JP2010224174A - ガラスファイバー及び光伝送体 - Google Patents

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Abstract

【課題】バンドルに曲げなどの動作を与えても折れを生じ難く、さらに高温高圧水蒸気(オートクレーブ)滅菌操作に供されても、損傷、破損を生じ難く、被覆層による保護効果の持続性が高いガラスファイバー及び該ガラスファイバーを有する光伝送体を提供する。
【解決手段】(A)反応性基を有するシリコーンポリマーを含む塗布組成物により形成した被覆層を外周面に有するガラスファイバー。特に、反応性基を有するシリコーンポリマーが、ビニル系重合体であり、主鎖の末端及び側鎖の少なくとも一方に反応性基を有するシリコーンポリマーであるガラスファイバー。
【選択図】なし

Description

本発明は、ガラスファイバー及び光伝送体に関する。特に、内視鏡のライトガイド及びイメージガイドとして好適に使用可能なガラスファイバー及び光伝送体に関する。
医療分野において、消化管等の検査診断等に、内視鏡が使用されている。
内視鏡には局部的な照明を目的として光を伝送する光伝送体が搭載され、通常ライトガイドと呼ばれる用途においては、所望の光量を得るために数十本ないし数百本の光ファイバーを束ねたバンドルが用いられる。
光ファイバーに用いられているガラスファイバーは脆く損傷し易い。また、内視鏡を湾曲した体腔内に使用するには内視鏡の操作部を湾曲させる必要があり、その際生じる摩擦によって、ライトガイドやイメージガイドを構成する光ファイバーが、損傷、破損してしまうおそれがある。
そして、光ファイバーが、損傷、破損を防ぐために固体潤滑剤としてMoS(二硫化モリブデン)やBN(窒化ホウ素)等を塗布したものが知られている(特許文献1参照)。
しかし、このような固体潤滑剤によるガラスファイバーの折れを防止する効果は必ずしも充分ではない。
さらに、この内視鏡で用いられる固体潤滑剤には、潤滑性に優れるだけでなく、繰り返し行われる内視鏡の滅菌処理等によっても変質、劣化し難いことが求められる。このような要求を満足するために、被覆層を形成した上に固体潤滑剤が用いられたものが検討されている。
例えば、特許文献2にはガラスファイバーの外周にフロロシリコーンオイル及びパーフルオロポリエーテルの少なくともいずれか一方からなる被覆層を形成し、更にその上に固体潤滑剤を塗布する方法が記載されている。
特開2001−302286号公報 特開2006−91722号公報
しかし、ガラスファイバーの折れの抑制効果は未だ不十分であり、改良が望まれている。
また、このような外周に被覆層を形成したガラスファイバーのバンドルをライトガイドまたはイメージガイドとして用いた内視鏡に高温高圧水蒸気(オートクレーブ)滅菌処理を施すと、被覆層による保護効果がなくなってしまうという問題がある。被覆層による保護効果がなくなると、コアの周囲に設けられているクラッドが高温高圧により溶け出し、クラッド同士が固着してしまう。この状態で内視鏡の操作部を湾曲すると、クラッド同士が固着した部位が折れてしまい、光伝送ができなくなってしまう。
本発明はこのような事情の下になされ、バンドルに曲げなどの動作を与えても折れを生じ難く、さらに高温高圧水蒸気(オートクレーブ)滅菌操作に供されても、損傷、破損を生じ難く、被覆層による保護効果の持続性が高いガラスファイバー及び該ガラスファイバーを有する光伝送体を提供することを目的とする。
すなわち本発明は以下の手段により達成された。
〔1〕
(A)反応性基を有するシリコーンポリマー
を含む塗布組成物により形成した被覆層を外周面に有するガラスファイバー。
〔2〕
前記反応性基を有するシリコーンポリマーが、ビニル系重合体であり、主鎖の末端及び側鎖の少なくとも一方に反応性基を有するシリコーンポリマーであることを特徴とする〔1〕に記載のガラスファイバー。
〔3〕
前記反応性基を有するシリコーンポリマーの反応性基がガラスファイバーの表面と化学的に結合、又は相互作用する官能基であることを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載のガラスファイバー。
〔4〕
前記反応性基を有するシリコーンポリマーの反応性基が加水分解性アルコキシシリル基、ブロックイソシアネート基、エポキシ基、アンモニウム塩基のうち少なくとも1種であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のガラスファイバー。
〔5〕
前記被覆層の膜厚が0.01μm〜10μmであることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のガラスファイバー。
〔6〕
前記ガラスファイバーは、コアとクラッドからなることを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のガラスファイバー。
〔7〕
〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のガラスファイバーを複数本束ねたガラスファイバーバンドルを有することを特徴とする光伝送体。
〔8〕
前記ファイバーバンドルの外周面に固体潤滑剤を塗布したことを特徴とする〔7〕に記載の光伝送体。
〔9〕
内視鏡に用いられることを特徴とする〔7〕又は〔8〕に記載の光伝送体。
本発明によれば、バンドルに曲げなどの動作を与えても折れを生じ難く、さらに高温高圧水蒸気(オートクレーブ)滅菌操作に供されても、損傷、破損を生じ難く、被覆層による保護効果の持続性が高いガラスファイバー及び該ガラスファイバーを有する光伝送体を提供することができる。
本発明のガラスファイバーの一実施形態の断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のガラスファイバーは、(A)反応性基を有するシリコーンポリマー(以下特定シリコーンポリマーと称する場合がある)を含む塗布組成物により形成した被覆層を有する。
<塗布組成物>
本発明に用いられる塗布組成物は(A)反応性基を有するシリコーンポリマーを含む。
特定シリコーンポリマーの機能は明らかではないが、ガラスファイバー表面に特定シリコーンポリマーを含む塗布組成物を塗布し、被膜を形成した場合、シリコーンポリマー部位が柔軟性を有するため、バンドルの曲げに対して折れにくくなる。更にシリコーンポリマー中に存在する反応性基がガラスファイバー表面に化学的に結合あるいはイオン結合などの相互作用を有し、強固に密着しているため、耐久性にも優れている。また上記被覆層は保護膜の機能を有するため高温高圧水蒸気(オートクレーブ)滅菌処理を施しても、保護膜(被覆層)は溶解することはなく、十分な耐久性を有する。
〔特定シリコーンポリマー〕
本発明における反応性基を有するシリコーンポリマーはビニル系重合体であり、主鎖の末端及び側鎖の少なくとも一方に反応性基を有することが好ましい。
