JP2010223167A - 航空機用排気ノズル - Google Patents

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Abstract

【課題】航空機の排気ジェット騒音を低減する航空機用排気ノズルを提供する。
【解決手段】コアノズル1の後端の外周方向に沿って、羽根車10を内側の排気ジェット流とその外側のバイパス流の双方の気流に跨って対向する形態で配設する。同様に、ファンダクト2の後端の外周方向に沿って、羽根車20を内側のバイパス流とその外側のバイパス流の双方の気流に跨って対向する形態で配設する。
【選択図】図1

Description

本発明は、航空機用排気ノズル、特に装置を大型化させずに離陸時の排気ジェット騒音を低減しつつ、高亜音速巡航時のエンジンの空気抵抗の増大を防止することが可能な航空機用排気ノズルに関するものである。
航空エンジンの排気騒音は、静止空気中に高速の気流が吹き出される際に生じる大きな速度差の気流境界、いわゆるせん断層から周囲に放出される音波である。音の強さは、せん断層の強さと長さに依存することが知られている(例えば、非特許文献1を参照。)。
従って、その排気騒音を低減するには、排気速度自身を低く抑えることが最も直接的かつ効果的なアプローチである。そのため、航空機用ジェットエンジンでは早くからバイパスエンジンの概念が導入され、大幅な騒音低減を果たしてきた。これは、ジェット騒音のエネルギーレベルが排気流速の6乗〜8乗に概ね比例する経験則を考慮し、エンジンが吸入する空気の一部を迂回(バイパス)させて、高速流の周囲に強制的に低速流として導入することで、低速流を含めた排気流の平均速度を低下させることを狙った技術である。バイパスエンジンの構成は、通常のジェットエンジン(ターボジェットエンジン)をコアエンジンとし、コアエンジンの外側に低圧系を有している。そして、低圧タービン等の生み出す軸動力でコアエンジン前方部の低圧系及び大口径ファンを駆動する仕組みとなっている。エンジン前方部で流入する空気の一部は大口径ファンを通過した後、コアエンジンに流入せずに低速流としてエンジン後部から排出される。コアエンジンヘ流入する空気流量とバイパスして低速流として導入される空気流量の比(バイパス比)を大きくすることで、より一層のジェット騒音低減効果を得ることができることから、現在の亜音速商用航空機においては、エンジン形態の主流はバイパスエンジンであり、高バイパス比化へ向かう傾向にある。
バイパスエンジンの概念はエンジンシステムから騒音低減を達成しようとする視点に立ったものである。その一方、局部に着目した視点からは、高速流と周囲空気との混合を促進する装置に関する技術が存在する。例えば、ローブ状の混合装置(ローブミキサー)は、低速流をコアエンジンからの排気(高速流)に導入する流路と高速流を低速流側に導入する流路を交互に備え、装置がない場合に比べて、高速流と低速流の混合を短距離で促進する構造となっている。混合が促進される結果、平均速度の低下によって騒音のエネルギーレベルが低下するのみならず、大規模渦の分散によって騒音が高周波数帯域へ移行する効果が期待される。高周波数音ほど空気減衰の影響を受けやすく、長距離を伝播する騒音問題の対処には有効だからである(例えば、特許文献1および特許文献2を参照。)。
他方、混合装置としてタブを使用する技術も存在する。タブはノズル口径に比べて十分小さい突起物であるため、高速流を遮る割合(ブロッケージファクター)が小さく、圧力損失、推力損失を十分低く抑えることができる点で有利である。タブは、その両縁に対称渦を形成する。この対称渦が高速流を周囲へ運び、低速流を高速流側に引き込むことで高速流と低速流の境界面での運動量交換を活発化して、巨視的には混合を促進する働きをする。このようなタブミキサーとしては、ノズル端に形成された三角錐状のものが知られている(例えば、特許文献3を参照。)。三角錐はノズルの内側と外側に突き出しており、ノズル内外の流れの混合を促進しつつ、圧力損失による推力損失の抑制を狙っている。その他には、ローブ部分に小さなタブを複数設けて混合促進を狙ったローブミキサーが知られている(例えば、特許文献4を参照。)。
