JP2010226087A - 有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法 - Google Patents

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俊郎 土肥
Shuhei Kurokawa
周平 黒河
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行一 六原
Yoshihiko Tsuchida
良彦 土田
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Abstract

【課題】発光時の輝度ムラが抑制された有機EL素子を提供する。
【解決手段】一対の電極と、該一対の電極間に設けられ、有機発光層を含む1層以上の有機層と、を備える有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記有機層は、当該有機層がその表面に形成される層に向けて、有機層を構成する有機材料を含む塗布液が噴霧され、さらに固化されることにより形成され、かつ当該有機層の膜厚に対する表面粗さの割合が5%以下である、有機エレクトロルミネッセンス素子。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法、並びに有機エレクトロルミネッセンス素子の製造に用いられるスプレーコート用塗布液に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子という場合がある)は、電圧を印加することにより発光する発光素子の1つであり、有機物を含む有機発光層と、該有機発光層を介在させて配置される一対の電極とを含んで構成される。電極間に電圧を印加すると、一方の電極から正孔が注入されるとともに、他方の電極から電子が注入され、これら正孔と電子とが有機発光層において結合することによって発光する。
有機EL素子は、一対の電極および有機発光層をそれぞれ所定の順序で積層することによって作製される。有機EL素子を構成する有機発光層の形成方法の1つとして、その工程の簡易さから、スプレーコート法が検討されている。この方法では、まず有機発光材料を含む塗布液を所定の層上に噴霧し、さらにこれを乾燥することにより発光層を形成している(例えば特許文献1参照)。
特開2001−232251号公報
しかしながらスプレーコート法を用いて発光層を形成した有機EL素子では、発光時に輝度ムラが生じるという問題がある。
従って本発明の目的は、発光時の輝度ムラが抑制された有機EL素子を提供することである。
すなわち本発明によれば、下記のものが提供される。
[1]一対の電極と、該一対の電極間に設けられ、有機発光層を含む1層以上の有機層と、を備える有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記有機層は、当該有機層がその表面に形成される層に向けて、有機層を構成する有機材料を含む塗布液が噴霧され、さらに固化されることにより形成され、かつ当該有機層の膜厚に対する表面粗さの割合が5%以下である、有機エレクトロルミネッセンス素子。
[2]一対の電極と、該一対の電極間に設けられ、有機発光層を含む1層以上の有機層と、を備える有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、一対の電極のうちの一方の電極が設けられた基板を用意する工程と、前記一方の電極上に前記1層以上の有機層を形成する工程と、一対の電極のうちの他方の電極を形成する工程とを含み、前記1層以上の有機層を形成する工程では、沸点が200℃以上の溶媒を含む良溶媒と、有機層を構成する材料とのみからなる塗布液を、有機層がその表面に形成される層に向けて噴霧し、さらに固化することにより、前記1層以上の有機層のうちの少なくとも1層を形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
[3]前記1層以上の有機層を形成する工程では、前記塗布液は、前記有機層を構成する材料の濃度が0.7重量%〜1.3重量%とされる前記[2]記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
[4]前記1層以上の有機層を形成する工程において固化された薄膜を、さらに平坦化することを特徴とする前記[2]または[3]記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
[5]前記平坦化する方法が、化学機械研磨法、機械研磨法、または化学研磨法であることを特徴とする前記[4]記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
[6]有機発光層を含む1層以上の有機層を備える有機エレクトロルミネッセンス素子の前記有機層をスプレーコート法により形成する際に用いるスプレーコート用塗布液であって、沸点が200℃以上の溶媒を含む良溶媒と、有機層を構成する材料とのみからなるスプレーコート用塗布液。
[7]前記[2]〜[5]のいずれか1つに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法によって製造された有機エレクトロルミネッセンス素子。
[8]前記[1]または[7]記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える面状光源。
[9]前記[1]または[7]記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える表示装置。
[10]前記[1]または[7]記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える照明装置。
本発明によれば、平坦な有機層を備える有機EL素子を得ることができる。これにより発光時の輝度ムラを抑制することができる。
研磨工程を模式的に示す図である。 研磨工程を模式的に示す図である。 研磨工程を模式的に示す図である。 研磨工程を模式的に示す図である。 CMPシステムの模式的な平面図である。 CMPシステムの模式的な側面図である。 研磨工程を模式的に示す図である。 加工(研磨)圧力と加工(研磨)速度との関係を示すグラフである。 研磨パッドおよび研磨液の組合わせと、研磨後の有機層の表面粗さとの関係を示すグラフである。 塗布回数と発光層の膜厚との関係を示すグラフである。 単位時間当たりの噴霧量と発光層の膜厚との関係を示すグラフである。 塗布液を噴霧するノズルの移動速度と発光層の膜厚との関係を示すグラフである。
本実施形態の有機EL素子は、一対の電極と、該一対の電極間に設けられ、有機発光層を含む1層以上の有機層とを備える。また前記有機層は、当該有機層がその表面に形成される層に向けて、有機層を構成する有機材料を含む塗布液が噴霧され、さらに固化されることにより形成され、かつ当該有機層の膜厚に対する表面粗さの割合が5%以下である。