ビニル系重合体とはラジカル重合可能なビニル系単量体を重合して得られる重合体を意味する。本発明においてラジカル重合可能なビニル系単量体としては特に限定されないが、たとえば、メタクリル酸エステル系単量体、アクリル酸エステル系単量体、スチレン系単量体、シアン化ビニル系単量体、不飽和アミド系単量体、共役ジエン系単量体、ハロゲン含有ビニル系単量体、ビニルエステル系単量体等が挙げられるが、本発明においてはメタアクリル酸エステル系単量体、アクリル酸エステル系単量体を重合して得られる重合体が好ましい。
反応性基はガラスファイバーの表面と化学的に結合、又は相互作用する官能基であることが好ましい。
化学的に相互作用する官能基としては、例えば、イオン結合する官能基を挙げることができる。
ガラスファイバーの表面と化学的に結合する官能基として、具体的にはガラスファイバーの表面と共有結合する官能基を挙げることができる。
反応性基としては、例えば加水分解性アルコキシシリル基、エポキシ基、ブロックイソシアネート基、アンモニウム塩基が挙げられる。中でもガラスファイバー表面のSi−OH基と共有結合する加水分解性アルコキシシリル基、エポキシ基、ブロックイソシアネート基が好ましく、特に反応性の観点から加水分解性アルコキシシリル基が最も好ましい。
本発明における特定シリコーンポリマーは具体的には下記一般式(I―1)で表される構造、及び一般式(I―2)で表される構造を含むシリコーンポリマー(I)、又は下記一般式(II−1)で表される構造、及び一般式(II−2)で表される構造を含むシリコーンポリマー(II)であることが好ましい。
Figure 2010224174
(一般式(I−1)及び(I―2)中、R101〜R107はそれぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を表す。L101及びL102は、それぞれ独立に単結合又は多価の有機連結基を表す。x及びyは組成比を表し、xは0<x<100、yは0<y<100となる数を表す。Aは加水分解性アルコキシシリル基、エポキシ基、ブロックイソシアネート基、又はアンモニウム塩基を表す。nは1以上の整数を表す。)
一般式(II−1)及び(II−2)中、R201〜R204はそれぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を表す。L201及びL202は、それぞれ独立に単結合又は多価の有機連結基を表す。Aは加水分解性アルコキシシリル基、エポキシ基、ブロックイソシアネート基、又はアンモニウム塩基を表す。mは1以上の整数を表す。
〔一般式(I―1)で表される構造、及び一般式(I―2)で表される構造を含むシリコーンポリマー(I)〕
Figure 2010224174
(一般式(I−1)及び(I―2)中、R101〜R107はそれぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を表す。L101及びL102は、それぞれ単結合又は多価の有機連結基を表す。x及びyは組成比(重量換算)を表し、xは0<x<100、yは0<y<100となる数を表す。Aは加水分解性アルコキシシリル基、エポキシ基、ブロックイソシアネート基、アンモニウム塩基を表す。nは1以上の整数を表す。)
上記一般式(I−1)及び(I−2)において、R101〜R107はそれぞれ独立に、水素原子または炭化水素基を表す。炭化水素基としては、アルキル基、アリール基などが挙げられ、炭素原子数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。R101〜R108は、効果及び入手容易性の観点から、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、又はブチル基である。
これらの炭化水素基は更に置換基を有していてもよい。アルキル基が置換基を有するとき、置換アルキル基は置換基とアルキレン基との結合により構成され、ここで、置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられる。好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、Ν−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−リールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイト基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−Ν−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、
アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)およびその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基ホスフォノ基(−PO)およびその共役塩基基(以下、ホスフォナト基と称す)、ジアルキルホスフォノ基(−PO(alkyl))、ジアリールホスフォノ基(−PO(aryl))、アルキルアリールホスフォノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノ基(−POH(alkyl))およびその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナト基と称す)、モノアリールホスフォノ基(−POH(aryl))およびその共役塩基基(以後、アリールホスフォナト基と称す)、ホスフォノオキシ基(−OPO)およびその共役塩基基(以後、ホスフォナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスフォノオキシ基(−OPO(alkyl))、ジアリールホスフォノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスフォノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノオキシ基(−OPOH(alkyl))およびその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナトオキシ基と称す)、モノアリールホスフォノオキシ基(−OPOH(aryl))およびその共役塩基基(以後、アリールフォスホナトオキシ基と称す)、モルホルノ基、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
これらの置換基における、アルキル基の具体例としては、R〜Rにおいて挙げたアルキル基が同様に挙げられ、アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基等を挙げることができる。また、アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。アシル基(GCO−)におけるGとしては、水素、ならびに上記のアルキル基、アリール基を挙げることができる。