また、流路後端ではなく、流路内部に大小の捻り撹拝体を備え、主流を旋回させつつ分割することで、大規模渦を分割し且つ隣接する流路からの流れと混合させることで、騒音の抑制等を狙った低騒音化システムが知られている(例えば、特許文献5を参照。)。
特開2003−314368号公報 特開2002−317698号公報 特開2003−172205号公報 特開2004−76596号公報 特許第3673804号 五十嵐壽一(他1名)共著、「騒音工学」コロナ社出版、1989年
現在、航空エンジンとして主流となっている高バイパス比のターボファンジェットエンジンでは、離陸時のジェット騒音低減および燃料消費率低減の観点から、バイパス比の大きなエンジンが実用化され、バイパス比が10を超えるエンジンも存在する。
しかし、そのような高バイパス比のエンジンの場合、離陸時と高亜音速巡航時の推力差が大きく、圧縮機の高圧力比化、燃焼温度の上昇による窒素酸化物排出の増加と耐熱材の寿命低下を招いている。
また、バイパス比の小さなターボファンジェットエンジンにおいては、離陸時のジェット騒音を低減するため、排気ノズルダクト部に花弁等のローブミキサーを付加し、ファン排気をコア排気に導入して混合させ、これにより排気ジェット速度を低減させ、排気ジェット騒音の低減を図る上記消音装置が実用化されているが、現在の騒音規制をクリアするだけの消音性能を得る技術水準までには到っていない。
また、ダクト表面に吸音機構を組み込んだり、排気ノズル後端にタブ又はシェブロン等と呼ばれる凹凸を設けて消音を図る上記消音装置においては、同様に極めて限定的なものであり消音性能を得る技術水準までには到っていない。また、推力損失も免れない。
また、排気ノズル出口の外側にダクトを配して、エジェクタ効果により、外部の空気を導入して騒音低減を図る案も容易に考えられるが、重量増加が甚だしく、しかも得られる消音効果は小さいという問題がある。
航空エンジンの騒音に対する規制は、年々厳しくなっており、上記従来の方法を適用すると、装置が大型になり、窒素酸化物排出の増加、耐熱材の寿命低下、重量増加、あるいは推力損失が避けられない。
そこで、本発明は、上記実情に鑑み創案されたものであって、その目的は、装置を大型化させずに離陸時の排気ジェット騒音を低減しつつ、高亜音速巡航時のエンジンの空気抵抗の増大を防止することが可能な航空機用排気ノズルを提供することである。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の航空機用排気ノズルは、気流を受けて回転する羽根車を、排気ノズル又はファンダクトに関して流速の相対的に大きいその内側および同小さい外側の双方の気流に対向し且つ双方の気流に跨る形態で配置したことを特徴とする。
上記航空機用排気ノズルでは、上記構成とすることにより、排気ノズル内側から噴出する流速の相対的に大きい排気ジェットと、その外側の流速の相対的に小さい外部流との双方の気流が羽根車に当たり、羽根車を回転させながら後方に流れる。その際、排気ノズル内側の流速の相対的に大きい排気ジェット流に対向する羽根車(以下、「高速側羽根車」という。)はタービンとして機能・回転し、排気ノズル外側の流速の相対的に小さい外部流に対向する羽根車(以下、「低速側羽根車」という。)をファンとして機能・回転させる。低速側羽根車は高速側羽根車から仕事を受けながら低速の外部流を後方へ加速し排出する。その結果、離陸時においては、羽根車の下流において排気ジェット流と外部流との間の速度差が小さくなり排気ジェット騒音を好適に低減させる。同時に、羽根車のファン機能により実効的なバイパス比が増大するため、推力が増大し燃費も改善される。
他方、高亜音速巡航時においては、上記航空機用排気ノズルでは、排気ノズル外側の気流は速度が上昇して羽根車内を高速で通過するようになり、同様に排気ノズル内側の気流も羽根車内を高速で通過し、その結果、羽根車は空転状態になる。すると、高速側羽根車は排気ガスから仕事を吸収しなくなるため、実効的なバイパス比は小さくなり、推力不足に陥ることも無くなる。
また、上記航空機用排気ノズルは、従来の排気ノズル又はファンダクトに羽根車を付加した極めて簡素な機構であるため、装置の大型化および重量増加を抑えながら排気ジェット騒音を好適に低減することが可能となる。