なお一対の電極間に複数の有機層が設けられる場合には、全ての有機層が、当該有機層がその表面に形成される層に向けて、有機層を構成する有機材料を含む塗布液が噴霧され、さらに固化されることにより形成され、かつ当該有機層の膜厚に対する表面粗さの割合が5%以下の有機層であることが好ましいが、複数の有機層のうちの1層以上が、当該有機層がその表面に形成される層に向けて、有機層を構成する有機材料を含む塗布液が噴霧され、さらに固化されることにより形成され、かつ当該有機層の膜厚に対する表面粗さの割合が5%以下の有機層であればよい。
なお当該有機層の膜厚に対する表面粗さの割合が5%以下とは、(当該有機層の表面粗さ)/(当該有機層の平均膜厚)×100が5以下であることを意味する。このような有機EL素子は、一対の電極のうちの一方の電極が設けられた基板を用意する工程と、前記一方の電極上に前記1層以上の有機層を形成する工程と、一対の電極のうちの他方の電極を形成する工程とを含み、前記1層以上の有機層を形成する工程では、沸点が200℃以上の溶媒を含む良溶媒と、有機層を構成する材料とのみからなる塗布液を、有機層がその表面に形成される層に向けて噴霧し、さらに固化することにより、前記1層以上の有機層のうちの1層以上を形成することにより製造することができる。
有機EL素子は、一対の電極の一方の電極が陽極として機能し、他方の電極が陰極として機能する。陽極と陰極との間には、1層以上の有機層が設けられ、有機層として1層以上の有機発光層(以下、単に発光層という場合がある)が設けられる。電極間には、発光層だけでなく、発光層とは異なる機能を発揮する有機層が設けられてもよく、また無機層が設けられていてもよい。なお本明細書において有機層は有機物を含む層を意味し、有機発光層は有機物を含むので有機層に相当する。
以下では、陽極、正孔注入層、発光層、陰極がこの順で基板上に積層された構成の有機EL素子について説明する。
(一対の電極のうちの一方の電極が設けられた基板を用意する工程)
本工程では基板上に陽極(一対の電極のうちの一方の電極)を形成することによって陽極が設けられた基板を用意する。なお本工程では陽極が予め形成された基板を市場から入手することによって、陽極が形成された基板を用意してもよい。
(一方の電極上に1層以上の有機層を形成する工程)
次に前記一方の電極上に1層以上の有機層を形成する。本実施形態ではまず正孔注入層を陽極上に形成する。この正孔注入層は、無機層であっても、有機層であってもよく、有機物を含む有機層の場合には後述する発光層を形成する方法と同様の方法により形成することが好ましい。
次に発光層を正孔注入層上に形成する。発光層は、有機層(本実施形態では発光層)がその表面に形成される層(本実施形態では正孔注入層)に向けて、有機層(本実施形態では発光層)を構成する有機材料を含む塗布液が噴霧され、さらに固化されることにより形成される。また発光層は、当該有機層(本実施形態では発光層)の膜厚に対する表面粗さの割合が5%以下である。
本明細書では、有機層の膜厚は平均膜厚を意味し、その表面粗さは算術平均粗さRaを意味する。有機層の膜厚およびその表面粗さは、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope;略称AFM)、光干渉式測定器、および触針式測定器などにより測定することができる。
発光層を形成する工程では、まず発光層を構成する有機材料(以下、発光材料という場合がある)を含む塗布液を用意する。発光材料を含む塗布液としては、発光材料が溶解した液体、または発光材料が均一に分散した液体であることが好ましい。
発光材料を含む塗布液における溶媒または分散媒としては、発光材料を溶解する液体、または発光材料を均一に分散させる液体であればよく、発光材料の種類に応じて適宜最適な溶媒または分散媒が選択される。このような溶媒または分散媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、アニソールなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテートなどのエステル系溶媒、および水などをその一例として挙げることができる。
発光材料を含む塗布液としては、当該有機層(本実施形態では発光層)を構成する有機材料と、沸点が200℃以上の溶媒を含む良溶媒とのみからなることが好ましい。塗布液を構成する良溶媒は、1種類の溶媒のみからなってもよく、また複数種の溶媒を含んでいてもよい。
本明細書において良溶媒とは、有機層を構成する有機材料を溶質としたときに、この溶質の溶解度が高い溶媒をいい、100重量部の溶媒に有機材料が1重量部以上溶解する溶媒を意味する。また塗布液を構成する良溶媒は、沸点が230℃以上の溶媒のみからなることが好ましい。このような良溶媒としては、多数ある溶媒のなかから、溶質(本実施形態では発光材料)に基づいて適宜最適なものが選択され、例えばトルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、アニソールなどを挙げることができ、これらの中でもシクロヘキシルベンゼンが好ましい。
上述の塗布液を用意して、発光層がその表面に形成される層(本実施形態では正孔注入層)に向けて塗布液を噴霧し、発光材料を含む薄膜を正孔注入層上に形成する。すなわち発光材料を含む塗布液をスプレーコート法により正孔注入層上に塗布し、発光材料を含む薄膜を形成する。例えば発光材料を含む塗布液をノズルから噴霧し、発光材料を含む塗布液を正孔注入層上に均一に塗布する。
ノズルから噴霧された塗布液は、正孔注入層上に付着するまでに溶媒が順次気化するために、その発光材料の濃度(以下、固形分濃度という場合がある)が次第に高くなり、結果として粘度が高くなる。正孔注入層に付着する際の溶液の固形分濃度が高くなりすぎると、正孔注入層上で塗布液が濡れ拡がり難くなり、正孔注入層に付着した発光材料が層上で均一化され難くなるので、均一で平坦な塗布膜を形成するためには、正孔注入層上に付着する際の溶液の固形分濃度が所定の値未満であることが好ましい。逆に、固形分濃度が低すぎると、膜厚にムラが生じるおそれもある。塗布液は、固形分濃度が低いほど正孔注入層に付着したときの粘度が低くなるため、正孔注入層上での移動が容易になる(正孔注入層上で濡れ拡がり易くなる)。正孔注入層に付着した塗布液は一般的に周縁部から溶媒の乾燥が進行するが、その際に生じる濃度勾配に起因して塗布液に流れが生じるため、固形分濃度が低く、塗布液が容易に移動する場合には膜厚にムラが生じることがある。さらに塗布液が容易に移動する場合、順次付着する塗布液によって、先に正孔注入層に付着した塗布液が移動したり、塗布液を噴霧する際に生じる空気の流れによって、先に正孔注入層に付着した塗布液が移動したりするおそれがある。そこで膜厚が均一で平坦な塗布膜を形成するためには、固形分濃度は所定の値以上であることが好ましい。
そのためノズルと正孔注入層との間隔は、噴霧する溶液の固形分濃度を勘案して、所定の間隔以下に設定される。また上記のような観点から、塗布液を噴霧する際の塗布液に対する有機層を構成する材料(本実施形態では発光材料)の濃度は、通常0.01重量%から4重量%程度であり、0.7重量%から1.3重量%が好ましい。
また正孔注入層の表面の性状によっては、噴霧された塗布液が表面上において濡れ広がり難いことがあり、正孔注入層上に付着する際の固形分濃度が高い状態では、特にその傾向が顕著になる。そこで塗布液が表面に付着した後に、表面上において塗布液が濡れ広がり易くするためにも、塗布液を噴霧する前に、塗布液が塗布される面を予め親液化しておくことが好ましい。例えばUV表面処理により塗布液が塗布される面を親液化することができる。