これら置換基のうち、より好ましいものとしてはハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスフォノ基、ホスフォナト基、ジアルキルホスフォノ基、ジアリールホスフォノ基、モノアルキルホスフォノ基、アルキルホスフォナト基、モノアリールホスフォノ基、アリールホスフォナト基、ホスフォノオキシ基、ホスフォナトオキシ基、アリール基、アルケニル基が挙げられる。
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては好ましくは炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、より好ましくは炭素原子数1から12まで、更に好ましくは炭素原子数1から8の直鎖状、より好ましくは炭素原子数3から12までの、更に好ましくは炭素原子数3から8までの分岐状ならびにより好ましくは炭素原子数5から10まで、更に好ましくは炭素原子数5から8までの環状のアルキレン基を挙げることができる。該置換基とアルキレン基を組み合わせる事により得られる置換アルキル基の、好ましい具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキシエチル基、2−オキシプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、
クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルアバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスフォノブチル基、ホスフォナトヘキシル基、ジエチルホスフォノブチル基、ジフェニルホスフォノプロピル基、メチルホスフォノブチル基、メチルホスフォナトブチル基、トリルホスフォノへキシル基、トリルホスフォナトヘキシル基、ホスフォノオキシプロピル基、ホスフォナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等を挙げることができる。
101〜L102は単結合または有機連結基を表す。ここで単結合とはポリマーの主鎖とSi又はAが連結鎖なしに直接結合していることを表す。
101〜L102が有機連結基を表す場合、L101〜L102は非金属原子からなる多価の連結基を表し、0個から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、0個から100個までの水素原子、及び0個から20個までの硫黄原子から成り立つものである。具体的には、−N<、脂肪族基、芳香族基、複素環基、及びそれらの組合せから選ばれることが好ましく、−O−、−S−、−CO−、−NH−、あるいは、−O−または−S−または−CO−または−NH−を含む組合せで、2価の連結基であることが好ましい。
より具体的な連結基としては下記の構造単位またはこれらが組合わされて構成されるものを挙げることができる。
Figure 2010224174
101〜L102は、単結合、又は―COO−、−CONH−、―CH−、−SONH−及び−SO−からなる群より選択される構造を1つ以上有する連結基であることが好ましい。
Aは加水分解性アルコキシシリル基、エポキシ基、ブロックイソシアネート基、アンモニウム塩基を表す。ガラスファイバー表面のSi−OH基と共有結合する加水分解性アルコキシシリル基、エポキシ基、ブロックイソシアネート基が好ましく、特に反応性の観点から加水分解性アルコキシシリル基が最も好ましい。
nは1以上の整数を表し、好ましくは4〜300、より好ましくは30〜250である。
一般式(I―1)及び(I―2)で表される構造を含むシリコーンポリマー(I)においてx及びyは、特定シリコーンポリマーにおける、一般式(I―1)で表される構造単位と一般式(I―2)で表される構造単位の組成比(重量換算)を表す。xは0<x<100、yは0<y<100である。xは10<x<99の範囲であることが好ましく、50<x<95の範囲であることがさらに好ましい。yは1<y<90の範囲であることが好ましく、5<y<50の範囲であることがさらに好ましい。xが10よりも大きければ柔軟性が不足することなく、一方yが5よりも大きければ反応性基量が十分量となり、ガラスファイバーに対し十分な密着性を有し、耐久性も十分なものとなる。
一般式(I−1)及び(I−2)で表される構造を含むシリコーンポリマー(I)の質量平均分子量は1,000〜100万が好ましく、1,000〜50万がさらに好ましく、5,000〜20万が最も好ましい。
以下に、一般式(I−1)及び(I−2)で表される構造を含むシリコーンポリマー(I)の具体例をその質量平均分子量(Mw)とともに以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2010224174
Figure 2010224174
一般式(I−1)で表される構造及び(I−2)で表される構造を含む特定シリコーンポリマーを合成するための各化合物は、市販されており、また容易に合成することもできる。
一般式(I−1)で表される構造及び(I−2)で表される構造を含む特定シリコーンポリマーを合成するためのラジカル重合法としては、従来公知の方法の何れをも使用することができる。
具体的には、一般的なラジカル重合法は、例えば、新高分子実験学3(1996年、共立出版)、高分子の合成と反応1(高分子学会編、1992年、共立出版)、新実験化学講座19(1978年、丸善)、高分子化学(I)(日本化学会編、1996年、丸善)、高分子合成化学(物質工学講座、1995年、東京電気大学出版局) 等に記載されており、これらを適用することができる。
〔一般式(II−1)で表される構造、及び一般式(II−2)で表される構造を含むシリコーンポリマー(II)〕
Figure 2010224174
一般式(II−1)及び(II−2)中、R201〜R204はそれぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を表す。L201及びL202は、それぞれ単結合又は多価の有機連結基を表す。Aは加水分解性アルコキシシリル基、エポキシ基、ブロックイソシアネート基、アンモニウム塩基を表す。mは1以上の整数を表す。
前記一般式(II−1)及び(II−2)においてR201〜R204はそれぞれ独立に水素原子または炭化水素基を表し、R201〜R204が炭化水素基を表す場合の炭化水素基としては、アルキル基、アリール基などが挙げられ、炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基が好ましい。具体的には、前記一般式(I―1)及び(I―2)のR101〜R107で挙げたものと同様のものを挙げることができる。
201、L202はそれぞれ独立に単結合又は多価の有機連結基を表す。ここで単結合とはポリマー主鎖とAが連結鎖なしに直接結合していることを表す。L201、L202が多価の有機連結基を表す場合、具体的な例、及び好ましい例は前記一般式(I−1)及び(I−2)のL101、L102で挙げたものと同様のものを挙げることができる。より好ましくは、−CHCHCHS−、−CHS−、−CONHCH(CH)CH−、−CONH−、−CO−、−CO−、−CH−である。