請求項2に記載の航空機用排気ノズルでは、前記羽根車は前記気流以外に他から動力を受けて回転可能であることを特徴とすることとした。
上述した通り、高速側羽根車は高速の排気ジェット流によってタービンとして機能・回転するため、そのタービン効率は回転数に依存する。従って、高速側羽根車が最適回転数範囲よりも低い範囲で作動している場合は、排気ジェット流から仕事を吸収しなくなるため、ファンとしての仕事量が小さくなり、その結果、排気ジェット騒音の低減効果も小さくなる。
そこで、このような場合に、上記航空機排気ノズルでは、外部から動力を供給し動力の不足分を補うことが可能となる。これにより、高速側羽根車を常に最適回転数範囲内において作動させることが可能となり、タービン効率の低下を防止し、排気ジェット騒音を好適に低減することが出来るようになる。
請求項3に記載の航空機用排気ノズルでは、大きさが同じ又は異なる複数の羽根車を、前記排気ノズルの軸方向に直交した断面上で重なるか又は重ならないように配置したことを特徴とすることとした。
上記航空機用排気ノズルでは、上記構成とすることにより、離陸時の排気ジェット騒音の低減、ならびに高亜音速巡航時のエンジンの空気抵抗の低減に対する最適化を図ることが可能となる。
請求項4に記載の航空機用排気ノズルでは、前記羽根車は制動、固定または引き込み可能であることを特徴とすることとした。
上記航空機用排気ノズルでは、上記構成とすることにより、羽根車の寿命を延ばすとともにエンジンの空気抵抗が増大することを防止する。
請求項5に記載の航空機用排気ノズルでは、前記羽根車の回転軸は前記排気ノズル壁面からそれと交差する方向へオフセット可能であることを特徴とすることとした。
上記航空機用排気ノズルでは、上記構成とすることにより、羽根車のタービン作動とファン作動の割合を調整することが可能となる。
請求項6に記載の航空機用排気ノズルでは、前記羽根車の回転軸のオフセット量は可変であることを特徴とすることとした。
上記航空機用排気ノズルでは、上記構成とすることにより、飛行状態に即した最適なタービン作動とファン作動の割合を得ることが可能となる。
請求項7に記載の航空機用排気ノズルでは、前記羽根車の外側に全周または部分的に覆いを設置することを特徴とすることとした。
上記航空機用排気ノズルでは、上記構成とすることにより、ファンの効率を高めるとともに外部への騒音放出を抑制する。
本発明の航空機用排気ノズルは上記のとおり構成されているので、以下の効果を有する。
(1)先ず、離陸時には、排気ノズル内側において排気ジェット流に対向する高速側羽根車は内側の排気ジェット流によってタービンとして機能・回転する。一方、排気ノズル外側において外気流に対向する低速側羽根車は、高速側羽根車によってファンとして機能・回転し空気を吸入し、後方に排出する。その結果、羽根車の下流において排気ジェット流とその周囲の外気流との速度差が小さくなり、排気ジェット騒音が好適に低減される。また、低速側羽根車のファン機能によって実効的なバイパス比が増大するため、離陸時における推力が増大し燃費も改善されることが期待される。
(2)次に亜音速巡航時には、機体が高速の飛行状態になると排気ノズル外側の気流速度が上昇して羽根車内を高速で通過するようになり、同様に排気ノズル内側の排気ジェット流も羽根車内を高速で通過するようになり、その結果、羽根車は空転状態になる。すると、羽根車は排気ガスから仕事を吸収しなくなるため、実効的なバイパス比は小さくなり、推力不足に陥ることも無くなる。
(3)更に、上記航空機用排気ノズルは、従来の排気ノズル又はファンダクトに上記羽根車を付加した極めて簡素な機構であるため、装置の大型化および重量増加を抑えながら排気ジェット騒音を好適に低減することが可能となる。
また、上記のことは、羽根車がファンダクト内側のバイパス流とその外側の外気流に跨る形態で配置されたファンダクトについても同様に当てはまる。
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
図1は、本発明の低騒音排気ノズル100を示す説明図である。
