JP2007138105A - 親水性組成物及び親水性部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)下記一般式(I−b)で表される構造単位を有し、ポリマー鎖の末端に下記一般式(I−a)で表される官能基を有する親水性ポリマー、及び、(B)Si、Ti、Zr、Alから選択される元素のアルコキシド化合物を含有する。この親水性組成物により支持体上に加熱、製膜することで、表面に親水性膜を有する親水性部材を得る。下記式中、R1〜R4は水素原子又は炭素数8以下の炭化水素基を表す。mは0、1又は2を表し、Yは、−CO2−、−NHCO−などを有する2価の連結基を表す。Lは、単結合又はn価の有機連結基を表し、nは1〜4の整数を表し、Aは親水基である。
【選択図】なし
Description
このような反射防止光学部材としては、例えば、透明基材の表面に金属酸化物などからなる高屈折率層と低屈折率層を積層したもの、透明基材の表面に無機や有機フッ化化合物などの低屈折率層を単層で形成したもの、或いは、透明プラスチックフィルム基材の表面に透明な微粒子を含むコーティング層を形成し、凹凸状の表面により外光を乱反射させるものなどが知られている。これら反射防止光学部材表面も、前述の光学部材と同様に、人が使用することによって、指紋や皮脂などの汚れが付着しやすいが、汚れが付着した部分だけ高反射となり、汚れがより目立つという問題に加え、反射防止膜の表面には通常、微細な凹凸があり、汚れの除去が困難であるという問題もあった。
しかしながら、従来の方法で形成された防汚層は、防汚性が不十分であり、特に、指紋、皮脂、汗、化粧品等の汚れが拭き取りにくく、また、フッ素やケイ素などの表面エネルギーの低い材料による表面処理は経時的な防汚性能の低下が懸念され、このため、防汚性と耐久性の優れた防汚性部材の開発が望まれている。
即ち、本発明の請求項1に係る親水性組成物は、(A)下記一般式(I−b)で表される構造単位を有し、且つ、ポリマー鎖の末端に下記一般式(I−a)で表される官能基を有する親水性ポリマー〔以下、適宜、(A)特定親水性ポリマー或いは(A)成分と称する〕、及び、(B)Si、Ti、Zi、Alから選択される元素のアルコキシド化合物〔以下、適宜、(B)特定アルコキシド或いは(B)成分と称する〕を含有することを特徴とする。
Aは親水基であって、−OR5、−COR5、−CO2R9、−CON(R5)(R6)、−N(R5)(R6)、−NHCOR8、−NHCO2R5、−OCON(R5)(R6)、−NHCON(R5)(R6)、−SO3R9、‐OSO3R9、−SO2R8、−NHSO2R8、−SO2N(R5)(R6)、−PO3(R9)(R10)、−OPO3(R9)(R10)、−PO2(R8)(R9)、−N(R5)(R6)(R7)または−N(R5)(R6)(R7)(R11)を表し、ここで、R5、R6、R7は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表し、R8は、炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表し、R9、R10は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはオニウムを表し、R11は、炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基、ハロゲン原子、無機アニオン、または有機アニオンを表す。
本発明の親水性組成物は、(A)下記一般式(I−a)及び(I−b)で表される親水性ポリマー、及び、(B)Si、Ti、Zr、Alから選択される元素のアルコキシド化合物を含有することを特徴とする。
Aは、−OR5、−COR5、−CO2R9、−CON(R5)(R6)、−N(R5)(R6)、−NHCOR8、−NHCO2R5、−OCON(R5)(R6)、−NHCON(R5)(R6)、−SO3R9、‐OSO3R9、−SO2R8、−NHSO2R8、−SO2N(R5)(R6)、−PO3(R9)(R10)、−OPO3(R9)(R10)、−PO2(R8)(R9)、−N(R5)(R6)(R7)または−N(R5)(R6)(R7)(R11)を表し、ここで、R5、R6、R7は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表し、R8は、炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表し、R9、R10は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはオニウムを表し、R11は、炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基、ハロゲン原子、無機アニオン、または有機アニオンを表す。