Aは加水分解性アルコキシシリル基、エポキシ基、ブロックイソシアネート基、又はアンモニウム塩基を表す。ガラスファイバー表面のSi−OH基と共有結合する加水分解性アルコキシシリル基、エポキシ基、ブロックイソシアネート基が好ましく、特に反応性の観点から加水分解性アルコキシシリル基が最も好ましい。
mは1以上の整数を表し、好ましくは4〜300、より好ましくは30〜250である。
一般式(II−1)及び(II−2)で表される構造を含むシリコーンポリマー(II)は、例えば、連鎖移動剤(ラジカル重合ハンドブック(エヌ・ティー・エス、蒲池幹治、遠藤剛)に記載)やIniferter(Macromolecules1986,19,p287−(Otsu)に記載)の存在下に、シリコーンモノマーをラジカル重合させることにより合成できる。連鎖移動剤の例は、3−メルカプトプロピオン酸、2−アミノエタンチオール塩酸塩、3−メルカプトプロパノール、2−ヒドロキシエチルジスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを含む。また、連鎖移動剤を使用せず、反応性基を有するラジカル重合開始剤を用いて、シリコーンモノマーをラジカル重合させてもよい。
一般式(II−1)及び(II−2)で表される構造を含むシリコーンポリマー(II)は、下記一般式(i)で表されるラジカル重合可能なモノマーと、下記一般式(ii)で表されるラジカル重合において連鎖移動能を有する反応性化合物を用いてラジカル重合することにより合成することができる。反応性化合物(ii)が連鎖移動能を有するため、ラジカル重合においてポリマー主鎖末端に反応性基が導入されたポリマーを合成することができる。
Figure 2010224174
上記一般式(i)及び(ii)において、R201〜R204、L201、L202、mは、上記一般式(II−1)、及び(II−2)中のものと同義である。また、これらの化合物は、市販されており、また容易に合成することもできる。一般式(i)で表されるラジカル重合可能なモノマーはジメチルシロキサン基を有しており、このモノマーが特定シリコーンポリマーにおける一構造単位となる。
一般式(II−1)及び(II−2)で表される構造を含むシリコーンポリマー(II)において、反応性基を有する一般式(II−2)の構造単位の重量に対して、一般式(II−1)の構造単位の重量が、1000〜10倍の範囲が好ましく、500〜20倍の範囲がより好ましく、200〜30倍の範囲が最も好ましい。30倍以上であれば柔軟性が不足することなく、一方、200倍以下であれば、反応性基量が十分量となり、ガラスファイバーに対し十分な密着性を有し、耐久性も十分なものとなる。
一般式(II−1)及び(II−2)で表される構造を含むシリコーンポリマー(II)の質量平均分子量は、1,000〜1,000,000が好ましく、1,000〜500,000がさらに好ましく、1,000〜200,000が最も好ましい。
本発明に好適に用い得るシリコーンポリマー(II)の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。具体例中、*はポリマーへの結合位置を表す。
Figure 2010224174
Figure 2010224174
特定シリコーンポリマー(I)又は(II)は、塗布組成物中、固形分に対して、好ましくは70〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%の範囲で使用される。また、特定シリコーンポリマー(I)又は(II)は、単独で用いても2種以上併用してもよい。
特定シリコーンポリマー(I)又は(II)は、他のモノマーとの共重合体であってもよい。用いられる他のモノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸イミド等の公知のモノマーも挙げられる。このようなモノマー類を共重合させることで、ガラスファイバーへの製膜性、柔軟性、耐久性、反応性、安定性等の諸物性を改善することができる。
アクリル酸エステル類の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、(n−またはi−)プロピルアクリレート、(n−、i−、sec−またはt−)ブチルアクリレート、アミルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、クロロエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、アリルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、クロロベンジルアクリレート、ヒドロキシベンジルアクリレート、ヒドロキシフェネチルアクリレート、ジヒドロキシフェネチルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェニルアクリレート、ヒドロキシフェニルアクリレート、クロロフェニルアクリレート、スルファモイルフェニルアクリレート、2−(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)エチルアクリレート等が挙げられる。
メタクリル酸エステル類の具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、(n−またはi−)プロピルメタクリレート、(n−、i−、sec−またはt−)ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、クロロエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルメタクリレート、クロロベンジルメタクリレート、ヒドロキシベンジルメタクリレート、ヒドロキシフェネチルメタクリレート、ジヒドロキシフェネチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ヒドロキシフェニルメタクリレート、クロロフェニルメタクリレート、スルファモイルフェニルメタクリレート、2−(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)エチルメタクリレート等が挙げられる。
アクリルアミド類の具体例としては、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−トリルアクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)アクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)アクリルアミド、N−(トリルスルホニル)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチル−N−フェニルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド等が挙げられる。