前述したように有機層(本実施形態では発光層)を構成する材料と、沸点が200℃以上の溶媒を含む良溶媒とのみからなる塗布液を用いると、塗布液が気化し難いために、固形分濃度が低い状態で、塗布液を正孔注入層上に付着させることができる。そのため噴霧された塗布液が正孔注入層上で濡れ広がり易く、正孔注入層上に均一で平坦な膜厚の塗布膜を形成することができる。
スプレーコート法により均一で平坦な薄膜を形成するためには、ノズルから噴霧される液滴の単位体積当りの数、および液滴の大きさのばらつきが少ない方が好ましい。またスプレーコート法により均一で平坦な薄膜を形成するためには、噴霧した液滴の平均径が、1μm〜500μmであることが好ましく、10μm〜100μmであることがより好ましい。
なお塗布液の噴霧は、基板とノズルとの相対位置を一定に保った状態で行ってもよく、また基板およびノズルのうちの少なくともいずれか一方を移動させることにより基板とノズルとの相対位置を変動させながら行ってもよい。
基板またはノズルの移動速度、溶液の噴霧回数、および噴霧量などは、形成する発光層の膜厚に応じて適宜設定される。
スプレーコート法により薄膜を形成した後には、薄膜を均一化するために所定の時間静置することが好ましい。なお薄膜をより均一化するために、超音波振動を基板に与えつつ塗布液を噴霧してもよく、スプレーコート法により薄膜を形成した後に、超音波振動を基板に与えてもよい。
次にスプレーコート法により形成した薄膜を固化する。この固化は、大気中、真空中、不活性ガス雰囲気中などに薄膜を所定の時間保持し、溶媒を除去することにより行うことができる。また所定の温度で加熱することにより溶媒を除去してもよい。なお光重合または熱重合する重合材料が塗布液に含まれる場合には、重合材料を重合させることによって薄膜を固化してもよい。
固化した薄膜をそのまま発光層として用いてもよいが、固化された薄膜をさらに平坦化する処理を施すことが好ましい。
薄膜を平坦化する方法としては、化学機械研磨法(CMP)、機械研磨法、化学研磨法、あるいは物理的ドライ加工法(プラズマを利用した大気中で行う加工法;PCVM−Plasma Chemical Vaporization Machining)が好ましい。スプレーコート法により形成された薄膜は脆いために、微小な凹凸、突起、ピンホールなどの除去、および膜厚制御の容易さなどの観点からは、特に化学機械研磨法が好ましい。
化学機械研磨法に用いる研磨液または研磨用のスラリーとしては、スプレーコート法に用いた溶媒または塗布液を用いることができる。スプレーコート法に用いた溶媒は、そもそも薄膜を形成する際に用いられた溶液なので、研磨時に薄膜の特性に与える影響が少なく、また薄膜を表面から徐々に溶解する。従って研磨液としてスプレーコート法に用いた溶媒を用いるか、または研磨用のスラリーとして塗布液を用いることにより、薄膜の特性に与える影響を抑制しつつ、薄膜の表面を徐々に溶解しながら薄膜を研磨することができる。化学機械研磨法に用いる研磨液または研磨用のスラリーとしては、スプレーコート法に用いた溶媒または塗布液に限らず、アニソール、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、エタノール、アセトン、アセトニトリル、シクロヘキサンおよびオクタンなども用いることができ、また表面処理剤なども用いることができる。
なお研磨剤と、該研磨剤を分散する分散媒とからなるスラリーを用いる場合、研磨剤としては、シリカ、アルミナ、セリア、およびジルコニアなどの酸化物、並びに樹脂などの微粒子、またはこれらの複合微粒子を挙げることができ、分散媒としてはスプレーコート法に用いた塗布液、若しくはその溶媒などを挙げることができる。水分の含有を避けるためには、例えばメタノール、キシレンおよびエチレングリコールなどの有機溶剤を溶媒に用いたシリカゾルがスラリーとしては好ましい。スラリーに有機溶剤を用いることにより、薄膜への水分の混入または接触を避けることができる。このようなスラリーとしては、例えば日産化学株式会社製シリカゾル(製品名:「IPA−ST」、「XBA−ST」)を挙げることができる。
研磨パッドとしては、発泡性の樹脂を用いた独立発泡体もしくは連続発泡体、無発泡の樹脂を用いたもの、または独立発泡体と連続発泡体とを積層したものなどを挙げることができ、具体的には、発泡ポリウレタン、人工皮革、スエード、不織布、織布、および前述の微粒子を混入した樹脂パッドなどを挙げることができ、例えば3M社製のFixed Abrasive Pad、日本ミクロコーティング社製のラッピングテープを用いることができる。これらの中でも有機層を高度に平滑化および/または平坦化するためには、軟質の発泡ポリウレタンを研磨パッドとして用いることが好ましく、このような研磨パッドを用いて極低加工圧力で有機層を研磨することが好ましい。
次に図1〜図5を参照して研磨工程の一例について説明する。
図1〜5は、研磨工程を模式的に示す図である。図1に示す例では、CMPシステムは、円板状の定盤1と、この定盤1の表面上に設けられる研磨パッド2と、定盤1を軸支するとともに定盤1をその中心軸線(回転軸)周りに回転駆動する定盤駆動機構3とを備える。なお研磨パッド2の表面が水平方向に一致し、定盤1の中心軸線が鉛直方向に一致するように定盤1および研磨パッド2などは配置される。
スプレーコート法により薄膜が形成された基板4は、薄膜が研磨パッド2に接触するように研磨パッド2上に載置される。基板4は、定盤1の中心軸線(回転軸)から離間した位置に配置される。CMPシステムは、基板4を回転可能に保持するとともに、基板4を研磨パッド2に押圧する基板保持ヘッド5と、前述したスラリーSを研磨パッド2上に供給するスラリー供給機構6をさらに備える。基板保持ヘッド5は、基板4を回転させながら、研磨パッド2に所定の圧力で基板4を押圧する。なおスラリーSに代えて前述した研磨液を用いてもよい。
基板4は、固定された位置で回転しながら、定盤駆動機構3により回転される研磨パッド2に押圧され、研磨パッド2上を摺動する。これにより基板4に形成された薄膜は研磨される。
図2に示す例では、CMPシステムは、円板状の定盤1と、この定盤1の表面上に設けられる研磨パッド2と、定盤1を水平方向に超音波振動させる振動機構(不図示)と、スラリーS(不図示)を研磨パッド2上に供給するスラリー供給機構(不図示)とを備える。
なお定盤1および研磨パッド2などは、研磨パッド2の表面が水平方向に一致するように配置される。スプレーコート法により薄膜が形成された基板4は、薄膜が研磨パッド2に接触するように研磨パッド2上に載置される。この基板4上には、研磨パッド2に所定の圧力で基板4を押圧するための基板保持ヘッド5が載置される。
水平方向(矢印V方向)に超音波振動する研磨パッド2上に配置された基板4は研磨パッド2に押圧された状態で水平方向に揺動し、研磨パッド2上を摺動する。これにより基板4は研磨される。
図3−1、図3−2に示す例では、CMPシステムは、円板状の定盤1と、この定盤1の表面上に設けられる研磨パッド2と、円板状の定盤1の中心軸線に直交する交差軸線31周りに定盤1を角変位駆動する定盤駆動機構(不図示)と、スラリーSを研磨パッド2上に供給するスラリー供給機構(不図示)とをさらに備える。またCMPシステムは、定盤1および研磨パッド2の周縁を囲む壁部7をさらに備える。研磨パッド2と壁部7とは容器状に構成されており、定盤1および研磨パッド2の揺動時にスラリーSがCMPシステム外に流出するのを防いでいる。