(B)特定アルコキシドのなかでも、反応性、入手の容易性からSiのアルコキシドが好ましく、具体的には、シランカップリング剤に用いる化合物を好適に使用することができる。
前記したようなアルコキシドの加水分解、縮重合により形成された架橋構造を、本発明では以下、適宜、ゾルゲル架橋構造と称する。
以下に、本発明の親水性組成物に含まれる各成分について説明する。
本発明で使用することのできる(A)特定親水性ポリマーは、下記一般式(I−b)で示される構造単位を有し、重合反応後のポリマー鎖の末端に下記一般式(I−a)で表される官能基を有する。
Aは親水基であり、−OR5、−COR5、−CO2R9、−CON(R5)(R6)、−N(R5)(R6)、−NHCOR8、−NHCO2R5、−OCON(R5)(R6)、−NHCON(R5)(R6)、−SO3R9、‐OSO3R9、−SO2R8、−NHSO2R8、−SO2N(R5)(R6)、−PO3(R9)(R10)、−OPO3(R9)(R10)、−PO2(R8)(R9)、−N(R5)(R6)(R7)または−N(R5)(R6)(R7)(R11)を表す。ここで、R5、R6、R7は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表し、R8は、炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表し、R9、R10は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはオニウムを表し、R11は、炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基、ハロゲン原子、無機アニオン、または有機アニオンを表す。
R1〜R4は、効果および入手容易性の観点から、好ましくは水素原子、メチル基またはエチル基である。
mは0、1又は2を表し、なかでも、0が好ましい。
R8としては具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が好適に挙げられる。
R9、R10としては具体的には、R5〜R8で挙げられるアルキル基の他に、水素原子;リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、または、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウムなどのオニウムが挙げられる。
R11としては具体的には、R5〜R8で挙げられるアルキル基の他に、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;硝酸アニオン、硫酸アニオン、テトラフルオロホウ酸アニオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン等の無機アニオン、メタンスルホン酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、p−トルエンスルホン酸アニオン等の有機アニオンが挙げられる。
また、このようなAとしては具体的には、−CO2 −Na+、−CONH2、−SO3 −Na+、−SO2NH2、−PO3H2等が好ましい。
まず、一般式(I−a)で示される構造の具体例を示す。
本発明に係る(A)特定親水性ポリマーは、公知の方法で合成することができる。本発明においては、好ましくは、以下のようなスキームで、例えば、前記一般式(I−b)で表される如きラジカル重合可能な構造単位のモノマーと、ラジカル重合において連鎖移動能を有する化合物、若しくは、ラジカル開始剤を用いてラジカル重合する。ここで、反応性基を有する化合物を、連鎖移動能、若しくは、ラジカル開始能を有する化合物として用いると、ラジカル重合においてポリマー主鎖末端に反応性基が導入されたポリマーを合成することができる。
この反応様式は特に制限されるものではないが、ラジカル重合開始剤の存在下、或いは、高圧水銀灯の照射下において、バルク反応、溶液反応、懸濁反応などを行えばよい。
その後、当該反応性基の位置に、一般式(I−a)で表される官能基を導入する。