メタクリルアミド類の具体例としては、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−トリルメタクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)メタクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)メタクリルアミド、N−(トリルスルホニル)メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチル−N−フェニルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド等が挙げられる。
ビニルエステル類の具体例としては、ビニルアセテート、ビニルブチレート、ビニルベンゾエート等が挙げられる。
スチレン類の具体例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、シクロヘキシルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、ジメトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、カルボキシスチレン等が挙げられる。
共重合体の合成に使用されるこれらの他のモノマーの割合は、諸物性の改良に十分な量である必要があるが、ガラスファイバーの被覆膜としての機能が十分であり、特定シリコーンポリマー(I)又は特定シリコーンポリマー(II)を添加する利点を十分得るために、割合は大きすぎないほうが好ましい。従って、特定シリコーンポリマー(I)及び特定シリコーンポリマー(II)中の他のモノマーの好ましい総割合は80質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは50質量%以下である。
特定シリコーンポリマー(I)又は(II)の共重合比の測定は、核磁気共鳴装置(NMR)や、標準物質で検量線を作成し、赤外分光光度計により測定することができる。
〔その他の成分〕
(触媒)
特定シリコーンポリマー(I)又は(II)における反応性基Aが加水分解性アルコキシシリル基である場合は、加水分解性アルコキシシリル基の加水分解を促進し、さらにガラスファイバーへの反応性を促進するために触媒を用いることが好ましい。触媒を使用することで特定シリコーンポリマーがガラスファイバー表面に強固に密着し、優れた柔軟性と耐久性を付与することができる。
本発明で用いることができる触媒としては、前記加水分解性アルコキシシリル基を加水分解、重縮合し、ガラスファイバー表面のSi−OH基と結合を生起させる反応を促進する触媒が選択され、酸、あるいは塩基性化合物をそのまま用いるか、又は、酸、あるいは塩基性化合物を水またはアルコールなどの溶媒に溶解させた状態のもの(以下、これらを包括してそれぞれ酸性触媒、塩基性触媒とも称する)を用いる。酸、あるいは塩基性化合物を溶媒に溶解させる際の濃度については特に限定はなく、用いる酸、或いは塩基性化合物の特性、触媒の所望の含有量などに応じて適宜選択すればよい。ここで、触媒を構成する酸或いは塩基性化合物の濃度が高い場合は、加水分解、重縮合速度が速くなる傾向がある。但し、濃度の高い塩基性触媒を用いると、ゾル溶液中で沈殿物が生成する場合があるため、塩基性触媒を用いる場合、その濃度は水溶液での濃度換算で1N以下であることが望ましい。
酸性触媒あるいは塩基性触媒の種類は特に限定されないが、濃度の濃い触媒を用いる必要がある場合には乾燥後に塗膜中にほとんど残留しないような元素から構成される触媒がよい。具体的には、酸性触媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸や酢酸などのカルボン酸、そのRCOOHで表される構造式のRを他元素または置換基によって置換した置換カルボン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸などが挙げられ、塩基性触媒としては、アンモニア水などのアンモニア性塩基、エチルアミンやアニリンなどのアミン類などが挙げられる。
また、前記の触媒の他に金属錯体からなるルイス酸触媒もまた好ましく使用できる。特に好ましい触媒は、金属錯体触媒であり、周期律表の2A、3B、4A及び5A族から選ばれる金属元素とβ−ジケトン、ケトエステル、ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル、アミノアルコール、エノール性活性水素化合物の中から選ばれるオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物から構成される金属錯体である。
構成金属元素の中では、Mg、Ca、Sr、Baなどの2A族元素、Al、Gaなどの3B族元素、Ti、Zrなどの4A族元素及びV、Nb及びTaなどの5A族元素が好ましく、それぞれ触媒効果の優れた錯体を形成する。その中でもZr、Al及びTiから得られる錯体が優れており、好ましい。
上記金属錯体の配位子を構成するオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物は、本発明においては、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)、2,4−ヘプタンジオンなどのβジケトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸ブチルなどのケトエステル類、乳酸、乳酸メチル、サリチル酸、サリチル酸エチル、サリチル酸フェニル、リンゴ酸,酒石酸、酒石酸メチルなどのヒドロキシカルボン酸及びそのエステル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−2−ヘプタノンなどのケトアルコール類、モノエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチル−モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミノアルコール類、メチロールメラミン、メチロール尿素、メチロールアクリルアミド、マロン酸ジエチルエステルなどのエノール性活性化合物、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)のメチル基、メチレン基またはカルボニル炭素に置換基を有する化合物が挙げられる。
好ましい配位子はアセチルアセトンまたはアセチルアセトン誘導体であり、アセチルアセトン誘導体は、本発明においては、アセチルアセトンのメチル基、メチレン基またはカルボニル炭素に置換基を有する化合物を指す。アセチルアセトンのメチル基に置換する置換基としては、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基、アシル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基であり、アセチルアセトンのメチレン基に置換する置換基としてはカルボキシル基、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のカルボキシアルキル基及びヒドロキシアルキル基であり、アセチルアセトンのカルボニル炭素に置換する置換基としては炭素数が1〜3のアルキル基であってこの場合はカルボニル酸素には水素原子が付加して水酸基となる。