スプレーコート法により薄膜が形成された基板4は、薄膜が研磨パッド2に接触するように研磨パッド2上に載置される。この基板4上には、研磨パッド2に所定の圧力で基板4を押圧するための基板保持ヘッド5が載置される。
定盤1は、定盤駆動機構により交差軸線31周りに角変位駆動され、研磨パッド2の表面が水平となる位置を中心として、交差軸線31周りに揺動する。基板4は研磨パッド2に押圧された状態で研磨パッド2上を揺動し、研磨パッド2上を摺動する。これにより基板4は研磨される。
図4−1、図4−2に示す例では、CMPシステムは、円板状の定盤1と、この定盤1の表面上に設けられる研磨パッド2とを備える。図4−1はCMPシステムの模式的な平面図であり、図4−2はCMPシステムの模式的な側面図である。
円板状の定盤1には研磨パッド2から突出する円柱状の中心軸33が設けられている。
この中心軸33に平行に設定される回転軸を中心にして中心軸33が円を描くように定盤1を駆動する定盤駆動機構32をCMPシステムはさらに備える。
なお定盤1の中心軸33と回転軸との間隔は、定盤1の半径よりも小さい値に設定される。またCMPシステムは、定盤1および研磨パッド2の周縁を囲む壁部7をさらに備える。研磨パッド2と壁部7とは容器状に構成されており、定盤1の動作時にスラリーSがCMPシステム外に流出するのを防いでいる。
スプレーコート法により薄膜が形成された基板4は、薄膜が研磨パッド2に接触するように研磨パッド2上に載置される。この基板4上には、研磨パッド2に所定の圧力で基板4を押圧するための基板保持ヘッド5が載置される。
回転軸を中心にして中心軸33が回転する定盤1上に設けられた基板4は、研磨パッド2に押圧されるとともに、研磨パッド2上を移動し、研磨パッド2上を摺動する。これにより基板4は研磨される。
図5に示す例では、円板状の定盤1と、この定盤1の表面上に設けられる研磨パッド2と、定盤1をその中心軸線周りに回転駆動する定盤駆動機構3とを備える。なお定盤駆動機構3は、鉛直方向から水平方向に所定の角度(図5では(90−θ)°)だけ定盤1の中心軸線が傾いた状態で、定盤1を回転可能に支持する。なお記号「θ」は、0よりも大きく90未満の実数を表す。またCMPシステムは、定盤1および研磨パッド2の周縁を囲む壁部7を備える。研磨パッド2と壁部7とは容器状に構成されており、定盤1の動作時にスラリーSがCMPシステム外に流出するのを防いでいる。
スプレーコート法により薄膜が形成された基板4は、薄膜が研磨パッド2に接触するように研磨パッド2上に載置される。このような定盤駆動機構3を備えるCMPシステムでは、定盤1は、研磨パッド2の表面を水平面から所定の角度だけ傾けた状態で、定盤1の中心軸線周りに回転する。
このような定盤1上に設けられた基板4は、研磨パッド2上を移動し、研磨パッド2上を摺動する。これにより基板4は研磨される。
以上図1〜図5に示すような化学機械研磨法を用いることにより、スプレーコート法により形成された薄膜を平滑化および/または平坦化することができる。上述の化学機械研磨法では、遊離砥粒を用いずに、前述した3M社製のFixed Abrasive Pad、日本ミクロコーティング社製のラッピングテープなどの固定砥粒を備える研磨パッドを用いてもよく、また固定砥粒を備える研磨パッドと遊離砥粒とを併用してもよい。
図6は、加工(研磨)圧力と加工(研磨)速度との関係を示すグラフである。図6の横軸は、研磨工程における加工(研磨)圧力(g/cm)を表し、縦軸は有機膜の加工(研磨)速度を表す。加工(研磨)圧力とは基板を研磨パッドに押圧する際に、基板から研磨パッドに加えられる圧力(単位面積当りの力)である。また加工(研磨)速度とは、単位時間当たりに、薄膜の膜厚が減少する値である。図6は、研磨パッドに人工皮革を用い、研磨液にアニソール、シクロヘキシルベンゼン、エタノール、DIW(Deionized Water)を用いたときの加工(研磨)圧力と加工(研磨)速度との関係を示す。なお図6では研磨液が遊離砥粒を含んでいない形態を表している。図6に示すように、有機物がより溶解し易い液体を研磨液として用いると、有機層の表面をより溶解するために、有機層の加工(研磨)速度がより速くなり、より研磨し易くなる傾向にある。
図7は、研磨パッドおよび研磨液の組合わせと、研磨後の有機層の表面粗さとの関係を示すグラフである。図7に示すように、研磨液が同じ場合で比較すると、人工皮革、発泡ポリウレタン及び固定砥粒フィルムのうちで、人工皮革が最も平滑化および/または平坦化することができ、その次に平滑化および/または平坦化できるのが発泡ポリウレタンである。また研磨液としては有機物を適度に溶解する液体を用いた場合に有機層の表面粗さが非常に小さくなる。なお例えばメタノール、キシレンおよびエチレングリコールなどの有機溶剤を溶媒に用いたシリカゾルを研磨剤(スラリー)として用いることも効果的である。例えば日産化学株式会社製のメタノールシリカゾル、IPA−ST、XBA−STなどは、粒子系が均一で球形の超微粒子(シリカ)がコロイド状に均一に分散しているため、これらをスラリーとして用いることにより、表面粗さを極めてより小さくすることができる。
なお上述の化学機械研磨法において、薄膜を溶解しない液体をスラリーSの代わりとして用いることにより、機械研磨法を実現することができる。以上では平坦化する方法として研磨法を中心にして説明したが、他の平坦化法として、物理的ドライ加工法(プラズマを利用した大気中で行う加工法;PCVM−Plasma Chemical Vaporization Machining)がある。この方法を用いれば、プラズマ発生の条件およびスキャン速度などを適切に調整、設定することにより、平坦化を容易に行うことができる。
発光層の平坦化後には、発光層の表面を洗浄し、平坦化の際に発生する異物を除去することが好ましい。洗浄方法としては、超音波洗浄、ブラシ洗浄、洗浄液を用いた洗浄などを挙げることができる。スプレーコート法に用いた塗布液またはその溶媒は、そもそも薄膜を形成する際に用いられた溶液なので、発光層の特性に与える影響が少ないため、洗浄液として好適に用いることができる。またブラシ洗浄において洗浄液を用いる場合にも、スプレーコート法に用いた塗布液またはその溶媒を洗浄液として用いることが好ましい。
発光層の洗浄後、前述の一対の電極のうちの他方の電極を形成する。本実施形態では発光層の洗浄後に陰極を形成することにより有機EL素子を作製することができる。
以上説明した本実施形態の有機EL素子の製造方法では、スプレーコート法により、発光層の膜厚に対する表面粗さの割合が5%以下の発光層を備える有機EL素子を作製することができる。さらに薄膜を形成した後に薄膜を平坦化した場合、さらに平坦な発光層を備える有機EL素子を作製することができる。これにより発光時の輝度ムラの少ない有機EL素子を実現することができる。