また、重合反応において、反応性基を有する構造単位の導入量を制御し、これと構造単位(I−b)との単独重合を効果的に抑制するため、不飽和化合物の分割添加法、逐次添加法などを用いた重合法を行うことが好ましい。
また、一般式(I−b)で表される構造単位であるラジカル重合可能なモノマーは、単独で重合しても、2種以上の共重合体でもよい。
(A)特定親水性ポリマーを合成するためのラジカル重合法としては、従来公知の方法の何れをも使用することができる。具体的には、一般的なラジカル重合法は、例えば、新高分子実験学3、高分子の合成と反応1(高分子学会編、共立出版)、新実験化学講座19、高分子化学(I)(日本化学会編、丸善)、物質工学講座、高分子合成化学(東京電気大学出版局) 等に記載されており、これらを適用することができる。
スチレン類の具体例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、シクロヘキシルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、ジメトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、カルボキシスチレン等が挙げられる。
本発明で用いられる(B)特定アルコキシドであるSi、Ti、Zi、Alから選択される元素のアルコキシド化合物は、その構造中に重合性の官能基を有し、架橋剤としての機能を果たす加水分解重合性化合物であり、以下に詳述する(C)特定反応性化合物と縮重合することで、架橋構造を有する強固な被膜を形成する。
(B)特定アルコキシドは、下記一般式(II)で表される化合物であり、親水性膜を硬化させるために、架橋構造を形成するにあたっては、前記(A)特定親水性ポリマー、(B)一般式(II)で表される特定アルコキシド、(C)特定反応性化合物を混合して支持体表面に被覆し、加熱、乾燥する。
XがTiである場合、即ち、チタンを含むものとしては、例えば、トリメトキシチタネート、テトラメトキシチタネート、トリエトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシチタネート、クロロトリメトキシチタネート、クロロトリエトキシチタネート、エチルトリメトキシチタネート、メチルトリエトキシチタネート、エチルトリエトキシチタネート、ジエチルジエトキシチタネート、フェニルトリメトキシチタネート、フェニルトリエトキシチタネート等を挙げることができる。
XがZrである場合、即ち、ジルコニウムを含むものとしては、例えば、前記チタンを含むものとして例示した化合物に対応するジルコネートを挙げることができる。
これらの中でも、XがSiであるアルコキシドが被膜性の観点から好ましい。
(B)特定アルコキシドは、本発明の親水性組成物中に、不揮発性成分として、好ましくは5〜80質量%、更に好ましくは10〜70質量%の範囲で使用される。
本発明の親水性組成物においては、(A)特定親水性ポリマー、さらに(B)特定アルコキシドなどの架橋成分を溶媒に溶解し、よく攪拌することで、これらの成分が加水分解、重縮合し、有機−無機複合体ゾル液が形成され、このゾル溶液によって、高い親水性と高い膜強度を有する親水性膜が形成される。有機無機複合体ゾル液の調製において、加水分解及び重縮合反応を促進するために、酸性触媒または塩基性触媒を併用することが好ましく、実用上好ましい反応効率を得ようとする場合、このような(C)触媒を含有させることが好ましい。
〔界面活性剤〕
本発明においては、前記親水性組成物の被膜面状を向上させるために界面活性剤を用いるのが好ましい。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
本発明に用いられる両性界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミタゾリン類が挙げられる。
なお、上記界面活性剤の中で、「ポリオキシエチレン」とあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン等の「ポリオキシアルキレン」に読み替えることもでき、本発明においては、それらの界面活性剤も用いることができる。
界面活性剤は、本発明の親水性組成物中に、不揮発性成分として、好ましくは0.001〜10質量%、更に好ましくは0.01〜5質量%の範囲で使用される。また、界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の親水性組成物には、形成される親水性膜の硬化被膜強度向上及び親水性向上のために無機微粒子を含有してもよい。無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウムまたはこれらの混合物が好適に挙げられる。