好ましいアセチルアセトン誘導体の具体例としては、エチルカルボニルアセトン、n−プロピルカルボニルアセトン、i−プロピルカルボニルアセトン、ジアセチルアセトン、1―アセチル−1−プロピオニル−アセチルアセトン、ヒドロキシエチルカルボニルアセトン、ヒドロキシプロピルカルボニルアセトン、アセト酢酸、アセトプロピオン酸、ジアセト酢酸、3,3−ジアセトプロピオン酸、4,4−ジアセト酪酸、カルボキシエチルカルボニルアセトン、カルボキシプロピルカルボニルアセトン、ジアセトンアルコールが挙げられる。中でも、アセチルアセトン及びジアセチルアセトンがとくに好ましい。上記のアセチルアセトン誘導体と上記金属元素の錯体は、金属元素1個当たりにアセチルアセトン誘導体が1〜4分子配位する単核錯体であり、金属元素の配位可能の手がアセチルアセトン誘導体の配位可能結合手の数の総和よりも多い場合には、水分子、ハロゲンイオン、ニトロ基、アンモニオ基など通常の錯体に汎用される配位子が配位してもよい。
好ましい金属錯体の例としては、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)アルミニウム・アコ錯塩、モノ(アセチルアセトナト)アルミニウム・クロロ錯塩、ジ(ジアセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート、トリス(アセチルアセトナト)バリウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、トリス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムトリス(安息香酸)錯塩、等が挙げられる。これらは水系塗布組成物での安定性及び、加熱乾燥時のゾルゲル反応でのゲル化促進効果に優れているが、中でも、特にエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)が好ましい。
上記した金属錯体の対塩の記載を本明細書においては省略しているが、対塩の種類は、錯体化合物としての電荷の中性を保つ水溶性塩である限り任意であり、例えば硝酸塩、ハロゲン酸塩、硫酸塩、燐酸塩などの化学量論的中性が確保される塩の形が用いられる。
金属錯体のシリカゾルゲル反応での挙動については、J.Sol−Gel.Sci.and Tec.16.209(1999)に詳細な記載がある。反応メカニズムとしては以下のスキームを推定している。すなわち、塗布組成物中では、金属錯体は、配位構造を取って安定であり、塗布後の加熱乾燥過程に始まる脱水縮合反応では、酸触媒に似た機構で架橋を促進させるものと考えられる。いずれにしても、この金属錯体を用いたことにより塗布組成物経時安定性及び皮膜面質の改善と、高親水性、高耐久性の、いずれも満足させるに至った。
触媒は、本発明の塗布組成物中に、不揮発性成分として、好ましくは0〜50質量%、更に好ましくは5〜25質量%の範囲で使用される。また、触媒は、単独で用いても2種以上併用してもよい。
(界面活性剤)
本発明においては、塗布組成物の被膜面状を向上させるために界面活性剤を用いるのが好ましい。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
本発明に用いられるノニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体が挙げられる。
本発明に用いられるアニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩類、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類、スチレン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類が挙げられる。
本発明に用いられるカチオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
本発明に用いられる両性界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミタゾリン類が挙げられる。
なお、上記界面活性剤の中で、「ポリオキシエチレン」とあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン等の「ポリオキシアルキレン」に読み替えることもでき、本発明においては、それらの界面活性剤も用いることができる。
更に好ましい界面活性剤としては、分子内にパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系界面活性剤が挙げられる。このようなフッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等のアニオン型;パーフルオロアルキルベタイン等の両性型;パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン型;パーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基及び親水性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基、親水性基及び親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基を含有するウレタン等のノニオン型が挙げられる。また、特開昭62−170950号、同62−226143号及び同60−168144号の各公報に記載されているフッ素系界面活性剤も好適に挙げられる。
界面活性剤は、本発明の塗布組成物中に、不揮発性成分に対して、好ましくは0.001〜10質量%、更に好ましくは0.01〜5質量%の範囲で使用される。また、界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
好ましい界面活性剤の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2010224174
〔塗布組成物の調製〕
塗布組成物の調製は、(A)特定シリコーンポリマー及び必要に応じて(B)触媒および(C)界面活性剤を溶媒に溶解後、攪拌することで実施できる。反応温度は室温〜80℃であり、反応時間、即ち攪拌を継続する時間は1〜72時間の範囲であることが好ましい。
(溶媒)
前記塗布組成物を調製する際に用いる溶媒としては、これらを均一に、溶解、分散し得るものであれば特に制限はないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、2−プロパノール等の水混和性の有機溶媒が好ましい。
さらに、ガラスファイバーに対する均一な塗膜の形成性を確保するために、塗布組成物に適度に有機溶剤を添加することも有効である。