以上では、陽極と陰極との間に、正孔注入層と発光層とが設けられた構成の有機EL素子の製造方法について説明したが、有機EL素子の構成はこれに限られず、必要に応じて様々な層構成をとり得る。また以上では、スプレーコート法を用いて有機層を形成する方法を、発光層に適用した場合について説明したが、有機層が2層以上ある場合には、前述した発光層を形成する方法を適用して、複数の有機層のうちの少なくとも1層を形成すればよく、さらに前述した発光層を形成する方法を適用して全ての有機層を形成してもよい。以下、本発明を適用可能な有機EL素子の構成、並びに各層の構成およびその形成方法についてさらに詳しく説明する。
陰極と発光層との間に設けられる層としては、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層などを挙げることができる。陰極と発光層との間に電子注入層と電子輸送層との両方の層が設けられる場合、陰極に接する層を電子注入層といい、この電子注入層を除く層を電子輸送層という。
電子注入層は、陰極からの電子注入効率を改善する機能を有する。電子輸送層は、陰極、電子注入層または陰極により近い電子輸送層からの電子注入を改善する機能を有する。
正孔ブロック層は、正孔の輸送を堰き止める機能を有する層である。なお電子注入層、及び/又は電子輸送層が正孔の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が正孔ブロック層を兼ねることがある。
正孔ブロック層が正孔の輸送を堰き止める機能を有することは、例えばホール電流のみを流す素子を作製し、その電流値の減少で堰き止める効果を確認することができる。
陽極と発光層との間に設けられる層としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層などを挙げることができる。陽極と発光層との間に、正孔注入層と正孔輸送層との両方の層が設けられる場合、陽極に接する層を正孔注入層といい、この正孔注入層を除く層を正孔輸送層という。
正孔注入層は、陽極からの正孔注入効率を改善する機能を有する。正孔輸送層は、陽極、正孔注入層または陽極により近い正孔輸送層からの正孔注入を改善する機能を有する。
電子ブロック層は、電子の輸送を堰き止める機能を有する。なお正孔注入層、及び/又は正孔輸送層が電子の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が電子ブロック層を兼ねることがある。
電子ブロック層が電子の輸送を堰き止める機能を有することは、例えば電子電流のみを流す素子を作製し、その電流値の減少で堰き止める効果を確認することができる。
本実施形態の有機EL素子のとりうる層構成の一例を以下に示す。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
c)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
e)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極
f)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
d)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
e)陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
f)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
g)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
h)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
i)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
j)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
k)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
l)陽極/発光層/電子注入層/陰極
m)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
n)陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(ここで、記号「/」は、記号「/」を挟む各層が隣接して積層されていることを示す。
以下同じ。)
本実施形態の有機EL素子は2層以上の発光層を有していてもよい。上記a)〜n)の層構成のうちのいずれか1つにおいて、陽極と陰極とに挟持された積層体を「構造単位A」とすると、2層の発光層を有する有機EL素子の構成として、以下のo)に示す層構成を挙げることができる。なお2つある(構造単位A)の層構成は互いに同じでも、異なっていてもよい。
o)陽極/(構造単位A)/電荷発生層/(構造単位A)/陰極
ここで、電荷発生層とは電界を印加することにより、正孔と電子を発生する層である。
電荷発生層としては、例えば酸化バナジウム、インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、酸化モリブデンなどから成る薄膜を挙げることができる。
また「(構造単位A)/電荷発生層」を「構造単位B」とすると、3層以上の発光層を有する有機EL素子の構成として、以下のp)に示す層構成を挙げることができる。
p)陽極/(構造単位B)x/(構造単位A)/陰極
なお記号「x」は、2以上の整数を表し、(構造単位B)xは、構造単位Bがx段積層された積層体を表す。また複数ある(構造単位B)の層構成は同じでも、異なっていてもよい。
なお電荷発生層を設けずに、複数の発光層を直接積層させた有機EL素子、または複数の発光層を所定の層を介在させて積層させた有機EL素子を構成してもよい。
以上の有機EL素子は通常、基板上に設けられる。積層する層の順序、層数、および各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して適宜設定することができる。有機EL素子は通常、本実施の形態のように陽極を基板側に配置して基板上に設けられるが、陰極を基板側に配置して基板上に設けてもよい。a)〜p)の層構成において、陽極を基板側に配置する形態では、陽極側(左側)から順に各層が積層され、陰極を基板側に配置する形態では、陰極(右側)から順に各層が積層されることにより有機EL素子が基板上に作製される。有機EL素子は、基板側から光を出射すボトムエミッション型のものでも、基板とは反対側から光を出射するトップエミッション型のものでもよい。
次に有機EL素子を構成する各層の材料および形成方法について、より具体的に説明する。
<基板>
基板は、有機EL素子を製造する工程において化学的に変化しないものが好適に用いられ、例えばガラス、プラスチック、高分子フィルム、およびシリコン板、並びにこれらを積層したものなどが用いられる。なお基板としては、有機EL素子を駆動する駆動回路が形成された基板を用いてもよく、例えばTFT(Thin Film Transistor)基板を用いることができる。
<陽極>