無機微粒子は、平均粒径が、好ましくは5nm〜10μm、より好ましくは0.5〜3μmであるのがよい。上記範囲であると、親水層中に安定に分散して、親水層の膜強度を十分に保持し、親水性に優れる膜を形成することができる。上述したような無機微粒子はコロイダルシリカ分散物等の市販品として容易に入手することができる。
親水性組成物の調製は、(A)特定親水性ポリマー及び(B)特定アルコキシド、更に好ましくは(C)触媒をエタノールなどの溶媒に溶解後、上記触媒を加え、攪拌することで実施できる。反応温度は室温〜80℃であり、反応時間、即ち攪拌を継続する時間は1〜72時間の範囲であることが好ましく、この攪拌により両成分の加水分解・重縮合を進行させて、有機無機複合体ゾル液を得ることができる。
このような本発明の親水性組成物を含む溶液を、適切な支持体上に被膜し、乾燥することで、本発明の親水性部材を得ることができる。即ち、本発明の親水性部材は、支持体上に、前記本発明の親水性組成物を被膜し、加熱、乾燥することにより形成された親水性膜を有するものである。
親水性膜の形成において、親水性組成物を含む溶液を被膜した後の加熱、乾燥条件としては、高密度の架橋構造を効率よく形成するといった観点からは、50〜200℃の温度範囲において、2分〜1時間程度行うことが好ましく、80〜160℃の温度範囲で、5〜30分間乾燥することがより好ましい。また、加熱手段としては、公知の手段、例えば、温度調整機能を有する乾燥機などを用いることが好ましい。
本発明の親水性部材の支持体として使用可能な基材としては、例えば、防汚及び/又は防曇効果を期待する透明な基材の場合には、その材質はガラス、または無機化合物層を含有したガラス等の無機基材や、透明プラスチック、または無機化合物層を含有した透明プラスチック層など可視光を透過しうる基材が好適に利用できる。
無機化合物層を含有したガラス板としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化ナトリウム、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、ITO(Indium Tin Oxide)等の金属性酸化物;フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化ランタン、フッ化セリウム、フッ化リチウム、フッ化トリウム等の金属ハロゲン化物;などで形成した無機化合物層を備えたガラス板を挙げることができる。
本発明の親水性部材表面に適用可能な反射防止層は、前述の無機化合物層に限定されず、例えば、反射率、屈折率の異なる複数の薄層を積層することにより、反射防止効果を得る公知の反射防止層なども適宜用いることができ、その材料も無機化合物、有機化合物のいずれも使用することができる。特に、表面に反射防止膜としての無機化合物層が形成された基板は、反射防止膜が形成された側の表面に本発明に係る親水性ポリマー鎖を適用することにより、表面の防汚性及び/又は防曇性機能、さらに反射防止性に優れた本発明の防汚性及び/又は防曇性部材とすることができる。また、目的に応じて、前記構成を有する部材に、偏光板などの機能性光学部材などを、ラミネートに代表される貼り合わせ技術で貼り合わせることにより、本発明の親水性部材を用いて種々の機能や特性を有する反射防止・光学機能性部材を得ることもできる。
その他の適用可能な用途としては、建材、建物外装、建物内装、窓枠、窓ガラス、構造部材、乗物の外装及び塗装、機械装置や物品の外装、防塵カバー及び塗装、交通標識、各種表示装置、広告塔、道路用防音壁、鉄道用防音壁、橋梁、ガードレールの外装及び塗装、トンネル内装及び塗装、碍子、太陽電池カバー、太陽熱温水器集熱カバー、ビニールハウス、車両用照明灯のカバー、住宅設備、便器、浴槽、洗面台、照明器具、照明カバー、台所用品、食器、食器洗浄器、食器乾燥器、流し、調理レンジ、キッチンフード、換気扇、及び上記物品表面に貼付させるためのフィルム、家庭用電気製品のハウジングや部品や外装及び塗装、OA機器製品のハウジングや部品や外装及び塗装、及び上記物品表面に貼付させるためのフィルムなどが挙げられ、その応用範囲は広い。
(合成例1:特定親水性ポリマー(1−1)の合成)
1.親水性ポリマー(1)の合成