この低騒音排気ノズル100は、コアノズル(排気ノズル)1に関し内側の高速の排気ジェット流とその外側の低速のバイパス流の双方の気流に対向し跨った形態でコアノズル1の後端の周方向に沿って配設された複数の羽根車10と、ファンダクト2に関し内側のバイパス流とその外側の外気流の双方の気流に対向し跨った形態でファンダクト2の後端の周方向に沿って配設された複数の羽根車20とから構成されている。
詳細については図2−4を参照しながら後述するが、羽根車10,20をコアノズル1の後端およびファンダクト2の後端に配設することによって、離陸時において、内側の高速流に対向する高速側羽根車はタービンとして機能・回転し、その外側の低速流に対向する低速側羽根車はその高速羽根車によってファンとして機能・回転する。その結果、各羽根車の下流において内側の気流とその外側の気流との速度差が小さくなり、排気騒音が好適に低減される。また、実効的なバイパス比が増大するため、離陸時における推力が増大し燃費も改善される。
他方、亜音速巡航時において、各気流速度が上昇して各気流が羽根車内を高速で通過するようになり、羽根車は空転状態になる。すると、羽根車10,20は各高速流から仕事を吸収しなくなるため、実効的なバイパス比は小さくなり、推力不足に陥ることも無くなる。
また、羽根車10,20は、流体のエネルギーによって回転する公知の回転機械であり、気流以外に電動機等の動力源から外部動力を受けて回転することが出来るように構成されている。また、コアノズル壁面またはファンダクト壁面と交差する方向へ変位することが出来るようにも構成されている。これにより、羽根車10,20において、タービン作動時の効率(回転数制御)、並びにタービン作動およびファン作動の割合を調整することが可能になる。
また、羽根車10,20は上記タービン作動・ファン作動を停止するために、回転を抑制するブレーキ機構を備える。
また、羽根車10,20は、上記後端以外に、他の位置、例えばコアノズル1又はファンダクト2の中間位置に配置しても良い。
図2は、本発明に係る羽根車10を示す説明図である。なお、羽根車20についても構成は全く同様である。
この羽根車10は、気流を受けて仕事をする回転翼11と、回転翼11が等間隔に取り付けられるロータ部12と、回転動力を入出力する回転軸13と、その軸受け部14,14と、ロータ部12の回転数が低下する場合の外部動力源としてのモータ15及びその軸受け16,16と、ロータ部12に伝達するモータ15の回転動力を断続(ON/OFF)するクラッチ機構17と、回転翼11の垂直方向の位置を変える垂直位置可変機構18,18,18,18とから成る。なお、ここで言う「垂直方向」とはコアノズル壁面に対して垂直方向という意味である。また、回転翼11以外の機構は、コアノズル壁の内部に収納され、排気ジェット流およびバイパス流(外部流)に対し抵抗とならないようにしてある。
回転翼11の羽根枚数は、本実施例において8枚であるが、この枚数に限定されない。回転翼11の取付角度については、ベースとなるターボファンエンジンによって決定される。
上記全ての軸受け14,16は、例えば垂直位置可変機構18によって支持されている。また、上記全ての軸受け14,16は、回転抵抗の小さいベアリングで、例えばボールベアリングによって構成されている。
モータ15は、ロータ部12の回転数が低下する場合に、クラッチ機構17を介して羽根車10に回転動力を供給し、ロータ部12を所定の回転数で回転させる。また、羽根車を作動させたくない場合に、クラッチ機構17を繋なぐことにより、モータ15の制動トルクによって羽根車10を停止させる。すなわち、羽根車の回転動力がモータ15に伝達すると、モータ15においてこの羽根車の回転を打ち消す向きに逆起電力が発生し、誘導電流が流れる。その結果、その誘導電流によってこの回転を打ち消す制動トルクが発生し、その制動トルクによってモータ15と結合状態にある羽根車10を静止させる。或いは、モータ15の制動トルクを利用せずに、回転軸13の端部にブレーキ機構を取り付けても良い。或いは、羽根車10が小径の場合は、羽根車全体をケースに収容し、ケースの開口部に開閉機構を設け、羽根車10を作動させたくない場合に、その開閉機構を閉じて内側および外側の双方の気流を受けないようにすることにより、羽根車10の作動を停止させることが出来る。また、そのケースは、羽根車10の作動時において、外部への騒音放出を抑制する。