発光層から放射される光が陽極を通して出射する構成の有機EL素子の場合、陽極には光透過性を示す電極が用いられる。光透過性を示す電極としては、電気伝導度の高い金属酸化物、金属硫化物および金属などの薄膜を用いることができ、光透過率の高いものが好適に用いられる。例えば酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、および銅などから成る薄膜が用いられ、これらの中でもITO、IZO、または酸化スズから成る薄膜が好適に用いられる。陽極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法などを挙げることができる。また、該陽極として、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機物の透明導電膜を用いてもよい。
陽極には、光を反射する材料を用いてもよく、その材料としては、仕事関数3.0eV以上の金属、金属酸化物、金属硫化物が好ましい。
陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度などを考慮して適宜決定することができ、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
<正孔注入層>
正孔注入層を構成する正孔注入材料としては、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、および酸化アルミニウムなどの酸化物や、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、アモルファスカーボン、ポリアニリン、およびポリチオフェン誘導体などを挙げることができる。
正孔注入層の成膜方法としては、例えば正孔注入材料を含む塗布液からの成膜を挙げることができ、前述した発光層を形成する方法と同様のスプレーコート法を用いることができる。なおスプレーコート法以外の塗布法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法およびインクジェットプリント法などを挙げることができる。
正孔注入層の膜厚は、用いる材料によって最適値が異なり、求められる特性および成膜の簡易さなどを勘案して適宜決定され、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<正孔輸送層>
正孔輸送層を構成する正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などを挙げることができる。
これらの中で正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などの高分子正孔輸送材料が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体である。低分子の正孔輸送材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
正孔輸送層の成膜方法としては、特に制限はないが、低分子の正孔輸送材料では、高分子バインダーと正孔輸送材料とを含む混合液からの成膜を挙げることができ、高分子の正孔輸送材料では、正孔輸送材料を含む塗布液からの成膜を挙げることができる。
正孔輸送層を溶液から成膜する方法としては、前述した正孔注入層を溶液から成膜する方法を一例として挙げることができ、特に前述した発光層を形成する方法と同様の方法により成膜する方法が好ましい。
正孔輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、求められる特性および成膜の簡易さなどを勘案して適宜決定され、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<発光層>
発光層は、通常、主として蛍光及び/又はりん光を発光する有機物、または該有機物とこれを補助するドーパントとを含む。ドーパントは、例えば発光効率の向上や、発光波長を変化させるために加えられる。なお有機物としては、低分子化合物でも高分子化合物でもよく、溶解性の観点からは高分子化合物が好ましい。発光層は、ポリスチレン換算の数平均分子量が、10〜10である高分子化合物を含むことが好ましい。発光層を構成する発光材料としては、例えば以下の色素系材料、金属錯体系材料、高分子系材料、ドーパント材料を挙げることができる。
(色素系材料)
色素系材料としては、例えば、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体化合物、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ピロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体などを挙げることができる。
(金属錯体系材料)
金属錯体系材料としては、例えばTb、Eu、Dyなどの希土類金属、またはAl、Zn、Be、Pt、Irなどを中心金属に有し、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造などを配位子に有する金属錯体を挙げることができ、例えばイリジウム錯体、白金錯体などの三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミニウムキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、フェナントロリンユーロピウム錯体などを挙げることができる。
(高分子系材料)
高分子系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、上記色素系材料や金属錯体系発光材料を高分子化したものなどを挙げることができる。
上記発光性材料のうち、青色に発光する材料としては、ジスチリルアリーレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、およびそれらの重合体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体やポリフルオレン誘導体などが好ましい。
また、緑色に発光する材料としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。
また、赤色に発光する材料としては、クマリン誘導体、チオフェン環化合物、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。
(ドーパント材料)
ドーパント材料としては、例えばペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾロン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾンなどを挙げることができる。なお、このような発光層の厚さは、通常約2nm〜200nmである。
発光層の成膜方法としては、発光材料を含む塗布液を塗布する方法、真空蒸着法、転写法などを用いることができ、前述したスプレーコート法を用いて成膜することが好ましい。
<電子輸送層>
電子輸送層を構成する電子輸送材料としては、公知のものを使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体などを挙げることができる。
