上記モータとが、各請求項記載の切替手段を構成する。
また、以上においては、印字済みラベルテープ23をカッタ31で切断して印字ラベルLを作成した場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、ラベルに対応した所定の大きさに予め分離されたラベル台紙(いわゆるダイカットラベル)がロールから繰り出されるテープ上に連続配置されているカートリッジを装着するような場合には、カッタ31で切断しなくても、テープがカートリッジから排出されてきた後にラベル台紙(既に印字がなされたもの)のみをテープから剥がして印字ラベルLを作成しても良く、本発明はこのようなものに対しても適用できる。
また、以上においては、基材テープ16とは別の被印字テープ11に印字を行ってこれらを貼り合わせる方式であったが、これに限られず、基材テープに備えられた被印字テープ層(被転写層、受像層、感熱層等)に印字を行う方式(貼りあわせを行わないタイプ)に本発明を適用してもよい。さらに、カートリッジ内のロールからテープを繰り出すとともに印字ヘッド19によって印刷を行うものにも限られない。この印刷は必ずしも行われなくともよく、カートリッジ内からのテープの繰り出しのみを行うものに対し本発明を適用することもできる。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。