クラッチ機構17は、例えば油圧クラッチであり、クラッチを繋ぐ場合は、図示しない油圧制御回路によってクラッチディスクがフライホイールに押しつけられ、モータ15の回転動力がロータ部12に伝達される。これにより、羽根車の回転数を所定の範囲に制御することが可能になり、上述した通り、羽根車10のタービンとしての効率を所定の範囲に制御することが可能となる。また、クラッチ機構は、上記油圧クラッチ以外に電磁クラッチ又は流体クラッチ等を採用することが可能である。
垂直位置可変機構18は、例えば油圧式シリンダ又はリニアモータ等によって構成することが可能である。これにより、回転翼11は垂直方向に変位することが可能になり、上述した通り、タービン作動とファン作動の割合を所定の割合に制御することが可能となる。
図3は、羽根車10のカウルスペースへの引き込みの例を示す説明図である。
図3(a)に示すように、羽根車10には、羽根車10を軸方向に伸縮させる伸縮機構30が結合され、その伸縮機構30の端部には伸縮機構30を回転させる回転機構40が結合されている。従って、羽根車10をカウルスペースへ収納させるには、先ず図3(b)に示すように、回転機構40が、羽根車10と伸縮機構30を回転させてコアノズル壁面に直立させる。その際、カウル3において、羽根車10を通過させるスリット開閉機構(図示せず)が開くことによって、羽根車10と伸縮機構30がカウル3に干渉せずに直立するようになる。そして、図3(c)に示すように、伸縮機構30が軸方向に縮み、次いで、図3(d)に示すように、回転機構40がスライド機構(図示せず)によってコアノズル内側に変位し、カウル3のスリット開閉機構が閉じて羽根車10のカウルスペースへの引き込みを完了する。
なお、その他の羽根車10の引き込みの例として、図4に示すように、主翼内部のスペースに羽根車10を引き込む方法が考えられる。
このように、羽根車10に伸縮機構および回転機構を組み合わせることによって、エンジン内部またはその近傍に引き込みの形態で収納することが可能となる。
図5は、本発明に係る羽根車10,20の配置の一例を示す説明図である。
これは、羽根車10をコアノズル1の後端の外周に沿って互いに90°の等間隔で配設し、羽根車20を羽根車10に対して位相差45°でファンダクト2の後端の外周に沿って互いに90°の等間隔で配設した例である。位相差は任意である。また、羽根車は単独で置かれても、他の羽根車と投影断面において重なるように置かれても良い。また、各羽根車の大きさは一様でなくても良い(全てが同一径の羽根車でなくても良い。)。また、各羽根車の枚数は一様でなくても良い。
また、図6に示すように、回転方向の異なる2つの羽根車10,10'を重ねてコアノズル1又はファンダクト2の外周に配置した形態でも良い。
ここで、参考として、上記羽根車の性能推定モデルについて簡単に説明する。
図7に示すように、内径Dの円筒が上下に2等分されているとする。それぞれの領域をH,Lとし、全圧力をPtH,PtLとする。ただし、PtH>PtLとする。この円筒の端に回転翼列を置く。すると、翼列のひねり具合と両流路を流れるガスの速度により、翼列は仕事をしたり、或いは仕事をされたりする。
羽根車の空力特性を平均径rmにおける翼素のそれで代表させて全体の動作を見積もることにする。
速度三角形を図9のように定義する。
γはスタガー角、翼素のキャンバー角θは今のところ0とする。
流れは2次元的であると仮定し、流れ面は円筒面とする。
すなわち、U=U、ρ1V1a=ρ2V2aが成り立つ。
デビエーションを0とする。従って流れは平板翼素の出口角方向に流出するものとする。
(相対エネルギーからの観点)
定常回転する翼列に関しては、
DI/Dt=T・(Ds/Dt)+W・Fであり、非粘性によりF=0、断熱流れにより、Ds/Dt=0とすると、ロータルピーIは動翼前後で保存される。
ロータルピーI=H−Ω・r・Vθと定義されるので、全エンタルピH=h+V2/2 により
I=h1+(1/2)・(W1 2−U1 2)=h2+(1/2)・(W2 2−U2 2)
が動翼列前後で成り立つ。
今、円筒面を仮定しているので、r1=r2=rmであり、