これらのうち、電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
電子輸送層の成膜法としては特に制限はないが、低分子の電子輸送材料では、粉末からの真空蒸着法、または溶液若しくは溶融状態からの成膜を挙げることができ、高分子の電子輸送材料では溶液または溶融状態からの成膜を挙げることができる。なお溶液または溶融状態からの成膜する場合には、高分子バインダーを併用してもよい。溶液から電子輸送層を成膜する方法としては、前述の溶液から正孔注入層を成膜する方法と同様の成膜法を挙げることができる。
電子輸送層の膜厚は、用いる材料によって最適値が異なり、求められる特性および成膜の簡易さなどを勘案して適宜決定され、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<電子注入層>
電子注入層を構成する材料としては、発光層の種類に応じて最適な材料が適宜選択され、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のうちの1種類以上含む合金、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物、またはこれらの物質の混合物などを挙げることができる。アルカリ金属、アルカリ金属の酸化物、ハロゲン化物、および炭酸化物の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、酸化リチウム、フッ化リチウム、酸化ナトリウム、フッ化ナトリウム、酸化カリウム、フッ化カリウム、酸化ルビジウム、フッ化ルビジウム、酸化セシウム、フッ化セシウム、炭酸リチウムなどを挙げることができる。また、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物の例としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、酸化カルシウム、フッ化カルシウム、酸化バリウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、炭酸マグネシウムなどを挙げることができる。電子注入層は、2層以上を積層した積層体で構成されてもよく、例えばLiF/Caなどを挙げることができる。電子注入層は、蒸着法、スパッタリング法、印刷法などにより形成される。
電子注入層の膜厚としては、1nm〜1μm程度が好ましい。
<陰極>
陰極の材料としては、仕事関数が小さく、発光層への電子注入が容易で、電気伝導度の高い材料が好ましい。また陽極側から光を取出す有機EL素子では、発光層から放射される光を陰極で陽極側に反射することが発光効率を向上するためには好ましく、そのため、陰極の材料としては可視光反射率の高い材料が好ましい。陰極には、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属および第13族金属などを用いることができる。陰極の材料としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、前記金属のうちの2種以上の合金、前記金属のうちの1種以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうちの1種以上との合金、またはグラファイト若しくはグラファイト層間化合物などが用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などを挙げることができる。また、陰極としては導電性金属酸化物および導電性有機物などから成る透明導電性電極を用いることができる。具体的には、導電性金属酸化物として酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、およびIZOを挙げることができ、導電性有機物としてポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などを挙げることができる。なお、陰極は、2層以上を積層した積層体で構成されていてもよい。なお、電子注入層が陰極として用いられる場合もある。
陰極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して適宜設定され、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法などを挙げることができる。
以上説明した有機EL素子は、曲面状や平面状の照明装置、例えばスキャナの光源として用いられる面状光源、および表示装置に好適に用いることができる。
有機EL素子を備える表示装置としては、セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置などを挙げることができる。ドットマトリックス表示装置には、アクティブマトリックス表示装置およびパッシブマトリックス表示装置などがある。有機EL素子は、アクティブマトリックス表示装置、パッシブマトリックス表示装置において、各画素を構成する発光素子として用いられる。また有機EL素子は、セグメント表示装置において、各セグメントを構成する発光素子またはバックライトとして用いられ、液晶表示装置において、バックライトとして用いられる。
(実施例1)
スプレーコート法により所期の膜厚の発光層を形成することができることを確認するために、陽極に相当するITO薄膜上にスプレーコート法により発光層を形成し、形成した発光層の性状を確認した。
まずITO薄膜が形成されたガラス基板(サイズ:200mm×200mm)を用意した。ITO薄膜表面の濡れ性を向上させるために、UV表面処理としてエキシマUVをガラス基板表面に対して120秒照射した。
次に重量比1:1のアニソール(沸点154℃)とシクロヘキシルベンゼン(沸点240℃)との混合溶媒に、発光材料(サメイション社製、製品名「Lumation GP1300」)を溶解し、溶液における発光材料の割合が2重量%の塗布液を調整した。
塗布回数、単位時間当たりの噴霧量、および塗布液を噴霧するノズルの移動速度をそれぞれ変えて、以下の条件で塗布液を基板上に塗布した。塗布は、平面視で、基板の一端から他端まで、塗布液を噴霧しつつノズルを塗布方向に移動する工程と、既に塗布された領域とさらに塗布される領域とが塗り重ねピッチ分だけ重なるように、塗布方向に垂直な方向にノズルを移動する工程とを繰り返すことにより行った。
塗布装置には旭サナック社製のスプレーコート装置を用い、ノズルと基板との間隔を55mmとし、塗り重ねピッチを10mmとし、霧化エア圧を0.12MPaとし、パターンエア圧を0.20MPaとした。
調整した塗布液を上記条件で塗布し、さらに均一化(レベリング)のために常温下で5分静置した後、基板をホットプレート上に置き、90℃で120秒間加熱乾燥した。
まず単位時間当たりの噴霧量と、塗布液を噴霧するノズルの移動速度とを固定し、塗布回数のみを異ならせて発光層を形成した。単位時間当たりの噴霧量は5g/分(min)とし、ノズルの移動速度は30m/minとし、塗布回数をそれぞれ1回、2回、3回、4回とした。
図8は、塗布回数と発光層の膜厚との関係を示すグラフである。図8の横軸は塗布回数を表し、縦軸は発光層の膜厚を示す。膜厚の測定は接触式表面粗さ計(Tencor社製、P−10)を用いて行い、基板の中心と、基板の中心から50mm離れた4箇所との計5箇所の膜厚の測定を行った(以下、図9および図10も図8と同じ測定条件で膜厚の測定を行った。)。