有機溶剤としては、例えば、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1-メトキシ−2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、フッ素系溶剤、などが挙げられる。
〔被覆層〕
被覆層は上記塗布組成物により形成される。
塗布組成物をガラスファイバーの外周面に塗布(被覆)し、硬化させることにより形成することが好ましい。塗布方法としては、公知の方法を用いることが可能であり、特に限定がなく、例えばダイスコーティング法、スプレーコーティング法、ディップコーティング法、またはシャワーコーティング法を挙げることができる。
ダイスコーティング法は、コーティング液をダイスに供給しつつダイス中にガラスファイバー本体を通して、ガラスファイバー本体表面に被覆層を形成する方法、スプレーコーティング法はガラスファイバー本体表面にコーティング液を吹き付ける方法、ディップコーティング法はコーティング液中にガラスファイバー本体を浸漬する方法、シャワーコーティング法は、コーティング液のシャワー中にガラスファイバーを本体に通す方法である。
硬化はガラスファイバーに塗布した塗布組成物を加熱、乾燥することにより行うことができる。加熱、乾燥条件としては、シリコーンポリマー中に存在する反応性基のガラスファイバー表面への反応性が向上し、十分な耐久性を有するといった観点からは、50〜250℃の温度範囲において5秒〜30分程度行うのが好ましく、80〜200℃の温度範囲で5秒〜15分間乾燥することがより好ましい。また、加熱手段としては、公知の手段、例えば、温度調整機能を有する乾燥機などを用いることが好ましい。
被覆層の厚さは0.01μm〜10μmが好ましく、さらに好ましくは0.05μm〜2μmである。膜厚が0.01μm以上の場合は、十分な柔軟性、耐久性が得られ好ましく、膜厚が10μm以下の場合は、塗布ムラや乾燥ムラなど製膜性に問題を来たすことがなく、好ましい。
<ガラスファイバー>
本発明のガラスファイバーの具体的な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るガラスファイバーの断面図である。
図1に示すように、本発明のガラスファイバー1は、前記塗布組成物により形成した被覆層4を有する。また、本発明の一実施形態に係るガラスファイバー1は、コア2と、クラッド3からなることが好ましい。本発明のガラスファイバーは内視鏡のライトガイド及びイメージガイドとして好適に使用することができる。
<伝送体>
本発明でいう光伝送体とは、光信号を伝送するための主として光ファイバーやバンドルファイバーなどからなるもの、またはこれらと光信号を結合、分波、合波、スイッチング、変調、光−電気変換、電気−光変換などを行う機器とを結びつけたものをいう。具体的には、石英シングルモードの光ファイバー素線、光ファイバーコード、バンドルファイバーなどの石英光ファイバー、又はプラスチック光ファイバー素線、光ファイバーコード、バンドルファイバー、光ファイバーケーブル、多心テープ心線などのプラスチックファイバー、光導波路などが挙げられる。
本発明の伝送体はガラスファイバーを複数本束ねたガラスファイバーバンドルを有する。
本発明の光伝送体は、ファイバーバンドルの外周面に固体潤滑剤を塗布することが好ましい。被覆層が形成されたガラスファイバー本体表面同士のバインダーとして、固体潤滑剤を塗布することでガラスファイバー間の密着をなくし、固着を防ぐことができる。これによりバンドルの曲げに対する折れにくさがさらに向上し好ましい。固体潤滑剤としては特に限定はなく、例えば、二硫化モリブデン、グラファイト、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、窒化ホウ素(BN)などを用いることができる。
また、本発明の伝送体は内視鏡に用いられることが好ましい。本発明の伝送体に用いられるガラスファイバーは、ガラスファイバー表面に特定シリコーンポリマーを含む塗布組成物を塗布され、被覆層が形成されており、シリコーンポリマー部位が柔軟性を有するため、バンドルの曲げに対してガラスファイバーが折れにくい。
伝送体の更に好ましい一態様においてはシリコーンポリマー中に存在する反応性基がガラスファイバーの表面と化学的に結合、又は相互作用しており、強固に密着しているため、耐久性にも優れている。また上記被覆層は保護膜の機能を有するため伝送体に高温高圧水蒸気(オートクレーブ)滅菌処理を施しても、保護膜(被覆層)は溶解することはなく、十分な耐久性を有する。そのため、本発明の伝送体は内視鏡のライトガイド及びイメージガイドとして好適に使用することができる。
〔特定ポリマーの合成〕
以下本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔例示化合物I−1の合成〕
300ml三口フラスコに重合性シリコーンモノマー(X−22−2404、信越化学(株)製)50g、メタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル12.5g、及びメチルエチルケトン120g入れ、75℃窒素気流下、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル0.9g加えた。6時間撹拌しながら同温度に保った後、室温まで冷却した。反応液を濃縮し、例示化合物I―1である特定シリコーンポリマー62gを得た。GPC(ポリスチレン標準)により質量平均分子量5.5万のポリマーであった。
以後、実施例にて使用した特定シリコーンポリマー(I)は上記と同様の手法により合成し、評価に使用した。
〔例示化合物II―1〕の合成
300ml三口フラスコに重合性シリコーンモノマー(X−22−2404、信越化学(株)製)50g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン0.6g、及びメチルエチルケトン100g入れ、75℃窒素気流下、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル0.25g加えた。6時間撹拌しながら同温度に保った後、室温まで冷却した。反応液を濃縮し、例示化合物II―1である特定シリコーンポリマー49gを得た。GPC(ポリスチレン標準)により質量平均分子量1.5万のポリマーであった。
以後、実施例にて使用した特定シリコーンポリマー(II)は上記と同様の手法により合成し、評価に使用した。
〔実施例1〕
下記組成のシリコーン塗布組成物中にガラスファイバーを10秒間浸漬し、その後引き上げ操作を行い、シリコーンポリマーが被覆されたガラスファイバーを得た。ガラスファイバーを切断し、断面SEM観察を行ったところ膜厚0.3μmの被覆層が形成されていることが確認された。
次にシリコーンポリマー被覆層が形成されたガラスファイバー複数本をシリコーンチューブによる外装を行ってバンドル化して光伝送体を作製した。
<シリコーン塗布組成物(1)>
・下記シリコーン調製液(1) 25g
・メチルエチルケトン 60g
<シリコーン調製液(1)>