h2−h1=(1/2)・(W1 2−W2 2)
となる。
H2−H1=Cp・(Tt2−Tt1)=U(V1sinα1−V2sinα2)
翼列上流で流れは軸方向を向いており、翼列方向に流出するとすれば、α1=0,β2=γであり、
H2−H1=Cp・(Tt2−Tt1)=−UV2sinα2
静止系から見た翼列出口の流出角が回転と同方向であれば全エンタルピHが増加する圧縮機となり、逆方向の場合、全エンタルピHが減少するタービンとなる。α2=0の時は、動翼で流れが変わらず、ウィンドミル状態になっている。また、U=0、すなわち、動翼が止まっていれば、全エンタルピHは増加せず、静翼の状態を表す。
一般に羽根車が定常回転している場合には、外力はゼロであるから、この羽根車の場合、全通過断面積においてバランスするため、
s2H2Va2−ρ1H1Va1)=0となっている。
図の場合、上下の通路を合わせてΣi=H,L2H2Va2−ρ1H1Va1]i=0が成り立ち、圧縮機仕事とタービン仕事がバランスすることになる。
2H2Va2−ρ1H1Va1]H=−[ρ2H2Va2−ρ1H1Va1]L
翼列前後でρVaは一定なので
(ρVa)H(H2−H1)H=−(ρVa)L(H2−H1)L
(ρVa)HCpU(−V2sinα2)H=−(ρVa)LCpU(−V2sinα2)L
ρVa=PMa(κ/RT)1/2=Pt(Ma/A)(κ/RTt)1/2、但し、A={1+(1/2)(κ−1)M2}(1/2)(κ+1)/(κ−1)
V2=M2[κRTt2/{1+(1/2)(κ−1)M2 2}]1/2
であるから、H側、L側の条件により、H側とL側の出口速度三角形はρV2、ほぼ、Ptの逆比になる、互いに逆向きの周方向速度を与える回転速度Uにおいて定常作動をすることになる。

出口状態は
Tt2=Tt1−UV2sinα2/Cp
等エントロピー流れを仮定しているので、
Pt2=Pt1(Tt2/Tt1)κ/(κ−1)=Pt1[1−UV2sinα2/(CpTt1)]κ/(κ−1)
出口におけるマッハ数は
M2=[2/(κ−1){(Pt2/P)(κ−1)/κ−1}]1/2
出口における速度は
V2=M2[κRTt2/{1+(1/2)(κ−1)M2 2}]1/2
これは繰り返し計算により求めることとなる。
等エントロピー流れの断面積とマッハ数との関係は
A/A*=(1/M)[{(κ−1)M2+2}/(κ+1)](1/2)(κ+1)/(κ−1)
である。ここでA*はチョーク面積である。
A*=1/(ρ*a*)={1+(κ−1)/2}1/(κ−1)/{Pt/(RTt)}・[1/{2κRTt/(κ+1)}1/2]={RTt(κ+1)/(2κ)}1/2/Pt・{1+(κ−1)/2}1/(κ−1)
M2>1となる条件において、翼列部で流れはチョークしている。チョークしている流れは、周囲の圧力まで膨張するが、円筒流れを仮定すると、軸方向にのみ加速が可能であり、流れ角は小さくなる。
典型的な例として、高バイパス比ターボファンについて考える。地上静止状態でバイパス比を6、ファン圧力比を1.5とすると、ファン出口温度は1.14倍の328Kとなる。
回転翼の取付け角度が10〜80度の羽根車をファン出口空気条件で回転させた場合のタービン仕事と、同じ羽根車が静止大気を吸い込んで加圧するファン仕事を、羽根車の回転速度をパラメータにプロットすると、図10のようになる。
同じ翼取付け角度のタービンとファンの仕事曲線が交わる点が、H,Lが定常回転する条件となる。この点を星印(☆)で表す。
Lighthillの亜音速ジェット理論における音響パワーの理論値は、四極子騒音
Pj=2πρ0ue 8D2/a0 5
であり、排気速度ueの8乗に比例する。
表1より、静止大気に269m/sで吹き出す排気ジェットに対し、騒音の程度は低減される。
図11は、実施例1に係る低騒音排気ノズル200を示す説明図である。