500ml三口フラスコにアクリルアミド50g、3−メルカプトプロピオン酸1.8g、及びジメチルスルホキシド220gを入れ、65℃窒素気流下、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル0.5gを加えた。6時間攪拌しながら同温度に保った後、室温まで冷却した。メタノール2リットル中に投入し、析出した固体をろ取し、アセトンにて洗浄後、下記構造を有し、ポリマー鎖の繰り返し単位の重合度nが約46である親水性ポリマー(1)を得た。乾燥後の重量は50.4gであった。GPC(ポリエチレンオキシド標準)により重量平均分子量3,400のポリマーであった。
300ml三口フラスコに、前記合成例1で得られた親水性ポリマー(1)30g、3−グリシジルプロピルトリメトキシシラン2.36g、及び蒸留水150gを入れ、室温で3時間攪拌した。それをメタノール1.5リットル中に投入し、析出した固体をろ取し、アセトンにて洗浄後、下記構造を有する特定親水性ポリマー(1−1)を得た。1H−NMRによりトリメトキシシリル基(Si−OCH3;3.5ppm)が末端に導入されたことを確認した。
300ml三口フラスコに、前記合成例1で得られた親水性ポリマー(1)30g、イソシアン酸3−トリエトキシシリルプロピル2.05g、及び蒸留水150gを入れ、室温で2時間攪拌した。それをメタノール1.5リットル中に投入し、析出した固体をろ取し、アセトンにて洗浄後、下記構造を有する特定親水性ポリマー(1−2)を得た。1H−NMRによりトリエトキシシリル基(Si−OCH2CH3;3.5ppm)が末端に導入されたことを確認した。
1.親水性ポリマー(2)の合成
500ml三口フラスコに2−スルホエチルアクリレートカリウム塩50g、2−アミノエタンチオール塩酸塩0.65g、及び蒸留水220gを入れ、50℃窒素気流下、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩0.22gを加えた。6時間攪拌しながら同温度に保った後、室温まで冷却した。ジメチルスルホキシド2リットル中に投入し、析出した固体をろ取し、アセトンにて洗浄後、下記構造を有し、ポリマー鎖の繰り返し単位の重合度nが約35である親水性ポリマー(2)を得た。乾燥後の重量は47.6gであった。GPC(ポリエチレンオキシド標準)により重量平均分子量7,700のポリマーであった。
300ml三口フラスコに前記合成例4で得られた親水性ポリマー(2)30g、3−グリシジルプロピルトリメトキシシラン0.81g、及び蒸留水150gを入れ、室温で3時間攪拌した。それをメタノール1.5リットル中に投入し、析出した固体をろ取し、アセトンにて洗浄後、下記構造を有する特定親水性ポリマー(2−1)を得た。1H−NMRによりトリメトキシシリル基(Si−OCH3;3.5ppm)が末端に導入されたことを確認した。
300ml三口フラスコに、前記合成例4で得られた親水性ポリマー(2)30g、イソシアン酸3−トリエトキシシリルプロピル0.70g、及び蒸留水150gを入れ、室温で2時間攪拌した。それをメタノール1.5リットル中に投入し、析出した固体をろ取し、アセトンにて洗浄後、下記構造を有する特定親水性ポリマー(2−2)を得た。1H−NMRによりトリエトキシシリル基(Si−OCH2CH3;3.5ppm)が末端に導入されたことを確認した。
〔親水性組成物(ゾルゲル液)の調製〕
下記親水性塗布液組成物1又は2に記載の成分を均一に混合し、20℃で、2時間撹拌して加水分解を行い、ゾル状の親水性塗布液組成物を得た。
<親水性塗布液組成物1>
・(A)特定親水性ポリマー(表1に記載の化合物) 25質量部
・(B)特定アルコキシド(表1に記載の化合物) 75質量部
・蒸留水 1008質量部
・エタノール 68質量部
<親水性塗布液組成物2>
・(A)特定親水性ポリマー(表1に記載の化合物) 22質量部
・(B)特定アルコキシド(表1に記載の化合物) 67質量部
・(C)触媒(表1に記載の化合物) 11質量部
・蒸留水 1008質量部
・エタノール 68質量部
基材であるガラス板(遠藤科学製)に、上記実施例1〜11の親水性塗布液組成物を乾燥後の塗布量が2g/m2となるように塗布し、100℃、10分加熱乾燥させて基材上に親水性層を形成し実施例1〜9の表面親水性部材を得た。
(比較例1)
前記実施例5において、本発明の(A)特定親水性ポリマー(1−1)に代えて、下記構造を有する本発明の範囲外の親水性ポリマー(3)を用いた他は、同様にして比較例1の表面親水性部材を得た。
(比較例2)
前記実施例5で用いた支持体表面に、本発明に係る親水性膜に代えて、光触媒フィルム〔東洋陶器(株)製、ハイドロテクト〕を貼付して親水性表面を形成し、比較例2の表面親水性部材を得た。