エチルアルコール10g、アセチルアセトン0.09g、オルトチタン酸テトラエチル0.1g、蒸留水0.5g中に特定シリコーンポリマー(例示化合物I―1)5gとメチルエチルケトン10gを混合し、室温で2時間撹拌して、調製した。
(評価)上記バンドル化されたガラスファイバーについて、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
曲げ耐性:R=5mmで90°の面に押し当てて一定の荷重を加えながら、繰り返し5000往復拭く試験を実施し、試験後に折れたファイバーの数を計算し、(試験後に折れたガラスファイバー数)/(全ガラスファイバー数)×100で折れにくさを評価した。
水蒸気耐性:高温高圧水蒸気オートクレーブ滅菌処理後のサンプルを用いて、上記記載の曲げ耐性評価を行った。
〔比較例1〕
シリコーン塗布組成物(1)による塗布を行わず、直接ガラスファイバーにシリコーンチューブによる外装を行ったこと以外は実施例1と同様の作製した。
〔実施例2〕
実施例1で調製したシリコーンポリマー被覆層が形成されたガラスファイバーに、さらに固体潤滑剤として二硫化モリブデンを塗布し、その後、実施例1と同様の方法でシリコーンチューブによる外装を行ってバンドル化して光伝送体を作製した。評価結果を表2に示す。
〔実施例3〕
下記組成のシリコーン塗布組成物中にガラスファイバーを10秒間浸漬し、その後引き上げ操作を行い、シリコーンポリマーが被覆されたガラスファイバーを得た。ガラスファイバーを切断し、断面SEM観察を行ったところ膜厚0.3μmの被覆層が形成されていることが確認された。
次にシリコーンポリマー被覆層が形成されたガラスファイバー複数本をシリコーンチューブによる外装を行ってバンドル化して光伝送体を作製した。
<シリコーン塗布組成物(2)>
・上記シリコーン調製液(1) 25g
・下記フッ素系界面活性剤5 1g
・メチルエチルケトン 60g
Figure 2010224174
〔比較例2〕
シリコーン塗布組成物(1)による塗布を行わず、直接ガラスファイバーに固体潤滑剤として二硫化モリブデンを塗布し、その後、実施例1と同様の方法でシリコーンチューブによる外装を行ってバンドル化して光伝送体を作製した。評価結果を表2に示す。
〔実施例4〜12〕
特定シリコーンポリマーを表2記載のものに変えたこと以外は実施例2と同様の方法でバンドル化して光伝送体を作製し、評価を行った。評価結果を表2に示す。
〔比較例3〕
特定シリコーンポリマー(例示化合物I―1)の代わりに加水分解性アルコキシシリル基含有フッ素化合物(商品名オプツールDSX、ダイキン工業(株)製)を用いたこと以外は実施例2と同様の方法で、バンドル化して光伝送体を作製し、評価を行った。評価結果を表2に示す。
〔実施例13〜17〕
特定シリコーンポリマー(例示化合物I―1)の代わりに特定シリコーンポリマー(例示化合物I―4)を用い、さらにシリコーンポリマー被覆層の膜厚を表1のように変えたこと以外は実施例2と同様の方法で、バンドル化して光伝送体を作製し、評価を行った。評価結果を表2に示す。
Figure 2010224174
〔実施例18〕
シリコーン塗布液中にガラスファイバーを10秒間浸漬し、引き上げ操作を行った後、200℃で10秒加熱処理を行ったこと以外は実施例14と同様の方法でファイバーバンドル化して光伝送体を作製し、評価を行った。評価結果を表2に示す。
〔実施例19〕
下記組成のシリコーン塗布組成物中にガラスファイバーを10秒間浸漬し、その後引き上げ操作を行い、更に200℃で10秒加熱処理を行い、シリコーンポリマーが被覆されたガラスファイバーを得た。ガラスファイバーを切断し、断面SEM観察を行ったところ膜厚0.3μmの被覆層が形成されていることが確認された。
さらに固体潤滑剤として二硫化モリブデンを塗布し、その後、シリコーンチューブによる外装を行ってバンドル化して光伝送体を作製した。評価結果を表2に示す。
<シリコーン塗布組成物(2)>
・特定シリコーンポリマー(例示化合物I―11) 5g
・メチルエチルケトン 70g
〔比較例4〕
特定シリコーンポリマー(例示化合物I―11)の代わりにフロロシリコーンオイル(商品名FL−100(450cs)、信越化学工業(株)製)を用いたこと以外は実施例19と同様の方法で、ファイバーバンドル化して光伝送体を作製し、評価を行った。評価結果を表2に示す。
〔実施例20〜23〕
特定シリコーンポリマーを表2記載のものに変えたこと以外は実施例19と同様の方法でファイバーバンドル化して光伝送体を作製し、評価を行った。評価結果を表2に示す。
〔実施例24〜26〕
固体潤滑剤の種類を表2のように変えたこと以外は実施例19と同様の方法でファイバーバンドル化して光伝送体を作製し、評価を行った。評価結果を表2に示す。
Figure 2010224174
上記表2から明らかなように、(A)特定シリコーンポリマーを含む塗布組成物により形成した被覆層を有する実施例1〜26のガラスファイバーは、比較例1〜4と比較して、いずれも優れた曲げ耐性を示し折れを生じ難い。さらに、水蒸気耐性にも優れ、高温高圧水蒸気(オートクレーブ)滅菌操作に供されても、損傷、破損を生じ難く、被覆層による保護効果の持続性が高いことがわかる。
1:ガラスファイバー
2:コア
3:クラッド
4:被覆層

Claims (9)

  1. (A)反応性基を有するシリコーンポリマー
    を含む塗布組成物により形成した被覆層を外周面に有するガラスファイバー。
  2. 前記反応性基を有するシリコーンポリマーが、ビニル系重合体であり、主鎖の末端及び側鎖の少なくとも一方に反応性基を有するシリコーンポリマーであることを特徴とする請求項1に記載のガラスファイバー。
  3. 前記反応性基を有するシリコーンポリマーの反応性基がガラスファイバーの表面と化学的に結合、又は相互作用する官能基であることを特徴とする請求項1または2に記載のガラスファイバー。
  4. 前記反応性基を有するシリコーンポリマーの反応性基が加水分解性アルコキシシリル基、ブロックイソシアネート基、エポキシ基、アンモニウム塩基のうち少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガラスファイバー。
  5. 前記被覆層の膜厚が0.01μm〜10μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガラスファイバー。
  6. 前記ガラスファイバーは、コアとクラッドからなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のガラスファイバー。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のガラスファイバーを複数本束ねたガラスファイバーバンドルを有することを特徴とする光伝送体。
  8. 前記ファイバーバンドルの外周面に固体潤滑剤を塗布したことを特徴とする請求項7に記載の光伝送体。
  9. 内視鏡に用いられることを特徴とする請求項7又は8に記載の光伝送体。
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