この低騒音ノズル200は、羽根車10とローブミキサー30を組み合わせることによって排気ジェット騒音を低減する。このように1又は複数の羽根車を排気ノズル(コアノズル1)と同軸上に配置する場合は、コア流とバイパス流またはコア流と外部流を混合するローブミキサー30の下流に配置することにより、羽根車に対し交互にエネルギーの異なる流れが当たるので、上記同様に、羽根車10のタービン作動・ファン作動によって排気ジェット騒音を好適に低減する。つまり、上記低騒音排気ノズル100では、羽根車は上下方向に双方の気流に跨った形態で配設されるが、本低騒音排気ノズル200では、周方向に沿って交互に双方の気流に跨った形態で配設される。この場合、本低騒音排気ノズル200からカウリング40を省略したとしても、排気ジェット騒音を好適に低減することが出来る。また、本実施例では、羽根車10の外径は、ローブミキサー30の外径より大きいが、これに限らず、小さい場合でも、排気ジェット騒音を好適に低減することが出来る。
以上の通り、本発明は、羽根車を流速の異なる二つの気流に跨って対向する形態で配設することにより、相対的に流速の大きい内側の気流に対向する羽根車がタービンとして機能・回転し、その外側の流速の小さい気流に対向する羽根車をファンとして機能・回転させる。これにより、離陸時においては、羽根車下流において、内側の排気ジェット流とその外側の外気流との速度差が小さくなり、排気ジェット騒音を低減させることが可能となる。また、羽根車の下流においては実効的なバイパス比が増大するため推力が増大し燃費も改善される。他方、亜音速巡航時においては、エンジン外側の気流速度が上昇して羽根車内を高速で通過するようになり、同様にエンジン内部の排気ジェット流も羽根車内を高速で通過するため、羽根車は空転状態となる。その結果、羽根車は排気ジェット流から仕事を吸収しなくなるため、実効上のバイパス比は小さくなり、推力不足に陥ることも無くなる。
本発明の航空機用排気ノズルは、ガスタービンを初めとする排気ガスを噴射する内燃機関および圧縮機に適用可能である。
本発明の低騒音排気ノズルを示す説明図である。 本発明に係る羽根車を示す説明図である。 羽根車のカウルスペースへの引き込みの例を示す説明図である。 羽根車の翼内部スペースへの引き込みの例を示す説明図である。 本発明に係る羽根車の配置の一例を示す説明図である。 本発明に係る羽根車の配置の一例を示す説明図である。 2つの流れにまたがる回転翼を示す説明図である。 回転翼による流れの変化を示す説明図である。 回転翼前後の流れの状態を示す説明図である。 本発明に係る羽根車の仕事を示すグラフである。 実施例1に係る低騒音排気ノズルを示す説明図である。
1 コアノズル
2 ファンダクト
3 カウル
10,20 羽根車
11 回転翼
12 ロータ部
13 回転軸
14,16 軸受け
15 モータ
17 クラッチ機構
18 垂直位置可変機構
100,200 低騒音排気ノズル
Figure 2010223167
Figure 2010223167

Claims (7)

  1. 気流を受けて回転する羽根車を、排気ノズル又はファンダクトに関して流速の相対的に大きいその内側および同小さい外側の双方の気流に対向し且つ双方の気流に跨る形態で配置したことを特徴とする航空機用排気ノズル。
  2. 前記羽根車は前記気流以外に他から動力を受けて回転可能であることを特徴とする請求項1に記載の航空機用排気ノズル。
  3. 大きさが同じ又は異なる複数の羽根車を、前記排気ノズルの軸方向に直交した断面上で重なるか又は重ならないように配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の航空機用排気ノズル。
  4. 前記羽根車は制動、固定または引き込み可能であることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の航空機用排気ノズル。
  5. 前記羽根車の回転軸は前記排気ノズル壁からそれと交差する方向へオフセット可能であることを特徴とする請求項1に記載の航空機用排気ノズル。
  6. 前記羽根車の回転軸のオフセット量は可変であることを特徴とする請求項5に記載の航空機用排気ノズル。
  7. 前記羽根車の外側に全周または部分的に覆いを設置することを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の航空機用排気ノズル。
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