図8に示すように膜厚は塗布回数に比例し、また膜厚分布のばらつきは塗布回数に依存しないことが確認された。
次に塗布回数と、塗布液を噴霧するノズルの移動速度とを固定し、単位時間当たりの噴霧量のみを異ならせて発光層を形成した。塗布回数は1回とし、ノズルの移動速度は30m/minとし、単位時間当たりの噴霧量を5、7、10、13g/分(min)とした。
図9は、単位時間当たりの噴霧量と発光層の膜厚との関係を示すグラフである。図9の横軸は単位時間当たりの噴霧量(g/分)を表し、縦軸は発光層の膜厚を示す。
図9に示すように、膜厚は単位時間当たりの噴霧量に比例し、また膜厚分布のばらつきは単位時間当たりの噴霧量に依存しないことが確認された。
次に塗布回数と単位時間当たりの噴霧量とを固定し、塗布液を噴霧するノズルの移動速度のみを異ならせて発光層を形成した。塗布回数は1回とし、単位時間当たりの噴霧量は5g/分(min)とし、ノズルの移動速度を5、10、20、30m/minとした。
図10は、塗布液を噴霧するノズルの移動速度(ノズル速度)の逆数と発光層の膜厚との関係を示すグラフである。図10の横軸はノズルの移動速度を表し、縦軸は発光層の膜厚を示す。
図10に示すように、膜厚はノズルの移動速度の逆数に比例し、また膜厚分布のばらつきはノズルの移動速度に依存しないことが確認された。なおノズルの移動速度の逆数は噴霧時間に相当する。
以上のことから塗布回数、単位時間当たりの噴霧量、および塗布液を噴霧するノズルの移動速度を調整することにより所期の膜厚の発光層を形成することができることを確認した。
なお光干渉式表面粗さ計(Veeco社製、NT3300)を用いて、得られた発光層の表面を観察したところ、幅が30μm〜100μm、深さが10nm程度の凹部が発光層の表面に点在していたが、発光層の膜厚に対する表面粗さの割合を5%以下に抑えることができた。
(実施例2)
塗布液における発光材料の割合と、単位時間当たりの噴霧量とを変えて、実施例1と同様にして発光層を形成し、その表面粗さを測定した。実験は実験1〜4の4通りについて実施した。
溶媒には、重量比1:1のアニソール(沸点154℃)とシクロヘキシルベンゼン(沸点240℃)との混合溶媒を用い、発光材料には、サメイション社製の材料(製品名「Lumation GP1300」)を用いた。
塗布装置には旭サナック社製のスプレーコート装置を用い、ノズルと基板との間隔を55mmとし、塗り重ねピッチを10mmとし、霧化エア圧を0.10MPaとし、パターンエア圧を0.18MPaとした。ノズルの移動速度は30m/minとし、塗布回数は1回とした。また単位時間当たりの噴霧量は、発光層の膜厚が70nmとなるように、発光材料の濃度に応じて調整した。
実験1は、発光材料の濃度を0.5重量%とし、噴霧量を9.8g/minとして実施された。実験2は、発光材料の濃度を1.0重量%とし、噴霧量を4.2g/minとして実施された。実験3は、発光材料の濃度を1.5重量%とし、噴霧量を2.2g/minとして実施された。実験4は、発光材料の濃度を2.0重量%とし、噴霧量を1.8g/minとして実施された。
実験結果を表1に示す。
Figure 2010226087
光干渉式表面粗さ計(Veeco社製、NT3300)を用いて、得られた発光層の表面を観察したところ、発光材料の濃度が高い(実験3)及び(実験4)では、幅が100μm〜200μmであり、深さが10nm〜20nm程度であるなだらかな凹部が発光層の表面に点在していた。また発光材料の濃度と表面粗さとの間に相関があることを確認した。
1 定盤
2 研磨パッド
3 駆動機構
4 基板
5 基板保持ヘッド
6 スラリー供給機構
7 壁部

Claims (10)

  1. 一対の電極と、
    該一対の電極間に設けられ、有機発光層を含む1層以上の有機層と、
    を備える有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
    前記有機層は、
    当該有機層がその表面に形成される層に向けて、有機層を構成する有機材料を含む塗布液が噴霧され、さらに固化されることにより形成され、
    かつ当該有機層の膜厚に対する表面粗さの割合が5%以下である、有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 一対の電極と、
    該一対の電極間に設けられ、有機発光層を含む1層以上の有機層と、
    を備える有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、
    一対の電極のうちの一方の電極が設けられた基板を用意する工程と、
    前記一方の電極上に前記1層以上の有機層を形成する工程と、
    一対の電極のうちの他方の電極を形成する工程とを含み、
    前記1層以上の有機層を形成する工程では、沸点が200℃以上の溶媒を含む良溶媒と、有機層を構成する材料とのみからなる塗布液を、有機層がその表面に形成される層に向けて噴霧し、さらに固化することにより、前記1層以上の有機層のうちの少なくとも1層を形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  3. 前記1層以上の有機層を形成する工程では、前記塗布液は、前記有機層を構成する材料の濃度が0.7重量%〜1.3重量%とされる請求項2記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  4. 前記1層以上の有機層を形成する工程において固化された薄膜を、さらに平坦化することを特徴とする請求項2または3記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  5. 前記平坦化する方法が、化学機械研磨法、機械研磨法、または化学研磨法であることを特徴とする請求項4記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  6. 有機発光層を含む1層以上の有機層を備える有機エレクトロルミネッセンス素子の前記有機層をスプレーコート法により形成する際に用いるスプレーコート用塗布液であって、 沸点が200℃以上の溶媒を含む良溶媒と、有機層を構成する材料とのみからなるスプレーコート用塗布液。
  7. 請求項2〜5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法によって製造された有機エレクトロルミネッセンス素子。
  8. 請求項1または7記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える面状光源。
  9. 請求項1または7記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える表示装置。
  10. 請求項1または7記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える照明装置。
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