〔耐摩擦性の評価〕
得られた親水性部材表面を不織布(BEMCOT、旭化学繊維社製)で100回擦り、その前後の接触角(空中水滴接触角)を、協和界面科学(株)製、DropMaster500を用いて測定した。擦り前後の接触角の変化が少ないものほど、親水性が低下せず耐久性に優れると評価する。
○:擦り前後の接触角の変化が1°
△:1°より大きく2°以下
×:2°より大きい
〔防曇性の評価〕
上記で得られた親水性部材に、昼間、室内の蛍光灯下で、1分間水蒸気を当て、水蒸気から離した後、25℃、RH10%の環境下に配置し、前記と同様の照射条件の蛍光灯下において曇り具合及びその変化を下記基準により三段階で官能評価した。
○:曇りが観察されない
△:曇っているが、10秒以内に回復し、曇りが見られなくなる
×:曇っており、曇りが10秒経過しても回復しない
〔防汚性の評価〕
上記で得られた親水性部材表面に油性インク(三菱鉛筆株式会社製油性マーカー)で線を書き、水を掛け続け、流れ落ちるかを三段階で官能評価した。
○:インクが1分以内に取れる
△:1分を経過した後インクが取れる
×:2分を超え10分間にわたり実施してもインクがとれない
耐摩擦性、防汚性及び防曇性の評価結果は下記表1に示す。
Claims (3)
- (A)下記一般式(I−b)で表される構造単位を有し、且つ、ポリマー鎖の末端に下記一般式(I−a)で表される官能基を有する親水性ポリマー、及び、(B)Si、Ti、Zr、Alから選択される元素のアルコキシド化合物を含有する親水性組成物。
Aは、−OR5、−COR5、−CO2R9、−CON(R5)(R6)、−N(R5)(R6)、−NHCOR8、−NHCO2R5、−OCON(R5)(R6)、−NHCON(R5)(R6)、−SO3R9、‐OSO3R9、−SO2R8、−NHSO2R8、−SO2N(R5)(R6)、−PO3(R9)(R10)、−OPO3(R9)(R10)、−PO2(R8)(R9)、−N(R5)(R6)(R7)または−N(R5)(R6)(R7)(R11)を表し、ここで、R5、R6、R7は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表し、R8は、炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表し、R9、R10は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはオニウムを表し、R11は、炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基、ハロゲン原子、無機アニオン、または有機アニオンを表す。 - さらに、前記(A)親水性ポリマーと(B)アルコキシド化合物との反応を促進する(C)触媒を含有する請求項1に記載の親水性組成物。
- 支持体上に、(A)下記一般式(I−b)で表される構造単位を有し、且つ、ポリマー鎖の末端に下記一般式(I−a)で表される官能基を有する親水性ポリマー、及び、(B)Si、Ti、Zr、Alから選択される元素のアルコキシド化合物を含有する親水性組成物による被膜を形成し、加熱、乾燥することにより形成された親水性膜を有する親水性部材。
Aは、−OR5、−COR5、−CO2R9、−CON(R5)(R6)、−N(R5)(R6)、−NHCOR8、−NHCO2R5、−OCON(R5)(R6)、−NHCON(R5)(R6)、−SO3R9、‐OSO3R9、−SO2R8、−NHSO2R8、−SO2N(R5)(R6)、−PO3(R9)(R10)、−OPO3(R9)(R10)、−PO2(R8)(R9)、−N(R5)(R6)(R7)または−N(R5)(R6)(R7)(R11)を表し、ここで、R5、R6、R7は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表し、R8は、炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表し、R9、R10は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはオニウムを表し、R11は、炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基、ハロゲン原子、無機アニオン、または有機アニオンを表す。
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